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【発明の名称】 藻類又は苔の発生抑制剤
【発明者】 【氏名】原田 聰

【氏名】豊田 秀吉

【要約】 【課題】植物それ自体に有害でなく、また作業者や環境に悪影響を及ぼすこともなく、少量の使用量で、藻類や苔の発生を充分に抑制できる薬剤を提供する。

【解決手段】下記の式1で示される3−(3−インドリル)酪酸又はその塩を有効成分とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の式1で示される3−(3−インドリル)酪酸又はその塩を有効成分とすることを特徴とする藻類又は苔の発生抑制剤。
【式1】

【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は藻類又は苔の発生抑制剤に関する。温室内での植物の養液栽培では、養液それ自体や養液の接する機械装置類等に藻類や苔が発生する。これらの藻類や苔は、機械装置類の目詰まりを引き起こし、養液の円滑な循環の障害となる。また植物の苗、例えば芝の苗育成では、培土や支持体上に藻類や苔が発生する。これらの藻類や苔は、単に植物の外観を損なうだけでなく、悪臭の原因にもなる。本発明は、かかる様々な不都合の原因となる藻類や苔の発生を抑制する薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、藻類又は苔の発生抑制剤として、硫酸銅、消石灰、農薬類、第四級アンモニウム化合物等が知られており、またインドール酢酸や3−インドールプロピオン酸にも、藻類や苔の発生を相応に抑制する作用のあることが知られている。しかし、硫酸銅や消石灰は、その使用量にもよるが、植物それ自体に有害であり、農薬類や第四級アンモニウム化合物は作業者や環境に悪影響を及ぼす。またインドール酢酸や3−インドールプロピオン酸は効果の発現が低い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、植物それ自体に有害でなく、また作業者や環境に悪影響を及ぼすこともなく、少量の使用量で、藻類や苔の発生を充分に抑制できる薬剤を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、藻類又は苔の発生抑制剤として、3−(3−インドリル)酪酸又はその塩が正しく好適であることを見出した。
【0005】すなわち本発明は、下記の式1で示される3−(3−インドリル)酪酸又はその塩を有効成分とすることを特徴とする藻類又は苔の発生抑制剤に係る。
【0006】
【式1】

【0007】式1で示される3−(3−インドリル)酪酸の塩としては、カリウムやナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩がある。
【0008】詳しくは実施例で後述するように、式1で示される3−(3−インドリル)酪酸及びその塩は、少量の使用量で、藻類や苔の発生を充分に抑制できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態としては、下記の1)及び2)が挙げられる。
1)式1で示される3−(3−インドリル)酪酸を有効成分とする藻類又は苔の発生抑制剤。
2)式1で示される3−(3−インドリル)酪酸のカリウム塩を有効成分とする藻類又は苔の発生抑制剤。
【0010】
【実施例】試験区分1{式1で示される3−(3−インドリル)酪酸の合成}
アセトニトリル30mlにインドール3g及びメルドラム酸4.43gを溶解し、直前に蒸留して精製したアセトアルデヒドを反応開始時と2時間後に各3ml加え、30℃で6時間撹拌して反応させた。反応液を減圧濃縮後、ピリジン30ml及びエタノール3mlの混合溶媒に溶解し、銅粉150mgを加え、6時間還流煮沸して反応させた。反応液を濾過し、濾液のpHを2N塩酸で酸性にした後、エーテルで抽出した。抽出液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ゲル:和光純薬社製の商品名Wakogel C−200、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製せいて、3−(3−インドリル)酪酸のエチルエステル2.25gを得た。3−(3−インドリル)酪酸のエチルエステル2.25gに、エタノール/10%水酸化カリウム水溶液=1/1の混合溶液20mlを加え、6時間還流した後、エバポレータで乾固した。乾固物に水を加えてエーテルで洗浄し、更に活性炭を加えて加熱脱色した後、濾過して活性炭を除去した。脱色液に2N塩酸を加えて溶液を酸性にすることにより、式1で示される3−(3−インドリル)酪酸の結晶1.85gを得た。
【0011】試験区分2(養液栽培試験1)
養液栽培システムを装備した温室内でトマトを養液栽培し、この際に発生した藻類を採取した。ここで用いた養液は、水1L当たり大塚化学社製の商品名大塚ハウス1号を0.625g、同2号を0.417g、同3号を0.042g及び同5号を0.029g溶解した対照養液であり、採取した藻類には、クラミドモナス(Chlamydomonas)、セネデスムス(Scenedesumus)、アクチナストラム(Actinastrum)、ウロスリクス(Ulothrix)、オシラトリア(Oscillatoria)、スピロジャイラ(Spirogyra)、プロロテニウム(Pleurotaenium)、スチコッカス(Stichoccus)及びクロレラ(Chlorella)の9種が同定された。
【0012】上記藻類を開孔径53μmの濾過網を用いて濾過し、その濾過物を0.8重量%の寒天を含む前記対照養液に包埋した後、コルクボーラーによりくりぬいた。くりぬいた藻類混合寒天ディスクを、前記対照養液に数段階の濃度でインドール酢酸、3−インドールプロピオン酸又は式1で示される3−(3−インドリル)酪酸を添加した試験養液に浸漬し、25℃で2500luxの全日長条件下に7日間培養した後、藻類の増殖有無を肉眼観察した。結果を表1にまとめて示した。
【0013】
【表1】

【0014】表1において、IAA添加区:インドール酢酸を添加した試験養液IPA添加区:3−インドールプロピオン酸を添加した試験養液IBA添加区:式1で示される3−(3−インドリル)酪酸を添加した試験養液+:藻類の増殖が明らかに認められた−:藻類の増殖が認められなかった【0015】試験区分3(養液栽培試験2)
養液栽培システムを装備した温室内でトマトを養液栽培した。用いた養液は、試験区分1と同じ対照養液、この対照養液1L当たり式1で示される3−(3−インドリル)酪酸を10mg添加した試験養液Aの2種である。これらを適宜補充しつつ、夜温約15℃、昼温約25℃の条件下で栽培し、養液や養液の接する機械装置類への藻類や苔の発生状況及びトマトの生育状況を肉眼観察した。結果を表2にまとめて示した。
【0016】
【表2】

【0017】表2において、−:藻類や苔の発生が認められなかった±:藻類や苔の発生が僅に認められた+:藻類や苔の発生が明らかに認められた++:藻類や苔の発生が著しく認められたこれらは以下同じ。
【0018】試験区分4(養液栽培試験3)
養液栽培システムを装備した温室内で、下記の対照養液に浸したロックウールのブロック上にベントグラスの種子を播種して養液栽培した。用いた養液は、水1L当たりハイポネックス社製の商品名ハイポネックスを1g溶解した対照養液、この対照養液1L当たり式1で示される3−(3−インドリル)酪酸を10mg添加した試験養液B及びこの対照養液1L当たり式1で示される3−(3−インドリル)酪酸を25mg添加した試験養液Cの3種である。これらを適宜補充しつつ、夜温約15℃、昼温約30℃の条件下で栽培し、養液やロックウールのブロック回りへの藻類や苔の発生状況及びベントグラスの生育状況を肉眼観察した。結果を表3にまとめて示した。
【0019】
【表3】

【0020】試験区分5(養液栽培試験4)
養液栽培システムを装備した温室内で、下記の対照養液に浸したロックウールのブロック上にベントグラスの種子を播種して養液栽培した。用いた養液は、試験区分4と同じ対照養液、この対照養液1L当たりインドール酢酸を20mg添加した試験養液R及びこの対照養液1L当たり式1で示される3−(3−インドリル)酪酸を20mg添加した試験養液Dの3種である。これらを適宜補充しつつ、夜温約15℃、昼温約30℃の条件下で栽培し、養液やロックウールのブロック回りへの藻類や苔の発生状況を肉眼観察した。結果を表4にまとめて示した。
【0021】
【表4】

【0022】
【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発明には、植物それ自体に有害でなく、また作業者や環境に悪影響を及ぼすこともなく、少量の使用量で、藻類や苔の発生を充分に抑制できるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000104113
【氏名又は名称】カゴメ株式会社
【出願日】 平成12年6月27日(2000.6.27)
【代理人】 【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
【公開番号】 特開2002−3309(P2002−3309A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−192591(P2000−192591)