| 【発明の名称】 |
樹木の食害防止方法及びその装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小松 輝弘
|
| 【要約】 |
【課題】柵やネット等に比較して低コストで、主として大・中型動物や時に小型動物による食害を、環境汚染を生じることなく、確実に防止すること。
【解決手段】造林地域の外周一部に設けたレーザ発振器から一定高さで連続発振又はパルス発振されるレーザービームで以て、上記地域の外周を囲むようにして成る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 造林地域の外周一部に設けたレーザー発振器から一定高さで連続発振又はパルス発振されるレーザービームで以て、上記地域の外周を囲むことを特徴とする樹木の食害防止方法。 【請求項2】 レーザービームを、樹木を摂食する動物の目又は体の高さと略等しい位置に配設した遮蔽板に対して放射する請求項1に記載の樹木の食害防止方法。 【請求項3】 造林地域の外周一部に垂設した支柱と、この支柱に取着したレーザー発振器と、このレーザー発振器に電圧調整器を介して電気的に接続した電源とを備えて成ることを特徴とする樹木の食害防止装置。 【請求項4】 支柱に、複数のレーザー発振器を上下に間隔をおいて取着した請求項3に記載の樹木の食害防止装置。 【請求項5】 レーザー発振器を、少なくとも一方が透明であるケース又はカバーで覆った請求項3又は4に記載の樹木の食害防止装置。 【請求項6】 レーザー発振器から一定距離をおいて、樹木を摂食する動物の目又は体の高さと略等しい位置に遮蔽板を設けた請求項3,4又は5に記載の樹木の食害防止装置。 【請求項7】 レーザー発振器が半導体レーザーである請求項3,4,5又は6に記載の樹木の食害防止装置。 【請求項8】 半導体レーザーがレーザーポインターである請求項7に記載の樹木の食害防止装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、造林した針葉樹(ヒノキ・スギ・カラマツ・アカマツ・ケヤキ等)や広葉樹(ブナ・ミズナラ・クリ等)の成木あるいは苗木を、大・中型動物(ニホンジカ・カモシカ・イノシシ等)や小型動物(ノウサギ・ノネズミ等)の摂食被害(以下、単に食害という)から防止する方法及びその装置に関する。 【0002】 【従来の技術】山に生息する動物による樹木の食害として、枝や葉を食べる枝葉食害、樹皮に対する剥皮被害、幹に対する主軸切断被害、枝に対する枝切断等がある。樹木がこの種の食害をうけると、成長が著しく阻害されるばかりか、時には枯死することもある。 【0003】従来、この種の食害防止対策として、大・中型動物に対しては、造林地域の周囲に柵やネットが設置されている。しかし、これらの従来技術によるときは、いずれも十分な効果を達成することができないだけでなく、運搬・取付け等に手数を要して設置コストが高くつくという問題があった。また、威嚇音発生装置を造林地域に設置することも行なわれているが、十分な効果をあげていないのが実状である。さらに、造林地域に忌避剤や殺鼠剤等の薬剤を散布することも行なわれているが、環境を汚染するという問題がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなしたもので、柵やネット等に比較して低コストで、主として大・中型動物による食害や時に小型動物による食害を、環境汚染を生じることなく、確実に防止する樹木の食害防止方法及びその装置を提供することを課題とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】まず、請求項1に記載の発明である樹木の食害防止方法は、造林地域の外周一部に設けたレーザー発振器から一定高さで連続発振又はパルス発振されるレーザービームで以て、上記地域の外周を囲むことを特徴とする。 【0006】ここで、レーザービームとは、レーザー光を光源(発光面)より小さい空間に絞り込んで集束した光線という意味であり、その光線としては、可視光線以外に赤外線、紫外線でも使用することができるが、特に波長600nm以上の赤外レーザービームが警戒色の赤である点で好適である。 【0007】この手段によれば、造林地域が一定高さで放射しているレーザービームによって遮蔽されているから、樹木を摂食する動物の造林地域への進入が阻止され、造林地域の樹木の食害が確実に防止される。 【0008】この発明において、レーザービームは、レーザ発振器と一定距離をおいて対向するように、樹木を摂食する動物の目又は体の高さと略等しい位置に配設した遮蔽板に対して放射すること(請求項2)が好適である。このようにすると、レーザービームの放射方向が設定しやすくなるだけでなく、造林地域外へのレーザービームの無用な放射が防止される。 【0009】次に、請求項3に記載の発明である樹木の食害防止装置は、造林地域の外周一部に垂設した支柱と、この支柱に取着したレーザー発振器と、このレーザー発振器に電圧調整器を介して電気的に接続した電源とを備えて成る。 【0010】この発明において、支柱には複数のレーザー発振器を上下に間隔をおいて取着した構成(請求項4)が好適である。このようにすると、レーザービームが大きさの異なる動物に照射されて、これらの動物の造林地域への進入が阻止され、食害が確実に防止される。 【0011】上記レーザー発振器は、破損防止・防水対策として、少なくとも一方が透明であるケース又はカバーで覆った構成(請求項5)が好ましい。 【0012】また、レーザー発振器から一定距離をおいて対向するように、樹木を摂食する動物の目又は体の高さと略等しい位置に遮蔽板を設ける構成(請求項6)が好ましい。このようにすると、レーザービームの放射方向が設定しやすくなるだけでなく、造林地域外へのレーザービームの無用な放射が防止されて、レーザービームが造林地域に進入しようとする動物の視界に入りやすくなる。 【0013】さらに、レーザー発振器としては、半導体レーザー(請求項6)が良く、指向性、重量、及びコスト等を考慮すると、特に赤外光線を放出するレーザーポインターが好ましい(請求項7)。というのは、レーザーポインターは、指向性がよく、小型軽量で、安価であるからである。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。 【0015】レーザー発振器としては、半導体レーザー以外に、固体レーザー、気体レーザー等がある。また、JIS C6801によると、レーザービームの最大出力(W数)によって、クラス1,2,3A,3B,4レーザー製品に分類されている。クラス1,2,3Aレーザー製品は哺乳類の目に光線を受けてもすぐに目を閉じれば安全であり、クラス3B,4レーザー製品は一瞬でも目に光線を受けると網膜を焼く危険がある。 【0016】そこで、本発明に用いるレーザー発振器としては、特に限定されるものではないが、動物保護の点を考慮すると、レーザービームを発振する半導体レーザーの1種であるクラス2,3Aのレーザーポインター(光指示棒)が好ましい。というのは、レーザーポインターは、一点に集中して高い指向性を有する略単一波長の赤外レーザービームを放出し、数100m〜1000mの到達距離を有するからである。また、その光線は、哺乳類の目の水晶体を通過して網膜に達すると、太陽光線の100倍から1,000倍の明るさとなり、光に敏感なシカ・カモシカ・イノシシ等の大型動物でも、異常や危険を感じさせることができるからである。 【0017】また、レーザー発振器として、体に刺激を与える程度の出力1W以上の製品を用いて、動物に危険を感じさせるようにすることも可能である。 【0018】図1は本発明に係る食害防止方法の一実施の形態を示し、Zは外周を略矩形に区画した食害を防止したい造林地域である。この造林地域Zの略対角の位置には4台のレーザー発振器Aを設け、他の略対角の位置で、かつ一定高さの位置には上記レーザー発振器と夫々対向するように金属板、木板、プラスチック板、セラミック板等からなる遮蔽板Bを設けたものである。そして、この実施の形態による方法は、各レーザー発振器Aから各遮蔽板Bに対してレーザービームXを連続発振して、造林地域Zを囲むようにしたものである。 【0019】この場合、各レーザー発振器Aは、レーザービームを連続発振に代えてパルス発振するようにすることも可能である。 【0020】また、レーザー発振器Aは、造林地域Zの略対角の位置に4台設けたが、レーザー発振器の設置コストとレーザービームで構成する外周形状の自由性の点を考慮すると、造林地域Zの外周の一部に1又2台設け、かつ造林地域の外周四隅に遮蔽板Bに代えて反射鏡を所定角度で設けて、レーザー発振器からのレーザービームを反射鏡で以て順次反射させて、造林地域の外周を囲むようにすることも可能である。 【0021】図2は本発明に係る食害防止装置の一実施の形態を示し、1は支柱で、この支柱1の1乃至複数のケース2を設け、このケース2にはレーザーポインター3を内蔵する。上記レーザーポインター3は、電圧調整器4を介して電源としてのバッテリー5に電気的に接続して成る。 【0022】この場合、レーザーポインター3は、主として破損防止・防水対策として、透明アクリル樹脂板からなるケース2に内蔵したが、レーザービームXの放出側のみを透明にしたケースに内蔵したり、ケースに代えてカバーで覆うようにすることも可能である。 【0023】また、レーザーポインター3の設置高さとしては、樹木を摂食する動物の目又は体の高さと略一致するように、大・中型動物用として約0.8m〜約1.0m、小型動物用して約0.1m〜約0.2mにすると好適である。 【0024】さらに、電源としてのバッテリーに代えてボタン電池、太陽電池等を用いることも可能である。 【0025】ところで、他の実施の形態として、レーザー発振器を支柱に回転自在に設けた構成ににすると、造林地域の外周だけでなく、造林地域の内部にもレーザービームが放射され、動物がたとえ造林地域に進入しても直ちに退出させることができ、樹木の食害を防止することができる。 【0026】 【実施例】レーザーポインターTI−306 Pro Silber(インフォジョブ製;波長630〜650nm,クラス3Aレーザー製品)を、厚み3mmの透明アクリル樹脂板の2個のケースに夫々入れて、高さ1.5m,径30mmのプラスチック製支柱の地上より0.8mと0.2mの位置にワイヤーで以て夫々固着した。そして、各レーザーポインターは直列に電気的に接続し、かつ電圧調整器を介して自動車用バッテリに電気的に接続して所望の食害防止装置を作製した。 【0027】次に、ブナの苗木(高さ0.6m)50本を植栽した、略長方形状の食害防止試験区域(長さ21m,幅8m)の対角の位置に、上記食害防止装置を各2台設置し、また他の対角の位置には、金属製の遮蔽板を各2枚設置した。そして、レーザービームが各レーザーポインターから各遮蔽板に対して連続発振して、食害防止試験区域の外周を囲むようになした。ところで、上記区域の一帯は、針葉樹と広葉樹の混交林で、鹿・野兎・野鼠が出没するところである。 【0028】6ケ月間の試験結果、図3に示すように、食害防止試験区域Yでは、ブナの苗木50本中3本が野兎による側枝切断が見られたが、鹿による食害の痕跡は見られず、食害防止試験区域Yの外周より5m以上離れた地点の5箇所において鹿による食害の痕跡があった。上記試験結果から、本発明によるときは、大・中型動物による食害を防止できることが確認できた。 【0029】 【発明の効果】本発明によるときは、比較的簡単な装置か連続発振するレーザービームによって造林地域を遮蔽しているから、従来技術に比較して低コストで、環境を汚染することなく、樹木を摂食する主として大・中型動物や時に小型動物の造林地域への進入が阻止され、樹木の食害を確実に防止することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】394010506 【氏名又は名称】金井 宏彰
|
| 【出願日】 |
平成13年1月30日(2001.1.30) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2002−223691(P2002−223691A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月13日(2002.8.13) |
| 【出願番号】 |
特願2001−21075(P2001−21075) |
|