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【発明の名称】 水面施用発泡性農薬製剤
【発明者】 【氏名】野口 達生

【氏名】中塩 修

【氏名】柳生 憲秀

【氏名】米村 伸二

【要約】 【課題】農薬活性成分、炭酸塩、水溶性固体酸およびアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオレイル、フタル酸ジエチルヘキシル、トリメリット酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸メチル、オレイル酸メチルまたはメチルナフタレンから選ばれた1種の高沸点溶剤を水溶性高分子フィルムによって包装してなることを特徴とする水面施用発泡性農薬製剤。

【解決手段】本発明の水面施用発泡性農薬製剤は、手で投げ入れやすい大きさに水溶性高分子フィルムで包装されているので、水田へ散布するには10アール当り5〜20個程度を手で投げ入れればよく省力的であり、水田中で炭酸ガスを発生して農薬活性成分が水中にすみやかに拡散し、十分な防除効果を発揮するようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】農薬活性成分、炭酸塩、水溶性固体酸およびアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオレイル、フタル酸ジエチルヘキシル、トリメリット酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸メチル、オレイル酸メチルまたはメチルナフタレンから選ばれる1種の高沸点溶剤を含有する固体状組成物からなる水面施用発泡性農薬製剤。
【請求項2】農薬活性成分、炭酸塩、水溶性固体酸およびアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオレイル、フタル酸ジエチルヘキシル、トリメリット酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸メチル、オレイル酸メチルまたはメチルナフタレンから選ばれる1種の高沸点溶剤を含有する固体状組成物を水溶性高分子フィルムによって包装してなることを特徴とする水面施用発泡性農薬製剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、水田に施用する発泡性農薬製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、発泡性農薬製剤の研究は固体酸、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、鉱物質担体および界面活性剤からなる殺草性粒剤、錠剤に関するもの(特公昭47−27930号公報)をはじめとして数多くなされている。また、最近になって、農薬散布の省力化の一つとして、除草粒剤を水溶性高分子フィルムの袋に入れるか、発砲剤を入れて大型の錠剤に成型するなどして、手で水田の水中に投げ込む方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来の発泡性農薬製剤は、水田に施用した場合、農薬活性成分の水中拡散性が不十分であるため、活性成分が本来有する効果を発揮できなかったり、稲に薬害を与えるなどの欠点があり、実用化されていない。また、最近提案されている水田への大型粒剤や錠剤を手で投げ込む方法も、これまでの発泡剤と同様に均一で速やかに拡散するには至っていない。そのため、これに代わる新しい発泡性農薬の開発が望まれている。したがって、本発明は均一でかつ十分な拡散性を有する新規な水面施用発泡性農薬製剤を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、農薬活性成分、炭酸塩、水溶性固体酸及びアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオレイル、フタル酸ジエチルヘキシル、トリメリット酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸メチル、オレイル酸メチルまたはメチルナフタレンから選ばれる1種の高沸点溶剤を含有する固体状組成物を水溶性高分子フィルムによって包装することにより、前記の課題を解決すると同時に省力的で安全性の高い発泡性農薬製剤を完成させた。
【0005】次に本発明の発泡性農薬製剤について具体的に説明する。
【0006】本発明に使用する炭酸塩は特に限定されていないが、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、セスキ炭酸ナトリウムなどが挙げられる。これら炭酸塩は単独または2種以上併用してもよい。
【0007】本発明に使用する水溶性固体酸は特に限定されないが、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、アジピン酸、リン酸二水素ナトリウム、ホウ酸、リン酸二水素カリウムなどが挙げられる。これら水溶性固体酸は単独または2種以上を併用してもよい。
【0008】炭酸塩および水溶性固体酸の添加量は任意の配合で添加できるが、炭酸塩と水溶性固体酸の合計重量が全重量に対して10〜90%、炭酸塩と水溶性固体酸との重量比は1:10〜10:1が好ましい。
【0009】本発明で使用できる高沸点溶剤として、次のものが挙げられる。
【0010】アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオレイル、フタル酸ジエチルヘキシル、トリメリット酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸メチル、オレイル酸メチルまたはメチルナフタレンなどの芳香族炭化水素などが使用できる。
【0011】本発明の農薬活性成分は通常水田に使用されるものであれば使用できる。例えば次のものが挙げられる。
【0012】(殺虫剤)MPP、MEP、ピリミホスメチル、ダイアジノン、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、バミドチオン、マラソン、PAP、ジメトエート、エチルチオメトン、PMP、モノクロトホス、BRP、CVMP、ジメチルビンホス、プロパホス、DEP、EPN、NAC、MTMC、MIPC、BPMC、PHC、MPMC、XMC、ベンダイオカルブ、カルボスルファン、ベンフラカルブ、チオジカルブ、シクロプロトリン、エトフェンプロックス、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、ブプロフェジン、など。
【0013】(殺菌剤)塩基性硫酸銅、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、有機硫黄ニッケル塩、チウラム、キャプタン、TPN、フサライド、IBP、EDDP、チオファネートメチル、ベノミル、イプロジオン、メプロニル、フルトラニル、テフロフタラム、ペンシクロン、メタラキシル、トリフルミゾール、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、オキシテトラサイクシン、ヒドロキシイソキサゾール、メタスルホカルブ、MAF、MAFE、ベンチアゾール、フェナジンオキシド、ジクロメジン、プロベナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロキシン、オキソニック酸、グアザチンなど。
【0014】(除草剤)2,4−D、MCP、MCPB、フェノチオール、クロメプロップ、ナプロアニリド、CNP、クロメトキシニル、ビフェノックス、MCC、ベンチオカーブ、エスプロカルブ、モリネート、ジメピペレート、DCPA、ブタクロール、プレチラクロール、ブロモブチド、メフェナセット、ダイムロン、ベンスルフロンメチル、シメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、ベンダゾン、オキサジアゾン、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、トリフルラリン、ピペロホス、ACN、など。
【0015】(植物調節剤)イナベンフィド、オキシエチレンドコサノール、ニコチン酸アミド、ベンジルアミノプリン、など。
【0016】これらの農薬活性成分の製剤中への添加量は、特に限定されるものではないが、一般的には製剤全量の0.1〜50%(重量%)であり、農薬活性成分の種類により、10アール当りの必要散布量となるように添加すればよい。
【0017】なお、これらの農薬活性成分名は、「農薬ハンドブック」(1989年版、社団法人 日本植物防疫協会発行)に記載の一般名である。
【0018】本発明の水面施用発泡性農薬製剤には、上記した組成物の以外に界面活性剤、農薬活性成分の安定化剤、物理性改良剤などの補助剤を添加してもよく、また一部担体を併用してもよい。
【0019】このような界面活性剤としては、農薬製剤に通常使用される非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤および非イオン性と陰イオン性を混合した界面活性剤などが使用できる。
【0020】また、担体としては、クレー、珪石、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、軽石、ケイソウ土、バーミキュライト、パーライト、ホワイトカーボン、尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シュークロース、グルコース、マルトース、ラクトース、デキストリン、澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アラビアゴム、キサンタガムなどが使用できる。
【0021】本発明の水面施用発泡性農薬製剤は、農薬活性成分、炭酸塩、水溶性固体酸および高沸点溶剤からなる粒剤あるいは錠剤などの固体状成型物からなるか、もしくは、これを水溶性高分子フィルムによって包装してなるものであるが、後者の場合は水田へ投入するものであり、投入のしやすさおよび省力性を考慮すると水溶性高分子フィルムによって1個あたり10〜100gに包装したものが望ましい。ここで包装の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、円柱状、角状、箱状、不定形のいずれでもよい。
【0022】本発明に使用する水溶性高分子フィルムは、本発明の発泡性農薬製剤を水田の水中に投入したときに、速やかに溶解するものであれば何れも使用できる。例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。またこれらのフィルムの厚さは貯蔵中、運搬中、あるいは手で水田中に投げ入れるときに容易に破損しないものであればよく、30μm〜2mmあればよい。
【0023】こうして得た本発明の水面施用発泡性農薬製剤は、水溶性高分子フィルムで包装しない場合には、その粒剤、錠剤等を従来の粒剤や錠剤と同時に水田中に均一に散布すればよい。また、水溶性高分子フィルムで包装してなる場合には農薬活性成分の種類、製剤中への含有量などにより異なるが、10アール当り、例えば、50〜100gの重量に包装したものであれば、5〜20個程度を水田中に投げ込めばよい。そうすれば、水中に炭酸ガスを放出して発泡して農薬活性成分を水中に広く拡散させ、十分な防除効果をもたらすことができる。
【0024】
【作用】本発明において、炭酸塩と水溶性固体酸は水田中の多量の水分により、炭酸ガスを放出して発泡し、高沸点溶剤とともに、農薬活性成分を水田中に広く拡散させる作用を有する。
【0025】
【実施例】本発明の水面施用発泡性農薬製剤の調製方法は特に限定されないが、例えば、次の方法によって調製できる。
■農薬活性成分、炭酸塩、水溶性固体酸および高沸点溶剤をハンマーミルで混合し、粉末状の固体状組成物を得る。
■農薬活性成分、炭酸塩、水溶性固体酸および高沸点溶剤を乾式造粒機で造粒し、固体状組成物を得る。
■農薬活性成分、炭酸塩、水溶性固体酸および高沸点溶剤を錠剤成型機で成型し、固体状組成物を得る。
■上記の製剤をそのまま使用してもよいが、一定の大きさに成型し、これを水溶性高分子フィルムで包装する。
【0026】次に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】なお、以下に「部」とあるのはすべて重量部を意味する。
【0028】実施例1フェノチオール原体 2.1部、シメトリン原体 4.5部、クエン酸 30部、炭酸水素ナトリウム 30部、アジピン酸ジイソブチル 5部、ホワイトカーボン3部およびクレー 25.4部をハンマーミルで混合し、粉状の固体状組成物を得る。これをポリビニルアルコールのフィルム(厚さ40μm)で1個当り50gに包装した。
【0029】実施例2フェノチオール原体 2.1部、シメトリン原体 4.5部、リン酸二水素カリウム 25部、炭酸水素ナトリウム 10部、ポリビニルアルコール 5部、メチルナフタレン 2部、および塩化カリウム 51.4部をハンマーミルで混合後、ブリケッティングマシーンで乾式造粒し、整粒後500〜1680μmの固体状組成物を得る。これをプルランのフィルム(厚さ50μm)で1個当り50gに包装した。
【0030】実施例3フェノチオール原体 2.1部、シメトリン原体 4.5部、マレイン酸 20部、炭酸ナトリウム 20部、セルロースパウダー 5部、ミリスチン酸メチル 5部、ケイソウ土 5部およびラクトース 38.4部をハンマーミルで混合後、錠剤成型機で、20kg/cmの圧力をかけ、1個当り50gの錠剤を得る。これをポリビニルアルコールのフィルム(厚さ40μm)で包装した。
【0031】次に試験例により本発明の水面施用発泡性農薬製剤の有用性を示す。
【0032】試験例1 除草効果及び薬害試験1区画の面積が100m(10m×10m)の試験区を作り、1区当りタイヌビエ種子(50g)、ホタルイ種子(30g)、アゼナ種子(10g)、コナギ種子(10g)をそれぞれ播種し代かきを行った後、2葉期の水稲苗(品種:日本晴)を機械移植した。これらの雑草が2〜3葉期に達したとき、実施例1〜3に準じて調製した試料を試験区の中央(1か所)に5個(50g)処理した。
【0033】なお、比較例として用いた市販粒剤は水田の全面に散布した。
【0034】調査は薬剤処理30日後に行い、試験区内の中央及び四隅の計5か所から5m中に生き残った雑草を抜き取り、その乾燥重量(g)を測定し、次式により5区平均の除草率(%)を求めた。また水稲に対する薬害については下記の基準により薬害程度を達観調査した。結果を表1〜2に示す。
【0035】
【数1】

【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【発明の効果】本発明の実施により、次のような効果がもたらされる。まず第1に、本発明の水面施用発泡性農薬製剤は、水田に処理すると、水田水中に農薬活性成分を速やかにかつ均一に拡散することができる。これは、本発明の農薬製剤をそのままか、あるいは水溶性高分子フィルムで水田中に投入したときでも変わらない。また第2に、水溶性高分子フィルムで包装してなる本発明の農薬製剤は、水田に10アール当り約5〜20個を手で投げ入れるだけでよく、省力的であると同時に、散布機が不用で経済的である。第3に、水田に投げられた本発明の農薬製剤は、上記のごとく農薬活性成分を水田水中に拡散し、均一な処理層をつくるため、慣行の製剤などと比べて高い防除効果を発現し、薬害も軽減される。
【出願人】 【識別番号】000242002
【氏名又は名称】北興化学工業株式会社
【出願日】 平成3年9月26日(1991.9.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−3301(P2002−3301A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2001−200330(P2001−200330)