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【発明の名称】 穀物の殺虫、殺卵方法
【発明者】 【氏名】本井 博文

【氏名】野村 正次

【氏名】田中 章裕

【氏名】宮下 善憲

【氏名】藤澤 茂実

【要約】 【課題】本発明は、穀物に電子線を照射して澱粉、蛋白質等を変性させることなく殺虫、殺卵する方法を目的とする。

【解決手段】穀物表面における電子線エネルギーが50〜200keVであり、かつ電子線の線量が0.05〜150KGyとなる条件で電子線を照射する、穀物の殺虫、殺卵方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀物表面における電子線エネルギーが50〜200keVであり、かつ電子線の線量が0.05〜150KGyとなる条件で電子線を照射することを特徴とする、穀物の殺虫、殺卵方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穀物の表面に低エネルギーの電子線を照射して、穀物表面およびその近傍の害虫およびその卵を効率的に殺す方法に関する。
【0002】
【従来の技術】穀物には昆虫が混入したり、あるいは穀物表面に害虫やその卵が付着していたり、穀物内部に混入している場合がある。穀物の害虫は概して穀温15℃以下では活動が不活発になり、20℃以上になると、その生育あるいは繁殖は共に活発となって穀粒を食害するが、害虫にとって27.8℃が概してその活動に最も適している温度と云われている。特に害虫の幼虫の生育期になると幼虫自体の発育に伴う発熱があり、そのための被害もみられる。
【0003】これらの穀物類の害虫としてはコクゾウ、ノシメコクガ、バクガ、ココクゾウ、ナガシンクイ、コナマダラメイガ、ガイマイツヅリガ、カクムネコクヌスト、ノコギリコクヌスト、コクヌストモドキ、オオコクヌスト、グラナリヤコクゾウ等が知られている。
【0004】従来これらの穀物に発生する害虫を死滅させる方法としては臭化メチル等の薬剤による薫蒸が知られている。しかし、地球規模での環境破壊が問題となっており臭化メチルもオゾン層破壊の原因物質としてあげられておりその使用は好ましいものではない。また、コバルト60等による放射線照射も殺虫、不妊化処理できることが知られているが我が国では許可されていない。その他、熱による処理、衝撃による処理も行われているが、いずれもその効果は十分なものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者等は穀物の澱粉、蛋白質等を変性させることなく、殺虫、殺卵効果を高め、かつ作業効率の向上を計るため種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、穀物表面における電子線が50〜200keVのエネルギーであり、かつ電子線の線量が0.05〜150KGyとなる条件で電子線を照射する、穀物の殺虫、殺卵方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いる穀物としては、小麦、大麦、えん麦、はと麦、らい麦、蕎麦、米、あわ、きび、ひえ等が挙げられるが、特に小麦、蕎麦、米が好適に処理できる。これらの穀物に電子線を照射する場合、例えば小麦は皮部(ふすま)の付いた状態で、また蕎麦は殻の付いた玄蕎麦の状態で、米の場合は籾殻を除去した玄米の状態で使用することが好ましい。
【0008】本発明方法における電子線照射は、穀物表面における電子線が50〜200keVの値になる範囲が好ましい。50keV未満であると殺虫、殺卵効果が得られず、また200keVを超えると穀物の澱粉、蛋白質等が変性するので好ましくない。また電子線の線量としては0.05〜150KGy、特に0.1〜50KGyの範囲が好ましい。
【0009】
【実施例】次に本発明をさらに詳細に説明するために実施例を掲げるが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0010】実施例1培養餌として少量の小麦粉をまぶした小麦粒40gに穀物害虫(コクヌストモドキ)の成虫約10匹を入れ1週間放置、産卵させた。そのうち半量を小麦粒同士が重ならないようにパウチに詰めて電子線照射装置(バン・デ・グラフ型、日新ハイボルテージ製)にて表、裏の両面を照射した。加速電圧は、小麦粒表面で120kV、線量は30KGyとした。照射後、パウチを破りシャーレに移し温度30℃、湿度70%の条件で一ヶ月間培養した。電子線照射を行わない半量を対照として同様に培養した。一ヶ月培養後、電子線未照射小麦粒からは成虫15匹、幼虫5匹が検出されたが、電子線照射小麦粒には変化がなかった。
【0011】実施例2培養餌として少量の小麦粉をまぶした小麦粒40gに穀物害虫(カクムネコクヌスト)の成虫約10匹を入れ1週間放置、産卵させた。そのうち半量を小麦粒同士が重ならないようにパウチに詰めて電子線照射装置(バン・デ・グラフ型、日新ハイボルテージ製)にて表、裏の両面を照射した。加速電圧は、小麦粒表面で120kV、線量は30KGyとした。照射後、パウチを破りシャーレに移し温度30℃、湿度70%の条件で一ヶ月間培養した。電子線照射を行わない半量を対照として同様に培養した。一ヶ月培養後、電子線未照射小麦粒からは成虫5匹、幼虫30匹が検出されたが、電子線照射小麦粒には変化がなかった。
【0012】実施例3培養餌として少量の米糠をまぶした玄米粒40gに穀物害虫(コクゾウムシ)の成虫約10匹を入れ1週間放置、産卵させた。そのうち半量を玄米粒同士が重ならないようにパウチに詰めて電子線照射装置(バン・デ・グラフ型、日新ハイボルテージ製)にて表、裏の両面を照射した。加速電圧は、小麦粒表面で80kV、線量は20KGyとした。照射後、パウチを破りシャーレに移し温度30℃、湿度70%の条件で一ヶ月間培養した。電子線照射を行わない半量を対照として同様に培養した。一ヶ月培養後、電子線未照射玄米粒には食害粒が17粒観察されたが、電子線照射玄米粒には変化がなかった。
【0013】
【発明の効果】本発明方法によれば穀物中の澱粉、蛋白質等を変性させることなく害虫の卵の不妊化、殺虫、殺卵を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
【出願日】 平成13年2月19日(2001.2.19)
【代理人】 【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸 (外6名)
【公開番号】 特開2002−238430(P2002−238430A)
【公開日】 平成14年8月27日(2002.8.27)
【出願番号】 特願2001−41108(P2001−41108)