| 【発明の名称】 |
防腐抗菌性が改善された水性組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】賀 来 健
【氏名】岡 本 晃
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】本発明は、水性媒体中に、少なくとも、フェノキシエタノールと、乳酸および/または乳酸塩とが溶解もしくは分散されているが、L-乳酸およびL-乳酸塩の含有量よりも多い防腐抗菌性が改善された水性組成物である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水性媒体中に、少なくとも、フェノキシエタノールと、乳酸および/または乳酸塩とが溶解もしくは分散されている水性組成物であって、該水性組成物中におけるD-乳酸およびD-乳酸塩の含有量が、L-乳酸およびL-乳酸塩の含有量よりも多いことを特徴とする防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項2】 上記水性組成物中に含有される乳酸および乳酸塩の総量100重量部中に、D-乳酸およびD-乳酸塩が50重量部を超え100重量部以下の量で含有されていることを特徴とする請求項第1項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項3】 上記水性組成物中に含有される乳酸および乳酸塩の総量100重量部中に、D-乳酸およびD-乳酸塩が60〜100重量部の範囲内の量で含有されていることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項4】 上記水性組成物中にフェノキシエタノールが、0.01〜5.00重量%の量で含有されており、且つ-乳酸および/または乳酸塩が0.01〜20.00重量%の量で含有されていることを特徴とする請求項第1項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項5】 上記水性組成物中におけるフェノキシエタノールと、乳酸および/または乳酸塩との配合重量比率が、1:30〜10:1の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項6】 上記水性媒体中におけるフェノキシエタノールと乳酸および/または乳酸塩との合計の含有率が0.1〜30重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項7】 上記水性組成物のpH値が3.5〜10.0の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項8】 上記水性組成物中に、さらにイソステアリン酸グリセリルが含有されていることを特徴とする請求項第1項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項9】 上記水性組成物中に、化粧水形成成分を配合することを特徴とする請求項第1項乃至第8項のいずれかの項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項10】 上記水性組成物中に、ウエットティッシュ用薬液形成成分を配合することを特徴とする請求項第1項乃至第8項のいずれかの項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項11】 上記水性組成物中に、乳液形成成分を配合することを特徴とする請求項第1項乃至第8項のいずれかの項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。 【請求項12】 上記水性組成物中に、洗浄剤形成成分を配合することを特徴とする請求項第1項乃至第8項のいずれかの項記載の防腐抗菌性が改善された水性組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の技術分野】本発明は、防腐抗菌性が改善された水性組成物に関する。さらに詳しくは本発明は、フェノキシエタノールと、乳酸および/または乳酸塩とを含有し、安全性が高く、しかも防腐抗菌性が向上した水性組成物に関する。 【0002】 【発明の技術的背景】化粧品、洗浄剤には、一般に、微生物を殺滅すると共にその増殖を阻止して化粧品の変質を防ぎ、化粧品の品質低下を防止するために防腐抗菌剤が添加されている。こうした化粧品、洗浄剤に配合される防腐抗菌剤は、人体に対する刺激性、毒性などが低く、防腐性、防菌性が高いことが好ましい。特に乳幼児、老人など皮膚抵抗の低い人が使用する化粧品あるいは洗浄剤においてはこうした特性が特に重要になる。 【0003】しかしながら、抗菌性などの特性と皮膚に対する刺激性とは時として相反する特性であり、単独の防腐防菌剤で両者を満足するものは少ない。特に最近では、皮膚に対する刺激性などの他に、防腐抗菌剤には環境ホルモンとして作用するものがあるとの指摘があり、防腐抗菌剤の選定にあたっては、こうした点にも注意する必要がある。 【0004】従来、化粧品などに使用される防腐抗菌剤としては、フェノール類、酸類、アミド類、4級アンモニウム化合物類、両イオン性界面活性剤など種々の防腐抗菌剤が知られている。例えばフェノール系の防腐抗菌剤であるパラオキシ安息香酸エステルは、パラベン類と称されて広く使用されているが、パラベン類には、接触した皮膚の感作性があることがたびたび報告されている。また、パラベン類は、環境ホルモンとして機能するとの疑念があると指摘されていることから、防腐抗菌剤として使用しにくくなっている。 【0005】パラベン類と同様のフェノール系の防腐抗菌剤として、フェノキシエタノールがあり、このフェノキシエタノールは、環境ホルモンとはなり得ず、しかもパラベン類と比較すると皮膚に対する刺激性も低い。しかしながら、このフェノキシエタノールは微生物に対する抗菌スペクトル活性が狭く、単独で使用したのでは充分な防腐抗菌性が発現しない。このためフェノキシエタノールは、他の防腐抗菌剤と共に使用されているのが実情である。例えば、パラベンの一部をフェノキシエタノールで代替して、パラベン類の有する刺激性あるいは毒性をフェノキシエタノールを用いることにより低減するために使用されている。このようにフェノキシエタノールの抗菌スペクトル活性が狭いことから、フェノキシエタノールよりも抗菌スペクトル活性の広いパラベンのような主たる防腐抗菌剤を使用し、この主たる防腐抗菌剤の有する刺激性などを低減し、防腐抗菌性を維持するために、この主たる防腐抗菌剤の一部をフェノキシエタノールで代替するように使用されていた。 【0006】しかしながら、化粧料、洗浄剤など人体に直接使用する水性液剤の防腐防菌剤に関しては、従来から検討されていた刺激性あるいは毒性の外に、環境ホルモンという新たな安全基準を考慮する必要がある。環境ホルモンに関する詳細事項は明らかになっておらず、また環境ホルモンが該当化合物の蓄積によるものであるとするならば、環境ホルモンに該当するという疑惑が生じている化合物を使用することは実質的にできない。 【0007】このように多くの場合、防腐抗菌性能と刺激性など人体に対する影響とは相反する特性であり、特に環境ホルモンという新たな要素を勘案して人体に対する影響を考慮しなければならなくなってきている昨今の状況では、化粧品、洗浄剤などの水性溶液の防腐防菌剤の選定が非常に難しくなってきている。 【0008】 【発明の目的】本発明は、安全性が高く、かつ防腐防菌性の向上した水性組成物を提供することを目的としている。さらに詳しくは本発明は、乳液および化粧液などの化粧料、洗浄剤、ウエットティッシュ用の薬液のように皮膚に直接使用する水性溶液として用いる防腐抗菌性を有する水性組成物であって、環境ホルモンを含めて人体に対する影響が少なく、しかも防腐抗菌性能がよい水性組成物を提供することを目的としている。 【0009】 【発明の概要】本発明は、水性媒体中に、少なくとも、フェノキシエタノールと、乳酸および/または乳酸塩とが溶解もしくは分散されている水性組成物であって、該水性組成物中におけるD-乳酸およびD-乳酸塩の含有量が、L-乳酸およびL-乳酸塩の含有量よりも多いことを特徴とする防腐抗菌性が改善された水性組成物である。 【0010】本発明は、防腐抗菌剤として安全性の高いフェノキシエタノールを使用した水性組成物において、D-乳酸あるいはD-乳酸塩を配合することにより、フェノキシエタノールの抗菌スペクトル活性が向上するとの知見に基づいてなされたものである。即ち、フェノキシエタノールは、抗菌スペクトル活性が狭く、化粧料、洗浄剤、ウエットティッシュ用の薬液の防腐抗菌剤としては単独では充分な防腐抗菌性を発現させることが困難であることから、フェノキシエタノールを使用する場合には、このフェノキシエタノールよりも防腐抗菌性の高い防腐抗菌剤と組み合わせて使用されている。また、本発明で使用する乳酸あるいは乳酸塩は、化粧料などに主として保湿剤などとして配合されている成分である。この乳酸および乳酸塩には、光学異性体であるD体およびL体があることが知られているが、工業的に製造され化粧品などに配合される乳酸あるいは乳酸塩は、一般に、DL体であり、光学活性を有していない。しかも、こうした乳酸あるいは乳酸塩は、化粧料などに保湿剤あるいはpH調整剤として配合されることはあるが、こうした乳酸あるいは乳酸塩が防腐抗菌性能に影響を及ぼすことは知られていない。 【0011】 【発明の具体的説明】次の本発明の水性組成物について具体的に説明する。本発明の抗菌組成物は、水性媒体中に次式[I]で表されるフェノキシエタノールと、D-乳酸あるいはD-乳酸塩とを含有する。 【0012】 【化1】
【0013】このフェノキシエタノールが防腐抗菌性を有することおよび人体に対する刺激性などが低いことが知られており、従来も水性溶液の防腐抗菌剤として使用されている。しかしながら、このフェノキシエタノールは、抗菌スペクトル活性が狭いことから、パラベン類などのように、このフェノキシエタノールよりも防腐抗菌性が高い防腐抗菌剤と共に使用され、パラベン類のような抗菌スペクトル活性の広い防腐抗菌剤の有する防腐抗菌性を維持しながらその使用量を低減して刺激性などを低減するために使用されることが多い。 【0014】本発明で上記フェノキシエタノールと共に水性組成物を構成する乳酸あるいは乳酸塩は、例えば次式[II]で表される。 【0015】 【化2】
【0016】なお、上記式[II]では乳酸塩の例として、乳酸ナトリウムが示されているが、本発明では乳酸塩の例としては、乳酸ナトリウムのほかに、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニウム塩、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、塩基性アミノ酸(例:リジン、アルギニン、ヒスチジンなど)などの有機窒素塩、および、レシチン、ホスファチジルセリンなどの両性塩を与える化合物との塩を挙げることができる。特に本発明では乳酸ナトリウムが好ましい。 【0017】上記の乳酸あるいは乳酸塩には、D体、L体およびDL体があり、工業的に一般に製造され、使用されているのはDL体である。このDL体中にはD体とL体とが50:50の比率で含有されており、従って、このDL体は光学活性を有していない。有機酸あるいは有機酸塩はある程度の抗菌または静菌作用を有することは知られているが有機酸単独で化粧水、乳液、洗浄剤あるいはウエットティッシュ用薬液のように溶媒である水に対する有機成分が比較的少ない組成物に長期間にわたって防腐抗菌性を維持するほどの抗菌作用あるいは静菌性があるとは考えられていなかった。さらに、こうした乳酸あるいは乳酸塩のように光学活性を有する有機酸の鏡像異性体あるいはラセミ混合物の間において、フェノール系抗菌剤であるフェノキシエタノールの防腐抗菌性を改善するとの静菌作用の差異も認識されていない。 【0018】本発明において、フェノキシエタノールと共同して防腐抗菌性を向上させるのはD-乳酸および/またはD-乳酸塩である。即ち、例えば、フェノキシエタノールが溶解されている水溶液に、それぞれ、D-乳酸ナトリウム、DL-乳酸ナトリウム、L-乳酸ナトリウムを配合して、大腸菌、ブドウ球菌などの細菌類、あるいは、カンジダ菌、黒かびなどの真菌類を加えて培養すると、フェノキシエタノールとD-乳酸ナトリウムを配合した組成物における菌あるいは黴の増殖が最も少ない。また、D-乳酸ナトリウムとL-乳酸ナトリウムの両者が含有される場合には、D-乳酸ナトリウムの含有率をL-乳酸ナトリウムの含有率より高くすることにより、DL体を用いた場合よりも菌あるいは黴の増殖が抑制される。なお、D-乳酸についても同等の作用効果を確認した。 【0019】従って、本発明の水性組成物に含まれる乳酸および乳酸塩の合計量100重量部中には、D-乳酸あるいはD-乳酸塩が、L-乳酸あるいはL−乳酸塩よりも多量に含有されている。本発明の水性組成物(100重量部)中において、フェノキシエタノールは、通常は0.01〜5.00重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部の量で含有されている。また、乳酸および乳酸塩は本発明の水性組成物(100重量部)中に、通常は0.01〜20.00重量部、好ましくは0.1〜5重量部の量で含有されている。フェノキシエタノールを上記範囲を大きく逸脱して多いと皮膚に対する刺激性が高くなり、また少なすぎると充分な防腐抗菌性が発現しない。そして、この水性組成物中に含有される乳酸および乳酸塩の合計重量中(100重量部)中にD-乳酸およびD-乳酸塩が、50重量部を超え100重量部以下、好ましくは60〜100重量部、特に好ましくは70〜100重量部の量で含有されている。このようにD-乳酸およびD-乳酸塩の含有率をL体の含有率よりも高くすることにより、フェノキシエタノールと共同して本発明の水性組成物の防腐抗菌性能が向上する。なお、特開平7-258077号公報には、D-乳酸をほとんど含まない乳酸の塩が皮膚に対して吸収性が良いことが記載されており、皮膚に対する吸収性はL体がD体よりも良いと記載されているが、本発明ではこれと逆に、フェノキシエタノールと乳酸とを併用して防腐抗菌性を発現させる際には、D-乳酸あるいはD-乳酸塩をリッチにすることにより、水性組成物の防腐抗菌性が向上する。 【0020】そして、本発明の水性組成物(100重量部)において、フェノキシエタノールと、乳酸および乳酸塩との合計の含有率は、通常は0.1〜30重量部、好ましくは1.0〜5.0重量部である。また、フェノキシエタノールと、乳酸および乳酸塩とは、通常は1:30〜10:1の重量比、好ましくは1:5〜2:1の重量比で用いられる。本発明の水性組成物は、上記のようにフェノキシエタノールを含有すると共に、D-乳酸およびD-乳酸塩がL-乳酸およびL-乳酸塩よりも高い含有率で含有されているが、この水性組成物のpH値が通常は3.5〜10.0、好ましくは4.5〜6.5の弱酸性にあることが好ましい。このように水性組成物のpH値を弱酸性にすることにより、防腐抗菌性が向上すると共に、皮膚に対するこの水性組成物の刺激性がより低くなり、例えば乳液、化粧水、ウエットティッシュ用薬液、シャンプー、ボディーシャンプーとした場合に、良好な使用感が発現する。こうしたpH値の調整には、有機酸と有機酸塩とを組み合わせて使用して緩衝剤とすることもできる。例えば、クエン酸とクエン酸塩、コハク酸とコハク酸塩などの有機酸を用いることができる。また、本発明で抗菌剤として使用される乳酸ナトリウムと乳酸とを組み合わせて所定の弱酸性となるように緩衝作用を発現させることもできる。 【0021】本発明の水性組成物は、フェノキシエタノールと、D体がリッチの乳酸および/または乳酸塩とを精製水に投入して常法に従って溶解あるいは分散させることにより調製することができる。本発明の水性組成物は、上記のようにフェノキシエタノールと、D体リッチの乳酸および/または乳酸塩とを含有し、さらに必要によりpH調整剤を含有するものであるが、この水性組成物にさらにイソステアリン酸グリセリルを配合することによりこの水性組成物の防腐抗菌性はさらに向上する。ここでイソステアリン酸グリセリルは、水性組成物100重量部中に、通常は0.01〜5.00重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部の範囲内の量で配合される。 【0022】本発明の水性組成物において、フェノキシエタノール、D体リッチな乳酸あるいは乳酸塩、さらに必要により配合されるイソステアリン酸グリセリルによって防腐抗菌性が向上する理由の詳細については不明であるが、例えば細胞膜形成に関与するペプチドグルカンなどの成分の合成がD-乳酸あるいはD-乳酸塩とフェノキシエタノールとによって阻害される確率が、生体成分であるL体を用いた場合よりも高くなることなどが、その一因として考えられる。 【0023】本発明の水性組成物は、カンジダ菌などの酵母;真菌、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌;大腸菌、緑膿菌などのグラム陰性菌などに対して有効であり、本発明の水性組成物は、広い抗菌スペクトル活性を有する。また、本発明の水性組成物を形成するフェノキシエタノール、乳酸、乳酸塩、さらに必要によりイソステアリン酸グリセリルは、いずれも皮膚刺激が少なく、またこれらの成分は環境ホルモンとはならないので、安全性が高い。 【0024】なお、本発明ではフェノキシエタノール、乳酸および/または乳酸塩に加えて安息香酸およびその塩などの安全性の高い防腐抗菌剤を併用することができる。上記のように本発明の水性組成物は優れた防腐抗菌性を有し、しかも皮膚に対する刺激、毒性が低く、化粧水、乳液、洗浄剤、ウエットティッシュ用薬剤など人体に直接使用される水性液の防腐抗菌性水性基剤として使用することができる。 【0025】以下、本発明の水性組成物を防腐抗菌性の水性基剤として使用する例を示す。本発明の水性組成物は、化粧水の水性基剤として使用することができる。即ち、本発明の水性組成物に化粧水形成成分を配合することにより防腐抗菌性がよく、刺激性の少ない化粧水を得ることができる。化粧水には皮膚の柔軟・保湿を目的とした柔軟性化粧水、皮膚の過剰な油分の分泌を抑えて皮膚をひきしめ整える収斂性化粧水などがあるが、本発明の水性組成物はこれらの化粧水のいずれにも使用することができる。 【0026】このような化粧水には、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、多価アルコール、糖類、アミン類などの保湿成分;エステル油、高級アルコールなどのエモリエント剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの可溶化剤;クリンスシード、トラガントガム、ペクチン、アルギン酸塩、セルロース誘導体、アクリル酸系ポリマー、ピーガム、ラボナイト、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン酸塩などの増粘剤;香料;染料;緩衝剤;パラフェノールスルホン酸亜鉛、ビタミン、アミノ酸誘導体などの薬効成分などを本発明の水性組成物100重量部に対して、通常は0.001〜20重量部、好ましくは0.01〜5.0重量部の範囲内の量で配合することができる。 【0027】また、本発明の水性組成物は、乳液形成成分を配合することにより、防腐防菌性に優れ、刺激性の少ない乳液を形成することができる。乳液には、エモリエントローション、モイスチャアローション、ミルキイローション、ナリシングローション、マッサージローション、マッサージクリーム、クレンジングローション、クレンジングクリームなどがある。また、乳液にはO/Wエマルジョン、W/Oエマルジョン、O/W〜W/Oエマルジョンなどがあり本発明の水性組成物はいずれの乳液を調製する際の水性基剤として使用することができる。 【0028】このような乳液は、油性成分、保湿剤、乳化剤、増粘剤、安定化剤などを用いて油性成分を水性基剤に乳化することにより製造することができる。ここで使用される油性成分の例としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、エルカ酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸ミリスチン酸、ラウリン酸、リシノール酸、パルミトレイン酸、ミリストレイン酸、ベヘリン酸等の脂肪酸、流動パラフィン、パラフィン、イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、セレシン、セタノール、ラノリンアルコール、スクワラン、合成スクワラン、スクワレン、ミツロウ、ラノリン、ポリエチレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、セラミド類などを挙げることができる。 【0029】また、乳化剤としては、ポリオキシエチレンエーテル型ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型ノニオン系界面活性剤、多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン系界面活性剤、多価アルコールアルキルエーテル型プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル型ノニオン系界面活性剤およびアルキルジアルキルアミンオキシド系型ノニオン系界面活性剤などのノニオン界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸型アニオン系界面活性剤、N-アシル有機酸塩型アニオン系界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン系界面活性剤、硫酸塩型アニオン系界面活性剤およびリン酸塩型アニオン系界面活性剤、脂肪族アミン塩型カチオン系界面活性剤およびその4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤およびスルホベタイン型両性界面活性剤などを挙げることができる。 【0030】具体例としては、ポリオキシエチレン(10)アルキル(C12,13)エーテル、ポリオキシエチレン(1〜20)ポリオキシプロピレン(1〜8)セチルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、親油型モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、イソパルミチン酸ジグリセリル、縮合リシノレイン酸ポリ(6)グリセリル、ショ糖脂肪酸エステル、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(POE3モル付加)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(POE4モル付加)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、エチル硫酸ラウリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、臭化アルキルイソキノリウム、2-アルキル-N-カボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどを挙げることができる。これらの界面活性剤は単独であるいは組み合わせて使用することができる。 【0031】こうした乳液には、保湿剤、香料、増粘剤、消炎剤、美白剤、紫外線吸収剤、シワ取り成分などを配合することができる。また、本発明の水性組成物に洗浄剤形成成分を配合することにより、シャンプー、ボディーシャンプー、ハンドソープなどの洗浄剤を製造することができる。こうした洗浄剤は、本発明の水性組成物に、陰イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤などの界面活性剤、増泡剤、増粘剤、ハイドロトローブ、乳濁剤、コンディショニング剤、ふけとめ剤、香料、染料、保湿剤、沢出剤、毛髪活性成分など、洗浄剤の用途に併せて適宜選択して使用することができる。 【0032】本発明の水性組成物は、上記の用途に限らず、その他の化粧料、特に防腐性が必要となる各種のクリーム類(例えば、エモリエントクリーム、クレンジングクリーム、シェービングクリーム、漂白クリーム、日焼け止めクリームなど)、乳液および全身洗浄剤などのエマルジョンなどの水性基剤として好適に使用することができる。これらは、微生物の栄養源となる有機物を含み、この有機物が微生物の増殖に必要な水中に溶解もしくは分散しており、非常に微生物による汚染を受けやすい。本発明の水性組成物は、上記のような化粧料の外に、保湿させた紙製品または紙と同等の材質の製品、保湿させた布製品もしくは不繊布製品を形成するための水性薬液として使用することができる。 【0033】例えば、本発明の水性組成物を用いてウエットティッシュ用薬液を形成することができる。ウエットティッシュ用薬剤は、本発明の水性組成物に、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、多価アルコール、糖類、アミン類などの保湿成分;エステル油、高級アルコールなどのエモリエント剤などを本発明の水性組成物100重量部に対して、通常は0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜5.0重量部の範囲内の量で配合することができる。これらの衛生用品において、製品の品質保持と使用中の衛生上の観点からカビの繁殖や雑菌の増殖を、使用前そして使用中も抑える必要があり、本発明の水性組成物は、こうした衛生材料に含有される水性成分の基剤として好適に使用することができる。また、本発明の水性組成物中に含有される乳酸あるいは乳酸塩は保湿性も有することから、こうした衛生用品を使用した後の皮膚の乾燥などを防止するとの利点もある。本発明の水性塗料を含浸させた紙製品、または紙と同等の材質を使用した製品の例としては、ウェットティッシュ、クレンジングティッシュ、使い捨てお絞り、お尻ナプキン(ベビー用品)などの衛生用品のほかに、台所・トイレ掃除用の濡れティッシュ、フローリング掃除用のウェットローラーなどを挙げることができる。このように本発明の水性組成物を使用することにより、良好な防腐抗菌性を有する化粧液、乳液、洗浄剤、衛生用品などを調製することができる。しかも、防腐抗菌剤として、非常に安全性が高く、環境ホルモンともなりえないフェノキシエタノール、および、D体リッチの乳酸あるいな乳酸塩を使用しているので、人体に対しても安全であり、また、皮膚に対する刺激性などのほとんどない。従って、本発明の水性組成物は、成人用の化粧料などを製造する際の水性基剤として使用することができるのは勿論、皮膚の抵抗力の低い乳幼児、老人、皮膚疾患の患者などに使用する液剤の水性基剤として特に好ましく使用することができる。 【0034】また、本発明の水性組成物は、上記以外に、歯磨き、含嗽剤、軟膏剤、点眼剤、コンタクトレンズ用液、点鼻点耳剤などの防腐殺菌剤あるいはこれらの水性基剤として使用することができる。 【0035】 【発明の効果】本発明の水性組成物は、フェノキシエタノールと乳酸および/または乳酸ナトリウムとを含有しており、しかもこの水性組成物中における乳酸および乳酸ナトリウムの総量中にD体がL体よりも多く含有されている。この系において、乳酸あるいは乳酸ナトリウムのD体は、L体よりも優れた防腐抗菌性を示し、さらに、D体は、乳酸あるいは乳酸ナトリウムとして一般に使用されているDL体よりも高い防腐抗菌性を示す。乳酸および乳酸ナトリウムは、化粧品原料基準に掲載されている成分であるが、防腐抗菌性成分としてフェノキシエタノールと組み合わせ、しかも乳酸、乳酸ナトリウムのD体をL体よりも高い含有率で配合することにより、DL体を用いた場合のよりも優れた防腐抗菌性が向上することは知られていない。また、このフェノキシエタノールとD体を多く含有する乳酸および/または乳酸ナトリウムとを組み合わせた系における防腐抗菌性は、イソステアリン酸グリセリルを併用することによりさらに向上する。本発明の水性組成物に、化粧水形成成分、乳液形成成分、ウエットティッシュ用液剤形成成分、洗浄剤形成成分を配合しても、上記フェノキシエタノールとD体リッチな乳酸および/または乳酸ナトリウムによって奏される防腐抗菌作用は損なわれることなく保持される。また、本発明の水性組成物中に含有されフェノキシエタノール、乳酸および乳酸ナトリウムは人体に対する毒性および刺激性が著しく低いと共に、例えばパラベンのように環境ホルモンとなる蓋然性がないことから、本発明の水性組成物は化粧品、医薬品、洗浄剤など、人体に使用する水性液剤の防腐抗菌組成物としての有用性が高い。さらに、フェノキシエタノール、乳酸、乳酸ナトリウムは、安定性が高く、これらの成分を含有する水性組成物に他の成分、例えば、化粧水形成成分、乳液形成成分、洗浄剤形成成分、ウエットティッシュ用薬液形成成分などを配合しても、これらの成分と反応することがなく、また、これらの成分を配合しても着色、変色、変臭などが生ずることがない。また、乳酸および乳酸ナトリウムは、皮膚に対する保湿性もあることから、本発明の水性組成物を使用して調製された化粧料などは、保湿性もよく、さらに、乳酸および乳酸ナトリウムは皮膚に対して収斂作用も有することから、本発明の水性組成物を使用して調製された化粧料などにこの収斂効果を賦与することもできるとの利点もある。 【0036】 【実施例】以下、本発明の水性組成物について実施例を示してさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。 【0037】 【実施例1】フェノキシエタノール0.5gとD-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液5.0gとを精製水に溶解した。この水溶液にpH調整剤としてクエン酸0.03gを加え、さらに精製水を加えて全体量100gの水性組成物を得た。この水性組成物のpH値(25℃)は、5.41であった。 【0038】この水性組成物を滅菌された複数の培養容器に10ミリリットルづつ入れ、この容器には18〜24時間前に培養したカンジダ菌を含有する水溶液(生菌数1.0×105個/ml)を0.1ミリリットル加え接種した。さらに、別の培養容器に黄色ブドウ球菌を含有する水溶液(生菌数4.4×106個/ml)を0.1ミリリットル加え接種した。 【0039】次いで、カンジダ菌が入った培養容器を25℃の恒温槽に、黄色ブドウ球菌が入った培養容器を37℃の恒温槽に入れ、48時間静置し培養した。その後、これらの培養液をLP希釈液による段階希釈し、それぞれ1mlを取り、寒天培地と混釈した後、カンジダ菌を25℃、黄色ブドウ球を37℃にて培養した。24時間後寒天培地に生育した菌のコロニを数え、水性組成物液に生き残った菌数を換算し得た。 【0040】結果を表1に示す。 【0041】 【比較例1】上記実施例1において、D-乳酸ナトリウムの代わりに、L-乳酸ナトリウム5.0gに代えた以外は同様にして水性組成物を調製し、この水性組成物についての防腐抗菌性を実施例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。 【0042】 【表1】
【0043】上記表1に記載した実施例1と比較例1との対比から、フェノキシエタノールと乳酸ナトリウムとを含有する水性組成物において、D-乳酸ナトリウムとL-乳酸ナトリウムとでは、フェノキシエタノールとD-乳酸ナトリウムとを含有する水性組成物が明らかに防腐抗菌性に優れている。 【0044】 【実施例2および比較例2】上記実施例1および比較例1では、乳酸ナトリウムの50重量%水溶液の配合量が5.0gであるが、この乳酸ナトリウムの50重量%水溶液の配合量を2.0gにした水性組成物を調製して防腐抗菌性を調べた。また、pH調整剤であるクエン酸が、防腐抗菌性に及ぼす影響を排除するために、この実施例4および比較例4では、クエン酸を添加していない。 【0045】即ち、実施例1において、フェノキシエタノール0.5gとD-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液2.0gとを配合した水性組成物(実施例2)、および、フェノキシエタノール0.5gとL-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液2.0gとを配合した水性組成物(比較例2)を実施例1と同様の方法で調製して両者の防腐抗菌性を同様にして比較した。 【0046】結果を表2に示す。 【0047】 【表2】
【0048】上記表2に記載した実施例2と比較例2との対比においても同様に、フェノキシエタノールと乳酸ナトリウムとを含有する水性組成物において、D-乳酸ナトリウムとL-乳酸ナトリウムとでは、フェノキシエタノールとD-乳酸ナトリウムとを含有する水性組成物が明らかに防腐抗菌性に優れている。また、pH調整剤として添加されるクエン酸は、フェノキシエタノールと乳酸ナトリウムとを含有する水性組成物において、D-乳酸ナトリウムをリッチにした水性組成物が、L-乳酸ナトリウムリッチの水性組成物よりも防腐抗菌性に優れるという傾向には影響を及ぼさないことがわかる。 【0049】 【実施例3】フェノキシエタノール0.5gとL-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液0.5gとD-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液4.5gとを精製水に溶解した。この水溶液にクエン酸0.03gを加え、さらに精製水を加えて全体量100gの水性組成物を得た。 【0050】この水性組成物のpH値(25℃)は、5.62であった。この水性組成物を滅菌された3組の培養容器に10ミリリットルづつ入れ、第1組の培養容器に18〜24時間前に培養したカンジダ菌を含有する水溶液(生菌数1.0×105個/ml)0.1ミリリットルを加え接種し、第2組の培養容器に18〜24時間前に培養した大腸菌を含有する水溶液(生菌数5.6×106個/ml)0.1ミリリットルを加え接種し、第3組の培養容器に18〜24時間前に培養した黄色ブドウ球菌を含有する水溶液(生菌数1.5×106個/ml)0.1ミリリットルを加え接種した。 【0051】次いで、カンジダ菌が入った培養容器を25℃の恒温槽に、大腸菌と黄色ブドウ球菌が入った培養容器を37℃の恒温槽に入れ、48時間静置し培養した。その後、これらの培養液をLP希釈液による段階希釈し、それぞれ1mlを取り、寒天培地と混釈した後、カンジダ菌を25℃、黄色ブドウ球を37℃にて培養した。24時間後寒天培地に生育した菌のコロニを数え、水性組成物混釈液に生き残った菌数を換算し得た。 【0052】結果を表3に示す。 【0053】 【実施例4】実施例3において、L-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液の量を1.5gとし、D-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液の量を3.5gとした以外は同様にして水性組成物を調製し、この水性組成物を用いて同様にしてカンジダ菌、大腸菌および黄色ブドウ球菌を増殖させ、単位面積あたりの菌数を測定した。 【0054】結果を表3に示す。 【0055】 【比較例3】実施例3において、L-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液の量を2.5gとし、D-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液の量を2.5gとした以外は同様にして水性組成物を調製し、この水性組成物を用いて同様にしてカンジダ菌および大腸菌を増殖させ、単位面積あたりの菌数を測定した。 【0056】結果を表3に示す。 【0057】 【比較例4】実施例3において、L-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液の量を2.5gとし、D-乳酸ナトリウムの50重量%水溶液の量を2.5gとした以外は同様にして水性組成物を調製し、この水性組成物を用いて同様にしてカンジダ菌および大腸菌を増殖させ、単位面積あたりの菌数を測定した。 【0058】結果を表3に示す。 【0059】 【表3】
【0060】上記表3から、乳酸ナトリウム中におけるD-乳酸ナトリウムの含有率が高くなるに従って、カンジダ菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌の増殖抑制効果が高くなることがわかる。即ち、フェノキシエタノールと乳酸ナトリウムとを含有する防腐抗菌性水性媒体では、乳酸ナトリウムのD体とL体とでは防腐抗菌効果が異なり、L体の含有率よりもD体の含有率の高い水性媒体が、より高い防腐抗菌効果が発現することがわかる。 【0061】 【実施例5】上記実施例1〜3および比較例1〜3により得られた結果に基づいて、フェノキシエタノールとD-乳酸ナトリウムおよびL-乳酸ナトリウムとを用いて表4に示す組成の化粧水を調製した。得られた化粧水について、実施例1と同様に培養容器に分取し、それぞれの培養容器に黒カビ、カンジダ菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌と緑膿菌を加え接種した。なお、黒カビは1週間前に前培養し、他の4菌は18〜24時間前に前培養したものを用いた。生菌数は全て1.0×105〜9.9×105個/mlになるように調製した。 【0062】黒カビとカンジダ菌が入った培養容器を25℃の恒温槽に、緑膿菌、大腸菌と黄色ブドウ球菌が入った培養容器を37℃の恒温槽に入れ、黒カビは1週間、ほかの菌は48時間静置し培養した。その後、これらの培養液をLP希釈液による段階希釈し、それぞれ1mlを取り、寒天培地と混釈した後、カンジダ菌と黒カビを25℃、緑膿菌、大腸菌と黄色ブドウ球を37℃にて培養した。24時間後寒天培地に生育した菌のコロニを数え、生き残る菌数を換算し得た。生き残る菌数は初期の生菌数に比べ、死滅率は100%の場合“AA”、99.5〜99.9%の場合‘A’、99.5%以下の場合“BB”として表記し表4に併せて記載する。 【0063】 【比較例5】実施例5において、乳酸ナトリウムを用いずに、フェノキシエタノールの使用量を0.50gとした以外は同様にして化粧水を調製し、同様にして黴あるいは菌の繁殖状況を調べた。結果を表4に記載する。 【0064】 【比較例6】実施例5において、乳酸ナトリウムを使用せずに代わりにパラベンを0.20g使用した以外は同様にして化粧水を調製し、同様にして黴あるいは菌の繁殖状況を調べた。結果を表4に記載する。 【0065】 【表4】
【0066】 【実施例6】上記実施例1〜3および比較例1〜3により得られた結果に基づいて、フェノキシエタノールとD-乳酸ナトリウムおよびL-乳酸ナトリウムとを用いて表5に示す組成のウエットティッシュ用薬液組成物を調製した。得られたウエットティッシュ用薬液組成物について、前記試験と同様に培養容器に分取し、黒カビを加え接種した。25℃、8時間静置した後、生き残る菌数を調べ、死滅率は100%の場合“AA”、99.5〜99.9%の場合‘A’、99.5%以下の場合“BB”として表記し表5に併せて記載する。 【0067】 【比較例7】実施例6において、乳酸ナトリウムを用いなかった以外は同様にしてウエットティッシュ用薬液組成物を調製し、同様にして黴の繁殖状況を調べた。結果を表5に記載する。 【0068】 【表5】
【0069】 【実施例7】上記実施例1〜3および比較例1〜3により得られた結果に基づいて、フェノキシエタノールとD-乳酸ナトリウムおよびL-乳酸ナトリウムとを用いて表6に示す組成の乳液を常法に従って調製した。得られた乳液について、前記試験と同様に培養容器に分取し、黒カビを加え接種した。25℃、1週間静置した後、生き残る菌数を調べ、死滅率は100%の場合“AA”、99.5〜99.9%の場合‘A’、99.5%以下の場合“BB”として表記し表6に併せて記載する。 【0070】 【比較例8】実施例7において、乳酸ナトリウムを用いなかった以外は同様にして乳液を調製し、同様にして黴の繁殖状況を調べた。結果を表6に記載する。 【0071】 【表6】
【0072】 【実施例8】上記実施例1〜3および比較例1〜3により得られた結果に基づいて、フェノキシエタノールとD-乳酸ナトリウムおよびL-乳酸ナトリウムとを用いて表7に示す組成の洗浄剤を調製した。得られた洗浄液について、前記試験と同様に培養容器に分取し、黒カビを混釈接種した。25℃、1週間後、生き残る菌数を調べ、死滅率は100%の場合“AA”、99.5〜99.9%の場合‘A’、99.5%以下の場合“BB”として表記し表7に併せて記載する。 【0073】 【比較例9】実施例8において、乳酸ナトリウムを用いなかった以外は同様にして洗浄剤を調製し、同様にして黴の繁殖状況を調べた。結果を表7に記載する。 【0074】 【表7】
【0075】 【実施例10】実施例4において、フェノキシエタノール0.5g、L-乳酸ナトリウム1.5g、D-乳酸ナトリウム3.5gの代わりに、フェノキシエタノール0.5g、L-乳酸ナトリウム0.6g、D-乳酸ナトリウム1.4gを使用し、さらに、イソステアリン酸グリセリル1.0gを加えた以外は同様にして水性組成物を調製した。 【0076】この水性組成物について実施例4と同様にして防腐抗菌性を調べた。結果を表8に示す。イソステアリン酸グリセリルの添加効果を示すために実施例4における防腐抗菌性の結果も併せて表8に記載する。 【0077】 【表8】
【0078】上記表8に示すように、実施例10で調製した水性組成物では、乳酸ナトリウム(D体およびL体の合計)の添加量が実施例4で調整した水性組成物よりも少ないにも拘わらず、1.00gのイソステアリン酸グリセリルを配合することによって、実施例4で調製した水性組成物よりも優れた防腐抗菌効果を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000112288 【氏名又は名称】ピジョン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月21日(2000.6.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081994 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 俊一郎 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−3306(P2002−3306A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月9日(2002.1.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−186698(P2000−186698) |
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