| 【発明の名称】 |
微生物による雑草防除効果の向上方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】三橋 智子
【氏名】新美 達生
【氏名】高中 一哲
【氏名】江田 貞文
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| 【要約】 |
【課題】除草活性を有する微生物による水田雑草防除を行うに際して、耕種的手段を用いて雑草防除効果を向上させる方法を提供する。
【解決手段】田面水を5cm〜15cmの湛水深に5日以上1ヶ月まで保つことにより、微生物の雑草防除効果を向上させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】除草活性を有する微生物により水田雑草を防除するに際して、田面水を5cm〜15cmの湛水深に保つことを特徴とする雑草防除効果を向上させる方法。 【請求項2】微生物を水田に処理後、田面水を5cm〜15cmの湛水深に5日以上1ヶ月まで保持することを特徴とする、請求項1に記載の方法。 【請求項3】微生物がドレックスレラ・モノセラスである請求項1又は2に記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、作物に対しては病原性を示さずヒエ属(Echinochloasp.)に対してのみ選択的な除草活性を有する糸状菌であるドレックスレラ・モノセラスの雑草防除効果を向上させる方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、有機・減農薬栽培への関心が高まり、生物防除に関する研究が行われている。水田雑草に対しても、特に強害雑草であるノビエを対象とした研究が進んでいる。例として特開平3−219883号公報に記載されているように、水稲に対して病原性を示さずノビエに対しては除草効果を示す糸状菌であるドレックスレラ・モノセラスを含有した水田雑草防除剤が記載されている。しかしながら、製剤型に関わりなく防除効果を向上させる方法に関しては報告されていない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、微生物による水田雑草防除を行う場合に、耕種的な手段を用いて雑草防除効果を向上させる方法を提供するものである。すなわち、本発明の目的は、ドレックスレラ・モノセラスを含む微生物による水田雑草防除効果を、耕種的な手段で向上させることにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、水田雑草の防除が可能な微生物、特に水稲、ダイズなどの作物に病原性を持たずノビエに対して選択的に除草作用を有するドレックスレラ・モノセラスによって水田雑草を防除する場合に、田面水を一定以上の湛水深に保つことにより、その防除効果が飛躍的に向上し、効果の安定が図れることを見出し、本発明を完成した。 【0005】すなわち、本発明は以下の(1)〜(3)とおりである。 (1)除草活性を有する微生物により水田雑草を防除するに際して、田面水を5cm〜15cmの湛水深に保つことを特徴とする雑草防除効果を向上させる方法。 (2)微生物を水田に処理後、田面水を5cm〜15cmの湛水深に5日以上1ヶ月まで保持することを特徴とする、上記(1)に記載の方法。 (3)微生物がドレックスレラ・モノセラスである上記(1)又は(2)に記載の方法。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明において田面水の湛水深は、処理時に雑草の水没部分が多いほど、すなわち湛水深が深いほど防除効果が向上する。この主たる理由として(1)微生物が水中を分散しながら浮遊するため雑草と付着する機会が増加する、また、(2)水分のある条件で感染が促進される、の2点が挙げられる。例えば、ドレックスレラ・モノセラスをノビエ防除に用いる場合、ノビエの葉令が1〜1.5葉期では5cm以上、2葉期以上では7cm以上でノビエが水没するため、防除効果の向上が認められる。しかしながら、極端に湛水深を深くすることは、水稲の生育に影響を及ぼす危険がある。それゆえ除草活性を有する微生物による雑草防除効果を向上させ、水稲が順調に生育する湛水深の範囲は5cm〜15cm、好ましくは6cm〜12cm、特に好ましくは7cm〜10cmである。特に水田のノビエの葉令が1〜1.5葉期では5〜10cm、ノビエの葉令が2葉以上では7〜10cmの湛水深に保持するとよい。 【0007】さらに、除草活性を有する微生物の雑草への感染が成立するまで水深を上記の深さに保つことにより、防除効果が安定する。その期間は、好ましくは微生物処理時以降5日以上1ヶ月まで、特に好ましくは7日以上2週間以内である。雑草防除効果の面からは、湛水深を保つ期間を長くするほど効果の向上が認められるが、水稲生育への影響(稲の徒長、害虫の発生等)を考慮すると処理以降1ヶ月以内、好ましくは2週間以内が適当である。 【0008】本発明に係わる除草活性を有する微生物の好適な例として挙げられるドレックスレラ・モノセラスは、特開平10−179139号公報に記載された、水稲などの作物には病原性を示さず、ノビエに対してのみ選択的に除草作用を有する特徴を有した植物病原性糸状菌である。本発明に係わるドレックスレラ・モノセラスの代表的な菌株として、MH−1901(FERM BP−6091)およびMH−2001(FERM BP−6092)が挙げられる.これらの菌株は上記の寄託番号により、平成9年8月29日から、茨城県つくば市東一丁目1番3号にある通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づいて寄託されている。 【0009】本発明に係わる微生物を雑草防除用組成物として用いるに際しては、培養により得られる該微生物の生菌体をそのまま利用する方法や、微生物を培養した培養液および/またはその濾液を利用する方法が考えられる。また生菌体としては、菌糸や分生子、あるいはその両方を含む菌糸のいずれでも使用することができる。 【0010】本発明に係わる防除活性を有する微生物、培養液又はその濾液は以上述べたとおりそれ自体単独で水田に散布等の処理により施用してよいが、担体、補助剤を加えて雑草防除用組成物の形態で使用することができる。この雑草防除用組成物は通常の農薬に使用可能な製剤型であればよい。具体的には、水和剤、フロアブル剤、粉剤、顆粒水和剤、粒剤、投げ込み剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この雑草防除用組成物は、除草活性を有する微生物以外に除草活性を有する化合物を含有することを妨げない。 【0011】本発明に係わる微生物の施用量は、製剤形態やその処理方法によって異なるが、ドレックスレラ・モノセラスの分生子として1×106−1×1012個/アール、好ましくは1×108−1×1010個/アールである。 【0012】本発明に係わるドレックスレラ・モノセラスを雑草防除に用いる場合に適当な水温は、15〜35℃、好ましくは20〜30℃である。しかし、自然条件下においてこの水温範囲を一時的に逸脱した場合にも防除不可能となるものではない。 【0013】 【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。 実施例15000分の1アールのポットに水田土壌を詰め、ノビエ種子を播種して湛水状態とした。これに予め育苗しておいた水稲苗(2〜3葉期)2本を1株として移植し、ノビエが2.0葉期になるまで生育させた。ノビエ2.0葉期に水深を3、5、10、15、17cmとし、ドレックスレラ・モノセラスMH−1901の分生子1×109個を含む懸濁液を水面に滴下処理した。処理後それぞれの湛水深を保ったまま昼間25℃、夜間15℃のファイトトロン内で栽培した。処理後30日目に残存ノビエ個体を抜き取り、乾燥重を測定し、下記の計算式を用いて無処理区に対する防除率を求めて第1表(表1)に示した。水稲への影響に関しては、処理後30日目の茎数を測定し、生育抑制率を求めた。なお、無処理区の湛水深は3cmとした。
第1表より、本発明に係わる微生物による水田雑草防除において、湛水深を5cm〜15cmに保持することにより、イネの生育に影響を及ぼさず、雑草防除効果が飛躍的に向上することが明らかとなった。 【0014】 【表1】
【0015】実施例25000分の1アールのポットに水田土壌を詰め、ノビエ種子を播種して湛水状態とした後、ノビエが2.0葉期になるまで生育させた。水深を10cmとし、ドレックスレラ・モノセラスMH−1901の分生子1×109個を含む懸濁液を水面に滴下処理した。30日間の試験期間中10cmの湛水深を保ったポットと、処理3日後又は5日後に落水し、3cmの湛水深を保ったポットを昼間25℃、夜間15℃のファイトトロン内で栽培した。処理後30日目に残存ノビエ個体を抜き取り、乾燥重を測定し、実施例1と同様に無処理区に対する防除率を求めて第2表(表2)に示した。なお、無処理区の湛水深は3cmとした。 【0016】 【表2】
【0017】第2表より、本発明に係わる微生物による水田雑草防除において、5cm以上の湛水深を5日以上保持することにより、雑草防除効果が飛躍的に向上することが明らかとなった。 【0018】 【発明の効果】本発明に係わる湛水深と保持期間を利用した場合、除草活性を有する微生物による水田雑草の防除効果が飛躍的に向上し、製剤型に限定されることなく耕種的手段のみで微生物の除草効果の安定を図ることが可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005887 【氏名又は名称】三井化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月25日(2000.7.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−37707(P2002−37707A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月6日(2002.2.6) |
| 【出願番号】 |
特願2000−223221(P2000−223221) |
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