トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 抗菌および抗かび剤並びにその製造方法
【発明者】 【氏名】大河内 正一

【氏名】守吉 佑介

【氏名】高木 周平

【氏名】石原 義正

【要約】 【課題】無機系の利点でもある効果の持続性および熱安定性に加え、従来無機系では難しかった抗かび効果を併せ持つ抗菌および抗かび剤を提供する。

【解決手段】ホウ素およびアルカリ土類金属複酸化物の化学組成式aMO・bB(M:アルカリ土類金属、a/b:0.5〜3の数値)で表される物質、MOおよびBのうち、いずれか単独、または2種類以上を組合せた混合物より成る抗菌および抗かび剤を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ホウ素およびアルカリ土類金属複酸化物の化学組成式aMO・bB(M:アルカリ土類金属、a/b:0.5〜3の数値)で表される物質、MOおよびBのうち、いずれか単独、または2種類以上を組合せた混合物より成ることを特徴とする抗菌および抗かび剤。
【請求項2】ホウ素およびアルカリ土類金属複酸化物の化学組成式aMO・bB(M:アルカリ土類金属、a/b:0.5〜3の数値)で表される物質が、M=Ca、a=1、b=2のCaO・2Bで表される物質である請求項1記載の抗菌および抗かび剤。
【請求項3】ホウ素およびアルカリ土類金属から構成される鉱石を、酸化、中性または還元雰囲気中で焼成することにより生成する抗菌および抗かび剤の製造方法。
【請求項4】ホウ素およびアルカリ土類金属から構成される鉱石が、コレマナイトであり、且つ該コレマナイトを350℃以上で、空気または二酸化炭素雰囲気中で焼成することにより生成する請求項3記載の抗菌および抗かび剤の製造方法。
【請求項5】ホウ酸塩およびアルカリ土類塩のうち、いずれか単独、またはそれらを主成分とする物質を混合して加熱することにより生成する抗菌および抗かび剤の製造方法。
【請求項6】ホウ酸塩およびアルカリ土類塩を主成分とする物質が、ホウ酸と炭酸カルシウムであり、且つ前記ホウ酸と炭酸カルシウムを混合して、350℃以上で加熱することにより生成する請求項5記載の抗菌および抗かび剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然を含めた無機系抗菌および抗かび剤並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の抗菌剤および抗かび剤として、効果の持続性および熱安定性等の観点から無機系のものが注目されてきた。その中で特に最近、広い抗菌スペクトルを有する銀系のものが開発されてきた。本発明者等も天然無機系鉱物の焼成ドロマイトについて、特願平11−235235号でその抗菌効果を明らかにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記各物質は抗菌効果に比較して、実際的に抗かび効果が弱いという課題があった。
【0004】本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであって、無機系の利点でもある効果の持続性および熱安定性に加え、従来無機系では難しかった抗かび効果を併せ持つ抗菌および抗かび剤並びにその製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ホウ素およびアルカリ土類金属複酸化物の化学組成式aMO・bB(M:アルカリ土類金属、a/b:0.5〜3の数値)で表される物質、MOおよびBのうち、いずれか単独、または2種類以上を組合せた混合物より成るという手段、ホウ素およびアルカリ土類金属から構成される鉱石を、酸化、中性または還元雰囲気中で焼成することにより生成するという手段、ホウ酸塩およびアルカリ土類塩のうち、いずれか単独、またはそれらを主成分とする物質を混合して加熱することにより生成するという手段、のいずれかを採用することにより、上記課題を解決した。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明者等は、ホウ素系天然鉱物、好ましくはコレマナイトCa[B(OH)]・HOを所定温度で焼成することにより抗菌および抗かび効果が大となる抗菌および抗かび剤を発明すると共に、その焼成物である焼成コレマナイト(CaO・2B)の製造方法を発明した。更に、その焼成物質のCaをSr等のアルカリ土類金属に変えた関連物質aMO・bBの抗菌性および抗かび性についても確認した。
【0007】先ず、抗菌性については、抗菌対象を土壌微生物を用い、土壌に栄養を与えることにより、土壌微生物が増殖する際に発生する熱を熱量計で解析し、土壌微生物の増殖速度を求める方法を採用した。
【0008】図1は、500℃で焼成したコレマナイトの発熱曲線を示す図である。縦軸は発熱量を起電力で表し、横軸は時間をそれぞれ示す。図から明らかなように、焼成コレマナイトの土壌中濃度が高くなるにつれて発熱が時間的に遅れ、発熱量も減少し、土壌微生物の増殖が抑制された。このことから、500℃で焼成したコレマナイトは抗菌効果を有することが立証された。
【0009】図2は、コレマナイトの焼成温度と最小発育阻止濃度(MIC)の関係を示す図である。コレマナイト自身も僅かであるが抗菌性を有するが、350℃以上の焼成により、明らかに抗菌効果が急激に増加することがわかる。この反応は(1)式のように表される。
【0010】
【化1】

【0011】上記の(1)式の反応で生成されるCaOは、発明者等がすでに特願平11−235235号においてその抗菌性を明らかにしている。そこで、CaOと比較して、重量でその大半の9割以上が同時に生成するCaO・2B 自身の抗菌性を確認する必要がある。そのため、CaO・2Bの合成実験を行った。ホウ酸と炭酸カルシウムをモル比で4対1の割合で秤量・混合し、1000℃以上で1時間加熱した。その反応を(2)式に示す。
【0012】
【化2】

【0013】前記合成した物質をX線解析した結果、CaO・2Bであることが同定できた。そこで、前記と同様の熱量計による抗菌試験を行ったところ、合成したCaO・2Bに強い抗菌効果があることが確認できた。それらの結果を、表1に他の無機系抗菌剤と共に示した。表1から、500℃で焼成したコレマナイトおよび合成物質のいずれも、ホウ酸より抗菌効果は強く、銀ゼオライトおよび焼成ドロマイトに匹敵する抗菌性を有する結果が得られた。
【0014】
【表1】

【0015】これまでの抗菌評価は、菌それぞれの特有性から、大腸菌や黄色ブドウ球菌等を何種類も用いて抗菌実験を行う必要があった。しかし、発明者等が用いた土壌微生物による新たな抗菌評価法は、人々が日常環境で遭遇する何千、何万種以上の微生物が対象となることから、総合的な抗菌評価法となる。それ故、土壌微生物を対象とした表1の抗菌性の結果は、従来の個々の菌を用いて確かめられている抗菌スペクトル以上に、広い抗菌スペクトルを有することを示している。
【0016】そして、本発明で使用する焼成コレマナイトおよびその焼成物の製造方法について説明すると、コレマナイトを焼成する際、二酸化炭素雰囲気中で行うことにより、(1)式で生成される強アルカリ性のCaOに替わりCaCOが生成される。その反応を(3)式に示す。
【0017】
【化3】

【0018】従って、抗菌、抗かび剤の使用に際して、アルカリ性が問題となる場合、(3)式で示す二酸化炭素雰囲気中で焼成した焼成コレマナイト、または(2)式での合成物質が有効であることが立証された。
【0019】次に、抗かび試験についての結果を示す。コレマナイトのような難溶性物質の抗かび効果について、その定量的評価は難しいことから、半定量的ではあるが、24 well plate寒天法を用いた。すなわち、24 well plateにPDA培地2cmを形成させ、その上に焼成コレマナイトおよびかび胞子液を混合して撒き、25℃で5日間培養した結果を、目視観察する方法である。かびはAspergillus niger FERMS−1,Chaetomium globosum FERMS−11,Penicillium citrinum FERMS−5およびRhizopus oryzae FERMS−7の4種を用いた。
【0020】図3にコレマナイト、500℃で焼成したコレマナイトおよび合成物質(CaO・2B)について、Aspergillus nigerFERMS−1およびChaetomium globosum FERMS−11に対する抗かび効果の結果の一例を示す。かびが生育できる環境では、前者のかびで黒い胞子、後者のかびで白い菌糸が観察される。それ故、コレマナイトは両者のかびに対して、抗かび性がみられないことが判る。
【0021】一方、焼成コレマナイトでは5mg/well、および合成物質では10mg/well以上の濃度で抗かび効果が観察できた。その他のかびに対しても、同様の類似した結果が得られた。これらの結果から、350℃以上で焼成したコレマナイトおよびそれらの主成分である(CaO・2B)は抗菌と同時に、抗かび効果を有する結果が得られた。なお、図中、CaBはCaO・2Bを表す。
【0022】なお、前記(2)式の合成実験で、それらの組成および温度を変えて得た合成物およびCaO、Bについても、熱量計による発熱の遅れおよび24well plate寒天法の観察から、抗菌および抗かび効果が確認できた。従って、図4に示すCaO−B系の状態図で、一般的に表されるaCaO・bB(a/b:0.5〜3の数値)物質およびCaO、Bは、いずれも抗菌および抗かび効果を有するという結果が得られた。
【0023】更に、CaO・2BのCaをSr等のアルカリ土類金属に置き換えて合成した物質についても、抗菌・抗かび効果が確認できた。
【0024】以上のことから、ホウ素およびアルカリ土類金属複酸化物の化学組成式aMO・bB(M:アルカリ土類金属、a/b:0.5〜3の数値)で表される物質、MOおよびBのうち、いずれか単独、または2種類以上を組合せた混合物についても、抗菌および抗かび剤として有効である。
【0025】
【発明の効果】本発明により、無機系の利点でもある効果の持続性および熱安定性に加え、従来無機系では難しかった抗かび効果を有する無機系抗菌剤の合成および焼成コレマナイトを代表とする天然無機系抗菌・抗かび剤が、特に有機系抗かび剤に替わり新たに提供可能となる。
【出願人】 【識別番号】598002796
【氏名又は名称】大河内 正一
【識別番号】598059114
【氏名又は名称】守吉 佑介
【出願日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【代理人】 【識別番号】100068308
【弁理士】
【氏名又は名称】後田 春紀
【公開番号】 特開2002−20210(P2002−20210A)
【公開日】 平成14年1月23日(2002.1.23)
【出願番号】 特願2001−130994(P2001−130994)