| 【発明の名称】 |
燻煙剤用加熱具 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐々木 義昭
【氏名】小笠原 恵里子
【氏名】滝田 賢路
【氏名】高見澤 智紀
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| 【要約】 |
【課題】操作で発熱を開始させ、燻煙剤を十分に加熱することのできる安全な燻煙剤用加熱具を提供する。
【解決手段】燻煙剤用加熱具1は、燻煙剤23と接する加熱容器20の内部に固体発熱剤22が充填され、固体発熱剤22と反応して発熱を開始させる液体発熱開始剤13の充填された封入容器12が、加熱容器20の上方に配置され、加熱容器20と封入容器12との間には、略横方向へ抜取り可能な仕切り板16が配置され、仕切り板16の抜取られた状態で封入容器12を押し下げることにより封入容器12が破れ、発熱が開始することを特徴としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燻煙剤と接する加熱容器の内部に固体発熱剤が充填され、該固体発熱剤と反応して発熱を開始させる液体発熱開始剤の充填された封入容器が、該加熱容器の上方に配置され、該加熱容器と該封入容器との間には、略横方向へ抜取り可能な仕切り板が配置され、該仕切り板の抜取られた状態で該封入容器を押し下げることにより該封入容器が破れ、該発熱が開始することを特徴とする燻煙剤用加熱具。 【請求項2】 押し下げ可能な蓋で該封入容器が覆われ、該仕切り板の下方に穿刺具が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燻煙剤用加熱具。 【請求項3】 該固体発熱剤が過マンガン酸カリウムであり、該液体発熱開始剤がエチレングリコールであることを特徴とする請求項1または2に記載の燻煙剤用加熱具。 【請求項4】 該固体発熱剤が酸化カルシウムであり、該液体発熱開始剤が水であることを特徴とする請求項1または2に記載の燻煙剤用加熱具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、燻煙剤を加熱して、燻煙を開始させ、それに含まれる病害虫の殺虫成分を気化し霧散させるための燻煙剤用加熱具に関するものである。 【0002】 【従来の技術】家屋や農業ハウスの病害虫を駆除するために、加熱されると燻煙を開始し発煙する成分と気化する病害虫殺虫成分とを含有している燻煙剤が使用される。この燻煙剤の加熱には燻煙剤用加熱具が用いられる。 【0003】汎用されている加熱具には、例えば着火することにより金属酸化物とケイ素等の混合物に点火して誘発される自己燃焼の反応熱を利用するものや、酸化カルシウムに水を注ぎ込むことにより発生する水和反応熱を利用するものがある。前者はマッチ等で着火しなければならないので面倒である。後者は使用者が水を注ぎ込まなくてはならないうえその量が多すぎると十分発熱せず一方少なすぎると局所的な発熱となってしまい、燻煙剤を十分に加熱できないという問題がある。また、加熱具は使用時に速やかに300℃以上の高温に達し、速やかに燻煙を開始するものが望まれるが、後者ではこの点が十分ではない。 【0004】特開平3−200573号公報には、熱伝導性の良好な金属製包装体の内部に所量の生石灰と、その上方に配置される所量の水を封入した破断可能な隔膜とからなる液体加熱用包装体が開示されている。この包装体の上部から差し込んだ押込ピンで隔膜を突破るだけでは、水が完全に流れ出ずに隔膜上に残留してしまうので、十分に発熱しない虞がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の課題を解決するためなされたもので、燻煙剤を十分に加熱することのできる安全な燻煙剤用加熱具を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するためになされた本発明の燻煙剤用加熱具について、実施例に対応する図1を参照して説明する。燻煙剤用加熱具1は、燻煙剤23と接する加熱容器20の内部に固体発熱剤22が充填され、固体発熱剤22と反応して発熱を開始させる液体発熱開始剤13の充填された封入容器12が、加熱容器20の上方に配置され、加熱容器20と封入容器12との間には、略横方向へ抜取り可能な仕切り板16が配置され、仕切り板16の抜取られた状態で封入容器12を押し下げることにより封入容器12が破れ、発熱が開始することを特徴としている。 【0007】燻煙剤用加熱具1は、押し下げ可能な蓋11で封入容器12が覆われ、仕切り板16の下方に穿刺具21が配置されていることが好ましい。 【0008】固体発熱剤22が過マンガン酸カリウムであり、液体発熱開始剤13がエチレングリコールであることが好ましい。このとき過マンガン酸カリウムの粒度が#30〜#100であると、エチレングリコールが底部の過マンガン酸カリウムにまで浸透し効率的に反応させることができる。その結果、加熱具1は適度な反応時間中、十分に燻煙剤23を加熱することができる。この粒度が#100より細かいと、過マンガン酸カリウムの表面面積が大きいために急激に反応が進行して容器20の内圧が上昇してエチレングリコールや過マンガン酸カリウムが吹き出したり、過マンガン酸カリウムが細かすぎてエチレングリコールが浸透し難くなってしまう。その結果、反応が不十分となって、加熱具1は十分に発熱しなくなる。一方、粒度が#30より粗いと、過マンガン酸カリウムの表面面積が小さすぎてエチレングリコールとの反応が起こり難くなる。その結果、加熱具1の燻煙開始時間が極度に遅くなってしまう。過マンガン酸カリウムの充填量は0.3〜3g、エチレングリコールの充填量は0.2〜2gであることが好ましい。なお、エチレングリコールを希釈せずに用いると、過マンガン酸カリウムの量が少なくてすみ、加熱具1を小型にすることができる。 【0009】固体発熱剤22が酸化カルシウムであり、液体発熱開始剤13が水であってもよい。酸化カルシウムの充填量は3〜30g、水の充填量は1〜10gであることが好ましい。酸化カルシウムの形状は、水が浸透し易いように、粒状、穴のあいたペレット状、または多孔質のペレット状であることが好ましい。 【0010】固体発熱剤22には、反応速度を制御するバインダを添加する必要がない。 【0011】この燻煙剤用加熱具1を用いると、仕切り板16を抜取り、蓋11を押し下げるという簡便な操作により、液体発熱開始剤を一気に固体発熱剤と接触させて反応させることができるので、確実かつ安全に、また安定して加熱を開始させることができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の燻煙剤用加熱具の実施例を、図面を参照して詳細に説明するが、これに限定するものではない。 【0013】図1には本発明の燻煙剤用加熱具1の実施例の正面縦断面図を示してある。同図に示すとおり、燻煙剤用加熱具1は、金属製の加熱容器20に仕切り板16が載置されている。加熱容器20に嵌合する蓋11で覆われて袋状となっている、液体発熱開始剤13の封入容器12が、仕切り板16に載っている。加熱容器20の内部には、固体加熱剤が充填され、尖端を露出させている穿刺具21が封入容器12へ向いて配置されており、加熱容器20と蓋11とは、リテーナ17により把持されている。仕切り板16はリテーナ17に設けられた切り欠き19に載って、リテーナ17から突き出している。 【0014】加熱容器20の材質は、熱伝導性のよいアルミニウム、鉄、ステンレス、銅等のいずれかの金属である。加熱容器20の金属表面は必要に応じメッキや合成樹脂のラミネート加工などの防錆処理が施されている。加熱容器20は、厚さ0.2〜0.5mmの前記金属製の板からプレス加工により製造されたものである。加熱容器20の外形は、製造性や取扱性のよい円柱形または四角柱形である。加熱容器20の口にはフランジが設けられている。 【0015】加熱容器20の内部には、穿刺具21が設置され、固体発熱剤22が充填されている。固体発熱剤22は、穿刺具21の元部を埋没させている。穿刺具21の尖端は、封入容器12へ向いて、固体発熱剤22から突き出ている。 【0016】穿刺具21は、硬い樹脂または金属製であって、その尖端は針状、または鋭利な板状となっている。 【0017】加熱容器20は、振動に耐えるが容易く突き破られるフィルム18で、密閉されている。フィルム18は、ラミネート加工されたアルミニウムフィルムである。 【0018】フィルム18上に、仕切り板16が載せられている。仕切り板16は、厚さ1〜2mmであって耐衝撃性の高い射出成型可能な樹脂、または金属でできている。仕切り板16は、加熱容器20と蓋11とを遮断している。 【0019】仕切り板16には、漏斗14が載っている。漏斗14は、中央が窪んでおり、窪みの中心からは、穿刺具21の貫通する管状の脚15が伸びている。その脚15の下端は尖っており、V字状、逆V字状または波状になっている。漏斗14の材質は、射出成型可能な、ナイロン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、またはポリカーボネートからなる樹脂である。 【0020】封入容器12が、漏斗14の窪みの上に載置されている。封入容器12は、蓋11で覆われ、漏斗14と蓋11とのなす空間に挟まれている。封入容器12は、穿刺具で突き刺されて破裂する膜で形成されており、液体発熱開始剤13を封入している。この膜は、厚さが50μm〜80μmであり、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリビニルアルコール、またはポリ塩化ビニリデンからなる、単一のフィルムまたは2種以上のラミネートフィルムであって、2枚のフィルムの四方を熱融着したものである。 【0021】蓋11はその中央が垂れ下がって、漏斗14の窪みに適合する肉厚となっている。蓋11の材質は、熱変形温度が200〜250℃程度であって射出成型可能な、ナイロン、ポリアミドイミド、またはポリフェニレンサルファイドからなる樹脂であり、入手容易なナイロンが好適である。 【0022】漏斗14や蓋11には、蓋11とリテーナ17との内部空間が通気する溝や、外界と繋がる溝(不図示)が設けられている。なお、溝に代えて突起を設け、漏斗と、蓋11やリテーナ17との接触面に隙間を形成させてもよい。溝や突起により、封入容器12を押し下げたときの蓋11やリテーナ17内の空気が排出される結果、液体発熱開始剤13が滞りなく流れ出る。 【0023】蓋11と加熱容器20とは、リテーナ17で包み込まれて把持され、一体化している。リテーナ17の材質は、熱変形温度が200〜250℃程度であって射出成型可能な、ナイロン、ポリアミドイミド、またはポリフェニレンサルファイドからなる樹脂であり、入手容易なナイロンが好適である。 【0024】この燻煙剤用加熱具1は、燻煙装置2に組み込まれて使用される。燻煙装置2は、鉄やアルミニウム等のような金属、ポリプロピレンやポリエチレン等のような合成樹脂、紙のいずれかの材質である燻煙容器31に充填されている殺虫成分を含んだ燻煙剤23の一部が、燻煙剤用加熱具1の加熱容器20に接し、燻煙容器31がリテーナ17の有するフック状の爪30で係止されたものである。 【0025】病害虫を駆除する際には、以下のように燻煙剤用加熱具1を動作させて、燻煙装置2を使用する。 【0026】先ず、図3に示す燻煙剤用加熱具1の上面図のように、仕切り板16を抜取る。すると、漏斗14管状の脚15の尖った下端がフィルム18に当たる。 【0027】図2に示すように、蓋11を下向きに押し込むと、この脚15の下端が、フィルム18を突き破る。漏斗14の脚15は、加熱容器20に押し込まれる。 【0028】すると、穿刺具21が漏斗14の脚15の管孔を貫通し、ついには穿刺具21の尖端が封入容器12に達し、封入容器12を形成している膜を突き刺して破裂させる。液体発熱開始剤13が、封入容器12の破裂口から流れ出す。蓋11を押し込み続けると、蓋11の中央の垂れ下がった内壁が封入容器12を押し付ける結果、液体発熱開始剤13が押し出されて、完全に封入容器12から流れ出る。流れ出た液体発熱開始剤13は、漏斗14の脚15の内壁を伝わり、液滴となって固体発熱剤20に降り注ぐ。 【0029】液体発熱開始剤13と固体発熱剤22とが接触して反応し、発熱する。この熱が加熱容器20に伝播し燻煙剤23を加熱する結果、燻煙剤23は燻煙を開始し、燻煙により気化した殺虫成分とともに煙が発生する。煙は、燻煙容器31にあけられている噴煙孔32から噴出する。 【0030】以下に、本発明を適用する燻煙剤用加熱具1を、実際に試作した例を示す。 【0031】加熱容器20として、外径12mm深さ20mm肉厚0.5mmの円筒状であって、その口に外径16mmのフランジを有するアルミニウム製のものを用いた。長さ19mmのポリカーボネート製の穿刺具21をこの加熱容器20へ挿入して、穿刺具21の底部を接着固定した。発熱剤22として粒度#30〜#100の過マンガン酸カリウム0.7gを、加熱容器20に充填し、穿刺具21の元部を埋没させた。 【0032】加熱容器20のフランジ面に、外径が16mmの樹脂とアルミニウムとのラミネートフィルム18を貼りつけ、加熱容器20を密閉した。 【0033】外径10.7mm内径7mm高さ5mmで先端がV字に削れらた管状の脚15を窪みの中央に有する外径20mmのナイロン製の漏斗14上に、厚さ70μmのラミネートフィルム製で四方を熱溶融してあり液体発熱開始剤13としてエチレングリコール0.4mL(約0.45g)の封入された封入容器12を載せた。 【0034】この封入容器12と漏斗14とを、外径24mm内径21mm高さ16mmのナイロン製の蓋11で覆った。 【0035】リテーナ17に加熱容器20を挿入し、次いでリテーナ17の切り欠き19から幅15mm長さ45mm厚さ1.5mmでナイロン製の仕切り板16を挿入し、この仕切り板16の上に、蓋11と漏斗14と封入容器12とを載置した。蓋11および加熱容器20をリテーナ17で把持させて一体化させて、燻煙剤用加熱具1を得た。 【0036】試作したこの燻煙剤用加熱具1の耐震性試験を行った。先ず加熱具1を、振動試験機に取り付けた。加熱具1に周波数15Hz、重力加速度2Gの振動を2時間印加した後、変形、破損、発熱剤や液体発熱開始剤の遺漏を観察した。変形、破損、遺漏は全く認められなかった。また、誤作動したものもなかった。 【0037】次に、燻煙剤用加熱具1の動作試験を行った。先ず試作した別な3検体の燻煙剤用加熱具1の仕切り板16を抜取った後、蓋11を押し込み、加熱具1の加熱容器20の外壁の温度を熱電対により測定したところ、いずれも25〜30秒経過後に、燻煙剤の燻煙の開始に十分な361〜373℃に達した。 【0038】次に、試作した燻煙剤用加熱具1を用いて、燻煙装置を試作し、その動作試験を行った。先ず、外径55mm深さ20mm厚さ0.2mmの鉄製の燻煙容器31に噴煙孔32をあけた。噴煙孔32はポリエチレン製の熱溶融性フィルム(不図示)で塞いだ。燻煙容器31に、メトキサジアゾン5重量部、フェノトリン2重量部、シフェノトリン0.5重量部、アゾジカルボンアミド40重量部、ニトロセルロース10重量部、カルボキシメチルセルロース5重量部、クレー適量からなる燻煙剤23の25gを充填した。燻煙剤23に燻煙剤用加熱具1をさし、加熱具1のリテーナ17の爪30を燻煙容器31に係止した。 【0039】燻煙剤用加熱具1の仕切り板16を抜取り、蓋11を押し込んだところ、25秒経過後に、燻煙が開始し、熱溶融性フィルムを融かして噴煙孔32から噴出した。燻煙は十分にすることができた。 【0040】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の燻煙剤用加熱具は、簡便な操作で発熱し、確実かつ安全に、安定して燻煙剤の燻煙を開始させることができる。さらに輸送時や保管時に誤作動を起こすことがないので安全である。この加熱具は、小型で構造が簡便であるので、経済性においても優れている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003311 【氏名又は名称】中外製薬株式会社 【識別番号】000232922 【氏名又は名称】日油技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月28日(2001.3.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088306 【弁理士】 【氏名又は名称】小宮 良雄
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| 【公開番号】 |
特開2002−281881(P2002−281881A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月2日(2002.10.2) |
| 【出願番号】 |
特願2001−93089(P2001−93089) |
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