| 【発明の名称】 |
ヒメマルカツオブシムシの誘引剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】今井 利宏
【氏名】前川 道栄
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| 【要約】 |
【課題】ヒメマルカツオブシムシの雌雄両成虫に対して高い効果を有する誘引剤を提供する。
【解決手段】下記の一般式(I) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の一般式(I) 【化1】
(ここで、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アシル基、ジ低級アルコキシアルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアルキル基のいずれかを示す。) で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有するヒメマルカツオブシムシ成虫に対する誘引剤。 【請求項2】 一般式(I)で表される化合物が、一般式(I)においてR1はメチル基又はエチル基を示し、R2はホルミル基、ジメトキシメチル基、メチルカルボニル基、メトキシカルボニル基、アセチルメチル基のいずれかを示す化合物である請求項1記載のヒメマルカツオブシムシ成虫に対する誘引剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、羊毛、皮革、羽毛などの動物性素材やそれらの加工品に対する重要な害虫であるヒメマルカツオブシムシ成虫に対して優れた誘引性を示す誘引剤に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ヒメマルカツオブシムシ(学名:Anthrenus verbasci)は、幼虫がカーペット、衣類などの羊毛製品や羽毛、皮革製品、鰹節や干物などの乾燥動物性食品、動物標本などを食害する重要な家屋害虫である。成虫は年1回、春から初夏にかけて発生するが、体長4 mm程度と小型で目立たないため、発生状況を把握することが難しく、幼虫による深刻な被害が現われ出してから初めてその発生に気づくことが多い。また、成虫は白色に誘引されるため、干してある洗濯物などに付着して室内に取り込まれることで新たな発生源となることも知られている。 【0003】従来この害虫の防除には、一般家庭内においては、衣類を入れる箪笥や押入れに樟脳、ナフタレン、パラジクロルベンゼンといった防虫剤やエンペントリンといった殺虫剤の蒸散製剤の処理が行われている。また、繊維倉庫などでは、スミチオンなどの粉剤散布が行われているが、いずれの場合においても害虫の発生場所が人間の日常生活環境と一致するため、殺虫剤の使用には大きな制約を受けている。このような状況の中、薬剤防除に代わる防除方法のひとつとして、近年、誘引剤の研究が進展しつつある。その成果として、雄成虫を誘引する性フェロモンとして(Z)-5-ウンデセン酸および(E)-5-ウンデセン酸が明らかにされており(Applied Entomology and Zoology誌第20巻354〜356ページ)、これらを誘引剤として利用したトラップがすでに実用化されている。しかしながら、性フェロモンを利用したトラップでは雄のみしか捕獲することができないため、実際に被害の元凶となる雌成虫の発生モニターとしての機能はなく、また、大量捕殺による直接的な防除もほとんど期待できない。そのため、性フェロモンを誘引剤として使用する場合よりも、より効果的なヒメマルカツオブシムシの発生調査や大量捕殺を実現するにあたり、雌雄両性の成虫に対してより強い誘引効果を有する誘引剤の開発が求められていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような背景のもとになされたものであり、その目的とするところは、ヒメマルカツオブシムシの雌雄両成虫に対して高い効果を有する誘引剤を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく、ヒメマルカツオブシムシに対して有効な誘引剤を求め、鋭意研究を行った。これまでヒメマルカツオブシムシの成虫がマーガレットやセリなどの白色の花に強く誘引されることが知られていたが、その誘引作用ににおい物質は関与していないとされていた(日本家屋害虫学会編、家屋害虫辞典)。本発明者らは、各種の花の香気成分などに対するヒメマルカツオブシムシ成虫の誘引効果を洗い直した結果、これまでの知見とは異なり、特定のにおい物質、すなわち、メトキシ基あるいはエトキシ基を有するベンゼン環のp-位に特定の官能基を有する一連の化合物に対して、ヒメマルカツオブシムシの雌雄両性の成虫が強く誘引されることを明らかにし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記の一般式(I) 【0006】 【化2】
【0007】(ここで、ここで、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アシル基、ジ低級アルコキシアルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアルキル基のいずれかを示す。) で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有するヒメマルカツオブシムシ成虫に対する誘引剤である。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の誘引剤の有効成分としては、下記の一般式(I) 【0009】 【化3】
で表される化合物を挙げることができる。 【0010】ここで、R1は低級アルキル基を示す。低級アルキル基とは、炭素数1乃至4個のアルキル基をいい、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。これらの中で好ましくは、メチル基、エチル基を挙げることができる。 【0011】R2は低級アシル基、ジ低級アルコキシアルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアルキル基のいずれかを示す。低級アシル基とは、炭素数1乃至4個のアシル基をいい、具体的にはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などを挙げることができる。これらの中で好ましくは、ホルミル基、アセチル基を挙げることができる。 【0012】ジ低級アルコキシアルキル基とは、炭素数1乃至3個のアルキル基に2つの炭素数1乃至3個のアルコキシ基が結合したものをいい、具体的にはジメトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、メトキシプロポキシメチル基、ジエトキシメチル基、エトキシプロポキシメチル基、ジプロポキシメチル基、ジメトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシプロポキシエチル基、ジエトキシエチル基、エトキシプロポキシエチル基、ジプロポキシエチル基、ジメトキシプロピル基、メトキシエトキシプロピル基、メトキシプロポキシプロピル基、ジエトキシプロピル基、エトキシプロポキシプロピル基、ジプロポキシプロピル基などを挙げることができる。この中で好ましくはジメトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、ジエトキシメチル基を挙げることができ、特に好ましくはジメトキシメチル基を挙げることができる。 【0013】低級アルコキシカルボニル基とは、炭素数2乃至4個のアルコキシカルボニル基をいい、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基などを挙げることができる。この中で好ましくは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基を挙げることができ、特に好ましくはメトキシカルボニル基を挙げることができる。 【0014】低級アシルアルキル基とは、炭素数1乃至3個のアルキル基に炭素数2乃至4個のアシル基が結合したものをいい、具体的にはアセチルメチル基、プロピオニルメチル基、ブチリルメチル基、アセチルエチル基、プロピオニルエチル基、ブチリルエチル基、アセチルプロピル基、プロピオニルプロピル基、ブチリルプロピル基を挙げることができる。この中で好ましくは、アセチルメチル基、アセチルエチル基を挙げることができ、特に好ましくはアセチルメチル基を挙げることができる。 【0015】一般式(I)で表される化合物の具体例としては、p-アニスアルデヒド、p-アニスアルデヒドジメチルアセタール、4-エトキシベンズアルデヒド、4-メトキシアセトフェノン、p-アニス酸メチル、4-メトキシフェニルアセトンを挙げることができる。これらの中でも入手の容易さおよび効果の点から特にp-アニスアルデヒドを好ましい化合物として挙げることができる。 【0016】これらの物質は食品香料あるいは化成品の原材料として容易に入手することができる。上記有効成分はそれぞれ単独で使用することができるが、任意の比率で配合することも可能である。さらに本発明の誘引剤と公知の性フェロモンである(Z)-5-ウンデセン酸および(E)-5-ウンデセン酸を組み合わせることによって、ヒメマルカツオブシムシの雌雄両性の成虫に対してより高い誘引効果を得ることができる。 【0017】本発明に関わる誘引剤の調製は、これらの化合物を用いて通常誘引剤の調製に際して適用されている製剤化技術を利用して行うことができる。例えば、これらの化合物をそのまま、あるいはエーテル・アセトン等の適当な溶媒で希釈した後、適当な担体、例えば、各種合成高分子体・ゴム等に吸着させたり、綿や不織布・紙・繊維などに含浸させたり、さらに適当な高分子材料の成型物に封入して製剤化することができる。有効成分の含有量は使用環境に応じて適宜定めることができるが、通常製剤当たり有効成分量を100〜1000 mg添加することが好ましい。本発明の誘引剤は水盤式、滑落式、粘着式等の任意の形態の捕虫器の誘引源として利用することが可能であるほか、接触毒作用を有するダイアジノン等の殺虫剤を塗布した木片、樹脂片等に含浸させ、誘引捕殺に利用することも可能である。次に実施例を示し、本発明についてさらに具体的に説明する。 【0018】 【実施例】〔実施例1〕p-アニスアルデヒド、p-アニスアルデヒドジメチルアセタール、4-エトキシベンズアルデヒド、4-メトキシアセトフェノンはそれぞれ 1 gをポリエチレン・酢酸ビニル共重合体ペレット4 gに吸着させた後に、p-アニス酸メチルと4-メトキシフェニルアセトンはそれぞれ0.2 gをポリエチレンフィルムで封入した後に、それぞれ網口付きプラスチック瓶に入れて製剤とした。この製剤を8 cm x 20 cm青色粘着式トラップの上部切り込みに装着し、神奈川県横浜市の住宅街の空き地に設置した。トラップは各試験区共に3個ずつ用い、毎日捕虫数を調査した。捕虫データは性フェロモン1 mg製剤による捕虫数を100とした捕虫比で表した。 【0019】 【表1】
【0020】その結果、本発明の誘引剤は(Z)-5-ウンデセン酸と(E)-5-ウンデセン酸を有効成分とする性フェロモン1 mg製剤と比較して、0.3〜2.7倍程度の捕虫効果を示し、さらに捕虫個体中の雌比率が顕著に高いことが明らかになった。 【0021】〔実施例2〕上記のp-アニスアルデヒド 1 g製剤と性フェロモン1 mg製剤を単独あるいは組み合わせて8 cm x 20 cm白色粘着式トラップの上部切り込みに装着し、神奈川県横浜市の住宅街の空き地に設置した。調査は5月11日〜30日まで1〜2日毎に実施した。調査時にトラップ位置のローテーションを行った。 【0022】 【表2】
【0023】その結果、本発明の誘引剤は性フェロモン製剤と組み合わせて利用することによって、雄雌共にそれぞれの誘引剤を単独に利用する場合と比較して顕著に捕虫効果が高まることが明らかになった。 【0024】 【発明の効果】本発明の誘引剤は、ヒメマルカツオブシムシの雌雄両性の成虫に対して強い誘引性を示す。したがって、本発明の誘引剤を単独あるいは性フェロモンと組み合わせて用いることで、性フェロモンを単独で使用する場合よりも、より効果的な発生調査や大量捕殺が可能になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004569 【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月25日(2000.8.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−68905(P2002−68905A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月8日(2002.3.8) |
| 【出願番号】 |
特願2000−256250(P2000−256250) |
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