| 【発明の名称】 |
燻煙組成物を用いる生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】西河 精一
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| 【要約】 |
【課題】燻煙組成物を用いる簡易かつ効果的な生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の殺菌活性成分を含む燻煙組成物を蒸散、燻煙化させることを特徴とする生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法。燻煙殺菌成分の例としては、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−0−トルイジンがあげられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも1種の殺菌活性成分を含む燻煙組成物を蒸散、燻煙化させることを特徴とする、生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法。 【請求項2】前記生植物、穀物、木材または飼料として、植物の種子、地下茎または根を用いる、請求項1記載の生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法。 【請求項3】前記燻煙組成物は、殺菌活性成分として、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジンを含有してなる、請求項1または2記載の生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも一種の殺菌活性成分を含む燻煙組成物を用いる生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、発芽後の病害予防のために植物の種子、地下茎または根等を殺菌消毒することが行われている。かかる殺菌消毒の方法としては、例えば、■高濃度の殺菌剤水溶液に植物種子等を浸漬し、乾燥する方法、■高濃度の殺菌剤水溶液を植物種子等の表面にコートし、乾燥する方法(いわゆる種子コーティング)等が知られている。一方、例えば、特開平5−294803号公報や特開平7−196404号公報、特開2000−7509号公報等に記載されているように、有害生物の駆除を目的として、殺虫剤成分を含有する燻煙組成物を蒸散・燻煙する有害生物の駆除方法が知られている。 【0003】本発明に関連するものとして、特開平9−291007号公報には、高濃度のリン化水素を含有するガスにより生植物、穀物、木材または飼料を処理する燻煙方法及び燻煙システムが開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述した植物種子等を殺菌処理する方法は、比較的簡便かつ効果的に種子等を消毒処理できるものである。しかしながら、この方法は水溶液を用いるものであるため、水との接触により種子等の発芽率が低下したり、播種前に植物種子等の発芽が開始する(いわゆる「芽が動く」)する場合や、消毒作業後の廃液処理の問題があった。また、この場合、種子等を粉末状の殺菌剤組成物にまぶす方法も考えられるが、作業が繁雑であり、粉立ち等により作業者の健康衛生上の悪影響も懸念される。 【0005】そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、少なくとも一種の殺菌活性成分を含む燻煙組成物を用いる、簡易かつ効果的な生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、少なくとも1種の殺菌活性成分を含む燻煙組成物を蒸散、燻煙化させることを特徴とする、生植物、穀物、木材または飼料の殺菌処理方法を提供する。本発明の殺菌処理方法においては、生植物、穀物、木材または飼料として、特に植物の種子、地下茎または根を用いるのが好ましい。また前記燻煙組成物は、殺菌活性成分として、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジンを含有してなるのが好ましい。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、少なくとも一種の殺菌活性成分を含有する燻煙組成物を用いる。燻煙剤は、一般的には、加熱によって有効成分を煙状の微細な粒子として空気中に拡散させることにより、被燻煙物の表面に付着させ、あるいは病害虫に直接接触・吸入させて効力を発揮せしめる薬剤をいう。一般に煙とは、気体やガスと異なり極めて微粒の個体が空気中に分散しているものである。例えばタバコやタキ火の煙の粒子の大きさは、直径が0.1〜1ミクロン程度であり、燻煙剤の煙は1〜5ミクロン程度の微粒子が90%以上を占めている。 【0008】燻煙剤の種類・方式としては、■化学薬品類の分解熱を利用する自燃式燻煙剤(ジェット式等)、■電熱器等の熱源を利用して有効成分を煙化する熱源利用式燻煙剤(スモーク剤)及び■蒸散器を利用して加熱水蒸気で有効成分を飛散させる燻煙剤等が揚げられる。本発明においては、燻煙剤の種類・方式に特に制限はなく、いかなる種類・方式の燻煙剤でも用いることができるが、■の自燃式燻煙剤を用いるのが好ましい。 【0009】本発明に用いる燻煙組成物は、少なくとも一種の殺菌活性成分を含み、燻煙機能を有するものであれば、組成物に含まれる成分の種類、配合割合等に特に制限はない。例えば、上記■の自燃式燻煙剤の場合には、活性成分、自己反応性物質、有機発泡剤、発泡調節剤及び粘結剤等を含有してなる殺菌剤組成物と、酸化剤を主剤として酸化剤分解促進剤、可燃体等を含有してなる可燃性組成物の2種の組成物からなる燻煙組成物が挙げられる。このものは、可燃性組成物からの燃焼熱により自己反応性物質が反応し、その反応熱、分解熱により殺菌活性成分は気化され、さらにアゾ化合物等の有機発泡剤の熱分解により生成したガスによって、殺菌活性成分が空気中に揮散するものである。 【0010】前記殺菌剤組成物に含まれる殺菌活性成分としては、従来農園芸用殺菌剤として用いられている殺菌活性成分であれば特に制限はないが、例えばベンズイミダゾール系殺菌剤、アゾール系殺菌剤等の種子消毒剤として用いられる殺菌活性成分が好ましく、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン(一般名:トリフルミゾール、日本曹達(株)製)であるのが特に好ましい。また、本発明においては、2種以上の殺菌活性成分の組合せ、殺菌活性成分と殺虫活性成分の組合せ、殺菌活性成分と殺ダニ活性成分の組合せ、殺菌活性成分と除草活性成分の組合せ等も活性成分として含有させることができる。 【0011】前記自己反応性物質としては、例えば、ニトロセルロース、セルロイド及びこれらの類縁体等が挙げられる。また、これらはフタル酸エステル等の有機酸エステルの可塑剤と混合し、固溶体の形で使用することもできる。 【0012】有機発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイゾブチロアミド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、メチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,4−ビス(アゾスルホントルエン)、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾフェネトール、アゾベンゼンジカルボン酸、トリヒドラジノトリアジン、N,N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン等を挙げることができる。 【0013】また、発泡調節剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができ、粘結剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デンプン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。各配合成分の燻煙組成物中の配合割合は、通常自己反応性物質が10〜25重量%、有機発泡剤が20〜40重量%、発泡調節剤が3−10重量%、粘結剤が0〜10重量%程度である。 【0014】また、前記殺菌剤組成物中には、所望により、酸化アルミニウム、クレー、タルク、珪藻土、パーライト等の無機担体、ピペロニルブトキシド、効力増強剤、香料等を添加することができる。 【0015】殺菌剤組成物の製法としては、例えば、殺菌活性成分を除く他の成分に適量の水を加えて十分に混練し、押し出し機等により、通常、粒径1〜4mm程度の顆粒状に成形、乾燥して殺菌活性成分を含まない組成物を得、このものに、少量の溶剤に溶解した殺菌活性成分を吹き付け、乾燥する方法が挙げられる。また、殺菌活性成分を含むすべての成分を適量の水に加えて十分に混練し、押し出し機により顆粒状に成形、乾燥することによっても得ることができる。造粒成形の際には、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デンプン、ポリビニルアルコール等の造粒調整助剤を添加するのが好ましい。 【0016】前記可燃性組成物は、通常、酸化剤を主剤として酸化剤分解促進剤、燃焼剤、発熱調節剤等を含む。酸化剤としては、例えば、塩素酸カリウム等の塩素酸塩、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム等の過塩素酸塩等を、酸化剤分解促進剤としては、例えば塩化鉄、塩化銅等を、発熱調整剤としては、例えば硝酸グアニジン、ジシアンジアミド、リン酸グアニル尿素、スルファミン酸グアニジン等を、燃焼剤としては、例えば、糖類、セルロース、木炭等をそれぞれ挙げることができる。また、成形を容易にするために、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の造粒成型助剤を添加するのが好ましい。可燃性組成物は、通常0.5〜3.5mmの顆粒状に成形される。 【0017】次いで、前記殺菌剤組成物と可燃性組成物とを配合して燻煙組成物を得る。両者の配合割合は、通常殺菌剤組成物:可燃性組成物=1:0.5〜1:4の範囲である。両者を混合して点火剤を装着することにより、あるいは上に殺菌剤組成物層、下に可燃性組成物層として層を分けた形で重ねて、例えば紙あるいはプラスチックス製の円筒容器に装填し、通常可燃性組成物層の下部に点火剤を装着することにより、殺菌燻煙剤とすることができる。また、可燃性組成物に代えて、例えば酸化カルシウムと水を用いることにより化学反応熱を利用した熱源や、ヒーター等の熱源を利用した燻煙剤とすることもできる。 【0018】本発明で燻煙殺菌処理される対象としては、球根、種芋類、種子等が挙げられる。対象作物としては、例えば、コンニャク、チューリップ、ユリ、食用ユリ、スイセン、グラジオラス、フリージャー、ラッキョ、バレイショ、サトイモ、ニンニク、カンショ、ヤマノイモ等の球根、種イモ類;イネ、コムギ、大豆、小豆、菜豆、トウモロコシ等の穀物種子;ソルゴー、チモシ、アルファルファ等の飼料作物の種子;ダイコン、キャベツ、ハクサイ、ニンジン、キュウリ等の野菜の種子;等が挙げられる。これらのうち、コンニャク、チューリップ、ユリ、食用ユリ、スイセン、グラジオラス、フリージャー、ラッキョ、バレイショ、サトイモ、ニンニク、カンショ、ヤマノイモ等の球根、種イモ類を対象とするのが好ましい。 【0019】燻煙場所としては、例えば、温室、倉庫、コンテナ等の閉空間が挙げられる。また、例えば、ビニールシート等の遮断性のシートで囲うことにより閉空間(プレハブ式あるいは組立式)を作り、その中に被燻煙物を棚状等に設置して燻煙することもできる。 【0020】燻煙薬量は、閉空間の大きさ(容積)や被燻煙物の種類、殺菌活性成分の種類等により適宜設定することができる。例えば、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン(商品名:トリフミン)を含有する燻煙剤(有効成分量10重量%)を用いる場合には、通常1〜500g/m3、好ましくは10〜200g/m3、より好ましくは25〜100g/m3である。 【0021】燻煙する時間は、閉空間の大きさ(容積)や被燻煙物の種類、殺菌活性成分の種類等により適宜設定することができる。一般的には、1時間〜48時間、好ましくは3時間〜24時間程度である。燻煙剤は、均一に薬剤が被燻煙物に付着するように、例えば、閉空間内に空間的に均一に配置する等するのが好ましい。 【0022】 【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。 (実施例) (1)殺菌燻煙剤の作製(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン(商品名:トリフミン)を20重量部、ニトロセルロース20重量部、アゾビスカルボンアミド30重量部、酸化亜鉛5重量部及びヒドロキシメチルセルロース5重量部を水200mlに加えて十分に混練した。次いで、押し出し機を用いて造粒して顆粒状に成形し、乾燥することによって、粒径1〜4mm程度の顆粒(殺菌剤組成物)を得た。 【0023】次いで、塩素酸カリウム、硝酸カリウム、硝酸グアニジン、糖類、造粒調整助剤、産科アルミニウム及びカオリンクレーから作製した粒径1〜4mmの可燃性組成物10.0gを点火剤を装着した直径5cm、高さ8cmの紙製の円筒容器に装填し、次にその上に、先に調製した殺菌剤組成物10.0gを装填し、メッシュがついた蓋をすることにより、殺菌燻煙剤を作製した。 【0024】(2)燻煙処理(実施例1〜3) 一方、空間容量4m3の塩化ビニルシートで囲まれた直方体形状の閉空間を用意し、該空間内に、コンニャク(品種名:おかぎおおだま 1年生)の種イモ7〜8kgが入ったを木製箱を搬入して、6段積みに6列設置した。用いた木製箱は、大きさが縦62cm×横46cm×高さ20cmであり、上部が解放されており、底面部は、格子状に穴があいて煙が自由に通過できるようになっている。 【0025】次いで、該空間の底面に、前記作製した殺菌燻煙剤(20g)の所定量を均等に配置し、点火剤を点火して燻煙を14時間行った。殺菌燻煙剤の使用量は、実施例1では50g/2m3、実施例2では100g/2m3及び実施例3では150g/2m3とした。また、燻煙処理を行わない場合を比較例とした。 【0026】(3)出芽率、開葉率及び発病率の調査塩化ビニルシートを取り除いて空間を解放した後、コンニャクの種イモを取り出し、これを畑に植え付け、5ヶ月後に収穫を行った。植え付け後46日経過した時点でコンニャクイモの出芽状況を、植え付け後53日経過した時点で開葉状況を、また、収穫時にコンニャクイモの乾腐病の発病度をそれぞれ調査した。また、無処理の場合を比較例とした。調査結果を第1表に示す。 【0027】 【表1】
【0028】第1表中、発病度(%)はコンニャクイモの球茎の乾腐病のら病程度により次の式により算出した。 発病度(%)=(A×3+B×2+C×1)/(3×調査個体数)×100(式中、Aは球茎の病班面積率が41%以上のものの個数、Bは同面積が11〜40%のものの個数、Cは同面積が1〜10%のものの個数をそれぞれ表す。) 【0029】第1表から明らかなように、各実施例のコンニャクイモは、比較例に比して乾燥病のら発病率が格段に低く、優れた防除効果が認められた。また、各実施例のコンニャクイモは比較例とほぼ同等の出芽率及び開葉率であり、燻煙処理による薬害等は認められなかった。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように、本発明は、少なくとも1種の殺菌活性成分を含む燻煙組成物を蒸散、燻煙化させることを特徴とするものであり、次のような効果を有する。 1)煙は微粒子であるため、閉空間の隅々まで拡散し、作物表面に均一に付着するので、防除効果にムラがない。 2)燻煙剤による防除作業は、点火剤に点火し、燻煙するだけであって、非常に簡便である。また、夜間に燻煙することができるので、日中の農作業に支障がでることはない。 3)防除に水等を使用しないので、ハウス内の湿度を高めることがなく、湿度上昇により病害が発生しやすくなることはない。また、廃液処理等の余分な作業が不要である。 4)薬剤を散布したり、まぶしたり、浸漬したりする方法と異なり、直接人体に薬剤がふれること少ないため、環境衛生上好ましい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004307 【氏名又は名称】日本曹達株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月23日(2000.6.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100108419 【弁理士】 【氏名又は名称】大石 治仁
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| 【公開番号】 |
特開2002−3303(P2002−3303A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月9日(2002.1.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−190210(P2000−190210) |
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