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【発明の名称】 集魚材及びその材料
【発明者】 【氏名】田村 貞隆

【氏名】鉄川 精

【氏名】鎌田 善政

【要約】 【課題】安定で、集魚能力、喰つき状態がよく、且つ、環境汚染の心配のない撒き餌等の集魚材を提供すること。

【解決手段】アラニン、グリシン及びアルギニンとエビエキス粉末、結合剤、乳化剤、発泡成分及び光反射成分を直接圧縮法や乾式顆粒圧縮法により打錠して錠剤状の撒き餌を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有効成分としてアラニン、グリシン及びアルギニンを含有してなる集魚材及びその材料。
【請求項2】 形状が粉末または顆粒である請求項1の集魚材及びその材料。
【請求項3】 形状が成型物である請求項1の集魚材。
【請求項4】 成型集魚材が撒き餌である請求項3の集魚材。
【請求項5】 さらにカルシウム成分、澱粉、糖質を含有し、岩石状に成型してなる請求項3の集魚剤。
【請求項6】 さらにカルシウム成分、糖質を含有し、飴状に成型してなる請求項3の集魚剤。
【請求項7】 さらに結合剤、香料、発泡成分及び光反射成分を含有し、打錠成型してなる請求項4の撒き餌。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集魚材及びその材料、特に淡水、海水を問わず適用でき、自然環境を汚染することのない撒き餌等の集魚剤及びその材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、魚類用の餌料としては、さし餌、撒き餌を問わず天然の魚介類の生体組織が使用されており、特に撒き餌はすべてオキアミエビが用いられていると言っても過言ではない。
【0003】また、特開平8−140589号公報に見られるように、海老、さなぎ、牡蠣などのエキスやニシン、イワシ、サンマ等の魚粉などの臭発生物質と水、澱粉、ゼラチン等を混合し、乾燥、凝固して円板状に成型した集魚材が知られており、これらエキスや魚粉中には蛋白質成分としてアラニン、グリシン及びアルギニンが含まれている。しかしながら、これらは蛋白質を構成するアミノ酸成分の一部として存在するに過ぎず、たとえ蛋白分解酵素の働きによって蛋白質が分解され、これらのアミノ酸が単品として存在し得たとしても、ごく微量に過ぎず、その集魚能力は本発明の集魚材に比べてはるかに劣る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】餌用のオキアミエビは、そのほとんどがナンキョクオキアミで、年間10万トンも漁獲され日本に運ばれている。ナンキョクオキアミは南極海に生息するクジラやペンギンのための重要な生物資源であり、南極海全体のその資源量は数億トンともいわれているが、最近は減少していることが指摘されている。特に最大の漁場である南極半島のナンキョクオキアミの資源量は平均して以前の約1/4 に減少したといわれている。今後オキアミエビ資源量の低下がさらに進み、南極海の生態系に影響を与えることも予想され、資源保護の立場からもオキアミエビに代わる餌料の開発が必要とされるところである。
【0005】さらにオキアミエビは、特有の生臭い悪臭を周囲に放つうえ、腐敗しやすいため、取扱上忌避される傾向にある。加えて、集魚能力が悪く、大量に使用されるため、そのほとんが魚に摂取されること無く、そのまま沈殿して海底や湖底、河川の澱みに滞積し、嫌気性微生物の発生を促し、青潮や赤潮を発生させ、自然環境を汚染し、破壊する原因をなしており、問題となっている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実情にかんがみ、魚類に対する誘因作用が極めて優れており、短期的に乃至は長期的に完全に水中に溶解することにより自然環境を汚染、破壊することがなく、加えて保存性に優れ、取扱に適した集魚材又はその材料を提供することを目的として研究、開発につとめた。
【0007】その結果、数ある化合物のうちから、魚介類の種類を問わずその誘因に有効で且つ集魚材として必要最小限の性能を有する固体状の水溶性材料を選択し、これらを適宜組み合わせて錠剤状、岩石状、飴状等、特別な形状に成型することにより、その目的を達成し得た。
【0008】すなわち本発明は、(1)有効成分としてアラニン、グリシン及びアルギニンを含有してなる集魚材及びその材料。
(2)形状が粉末または顆粒である(1)の集魚材材料。
(3)形状が、タブレット状、岩石状または飴状の成型物である(1)の集魚材。
(4)形状がタブレット状の撒き餌である(3)の集魚材。
(5)さらにカルシウム成分、糖質を含み、岩石状または飴状に成型してなる(3)の集魚材。
(6)さらに結合剤、乳化剤、発泡成分及び光反射成分を含有し、打錠成型してなる(4)の撒き餌。
である。
【0009】
【発明の実施の態様】本発明においては、必須成分としてアラニン、グリシン及びアルギニンの三つのアミノ酸が使用される。この三者を使用することにより、魚類を極めて良好に集めることができる。なお、本発明において、魚類とはエビ、カニ等をも含む広義のものを言う。
【0010】上記三つのアミノ酸は、適宜の割合で配合しうるが、ほぼ同量の割合(重量割合、以下特に断らない限り同様)でもよい。また、適宜、他のアミノ酸、例えばグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸等に核酸成分またはその誘導体等の諸材料などをさらに配合してもよい。いずれも水可溶性で衛生上無害の物質であることは言うまでもない。
【0011】上記の原料混合物を常法により粉末または顆粒として、撒き餌等の集魚剤又はその材料とすることができる。その際、後記の撒き餌の製法に際し述べるような魚介類成分エキス等の香料を加えて集魚能力をより高めるようにしたり、粉末または顆粒を得るに適した増量剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、発泡剤等の添加物を配合してもよい。
【0012】なお、粉末は、常法により原料を混合、粉砕したのち篩過することで得ることができるが、顆粒は、水との練合、造粒及び乾燥工程を行わない、いわゆる乾式法により得るのがよい。
【0013】これらの粉末状又は顆粒状のものは、そのまま本発明の撒き餌としても用い得るが、むしろ顧客がそれぞれの好みに応じて、これに適宜他の餌料材料を配合して、成型して自己の所望する餌料とするための材料とするのにも適している。従って、後記するような、本発明の成型集魚材に適用されうる諸成分を特に配合しなくてもよい。
【0014】次に本発明は、アラニン、グリシン及びアルギニンを有効成分として含有する成型集魚材、特に錠剤状に成型された撒き餌に関するものでもある。撒き餌中のアラニン、グリシン及びルギニンの割合は、集魚材材料の場合と同様、ほぼ同量程度でよく、合計で、全体の0.01〜10%(重量%、以下同様)程度でよい。
【0015】撒き餌の際の添加物としては、例えばブドウ糖、白糖、CMC、PVP等の結合剤やショ糖脂肪酸エステル、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノ脂肪酸エステル等の非イオン性乳化剤などが挙げられる。結合剤は数十パーセント程度、乳化剤は2、3パーセント程度でよい。さらに、魚介類成分エキスとして、例えばエビ、イカ、アジ等の抽出エキスを加えて、魚が好む香りを付加するのがよい。なお、エキスは粉末としたものがよい。香り成分は、対象とする魚の種類や季節等によっても異なるが、数ないし十数パーセント程度である。
【0016】さらに、発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム等のガス発生剤と酒石酸、酒石酸水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、グルコノデルタラクトン等の酸剤とを組み合わせ使用するのがよい。これらは合計して数ないし十数パーセント程度で、これにより、撒き餌の水中での拡散が促進され、集魚効果が一層向上する。
【0017】そのほか、光反射成分などを配合してもよい。光反射成分としては、グラニュー糖結晶、金粉、銀粉等が挙げられる。これらは全体の数パーセント程度でよい。
【0018】成型集魚材のうち、撒き餌は、例えば球形、柱状形、錐状形等種々の形状の成型物でありうるが、撒き餌用として常用される籠に収容しうる大きさ、通常、直径、辺及び高さが25mm以下のものである。
【0019】撒き餌用のタブレット状成型物は、常法により製造し得るが、特に、例えば製剤における粉体を材料とする直接圧縮法(直打法)や、乾式法により顆粒とし、これを打錠機で圧縮成型する乾式顆粒圧縮法(スラッグ法)を適用して、より品質のよい製品を得ることができる。
【0020】なお、本発明の撒き餌は、集魚能力が極めて大で、適用後、魚が瞬時に集まって来るため、その一部が溶解前に直接、魚に摂取されることもありうる。しかし、使用されている添加物は、全て食品衛生上無害のものばかりであるから、これを摂取した魚はもとより、食物連鎖によりその魚を間接的に摂取した、主としてより大型の魚も、人類にとって危険性は全くない。
【0021】次に本発明の成型集魚剤のうち、岩石状や飴状の成型物について述べると、飴状成型物(以下、単に飴と称することがある)の場合はアミノ酸成分のほかにカルシウム成分と糖質を含む材料を、岩石状成型物(以下、単に石と称することがある)の場合はさらに澱粉を含む材料を用い、糖質成分を加熱溶融後、残りの材料を混合し、成型し、冷却後、要すればさらに適宜の形状に加工して目的の成型物とすることができる。
【0022】カルシウム成分としては、天然カルシウム含有成分、例えばさんご、牡蠣殻、卵殻、ミルク、エビ、カニ由来のカルシウム剤やドロマイト等が挙げられる。これらはカルシウムとしては20〜30%程度の含有割合のものが多いので、石の場合は50〜70%程度、飴の場合は5〜20%程度含有させるのがよい。
【0023】糖質としては、砂糖、ブドウ糖、水飴などが使用され、岩石状成型物の場合、10〜20%程度、飴の場合、80〜95%程度でよい。石の場合は、さらに澱粉を10〜25%程度使用する【0024】得られる飴や石は、有効成分が徐々に溶解して長期にわたり集魚効果を奏し得る。特に石の場合は、大きさや数量.適用後の固定化等を配慮することにより、一定場所で長期間、その効果を持続させうるので、漁場を提供することが可能となる。
【0025】
【実施例1】下記の組成よりなる混合物を乾式法により顆粒としてなる集魚材材料。アラニン2部(重量部、以下同様)、グリシン2部、アルギニン2部、ブドウ糖70部、ショ糖脂肪酸エステル3部、エビ抽出粉末エキス10部、酒石酸及び重曹、合計11部。
【0026】
【実施例2】下記の組成よりなる混合物を常法の直接圧縮法に準ずる方法より打錠してなる直径10mm、厚さ5mmのタブレット状撒き餌。アラニン2部、グリシン2部、アルギニン1.5部、ブドウ糖71部、ショ糖脂肪酸エステル2.5部、エビ抽出粉末エキス10部、酒石酸及び重曹、合計10部、グラニュー糖2部。
【0027】
【実施例3】下記の組成の材料を使用し、砂糖と水飴を加熱・煮詰めた後、残りの材料を加え、混合し、型に流し、冷却してなる、一辺が20cmの岩石状の成型集魚材。牡蠣殻カルシウム63部、スターチ18部、砂糖10部、水飴5部、アラニン1.5部、グリシン1.5部、アルギニン1部。
【0028】
【実施例4】下記組成の材料を用い、常法の乾式顆粒圧縮法により混合、スラッギング、粉砕、分級、混合、製錠の諸工程を経て、その一個が直径19mm、高さ10mmの錠剤状とした撒き餌。ブドウ糖顆粒71.5部、ショ糖脂肪酸エステル2.5 部、エビ抽出エキス10.0部、酒石酸顆粒3.0 部、炭酸水素ナトリウム顆粒2.0 部、アラニン顆粒2.0 部、グリシン顆粒2.0 部、アルギニン顆粒2.0 部、グラニュー糖結晶5.0 部。
【0029】
【実施例5】下記組成の材料を用い、砂糖と水飴を加熱・煮詰めた後、残りの材料を混合し、型に流し、冷却してなる、直径1cm、長さ1.5cmの飴状の成型集魚剤。
【0030】なお、上記実施例1ないし実施例5の製品は、いずれも安定で、保存条件さえよければ、数年間全く変質しない。
【0031】
【実験例1】実施例4と同様の操作で得た錠剤状成型物の1/3錠(0.83g)と、これとほぼ同等の集魚能力を示す冷凍オキアミエビ(以下、オキアミと略記することがある)10gを用い、それぞれの夏季[(1)5月25日から開始と(2)7月9日から開始の計2回]における環境への影響についての予備試験を行った。なお、1/3錠としたのは、実験に使用した装置での測定許容範囲内にするためである。また、(1)の実験ではオキアミ成分の含有率が5%の成型物を、(2)の実験ではオキアミ成分の含有率が10%の成型物を使用した。
【0032】実験方法実験水槽(以下、水槽と記載)2個にそれぞれ水道水50Lを入れて曝気しながら野外に設置した実験棚に1日放置後、一方の水槽にオキアミ10gを、他方の水槽に1/3錠を投入し、いずれの水槽も曝気した。各水槽中の溶液について、水温、水質に関係する酸素飽和度、水素イオン濃度、溶存酸素量(DO),化学的酸素要求量(COD),及び富栄養度としてのアンモニア性窒素量、亜硝酸性窒素量、硝酸性窒素量、と無機リン酸量を測定した。
【0033】(1)の実験結果錠剤状成型物を使用した場合の結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】オキアミエビを使用した場合の結果を表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】(2)の実験結果錠剤状成型物を使用した場合の結果を表3に示す。
【0038】
【表3】

【0039】オキアミエビを使用した場合の結果を表4に示す。
【0040】
【表4】

【0041】表から明らかなように、本発明の撒き餌を使用した場合は、オキアミエビ使用の場合に比べ、COD、亜硝酸性窒素、無機リン酸の値に大きな差が見られた。
【0042】
【実験2】実施例2及び4の各剤状集魚材を、和歌山県西牟婁郡白浜町堅田 海上釣り堀、和歌山県西牟婁郡白浜町瀬戸 番所山裏磯(地磯)及び和歌山県田辺市 田辺湾目良沖 南ノタカ(沖磯)において、一般釣りに撒き餌として用い、その集魚効果をオキアミエビとの比較において確認した。なお、手撒きの場合は、各錠剤の破砕片を使用した。
【0043】その結果、釣り堀、地磯、沖磯のいずれの場合も、餌の分離状態、浮遊状態、沈降状態、沈降速度、集魚状況、喰い状態の全ての点でオキアミエビよりも優れていた。特に集魚状況が極めて良好であった。
【0044】
【発明の効果】本発明は、撒くと同時に魚が集まってきて、喰つきが極めて良好な集魚材又はその材料を提供するものである。さらにこれら集魚材及び集魚材材料を用いて作成した集魚材は、従来、主として使用されているオキアミエビに比べ、臭気が無いばかりか、良い香りを有し、はるかに安定で、取扱が容易である。且つ撒き餌として適用後、たちまち魚が集まってくるうえ、速やかに溶解、霧散することにより腐敗や汚染の原因となることがないという優れた効果を有する。また、本発明は、飴状または岩石状に成型した、環境に悪影響を及ぼすことなく、集魚効果が長期にわたり持続しうる集魚剤を提供するものである。
【出願人】 【識別番号】501209140
【氏名又は名称】田村 貞隆
【識別番号】501208394
【氏名又は名称】鉄川 精
【識別番号】501208350
【氏名又は名称】鎌田 善政
【出願日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【代理人】 【識別番号】100071434
【弁理士】
【氏名又は名称】手島 孝美
【公開番号】 特開2002−345383(P2002−345383A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−156719(P2001−156719)