| 【発明の名称】 |
長時間蒸散用薬剤蒸散体及びそれを用いた長時間蒸散用加熱蒸散装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 裕章
【氏名】山本 志延
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱体上に載置して用いられる長時間蒸散用薬剤蒸散体において、開口部を有する合成樹脂製の成型容器と、該容器の内部に保持される薬剤含有体とからなる薬剤蒸散体であって、前記薬剤含有体と発熱体との距離が1mm以上であることを特徴とする長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項2】 容器の周囲側壁に開口部が形成されている請求項1に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項3】 容器の上板及び底板の少なくとも一方に通気孔が形成されている請求項1又は2に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項4】 容器の上板及び底板の少なくとも一方の外表面に複数の凸部が突設されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項5】 容器の上板及び底板の少なくとも一方の内表面に薬剤含有体担持用の複数のリブが突設され、該リブ突設部内表面と薬剤含有体との間に間隙が形成されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項6】 容器が上部容器と下部容器の2部材からなり、これらが嵌合により組み立てられる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項7】 薬剤含有体に少なくとも1つの連通孔が形成されている請求項3乃至6のいずれか一項に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項8】 容器の上部容器又は下部容器の一方の内表面に、上記薬剤含有体の連通孔と対応する位置に、嵌合孔を有する少なくとも1つの係合リブを突設すると共に、他方の上部容器又は下部容器の内表面に、上記係合リブと対応する位置に、上記係合リブの嵌合孔に嵌合する係止突子を突設し、該係止突子を上記嵌合孔に嵌合することにより上部容器と下部容器が組み立てられる請求項7に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項9】 薬剤含有体の中央部に連通孔が形成され、上部容器を構成する上板又は下部容器を構成する底板の一方の内表面中央部に上記連通孔に挿通される円筒状の係合リブを突設すると共に、他方の上板又は底板の内表面中央部に上記円筒状係合リブに嵌挿される係止突子を突設し、該係止突子の先端に膨出部が形成されている請求項8に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項10】 容器が枠体からなり、該枠体の周囲所定箇所に、上下に突出しその先端部が内側に折曲したフック部を有する係止片が複数個設けられ、上記係止片によって薬剤含有体が枠体内に保持されている請求項1に記載の長時間蒸散用薬剤蒸散体。 【請求項11】 発熱体を有する加熱装置と、開口部を有する耐熱性容器の内部に薬剤含有体を保持してなる長時間蒸散用薬剤蒸散体とからなり、該薬剤蒸散体を上記発熱体上に載置し、薬剤蒸散体下部と発熱体との間に1mm以上のスペースを介して上記薬剤含有体を間接的に加熱するように構成したことを特徴とする長時間蒸散用加熱蒸散装置。 【請求項12】 上記薬剤蒸散体が請求項2乃至10のいずれか一項に記載のものである請求項11に記載の長時間蒸散用加熱蒸散装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、各種薬剤を加熱蒸散するための長時間蒸散用薬剤蒸散体及びそれを用いた長時間蒸散用加熱蒸散装置に関する。 【0002】 【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、加熱蒸散製剤として、固体、液体又はペースト状の薬剤を発熱体を用いて加熱蒸散させる方法が知られており、その代表的な例は電気蚊取器である。電気蚊取器は、薬剤を含有する殺虫マットを電気的に加熱される発熱板上に載置し、薬剤を蒸散させて殺虫等の目的に用いられるものであり、上記殺虫マットとしては、従来よりパルプや石綿等を主とする繊維板等の基材に薬剤を保持させたものが用いられている。 【0003】電気蚊取器に代表されるこの種加熱蒸散装置においては、長時間にわたって加熱使用されるため、薬剤成分の分解と蒸散速度をいかに調節して薬剤を長時間安定して蒸散させるかということが問題になる。薬剤成分の蒸散を調節するための徐放化剤としては従来種々の化合物が知られており、例えばピペロニルブトキサイド、ピレスロイド系殺虫剤、パラフィン類、オリーブ油、ピーナッツ油等の油脂類及びそれらの水添加油類、あるいはジエチルトルアミド等の忌避剤やある種の界面活性剤類を添加して徐放化させることが考えられている。一方、有効成分の分解を抑制する方法としては一般に酸化防止剤の配合が知られており、特開昭53−121927号公報には種々の有効な酸化防止剤が開示されている。しかしながら、このような方策をとっても、加熱使用後の有効成分の残存率は高く、有効成分の充分な有効利用の点でなお課題が残っている。 【0004】すなわち、従来の加熱蒸散装置においては、薬剤を含有するマットを直に発熱板上に載置して加熱するため、マット全体が必要以上に常時高温状態に置かれ、発熱板に接触している面だけでなくマットの上面からも有効成分が蒸散する。そのため、加熱初期の薬剤揮散量が多く、その後は揮散量が著しく減少し、長時間にわたって安定した蒸散が得られず、それに伴って効力の低下が見られ、また薬剤残存率も高くなる。 【0005】また、発熱板の温度分布を詳細に観察すると、一般に発熱板の表面温度は均一でなく、中央部と周辺部とで表面温度差が見られ、例えば発熱板中央部の表面温度が170℃である場合にその周辺部の表面温度は130℃程度となっている。そのため、マット中央部の局部加熱を生じ、有効成分の熱分解が発生したり、薬剤蒸散効率の低下や効力低下等が見られる一因となっている。さらに、従来の発熱板は、上記のように表面温度が均一でないため、表面温度の高い中央部分と接触するマットの対応部分からの薬剤蒸散が多くなり、その部分の薬剤濃度が極めて希薄となる。そのため、薬剤の殆んどがマットの下面中央部分に移動してきて蒸散することになり、この場合、薬剤はマットの縦及び横方向への移動が必要となり、移動距離も長くなり、薬剤蒸散のためのスムーズな薬剤供給ひいては安定した薬剤蒸散が困難となる一因となっている。また、薬剤の蒸散がその部分において集中して行われるため、薬剤の熱分解等が起こり易く、目詰り現象が生じてそれ以降の薬剤のスムーズな蒸散を阻害するようになるという問題がある。 【0006】従って、本発明の目的は、薬剤の加熱蒸散における前記のような問題を解消し、長時間にわたって薬剤を安定にかつ有効に蒸散できる手段を提供することにある。さらに本発明の目的は、薬剤の加熱蒸散に際して、薬剤が塗布含浸された薬剤含有体の発熱体側を均一に加熱し、薬剤の熱分解や薬剤含有体の目詰り等の劣化を抑制し、有効揮散率に優れ、長時間にわたって安定して薬剤を蒸散できる手段を提供することにある。さらに本発明の他の目的は、取扱い時に薬剤に直接手が触れることもなく、小児に対しても安全な薬剤蒸散体及びそれを用いた加熱蒸散装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記目的を達成するために、開口部を有する合成樹脂製の成形容器と、該容器の内部に保持される薬剤含有体とからなり、発熱体上に載置して用いられる長時間蒸散用薬剤蒸散体であって、前記薬剤含有体と発熱体との距離が1mm以上である長時間蒸散用薬剤蒸散体が提供される。さらに本発明によれば、発熱体を有する加熱装置と、開口部を有する合成樹脂製の成形容器の内部に薬剤含有体を保持してなる長時間蒸散用薬剤蒸散体とからなり、該薬剤蒸散体を上記発熱体上に載置し、該薬剤蒸散体下部の容器底板及び/又は薬剤含有体と発熱体との間に存在するスペース(薬剤含有体と容器底板との間の空間及び/又は容器底板と発熱体との間の空間を設けた場合のこれらの空間等)を介して上記薬剤含有体を、薬剤含有体下部と発熱体との距離が1mm以上あるようにして間接的に加熱するように構成したことを特徴とする長時間蒸散用加熱蒸散装置が提供される。 【0008】 【発明の作用及び効果】本発明によれば、従来の殺虫マットのように薬剤を含有する基材を発熱体上で直接接触した状態で加熱する構成とは異なり、開口部を有する合成樹脂製の成形容器の内部に薬剤含有体を保持してなる長時間蒸散用薬剤蒸散体を用い、これを発熱体上に載置し、薬剤含有体下部の容器底板及び/又は薬剤含有体と発熱体との間に存在するスペースを介して上記薬剤含有体を間接的に加熱するように構成したものである。ここで合成樹脂製の成形容器における成形容器とは、容器に外力が加わっても、柔軟な袋状のものとは異なり、内部に薬剤含有体との間の空間的位置関係に変化が生じない程度のものであることをいい、合成樹脂製とは金属のように熱伝導率が高い材料を積極的に排斥する意味である。また、長時間蒸散用蒸散体とは、少なくとも12時間(半日)以上の時間をかけてゆっくりと蒸散させる形式の蒸散装置用の蒸散体を意味するものである。このような、本発明によれば、薬剤含有体と発熱体との間が一定の距離に保たれ、また薬剤含有体下部の容器底板及び/又は上記スペースがいわゆる均熱部を形成し、薬剤含有体の下面温度を発熱体表面の最高温度よりかなり低めのほぼ均一な温度に設定でき、かつ薬剤含有体の下面を均一に加熱することができる。その結果、微視的に見た場合、薬剤含有体の上側部分は下側部分よりも低い温度に保持されるため、主として薬剤含有体の下面から薬剤が均等に蒸散し、容器の開口部を経て外部に揮散される。薬剤蒸散に伴い、薬剤は薬剤含有体の上部から下部に向って、即ち薬剤の高濃度域から低濃度域へ移行し、このときの薬剤移行の距離は最も短くかつ重力に従った方向の移行であるため、非常にスムーズに薬剤が移行でき、薬剤の蒸散に過不足のない薬剤供給が行われ、安定した薬剤蒸散を行うことができる。 【0009】また、薬剤含有体と発熱体との間には前記したいわゆる均熱部が形成され、加熱装置への装着後加熱使用時における薬剤含有体下面の急激な温度上昇や局部加熱が防止されるため、薬剤の熱分解を抑えることができる。また使用期間中においても、薬剤含有体の上側部分に含有される薬剤はその下面加熱温度よりも低い温度に保持されているため、薬剤の熱分解は少なく、薬剤含有体の蒸散面の目詰り等の劣化を抑制でき、高い有効揮散率で安定した薬剤蒸散が得られる。さらに、本願発明のように長時間蒸散用薬剤蒸散体を合成樹脂製の成形容器内部に薬剤含有体を保持した構造とすることにより、その取扱いは容器を持って行われ、薬剤(薬剤含有体)に直接手を触れる必要がないため安全であり、特に皮膚の弱い小児に対しても安全でかつ誤食も防止でき、さらに衝撃等にも強く薬剤保護の面でも有利である。 【0010】 【発明の態様】本発明で用いる薬剤含有体は、各種無機物質及び/又は有機物質からなる空隙を有せしめた多孔質体に各種薬剤を保有せしめたものである。薬剤含有体の基材としての無機物質及び/又は有機物質としては、種々のものを用いることができ、例えばクレー、タルク、カオリン、ケイソウ土、石膏、パーライト、ベントナイト、酸性白土、火山岩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、コロイダルシリカ、乳糖、白糖、デンプン、CMC、MC、ヒドロキシプロピルスターチ、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、グラスファイバー、岩綿、セピオライト、粘土、コークス、黒鉛、木粉、セルロース、パルプ、リンター、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイト、ポリアミド等の高分子樹脂等を例示できるが、当然のことながらこれらに限定されるものではない。これらは、繊維状物質としてマット状に成形したり、無機粉末及び/又は有機粉末の1種以上をバインダーと共に押出成形し、乾燥したものや、無機粉末及び/又は有機粉末の1種以上をそのまま圧縮成形するか又はバインダーを添加して圧縮成形したもの、及び以上の物を焼成する等の手法により成形することができる。 【0011】バインダーとしては、CMC、MCやヒドロキシエチルセルロース等の各種セルロース誘導体、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン及びその誘導体、プルラン、カゼイン及びその誘導体、アルギン酸及びその誘導体、カードラン、寒天、カラギーナン、ジュランガム、サクシノグルカン、ファーセレラン、カラヤガム、アカシヤガム、タマリンドガム、アクリルアミド系重合物、トラガントゴム、デキストラン、アルブミン、大豆タンパク質、ポリビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ニゲラン、ルティン酸、リンマンナン、レバン、ペクチン、ポリビニルピロリドン、コラーゲン、ポリビニルメタクリレート、コンドロイチン硫酸ナトリウム、等の各種増粘剤や水溶性高分子、ポリサルフォン(PS)、ポリフェニルサルフォン、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル系樹脂、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、フェノール樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、タール、ピッチ、ウレタン、ワックス、ワックスエマルジョン、コロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、水ガラス、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム等のリン酸塩等が例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。 【0012】なお、薬剤含有体には、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて溶剤、顔料、色素、防腐剤、他の固着剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水性耐油性向上剤、香料、難燃剤、強度向上剤等の他の添加剤を配合してもよい。添加できる酸化防止剤としては、例えば3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸、2,2′−メチレン−ビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム:ポリエチレンワックス、オクチル化ジフェニルアミン、トリス[2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシヒドロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキザスピロ[5,5]ウンデカン、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート及び2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどの化合物が挙げられる。これらの化合物は、単独でも、また2種以上を組み合わせて混合使用することもできる。これら酸化防止剤の添加により、加熱使用時における熱劣化防止、酸化防止、薬剤の分解、重合防止、長期に亘る経時安定性の向上などの効果が得られる。 【0013】また、過酸化物分解剤と一般に呼ばれる酸化防止剤、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート(DLTP)やジステアリルチオジプロピオネート(DSTP)等を、前記酸化防止剤と組み合わせて、混合使用することもできる。さらに、安定剤として紫外線吸収剤を用いることにより、保管時、使用時の耐光性を一段と向上させることができる。 【0014】本発明の薬剤含有体には種々の蒸散性薬剤を含有させることができ、殺虫剤としては、従来より用いられている各種蒸散性殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられ、例えばアレスリン、dl,d−T80−アレスリン、d,d−T80−アレスリン、d,d−T80−プラレトリン、フタルスリン、d−T80−レスメトリン、d−T80−フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、フェンバレレート、シペルメトリン、シフェノトリン、エムペントリン、テラレスリン、エトフェンプロックス、ヘンフルスリン、ベンフルスリン等従来公知の各種ピレスロイド系殺虫剤を用いることができる。その他、薬剤として加熱蒸散性の殺菌剤、殺ダニ剤、防バイ剤、防錆剤、芳香剤、忌避剤等の使用ができる。 【0015】上記薬剤含有体を保持する容器の材質としては、使用される薬剤に応じ、耐熱性・耐薬剤性を有する事が望まれる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリアセタール、メラミン樹脂、ポリ四フッ化エチレン、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メタアクリル酸樹脂、ポリアリレート、ポリケトン、ポリアミドイミド、ポリアリルサルフォン、ポリフェニレンサルファイト、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルニトリル等が挙げられる。容器の形状は、略直方体に限定されず、略円柱状、略楕円状、略多角柱、及びそれらの錘台状等任意である。また薬剤含有体の形状も、これら容器形状に対応して任意の形状に成形できる。容器は、通常の成形方法により形成され、射出成形、加圧成形、圧縮成形等が挙げられる。さらに容器壁部及び/又は薬剤含有体を多孔状に成形することもできる。このような容器内部に薬剤含有体を保持してなる薬剤蒸散体を載置した発熱体の発熱方法としては、抵抗ヒーター(ニクロム線等)・半導体(PTC)を用いたヒーターに通電する方法、酸化反応(鉄・マグネシウム等の金属の酸化等)、加水反応(生石炭と水の反応等)、アルコール・ガス・灯油・ワックス等の燃焼熱、また白金触媒を使用したアルコール・ガス等の燃焼熱を利用する方法、及びその他の熱源を直接あるいは間接的に利用する方法が用いられる。 【0016】 【実 施 例】以下、実施例及び試験例を示して本発明についてより具体的に説明する。図1は本発明に係る薬剤蒸散体の一具体例を示し、この薬剤蒸散体1は、薬剤を含有する薬剤含有体2とこれを内包する容器3とからなる。容器3は上部容器4と下部容器5の2部材からなり、これら上部及び下部容器の周囲側壁は、これら各容器を嵌合固定して組み立てたときに開口部6を形成するように切り欠かれている。組み立てたときに容器3の上板を構成する上部容器4の上板部8及び底板を構成する下部容器5の底板部9の外表面には、複数(本例の場合それぞれ4個)の凸部7が突設されており、図2に示すように加熱装置10の発熱体11上に載置されたときに、下部容器5の底板部9と発熱体11との間にスペースSが形成されるようになっている。従って、図2に示す状態で加熱使用した場合、下部容器5の底板部9及びこれと発熱体11との間のスペースSが均熱部を形成し、容器3内に保持されている薬剤含有体2が均一に加熱される。 【0017】尚、図1に示す容器の場合、上部容器4及び下部容器5のそれぞれの外表面に凸部7が形成されているため、いずれの側を下側にして発熱体11上に載置しても、容器3と発熱体11との間にはスペースSが形成される。しかしながら、上記凸部7は上部容器4又は下部容器5の一方の外表面のみに設けることもできる。そしてこの場合、凸部7が形成された面を下側にして発熱体11上に載置した場合、上記と同様に容器と発熱体との間にスペースSが形成され、薬剤含有体2の下面をより低い加熱温度に設定でき、一方、凸部が形成されていない面を下側にして発熱体11上に載置すると、容器3の下面と発熱体11とが接触し、薬剤含有体2の下面を上記の場合よりも高い加熱温度に設定でき、加熱使用開始時により多量の薬剤蒸散が必要とされる場合などに有利となる。また、図3に示すように、上部容器12及び下部容器13のいずれの外表面にも凸部を形成しないようにすることもできる。 【0018】前記図1乃至3に示した容器の場合、容器内面と薬剤含有体との間には外観上明らかな間隙は形成されていない。従って、薬剤含有体2に含有される薬剤は、主としてその被加熱面である下面から蒸散し、薬剤含有体下側部を移行して開口部6を経て外部に揮散される。これに対して、図4に示す実施例の場合、上部容器14及び下部容器15の内表面に薬剤含有体担持用の複数のリブ16が突設され、上記内表面と薬剤含有体2との間に間隙Xが形成されるようにして、加熱により蒸散した薬剤が開口部6に向ってよりスムーズに流れるように構成されている。また、上記間隙Xも薬剤含有体加熱の際に下部容器15の底板部と共に均熱部を形成する。尚、上記間隙Xは上部容器14又は下部容器15の一方の内表面側にのみ形成することもできる。図5は図1に示す容器の変形例を示し、上部容器17及び下部容器18の外表面に形成される凸部19の数及び設置場所が違うほか、上部容器17と下部容器18との嵌合位置が四隅でなく他の位置(側辺部等)である点で異なる。 【0019】図6に示す実施例は、図4に示す実施例の変形例を示し、上部容器20及び下部容器21のそれぞれの内表面にリブ16が形成されていることは同様であるが、上部容器20及び下部容器21の中央部にそれぞれ通気孔22,23が形成され、また上部容器20及び下部容器21のそれぞれの外表面に凸部24が突設されている点で異なる。この場合にも、上記通気孔22,23、凸部24、及びリブ16はそれぞれ上部容器20又は下部容器21の一方にのみ形成することができる。上記通気孔22,23を設けることにより、薬剤含有体2からの薬剤の蒸散がよりスムーズに行えると共に、下部容器21の通気孔23は薬剤含有体2と下部容器21の底板部との間隙X、下部容器21の底板部及びそれと発熱体との間のスペースと共に二重の均熱部を形成している。尚、上記通気孔は上部容器及び/又は下部容器に1個設ける場合に限られず、複数個設けることもできる。 【0020】図7は他の実施例を示し、上部容器25及び下部容器26のそれぞれの内表面に複数のリブ27が突設されているほか、上部容器25及び下部容器26のそれぞれの上板部及び底板部に複数の通気孔28が穿設されている。また、薬剤含有体29の中央部に連通孔30が形成され、一方、上部容器25の内表面中央部に上記連通孔30に挿通される円筒状の係合リブ31が突設されていると共に、下部容器26の内表面中央部には上記円筒状係合リブ31に嵌挿される係止突子32が突設され、該係止突子32の先端にはきのこ状の膨出部33が形成され、抜け止め構造とされている。尚、薬剤含有体29の連通孔30、係合リブ31及び係止突子32の数及び設置箇所は任意でよい。 【0021】図8は前記各実施例とは外観態様が全く別の実施例を示し、本例の場合、容器34は枠体からなり、該枠体の周囲所定箇所に、上下に突出し、その先端部が内側に折曲したフック部36を有する係止片35が複数個設けられ、上記係止片35のフック部36によって薬剤含有体2が枠体容器34内に保持されるようになっている。 【0022】一方、図9は前記図7に示す実施例の変形例であり、上部容器37及び下部容器38の外表面に凸部39が形成されている点、及びそれらの内表面にリブが設けられていない点で異なるほか、上部容器37と下部容器38の嵌合構造も若干異なる。すなわち、本例の場合、上部容器37の内表面に、薬剤含有体43の中央連通孔44と対応する位置に、嵌合孔41を有する係合リブ40を突設すると共に、下部容器38の内表面に、上記係合リブ40と対応する位置に、上記係合リブ40の嵌合孔41に嵌合する係止突子42を突設し、該係止突子42を上記嵌合孔41に嵌合することにより上部容器37と下部容器38が組み立てられる。 【0023】図10は他の実施例を示し、上部容器45及び下部容器46の略中央部に開口部47を形成し、一方、薬剤含有体48の略中央部にも連通孔49を形成し、これら開口部47及び連通孔49は略同心の位置関係を有している。本例の場合、これら開口部47及び連通孔49から形成される中央孔は、薬剤の揮散に用いられる。尚、前記した図1乃至図6及び図10に示す各実施例の場合、上下部容器の固定には従来公知の技術を利用でき、例えばフック嵌合、ネジ固定、溶着、接着等の各種方法が使用できる。 【0024】以下、各種試験例を示して本発明の効果について具体的に説明する。 試験例1発熱体の発熱板中央温度を120℃、140℃、160℃、及び180℃にそれぞれ設定した各種発熱板(24×36mm)上に、ポリフェニレンサルファイト(以下PPSと略称する)製の図3の下部容器13(22×34×0.3mm)を設置し、発熱板表面温度と下部容器13のPPS板の薬剤含有体側の表面温度を熱電対型表面温度計にて測定した。尚、温度測定部は対角線の交点とし、室温25℃の条件で測定した。また、別に下部容器の底面に0.5mmの高さの凸部を突設し、発熱板との間にスペースを設け、図2と同様の状態として温度測定を行った。その結果を表1に示す。 【表1】
【0025】表1に示す結果から明らかなように、発熱体の発熱板表面温度において、120℃から180℃の間に60℃の差がある場合でも、下部容器を載置するとその薬剤含有体側表面温度は47℃の差となり、さらに、下部容器底面に凸部を突設して発熱板との間にスペースを設けると、27℃の差となる。この様に、下部容器底板自体や発熱板との間のスペースによって均熱部を設けることにより、発熱体の温度の違いによる下部容器上面(薬剤含有体下面)の温度のバラツキを減少させることができ、薬剤加熱を安定化させることができる。 【0026】試験例2市販の加熱蒸散蚊取器具の正特性サーミスターを用いた発熱体の発熱板上に、ポリサルフォン製の図5の下部容器(24×36mm、厚みt=0.5mm、1mm、及び2mm、下部容器底面の凸部なし)を設置し、発熱板表面温度と下部容器上面の薬剤含有体側表面温度を熱電対型表面温度計にて表面の温度分布を調べた。その結果を表2に示す。尚、温度測定部は24×36mmの対角線を6等分する5点(図11を参照)とし、室温25℃の条件で測定した。また、別に下部容器の底面に0.3mm、0.5mm、1.0mm、及び1.5mmの高さの凸部を突設し、発熱板との間に上記各間隔のスペースを設けた場合についても同様に温度分布を調べた。その結果を表2に併せて示す。尚、下部容器の厚み2.0mmのものについてのみの温度分布を図12に示す。 【表2】
【0027】表2及び図12に示す結果から明らかなように、前記市販の正特性サーミスター(以下PTCと略称する)を用いた場合、発熱板表面温度はPTCの位置する部分(図11の測定部3)が最も高く、端にいくほど温度が低くなり、発熱板表面の最高温度と最低温度の温度差は40℃以上であった。しかし、ポリサルフォン製の下部容器(図5)を発熱板の上に設置した場合、薬剤含有体側表面温度は、発熱板表面温度より全体的に低くなり、最高温度と最低温度の温度差もかなり緩和され、容器の厚みがあるほど温度範囲が小さくなる。しかし、容器の厚みだけで均一な温度分布を得るためには極端に厚い容器となり、サイズ、コストの問題が生じる。しかし発熱板と容器の間にスペース(空間)を設けることにより、容器サイズを大きくすることなく均一な温度分布を得ることができる。この場合、空間距離は0.5mm以上が好ましく、更に好ましくは1.0mm以上である。上記手段は、薬剤含有体を一定温度で均一に加熱でき、薬剤を蒸散させる上で非常に有効であると考えられる。また、容器の厚さと空間距離の組みあわせにより、均一に保持される温度を任意に設定出来るため、同一の発熱板を用いても熱特性の異なる薬剤を最適の条件で加熱することが可能である。 【0028】試験例3下記処方の実施例1及び2の固形製剤を図2の形状のポリサルフォン製容器に組み込み、発熱板温度165℃の器具に装着して薬剤含有体下面温度を120℃とし、加熱蒸散を行い、3時間毎に揮散した殺虫有効成分を吸引してシリカゲルに補集し、これを12時間目まで繰り返し、各々についてアセトンを用いて抽出した試料溶液をガスクロマトグラフィーによって定量分析を行った。次に、12時間加熱蒸散後の薬剤含有体をアセトンを用いて抽出し、同様に有効成分の定量分析を行った。また比較例として、有効成分含有量が各々同じである市販品マットA及びBについても同様に加熱蒸散させ、有効成分の定量を行った。また、仕込み量に対する薬剤回収量の関係より、薬剤分解率を下記算出式より求めた。各々の結果を下記表3に示す。
【0029】 実施例1 比較例1リン酸カルシウム 200mg 市販品(A) プラレトリン 10mg (プラレトリン 10mg) マット下面温度 120℃ マット下面温度 165℃実施例2 比較例2無水リン酸水素カルシウム 500mg 市販品(B) d−アレスリン 36mg (d−アレスリン 36mg) マット下面温度 120℃ マット下面温度 165℃【表3】
【0030】表3に示す結果から明らかなように、市販品(A)、(B)の殺虫マットを市販の加熱蒸散用蚊取器具にて揮散させた場合、初期に多量の薬剤が揮散し、後半は揮散量が顕著に減少するため効力不足が生じる。また薬剤分解も著しく、約3割が分解している。それに比べ、市販の加熱蒸散用蚊取器具に薬剤含有体を保持するポリサルフィン製容器を設置した場合、薬剤含有体の下面温度が120℃となり、実施例1および2の処方では、加熱の初期から後期まで揮散量変化も少なく、安定した薬剤蒸散が得られている。また、薬剤分解率も非常に低く、有効な薬剤揮散が得られる。 【0031】試験例4図4に示す形状のポリアミド製容器を用い、内部に下記処方の固形製剤の薬剤含有体を組み込み、発熱板温度150℃の器具に装着し、薬剤含有体下面温度を約110℃とし、加熱蒸散を行い、先の試験例3と同様の方法で12時間毎に揮散した有効成分を定量分析した。結果を表4に示す。 【0032】 実施例3 実施例6リン酸カルシウム 3000mg タルク 1000mgd−アレスリン 40mg プラレトリン 10mg酸化防止剤A 1mg 酸化防止剤B 0.2mg実施例4 実施例7リン酸カルシウム 3000mg タルク 1000mgd−アレスリン 160mg プラレトリン 40mg酸化防止剤A 4mg 酸化防止剤B 0.8mg実施例5 実施例8リン酸カルシウム 3000mg タルク 1000mgd−アレスリン 280mg プラレトリン 70mg酸化防止剤A 7mg 酸化防止剤B 1.4mg 酸化防止剤A:トリス−(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(商品名IRGANOX 3114) 酸化防止剤B:1.6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート〕(商品名IRGANOX 259) 【表4】
表4に示す結果から明らかなように、いずれの実施例においても、長期間にわたり、安定した有効成分の揮散が得られると共に、有効揮散率も高いものであった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000112853 【氏名又は名称】フマキラー株式会社
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| 【出願日】 |
平成3年7月9日(1991.7.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073818 【弁理士】 【氏名又は名称】浜本 忠 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−281880(P2002−281880A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月2日(2002.10.2) |
| 【出願番号】 |
特願2002−34818(P2002−34818) |
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