| 【発明の名称】 |
食品製造設備へのカルシウム付着防止方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】北川 剛司
【氏名】高橋 毅
【氏名】菅野 洋子
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| 【要約】 |
【課題】食品又は食品製造設備の除菌あるいは殺菌に焼成カルシウムを使用する際、焼成カルシウムの持つ除菌あるいは殺菌効果を低下することなく、食品製造設備へのカルシウム付着を防止又は付着の度合いを減少させ、食品製造設備の洗浄を容易にする方法を提供することを課題とする。
【解決手段】焼成カルシウムとポリグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することにより製造設備へのカルシウムの付着が抑えられ課題が解決される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 食品又は食品製造設備の除菌あるいは殺菌に焼成カルシウムを使用するに際し、焼成カルシウムにポリグリセリン脂肪酸モノエステルを併用することを特徴とする食品製造設備へのカルシウム付着防止方法。 【請求項2】 焼成カルシウム水溶液にポリグリセリン脂肪酸モノエステルを添加併用する請求項1記載の食品製造設備へのカルシウム付着防止方法。 【請求項3】 焼成カルシウムが牡蠣殻、ホタテ貝殻、ホッキ貝殻、うに殻、卵殻又は珊瑚殻の焼成物のうちから選ばれた1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の食品製造設備へのカルシウム付着防止方法。 【請求項4】 ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを構成するポリグリセリンのグリセリン重合度が平均2〜5であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の食品製造設備へのカルシウム付着防止方法。 【請求項5】 焼成カルシウムとポリグリセリン脂肪酸モノエステルとを含有することを特徴とする食品又は食品製造設備の除菌あるいは殺菌に使用される焼成カルシウム組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、食品製造において焼成カルシウムを使用する際に、食品製造設備への焼成カルシウム水和物の付着を防止することに関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、食品業界における技術の進歩に伴い、弁当、総菜、おにぎり、あるいはカット野菜等の調理済み食品や半調理食品が常温に近い環境温度の中で販売されるようになった。 【0003】このような調理済み又は半調理食品は、保存中の微生物の成育・増殖による食品の腐敗や変敗を防止するために,食品原料の除菌又は殺菌処理、あるいは食品製造設備の清浄さ・清潔さ保持に努めているが、その手段として殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉等の塩素系殺菌剤が多用されている。 【0004】しかしながら、これら次亜塩素酸ナトリウムに代表される塩素系殺菌剤は、高濃度では強い除菌・殺菌効果が得られるが、その反面、発生する塩素の強い酸化力により食品の酸化、変質、脱色等が起こり、食品の品質を低下させてしまうという好ましくない現象が付随することがしばしば認められる。また、それらには次亜塩素酸や塩素による特有の臭があり、使用者に不快感を与える等、作業環境を悪化させる不都合さも認められる。一方、これら塩素系の殺菌剤を低濃度で使用した場合には,作業環境は改善されるが、澱粉、蛋白質あるいはそれらの混合物等が付着した食品製造装置は、澱粉や蛋白質等の酸化に殺菌成分が消費されてしまい、十分な除菌・殺菌効果が得られない場合がある。 【0005】又、食品製造機械、調理台、調理道具に多く使用されているオーステナイト系ステンレスは、塩素系殺菌剤により腐蝕するため、それら食品製造設備の耐久性の面からも好ましくなく、塩素系殺菌剤に代わる食品用除菌・殺菌剤が望まれていた。 【0006】一方、塩素系殺菌剤を使用しない食品の殺菌方法として、牡蠣殻、ホタテ貝殻等の貝殻を焼成して得た焼成カルシウムを使用した食品の鮮度保持方法が開示されている(特願平5−811670号公報、特開2000−72610号公報)。 【0007】これら貝殻類を原料とする焼成カルシウムはその主成分は酸化カルシウムであり、その水溶液は水酸化カルシウムの水和液となり、溶液のpHは11〜13近くの値を示す。焼成カルシウムの殺菌効果は主としてこのカルシウムによるpHの効果によるものであるが、それらに含まれる微量のその他ミネラル成分が相乗的に作用し,除菌・殺菌効果を高めているとも言われている。 【0008】しかし、これら牡蠣やホタテ貝殻等の焼成カルシウム水溶液で食品を除菌・殺菌するために使用した場合、焼成カルシウム水溶液を貯めるための容器設備、例えばステンレス製容器、ガラス製容器、陶器製容器、樹脂製容器の内面にカルシウムがスケール状に強固に付着し、その洗浄作業に多くの手間がかかる問題があり、焼成カルシウム使用の上の大きな難点となっている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、食品又は食品製造設備の除菌あるいは殺菌に焼成カルシウムを使用する際、焼成カルシウムの持つ除菌あるいは殺菌効果が低下することなく、食品製造設備へのカルシウムの付着を防止もしくは付着の度合いを減らし、食品製造設備の洗浄を容易にする方法を提供することを課題とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、焼成カルシウムとポリグリセリン脂肪酸モノエステルを併用することにより、食品製造設備へのカルシウムの付着が著しくしく減少し、洗浄も容易になることを見出し本発明を完成したものである。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明で対象とされる食品製造設備は、ステンレスに代表される各種金属製、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック製、ホーロー製あるいはガラス製等食品の製造時に使用される設備あるいは容器等に使用されるものであり、材質の如何は問わない。 【0012】本発明で用いられる焼成カルシウムは、蠣殻、ホタテ貝殻、ホッキ貝殻、ウニ殻、卵殻あるいは珊瑚殻など焼成前の成分が炭酸カルシウムである動物性由来のカルシウムを600℃以上、好ましくは900〜1200℃の温度で15〜60分程度焼成もしくは通電加熱して得られる主成分を酸化カルシウムとするものである。得られた焼成カルシウムの飽和水溶液のpHが11〜13の範囲にあることが好ましい。 【0013】焼成カルシウム製品は通常粉末状で使用される。その粉末の粒度は特に限定するものではないが、取り扱いあるいは水への懸濁又は溶解の効率等を考慮すると平均粒子径が100μm以下であることが好ましい。 【0014】本発明に使用するポリグリセリン脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸はカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、あるいはオレイン酸等の炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸が単独又は混合物として使用できる。 【0015】本発明に使用するポリグリセリン脂肪酸モノエステルを構成するポリグリセリンはグリセリンの平均重合度2〜10モルのものが使用できるが、平均重合度2〜5モルのものがより好ましい。 【0016】これらポリグリセリンは通常グリセリンに少量のアルカリを加え加熱して重合反応を行うが、その反応生成物は単一のものではなく種々の重合度成分の混合物として得られる。従って一般的には、水酸基価測定により、理論値から計算される平均重合度で示される。反応によって得られたポリグリセリンはそのまま使用してもよいが,蒸留あるいはクロマトグラフ等で特定の重合度成分を濃縮又は除去して使用することも可能である。 【0017】ポリグリセリン脂肪酸モノエステルは一般的にはポリグリセリンと脂肪酸とを混合し、適当な触媒の存在下に加熱するエステル化反応により得られる。反応物をそのまま使用してもよいが、得られたエステル反応物を蒸留あるいはクロマトグラフ等でモノエステル含量を高めて使用することも可能である。 【0018】本発明において、焼成カルシウムとポリグリセリン脂肪酸モノエステルとの配合比率は、焼成カルシウム:ポリグリセリン脂肪酸モノエステル=1:0.001〜99の範囲、好ましくは1:0.01〜10の範囲である。焼成カルシウムとポリグリセリン脂肪酸モノエステルとの配合方法は、焼成カルシウムに溶液状態のポリグリセリン脂肪酸モノエステルを噴霧しコーティングする方法、予め澱粉、糖類、蛋白質等と混合し粉末状態としたポリグリセリン脂肪酸モノエステルと焼成カルシウムを粉末混合する方法、あるいは溶液状態のポリグリセリン脂肪酸モノエステル中に焼成カルシウムを加え懸濁分散して使用する方法等がありポリグリセリン脂肪酸モノエステルの物性あるいは両者の配合比率等によって適当な方法が選択される。 【0019】本発明において、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの機能を阻害しない範囲内において、重合度6以上のポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等その他のエステルを使用することが可能である。また本発明で使用される焼成カルシウムとポリグリセリン脂肪酸モノエステルとを含有する食品又は食品製造設備の除菌あるいは殺菌に使用される焼成カルシウム組成物にはカゼインナトリウム、澱粉加水分解物等の増量剤、希釈剤等を適宜に配合することができる。 【0020】このようにして調製された焼成カルシウムとポリグリセリン脂肪酸モノエステルとの混合物は、食品製造設備へのカルシウムの付着を防止すると共に、焼成カルシウムに備わっている除菌あるいは殺菌の機能が十分に発揮される。 【0021】 【実施例】以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。実施例中単に部または%とあるはいずれも重量部または重量%を意味する。 【0022】[試験試料]《実施例1》ジグリセリンラウリン酸モノエステルジグリセリン1モルとラウリンミリ酸1モルの混合物を少量のアルカリ触媒の存在下して加熱エステル化反応を行い、得られた反応混合物から分子蒸留によりモノエステルを分離濃縮した(モノエステル:83%)。 【0023】《実施例2》ジグリセリンミリスチン酸モノエステルジグリセリンとミリスチン酸とから、試料1と同様にしてジグリセリンミリスチン酸モノエステルを得た(モノエステル:84%)。 【0024】《実施例3》ジグリセリンパルミチン酸モノエステルジグリセリンとパルミチン酸とから、試料1と同様にしてジグリセリンミリスチン酸モノエステルを得た(モノエステル:85%) 【0025】《実施例4》ジグリセリンステアリン酸モノエステルジグリセリンとステアリン酸とから、試料1と同様にしてジグリセリンステアリン酸モノエステルを得た(モノエステル:80%)。 【0026】《実施例5》トリグリセリンミリスチン酸モノエステルグリセリンに少量のアルカリを添加してポリグリセリンを合成し、減圧蒸留,続いて分子蒸留を行いグリセリン及びジグリセリンを除去する。残液を分子蒸留処理して高純度のトリグリセリンを得た。トリグリセリン1モルとミリスチン酸0.8モルとをエステル化反応し、得られた混合物から分子蒸留により未反応トリグリセリンを留去しトリグリセリンモノミリスチン酸エステル濃縮物を得た(モノエステル:約70%)。 【0027】《実施例6》ペンタグリセリンミリスチン酸モノエステルグリセリンに少量のアルカリを添加して加熱重合反応を行い、水酸基価測定値から平均重合度約5のポリグリセリン(ペンタグリセリン)を合成した。このペンタグリセリン1モルとミリスチン酸1モルとを反応しペンタミリスチン酸モノエステルとした。 【0028】《実施例7》ヘキサグリセリンミリスチン酸モノエステルグリセリンに少量のアルカリを添加して加熱重合反応を行い、水酸基価測定値から平均重合度約6のポリグリセリン(ヘキサグリセリン)を合成した。このヘキサグリセリン1モルとミリスチン酸1モルとを反応させヘキサグリセリンミリスチン酸モノエステルとした。 【0029】《実施例8》デカグリセリンミリスチン酸モノエステルグリセリンに少量のアルカリを添加して加熱重合反応を行い、水酸基価測定値から平均重合度10のポリグリセリン(デカグリセリン)を合成した。このデカグリセリン1モルとミリスチン酸1モルとを反応させデガグリセリンミリスチン酸モノエステルとした。 【0030】《比較例1》ショ糖パルミチン酸モノエステルリョートーエステルP−1670(三菱化学フード) 【0031】《試験例1》ガラス容器に、牡蠣殻焼成カルシウムと実施例及び比較例の試料との1:1の混合物の0.5重量%水溶液を調製し、25℃で6時間および12時間静置した後、容器内表面部に付着した焼成カルシウム水和物の状態を観察した。結果を表1に示した。評価は以下に示す記号で示した。 ◎:付着物が殆ど認められない○:やや付着あるも、軽く擦れば除去できる△:付着あるも擦れば除去できる×:付着物あり、かなり強く付着している本発明による脂肪酸エステル類がカルシウムの付着防止に良好な効果を示すことが認められる。
【0032】《試験例2》各種材質の容器に、ホタテ貝殻焼成カルシウムと実施例2のジグリセリンミリスチン酸モノエステルとの3:4の重量比率混合物の0.35重量%水溶液を入れ、10℃で20時間静置した後、容器内表面に付着した焼成カルシウム水和物の状況を観察した。対照として、ホタテ貝殻焼成カルシウム0.15重量%水溶液について同様試験した。試験例1と同様に評価し、結果を表2に示した。本発明によるジグリセリンミリスチン酸モノエステルがカルシウム付着防止に良好な効果を示すことが認められる。
【0033】《試験例3》ガラス製容器に、原料の異なる焼成カルシウムと実施例2のジグリセリンミリスチン酸モノエステルとの3:1の混合物の0.4重量%水溶液を入れ、5℃で6時間静置した後、焼成カルシウム水和物の容器内表面への付着状況を観察した。対照として焼成カルシウム0.3重量%水溶液について同様試験した。試験例1と同様にして評価し、結果を表3に示した。本発明によるジグリセリンミリスチン酸モノエステルがカルシウムの付着防止に良好な効果を示すことが認められる。
【0034】《試験例4》SUS304ステンレス製容器に,成分組成の異なる焼成カルシウムと実施例2のジグリセリンミリスチン酸モノエステルとの10:1の混合物の0.3重量%水溶液を入れ、20℃で1時間静置した後、焼成カルシウム水和物の容器内表面への付着状況を観察した。対照として焼成カルシウム0.3重量%水溶液について試験した。試験例1と同様にして評価し、結果を表4に示した。本発明によるジグリセリンミリスチン酸モノエステルがカルシウム付着防止に良好な効果を示すことが認められる。
【0035】《試験例5》SUS304製ステンレス容器に、ホタテ貝殻焼成カルシウムと実施例2のジグリセリンミリスチン酸モノエステルを吸着処理した粉末(ジグリセリンミリスチン酸モノエステル:54重量%、カゼインナトリウム:18重量%、澱粉加水分解物:28重量%)との15:1の混合物の0.3重量%水溶液を入れ、20℃で6時間静置した後、容器内表面への焼成カルシウム水和物の付着状況を観察した。対照としてホタテ貝殻焼成カルシウムの0.3重量%水溶液で同様試験した。試験例1と同様にして評価し、結果を表5に示した。本発明によるジグリセリンミリスチン酸モノエステルがカルシウムの付着防止に良好な効果を示すことが認められる。
【0036】《試験例6》SUS304ステンレス容器に、ホタテ貝殻焼成カルシウム及び試験例5で使用したジグリセリンミリスチン酸モノエステル粉末の所定量を溶解した溶液を入れ、市販レタスの除菌・殺菌効果を試験した。結果を表6に示した。ジグリセリンミリスチン酸モノエステルは焼成カルシウムの除菌・殺菌効果を阻害しないことが確認される。
【0037】 【発明の効果】本発明の方法により、焼成カルシウムが有する除菌・殺菌効果を阻害することなく、食品製造装置へのカルシウム付着の防止又は付着の度合いを減少させることが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390010674 【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月22日(2000.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063484 【弁理士】 【氏名又は名称】箕浦 清
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| 【公開番号】 |
特開2002−3314(P2002−3314A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月9日(2002.1.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−187397(P2000−187397) |
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