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【発明の名称】 網型粘着捕虫器
【発明者】 【氏名】千葉 三男

【氏名】篠田 一孝

【氏名】河村 光治

【要約】 【課題】野外に棲息するカメムシ類に対して、捕虫効果が高く、しかも設置や回収に手間がかからない捕虫器を提供する。

【解決手段】粘着部11を有し、立設可能な網状物13に、クモヘリカメムシに対して誘引効果を有する誘引剤14を取り付けたものであり、該網状物13は、全体が縦10cm横14cm程度であって、粘着剤を全面に塗布することで粘着部11を設けた長辺20cm短辺14cmの網の周囲を、長辺20cm短辺14cmの長方形型の金枠12で囲み、該金枠12の長辺の中央を平面状になるように二つ折りすることで形成し、棒状物15を取り付けて地中に突き刺することで、立設可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 粘着部を有し、立設可能な網状物に、カメムシ類に対して誘引効果を有する誘引剤を取り付けた、網型粘着捕虫器。
【請求項2】 平面状に形成した網状物の下辺端側から下方に突出する棒状物を取り付けることで立設可能とした、請求項1に記載の網型粘着捕虫器。
【請求項3】 平面状に形成した網状物の上部に紐状物を取り付けることで立設可能とした、請求項1に記載の網型粘着捕虫器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】
【0002】本発明は網型粘着捕虫器に関し、詳細にはカメムシ類に属する害虫の捕獲に適したカメムシ類の網型粘着捕虫器に関する。
【0003】
【従来の技術】
【0004】カメムシ類は、カメムシ科昆虫を主としてホソヘリカメムシ科あるいはヘリカメムシ科等が挙げられ、これらはいずれもイネ、マメ、果実、野菜などの害虫として知られ、それら農作物に大きな被害を与えている。例えば、ホソヘリカメムシは、大豆、エンドウ、インゲンなどマメ科植物の代表的な大害虫であり、クモヘリカメムシは、イネの穂を吸汁して斑点米を産出するのでイネの重要害虫として知られている。従来、これらカメムシ類の捕獲には水盤式捕虫器や三角屋根の空中吊り下げ型の粘着捕虫器や、これらに性フェロモン、食物誘引剤等の誘引剤を組み合わせたものが使用されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】しかしながら、水盤式捕虫器は一度水中に落下したカメムシが比較的容易に脱出できるため充分な捕虫効果をあげる事ができなかった。また、三角屋根型の空中吊り下げ式の粘着捕虫器では、飛来したカメムシが屋根の上やその他の非粘着部に着地し、しばらく滞留した後飛び去ってしまい捕虫効果が非常に悪かった。従って、本発明の目的は、カメムシ類に対して捕虫効果が高く、しかも設置や回収に手間がかからないものを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】本発明者らは、上記の課題を解決するために、カメムシ類の生態や従来の捕虫器の問題点等を鋭意研究した結果、カメムシ類が放出するフェロモンの殆どは集合フェロモンであり、性フェロモンほどの強い誘引力は期待できないうえ、粘着剤に対する警戒心が強く、一旦非粘着部に着地したカメムシの殆どは粘着部上を歩いて誘引源に近づこうとはしないことに注目した。そして、粘着捕虫器の形態としては、カメムシが着地できる非粘着部がないように、例えば粘着剤の塗布による粘着部を有する網状物を用いたものが適切であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりある。
【0010】第1に、粘着部を有し、立設可能な網状物に、カメムシ類に対して誘引効果を有する誘引剤を取り付けた、網型粘着捕虫器。第2に、平面状に形成した網状物の下辺端側から下方に突出する棒状物を取り付けることで立設可能とした、上記第1に記載の網型粘着捕虫器。第3に、平面状に形成した網状物の上部に紐状物を取り付けることで立設可能とした、上記第1に記載の網型粘着捕虫器。ここで、粘着部は、粘着剤を網状物に塗布することで形成することができ、塗布する箇所は、網状物の全面に行うことが望ましい。網状物は、例えば、四角状の網の周囲に、形状保持用のフレームを取り付けることで形成することができる他に、金網を用いることでフレームを用いることなく形成することもでき、さらに、四角状の網の上辺側と下辺側とに形状保持用の棒状物を取り付けることで形成することもできる。網状物を平面状に形成する場合には、四角型、円形型、楕円形型等の各種の形状が採用することができる。なお、網状物を平面状に形成する場合に、長方形型のフレームを用い、該フレームの長辺の中央を、平面状になるように折り曲げることで形成することもできる。
【0011】網型粘着捕虫器を形成する網状物の材質は、特に限定されないが、耐候性のあるものが望ましい。粘着部は、虫を捕獲するための粘着剤を塗布することで形成するが、一度の接触で確実に捕獲できるように粘着力が強く、耐候性があり、効果が持続する物を用いて形成することが好ましい。
【0012】粘着剤としては、粘着力が十分で、耐候性があり効果が持続する天然ゴム系、ブチルゴム系、アクリルゴム系、クロロプレンゴム系などが好ましい。カメムシ類は粘着部を嫌う傾向にあり、一旦非粘着部に着地すると粘着部上を歩いて誘引源に近づこうとしないので、非粘着部がないように網状物の全面に粘着剤を塗布することで捕虫効果をより高めることができる。
【0013】網状物の網目の大きさは、特に限定されないが、カメムシの全長と同じ程度であるか、それ以下であることが好ましく、例えば、網目の一片が1cm以下であることが好ましい。
【0014】
【実施例】
【0015】以下、図面を参照しながら本発明の網型粘着捕虫器の一実施例について説明する。
【0016】図1は、本発明に係る突き刺しタイプの網型粘着捕虫器の斜視図であり、折り曲げられた網状物の奥側の部分と、網状物に挿入された棒状物の上部を省略して示している。図2は、本発明に係る吊り下げタイプの網型粘着捕虫器の斜視図である。
【0017】
【実施例1】
【0018】図1に示すように、本実施例の突き刺しタイプの網型粘着捕虫器は、粘着部11を有し、立設可能な網状物13に、クモヘリカメムシに対して誘引効果を有する誘引剤14を取り付けたものである。該網状物13は、全体が縦10cm横14cm程度であって、粘着剤を全面に塗布することで粘着部11を設けた長辺20cm短辺14cmの網の周囲を、長辺20cm短辺14cmの長方形型の金枠12で囲み、該金枠12の長辺の中央を平面状になるように二つ折りすることで形成したものである。ここで、網状物13の網の網目は、1cm程度である。
【0019】該捕虫器は、全長125cm程度の棒状物15を、折り曲げた網状物13の開放側から内部に5cm程度挿入し針金で固定し、網状物13の下辺端側から下方に1.2m以上突出させて、該突出した棒状物15を地中に突き刺すことで立設可能としたものである。本実施例の突き刺しタイプの網型粘着捕虫器は、棒状物15を、地中に突き刺すことで容易に設置でき、また、取り外しも棒状物15を地中から引き抜くだけなので、容易に回収することができる。
【0020】
【実施例2】
【0021】図2に示すように、本実施例の吊り下げタイプの網型粘着捕虫器は、粘着部21を有し、立設可能な網状物23に、ホソヘリカメムシに対して誘引効果を有する誘引剤24を取り付けたものである。該網状物23は、全体が縦10cm横14cm程度であって、粘着剤を全面に塗布することで粘着部21を設けた縦10cm横14cm程度の網の上辺側と下辺側とに、長さ14cmのステンレス棒22を取り付けることで形成したものである。ここで、網状物23の網の網目は、1cm程度である。
【0022】該捕虫器は、網状物13の上部に位置するステンレス棒22の左右2箇所に針金25を取り付け、該針金25を枝等に掛けることで立設可能としたものである。本実施例の吊り下げタイプの網型粘着捕虫器は、針金25を枝に掛けることで容易に設置でき、また、取り外しも針金25を枝から外すだけなので、容易に回収することができる。
【0023】
【試験例1】
【0024】本発明に係る実施例1による突き刺しタイプの網型粘着捕虫器の捕虫効果を試すために、実施例1の網型粘着捕虫器と従来の比較品の捕虫器について以下の条件で試験を行った。本発明区1は、実施例1による突き刺しタイプの網型粘着捕虫器を用いた。比較区1は、富士フレーバー株式会社製の三角屋根型粘着捕虫器を用いた。該比較区1で用いた三角屋根型粘着捕虫器は、粘着シートの面積が、本発明区1で用いた網型粘着捕虫器の粘着部の総面積とほぼ同様なものであり、誘引剤についても、クモヘリカメムシに対して誘引効果を有する本発明区1の誘引剤と同じものを用いた。
【0025】本発明区1は、茨城県の水田の畦道沿いに、実施例1による突き刺しタイプの2個の捕虫器を、それぞれ1mの高さで10m離して設置した。比較区1は、本発明区1と同じ茨城県の水田の畦道沿いに、2個の三角屋根型粘着捕虫器を、本発明区1の捕虫器から10m離し、それぞれ1mの高さで空中に吊り下げて設置した。
【0026】設置後、4週間の間、週2回の割合で、各区の捕虫器で捕虫されたクモヘリカメムシの数を調査すると共に、調査の都度、各区の捕虫器の位置をローテーションにより取り替え、条件がなるべく同じになるようにした。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】結果を考察すると、各週及び合計について、本発明区1は、比較区1よりも捕虫数が多く、捕虫効果が高いことが確認できる。
【0029】
【試験例2】
【0030】本発明に係る実施例2による吊り下げタイプの網型粘着捕虫器の捕虫効果を試すために、実施例2の網型粘着捕虫器と従来の比較品の捕虫器について以下の条件で試験を行った。本発明区2は、実施例2による吊り下げタイプの網型粘着捕虫器を用いた。比較区2は、富士フレーバー株式会社製の吊り下げタイプの屋根付網型粘着捕虫器を用いた。該比較区で用いた屋根付網型粘着捕虫器は、屋根及び粘着シートの両面の各4辺に幅2cmの非粘着部を有するもので、粘着シートの総面積が、本発明区2で用いた網型粘着捕虫器の粘着部の総面積とほぼ同様なものであり、誘引剤についても、ホソヘリカメムシに対して誘引効果を有する本発明区2の誘引剤と同じものを用いた。
【0031】本発明区2は、九州の大豆圃場に、実施例2による吊り下げタイプの2個の捕虫器を、それぞれ1.5mの高さで10m離して設置した。比較区2は、本発明区2と同じ九州の大豆圃場に、2個の屋根付網型粘着捕虫器を、本発明区2の捕虫器から10m離し、それぞれ1.5mの高さで空中に吊り下げて設置した。
【0032】設置後、4週間の間、週2回の割合で、各区の捕虫器で捕虫されたホソヘリカメムシの数を調査すると共に、調査の都度、各区の捕虫器の位置をローテーションにより取り替え、条件がなるべく同じになるようにした。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】結果を考察すると、各週及び合計について、本発明区2は、比較区2よりも捕虫数が多く、捕虫効果が高いことが確認できる。
【0035】
【発明の効果】
【0036】本発明の網型粘着捕虫器は、野外に棲息するカメムシ類に対して、捕虫効果が高く、しかも設置や回収に手間がかからない。
【出願人】 【識別番号】391020584
【氏名又は名称】富士フレーバー株式会社
【出願日】 平成13年4月26日(2001.4.26)
【代理人】 【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
【公開番号】 特開2002−320436(P2002−320436A)
【公開日】 平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願番号】 特願2001−129088(P2001−129088)