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【発明の名称】 抗菌剤およびそれを用いた抗菌方法
【発明者】 【氏名】下本 英明

【氏名】長谷川 寛

【氏名】平嶋 英則

【要約】 【課題】細菌、カビ、酵母など広範な種類の微生物に対して有効な抗菌力を有し、かつその効果が持続する抗菌剤を提供することを課題とする。

【解決手段】2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールおよび一般式(I):【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールおよび一般式(I):【化1】

(式中、Xは水素原子またはハロゲン原子、Rは水素原子またはアルキル基を示す)で表わされるイソチアゾロン化合物を、相乗効果を奏する割合で含有することを特徴とする抗菌剤。
【請求項2】 イソチアゾロン化合物が、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンである請求項1に記載の抗菌剤。
【請求項3】 2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドを1重量部として、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールが0.05〜10重量部であり、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドと2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの合計量を1重量部として、イソチアゾロン化合物が0.01〜0.5重量部である請求項1または2に記載の抗菌剤。
【請求項4】 抗菌対象系に、請求項1〜3のいずれか1つに記載の抗菌剤を、有効成分の合計濃度として0.1〜1000mg/lとなるように添加することを特徴とする抗菌方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、抗菌剤およびそれを用いた抗菌方法に関する。さらに詳しくは、この発明は、紙・パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水および洗浄水、ならびに金属加工油剤、繊維油剤、ペイント類、各種ラテックス、防汚塗料、紙用塗工液、糊剤、澱粉スラリーなどの工業製品、特に澱粉スラリーの防腐・殺菌用として有用である抗菌剤およびそれを用いた抗菌方法に関する。この発明における抗菌は、微生物を死滅させる殺菌と微生物の増殖を阻止する静菌とを意味する。
【0002】
【従来の技術】従来から紙・パルプ工業における抄紙工程水や各種工業用の冷却水には、細菌や真菌によるスライムが発生し、このスライムが生産品の品質低下や生産効率の低下などの障害を引き起こすことが知られている。また、多くの工業製品、例えば金属加工油剤、繊維油剤、ペイント類、各種ラテックス、防汚塗料、紙用塗工液、糊剤、澱粉スラリーなどでは細菌やかびによる腐敗や汚染が発生し、これらが製品を汚損し、製品価値を低下させることが知られている。
【0003】これらの工業製品のうち、澱粉を原料とする澱粉スラリーや糊剤(糊液)は、さまざまな用途で用いられ、例えば、製紙工場においては、表面サイズやカラーバインダーおよび内添用として多量に使用されている。原料澱粉となる馬鈴薯澱粉やタピオカ澱粉などの地下茎澱粉や小麦澱粉などには土壌菌が付着していることが多く、そのような土壌菌には耐熱性胞子をもつBacillus属も含まれている。
【0004】耐熱性胞子をもつ細菌は100℃でも生存しており、澱粉が豊富に存在する澱粉スラリー中で落下菌などとともに繁殖する。微生物の増殖により腐敗が進行すると、腐敗臭の発生やストレーナの目詰まり、粘度低下やpH低下による品質の劣化などの障害が生じる。
【0005】これらの微生物による障害を防止するため、多くの殺菌剤が使用されてきた。古くは有機水銀化合物、塩素化フェノール化合物やホルマリンなどが使用されていたが、これらの薬剤は人体や魚介類に対する毒性が強く、環境汚染を引き起こすために使用が規制されるようになり、最近では比較的低毒性の殺菌剤が汎用されている。
【0006】このような殺菌剤としては、メチレンビスチオシアネート、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンに代表される有機窒素硫黄系化合物、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、ビストリブロモメチルスルホンに代表される有機ブロム系化合物、および4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンに代表される有機硫黄系化合物などが挙げられる。
【0007】しかしながら、上記の殺菌剤の単独使用では、殺菌対象系中において狭い範囲の微生物にしか有効ではないため、種々の微生物が混在する対象系においては充分な殺菌効力が得られないという問題があった。また、ある微生物に対して有効な殺菌剤であっても、長期間使用することにより耐菌性が出現し、殺菌効力が低下するという問題があった。
【0008】そこで、上記の殺菌剤を組み合わせることによって相乗効果を発揮させる種々の殺菌剤が提案されている。例えば、イソチアゾロン化合物、シアノアセトアミド化合物および2,2−ジハロ−2−ニトロ−エタノールの組み合わせ(特開平7-277911号公報)、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジクロロジフェニルメタンとイソチアゾリン−3−オン系化合物との包接化合物と、ブロム酢酸エステルとの組み合わせ(特許第2953300号公報)などが知られている。
【0009】しかしながら、相乗効果を目的とした殺菌剤では、細菌やカビに対する殺菌力は向上するものの、その効果の持続性がなく、また酵母に対してはその効力が充分でないという問題がある。特に、殺菌剤を間欠的に添加して長時間の殺菌効力の持続を必要とする対象系、例えば澱粉スラリーなどにおいては、その効果が充分でなく、腐敗臭の発生やストレーナの目詰まりが生じ、製品の品質劣化など微生物による障害を充分に防止することができなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、細菌、カビ、酵母など広範な種類の微生物に対して有効な抗菌力を有し、かつその効果が持続する抗菌剤を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らは、種々の殺菌・抗菌剤の組み合わせについて研究した結果、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールおよびある種のイソチアゾロン化合物を組み合わせることにより、前記の化合物のうち2つを組み合わせた2成分系の殺菌剤や公知の3成分系の殺菌剤よりも、広範な種類の微生物に対して顕著な抗菌効果が発揮され、しかもその抗菌効果が長時間持続されるという意外な事実を見出し、この発明を完成するに到った。この発明の抗菌剤の抗菌効果および抗菌持続効果の発現は、有効成分の相乗効果および各成分どうしの分解抑制効果(安定化)などによるものと考えられる。
【0012】かくしてこの発明によれば、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールおよび一般式(I):【0013】
【化2】

【0014】(式中、Xは水素原子またはハロゲン原子、Rは水素原子またはアルキル基を示す)で表わされるイソチアゾロン化合物を、相乗効果を奏する割合で含有することを特徴とする抗菌剤が提供される。
【0015】また、この発明によれば、抗菌対象系に、上記の抗菌剤を、有効成分の合計濃度として0.1〜1000mg/lとなるように添加することを特徴とする抗菌方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明において有効成分として用いられる2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールおよびイソチアゾロン化合物については、それぞれ単独で殺菌作用を有すること、および他の殺菌剤との組み合わせで相乗的な殺菌効果を示すことが知られているが、これらの殺菌剤の組み合わせ、および少量の配合で顕著な抗菌効果が得られることは知られていなかった。
【0017】この発明において有効成分として用いられるイソチアゾロン化合物は、一般式(I)で表される。一般式(I)の置換基Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、中でも塩素原子が好ましい。また、置換基Rのアルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、n−ブチル基およびn−オクチル基が好ましく、メチル基およびn−オクチル基が特に好ましい。これらイソチアゾロン化合物の中で、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが殺菌効果の点で特に好ましい。
【0018】この発明において相乗的な抗菌効果が顕著に発揮される抗菌剤の好ましい配合割合は、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドを1重量部として、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールが0.02〜10重量部、好ましくは0.05〜10重量部であり、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドと2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの合計量を1重量部として、イソチアゾロン化合物が0.005〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは、0.02〜0.25重量部である。
【0019】この発明の有効成分は、通常液剤の形態に製剤化して用いるのが好ましいが、これに限定されるものでなく、使用対象によっては粉剤などの形態で用いてもよい。また、有効成分をそれぞれ別々に製剤化し、使用に際してそれらを併用しても差し支えない。
【0020】抗菌対象系が製紙工程のプロセス水および工業用冷却水などの各種水系、澱粉スラリーおよび合成樹脂エマルションなどの場合には、有効成分の溶解、分散性を考慮して、親水性有機溶剤および分散剤を用いて液剤とするのが好ましい。
【0021】親水性有機溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、炭素数8までのアルコール類もしくはメチルアセテート、エチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシメチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、プロピレンカーボネート、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチルなどのエステル類、N,N−ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類が挙げられ、中でも安全性および安定性の点で、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレンカーボネートおよびグルタル酸ジメチルが特に好ましい。
【0022】分散剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤または両性界面活性剤がいずれも使用できるが、製剤の安定性の点ではノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0023】ノニオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物〔以下、エチレンオキサイドを(EO)と略す〕、脂肪酸(EO)付加物、多価アルコール脂肪酸エステル(EO)付加物、高級アルキルアミン(EO)付加物、脂肪酸アミド(EO)付加物、油脂の(EO)付加物、プロピレンオキサイド〔以下、(PO)と略す〕(EO)共重合体、アルキルアミン(PO)(EO)共重合体付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリトリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルキロールアミドなどが挙げられる。
【0024】また、これらの界面活性剤の代わりに、またはその補助剤として、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの水溶性高分子を用いてもよい。
【0025】これらの親水性有機溶剤および分散剤を配合した製剤における配合割合は、製剤を100重量部としたとき、有効成分の合計量5〜80重量部、分散剤が有効成分の合計1重量部に対して少なくとも0.01重量部であり、残部を親水性有機溶剤とするのが好ましい。
【0026】また、抗菌対象系が切削油、油性塗料などの油系の場合には、灯油、重油、スピンドル油などの炭化水素系溶剤を用いた液剤とするのが好ましく、各種界面活性剤を用いてもよい。さらに、この発明の有効成分を2〜3液に分けて製剤化する場合も、それぞれの有効成分について上記のような溶剤や分散剤を用い、上記のような配合割合で製剤化することができる。
【0027】この発明の有効成分がそれぞれ直接溶解または分散し得る抗菌対象系に対しては、有効成分自体を直接、または固体希釈剤(例えば、カオリン、クレー、ベントナイト、CMCなど)で希釈された粉剤、顆粒剤または錠剤として用いてもよく、前記の界面活性剤を同時に用いてもよい。また、液剤の場合と同様に、固形剤をそれぞれの有効成分に分けて製剤化してもよい。有効成分の組み合わせによっては、溶剤や界面活性剤なしに有効成分のみを用いてもよい。この発明の製剤は、さらに他の公知の殺菌・抗菌剤を含有させることもできる。
【0028】この発明の方法において、上記の有効成分を抗菌対象系に同時に添加する場合には、単一製剤として用いるのが簡便である。抗菌対象系に別々に添加する場合には、個々の有効成分ごとの製剤の形態で用いられる。
【0029】この発明の抗菌剤は、有効成分が合計濃度として0.1〜1000mg/l、好ましくは0.1〜200mg/lとなるように、抗菌対象系に同時にまたは別々に添加される。有効成分の合計濃度は、有効成分の組み合わせおよび抗菌対象系の種類により異なる。例えば、抗菌対象系が澱粉スラリーの場合には、1〜1000mg/l程度である。
【0030】
【実施例】この発明を以下の製剤例、比較製剤例および試験例により具体的に説明するが、この発明はこれらの製剤例および試験例により限定されるものではない。
【0031】製剤例はこの発明の3種の有効成分からなる製剤である。これらの製剤および比較製剤例は各有効成分を各種親水性有機溶剤に混合し、攪拌混合することにより調製し、供試薬剤とした。製剤例および比較製剤例を表1に示す。表中の各化合物の配合割合はすべて重量部である。製剤の各有効成分および各種親水性有機溶剤の化合物名と略号を以下に示す。
【0032】OIT:2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンCL−MIT:5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オンDBNPA:2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドBNPD:2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールDBNE:2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールMDG:ジエチレングリコールモノエチルエーテルDEG:ジエチレングリコールDPG:ジプロピレングリコール【0033】
【表1】

【0034】試験例1〔中性抄紙白水に対する殺菌・抗菌力試験〕
某製紙工場において採取した下記の菌種を含む中性抄紙白水(pH:7.5、初期細菌数:3.6×107個/ml)を10mlずつL字管に分注した。
菌種(細菌) Pseudomonas sp.,Alcaligenes sp.,Bacillus sp.【0035】次いで、L字管に各薬剤を有効成分の合計濃度として5mg/lおよび15mg/lとなるように添加し、30℃で30分間振とう培養し、振とう後の細菌数を測定した。また、上記白水をNo.2の濾紙で濾過し、これにブイヨン培地を加えたものを予め滅菌したL字管に4mlずつ分注した。なお、薬剤を添加した直後に白水の吸光度(660nm)を測定し、この時点の吸光度で零点調整しておいた。
【0036】さらに30℃で振とう培養を継続し、培養開始から1時間毎に24時間、経時的に白水の吸光度を測定し、その吸光度が0.1absに達した時間を増殖開始時間(X)とした。すなわち、細菌が増殖し、それらの代謝産物として不溶性の蛋白や多糖類が産生されて白水が濁り始める時間を、吸光度を用いて測定した。この試験においては、薬剤無添加のブランク試験を同時に行った。
【0037】ブランク試験における増殖開始時間(BL)を基準として、すなわちブランク試験における増殖抑制時間をそれぞれ0時間として、求めた増殖開始時間(X)から抗菌力の指数となる増殖抑制時間(X−BL)を求めた。殺菌力および抗菌力の試験結果を、薬剤の添加濃度と共に表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】表2の結果から、この発明の抗菌剤は、この発明の有効成分のうち2成分を組み合わせた2成分系の殺菌剤や公知の3成分系の殺菌剤よりも、細菌に対して有効な殺菌力および抗菌力を有し、かつその効果が持続することがわかる。
【0040】試験例2〔中性抄紙白水における抗菌力(増殖抑制効果)試験〕
某製紙工場において採取した下記の菌種を含む中性抄紙白水(pH:7.2、初期細菌数:6.3×106個/ml)をNo.2の濾紙で濾過し、これにブイヨン培地を加えたものを予め滅菌したL字管に4mlずつ分注した。
菌種(細菌) Pseudomonas sp.,Alcaligenes sp.,Micrococcus sp.,Flavobacterium sp.【0041】次いで、L字管に各薬剤を有効成分の合計濃度として3mg/lとなるように添加し、直ちに白水の吸光度(660nm)を測定し、この時点の吸光度で零点調整をした。30℃で振とう培養し、培養開始から1時間毎に24時間、経時的に白水の吸光度を測定して、その吸光度が0.1absに達した時間を増殖開始時間(X)とした。
【0042】増殖開始時間(BL)を1時間として、求めた増殖開始時間(X)から抗菌力の指数となる増殖抑制時間(X−BL)を求めた。得られた結果を図1〜9に示す。
【0043】図1〜5では、CL−MITとDBNPAおよびBNPDとの混合領域において、DBNPAを1重量部として、BNPDを0.05〜10、DBNPAとBNPDの合計量1重量部として、CL−MITを0.01〜0.5の場合に顕著な相乗効果が発揮されていることがわかる。また、図6〜9では、OITとDBNPAおよびBNPDとの混合領域において、DBNPAを1重量部として、BNPDを0.1〜10、DBNPAとBNPDの合計量1重量部として、OITを0.01〜0.5の場合に顕著な相乗効果が発揮されていることがわかる。増殖抑制時間のピークが表れていることから、CL−MITとDBNPAおよびBNPD、OITとDBNPAおよびBNPDとが相乗的な殺菌効果を有することがわかる。
【0044】試験例3〔中性中質紙抄紙白水におけるスライム付着防止効果確認試験〕
容量500mlのビーカー側面内部にプラスチックワイヤー(280mm×100mm)を取り付け、某製紙工場において採取した下記の菌種を含む中性中質紙抄紙白水(pH:7.2、初期細菌数:3.5×107個/ml)400mlを分注した。
菌種(細菌) Pseudomonas sp.,Alcaligenes sp.,Bacillus sp.,Flavobacterium sp.【0045】次いで、ビーカーに各薬剤を有効成分の合計濃度として3mg/lとなるように添加し、水温槽付ジャーテスターを用いて30℃で、50rpmで攪拌しながら菌種を培養し、培養開始から10日間、経時的にプラスチックワイヤーを目視観察した。白水に各薬剤を30分間接触させた後、プラスチックワイヤーにスライムが水あかのように(薄っすらと)付着し始めた時点を付着開始とし、培養開始からの日数をスライム付着開始日数とした。得られた結果を図10〜15に示す。
【0046】図10〜13では、CL−MITとDBNPAおよびBNPDとの混合領域において、スライム付着の開始日数のピークが表れていることから、CL−MITとDBNPAおよびBNPDとが相乗的な殺菌効果を有することがわかる。図14および図15は、それぞれDBNPAとBNPD、BNPDとCL−MITの2成分からなる製剤の結果であり、図10〜13と比較してスライム付着の開始日数のピークがほとんど表れていない。
【0047】試験例4〔中性中質紙抄紙白水におけるスライム付着防止効果確認試験〕
容量500mlのビーカー側面内部にプラスチックワイヤー(280mm×100mm)を取り付け、某製紙工場において採取した下記の菌種を含む中性中質紙抄紙白水(pH:6.8、初期細菌数:3.0×107個/ml、初期カビ数:1.5×103個/ml)400mlを分注した。
菌種(細菌) Pseudomonas sp.,Alcaligenes sp.,Bacillus sp.,Flavobacterium sp.(カビ) Trichoderma sp.,Geotrichum sp.,Cladosporium sp.,Paecilomyces sp.,Rhizopus sp.【0048】次いで、ビーカーに各薬剤を有効成分の合計濃度として3mg/lとなるように添加し、水温槽付ジャーテスターを用いて25℃で、50rpmで攪拌しながら菌種を培養し、培養開始から10日間、経時的にプラスチックワイヤーを目視観察した。白水に各薬剤を30分間接触させた後、プラスチックワイヤーにスライムが水あかのように(薄っすらと)付着し始めた時点を付着開始とし、培養開始からの日数をスライム付着開始日数とした。得られた結果を図16〜20に示す。
【0049】図16〜18では、OITとDBNPAおよびBNPDとの混合領域において、スライム付着の開始日数のピークが表れていることから、OITとDBNPAおよびBNPDとが相乗的な殺菌効果を有することがわかる。図19および図20は、それぞれDBNPAとOIT、BNPDとOITの2成分からなる製剤の結果であり、図16〜18と比較してスライム付着の開始日数のピークがほとんど表れていない。
【0050】試験例5〔澱粉スラリーに対する持続効力確認試験〕
某製紙工場において採取した酸化澱粉スラリーに工業用水を加えて調製した希釈液(pH4.6)に、前記工場内の澱粉スラリーのストレージタンクから採取した下記の菌種(初期細菌数:3.2×106個/ml)主体のスライムを1%加え、これを試料として、10gをL字管に分注した。
菌種(細菌) Pseudomonas sp.,Alcaligenes sp.,Bacillus sp.【0051】次いで、L字管に各薬剤を有効成分の合計濃度として50mg/lとなるように添加し、30℃で振とう培養し、培養開始から14日後の各試料の細菌数を測定した。その測定結果を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】表3の結果から、この発明の抗菌剤は、この発明の有効成分のうち2成分を組み合わせた2成分系の殺菌剤や公知の3成分系の殺菌剤よりも、細菌に対して有効な殺菌力を有することがわかる。
【0054】
【発明の効果】この発明の抗菌剤は、細菌、カビなど広範な種類の微生物に対して有効な抗菌力を有し、かつその効果が持続する。また、この発明の抗菌剤は、酵母に対する抗菌力も期待できる。この発明の抗菌剤は、従来のものより抗菌力が持続するので、抗菌剤を間欠的に添加して長時間の抗菌効力の持続を必要とする対象系(例えば、澱粉スラリー)に好適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000154727
【氏名又は名称】株式会社片山化学工業研究所
【出願日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【代理人】 【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
【公開番号】 特開2002−3311(P2002−3311A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−189582(P2000−189582)