| 【発明の名称】 |
抗原生生物製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】矢崎 忠芳
【氏名】丸山 時彦
【氏名】加藤 博之
|
| 【要約】 |
【課題】冷蔵庫、冷凍庫等のドレイン部等の水路に於ける細菌、黴、藻等の原生生物の繁殖による悪影響を、より簡便に且つ長期に渡って予防・排斥しうる、新規な徐放性抗原生生物製剤の提供。
【解決手段】水不溶性乃至難溶性の常温で固体の水湿潤性高分子化合物を徐放性基剤として用いてなる徐放性抗原生生物製剤、及びその製造方法、並びに該徐放性抗原生生物製剤を水路に置くことを特徴とする水路中の原生生物を撲滅するか又はその繁殖を防止する方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水不溶性乃至難溶性で且つ水湿潤性の常温で固体の高分子化合物を徐放性基剤として用いてなる、徐放性抗原生生物製剤。 【請求項2】 水不溶性乃至難溶性で且つ水湿潤性の常温で固体の高分子化合物と抗原生生物物質を混練して得られる、請求項1記載の徐放性抗原生生物製剤。 【請求項3】 高分子化合物が水1Lに対する溶解性が1g以下のものである請求項1又は2に記載の抗原生生物製剤。 【請求項4】 高分子化合物がポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸塩の架橋体、デンプン系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、セルロース誘導体、シリコン変成ポリアクリル酸エステル、シリコン変性ポリメタクリル酸系エステル、多糖類、ヒドロキシカルボン酸系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリオキシエチレンポリマー、ポリビニルアセテート、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、セルロース繊維、或いはレーヨン繊維である請求項1〜3の何れかに記載の抗原生生物製剤。 【請求項5】 高分子化合物が、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸塩の架橋体、デンプン系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、セルロース誘導体、シリコン変性ポリアクリル酸エステル、シリコン変成ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド系ポリマー又はポリビニルアセテートである請求項1〜3の何れかに記載の抗原生生物製剤。 【請求項6】 高分子化合物がポリビニルアルコール系ポリマーである請求項1〜3の何れかに記載の抗原生生物製剤。 【請求項7】 高分子化合物がポリビニルアルコールである請求項1〜3の何れかに記載の抗原生生物製剤。 【請求項8】 抗原生生物物質が、重金属類またはこれらを含む化合物、長鎖アルキル基を有する陽イオン界面活性4級型アンモニウムの塩類、長鎖アルキル基を有する両イオン性界面活性剤類、キノリン系誘導体、有機窒素硫黄化合物、ベンゼン誘導体、ビグアニジン系化合物、ソルビン酸及びその塩類、又はクロロイソシアヌール酸及びその塩類である請求項2〜7の何れかに記載の抗原生生物製剤。 【請求項9】 抗原生生物物質が長鎖アルキル基を有する陽イオン界面活性4級型アンモニウムの塩類、長鎖アルキル基を有する両イオン性界面活性類、ベンゼン誘導体、ソルビン酸及びその塩類、又はクロロイソシアヌール酸及びその塩類である請求項2〜7の何れかに記載の抗原生生物製剤。 【請求項10】 抗原生生物物質が長鎖アルキル基を有する陽イオン界面活性4級型アンモニウムの塩類である請求項2〜7の何れかに記載の抗原生生物製剤。 【請求項11】 抗原生生物物質が塩化セチルピリジニウムである請求項2〜7の何れかに記載の抗原生生物製剤。 【請求項12】 水路用である請求項1〜11の何れかに記載の徐放性抗原生生物製剤。 【請求項13】 水路が、冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、冷凍・冷蔵用ショーケースの排水通路、エアコンの結露水の排水管、流し、風呂場の排水管、工場排水路、排水管ピッド、又は水洗トイレの排水管である、請求項12に記載の抗原生生物製剤。 【請求項14】 請求項1〜11の何れかに記載の徐放性抗原生生物製剤を水路内の流水に接触させることを特徴とする水路中の原生生物を撲滅するか又はその繁殖を防止する方法。 【請求項15】 水路が、冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、冷凍・冷蔵用ショーケースの排水通路、エアコンの結露水の排水管、流し、風呂場の排水管、工場排水路、排水管ピッド、水洗トイレの排水管である、請求項14に記載の方法。 【請求項16】 水不溶性乃至難溶性で且つ水湿潤性の常温で固体の高分子化合物と抗原生生物物質を混練することを特徴とする徐放性抗原生生物製剤の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、抗原生生物物質を徐々に放出し、例えば冷蔵庫、冷凍庫のドレイン部等の水路に於いて原生生物の繁殖等を防止し得る該製剤に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に細菌、黴、藻等が人の生活環境へ悪影響を及ぼす場合の主な原因は、水が介在することがほとんどであり、その水としては、例えば、生活排水、BOD値の高い工場排水(第一群)、雨水、気温変化による水蒸気の結露水、熱交換装置に使用される循環水、定温循環型湯槽に用いられる循環水、熱交換装置から発生する凝結水、空気圧縮装置から発生する凝結水(第二群)等が知られている。これらの水のうち、第一群に属するのは、元来細菌、黴、藻等の栄養源が確保されているものであり、第二群に属するのは、細菌、黴、藻等に対する策(例えば水道水に於ける有効塩素等)が講じられていないものである。 【0003】そして、この第一群水と一定の条件(温度、外気との自由な接触、栄養源の継続供給等)が整った場合の第二群水の水路では、細菌、黴、藻等の原生生物が繁殖し悪臭、着色、汚染、排水路の狭搾又は閉塞等の問題が生じている。 【0004】これらの問題に対して従来の技術では、堆積した原生生物又は/及びそれらの代謝物を機械的に掻き落とす等の物理的除去、或いは、殺菌剤、防黴剤、防藻剤等の定期的噴霧又は添加等の化学的処理を行うのが一般的ではあるが、何れの方法も人手と長い作業時間を必要とすることが多く、また、化学的処理を行う場合には通例非常に強力な無機酸、無機アルカリ、酸化剤、還元剤等を使用するため、薬剤自身による環境汚染やそれによる使用者への健康被害等が危惧された。更にまた、何れの方法も長期に亘る効果は望めないため、頻繁に実施する必要があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、例えば、冷蔵庫、冷凍庫等のドレイン部等の水路に於ける細菌、黴、藻等の原生生物の繁殖による悪影響を、より簡便に且つ長期に亘って予防・排斥しうる、新規な徐放性抗原生生物製剤を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決する目的でなされたものであり、「(1)水不溶性乃至難溶性で且つ水湿潤性の常温で固体の高分子化合物を徐放性基剤として用いてなる徐放性抗原生生物製剤、(2)水不溶性乃至難溶性で且つ水湿潤性の常温で固体の高分子化合物と抗原生生物物質を混練してなる徐放性抗原生生物製剤、(3)水不溶性乃至難溶性で且つ水湿潤性の常温で固体の高分子化合物を徐放性基剤として用いてなる水路用徐放性抗原生生物製剤、(4)水不溶性乃至難溶性で且つ水湿潤性の常温で固体の高分子化合物と抗原生生物物質を混練してなる徐放性抗原生生物製剤の製造方法、また(5)該徐放性抗原生生物製剤を水路内の流水に接触させることを特徴とする水路中の原生生物を撲滅するか又はその繁殖を防止する方法。」に関する。 【0007】即ち、本発明者らは、細菌、黴、藻等の原生生物の繁殖を簡便で長期に抑える方法を求めて鋭意研究を重ねた結果、抗原生生物物質を特定の性質を有する水湿潤性高分子化合物中に取り込ませて、例えば、冷蔵庫、冷凍庫等のドレイン部等の水路に放置した場合には、当該抗原生生物物質が徐々に水中に放出され、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。 【0008】本発明に係る抗原生生物物質としては、細菌、黴、藻等の原生生物の繁殖を予防及び抑制するものであれば何れでもよいが、例えば、亜鉛、銅、銀等の重金属類またはこれらを含む化合物、例えばアルキル基としてドデシル、セチル、ステアリル等の炭素数10〜24の長鎖アルキル基を有する、脂肪族4級アンモニウム塩類、ピリジニウム塩類、イミダゾリニウム塩類、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩等の陽イオン界面活性4級型アンモニウムの塩類(例えば塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、例えばリン酸イオン、ホスホン酸イオン、モノ又はジアルキルリン酸エステルイオン等のリン酸系イオン等との塩)、例えばアルキル基として炭素数10〜24の長鎖アルキル基を有する、アルキルジ(アミノエチル)グリシン及びその塩(例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム等との塩、塩酸塩等)、イミダゾリニウムベタイン等の両イオン性界面活性剤類、例えば8-キノリノール及びその銅錯体、デカリニウム塩(例えば塩酸等のハロゲン化水素酸との塩等)等のキノリン系誘導体、例えばメチレンビスチオシアネート、ジメチルジチオカーバメイト、チアベンダゾール、イソチアゾリノン類、ピリチオン塩類(例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、亜鉛、銅等との塩)等の有機窒素硫黄化合物、例えばパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸及びその塩類(例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム等との塩)、トリクロロカルバニリド、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、o−フェニルフェノール及びその塩(例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩)、クロロフェノール類、サリチル酸及びその塩類(例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム等との塩)、メチルイソプロピルフェノール類等のベンゼン誘導体、例えばクロロヘキシジン塩類(例えば塩酸塩、グルコン酸塩等)、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩(例えば塩酸塩、グルコン酸塩等)等のビグアニジン系化合物や、ソルビン酸及びその塩類(例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム等との塩)、ε−ポリリジン、ヒノキチオール、各種ホルマリンドナー類、クロロイソシアヌール酸及びその塩類(例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩)等が挙げられ、好ましくは例えばアルキル基としてドデシル、セチル、ステアリル等の炭素数10〜24の長鎖アルキル基を有する、脂肪族4級アンモニウム塩類、ピリジニウム塩類、イミダゾリニウム塩類、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩等の陽イオン界面活性4級型アンモニウムの塩類(具体的な塩は上記と同じ)、例えばアルキル基として炭素数10〜24の長鎖アルキル基を有する、アルキルジ(アミノエチル)グリシン及びその塩(具体的な塩は上記と同じ)、イミダゾリニウムベタイン等の両イオン性界面活性剤類、例えばパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸及びその塩類(具体的な塩は上記と同じ)、トリクロロカルバニリド、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、o−フェニルフェノール及びその塩(具体的な塩は上記と同じ)、クロロフェノール類、サリチル酸及びその塩類(具体的な塩は上記と同じ)、メチルイソプロピルフェノール類等のベンゼン誘導体、ソルビン酸及びその塩類(具体的な塩は上記と同じ)、クロロイソシアヌール酸及びその塩類(具体的な塩は上記と同じ)等が挙げられ、より好ましくは例えばアルキル基としてドデシル、セチル、ステアリル等の炭素数10〜24の長鎖アルキル基を有する、脂肪族4級アンモニウム塩類、ピリジニウム塩類、イミダゾリニウム塩類、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩等の陽イオン界面活性4級型アンモニウムの塩類が挙げられ、更に好ましくは塩化セチルピリジニウムである。また、これらは夫々を単独で用いても、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。 【0009】これら抗原生生物物質の使用量としては、徐放性抗原生生物製剤中の含量(w/w)として、通常10〜90%、好ましくは30〜70%である。 【0010】本発明に係る徐放性基剤としては、常温で固体であって水不溶性乃至難溶性であり、且つ水湿潤性の高分子化合物が用いられる。尚、ここでいう難溶性とは、水1Lに対する溶解度が、1g以下、好ましくは0.1g以下のことを表し、また、水湿潤性とは、水に対して湿潤性を有し、水と接触した場合に浸漬ぬれを起こすことをいう。このような性質を有することにより、当該高分子化合物が水と接触した場合に当該高分子化合物からそこに取り込まれている抗原生生物物質が徐々に放出される。このような高分子化合物の具体例としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸カルシウム等のポリアクリル酸塩、例えばカーボポール(BF Good Rich社製)、ハイビスワコー(和光純薬工業(株)商品名)等のポリアクリル酸塩の架橋体、例えばデンプン/アクリロニトリル共重合体、デンプン/メタクリル酸メチル共重合体等のデンプン系ポリマー、例えばセルロース/アクリロニトリル共重合体、セルロース/モノクロル酢酸ナトリウム共重合体等のセルロース系ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸共重合体等のポリビニルアルコール系ポリマー、例えばヒドロキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩、ヒドロキシプロピルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、カルボキシプロピルセルロース塩等のセルロース誘導体、例えばポリジメチルシロキサン/ポリメチルアクリレート等のシリコン変成ポリアクリル酸エステル、例えばポリジメチルシロキサン/ポリメチルメタクリレート等のシリコン変性ポリメタクリ酸エステル、例えばカードラン等の多糖類、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸共重合体等のヒドロキシカルボン酸系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリオキシエチレンポリマー、ポリビニルアセテート、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、セルロース繊維、レーヨン繊維等が挙げられ、好ましくは例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸カルシウム等のポリアクリル酸塩、例えばカーボポール(BF Good Rich社製)、ハイビスワコー(和光純薬工業(株)商品名)等のポリアクリル酸塩の架橋体、例えばデンプン/アクリロニトリル共重合体、デンプン/メタクリル酸メチル共重合体等のデンプン系ポリマー、例えばセルロース/アクリロニトリル共重合体、セルロース/モノクロル酢酸ナトリウム共重合体等のセルロース系ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸共重合体等のポリビニルアルコール系ポリマー、例えばヒドロキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩、ヒドロキシプロピルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、カルボキシプロピルセルロース塩等のセルロース誘導体、例えばポリジメチルシロキサン/ポリメチルアクリレート等のシリコン変成ポリアクリル酸エステル、例えばポリジメチルシロキサン/ポリメチルメタクリレート等のシリコン変性ポリメタクリ酸エステルポリアクリルアミド系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアセテート等が挙げられ、より好ましくはポリビニルアルコール系ポリマー等であり、更に好ましくはポリビニルアルコール等である。また、これらは夫々を単独で用いても、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。 【0011】尚、これら徐放性基剤の分子量は、本発明の目的を達成し得る範囲であれば特に限定されないが、通常4,000〜1000,000である。また、その使用量としては、徐放性抗原生生物製剤中の含量(w/w)として、通常90〜10%、好ましくは70〜30%である。 【0012】本発明に係る徐放性基剤としてのシリコン変性アクリル酸系エステルのシリコン含量は、通常10〜30%、好ましくは15〜25%であり、その分子量は、通常100,000〜200,000、好ましくは100,000〜150,000である。 【0013】本発明に係る徐放性基剤としてのセルロース誘導体の塩の種類としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛等の金属との塩が挙げられるが、好ましくは、ナトリウム、カリウム等との塩である。また、その分子量は、通常50,000〜150,000、好ましくは50,000〜100,000である。 【0014】本発明に係る徐放性基剤としてのポリビニルアルコールとしては、完全けん化品でも部分けん化品の何れでもよいが、部分けん化品のけん化度は、通常80〜95、好ましくは、80〜90である。また、その重合度は、通常100〜4,000、好ましくは800〜3000、より好ましくは2,000〜3,000である。 【0015】本発明に係る徐放性基剤としてのポリアクリル酸塩の架橋体とは、アクリル酸のカルボキシル基を水酸化ナトリウム等で中和した塩を他の重合性二重結合を有する単量体(架橋剤)の存在下で重合反応に付し、アクリル酸塩が架橋剤により架橋され3次元化構造を有するもの、又は、アクリル酸を架橋剤の存在下で重合反応に付し、アクリル酸をこれら架橋剤により架橋された3次元化構造を有するポリマーとし、次いで該ポリマー中のカルボン酸の全部又は一部を水酸化ナトリウム等で中和して対応する塩の形にしたものをいい、架橋剤としては、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=4)等が挙げられるが、中でもメチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート等が好ましい。また、これらポリアクリル酸塩の架橋体の分子量は、通常100,000〜1000,000、好ましくは200,000〜700,000である。 【0016】本発明の徐放性製剤の剤形としては、水路等に放置(設置)する場合に安定した状態で置ける剤形であれば特に限定されないが、例えば、ペレット状製剤、ブロック状製剤、タブレット状製剤、グラニュール状製剤等が挙げられる。 【0017】本発明の抗原生生物製剤を製造するには、例えば以下のようにして行えばよい。 【0018】即ち、先ず抗原生生物物質及び徐放性基剤を、水やアセトン等の極性溶媒で混練する。尚、この際に、エチレンジアミン四酢酸Na等の殺菌効果向上剤やエタノール、メタノール等のアルコール等の相溶性向上剤を適宜添加してもよく、また、メチレンブルー、メチルオレンジ、例えばクチナシ色素、紅花色素、アナトー色素等の天然カロチノイド色素、例えば青色1号、緑色3号、赤色2号、黄色4号等の水溶性食用タール系色素等の色素を適宜添加してもよい。該色素を添加することにより、抗原生生物物質と共に色素が溶出されるため、抗原生生物製剤の交換時期を色素の有無により目視で確認することができるようになる。次いで、オートクレーブや水浴等の加熱機器を用いて、この混合物を加熱溶融させる。このときの温度としては、通常30〜150℃、好ましくは50〜100℃であり、溶融に要する時間は温度により異なるが、通常10〜100分、好ましくは10〜50分である。更に加熱溶融の後、この溶融液を減圧下、或いは、常圧にて送風乾燥又は自然乾燥に付すことにより、目的の製剤が得られる。また、乾燥に付す際に、該溶融液を、適当な大きさのカップ容器等に分注することにより、所定の大きさ・形状の製剤を得ることが出来、更にまた、該溶融液を板状に乾燥させ、それを縦横に裁断することによりペレット状製剤を得ることもできる。尚、乾燥時の温度としては、通常30〜100℃、好ましくは、30〜70℃であり、減圧時の圧力としては、通常0〜30kPA、好ましくは0〜3kPAである。 【0019】また、セルロース繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維等の繊維を徐放性基剤として用いる場合には、抗原生生物物質を溶解した溶液中に繊維を含浸させることにより、または抗原生生物物質を繊維で覆う(包む)ことにより、抗原生生物物質を繊維中に含有させ、それを減圧下、或いは、常圧にて送風乾燥又は自然乾燥に付すことにより、目的の製剤が得られる。 【0020】本発明の抗原生生物製剤を水路に適当な方法で放置(設置)し、水路等の流水に接触させることにより当該水路に於ける細菌、黴、藻等の発生を防止し得るが、このような水路としては、細菌、黴、藻が発生する場所及び発生しやすい場所であれば特に限定されることはないが、特に熱や栄養源が常に供給される水路や狭い水路においては、本発明の抗原生生物製剤の効果が顕著に現れる。具体的な場所としては、冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、冷蔵・冷凍用ショーケース等の排水通路(ドレイン部)、エアコン等の結露水の排水管、流し、風呂場等の排水管、工場排水路、排水管ピッド(トラップ)、水洗トイレ等が挙げられ、このような場所は、上記の理由から特に細菌、黴、藻が発生しやすく、また、それらの堆積による水路の狭窄または閉塞が起こった場合それらを取り除くことが困難であるため、本発明の抗原生生物製剤の効果を有効に発揮できる。 【0021】本発明は、抗原生生物物質に本発明に係る徐放性基剤を添加して製剤化することにより、細菌、黴、藻の繁殖による悪影響をより簡便に、且つ少なくとも2ヶ月以上、好ましくは6ヶ月以上の長期に亘って予防・排斥し、その結果、狭い水通路等の清掃作業の手間を省き、清潔な環境を維持し、機械器具類の性能を維持する、という効果を奏するものである。 【0022】以下に実施例、実験例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。 【0023】 【実施例】実施例1容量約2Lのステンレス製バットにイオン交換水460g、塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業(株)製)100g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)200g及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1gを加えて練合し、該練合物をオートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、無色透明の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥し、白色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤1とする。 【0024】実施例2容量約5Lのステンレス製バットにイオン交換水803.5g、塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業(株)製)45g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールHR−1000)150g及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1.5gを加えて練合し、該練合物をオートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、淡黄色透明の該溶融液を50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥して厚さ約3mmの板状とし、更に得られた板状物質を縦横に裁断して、10×10×3mmの白色ペレット状製剤を得た。得られた製剤を製剤2とする。 【0025】実施例3容量約2Lのビーカーにイオン交換水300g、変性アルコール300g、塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業(株)製、商品名:同)100g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)300g及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1.0gを加えて攪拌し、水浴にて70℃で10分間加熱溶融した。次いで、乳白色の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、40℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥して、白色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤3とする。 【0026】実施例4容量約2Lのビーカーにアセトン1,000gにポリジメチルシロキサン−メタクリル酸メチルブロックポリマー(和光純薬工業株式会社(株)製、商品名:PNS−001)100gを加え、室温で攪拌溶解した。次いで、該溶解液に塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業(株)製)100gを加えて室温にて攪拌分散した。更に、白色の該分散液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、30℃、常圧で8時間送風乾燥して、白色円柱状の製剤を得た。得られたを製剤4とする。 【0027】実施例5容量約2Lのステンレス製バットにイオン交換水360g、塩化ベンザルコニウム(花王(株)製、商品名:サニゾールC、50%溶液)200g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)200g及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1gを加えて練合し、オートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、無色透明の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥して、白色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤5とする。 【0028】実施例6容量約2Lのステンレス製バットにイオン交換水460g、塩化ベンゼトニウム(ロンザリミテッド製、商品名:ハイアミン)100g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)200g及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1gを加えて練合し、オートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、淡黄色透明の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥し、乳白淡黄色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤6とする。 【0029】実施例7容量約2Lのステンレス製バットにイオン交換水460g、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル(チバガイギー製、商品名:イルガサンDP300)100g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)200g及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1gを加えて練合し、オートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、黄色透明の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥して、乳白黄色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤7とする。 【0030】実施例8容量約2Lのステンレス製バットにイオン交換水460g、塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業(株)製)100g及びポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)200gを加えて練合し、該練合物をオートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、無色透明の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥し、白色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤8とする。 【0031】実施例9容量約2Lのビーカーにイオン交換水300g、変性アルコール300g、塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業(株)製、商品名:同)100g及びポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)300gを加えて攪拌し、水浴にて70℃で10分間加熱溶融した。次いで、乳白色の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、40℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥して、白色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤9とする。 【0032】実施例10容量約2Lのステンレス製バットにイオン交換水360g、塩化ベンザルコニウム(花王(株)製、商品名:サニゾールC、50%溶液)200g及びポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)200gを加えて練合し、オートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、無色透明の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥して、白色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤10とする。 【0033】実施例11容量約2Lのステンレス製バットにイオン交換水460g、塩化ベンゼトニウム(ロンザリミテッド製、商品名:ハイアミン)100g及びポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)200gを加えて練合し、オートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、淡黄色透明の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥し、乳白淡黄色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤11とする。 【0034】実施例12容量約2Lのステンレス製バットにイオン交換水460g、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル(チバガイギー製、商品名:イルガサンDP300)100g及びポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールPVA−124)200gを加えて練合し、オートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、黄色透明の該溶融液をφ50mm、高さ30mmのポリプロピレン製カップ型容器に分注し、50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥して、乳白黄色円柱状の製剤を得た。得られた製剤を製剤12とする。 【0035】実験例1.溶出試験徐放性性能の確認のため、上記実施例で得た製剤1〜12の40gを水路上に置き、当該水路に1L/時間の流速でイオン交換水を流し、製剤に接触後のイオン交換水を、経過時間ごとに採取した。その採取したイオン交換水について、高速液体クロマトグラフィーを用いて抗原生生物物質濃度を測定した。その結果を図1に示す。尚、図1に於いて、--◇--は製剤1を用いたときの溶出曲線を、−☆−は製剤2を用いたときの溶出曲線を、−△−は製剤3を用いたときの溶出曲線を、--×--は製剤4を用いたときの溶出曲線を、--○--は製剤5を用いたときの溶出曲線を、−×−は製剤6を用いたときの溶出曲線を、−+−は製剤7を用いたときの溶出曲線を、−*−は製剤8を用いたときの溶出曲線を、−□−は製剤9を用いたときの溶出曲線を、−◆−は製剤10を用いたときの溶出曲線を、--□--は製剤11を用いたときの溶出曲線を、−−は製剤12を用いたときの溶出曲線を夫々表す。 【0036】これらの結果から、1272時間(約2ヶ月)経過後では、どの製剤に関しても抗原生生物物質を0.5mg/g以上流水中に溶出しており、また、製剤1,3,4,7,8,9,12に関しては、4200時間(約6ヶ月)経過後でも0.3mg/gを溶出していた。従って、どの製剤も2ヶ月以上の殺菌効果が期待でき、更に製剤1,3,4,7,8,9,12に関しては、6ヶ月以上殺菌効果が期待できることがわかり、何れの製剤に関しても、抗原生生物製剤として有用な性能を有することが判明した。 【0037】実験例2.殺菌力試験実験例1で得られた製剤1〜7の1〜6ヶ月経過後の溶出液15mlを、GP液体培地4.27g(日本製薬(株)製)に添加後、121℃30分間滅菌し、3菌種(Aspergillus terreus;IFO6346、Cladosporium cladosporioides;IFO6348、Geotrichum candidum;IFO5364)を接種した。菌接種後、28℃で7日間培養し、3菌種の生育面積を測定した。また、溶出液の代わりにイオン交換水を添加して同様に調製した培地に3菌種を接種したブランクについても、生育面積を測定し、溶出液を添加した後に培養したものとの生育面積を比較し、溶出液による阻害率を生育面積から算出した。その結果を表1に示す。尚、完全に生育を阻害した場合を100%、ブランクと同等の生育面積を認めた場合を0%とし、表中に記入した。 【0038】 【表1】
【0039】表1の結果から明らかなように、何れの製剤も6ヶ月経過後はIFO6346(Aspergillus terreus)に対しては70%、IFO6348(Cladosporium cladosporioides)に対しては90%と殺菌力が弱まっていたが、IFO5364(Geotrichum candidum)に対しては100%の殺菌力を発揮していた。従って、実施例1〜7の製剤は何れも使用後、6ヶ月経過した場合でも少なくとも当初の70%以上の殺菌力を有していることがわかった。 【0040】実験例3.実用試験における通路狭窄の調査上記実施例で得た製剤1〜7の40gを、冷蔵ショーケース(サンデン(株)製、RSO−MS901YB型)の凝結水通路(ドレイン部)に設置し、6ヶ月間に及ぶ該通路の微生物繁殖による通路狭窄防止効果を調査した。その結果を表2に示す。尚、微生物繁殖による通路狭窄が認められた場合を×、認められなかった場合を○として、表中に表記した。 【0041】 【表2】
【0042】表2の結果から、何れの製剤を用いても、6ヶ月後でも凝結水通路の狭窄は認められず、実施例1〜7の製剤を用いることにより、6ヶ月後でも細菌、黴、藻の繁殖を抑えることが出来ることがわかった。 【0043】実験例4 実用試験における塩化セチルピリジニウムの溶出濃度ステンレス製バットにイオン交換水33.5g、塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業(株)製;以下、CPCと略記する場合がある)10.0g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:クラレポバールHR−1000)6.5g及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05gを加えて練合し、該練合物をオートクレーブにて115℃で30分間加熱溶融した。次いで、淡黄色透明の該溶融液を50℃、2〜3kPaで8時間減圧乾燥して厚さ約3mmの板状とし、更に得られた板状物質を縦横に裁断して、白色ペレット状製剤(製剤A)を得た。また、イオン交換水量を36.0g及び塩化セチルピリジニウム量を7.5gとした以外は、上記と同様にして白色ペレット状製剤(製剤B)を調製した。更にまた、イオン交換水量を38.5g、塩化セチルピリジニウム量を5.0gとした以外は、上記と同様にして白色ペレット状製剤(製剤C)を調製した。得られた製剤A,B,Cを用い、夫々を冷蔵ショーケース(サンデン(株)製、RSO−MS901YB型)の凝結水通路(ドレイン部)に設置し、6ヶ月に亘って該通路の流水中の溶出CPC濃度を調査した。その結果を表3に示す。 【0044】 【表3】
【0045】表3の結果から、流水量等によりCPC濃度にバラツキは見られるが、6ヶ月経過後でも流水中のCPC濃度が殺菌効果のみられる0.1ppm以上に保たれていること、言い換えれば本発明の徐放性抗原生生物製剤は、設置後6ヶ月経過しても殺菌防黴防藻作用を持続し得ることがわかった。特に製剤A及びBに関しては6ヶ月後でも1ppm程度のCPC濃度を保っており、優れた殺菌防黴防藻作用を持続し得ることがわかった。 【0046】 【発明の効果】以上述べたように、本発明は新規な徐放性抗原生生物製剤を提供するものであり、本徐放性抗原生生物製剤を用いれば機械、機器の循環水及び各種排水通路等に於いて、長期に亘って有効な殺菌防黴防藻作用を持続させることができるという効果を奏する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000252300 【氏名又は名称】和光純薬工業株式会社 【識別番号】500191473 【氏名又は名称】有限会社トーレイ
|
| 【出願日】 |
平成13年3月30日(2001.3.30) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2002−12503(P2002−12503A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月15日(2002.1.15) |
| 【出願番号】 |
特願2001−99320(P2001−99320) |
|