| 【発明の名称】 |
切り花の鮮度保持剤及び鮮度保持方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮沢 由紀
【氏名】倉内 雅彦
【氏名】佐藤 弘之
【氏名】竹内 誠
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| 【要約】 |
【課題】切り花に対する延命効果が高く、なおかつ安全、衛生的であり、低コストの切り花鮮度保持剤を提供する。
【解決手段】殺菌成分として、N−アシルアミノ酸の水溶性塩と塩素化イソシアヌル酸化合物を含有することを特徴とする、切り花鮮度保持剤、及び該鮮度保持剤を用いた切り花鮮度保持方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 殺菌成分として、N−アシルアミノ酸の水溶性塩と下記一般式(1)【化1】
(式中、XはCl,Na,K,1/2Caを表す。)で表される化合物を含有することを特徴とする、切り花の鮮度保持剤。 【請求項2】 前記N−アシルアミノ酸の水溶性塩と前記一般式(1) の化合物をそれぞれ0.001〜0.2質量%含有することを特徴とする、請求項1記載の切り花の鮮度保持剤。 【請求項3】 前記一般式(1) の化合物はジクロロイソシアヌル酸のナトリウム塩又はカリウム塩であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の切り花の鮮度保持剤。 【請求項4】 前記N−アシルアミノ酸の水溶性塩がN−アシル−L−グルタミン酸の水溶性塩であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の切り花の鮮度保持剤。 【請求項5】 剤形が固形であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の切り花の鮮度保持剤。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の切り花の鮮度保持剤を含有する水溶液に切り花の切り口を浸漬することを特徴とする、切り花の鮮度保持方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、切り花の鮮度保持剤及びそれを使用する切り花の鮮度保持方法に関する。より詳しくは、例えば、フラワーショップや家庭及び栽培農家において使用される切り花の鮮度保持剤であって、殺菌成分として塩素化イソシアヌル酸及びそのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩類と、N−アシルアミノ酸の水溶性塩を含有する切り花の鮮度保持剤と、それを使用する切り花の鮮度保持方法に関する。本発明の切り花の鮮度保持剤は、その殺菌成分を含有する鮮度保持剤を溶解した水溶液へ切り花の切り口を浸しておくことによって、切り花をより美しく、鮮やかな状態で長期間保存することを可能とするものである。 【0002】 【従来の技術】従来、切り花に対して鮮度保持効果を持つ薬剤としての殺菌性物質としては、「切り花の鮮度保持マニュアル」(財)日本花普及センター監修、(株)流通システムセンター、1997年発行、に6種類の薬剤が記載されている。 (1) 次亜塩素酸のナトリウム塩及びカルシウム塩(塩素イオンの殺菌力) (2) 8−ハイドロキノンの硫酸塩及びクエン酸塩(ハイドロキノンの抗菌力) (3) 4級アンモニウム塩化合物(アルキル基の殺菌力) (4) 硫酸銀、STS(銀イオンの殺菌力) (5) 硫酸アルミニウム(バクテリアの沈降促進) (6) クエン酸、酢酸(pH3〜4)(低pHでの抗菌効果) 【0003】昔から行われてきた鮮度保持方法も殺菌効果が期待できるものであり、例えば、腐敗防止のために水を頻繁に交換するなどが挙げられる。その他、切り口からの水分吸収を円滑に行うために水中で茎を剪定する、切り口を破砕する、焼く、などの方法が工夫されていたが、これらはいずれも煩雑であり、また鮮度保持効果もそれほど高くなかった。 【0004】近年、切り花の需要増大と共に開発された各種鮮度保持剤は、前記(1) 〜(6)の1つ以上の効果を発揮する殺菌成分を含有したものである。この他に(7) ベンジルアデニン、(8) カイネチン、(9) アブシジン酸、(10)界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、SDS、(10)糖類、リン酸類のような薬剤が知られている。また、植物成長ホルモンであるエチレンを抑制する作用のあるものとして、塩素化イソシアヌル酸を使用することも知られている(特開平3−204802号公報)。 【0005】また、これら以外にも、鮮度保持の機構は不明であるが、鮮度保持効果を有するものとして植物種子中に存在するフィチン酸(特開昭59‐204112号公報)、微生物由来のコウジ酸(特開平2‐42001号公報)等の薬剤が知られている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記(1) 〜(10)等に示された殺菌剤は、環境問題、室温安定性、着色、配合変化等の問題から実際の製品に使用するには問題があり、しかも、これら公知の殺菌剤とその他の薬剤を組み合わせた市販品の切り花に対する延命効果は、概ね不充分であり、満足すべきものは少ない。本発明は、切り花に対する延命効果が高く、なおかつ安全、衛生的であり、低コストの切り花鮮度保持剤を提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、使用方法が簡便で、より優れた延命効果を得ることのできる切り花用鮮度保持剤を開発すべく鋭意研究の結果、N−アシルアミノ酸の水溶性塩と特定の塩素化イソシアヌル酸化合物とを併わせて殺菌成分として使用することにより、切り花をより美しく、より鮮やかな状態で長期間保つことができることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下の各発明を包含する。 【0008】(1) 殺菌成分として、N−アシルアミノ酸の水溶性塩と下記一般式(1)【化2】
(式中、XはCl,Na,K,1/2Caを表す。)で表される化合物とを含有することを特徴とする、切り花の鮮度保持剤。 【0009】(2) 前記N−アシルアミノ酸の水溶性塩と前記一般式(1) の化合物をそれぞれ0.001〜0.2質量%含有することを特徴とする、(1) 項記載の切り花の鮮度保持剤。 (3) 前記一般式(1) の化合物はジクロロイソシアヌル酸のナトリウム塩及び/又はカリウム塩であることを特徴とする、(1) 項又は(2) 項に記載の切り花の鮮度保持剤。 (4) 前記N−アシルアミノ酸の水溶性塩がN−アシル−L−グルタミン酸の水溶性塩であることを特徴とする、(1) 項〜(3) 項のいずれか1項に記載の切り花の鮮度保持剤。 (5) 前記N−アシルアミノ酸の水溶性塩がN−アシル−L−グルタミン酸のトリエタノールアミン塩であることを特徴とする、(1) 項〜(4) 項のいずれか1項に記載の切り花の鮮度保持剤。 (6) 剤形が固形であることを特徴とする、(1) 項〜(5) 項のいずれか1項に記載の切り花の鮮度保持剤。 【0010】(7) 前記(1) 項〜(6) 項のいずれか1項に記載の切り花の鮮度保持剤を含有する水溶液に切り花の切り口を浸漬することを特徴とする、切り花の鮮度保持方法。 (8) 前記(1) 項〜(6) 項のいずれか1項に記載の切り花の鮮度保持剤とその他の鮮度保持剤とを含有する水溶液に切り花の切り口を浸漬することを特徴とする、切り花の鮮度保持方法。 【0011】 【発明の実態の形態】以下、本発明の構成を詳細に説明する。本発明でいう切り花とは、枝や茎をつけたまま切り取った花を指し、例えば、生け花又は霊前、仏前などに用いられるものである。また、生花とは、通常、造花に対して自然の生きた花をいうが、本発明では、茎、枝、葉、及び花の一つ又は二つ以上を適宜切り取り、必要に応じて剪定したものを指し、これらは、例えば、観賞用に用いられる。以下本明細書では両者をまとめて切り花と称する。 【0012】本発明の切り花用鮮度保持剤を適用できる花の種類としては、カーネーションのようなナデシコ科、キク科、バラ科などをはじめとする、切り花になる全ての花が挙げられるが、本発明の切り花用鮮度保持剤は、カーネーションのようなナデシコ科の切り花に特に有効である。また花がなくてもいわゆる生花に含まれる松、シダなども挙げられる。 【0013】本発明の切り花の鮮度保持剤の有効成分であるN−アシルアミノ酸の水溶性塩のアシル基としては、天然油脂から得ることができる高級脂肪酸由来の長鎖アシル基が生分解性及び環境保護の理由から好ましい。また、アミノ酸としては、グルタミン酸、アラニン、グリシン、アルギニンなどを挙げることができ、これらの中では、溶解度等の理由からL−グルタミン酸が好ましい。そして、N−アシルアミノ酸と反応させてこれを水溶性塩とする塩基としては、トリエタノールアミンなどのアミン類、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物等を挙げることができ、これらの中では、金属過剰防止の理由からトリエタノールアミンが好ましい。 【0014】本発明の切り花鮮度保持剤の有効成分である一般式(1) で示される物質は、塩素化イソシアヌル酸化合物であり、イソシアヌル酸を塩素化したものである。二塩素化イソシアヌル酸塩、及び三塩素化イソシアヌル酸があり、二塩素化イソシアヌル酸塩にはナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩がある。これらの中では、溶解性の面から二塩素化イソシアヌル酸のナトリウム塩に代表される二塩素化イソシアヌル酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましい。 【0015】塩素化イソシアヌル酸は、すでに切り花の鮮度保持に使用されることが公知であり、次亜塩素酸ソーダと同様の塩素系殺菌剤である。そして、次亜塩素酸ソーダは室温で不安定であり、かつ液体のために配合した他の成分と反応しやすいという欠点があるのに比べて、塩素化イソシアヌル酸は固形のため、安定性が良く、他の成分とも反応を起こしにくい。 【0016】本発明の切り花の鮮度保持剤の使用方法は、前記の2有効成分を合わせて0.001〜0.2質量%溶解した水溶液に切り花の切り口を浸しておく方法が採用できる。殺菌成分濃度が上記濃度範囲より低い場合には、鮮度保持効果が期待できず、一方、この範囲より高い濃度で使用しても、高濃度に見合った効果の向上は期待できない。例えば、次亜塩素酸ソーダが殺菌剤として切り花の鮮度保持に使用される場合、その水溶液の濃度は0.2質量%(有効塩素濃度0.03質量%)必要であるが、二塩素化イソシアヌル酸塩とN−アシルアミノ酸の水溶性塩を併用する場合は同濃度ではより高い効果が得られ、また、それ以下の濃度でも同等乃至より高い効果が見られるのである。 【0017】このような方法で使用される本発明の切り花鮮度保持剤は、必須の殺菌成分であるN−アシルアミノ酸の水溶性塩と一般式(1) の構造をもつ物質を混合した混合物(プレミックス)の形態、また、これに任意的に併用することのできる従来の鮮度保持剤を混合した混合物(プレミックス)の形態、更には実際の使用に際し、適宜の増量剤、バインダーなどを使用して粉剤や顆粒及び錠剤等の形態で流通に置くことが出来る。これらの剤形における必須成分と任意的併用成分との配合割合いは、前記の使用時濃度を与える割合いとすることが好ましいことはいうまでもない。 【0018】N−アシルアミノ酸の水溶性塩と一般式(1) の構造を持つ物質、例えば二塩素化イソシアヌル酸のナトリウム塩を切り花の鮮度保持剤の殺菌成分として使用する際の態様としては、例えば、次の(1) 〜(3) を挙げることが出来る。 (1) N−アシルアミノ酸の水溶性塩と二塩素化イソシアヌル酸のナトリウム塩の任意の割合の混合物を水に合計で所定濃度に溶解する。 (2) N−アシルアミノ酸の水溶性塩と二塩素化イソシアヌル酸のナトリウム塩と糖を水に所定濃度に溶解する。 (3) N−アシルアミノ酸の水溶性塩と二塩素化イソシアヌル酸のナトリウム塩と糖と界面活性剤を水に所定濃度に溶解する。そして、このように調製した水溶液に、切り花の切り口を浸しておく。しかし、本発明は上記の使用方法に限定されるものではなく、本発明の切り花の鮮度保持剤は、切り花の鮮度保持に有効な全ての使用方法に対して適用可能である。 【0019】 【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。 【0020】実施例1〜5及び比較例1〜5試験切り花として市販のカーネーションを使用した。本発明の一方の必須殺菌成分であるN−アシルアミノ酸の水溶性塩としてN−アシル−L−グルタミン酸ナトリウムを含有する鮮度保持剤を基本配合として表1に示すように定め、これに本発明の他方の必須殺菌成分(二塩素化イソシアヌル酸のナトリウム塩)を表2に記載した量で添加した。 【0021】 【表1】
【0022】上記基本配合液に、表2に示す最終濃度(使用時濃度)となる量の二塩素化イソシアヌル酸の水溶性塩を加えて本発明の鮮度保持剤とした(実施例1〜5)。 【0023】 【表2】
【0024】なお、表2における比較例の供試液体について説明すると、比較例1は水道水であり、比較例2は、二塩化イソシアヌル酸ナトリウムを添加していない基本配合液そのままであり、比較例3、4は市販の切り花の鮮度保持剤(比較例3「切花鮮度保持剤A」、比較例4「切花鮮度保持剤B」)であり、そして比較例5は次亜塩素酸ソーダを0.2質量%(有効塩素濃度0.03質量%)となるように溶解した基本配合液である。また、実施例の1〜4の水溶性塩はナトリウム塩であり、実施例5のそれはカリウム塩である。 【0025】試験方法は、次の通りである。すなわち、カーネーション(品種;ノラ)の切り花について、できるだけ生育状態及び鮮度状態が同程度のものを選び、水中で茎を先端から茎長55cmの位置で直角にはさみで切断して試験に供した。これらの切り花を同時に25℃かつ40〜50%RHの室内(蛍光灯連続照射、照度500ルクス)で、上記表2に示した組成の水溶液で各々500mlずつ入れた計8個の細長いガラス容器(高さ約22cm、水溶液の深さは約15cm)に各切り花5本ずつ挿して花の鮮度を経時的に観察した。 【0026】試験結果の評価は、5人のパネラーによる官能評価により行った。官能評価基準(各ポイントの内容)は次のとおりである。 5: ほとんど変化無し4: 若干のハリの衰え、開き過ぎ、花弁退色又は1本枯死3: 一部萎れが見られるか又は2、3本枯死2: 大半が萎れる又は4本枯死1: 全て枯死観察結果を表3に示す。 【0027】 【表3】
【0028】上記表3に示す結果から、本発明のN−アシルアミノ酸の水溶性塩と二塩化イソシアヌル酸塩を併用した切り花の鮮度保持剤が切り花の鮮度保持効果に優れることが理解される。 【0029】 【発明の効果】本発明の切り花の鮮度保持剤を使用することにより、切り花の萎れや落花を防止して切り花の新鮮な状態で開花している期間を大幅に延長させることが容易にできる。本発明の切り花鮮度保持剤は、STS、金属、植物ホルモン、抗生物質などを使用しないため、人畜に無害であり、また殺菌成分の使用量が微量であるため、安全で、使用後の廃液によって環境が汚染されることがないというメリットを有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000066 【氏名又は名称】味の素株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月17日(2000.8.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087022 【弁理士】 【氏名又は名称】井上 昭 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−12502(P2002−12502A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月15日(2002.1.15) |
| 【出願番号】 |
特願2000−247210(P2000−247210) |
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