| 【発明の名称】 |
殺菌剤および殺菌方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】田谷 正仁
【氏名】西岡 求
【氏名】西村 琢郎
【氏名】大久保 彰
【氏名】川本 有洋
【氏名】三原 美喜子
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| 【要約】 |
【課題】耐薬品性、耐熱性に優れ、重金属イオン担持量が少なくても、時間あたりの殺菌効率が高い殺菌剤と該殺菌剤のリサイクル技術を提供することを目的とする。
【解決手段】殺菌あるいは抗菌性を示す銅イオンまたは亜鉛イオンを殺菌素子として含有する、複合金属水酸化物と、リン酸カルシウム類とからなる複合物を有効成分とする殺菌剤および当該殺菌剤を用いる殺菌方法および当該殺菌剤を再生する方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式〔1〕で示される化合物とリン酸カルシウム類からなる複合物を有効成分とする殺菌剤。 ((M12+)y (M22+)1-y)1-x (M3+)x (OH-)2+x-y (An-)y/n 〔1〕 [式中、M12+は、Zn2+およびCu2+からなる群から選択される少なくとも一種を示し、M22+は、Mg2+、Fe2+およびCa2+からなる群から選択される少なくとも一種を示し、M3+は、Cr3+、Al3+およびFe3+からなる群から選択される少なくとも一種を示し、An-は、n価アニオンを示し、式中の添字は、0<x≦0.5であり、0<y≦1であり、nは1または2である。] 【請求項2】 請求項1に記載の複合物を、400〜1000℃で焼成することにより得られる焼成物を有効成分とする殺菌剤。 【請求項3】 請求項1または2に記載の殺菌剤に有害微生物を含有する気体または液体を接触させることを特徴とする殺菌方法。 【請求項4】 請求項1または2に記載の殺菌剤に、有害微生物を含有する気体または液体を接触させ殺菌した後に、細胞脱着剤または焼成により殺菌剤から死滅細胞を分離除去することを特徴とする殺菌剤を再生する方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌あるいは抗菌(以下、単に「殺菌」と略す)性を示す銅イオンまたは亜鉛イオンを殺菌素子として含有する、特定の重金属イオン含有複合金属水酸化物(以下、単に「複合金属水酸化物」と略す)と、リン酸カルシウム類とからなる複合物を有効成分とする殺菌剤および当該殺菌剤を用いる殺菌方法および当該殺菌剤を再生する方法に関する。 【0002】更に詳しくは、銅イオンまたは亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも一種を含む複合金属水酸化物に、有害微生物(本明細書中では、ファージ、ウイルス粒子を含む)に対して親和性の高いリン酸カルシウム類を複合化させることによって、当該複合金属水酸化物の持つ殺菌特性をさらに向上させるとともに、細胞脱着液または焼成により死滅した細胞の脱離を行い殺菌剤を再生利用する技術に関する。 【0003】 【従来の技術】近年、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ、肺炎かん菌、黄色ブドウ球菌、ミクロコッカス、MRSA、コリネバクテリウム、枯草菌などの細菌、T型ファージ、λファージなどのファージ、インフルエンザウイルス、HIV、狂犬病ウイルス、ヘルペスウイルス、黄熱ウイルス、ポリオウイルス、タバコモザイクウイルス、ポックスウイルスなどのウイルス、黒こうじカビ、クラドスポリウム、ケトミウム、青カビなどのカビをファージめとする有害微生物、原虫類等による生活環境の汚染が、深刻な社会問題を引き起こしており、今後、我々の生活様式の多様化や生活行動範囲の拡大・流動化に伴い、これら有害微生物および原虫類等の発生を抑制し、生活環境の安全性と清潔性を保持することがますます重要な課題となってきている。 【0004】また一方では、近年、河川、各種産業排水、あるいは生活排水中に含まれる窒素・リン等の成分が、アオコをはじめとする藻類の発生を促し、湖沼の水質汚染や近海における赤潮発生につながる富栄養化を助長させることから、これら藻類の発生を抑制する殺菌剤の開発が望まれている。 【0005】従来、無機系殺菌剤または抗菌剤としては、殺菌作用を有する銀・亜鉛・銅などの金属イオンまたは金属を、含浸法、吸着法、イオン交換法等の方法で担持させたものが用いられている。 【0006】代表的な例として銀イオン含有リン酸ジルコニウム(特開平3−83905号、特開平6−330285号)、銀イオン含有ゼオライト(特開昭63−265809号、特開平1−286913号)、銅・亜鉛含有複合金属酸化物・水酸化物(特開平8−48606号、特開平8−291011号)および銀含有ヒドロキシアパタイト(特開平4−300975号、特開平5−78218号)等が知られており、特に、無機系殺菌剤の特徴である耐薬品性・耐熱性が有機系殺菌剤に比べて優れていることを利用して、抗菌樹脂または抗菌繊維製造時の添加剤としても広く用いられている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】銅イオン及および亜鉛イオンが、殺菌性を示すことは従来知られており、これら金属イオンを含む金属塩類あるいは金属塩水溶液が殺菌剤として用いられている。しかしながら、これらのイオンは重金属イオンであり、人体にとっても有害であるため、その使用量、使用方法が制限されているのが現状である。 【0008】また一般に無機系殺菌剤は、有機系殺菌剤などに比べその殺菌速度が遅いことが指摘されている。従って、いかに重金属イオンの使用量を少なく、しかも殺菌速度の向上を含めた殺菌効率を高めるかが重要な課題となっている。殺菌剤による有害微生物の殺菌プロセスを考えた場合、殺菌は、有害微生物が殺菌剤中の殺菌性金属イオン(例えば銅イオンまたは亜鉛イオン)と接触することでファージめて殺菌されることから、いかに効率良く殺菌剤と有害微生物との接触回数を高めるかが、短時間での殺菌効果を向上させる意味においても重要となる。さらには資源の有効利用の観点から、少ない重金属イオン担持量でいかに高い殺菌効果を引き出せるかが重要となるとともに、殺菌剤自身のリサイクルを考慮した殺菌方法の開発が強く望まれている。 【0009】本発明は、これらの要望を満足しうる殺菌剤として、耐薬品性、耐熱性に優れ、重金属イオン担持量が少なくても、時間あたりの殺菌効率が高い殺菌剤と該殺菌剤のリサイクル技術を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題に着目して鋭意研究を重ねた結果、殺菌能力を有する重金属イオンとして、銅イオンまたは亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも一種を含有する複合金属水酸化物に対して、殺菌作用は持たないが細菌に対する親和性の高いリン酸カルシウム類を配合することで、これら無機化合物を有効成分とする殺菌剤を形成せしめ、両者の相互作用により菌に対する殺菌速度を向上しうること、またリン酸カルシウム類を配合することにより、殺菌剤単位重量当たりの重金属イオン量を相対的に減少させることが可能となり、少ない重金属イオン量においても効果的に殺菌できることを見い出した。 【0011】さらに殺菌処理後の殺菌剤を、適切な細胞脱着剤を用いて脱離処理を行なうことまたは焼成処理を行なうことにより、死滅した細胞の分離除去および殺菌剤表面を更新することによる殺菌剤自身の再生利用をも可能にさせることを見い出した。 【0012】すなわち、本発明は、以下の殺菌剤、殺菌方法および再生方法を提供するものである。 項1.下記一般式〔1〕で示される化合物とリン酸カルシウム類からなる複合物を有効成分とする殺菌剤。 ((M12+)y (M22+)1-y)1-x (M3+)x (OH-)2+x-y (An-)y/n 〔1〕 [式中、M12+は、Zn2+およびCu2+からなる群から選択される少なくとも一種を示し、M22+は、Mg2+、Fe2+およびCa2+からなる群から選択される少なくとも一種を示し、M3+は、Cr3+、Al3+およびFe3+からなる群から選択される少なくとも一種を示し、An-は、n価アニオンを示し、式中の添字は、0<x≦0.5であり、0<y≦1であり、nは1または2である。] 項2.項1に記載の複合物を、400〜1000℃で焼成することにより得られる焼成物を有効成分とする殺菌剤。 項3.項1または2に記載の殺菌剤に有害微生物を含有する気体または液体を接触させることを特徴とする殺菌方法。 項4.項1または2に記載の殺菌剤に、有害微生物を含有する気体または液体を接触させ殺菌した後に、細胞脱着剤または焼成により殺菌剤から死滅細胞を分離除去することを特徴とする殺菌剤を再生する方法。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明の殺菌剤は、細菌、ファージ、ウイルスおよびカビに対して有効である。具体的に細菌類として、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ、肺炎かん菌、黄色ブドウ球菌、ミクロコッカス、MRSA、コリネバクテリウム、枯草菌などが挙げられ、ファージ類としてT型ファージ、λファージなどが挙げられ、ウイルスとしてインフルエンザウイルス、HIV、狂犬病ウイルス、ヘルペスウイルス、黄熱ウイルス、ポリオウイルス、タバコモザイクウイルス、ポックスウイルスなどが挙げられ、カビとして黒カビ(クラドスポリウム)、黒こうじカビ(アスペルギルス)、ケタマカビ(ケトミウム)、青カビ(ペニシリウム)、クモノスカビ(リゾープス)、アカカビ(フザリウム)、ススカビ(アルタナリア)、ツチアオカビ(グリオクラジウム)、黒色酵母様菌(オーレオパシディウム)などが挙げられる。 【0014】上記一般式〔1〕において、M12+は、Zn2+およびCu2+からなる群から選択される少なくとも一種を示す。 【0015】上記一般式〔1〕において、M22+は、Mg2+、Fe2+およびCa2+からなる群から選択される少なくとも一種を示し、好ましくはMg2+である。 【0016】上記一般式〔1〕において、M3+は、Cr3+、Al3+およびFe3+からなる群から選択される少なくとも一種を示し、好ましくはAl3+である。 【0017】上記一般式〔1〕において、An-は、n価アニオン(n=1または2)を示す。すなわち、An-は、一価または二価のアニオンのみからなるか、一価のアニオンと二価のアニオンの両者からなる。一価のアニオンとしては、OH-、Cl-、NO2-、NO3-、F-、Br-、HCO3-等が挙げられ、好ましくはCl-またはHCO3-である。二価のアニオンとしては、SO42-、CO32-、SO32-等が挙げられ、好ましくはCO32-である。 【0018】上記一般式〔1〕において、通常、0<x≦0.5であり、好ましくは0.1≦x≦0.4であり、より好ましくは0.15≦x≦0.35である。 【0019】上記一般式〔1〕において、通常、0<y≦1であり、好ましくは0.3≦y≦0.95であり、より好ましくは0.45≦y≦0.85である。 【0020】本発明に用いるリン酸カルシウム類は、リン酸とカルシウムを主体とする化合物であれば特に限定はない。例えば、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、第3リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、第2リン酸カルシウム(CaHPO4)、オクタカルシウムホスフェート(Ca8H2(PO4)6)、テトラカルシウムホスフェート(Ca4O(PO4)2)等が挙げられる。 【0021】例えばハイドロキシアパタイトは両性イオン交換体であることが知られ、組成式Ca10(PO4)6(OH)2を構成する元素種の中で、Ca2+のかわりに、Na+、K+、Sr2+、Ba2+、Pb2+、Zn2+、Cd2+、Cu2+、Mg2+、Fe2+、Mn2+等で、PO43-のかわりに、SO42-、CO32-、HPO42-、AsO42-、SiO44-等で、OH-のかわりに、F-、Cl-、Br-、CO32-等で一部組成変換したハイドロキシアパタイト様化合物もリン酸カルシウム類として用いることができる。 【0022】本発明の殺菌剤は、上記一般式〔1〕で示される特定の銅イオンまたは亜鉛イオン含有複合金属水酸化物とリン酸カルシウム類からなる複合物を有効成分とする殺菌剤であれば特に制限されない。当該殺菌剤は、例えば以下のような方法で調製することができる。 【0023】リン酸カルシウム類を酸に溶解した酸性水溶液、またはリン酸塩化合物とカルシウム化合物を所望の化学組成で溶解させた酸性水溶液と、アルカリ水溶液とを、複合金属水酸化物を懸濁した懸濁液中に同時滴下し、引き続いて得られた析出物をろ過・水洗した後、所定温度で乾燥あるいは焼成することにより目的とする殺菌剤を調製することができる。 【0024】上記酸性水溶液としては、リン酸カルシウムを酸に溶解した酸性水溶液が好ましい。リン酸カルシウム類を一旦酸に溶解し、複合金属水酸化物懸濁液と反応させることによって、第1に再生成したリン酸カルシウム自身の比表面積が大きく、有害微生物に対する吸着容量も大きくなる点、第2に殺菌剤中における重金属イオンの分散性も高まる点において有利である。 【0025】リン酸カルシウム類を酸溶解する際に用いられる酸としては、塩酸、硝酸等が挙げられ、より望ましくは塩酸が挙げられる。一方、アルカリ水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の水溶液が挙げられ、より好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。 【0026】また、殺菌剤調製時の焼成温度としては、400〜1000℃程度、望ましくは400〜800℃程度、より望ましくは400〜600℃程度が望ましい。焼成時間は、焼成温度によって異なるが、通常2〜6時間、好ましくは3〜5時間である。 【0027】このようにして得られる殺菌剤は、殺菌能力の優れた複合金属水酸化物が、その母体となるリン酸カルシウム上に均一に分散した状態にあると考えられ、リン酸カルシウム類の有害微生物に対する親和性と、殺菌素子自身の殺菌作用との相乗効果によって、有害微生物を効率よく殺菌するものと考えられる。したがって、本発明を効果的に実施するためには、リン酸カルシウム類含有量を増加させることで微生物に対する親和性は増加するが殺菌効果は低下すること、逆に複合金属水酸化物含有量を増加させることで殺菌効果は増加するが、微生物に対する親和性が低下することから、両者の適切な配合割合を見極めることがきわめて重要となる。 【0028】複合物中における複合金属水酸化物の配合割合は、銅として6.94%含有する複合金属水酸化物を配合する際には、30〜90wt%程度、望ましくは40〜90wt%程度、より望ましくは50〜80wt%程度配合して用いることができ、この結果から銅含有量の異なる複合金属水酸化物を配合する際には、適宜配合量を調整すればよい。 【0029】この際、複合物中における殺菌素子配合量として、特に限定されないが、通常、2.0〜7.0wt%程度、望ましくは2.5〜6.5wt%程度、より望ましくは3.5〜5.5wt%程度配合して用いることができる。 【0030】本発明の殺菌剤は、粉体のまま使用してもよく、樹脂、紙、水硬性セメント等のマトリックスへの添加剤として、またはバインダーを添加して成形体およびろ材として使用することも可能である。 【0031】樹脂への添加の際には、殺菌剤と樹脂とのなじみをよくするため、必要に応じて殺菌剤を既存の脂肪酸、脂肪酸のアルカリ金属塩、シラン系、アルミニウム系およびチタネート系カップリング剤、アニオン系界面活性剤等の表面処理剤で表面処理を実施した後、樹脂成形体としてもよい。 【0032】バインダーとしては、特に制限されないが、ポリアクリル酸ヒドラジド、スチレン・アクリル樹脂をはじめとするポリアクリルアミドのアミノ化物等のポリアクリル系樹脂、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース類、カラギーナン等の多糖類、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル共重合体等の有機系バインダ−、アルミナゾル、シリカゾル等の無機系バインダーが挙げられ、好ましくはポリアクリルアミドのアミノ化物が挙げられる。バインダーの配合量は、殺菌剤に対し、1〜50重量%程度、好ましくは5〜30重量%程度、より好ましくは10〜25重量%程度である。 【0033】本発明の殺菌方法において、殺菌処理に供せられる気体としては、大気、生活環境中の空気が挙げられ、殺菌剤を気体が流れる箇所に設置し、空気との接触により殺菌を行う。液体の場合には、対象として浄化槽処理水、雨水、湖沼、河川等の環境水、上水道、中水道、下水道等が挙げられ、対象とする液体中に直接殺菌剤を添加し、バッチ式に処理することもできるが、処理効率を上げる点から、殺菌剤をカラムに充填し、カラム中に対象液体を通液することにより殺菌を行なう。この際に用いる殺菌剤の使用量や、気体の通気量または液体の通液量は処理条件に応じて、適宜調節すればよい。 【0034】本発明の殺菌剤を再生する方法において、殺菌後の殺菌剤を、細胞脱着液として単成分あるいは二成分以上のリン酸塩混合水溶液で処理することにより、死滅した細胞を殺菌剤表面から脱離させ、殺菌剤自身を再生利用することができる。当該細胞脱着液として、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等のリン酸塩水溶液を用いることができ、好ましくは、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウムが好適である。 【0035】細胞脱着の際の細胞脱着液のリン酸イオン濃度としては、PO43-イオンとして1mol/m3から各リン酸塩類の飽和濃度までの範囲で用いることができるが、望ましくは5mol/m3以上のリン酸イオン濃度で処理するのが望ましい。 【0036】また、死滅した細胞の脱着は、焼成によっても実施することができる。すなわち、殺菌に供した殺菌剤を、特に制限されないが、200〜1000℃、好ましくは400〜600℃で焼成することにより、殺菌剤表面に付着した死滅細胞を燃焼させ、殺菌剤表面を更新し、殺菌剤を再利用することができる。 【0037】 【発明の効果】本発明によれば、耐薬品性・耐熱性に優れた銅イオンまたは亜鉛イオン含有複合金属水酸化物に、リン酸カルシウム類を複合化させ殺菌剤とすることで、微生物に対する殺菌剤の親和性が向上し、相対的に少ない銅イオンまたは亜鉛イオン担持量で効率よく微生物の殺菌を行なうことができる。 【0038】また、リン酸塩水溶液を細胞脱着液として用いることで、殺菌処理後の殺菌剤表面から死滅した細胞を脱離させ、殺菌剤表面を更新することで再生利用することが可能で、環境低負荷型の殺菌剤としてもきわめて有用である。 【0039】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 【0040】 【実施例】実施例1リン酸カルシウム類化合物としてハイドロキシアパタイト(富田製薬(株)製商品名:HA−300BP;以下、CaPと略す)100gを2N−HCl 1,000cm3に溶解し、CaP溶解液を調製した。 【0041】続いて、ビーカー(5,000cm3)にイオン交換水2,500cm3を準備し、Mg−Cu−Al型複合金属水酸化物(Mg0.736Cu0.087Al0.177(OH)1.877Cl0.128(CO3)0.086;Cu含有率6.94%)を258g添加し懸濁液とした。懸濁液中にCaP溶解液1,000cm3を室温下、6.25N−NaOH水溶液で反応液のpHをアルカリ性に維持しながら、滴下した。生成した共沈物をろ過、水洗、乾燥(80℃、24時間)した後、粉砕し、殺菌剤(Cu含有率4.83%)を得た。 【0042】実施例2リン酸カルシウム類化合物としてCaP 500gを2N−HCl 5000cm3に溶解し、CaP溶解液を調製した。 【0043】続いて、ビーカー(20000cm3)にイオン交換水4000cm3を準備し、Zn−Al型複合金属水酸化物(Zn0.730Al0.270(OH)1.875Cl0.015(CO3)0.190)を151g添加し懸濁液とした。懸濁液中にCaP溶解液5000cm3を室温下、6.25N−NaOH水溶液で反応液のpHを中性に維持しながら、滴下した。生成した共沈物をろ過、水洗、乾燥(80℃、24時間)した後、粉砕し、殺菌剤を得た。 【0044】実施例3実施例1で得られた殺菌剤を500℃にて3時間焼成することにより、殺菌剤を調製した。 【0045】実施例4殺菌剤の殺菌能力を、次の試験方法に従って評価した。 【0046】すなわち、大腸菌(Escherichia coli IAM12119:以下、E. coliと略す)を37℃にて、Nutrient Broth液体培地中で培養した後、E. coliを9kg/m3−NaCl水溶液中に、初期細胞濃度(N0) 1×1011cells/m3となるように加え、これをE. coli試料溶液とした。 【0047】次にE. coli試料溶液(10dm3)中に、殺菌剤を0.5kg/m3となるように添加し、混液をL字管に移し入れた後、暗条件下において25ストローク/分で振とう殺菌を行なった。0、15、30、60、90、120分でサンプリングを行ない、サンプルと20μgのL-システインをNutrient Broth寒天培地上にまき、コロニーカウンティング法(Ind. Eng. Chem. Res., 34, 3920-3926, 1996)により生存E. coli数を算出した。 【0048】得られたE. coli生存率経時変化の120分までの全デ−タに対して、下記数式を適用し、非線型最小二乗法により致死反応回数nおよびみかけの殺菌速度定数(k'')を算出した。 【0049】 【数1】
【0050】[上記数式中、Nt:殺菌時間t分後の細菌(細胞)数(cells/m3) N0:実験開始時の細菌(細胞)数(cells/m3) Nt/N0:t分後の細菌(細胞)生存率k'':みかけの殺菌速度定数(min-1) t:殺菌実験時間(min)である。]なお多くのデ−タをフィッティングさせた結果、nの値を1と決定した。殺菌剤の菌に対する殺菌特性を評価する上で、殺菌速度定数k''値は、大きな値を示す場合ほど、殺菌能力が高いと評価できる。 【0051】実施例1で得られた殺菌剤と、Mg−Cu−Al型複合金属水酸化物(Mg0.736Cu0.087Al0.177(OH)1.877Cl0.128(CO3)0.086)とについてE. coli生存率の経時変化を図1に示した。なお、殺菌剤及び複合金属水酸化物の使用量は、それぞれ0.36kg/m3及び0.25kg/m3であり、これは複合効果を確認するために、両試料における銅としての添加量を同じとするためである。図1よりみかけの殺菌速度定数(k'')を求めた結果、殺菌剤(実施例1)ではk''=4.51×10-1min-1、複合金属水酸化物ではk''=9.08×10-2min-1と求められたことから、本発明殺菌剤の殺菌速度が高く、リン酸カルシウム類の複合により優れた殺菌効果が得られることが確認された。 【0052】実施例5殺菌剤中のMg−Cu−Al型複合金属水酸化物の含有率を、27.2、44.0、64.4、78.7及び89.8重量%とした以外は、実施例1と同様にして殺菌剤を得た。得られた殺菌剤を用い、上記試験方法と同様にして、みかけの殺菌速度定数を求めた。複合金属水酸化物の含有率とみかけの殺菌速度定数との関係を図2に示した。図2より、複合金属水酸化物の含有率が約65重量%で最大速度定数が得られたことから、Mg−Cu−Al型複合金属水酸化物を60〜70重量%程度で配合することが最も望ましいことがわかる。 【0053】実施例6実施例3で得られた殺菌剤について、上記試験方法と同様にして、みかけの殺菌速度定数を求めた結果、k''=2.38×10-1min-1となり、Mg−Cu−Al型複合金属水酸化物のみかけの殺菌速度定数(k''=9.08×10-2min-1)と比較して、明らかに殺菌特性が向上していることがわかる。 【0054】実施例7本発明の殺菌剤の再生方法としては、以下の手順にて実施することができる。 【0055】直径5mmのガラスカラムにろ材としてガラスウールを詰め、その上に殺菌剤140mgを充填し、大腸菌濃度として1×1013cells/m3に調整した0.9重量%−NaCl水溶液35cm3をローディングする。各時間毎に溶出液の生細胞数と全細胞数を測定し、殺菌剤による大腸菌吸着が飽和に達した時点において、pH6に調整した30mM−NaH2PO4/Na2HPO4緩衝溶液25mlをカラムに添加して、殺菌剤に吸着された大腸菌の溶出を実施する。大腸菌溶出後、再度、大腸菌含有NaCl水溶液をローディングする。このように大腸菌吸着、殺菌、大腸菌溶出のサイクルを繰り返すことにより、殺菌剤を再利用することができる。 【0056】なお全細胞数は、位相差用血球計算盤を用いて光学顕微鏡で細胞数を測定し、生細胞数の測定は、次の方法にて測定を行う。 生細胞数の測定:試料液0.1cm3を採取し、9.0kg/m3−NaCl水溶液を用いて所定の濃度に希釈した。この希釈液0.1cm3をNutrient Broth寒天培地上に塗布した。続いて寒天培地を恒温室にて37℃で24時間培養し、形成されたコロニー数を測定することにより、生細胞数を算出する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000237972 【氏名又は名称】富田製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月22日(2000.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−3320(P2002−3320A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月9日(2002.1.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−188157(P2000−188157) |
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