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【発明の名称】 ヒトデ駆除装置
【発明者】 【氏名】運上 賢逸

【要約】 【課題】海中における人手作業を必要とせず、自然破壊がなく、且つ、貝類を捕獲せずにヒトデのみを効率良く捕獲し駆除するヒトデ駆除装置を提供する。

【解決手段】円筒形のドラム1を設け、ドラム1の外周面に多数の捕獲ピン2を設け、ドラム1の両側には夫々ドラムベアリング部9を設ける。ドラムベアリング部9に夫々接続プレート7を連結し、接続プレート7の後方には集合網フレーム5及び集合網6を設ける。集合網フレーム5の下部には、前部隙間調整板12及び後部隙間調整板13を設ける。更に、集合網フレーム5とドラム1との間には、柔軟性を有し捕獲ピン2が通過する切込部を備えた落下防止板4を設け、落下防止板4より上方に捕獲ピン2が通過する切欠部を備えた離脱板3を設ける。離脱板3は捕獲ピン2が切欠部を通過する際に捕獲ピン2の下端から切欠部に入り、上端で切欠部から抜けるように傾斜させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 海底を転がるドラムと、このドラムの周面に立設されて海底のヒトデを刺衝する複数の捕獲ピンと、海中に浮遊するヒトデを捕集する捕集網と、前記ドラムの中心軸と前記捕集網とを前記ドラムに相対的に回転可能に連結する連結部と、前記ドラムの前記捕集網側の周面における前記捕獲ピンの移動域に介在して設けられ前記捕獲ピンに刺衝されたヒトデを前記捕獲ピンから抜き取る離脱部とを有することを特徴とするヒトデ駆除装置。
【請求項2】 前記離脱部の下部にて前記ドラムの周面と前記捕集網との間に掛け渡されて海中のヒトデを前記捕集網に導く導板を有することを特徴とする請求項1に記載のヒトデ駆除装置。
【請求項3】 前記捕集網の下部に設けられ、前記捕集網と海底との間に隙間を形成する隙間調整部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒトデ駆除装置。
【請求項4】 前記ドラムの中心軸に相対的に回転可能に連結されたタグプレートを有し、このタグプレートを介して船により前記ドラムを牽引することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のヒトデ駆除装置。
【請求項5】 前記ドラムの中心軸に設けられ、前記ドラムを回転駆動する駆動部材を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のヒトデ駆除装置。
【請求項6】 前記離脱部は前記連結部に固定され前記捕獲ピンの移動を阻止しない切欠を有して前記捕獲ピンの移動域に介在する邪魔板であり、この邪魔板は前記捕獲ピンが前記切欠を通過する際に捕獲ピンの下端から前記切欠に入り、上端で前記切欠から抜けるように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒトデ駆除装置。
【請求項7】 前記導板は前記捕獲ピンが通過する切欠を有し、柔軟性を有していて、前記捕獲ピンに刺衝されたヒトデが前記導板により離脱されないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヒトデ駆除装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海底に生息するヒトデを捕獲して駆除するヒトデ駆除装置に関し、特に、貝類が生息する砂地及び小石が多く存在するような沿岸の海底におけるヒトデの駆除に好適なヒトデ駆除装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、沿岸での再生産漁業の柱として養殖漁業が広く行われており、貝類、特にホタテの地撒きは日本を代表する養殖事業の1つとなっている。しかしながら、貝類の養殖量が増加するほど、この貝類を餌とするヒトデによる食害が多くなっている。近時、アサリ、ホッキ貝及びツブ等の生息海域においてもヒトデによる被害が多発している。
【0003】従来行われているヒトデ駆除方法を以下に示す。ヒトデ駆除の方法の1つとして、潜水による方法がある。図9は従来の潜水によるヒトデ駆除方法を示す模式図である。図9に示すように、海底100上にはヒトデ101が生息している。海面上に船102を浮かべ、船102にはポンプ103を搭載する。ポンプ103はホース104を介して潜水夫105に呼吸用空気を供給する。潜水夫105は海106に潜水してヒトデ101を手作業で捕獲し、容器107に収納し、船102上へ回収することにより、ヒトデ101を駆除する。
【0004】しかしながら、この潜水によるヒトデ駆除方法には以下のような問題点がある。砂地及び小石等が存在する海底では海水が濁りやすいため、潜水作業ができる日数が少なく、また、日中しか作業ができない。このため、1日に1人の潜水夫が作業できる時間が限られている。更に、ヒトデを人の目で探して採捕するため、作業効率が極めて悪い。
【0005】また、モップ状の捕獲器を船で曳くモップ曳きと呼ばれる方法も行われている。図10は従来のモップ曳きによるヒトデ駆除方法を示す模式図である。モップ状捕獲器108は支持部109と、この支持部109に連結された多数の綱110とから構成されている。支持部109にはロープ111の一端が連結され、ロープ111の他端は海上の船102に連結されている。船102が前進することにより、ロープ111を介してモップ状捕獲器108を牽引する。これにより、モップ状捕獲器108の綱110が海底100を掃き、綱110にヒトデ101の触手を絡み付かせることによりヒトデ101を捕獲する。モップ状捕獲器108を一定時間曳いた後、船102上に引き上げて人手によりモップ状捕獲器108からヒトデ101を外して、ヒトデ101を回収する。
【0006】しかしながら、このモップ曳きによる方法においては、ヒトデは触手が短いため綱に絡みにくく、船によりモップ状捕獲器を曳いてもヒトデの取り残しが多いという問題点がある。また、モップ状捕獲器を船上の引き上げるまでに落下するヒトデが多く、特に、大型のヒトデは質量が大きいため落下する頻度が高い。このため、ヒトデ駆除の効率が悪いという問題点がある。
【0007】そこで、ヒトデ駆除作業の効率を向上させるために八尺曳きと呼ばれる方法も行われている。図11(a)乃至(c)は、従来の八尺曳きによるヒトデ駆除方法を示す模式図である。八尺曳きは、ホタテ桁曳きに使用する漁具(通称、八尺と呼ばれている)を使用して海底のヒトデを捕獲する方法である。図11(a)に示すように、八尺112はロープ111を介して船102に連結されている。図11(b)に示すように、八尺112には網113が設けられ、網113にはフレーム114が連結され、フレーム114により開口部114aが形成されている。フレーム114の下側には多数のピン115が設けられている。また、フレーム114にはロープ111を連結するための支持部116が取り付けられている。船102がロープ111を介して八尺112を曳くと、八尺112は開口部114aを前方にして海底100に接しながら移動する。これにより、ヒトデ101が開口部114aを介して網113内に捕集される。このとき、ピン115は海底100に深さ10cm程度まで突き刺さるため、海底100上に生息するヒトデ101を逃さず、ヒトデ101を効率良く捕集することができる。八尺112を一定時間曳いた後、船102上に引き上げて、ヒトデ101を回収する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の従来の八尺曳きによるヒトデ駆除方法には以下に示すような問題点がある。図11(c)に示すように、八尺曳きを行うと海底及び深さが約10cmの土中にいる貝類も全て捕獲されるため、ヒトデ101の他に貝類、例えば、海底100に生息するホタテ117、土中に生息するホッキ貝118及びアサリ119等も同時に捕獲してしまう。このため、他人の漁業権を侵害する等の問題が発生する。また、海底の石等もすべて網113に入ってしまうため、少なからず自然破壊を行ってしまうという問題点もある。更に、八尺を曳くためには大きな駆動力が必要となるため、船102として大型船を使用せざるを得ず、浅瀬での作業ができないという問題点がある。このため、八尺曳きによるヒトデ駆除は、実行可能な海域が限られている。また、ホタテ等の養殖中には八尺曳きによるヒトデ駆除ができない。従って従来、ホタテの漁場造成時においてのみ八尺曳きを行い、残貝の捕集と同時にヒトデの駆除を行い、その後、ホタテの稚貝を放流している。ホタテの養殖中に発生するヒトデについては、八尺曳きによる駆除は前述の理由により不可能である。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、海中における人手作業を必要とせず、自然破壊がなく、且つ、貝類を捕獲せずにヒトデのみを効率良く捕獲し駆除するヒトデ駆除装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るヒトデ駆除装置は、海底を転がるドラムと、このドラムの周面に立設されて海底のヒトデを刺衝する複数の捕獲ピンと、海中に浮遊するヒトデを捕集する捕集網と、前記ドラムの中心軸と前記捕集網とを前記ドラムに相対的に回転可能に連結する連結部と、前記ドラムの前記捕集網側の周面における前記捕獲ピンの移動域に介在して設けられ前記捕獲ピンに刺衝されたヒトデを前記捕獲ピンから抜き取る離脱部とを有することを特徴とする。
【0011】本発明においては、ドラムが回転することにより捕獲ピンが海底に生息するヒトデを刺衝して捕獲し、このヒトデが捕獲ピンに保持されたままドラムの回転に伴って離脱部まで搬送され、この離脱部によりヒトデが捕獲ピンから抜き取られる。この後、このヒトデは一旦海中に浮遊した後、捕集網に捕集される。このとき、捕獲ピンは硬い貝類を刺衝しないため、貝類を捕獲することはない。
【0012】また、前記離脱部の下部にて前記ドラムの周面と前記捕集網との間に掛け渡されて海中のヒトデを前記捕集網に導く導板を有することが好ましい。これにより、捕獲ピンから離脱し海中に浮遊したヒトデが、海底に落下することを防止することができる。
【0013】更に、前記捕集網の下部に設けられ、前記捕集網と海底との間に隙間を形成する隙間調整部材を有することが好ましい。これにより、捕集網が貝類及び小石等を捕集することを防止できる。また、捕集網が海底を引きずられることによる損傷を防止できる。
【0014】更にまた、前記ドラムの中心軸に相対的に回転可能に連結されたタグプレートを有し、このタグプレートを介して船により前記ドラムを牽引することができる。
【0015】更にまた、前記ドラムの中心軸に設けられ、前記ドラムを回転駆動する駆動部材を有することができる。これにより、ヒトデ除去装置を船により牽引しなくても、自力で走行することができる。
【0016】更にまた、前記離脱部は前記連結部に固定され前記捕獲ピンの移動を阻止しない切欠を有して前記捕獲ピンの移動域に介在する邪魔板であり、この邪魔板は前記捕獲ピンが前記切欠を通過する際に捕獲ピンの下端から前記切欠に入り、上端で前記切欠から抜けるように傾斜していてもよい。これにより、この邪魔板が捕獲ピンに刺衝されたヒトデをこの捕獲ピンの先端に向かって押圧し、このヒトデを前記捕獲ピンから抜き取ることができる。
【0017】更にまた、前記導板は前記捕獲ピンが通過する切欠を有し、柔軟性を有していて、前記捕獲ピンに刺衝されたヒトデが前記導板により離脱されないことが好ましい。これにより、前記導板を前記捕獲ピンの移動域に配置しても、前記ドラムの回転を妨げることがない。また、捕獲ピンがヒトデを保持している場合においても、ヒトデが前記導板を押圧してこの前記導板を変形させることにより通過することができる。このため、前記導板を前記ドラムの近傍に配置して、ヒトデが海底に落下することを確実に防止することができる。
【0018】前記捕獲ピンは、前記ドラムに固定された軸部とこの軸部の先端に設けられたかえし部とから構成されることが好ましい。これにより、捕獲ピンが刺衝したヒトデを確実に保持することができる。
【0019】前記ドラムは内部が中空であり、前記ドラムの内部と外部とを連結する開閉可能なプラグを有することができる。これにより、ドラム内に所定量の水を満たすことができ、ドラムの質量を調節することができる。この結果、捕獲ピンが海底に印加する押圧力を調整することができ、貝類を傷つけずにヒトデのみを効率的に捕獲することができる。
【0020】更に、一端が前記捕集網の内部に連結され、他端が海面上の船に配置されたポンプに連結されるホースを有していてもよい。これにより、捕集網に捕集されたヒトデを、ホースを介して船上に引き上げることができる。この結果、捕集網のヒトデを船上に回収するためにヒトデ駆除装置を海底から引き上げる必要がなくなり、ヒトデ駆除作業の安全性及び効率が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施例について説明する。図1は本実施例に係るヒトデ駆除装置の構成を示す側面図、図2はこのヒトデ駆除装置の構成を示す平面図である。
【0022】図1及び図2に示すように、本実施例に係るヒトデ駆除装置20においては、円筒形のドラム1が設けられ、ドラム1の周面には多数の捕獲ピン2が取り付けられている。また、ドラム1の内部は中空になっており、ドラム1の内部と外部とを連結し、ドラム1の内部を気密に保つプラグ11が2つ設けられている。また、ドラム1の両側には夫々ドラムベアリング部9が設けられている。ドラムベアリング部9には夫々タグプレート8が取り付けられ、タグプレート8はドラム1に対して図1に示す矢印aの方向に自由に回転可能となっている。タグプレート8には牽引索14の一端が連結されている。牽引索14の他端は船17(図5(b)参照)に連結される。牽引索14は、ロープ、ワイヤ又はチェーン等により構成されている。
【0023】また、ドラムベアリング部9は夫々接続プレート7に連結されている。このため、接続プレート7はドラム1に対して図1に示す矢印bの方向に回転可能に連結されている。接続プレート7の形状は略3角形であり、前部、後部及び上部に夫々頂点を持ち、前部の頂点付近にドラムベアリング部9が連結されている。
【0024】更に、接続プレート7の後部の頂点付近には、集合網ベアリング部10が設けられ、集合網ベアリング部10には集合網フレーム5が連結されている。これにより、集合網フレーム5は、集合網ベアリング部10を介して接続プレート7に対して、図1に示す矢印cの方向に自由に回転可能に連結されている。集合網フレーム5は前方、即ちドラム1に向かう方向に開口部5aを形成し、この開口部5aを底辺とし後方に向かって連続的に細くなる略四角錘形状を形成している。この集合網フレーム5が形成する略四角錘における開口部5a以外の面には、集合網6が設けられている。集合網フレーム5及び集合網6により捕集網が構成されている。また、集合網フレーム5の下部における前部及び後部には、夫々前部隙間調整板12及び後部隙間調整板13が設けられている。
【0025】前記略四角錘の下部前面を構成する集合網フレーム5(下フレーム)には、海中のヒトデを前記捕集網に導く導板である落下防止板4が取り付けられており、落下防止板4はその先端側を上方に傾けてドラム1の周面まで延びており、これにより、落下防止板4が集合網フレーム5とドラム1との間に掛け渡されている。落下防止板4は1対の接続プレート7間に、ドラム1の軸方向に沿って集合網フレーム5の前方に全幅に渡って設けられている。
【0026】図2に示すように、落下防止板4はドラム1の軸方向に沿って帯状の複数の部分4aに分割されており、各帯状部分4aが隣接する辺縁の先端側略半分は、隣接辺縁の1つおきに切り欠かれており、この半分の隣接辺縁により切欠部16が形成されている。この切欠部16は捕獲ピン2のドラム軸方向の配列ピッチと同一ピッチで捕獲ピン2に整合する位置に設けられている。これにより、落下防止板4は切欠部16を介して捕獲ピン2を通過させるようになっている。なお、落下防止板4はプラスチック、ゴム、木材、アルミニウム等の柔軟性を有する材料により構成されている。また、ドラム1の周面のうち落下防止板4との接点におけるドラム1の周方向の接線と落下防止板4の表面とがなす角度は、海底100側から見て鋭角になっている。
【0027】図3(a)乃至(d)は本実施例に係るヒトデ駆除装置20の各部の構成を示す図であり、(a)はドラム1及び捕獲ピン2の構成を示す斜視図、(b)及び(c)は捕獲ピン2の構成を示す側面図、(d)は離脱板3の構成を示す斜視図である。図3(a)に示すように、捕獲ピン2はドラム1の径方向を向くように取り付けられており、ヒトデ101を刺衝して保持するものである。
【0028】また、図3(b)に示すように、捕獲ピン2はドラム1に固定された円筒形の軸部2aと、この軸部2aの先端に設けられたかえし部2bとから構成されている。捕獲ピン2の形状は軸方向に関して点対称である。
【0029】更に、図1及び図3(d)に示すように、接続プレート7の上部の頂点付近には離脱板3が取り付けられている。この離脱板3は捕獲ピン2の移動域に介在するように設けられた邪魔板であり、落下防止板4よりも上方に設けられている。離脱板3はドラム1の軸方向に沿って延び、ドラム1の全幅に渡ってドラム1の周面の近傍に配置されており、ドラム1の軸方向に直交する断面が逆V字形状を有している。更に、離脱板3の下部はドラム1の周面近傍に位置しており、離脱板3には捕獲ピン2を通過させる切欠部15が設けられている。そして、離脱板3のドラム回転方向の上流側の板部は、捕獲ピン2が切欠部15を通過する際に捕獲ピン2の下端から切欠部15に入り、上端で切欠部15から抜けるように傾斜している。
【0030】次に、本実施例に係るヒトデ除去装置の動作について説明する。図4(a)及び(b)並びに図5(a)及び(b)は本実施例に係るヒトデ除去装置20の動作を示す側面図である。なお、図4(a)、(b)及び図5(a)においては、接続プレート7(図1参照)は省略されている。
【0031】先ず、図1に示すプラグ11を開け、ドラム1の内部に所定量の水を充填し、海中において、捕獲ピン2がヒトデのみを刺衝し貝類を傷つけないように、ドラム1の質量を調整する。次に、プラグ11を閉めた後、ヒトデ除去装置20を海中に沈め、海底100上に載置する。次に、牽引索14を海上に浮かぶ船17(図5(b)参照)により曳く。これにより、タブプレート8が牽引索14に引かれ、ヒトデ除去装置20が前方、即ち集合網フレーム5からドラム1へ向かう方向に、海底100上を這うように移動する。このとき、ドラム1が海底100との摩擦力により回転する。
【0032】ドラム1が回転しながら海底100を移動すると、図3(a)に示すように、捕獲ピン2が海底にいるヒトデ101を刺繍し保持する。ドラム1が回転することにより、捕獲ピン2はヒトデ101を保持し、海底より持ち上げる。
【0033】次に、図4(a)に示すように、ドラム1の回転に伴ってヒトデ101が落下防止板4の部分4a(図2参照)に当接する。落下防止板4は柔軟性を有するため、ヒトデ101が落下防止板4の部分4aを押圧することにより部分4aが変形し、ヒトデ101は捕獲ピン2に保持されたまま、ヒトデ101が当接する前に落下防止板4の部分4aが占めていた位置を通過することができる。なお、捕獲ピン2がヒトデ101を保持していなければ、捕獲ピン2は落下防止板4に接触せずに、切欠部16を通過することができる。
【0034】次に、図4(b)に示すように、ドラム1の回転に伴い、ヒトデ101を保持した捕獲ピン2は離脱板3に達する。このとき、捕獲ピン2は離脱板3の切欠部15(図3(d)参照)を通過するが、ヒトデ101は通過できず、離脱板3により捕獲ピン2の先端に向かう方向に押圧され、捕獲ピン2より抜き取られる。これにより、ヒトデ101は一旦海中に浮遊し落下する。
【0035】次に、図5(a)に示すように、ヒトデ101は落下防止板4上に落下する。即ち、落下防止板4が設けられていることにより、ヒトデ101が海底100に落下することが防止されている。ヒトデ101は落下防止板4上を滑り、スムーズに後方の集合網6に入り捕集される。このようにして、ヒトデ駆除装置20は海底を移動しながらヒトデ101を捕獲していく。
【0036】なお、このとき、図1に示すように、タブプレート8はドラムベアリング部9を中心に矢印aの方向に自由に回転し、接続プレート7はドラムベアリング部9を中心に矢印bの方向に自由に回転し、集合網フレーム5は集合網ベアリング部10を中心に矢印cの方向に自由に回転し、また、これらの回転運動は左右独立に行われる。このため、ヒトデ駆除装置20は、曳航角度の変化並びに横方向の傾斜及び石等の存在による海底100の凹凸に素早く対応することができ、海底100上をスムーズに移動することができる。また、集合網フレーム5の下部には前部隙間調整板12及び後部隙間調整板13が設けられているため、集合網フレーム5と海底100との間には隙間が生じ、石及び貝類が集合網6に入ることが防止できると共に、海底100との摩擦により集合網フレーム5及び集合網6が損傷することを防止できる。
【0037】その後、図5(b)に示すように、ヒトデ駆除装置20を引上げ機18により船17上に引き上げ、捕獲したヒトデを回収する。
【0038】このように、本実施例のヒトデ駆除装置20によれば、石及び貝類を捕集せずにヒトデのみを効率的に捕獲することができる。また、ヒトデ駆除装置20は海底をスムーズに移動することができるため、海底の凹凸によりヒトデ駆除装置20の移動が妨げられることが少ない。また、海底において人手を要する作業が不要であるため、安全且つ効率的にヒトデ駆除作業を行うことができる。
【0039】なお、本実施例においては、捕獲ピン2には図3(b)に示す軸に対して点対称な形状のものを使用したが、捕獲ピンは図3(c)に示すような非対称の形状であってもよい。また、本実施例においては、隙間調整部材として前部隙間調整板12及び後部隙間調整板13を使用する例を示したが、本発明においては、隙間調整部材は車輪等、板以外の形態のものであってもよい。更に、タブプレート8と接続プレート7とを相対的に回転しないように固定し、且つ、曳航角度を所定の角度にすることにより、隙間調整部材を設けなくても集合網フレーム5と海底100との間に隙間を形成することができる。
【0040】次に、本発明の第2の実施例について説明する。図6は本実施例におけるヒトデ駆除装置20aの動作を示す模式図である。本実施例においては、集合網フレーム5に開閉可能な扉5bを設ける。ヒトデ駆除装置20aにおける前記以外の構成は、前述の第1の実施例に係るヒトデ駆除装置20の構成と同じである。
【0041】図6に示すように、ヒトデ駆除装置20aにより海底のヒトデを捕獲した後、海106中において扉5bを開け、集合網6中に捕集されたヒトデ(図示せず)を網19へ移し替える。次に、この網19を船17上へ上げ、ヒトデ101を回収する。ヒトデ駆除装置20aにおける前記以外の動作は、前述の第1の実施例に係るヒトデ駆除装置20の動作と同じである。
【0042】本実施例においては、前述の第1の実施例と比較して、ヒトデを回収するために質量が大きいヒトデ駆除装置20を船上に上げる必要がないため、より効率的且つ安全にヒトデ駆除作業を行うことができる。
【0043】次に、本発明に係る第3の実施例について説明する。図7は本実施例に係るヒトデ駆除装置20bの構成を示す側面図である。図7に示すように、ヒトデ駆除装置20bにおいては、集合網6の内部における最後部にホース21が取り付けられている。ホース21は船上に配置されたポンプ(図示せず)に連結されている。ヒトデ駆除装置20bにおける前記以外の構成は、前述の第1の実施例に係るヒトデ駆除装置20の構成と同じである。
【0044】ヒトデ駆除装置20bにおいては、集合網6内に捕集したヒトデ(図示せず)を、ポンプによりホース21を介して吸引することにより、船上に回収することができる。ヒトデ駆除装置20bにおける前記以外の動作は、前述の第1の実施例に係るヒトデ駆除装置20の動作と同じである。
【0045】本実施例によれば、前述の第1及び第2の実施例と比較して、海底でヒトデ駆除装置20bを移動させながら、ヒトデを連続的に船上へ回収することができるため、より効率的にヒトデ駆除作業を行うことができる。また、ヒトデ駆除装置20(図5(b)参照)及び網19(図6参照)を船上に引き上げる必要がないため、作業の安全性もより向上する。
【0046】次に、本発明に係る第4の実施例について説明する。図8は本実施例に係るヒトデ駆除装置20cの構成を示す側面図である。図8に示すように、ヒトデ駆除装置20cにおいては、ドラムベアリング部9に油圧モータ22が連結されている。ヒトデ駆除装置20cにおける前記以外の構成は、前述の第1の実施例に係るヒトデ駆除装置20の構成と同じである。
【0047】ヒトデ駆除装置20cにおいては、油圧モータ22がドラム1を回転させるため、ヒトデ駆除装置20cは自走することができる。ヒトデ駆除装置20cにおける前記以外の動作は、前述の第1の実施例に係るヒトデ駆除装置20の動作と同じである。
【0048】本実施例によれば、船により牽引索14(図1参照)を牽引することが不要となる。また、油圧モータ22による駆動と船による牽引とを併用すれば、凹凸が大きく走行抵抗が大きい海底においても、ヒトデ駆除装置20cを滑らかに走行させることができる。
【0049】なお、本実施例においては、船によるヒトデ駆除装置20cの牽引は行っていないが、ヒトデ駆除装置20cの位置を検知するために、ヒトデ駆除装置20cと船とを結ぶ索14aは設けている。しかしながら、この索14aは省略することが可能である。索14aを省略する場合には、無線装置又は浮きブイ等、ヒトデ駆除装置20cの位置を検知する他の手段を設けてもよい。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、海中における人手作業を必要とせず、石等を捕集しないため自然破壊がなく、貝類を捕獲せずにヒトデのみを効率良く捕獲し駆除するヒトデ駆除装置を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】596059934
【氏名又は名称】運上船舶工業有限会社
【出願日】 平成13年3月6日(2001.3.6)
【代理人】 【識別番号】100090158
【弁理士】
【氏名又は名称】藤巻 正憲
【公開番号】 特開2002−262751(P2002−262751A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−62287(P2001−62287)