| 【発明の名称】 |
植物病害生物防除剤、形質転換植物及び植物病害生物防除法 |
| 【発明者】 |
【氏名】嶋村 隆
【氏名】今枝 孝夫
【氏名】幸田 勝典
【氏名】平井 正名
【氏名】山田 幸生
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| 【要約】 |
【課題】抵抗性病原体等の出現がなく、ヒトに対する安全性も確保された植物病原生物防除剤及び防除方法を提供する。
【解決手段】ヒト由来でαヘリックス構造を有するカチオン性ポリペプチド、好ましくは配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを有効成分とする植物病原生物防除剤。これを植物病原生物が存在する環境下へ導入する植物病原生物防除方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドの1種又は2種以上を有効成分として含むことを特徴とする植物病害生物防除剤。 【請求項2】 前記ポリペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、あるいは、配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が置換,欠失又は付加されたアミノ酸配列を有すると共に植物病害生物防除作用を有するポリペプチドであることを特徴とする請求項1に記載の植物病害生物防除剤。 【請求項3】 配列番号2に示す塩基配列を有するDNAを導入し、又は配列番号2に示す塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有すると共に植物病害生物防除作用を有するポリペプチドをコードするDNAを導入して形質転換したことを特徴とする形質転換植物。 【請求項4】 ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドを、植物病害生物の生存する環境中に導入することを特徴とする植物病害生物防除法。 【請求項5】 前記植物病害生物防除法が、請求項1又は請求項2に記載の植物病害生物防除剤の前記環境中への投与、又は請求項3に記載の形質転換植物の前記環境下での栽培によって行われることを特徴とする請求項4に記載の植物病害生物防除法。 【請求項6】 前記植物病害生物が昆虫又は微生物であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の植物病害生物防除法。 【請求項7】 前記微生物が糸状菌であることを特徴とする請求項6に記載の植物病害生物防除法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドを有効成分として利用する植物病害生物防除剤、形質転換植物及び植物病害生物防除法に関する。 【0002】 【従来の技術】従前より、細菌,糸状菌,線虫等の植物病害生物による農作物の被害が問題となっている。植物病害生物の防除法としては、従来、(A)有機系化学農薬を利用する化学的防除法、(B)拮抗微生物を利用する生物的防除法、(C)病害生物に対して抵抗性のある抵抗性品種を用いる防除法、等が行われている。 【0003】上記(A)の従来技術は非常に多種多様であるが、例えば、イネいもち病に対するカスガマイシン塩酸塩等の利用、イネ紋枯病等に対するバリダマイシンAやフルトラニル等の利用を例示することができる。上記(B)の従来技術として、例えばシュードモナス属細菌の使用によるイネ苗立枯病の防除(特開平4−104783号)や、同様な方法によるナス科植物の青枯病の防除(特開平6−9325号)等を例示できる。上記(C)の従来技術として、双翅目昆虫由来の抗細菌性ペプチドを導入して病原性糸状菌への耐性を持たせたタバコ(特開平7−250658号)や、セクロピン遺伝子を導入した腐敗病抵抗性レタス(特開平11−313680号)等を例示できる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(A)の方法では、有機系化学農薬の過剰な使用により農薬の食品中への残留や水質汚濁等の環境汚染を招来したり、抵抗性病原体の出現又は優占化を促すこと等が懸念される。これらの有機系化学農薬をポストハーベスト農薬として利用した場合には、食品中への残留の懸念が一層強い。上記(B)の方法では、拮抗微生物の使用方法、施用時期、土壌条件等によって効果が一定しない場合が多い。又、拮抗微生物を一定の区域内のみに維持させておくことは困難である。上記(C)の方法では、抗細菌性ペプチド等の人体に対する安全性が懸念される。 【0005】そこで本発明は、上記(A)〜(C)の従来技術に見られるような、抵抗性病原体の出現,使用条件の制約等の不具合がなく、しかも特に人体に対する安全性が確保された植物病害生物防除剤、形質転換植物及び植物病害生物防除法を提供することを、解決すべき課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】(第1発明の構成)上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドの1種又は2種以上を有効成分として含む植物病害生物防除剤である。 【0007】(第2発明の構成)上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係るポリペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、あるいは、配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が置換,欠失又は付加されたアミノ酸配列を有すると共に植物病害生物防除作用を有するポリペプチドである、植物病害生物防除剤である。 【0008】(第3発明の構成)上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、配列番号2に示す塩基配列を有するDNAを導入し、又は配列番号2に示す塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有すると共に植物病害生物防除作用を有するポリペプチドをコードするDNAを導入して形質転換した、形質転換植物である。 【0009】(第4発明の構成)上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドを、植物病害生物の生存する環境中に導入する、植物病害生物防除法である。 【0010】(第5発明の構成)上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第4発明に係る植物病害生物防除法が、前記第1発明又は第2発明に係る植物病害生物防除剤の前記環境中への投与、又は前記第3発明に係る形質転換植物の前記環境下での栽培によって行われる、植物病害生物防除法である。 【0011】(第6発明の構成)上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第4発明又は第5発明に係る植物病害生物が昆虫又は微生物である、植物病害生物防除法である。 【0012】(第7発明の構成)上記課題を解決するための本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成は、前記第6発明に係る微生物が糸状菌である、植物病害生物防除法である。 【0013】 【発明の作用・効果】(第1発明の作用・効果)第1発明に係る植物病害生物防除剤の有効成分は、α−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドである。一般的に、α−ヘリックス構造を持つポリペプチドは、特にカチオン性である場合に抗菌作用を持ち、植物病害生物の防除にも有効である。 【0014】α−ヘリックス構造自体は一般的なタンパク質の高次立体構造と比較して自然環境中の紫外線照射,温度変化,pH変化等に対して安定であるため、α−ヘリックス構造を抗菌性の主な根拠とするポリペプチドは自然環境中への施用状態において植物病害生物防除を安定的に維持することができる。 【0015】上記ポリペプチドはヒト由来であるため、人体に対する安全性が確保されている。本願発明者は、α−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドが植物病害生物防除剤として使用された従来例を知らず、ましてヒト由来のポリペプチドをかかる用途に用いた例は見聞していない。 【0016】第1発明は、植物病害生物防除作用を有するヒト由来のカチオン性ポリペプチドを見出した点、該ポリペプチドがα−ヘリックス構造を作用の根拠とすることにより、自然環境への導入においても安定であることを見出した点において、優れた産業上の利用価値を有する。 【0017】(第2発明の作用・効果)第2発明によって、第1発明に係るポリペプチドの具体的な実施形態例が提供される。配列番号1に示すアミノ酸配列自体は、ヒト由来のより大きなペプチドフラグメンント(RNIP)の一部を構成するものとして、特表平8−504085号公報によって公知である。 【0018】同公報によれば、RNIP自体の抗菌活性は認めているものの、配列番号1に示すアミノ酸配列に係るポリペプチドの抗菌活性についてはやや否定的であり、かつ、該ポリペプチドがα−ヘリックス構造を有することの指摘、農作物等の植物病害生物防除用途への利用の可能性、糸状菌に起因する植物病害に対する有効性等については、指摘もしくは示唆を一切していない。 【0019】(第3発明の作用・効果)第3発明は、特定塩基配列を有するDNAを農作物等の植物に導入して、植物病害防除作用を有するポリペプチドを発現させ、病害生物に対して抵抗性を持たせた形質転換植物である。上記DNAは、実質的に第1発明又は第2発明に係るポリペプチドをコードするDNAであるため、発現されるヒト由来のポリペプチドは人体に対する安全性が確保されている。 【0020】(第4発明の作用・効果)第4発明のように、ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドを植物病害生物の生存する環境中に導入することにより、抵抗性病原体の出現,使用条件の制約等の不具合がなく、しかも特に人体に対する安全性が確保された植物病害生物防除法を提供することができる。 【0021】(第5発明の作用・効果)前記第4発明の植物病害生物防除法の代表的なものとして、植物病害生物の生存する環境に対して第1発明又は第2発明に係る植物病害生物防除剤を投与すること、又は上記環境下で第3発明に係る形質転換植物を栽培すること、を挙げることができる。 【0022】(第6発明の作用・効果)第4発明又は第5発明において防除の対象となる植物病害生物の代表的な例として、昆虫又は微生物を挙げることができる。 【0023】(第7発明の作用・効果)第6発明において防除の対象とされる微生物中、とりわけ糸状菌が好ましく例示される。 【0024】 【発明の実施の形態】次に、第1発明〜第7発明の実施の形態について述べる。以下において、単に「本発明」と言う時は、第1発明〜第7発明を一括して指している。 【0025】〔ポリペプチド〕本発明に係るポリペプチドはヒト由来のものであり、かつ、α−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドである。 【0026】ポリペプチドは、上記の条件に該当する限りにおいて限定されないが、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドが、特に好ましい。配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が置換,欠失又は付加されたアミノ酸配列を有すると共に植物病害生物防除作用を有するポリペプチドも、特に好ましい。 【0027】上記において、1又は2以上のアミノ酸が置換,欠失又は付加されたポリペプチドは、■アミノ酸の置換,欠失又は付加によってもポリペプチドの植物病害生物防除作用が維持されるものであり、又は、■アミノ酸の置換,欠失又は付加によってもポリペプチドのα−ヘリックス構造とカチオン性が維持されるものである限りにおいて、本発明に含まれる。 【0028】これらのポリペプチドは、遺伝子工学的手段によって製造することもできるが、化学的に合成することもできる。遺伝子工学的手段による製造においては、微生物等の宿主を利用して発現させたものを適宜な手段で回収して利用する場合と、後述のように病害生物防除が求められる植物体を形質転換して、その細胞内にポリペプチドを直接的に発現させる場合とがある。 【0029】〔植物病害生物防除剤〕本発明に係る植物病害生物防除剤は、上記ポリペプチドの1種又は2種以上を有効成分として含むものである。 【0030】植物病害生物防除剤は、上記ポリペプチドの1種又は2種以上のみからなる場合もある。しかし、通常は、上記ポリペプチドの1種又は2種以上を主剤とし、これに賦形剤,結合剤,崩壊剤,コーティング剤,潤滑剤,安定剤,溶解補助剤,増量剤,希釈剤等の常用される各種補助剤を任意に添加したものである。植物病害生物防除剤は例えば粉剤,粒剤,溶液剤,エマルジョン剤,遅効性の固型剤又はカプセル剤等の任意の剤型において提供することができる。 【0031】液剤においては、液媒として緩衝液を使用することも有効である。又、植物病害生物防除剤は単味製剤として使用することも、他種の植物病害生物防除剤又はその他目的の薬剤との合剤として使用することもできる。 【0032】〔DNA〕本発明に係るDNAは、実質的に上記各種のポリペプチドをコードする塩基配列を有する構造遺伝子であり、目的とする農作物等の植物を形質転換して植物病害抵抗性とするために利用される。 【0033】DNAは、上記の条件に該当する限りにおいて限定されないが、配列番号2に示す塩基配列を有するDNAが、特に好ましい。配列番号2に示す塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有すると共に、植物病害生物防除作用を有するポリペプチドをコードするDNAも、特に好ましい。 【0034】上記において、配列番号2に示す塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとして、配列番号2に示す塩基配列に対して70%以上、より好ましくは90%以上の相同性を有することが好ましい。 【0035】〔形質転換植物〕形質転換植物の種類は限定されないが、より好ましくは単子葉植物又は双子葉植物であり、更に好ましくは単子葉植物又は双子葉植物である農業作物であり、一層好ましくはイネ,コムギ,ダイズ,トウモロコシ,オオムギ,サツマイモ又はジャガイモである。 【0036】これらの植物の形質転換は、常法に従い、上記DNAを植物用に適した適宜な発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを目的の植物細胞に導入して植物体に成長させることにより行うことができる。植物細胞への発現ベクターの導入には、エレクトロポレーション法,マイクロインジェクション法,パーティクルガン法等を任意に採用できる。 【0037】〔植物病害生物防除法〕本発明に係る植物病害生物防除法は、ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドを、植物病害生物の生存する環境中に導入することにより行われる。「植物病害生物の生存する環境」とは、代表的にはイネを栽培する水田や各種農業作物を栽培する畑等を言うが、これらに限定されず、例えば水耕栽培場,家庭菜園,山林等の、上記ポリペプチドの施用が有益である全ての環境を限定なく含む。 【0038】上記「導入」の形態は限定されない。しかし、特に代表的な導入形態が、上記植物病害生物防除剤の前記環境中への投与、及び/又は、上記形質転換植物の前記環境下での栽培である。 【0039】植物病害生物防除剤の前記環境中への投与形態は任意であり、この種の剤の植物又は環境に対する各種の施用形態を任意に採用することができる。例えば土壌や植物体への散布や噴霧、植物体への塗布、収穫した作物に対するポストハーベスト剤としての各種の施用形態を例示することができる。更に、前記のように微生物等の宿主を利用して発現させた上記ポリペプチドを宿主微生物ごと環境中へ投与することもできる。 【0040】〔植物病害生物〕植物病害生物の種類は、その防除が有益であり、かつ、本発明に係るポリペプチドによって有効に防除され得るものである限りにおいて、限定されない。しかし、代表的なものとして、有害昆虫又は有害微生物を例示することができる。これらの特に好ましくは、前記有害微生物中の糸状菌を例示することができる。更に好ましくは、前記有害微生物中のイネいもち病菌,サツマイモ黒斑病菌,サツマイモ軟腐病菌,ダイズ斑点細菌病菌,ジャガイモ疫病菌,トウモロコシごま葉枯病菌又はコムギうどんこ病菌を例示することができる。 【0041】以上の植物病害生物には、栽培中の作物に対して病害を及ぼす生物が含まれるのは言うまでもないが、例えば上記サツマイモ軟腐病菌のように、収穫後の作物に対して腐敗その他の病害を及ぼす生物も限定なく含まれる。 【0042】 【発明の好ましい実施態様】本発明は以下の実施態様において好ましく実施することができる。なお、以下の実施態様において、「上記」とは、先行する番号に係る実施態様の全てを択一的に指している。 【0043】1)ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドを有効成分として含む植物病害生物防除剤。 【0044】2)上記ポリペプチドのみからなる植物病害生物防除剤。 【0045】3)上記ポリペプチドを主剤とし、これに賦形剤,結合剤,崩壊剤,コーティング剤,潤滑剤,安定剤,溶解補助剤,増量剤,希釈剤等の常用される各種補助剤を任意に添加した植物病害生物防除剤。 【0046】4)上記植物病害生物防除剤が粉剤,粒剤,溶液剤,エマルジョン剤,遅効性の固型剤又はカプセル剤である。 【0047】5)上記植物病害生物防除剤が液剤である場合において、液媒として緩衝液を使用している。 【0048】6)上記ポリペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドである。 【0049】7)上記ポリペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が置換,欠失又は付加されたアミノ酸配列を有すると共に植物病害生物防除作用を有するポリペプチドである。 【0050】8)配列番号2に示す塩基配列を有するDNAを導入して形質転換した形質転換植物。 【0051】9)配列番号2に示す塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有すると共に植物病害生物防除作用を有するポリペプチドをコードするDNAを導入して形質転換した形質転換植物。 【0052】10)ヒト由来でα−ヘリックス構造を持つカチオン性のポリペプチドを、植物病害生物の生存する環境中に導入する植物病害生物防除法。 【0053】11)上記植物病害生物防除法が、上記植物病害生物防除剤の環境中への投与によって行われる。 【0054】12)上記植物病害生物防除剤の環境中への投与が、土壌や植物体への散布や噴霧、植物体への塗布、収穫した作物に対するポストハーベスト剤としての施用である。 【0055】13)上記植物病害生物防除法が、上記形質転換植物の前記環境下での栽培によって行われる。 【0056】14)上記植物病害生物防除法が、微生物等の宿主を利用して発現させた上記ポリペプチドを宿主微生物ごと環境中へ投与することによって行われる。 【0057】15)上記植物病害生物の生存する環境が、イネを栽培する水田、各種農業作物を栽培する畑、水耕栽培場、家庭菜園又は山林である。 【0058】16)上記植物病害生物が有害昆虫又は有害微生物である。 【0059】17)上記有害微生物が糸状菌である。 【0060】18)上記有害微生物が、イネいもち病菌,サツマイモ黒斑病菌,ダイズ斑点細菌病菌,ジャガイモ疫病菌,トウモロコシごま葉枯病菌又はコムギうどんこ病菌である。 【0061】 【実施例】次に本発明の実施例を説明する。以下の各実施例において、「PP溶液」とは、植物病害生物防除剤であって、配列番号1に示すポリペプチドを化学合成し、水に溶解させたものである。 【0062】(実施例1)イネいもち病菌( Pyricularia oryzae race 007.0)をオートミール寒天培地で26°C、14日間培養した後、昼白色蛍光灯照射下で3日間培養した。培地上の分生胞子を0.01% Tween20溶液で回収し、遠心分離した後、この分生胞子をPDB培地( DIFCO)で懸濁して、分生胞子個体数104 /mlの懸濁液を調製した。 【0063】96穴マイクロプレートに、PP溶液10μl,滅菌水20μl,200mMリン酸Na緩衝液(pH7)10μl及び前記分生胞子懸濁液60μlを入れた培養試験液を調製し、28°Cで培養した。そして30分後の吸光度( O.D.415)Aと同48時間後の吸光度Bを測定した。対照として、PP溶液を入れなかった同上の培養試験液についても同様の30分後の吸光度Cと、同48時間後の吸光度Dを測定した。そして下記の式(1)により発育阻害率(%)を算出した。そして100%の発育阻害率を示す最小発育阻止濃度(培養試験液中のポリペプチド濃度)を求めた処、100μg/mlであった。 【0064】 発育阻害率(%)=〔1−(( B-A)/( D-C) )〕×100・・・式(1)。 【0065】PP溶液無添加の培地と、PP溶液を100μg/ml添加した培地とにおける分生胞子発芽状況の顕微鏡による対比観察を行った。前者の顕微鏡写真を図1に、後者の顕微鏡写真を図2に示す。図1では分生胞子が発芽し、発芽管の伸長が顕著に認められるが、図2では分生胞子の発芽が全く認められない。 【0066】(実施例2)サツマイモ黒斑病菌(Ceratocystis fimbriata)をデキストロース寒天培地で26°C、14日間培養した後、実施例1と同様のプロセスにより分生胞子個体数104 /mlの懸濁液を調製した。 【0067】96穴マイクロプレートに各種濃度のPP溶液10μl,滅菌水20μl,200mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸Na緩衝液(pH6)10μl及び前記分生胞子懸濁液60μlを入れ、28°Cで培養した。その後は実施例1と同様のプロセスにより最小発育阻止濃度を求めた処、100μg/mlであった。 【0068】(実施例3)ダイズ斑点細菌病菌( Pseudomonas syringae pv. glycinea)を日水製薬社製のNB培地で26°C、1晩培養した後、遠心分離し、この菌体をNB培地で懸濁して、菌体数105 /mlの懸濁液を調製した。 【0069】96穴マイクロプレートに、PP溶液10μl,200mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸Na緩衝液(pH5)10μl及び前記菌体懸濁液80μlを入れ、26°Cで培養した。その後は実施例1と同様のプロセスにより最小発育阻止濃度を求めた処、100μg/mlであった。 【0070】(実施例4)ジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans)をPDA培地( DIFCO)で20°C、14日間培養した後、実施例1と同様にして分生胞子個体数104 /mlの懸濁液を調製した。 【0071】96穴マイクロプレートに、PP溶液10μl,滅菌水20μl,200mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸Na緩衝液(pH6)10μl及び前記菌体懸濁液60μlを入れ、20°Cで培養した。その後は実施例1と同様のプロセスにより最小発育阻止濃度を求めた処、100μg/mlであった。 【0072】(実施例5)トウモロコシごま葉枯病菌( Cochliobolus heterostrophus)をPDA培地(DIFCO)で20°C、14日間培養した後、実施例1と同様にして分生胞子個体数104 /mlの懸濁液を調製した。 【0073】96穴マイクロプレートに、PP溶液10μl,滅菌水20μl,200mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸Na緩衝液(pH5)10μl及び前記菌体懸濁液60μlを入れ、20°Cで培養した。その後は実施例1と同様のプロセスにより最小発育阻止濃度を求めた処、100μg/mlであった。 【0074】(実施例6)コムギうどんこ病菌( Erysiphe graminis f.sp. tritici)をPDA培地( DIFCO)で26°C、14日間培養した後、実施例1と同様にして分生胞子個体数104 /mlの懸濁液を調製した。 【0075】96穴マイクロプレートに、PP溶液10μl,滅菌水20μl,200mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸Na緩衝液(pH6)10μl及び前記菌体懸濁液60μlを入れ、26°Cで培養した。その後は実施例1と同様のプロセスにより最小発育阻止濃度を求めた処、100μg/mlであった。 【0076】(実施例7)実施例1と同様にしてイネいもち病菌を培養し、分生胞子個体数104 /mlの懸濁液を調製した。 【0077】96穴マイクロプレートに、PP溶液(1000μg/ml)10μl,滅菌水20μl,pH4〜9にわたる各種pHの緩衝液10μl及び前記菌体懸濁液60μlを入れ、28°Cで培養して、各pHにおける発育阻害率を実施例1と同様にして求めた。結果を図3に示すが、植物病害生物防除剤のpHを緩衝液により適正に調整すると、糸状菌の発育阻害効果を最大限に発揮させ得ることが分かる。 【0078】(実施例8)実施例1と同様にしてイネいもち病菌を培養し、分生胞子個体数106 /mlの懸濁液を調製した。 【0079】湛水下でポット栽培した5葉期のイネ(品種はコシヒカリ)に、pH7.2のリン酸緩衝液を溶媒とするPP溶液(100μg/ml)1mlを茎葉散布した。風乾後、上記分生胞子懸濁液を1ポット当たり1ml噴霧接種した。接種後に20°Cで多湿な条件下に1週間置き、1葉当たりの平均病斑数Cを調査した。対照としての無処理の5葉期のイネについても、平均病斑数Dを調査した。そして下記の式(2)により防除価(%)を求めた処、95%であった。 【0080】 防除価(%)=〔1−(C/D)〕×100・・・式(2)。 【0081】(実施例9)カイコ由来の昆虫細胞sf9( Spodoptera frugiperda)を Excell400培地(Biosciences社)で27°C、3日間培養し、細胞数5×104 /mlの懸濁液を調製した。 【0082】96穴マイクロプレートにPP溶液10μl,滅菌水20μl及び前記懸濁液80μlを入れ、27°Cで3日間培養した。次にXTT標準混合液( Roche社製)を添加し、27°Cで2時間培養した後、吸光度( O.D.490-655)Eを測定した。対照として、上記においてPP溶液を入れなかった場合の同様の吸光度Fも測定し、下記の式(3)により生存率(%)を求めると共に、生存率が0%となるポリペプチド濃度を求めた処、100μg/mlであった。 【0083】 生存率(%)=〔(F−E)/F〕×100・・・式(3)。 【配列表】 SEQUENCE LISTING<110> KABUSHIKI KAISHA TOYOTA CHUO KENKYUSHO<120> 植物病害生物防除剤、形質転換植物及び植物病害生物防除法<130> POK-01-030<160> 2<210> 1<211> 37<212> PRT<213> Homo sapiense sapiense<400> 1Leu Leu Gly Asp Phe Phe Arg Lys Ser Lys Glu Lys Ile Gly Lys Glu 16Phe Lys Arg Ile Val Gln Arg Ile Lys Asp Phe Leu Arg Asn Leu Val 32Pro Arg Thr Glu Ser 37<210> 2<211> 111<212> DNA<213> Homo sapiense sapiense<400> 2ctgctgggtg atttcttccg gaaatctaaa gagaagattg gcaaagagtt taaaagaatt 60gtccagagaa tcaaggattt tttgcggaat cttgtaccca ggacagagtc c 111 |
| 【出願人】 |
【識別番号】000003609 【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
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| 【出願日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097733 【弁理士】 【氏名又は名称】北川 治
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| 【公開番号】 |
特開2002−87906(P2002−87906A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月27日(2002.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−192256(P2001−192256) |
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