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【発明の名称】 遺体用鼻孔栓の装着具と遺体用鼻孔栓
【発明者】 【氏名】石川 利孝

【氏名】有馬 元信

【氏名】上井 勝

【要約】 【課題】遺体の鼻孔から体液が漏出するのを防止する。

【解決手段】内部にシーリング剤15が入っていて遺体の鼻孔内に詰め込まれる遺体用鼻孔栓2と、遺体用鼻孔栓2を保持するホルダ1と、ホルダ1から遺体用鼻孔栓2を抜き外して遺体の鼻孔内に詰め込むために、ホルダ1に備えた操作部材3とからなる。操作部材3でホルダ1から遺体用鼻孔栓2を抜き外す際に、遺体用鼻孔栓2の先端に設けた送出口10から前記シーリング剤15が遺体の鼻孔内に押し出されるようにしてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部にシーリング剤15が入っていて遺体の鼻孔P内に詰め込まれる遺体用鼻孔栓2と、遺体用鼻孔栓2を保持するホルダ1と、ホルダ1から遺体用鼻孔栓2を抜き外して遺体の鼻孔P内に詰め込むために、ホルダ1に備えた操作部材3とを含み、操作部材3でホルダ1から遺体用鼻孔栓2を抜き外す際に、遺体用鼻孔栓2の先端に設けた送出口10から前記シーリング剤15が遺体の鼻孔P内に押し出されるようにしたことを特徴とする遺体用鼻孔栓の装着具。
【請求項2】 前面が開口する筒壁部6を有するホルダ1と、ホルダ1の筒壁部6内に嵌合装着される中空容器状の遺体用鼻孔栓2と、ホルダ1から遺体用鼻孔栓2を抜き外して遺体の鼻孔P内に詰め込むための操作部材3とからなり、遺体用鼻孔栓2は、ホルダ1の筒壁部6にスライド自在に内嵌するシリンダ筒9を含み、このシリンダ筒9の前端に、中空内部に通じる送出口10を有し、遺体用鼻孔栓2の中空内部に、シーリング剤15が入った状態で送出口10を閉じるシール手段を有し、遺体用鼻孔栓2の中空内部に、外周がシリンダ筒9に摺接するピストン13が前後動自在に設けられており、操作部材3は、ホルダ1に対して前後動自在に支持された連接棒21と、連接棒21の後端側にあって連接棒21を前方に向けて押し動かすための操作部22と、連接棒21の動きに伴って遺体用鼻孔栓2を後ろから前方に押すよう作用する押当部23とを含み、操作部22を介して連接棒21を前方に押し動かすと、連接棒21の前端がピストン13を直接にまたは間接的に押し動かして送出口10のシール手段を開放することにより、送出口10からシーリング剤15を遺体の鼻孔内に押し出しながら、押当部23で遺体用鼻孔栓2をホルダ1の前方外側に抜き出して遺体の鼻孔P内に詰め込めるようになっている遺体用鼻孔栓の装着具。
【請求項3】 シーリング剤15が、体液と反応して凝固する液体である請求項1または2記載の遺体用鼻孔栓の装着具。
【請求項4】 不使用時に、ホルダ1に対して操作部材3が前方に押し動かされるのを規制する手段を備えている請求項1または2記載の遺体用鼻孔栓の装着具。
【請求項5】 シーリング剤50が入る筒状の栓体51の内部に、栓体51の前端に設けた送出口57からシーリング剤50を前方外側に押し出すピストン52が前後摺動自在に設けられており、栓体51に、ピストン52を押す連接棒63と連接棒63の後端に設けた操作部65とからなる操作部材53が、前後動自在に付設されていることを特徴とする遺体用鼻孔栓。
【請求項6】 ピストン52から前方に延びるロッド61の先端部62が、送出口57にこれの前方へは抜け出し可能に嵌合することにより、ロッド61の先端部62で送出口57が閉じられている請求項5記載の遺体用鼻孔栓。
【請求項7】 ピストン52の後面に連接棒63の前端が連結されており、連接棒63の後端に栓体51の後面を塞ぐ板状の操作部65が設けられている請求項5または6記載の遺体用鼻孔栓。
【請求項8】 操作部65の後面に綿花66が付設されている請求項7記載の遺体用鼻孔栓。
【請求項9】 シーリング剤50が、体液と反応して凝固する液体である請求項5記載の遺体用鼻孔栓。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺体の鼻孔から体液が外部に漏出するのを防止する使い捨て用の遺体用鼻孔栓と、その装着具に関する。
【0002】
【従来の技術】遺体の処理のひとつに、遺体の鼻孔に詰め物をする作業がある。その鼻孔から体液などが漏出すると、作業者が結核や肝炎などのウイルスに感染するおそれがあるので、この観点からも防止対策を講じる必要がある。また、遺体の鼻孔から流出した体液によって遺体の顔面が汚れると、死者の尊厳を傷つける。このため、従来は広く遺体の鼻孔に綿花などの詰め物をしていたが、これでは不十分であった。
【0003】その対策として、遺体の鼻孔から咽喉部にチューブを挿入して、ポンプなどを使って咽喉部に高吸水性ポリマーなどのシーリング剤を注入することが試みられている(文献不詳)。これによれば、シーリング剤が、体液を吸収するとともに咽喉部を塞ぎ、遺体の鼻孔などからの体液の流出を阻止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかるシーリング剤注入方式を採る従来例によれば、感染防止対策には有効である。問題は、咽喉部を完全に塞いで鼻孔からの体液の流出を阻止しようとすると、多量のシーリング剤を要する点と、遺体の鼻孔から咽喉部にチューブを挿入する作業が熟練を要して面倒な点にある。病院内の死後処理に際しては、使用済みのチューブなどがウイルス感染の源になるので、感染性医療廃棄物として廃棄処理をしなければならない点にも問題があった。
【0005】そこで本発明の目的は、極く少量のシーリング剤の使用で済み、不慣れな者でも遺体の鼻孔内に手際よく遺体用鼻孔栓が詰め込めるようにすることにある。本発明の他の目的は、使用時のウイルス感染のおそれを無くすことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明に係る遺体用鼻孔栓の装着具Aは、図1ないし図4に示すごとく内部にシーリング剤15が入っていて遺体の鼻孔P内に詰め込まれる遺体用鼻孔栓2と、遺体用鼻孔栓2を保持するホルダ1と、ホルダ1から遺体用鼻孔栓2を抜き外して遺体の鼻孔P内に詰め込むために、ホルダ1に備えた操作部材3とを含み、操作部材3でホルダ1から遺体用鼻孔栓2を抜き外す際に、遺体用鼻孔栓2の先端に設けた送出口10から前記シーリング剤15が遺体の鼻孔P内に押し出されるようにしたものである。
【0007】請求項2記載の本発明に係る遺体用鼻孔栓の装着具Aは、前面が開口する筒壁部6を有するホルダ1と、ホルダ1の筒壁部6内に嵌合装着される中空容器状の遺体用鼻孔栓2と、ホルダ1から遺体用鼻孔栓2を抜き外して遺体の鼻孔P内に詰め込むための操作部材3とからなる。遺体用鼻孔栓2は、ホルダ1の筒壁部6にスライド自在に内嵌するシリンダ筒9を含み、このシリンダ筒9の前端に、中空内部に通じる送出口10を有する。遺体用鼻孔栓2の中空内部には、シーリング剤15が入った状態で送出口10を閉じるシール手段を有する。遺体用鼻孔栓2の中空内部には、外周がシリンダ筒9に摺接するピストン13が前後動自在に設けられている。操作部材3は、ホルダ1に対して前後動自在に支持された連接棒21と、連接棒21の後端側にあって連接棒21を前方に向けて押し動かすための操作部22と、連接棒21の動きに伴って遺体用鼻孔栓2を後ろから前方に押すよう作用する押当部23とを含む。操作部22を介して連接棒21を前方に押し動かすと、連接棒21の前端がピストン13を直接にまたは間接的に押し動かして送出口10のシール手段を開放することにより、送出口10からシーリング剤15を遺体の鼻孔P内に押し出しながら、押当部23で遺体用鼻孔栓2をホルダ1の前方外側に抜き出して遺体の鼻孔P内に詰め込めるようになっている。
【0008】請求項3記載の本発明に係る遺体用鼻孔栓の装着具Aは、先の請求項1または2記載のシーリング剤15が、体液と反応して凝固する液体を用いたものとなっている。このシーリング剤15は、ゲル状を呈していて外気に触れると直ちに凝固するものでもよい。
【0009】請求項4記載の本発明に係る遺体用鼻孔栓の装着具Aは、先の請求項1または2記載の要件に加えて、不使用時に、ホルダ1に対して操作部材3が前方に押し動かされるのを規制する手段を備えている。その規制手段としては、図1に示す安全リング25や図5に示す安全キャップ31の類を挙げることができる。
【0010】請求項5記載の本発明に係る遺体用鼻孔栓Bは、図6および図7に示すごとくシーリング剤50が入る筒状の栓体51の内部に、栓体51の前端に設けた送出口57からシーリング剤50を前方外側に押し出すピストン52が前後摺動自在に設けられており、栓体51に、ピストン52を押す連接棒63と連接棒63の後端に設けた操作部65とからなる操作部材53が、前後動自在に付設されていることを特徴とする。不使用時に、送出口57を閉じておくシール手段は、破れやすいシール材を用いるなど任意に選択できる。
【0011】請求項6記載の本発明に係る遺体用鼻孔栓Bは、送出口57のシール手段に関し、先の請求項5記載の要件に加えて、ピストン52から前方に延びるロッド61の先端部62が、送出口57にこれの前方へは抜け出し可能に嵌合することにより、ロッド61の先端部62で送出口57が閉じられるものとなっている。
【0012】請求項7記載の本発明は、先の請求項5または6記載の遺体用鼻孔栓Bにおいて、ピストン52の後面に連接棒63の前端が連結されており、連接棒63の後端に栓体51の後面を塞ぐ板状の操作部65が設けられたものとなっている。
【0013】請求項8記載の本発明は、先の請求項7記載の遺体用鼻孔栓Bにおいて、前記操作部65の後面に綿花66が付設されている。
【0014】請求項9記載の本発明は、先の請求項5に記載の遺体用鼻孔栓Bにおいて、シーリング剤50に、体液と反応して凝固する液体を用いている。
【0015】
【作用】本発明に係る遺体用鼻孔栓の装着具Aについて、これを図1ないし図4に示す第1実施例に基づいて具体的に説明すると、図1に示す使用前の状態において、ホルダ1に装着済みの遺体用鼻孔栓2の内部には、シーリング剤15が入っていて、該栓2の送出口10がシール手段、具体的にはシール材16で閉じられている。ホルダ1に対して操作部材3は、規制手段を構成する安全リング25で不用意に移動操作できない状態下にある。
【0016】使用に際しては、安全リング25を取り外し、ホルダ1の前端を遺体の鼻孔の入口まわりに当て付け、操作部22を介して操作部材3を前方に押し動かすと、図2に示すごとく連接棒21がピストン13を押し、シール手段を解放してシーリング剤15が送出口10から鼻孔内に押し出される。ホルダ1に対して操作部材3を更に押し込むと、図3に示すごとく押当部23が遺体用鼻孔栓2の後端を押して遺体用鼻孔栓2の全体が鼻孔P内に詰め込まれる。その後に、図4に示すごとくホルダ1が遺体用鼻孔栓2から外れて回収され、遺体用鼻孔栓2のみが遺体の鼻孔P内に残る。
【0017】鼻孔P内に遺体用鼻孔栓2を完全に詰め込んだ図4の状態においては、シーリング剤15が鼻孔Pの内奥部に全て吐出されて体液と反応して凝固する。シーリング剤15の凝固で体液が外部に漏出することはなく、遺体用鼻孔栓2の後面が鼻孔P内にあって外部に臨んだ状態となる。上記の詰め込み作業は、病院内の死後処理として行われる場合もあるし、葬儀社の作業員によって行われる場合もある。いずれにせよ、操作部材3を備えたホルダ1は、使用後に廃棄処理されるが、遺体の鼻孔P内に残された遺体用鼻孔栓2は遺体と共に焼却処理される。
【0018】本発明に係る遺体用鼻孔栓Bについて、これを図6および図7に示す第3実施例に基づいて具体的に説明すると、図6に示す使用前の状態では、栓体51の内部にシーリング剤50が入っていて、該栓体51の送出口57がシール手段、具体的にはロッド61の先端部62で閉じられている。栓体51に対して操作部材53は、規制手段、具体的には安全リング69で不用意に移動操作できない状態下にある。
【0019】使用に際しては、安全リング69を取り外し、栓体51の前端を遺体の鼻孔Pの入口に当てがい、操作部65を介して操作部材53を前方に押し動かすと、連接棒63がピストン52を押し、シール手段を解放してシーリング剤50が送出口57から鼻孔内に押し出される。栓体51に対して操作部材53を更に押し込むと、栓体51の全部が鼻孔P内に詰め込まれる。
【0020】鼻孔P内に栓体51を完全に詰め込んだ図7の状態においては、シーリング剤50が鼻孔Pの内奥部に全て吐出されて体液と反応して凝固する。シーリング剤50の凝固で体液が外部に漏出することはなく、操作部65の後面が鼻孔P内にあって外部に臨んだ状態となる。操作部65の後面に綿花66が付設されていると、この綿花66のみが外部から見えるものとなる。上記の詰め込み作業は、病院内の死後処理として行われる場合もあるし、葬儀社の作業員によって行われる場合もある。いずれにせよ、遺体用鼻孔栓Bの全体は、遺体の鼻孔P内に残置されて遺体と共に焼却処理される。
【0021】
【発明の効果】本発明に係る遺体用鼻孔栓の装着具Aによれば、ホルダ1に対して操作部材3を押し込み操作するだけで、ホルダ1に装着の遺体用鼻孔栓2をホルダ1から抜き外して遺体の鼻孔P内にそのまま手軽に詰め込むことができ、作業者は鼻孔P内を含め遺体に触れずとも済み、ウイルス感染に対して安全である。かつ、遺体用鼻孔栓2をホルダ3から抜き外して遺体の鼻孔P内に詰め込む際に、遺体用鼻孔栓2の内部に入っているシーリング剤15が、送出口10を介して遺体用鼻孔栓2の前方であって、鼻孔P内に押し出されるようにしたので、後はシーリング剤15にて鼻孔Pから体液が外部に漏出することを確実に防止できる。
【0022】本発明に係る遺体用鼻孔栓Bによれば、栓体51の前端を遺体の鼻孔Pの入口に押し当てた状態で操作部材53を押し込み操作するだけで、栓体51を鼻孔P内にそのまま手軽に詰め込むことができ、作業者が鼻孔P内を含め遺体に触れずとも済み、ウイルス感染に対して安全である。かつ、操作部材53を押してピストン52を押し動かしながら最終的に栓体51の全部を遺体の鼻孔P内に詰め込む際に、栓体51の内部に入っているシーリング剤50が、送出口57を介して鼻孔P内に押し出されるようにしたので、後はシーリング剤50にて鼻孔Pから体液が外部に漏出することを防止できる。操作部材53の操作部65が栓体51の後面を塞ぐ板状に形成されていて、該操作部65の外側後面に綿花66が付設されていると、遺体の鼻孔P内に栓体51および操作部材53の全体を詰め込んだ状態において、外部からは綿花66のみが見えることになり、外観上は従来の綿花詰め込み方式と何ら変わらないものが得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1実施例) 図1ないし図4は本発明に係る遺体用鼻孔栓の装着具Aの第1実施例を示す。この装着具Aは、ホルダ1と、中空容器状の遺体用鼻孔栓2と、操作部材3とからなる。
【0024】図1においてホルダ1は、前後長さが25mm、直径が18mm程度の大きさの円筒状に形成されたホルダ本体5の前端部の内側に、前面が開口する円形の筒壁部6が一体に成形されたプラスチック成形品である。ホルダ本体5の後端には、これの開口後面を閉じるように別体でプラスチック成形された板状の蓋部材7が接着されており、蓋部材6の中央に貫通孔8を有する。
【0025】ホルダ1の筒壁部6は、前後長さが15mm、内径寸法が11mmに形成されており、この筒壁部6に遺体用鼻孔栓2が嵌合装着される。遺体用鼻孔栓2は、円筒状にプラスチック成形されたシリンダ筒9を含み、このシリンダ筒9の前端が、中空内部に通じる送出口10として開口している。シリンダ筒9の後端には後壁11が一体にプラスチック成形されており、この後壁11の中央に操作孔12が貫通状に設けられている。
【0026】遺体用鼻孔栓2は、シリンダ筒9がホルダ1の筒壁部6にスライド自在に内嵌する状態で装着支持される。ホルダ1の筒壁部6に遺体用鼻孔栓2の全体を内嵌した状態において、シリンダ筒9内にピストン13とシーリング剤15とを入れ、送出口10をシール材16で閉じる。シーリング剤15としては、液体と混合することで凝固する高吸水性ポリマーが使用される。シール材16は、遺体用鼻孔栓2の送出口10の開口周縁と、ホルダ本体5の前端開口周縁とにわたって貼着されており、これにても遺体用鼻孔栓2が筒壁部6から前方外側に向かって不用意に抜け出ないようになっている。
【0027】ピストン13は、これの外周がシリンダ筒9の内周面に密着状態で摺接して前後方向に移動自在であり、遺体用鼻孔栓2の内部にシーリング剤15を封入した状態において、後壁11の内面に接して前記操作孔12を内側から塞いでいる。ピストン13が後退している状態において、ピストン13の中央から前方に向かって延びるロッド17の前端が、シール材16に近接して対向している。ロッド17の前端近くの外周には、突起19が設けられている。
【0028】遺体用鼻孔栓2には、シリンダ筒9の外周面と、操作孔12の部分を除く後壁11の外面とにわたって吸水材20が不離一体に付設されている。吸水材20としては、綿花を選ぶことができる。
【0029】操作部材3は、ホルダ1に対し蓋部材7を介して前後動自在に支持されるプラスチック製の連接棒21を含み、連接棒21の後端に板状の操作部22が、連接棒21の前方寄りの中間部位に押当部23がそれぞれ一体に形成されている。すなわち、連接棒21の押当部23より後方部分が、ホルダ1に一体化された蓋部材7の貫通孔8に前後動自在に挿嵌されており、押当部23が蓋部材7の内面に当たることにより連接棒21の後退限界が規制されている。連接棒21が後退限界まで後方に移動した状態において、連接棒21の前端が、ホルダ1の筒壁部6に装着した遺体用鼻孔栓2内のピストン13の後面中央に操作孔12を介して近接対向ないし接触している。
【0030】不使用状態において、ホルダ1に対し操作部材3が前方に押し動かされるのを規制する手段を有する。この規制手段として、図示例では、円形筒状の安全リング25がホルダ1の後部外側の連接棒21まわりに装着されている。すなわち、安全リング25は円筒状のプラスチック成形品であって周方向の一か所に縦方向の切り溝を入れてあり、蓋部材7の外側後面と操作部22の前面との間に突っ張り状態で装着されている。
【0031】操作部材3は、操作部22を含む連接棒21の後部がホルダ1の後ろ側の外部に臨んでいる。使用に際しては、安全リング25を取り外したのち、ホルダ1を手にしてホルダ本体5の前端を遺体の鼻孔まわりに当てつけ、操作部22を介して連接棒21を前方に押し動かすと、図2に示すごとく連接棒21の前端がピストン13を直接に後ろ側から前方に押し動かす。これでピストン13に繋がるロッド17の先端および突起19がシール材16を突き破り、送出口10からシーリング剤15を遺体の鼻孔内に押し出す。連接棒21を更に前方へ押し込むと、図3に示すごとく遺体の鼻孔内にシーリング剤15を押し出しながら、押当部23が遺体用鼻孔栓2の後壁11に当たって遺体用鼻孔栓2の全体をホルダ1の筒壁部6から外部に抜き出して遺体の鼻孔内にこれを押し拡げる状態で詰め込むことができる。
【0032】図4は遺体の鼻孔P内に遺体用鼻孔栓2を完全に詰め込んだ状態を示しており、押し出されたシーリング剤15が体液との混合で凝固し、凝固したシーリング剤15で鼻孔Pから体液が外部に漏出するのを防止する。遺体用鼻孔栓2の外周に付設の吸水材20は、体液を吸収して体液が外部に漏出するのを補助的に防止するとともに、鼻孔P内から遺体用鼻孔栓2が不用意に抜け出るのを摩擦抵抗で規制する。ホルダ1に対して操作部材3を完全に押し込んだ状態において、ホルダ1から遺体用鼻孔栓2が抜け外れて鼻孔P内に残置されており、分離されたホルダ1は、破れたシール材16が付いたまま操作部材3ごと廃棄処理される。
【0033】上記の死後処理をしたとき、遺体の鼻孔P内に詰められた遺体用鼻孔栓2は、これの後壁11のみが吸水材20を介して外部から認められる。このとき、吸水材20は、綿花の類であれば後壁11の外面を隠して従来どおり鼻孔P内に綿花が詰められた外観状態にする。そして遺体用鼻孔栓2は、遺体と共に焼却処理される。また、死後処理が病院内で行われるときは、操作部材3を含むホルダ1は感染性医療廃棄物として廃棄処理される。
【0034】(第2実施例) 図5は本発明に係る遺体用鼻孔栓の装着具Aに関する第2実施例を示す。この場合のホルダ1は、前後方向に長い円筒状のホルダ本体5の前面が開口しており、ホルダ本体5の前端部分が開口前面側より遺体用鼻孔栓2の内嵌装着を許す筒壁部6になっている。ホルダ本体5の内部には、後端側に支持壁30が設けられており、この支持壁30の中央に貫通孔8を有する。
【0035】遺体用鼻孔栓2は、実質的にみて第1実施例と同様であって、シリンダ筒9がホルダ1の筒壁部6にスライド自在に内嵌する状態で装着支持される。遺体用鼻孔栓2内には、ピストン13とシーリング剤15とを入れ、送出口10がシール材16で閉じられている。但し、筒壁部6とシリンダ筒9とは、凹部32と凸部33とが係脱自在に係合するようになっており、これにてホルダ1に対する遺体用鼻孔栓2の装着状態が仮止めされている。
【0036】操作部材3は、ホルダ1に対して前後動自在に支持されるプラスチック製の連接棒21を含み、連接棒21の後端に板状の操作部22が、連接棒21の中間に押当部23がそれぞれ一体に形成されている。すなわち、連接棒21の押当部23より後方部分が、支持壁30の貫通孔8に前後動自在に挿嵌されており、押当部23が支持壁30の内面に当たることにより連接棒21の後退限界が規制されている。連接棒21が後退限界まで後方に移動した状態において、連接棒21の前端が、ホルダ1の筒壁部6に装着した遺体用鼻孔栓2内のピストン13の後面中央に操作孔12を介して近接対向ないし接触している。
【0037】不使用状態において、ホルダ1に対し操作部材3が前方に押し動かされるのを規制する手段を有する。この規制手段として、第2実施例では、ホルダ本体5の後端に、これの後端面を塞ぐ状態で安全キャップ31が装着されている。
【0038】操作部材3の操作部22は、ホルダ本体5の後端の内側に嵌合している。使用に際しては、安全キャップ31を取り外したのち、ホルダ1を手にしてホルダ本体5の前端の外周鍔部5aを遺体の鼻孔まわりに当てつけ、操作部22を介して連接棒21を前方に押し動かすと、図2と同様に連接棒21の前端がピストン13を直接に後ろ側から前方に押し動かす。これでロッド17の前端がシール材16を突き破り、送出口10からシーリング剤15を遺体の鼻孔内に押し出す。連接棒21を更に前方へ押し込むと、遺体の鼻孔内にシーリング剤15を押し出しながら、押当部23が遺体用鼻孔栓2の後壁11に当たって遺体用鼻孔栓2の全体をホルダ1の筒壁部6から外部に抜き出して遺体の鼻孔内にこれを押し拡げる状態で詰め込むことができる。その他の点は、先の第1実施例と同様である。
【0039】(第3実施例) 図6および図7は、本発明にかかる遺体用鼻孔栓Bの第3実施例を示しており、これはシーリング剤50が入る栓体51と、栓体51内に装着されるピストン52と、操作部材53とからなる。このうち、シーリング剤50には、第1実施例と同様に、体液と反応して直ちに凝固する高吸収性ポリマーを用いる。
【0040】栓体51は、円筒状のシリンダ筒55の前面に前面壁56が一体に形成されて後面が開口するプラスチック成形品であり、前面壁56の中央に送出口57が貫通状に設けられている。シリンダ筒55は外径が約11mm、前後長さが約15mmに設定されており、遺体の鼻孔内にこれを少し押し拡げながら詰め込める大きさとする。
【0041】ピストン52は、円板形のピストン本体59の外周に円環状の摺接鍔60を後ろ向きに連設し、ピストン本体59の中央から前方に向けてロッド61が一体に連設されたプラスチック成形品である。栓体51は硬質の例えばポリプロピレンで成形し、ピストン52は栓体51よりも軟質の例えばポリエチレンで成形し、シリンダ筒55に摺接鍔60が弾性変形して密着しながら摺接しやすいものとなっている。
【0042】栓体51内においてピストン52は、これの摺接鍔60がシリンダ筒55の内周面に密着して前後方向に摺動自在である。栓体51内にシーリング剤50を充満状態で入れたとき、ピストン52はシリンダ筒55の後端に移動していてそのピストン本体59および摺接鍔60でシリンダ筒55の開口後面を蓋しており、この状態において前記ロッド61の先端部62が前記送出口57を密閉状に塞ぎ、これにてシーリング剤50が栓体51内から漏れ出ないようになっている。
【0043】操作部材53は前後方向に延びる連接棒63と、連接棒63の後端に連設した平板状の操作部65とからなるプラスチック成形品であり、操作部65の外側後面に綿花66が付設されている。ピストン本体59の後面中央にボス67を設けてあり、連接棒63の前端を該ボス67に嵌着することにより、ピストン52に操作部材53が連結されている。
【0044】不使用状態において、栓体51に対し操作部材53が前方に押し動かされるのを規制する手段を有する。この規制手段として、第3実施例では、第1実施例と同様の安全リング69が装着されている。
【0045】この第3実施例においても、使用に際しては安全リング69を取り外したのち、栓体51の前端一部を遺体の鼻孔内に入れ、操作部材53の操作部65を押す。これで連接棒63を介してピストン52が前方に押し動かされると同時に、ロッド61の先端部62が送出口57の前方外側に抜け出して該送出口57を開放する。このピストン52の前方移動に伴い、栓体51内のシーリング剤50が送出口57から鼻孔内に押し出される。最終的には、図7に示すごとくピストン本体59が栓体51の前面壁56に突き当たって栓体51の全部が鼻孔P内にこれを拡げる状態で詰め込まれる。このとき、図示例では操作部65がシリンダ筒55の後端に接している。
【0046】遺体用鼻孔栓Bの全体を鼻孔P内に詰め込んだ状態において、操作部65が栓体51の後面側を塞ぎ、外部からは操作部65の外側後面の綿花66のみが見える。遺体用鼻孔栓Bの全体は遺体と共に焼却処理される。シーリング剤50で鼻孔Pから体液が外部に漏出しない点は、第1実施例で説明のとおりである。
【0047】第3実施例において、栓体51の送出口57は、ロッド先端部62を跨ぐ状態でシール材を貼って封止してもよい。ロッド61を省略して送出口57をシール材で塞いでおき、ピストン52を押したときの内圧でシール材を破るようにしてもよく、この点は第1および第2実施例においても同様に採用できる。
【出願人】 【識別番号】500433557
【氏名又は名称】石川 利孝
【識別番号】598082064
【氏名又は名称】株式会社アサヒケミカ
【識別番号】593000502
【氏名又は名称】株式会社タツタ合成工業所
【出願日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【代理人】 【識別番号】100077920
【弁理士】
【氏名又は名称】折寄 武士
【公開番号】 特開2002−87901(P2002−87901A)
【公開日】 平成14年3月27日(2002.3.27)
【出願番号】 特願2000−280863(P2000−280863)