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【発明の名称】 柑橘類表皮油を用いた防蟻、防虫剤とその製造方法
【発明者】 【氏名】深澤 喜宏

【要約】 【課題】人体に安全で、かつ環境汚染等を及ぼさない天然植物成分を利用し長期にわたり効果のある防蟻、防虫剤の提供を課題とする。

【解決手段】柑橘類表皮油に発泡スチロール等のポリスチレンを5%−60%(w/w)溶解した液体組成物を提供することによって解決する。具体的には、食害や害虫の侵入の恐れのある箇所にポリスチレン濃度を調節することにより噴霧、塗布、注入、浸漬することで木材、コンクリート、ブロック、金属の表面及び内部に、長期間防蟻、防虫作用を保持させることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】柑橘類表皮油にポリスチレン(発泡しているか否は問わない)を5%−60%(w/w)溶解したことを特徴とする新規柑橘類表皮油/ポリスチレン混合組成物。
【請求項2】請求項1記載の新規柑橘類表皮油/ポリスチレン混合組成物であって本発明は柑橘類表皮油にポリスチレン(発泡しているか否は問わない)を5%−60%(w/w)溶解した液体組成物であり、食害や害虫の侵入の恐れのある箇所にポリスチレン濃度を調節することにより噴霧、塗布、注入、浸漬することで木材、コンクリート、ブロック、金属の表面及び内部に、防蟻、防虫作用を保持させることを特徴とする新規柑橘類表皮油/ポリスチレン混合組成物の用途。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人体、環境に極めて安全な防蟻、防虫剤の提供に関する。
【従来の技術】汎用の防蟻剤並びに防虫剤はそのほとんどの成分がクロルピリホスやペルメトリン、ホキシム、石油系溶剤などの毒性の強い化学物質であり、高濃度で床下や土壌に散布や塗布されている。これらの成分は人体、環境において極めて有害であり、近来問題視されているシックハウス症候群の中ではシロアリ防蟻剤による被害が一番重いと言われている。頭痛、下痢、鼻血、嘔吐、めまい、蕁麻疹、倦怠感等といった人体に対する有害性ばかりか、薬剤の残留による環境への有害性も懸念されている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】人体に安全で、かつ環境汚染等を及ぼさない天然植物成分を利用し長期にわたり効果のある防蟻、防虫剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を達成するために鋭意努力した結果為されるものである。本発明の防蟻、防虫剤は柑橘類表皮油とポリスチレンとを化合した液体組成物からなることを特徴とする。
【0003】本発明は柑橘類表皮油にポリスチレン(発泡しているか否は問わない)を5%−60%(w/w)溶解した液体組成物であり、食害や害虫の侵入の恐れのある箇所にポリスチレン濃度を調節することにより噴霧、塗布、注入、浸漬することで木材、コンクリート、ブロック、金属の表面及び内部に、柑橘類表皮油が保有している防蟻、防虫作用を保持させることを特徴とする新規柑橘類表皮油/ポリスチレン混合組成物である。本発明の混合組成物で処置後乾燥することによって、対象物に防蟻、防虫成分をポリスチレン樹脂中に取り込み、被膜を形成し効果を長期に持続させることをも特徴としている。この皮膜はポリスチレン樹脂化して撥水、防水の効果も併せ持つ。
【0004】また本発明の他の手段として、発明者らは先にこの柑橘類表皮油とエタノールからなる発泡スチロールの減容剤を開発しているが、前記方法で減容後の液体組成物をも本発明に包含される。
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を示すが本発明はこれに限定されるものではない。本発明の主成分として用いられる柑橘類表皮油は比重0.842、PH4.2、引火点48℃、蒸気圧2mmHg/20℃で、強い苦みをもち、無色で柑橘類特有の香りをもち水には不溶の液体である。製法はグレープフルーツ、オレンジ、レモン等の柑橘類の表皮を冷浸法により油成分を抽出したものであり、一般にはシトラスオイルとして公知されているものである。
【0005】主成分にリナロール、サビネン、α−ピネン、D−リモネン、シトロネラール等を含有したテルペン系天然有機化合物であり、害虫にたいし緩やかではあるが殺虫、防虫、忌避、繁殖抑制効果を持続させる対生物活性力を持つ。しかし、人体に対しては香料目的で食品添加物として汎用されており公知的には無害であり、環境を汚染することもない。また、ポリスチレンは各種プラスチック製品や発泡されたものは緩衝材として汎用されており、無味、無臭、無毒であり環境ホルモンを排出しないといった特性が利用され、食品トレーにも汎用されており極めて安全な物質である。本発明は柑橘類表皮油にポリスチレン(発泡しているか否は問わない)を5%−60%(w/w)溶解した液体組成物であり、食害や害虫の侵入の恐れのある箇所にポリスチレン濃度を調節することにより噴霧、塗布、注入、浸漬することで木材、コンクリート、ブロック、金属の表面及び内部を処置することを特徴としている。
【0006】処置後は自然乾燥することにより対象物に防蟻、防虫成分をポリスチレン樹脂中に取り込み被膜を形成し効果を長期に持続させることを特徴としている。この皮膜はポリスチレン樹脂化して撥水、防水の効果も併せ持つ。また、発明者らは先にこの柑橘類表皮油とエタノールからなる発泡スチロールの減容剤を開発しており、減容後のスチロールを本発明の原料として使用することも可能としており、リサイクル再生品として寄与できることはコスト的にも、社会的にも極めて有益である。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するがこれに限定されるものではない。
実施例1柑橘類表皮油100mlにポリスチレン20gを溶解した液体組成物による残査接触試験を試みた、供試虫はA:イエシロアリ(働きアリ:15匹)、B:クロヤマアリ(働きアリ:15匹)、とした。直径7cmのシャーレに濾紙を敷き、上記液体組成物(a)を2mlを滴下しその後の様子を観察した。Aは滴下直後から異常が見られ、3分で2匹、10分で計8匹、40分で全供試虫がノックアウトとなり65分で致死となった。同様にBも滴下直後から異常が見られ、10分で3匹、25分で計7匹、55分で全供試虫がノックアウトとなり85分で致死となった。
【0008】実施例2トピカルアプリケーション法によるクロゴキブリ(雌成虫:n=5)に対する殺虫効力試験。ゴキブリ1頭あたり所定量となるように液体組成物(a)をアセトンで希釈し供試虫の脚と脚の間に滴下して24時間後の致死率を求めた。
1頭あたりの液量(mg) 24時間後の致死率(%)
100 100 50 80 30 60 15 20液体組成物(a)のクロゴキブリに対するLD50は15mgから30mgの間であった。同様にイエシロアリ(働きアリ:n=10)に対してはLD50の値は1.2mgであった。
【0009】
1匹あたりの液量(mg) 24時間後の致死率(%)
0.5 0 0.8 0 1.0 30 1.2 40 1.4 60 1.6 70 1.8 90実施例3液体組成物(a)で処置した木片のイエシロアリに対する防虫効果。直径75mmの丸太を切り出し2つの木片を検体とする。液体組成物(a)を通常の塗料を塗布する要領で2度塗りをCに処置し完全乾燥させた。塗布後の重量は154gであった。また、未処置の木片Dの重量は126gであり、木片Cとの比較検体とした。約300匹のイエシロアリが土中にコロニーを形成している飼育箱EとFとを用意し、Eには木片Cを、Fには木片Dをいれ30日後の木片の変化を観察した。飼育箱の中は常に適度な湿度となるよう毎日水を土と木片に噴霧し、温度は室温(25℃)とした。
【0010】30日後の木片Cは外形上シロアリによる食害等の変化は見られず、乾燥後の重量は投入時と同じで変化はなかった。木片Dは土に接触していた箇所に多数の食害(穴)を確認した。木片の表皮は脆く腐りかけており、乾燥後の重量は118gであった。木片Dを取り除いたあとの飼育箱Fは、木片Dと接触していた土表に数多くの蟻道が確認された。一方、飼育箱Eの木片Cと接触していた土表には蟻道は確認できず、コロニーも木片を避ける位置に形成されていた。
【0011】
【発明の効果】上記手段によって人体に安全で、かつ環境汚染等を及ぼさない天然植物成分を利用し長期にわたり効果のある防蟻、防虫剤を提供することができた。
【出願人】 【識別番号】500027747
【氏名又は名称】丸長株式会社
【識別番号】596142889
【氏名又は名称】バイオベンチャーバンク株式会社
【出願日】 平成12年9月12日(2000.9.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−87915(P2002−87915A)
【公開日】 平成14年3月27日(2002.3.27)
【出願番号】 特願2000−318617(P2000−318617)