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【発明の名称】 スピニングリール
【発明者】 【氏名】滝倉 恒治

【要約】 【課題】レバーブレーキ式のスピニングリールにおいて、切換操作を意識することなく、ロータを所定制動状態から制動解除状態に切り換えできるようにする。

【解決手段】レバーブレーキ式のスピニングリールは、揺動する制動レバー21により、制動機構20による制動力を増加させるものである。制動保持部22は、制動機構20に接触してロータ3の糸繰り出し方向の回転を制動解除状態と所定の制動力で制動する所定制動状態とのいずれかに保持可能である。復帰部24は、制動保持部22により所定制動状態に保持された制動機構20を所定制動状態における制動力より強い力によるロータ3の糸繰り出し方向の回転に連動して制動解除状態に戻す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向に沿う軸回りに釣り糸を巻き取るスピニングリールであって、前記釣り竿に装着される装着部と、前記装着部と間隔を隔てて配置されたリールボディと、前記装着部と前記リールボディとを連結する脚部とを有するリール本体と、前記リールボディの前部に回転自在に装着されたロータと、前記ロータの前部で前記リール本体に前後移動自在かつ回転不能に装着され、前記ロータにより外周面に釣り糸が巻き付けられるスプールと、前記ロータの糸繰り出し方向の回転を制動可能な制動手段と、前記装着部と接離する方向に移動自在に前記リール本体に設けられ、前記装着部に接近する方向に操作されると前記制動手段に接触して前記制動手段による制動力が増加する制動力調整操作手段と、前記制動手段に接触可能に前記リール本体に設けられ、前記ロータの前記糸繰り出し方向の回転を第1制動状態と前記第1制動状態より制動力が大きい第2制動状態とに保持可能な制動保持手段と、前記制動保持手段により前記第2制動状態に保持された前記ロータを前記第2制動状態における制動力より強い力による前記ロータの糸繰り出し方向の回転に連動して前記第1制動状態に戻す復帰手段と、を備えたスピニングリール。
【請求項2】前記第1制動状態は前記ロータの回転を制動解除する状態であり、前記第2制動状態は前記ロータの回転を所定の制動力で制動する状態である、請求項1に記載のスピニングリール。
【請求項3】前記制動保持部は、前記リール本体に移動自在に設けられ、前記ロータを前記第1制動状態から前記第2制動状態に切り換え操作可能な制動切換操作手段を有する、請求項1又は2に記載のスピニングリール。
【請求項4】前記制動切換操作手段は、前記装着部に接離する方向に移動自在に前記リール本体に設けられている、請求項3に記載のスピニングリール。
【請求項5】前記制動切換操作手段は、前記制動力調整操作手段の前記装着部に接近する方向の移動に連動して前記装着部に接近して前記ロータの糸繰り出し方向の回転を前記第1制動状態から前記第2制動状態に切り換える、請求項4に記載のスピニングリール。
【請求項6】前記制動保持手段は、前記制動力調整操作手段を前記装着部から離反する方向に操作すると前記ロータを前記第1制動状態から前記第2制動状態に切り換え得る、請求項1又は2に記載のスピニングリール。
【請求項7】前記ロータの糸繰り出し方向の回転を禁止する逆転禁止状態と許可する逆転許可状態とを取り得る逆転禁止手段をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載のスピニングリール。
【請求項8】前記逆転禁止手段は、前記制動力調整操作手段を前記装着部から離反する方向に操作すると逆転許可状態から逆転禁止状態に切り換わり、装着部に接近する方向に操作すると逆転禁止状態から逆転許可状態に切り換わる、請求項7に記載のスピニングリール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピニングリール、特に、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向に沿う軸回りに釣り糸を巻き取るレバーブレーキ型のスピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、磯釣りを行う場合、遠方に仕掛けを投げられるように比較的細い糸が使用される。このような細い糸はよれやすいため、制動レバー(制動力調整操作部の一例)によってロータが制動操作される逆転制動機構を有するレバーブレーキ型のスピニングリールがしばしば使用される。レバーブレーキ型のスピニングリール用いると、ロータを張力に応じて逆転させて魚と簡単にやりとりすることができる。
【0003】この種のレバーブレーキ型のスピニングリールにおいて、所定の制動力でロータを制動する所定制動状態と制動解除状態とに切換保持可能なスピニングリールが知られている。たとえば、制動レバーにより所定制動状態と制動解除状態とに保持可能なものやリール本体の後部に設けられた切換レバーにより制動レバーを押圧して所定制動状態と制動解除状態とに保持可能なものが知られている。
【0004】磯釣りなどでは、アタリがあったときには、餌に抵抗がある状態が続くと魚が餌をはき出すことがある。したがって、仕掛けを投入した後は、魚に餌を十分に食い込ませることができるようにするためにロータを逆転しやすい制動解除状態にする必要がある。このように、制動状態を切り換え可能なレバーブレーキ型のスピニングリールでは、釣り場の移動時などには仕掛けの自重による釣り糸の繰り出しを防ぐために制動状態にし、アタリがあったときには餌の食い込みをよくするために制動解除状態にするのが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、制動レバーや切換レバーを操作してロータの逆転に対する制動解除及び制動を行っている。このため、たとえば、釣り場の移動などで制動状態に切り換えた状態で仕掛けを投入した後に制動解除状態に操作するのを忘れると、餌の食い込みが悪くなり、魚を仕掛けにかけにくくなるおそれがある。
【0006】本発明の課題は、レバーブレーキ式のスピニングリールにおいて、切換操作を意識することなく、ロータを制動状態からそれより弱い状態に切り換えできるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニングリールは、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向に沿う軸回りに釣り糸を巻き取るリールであって、リール本体と、ロータと、スプールと、制動手段と、制動力調整操作手段と、制動保持手段と、復帰手段とを備えている。リール本体は、釣り竿に装着される装着部と、装着部と間隔を隔てて配置されたリールボディと、装着部とリールボディとを連結する脚部とを有する。ロータは、リール−ボディの前部に回転自在に装着されたものである。スプールは、ロータの前部でリール本体に前後移動自在かつ回転不能に装着され、ロータにより外周面に釣り糸が巻き付けられるものである。制動手段は、ロータの糸繰り出し方向の回転を制動可能な手段である。制動力調整操作手段は、装着部と接離する方向に移動自在にリール本体に設けられ、装着部に接近する方向の操作により制動手段に接触して制動手段による制動力を増加させるものである。制動保持手段は、制動手段に接触可能にリール本体に設けられ、ロータの糸繰り出し方向の回転を第1制動状態と第1制動状態より制動力が大きい第2制動状態とに保持可能な手段である。復帰手段は、制動保持手段により第2制動状態に保持されたロータを第2制動状態における制動力より強い力によるロータの糸繰り出し方向の回転に連動して第1制動状態に戻す手段である。
【0008】このスピニングリールでは、制動力調整操作手段を装着部に接近する方向に操作すると、ロータの糸繰り出し方向の回転に作用する制動力が徐々に増加する。また、制動保持手段によりロータの糸繰り出し方向の回転が第1制動状態と第2制動状態とに保持される。さらに第2制動状態に保持されているとき、ロータに第2制動状態の制動力より強い力が糸繰り出し方向に作用しロータが糸繰り出し方向に回転すると、その回転に連動してロータが第1制動状態に戻る。この結果、釣り糸が繰り出されやすくなり、魚が餌を食い込みやすくなる。ここでは、たとえば魚の引きにより第2制動状態より強い力がロータに作用してロータが糸繰り出し方向に回転すると、その回転に連動して制動保持手段による保持が解除されロータが第1制動状態に戻る。このため、切換操作を意識することなく、ロータを制動状態(第2制動状態)からそれより弱い状態(第1制動状態)に切り換えできるようになる。
【0009】発明2に係るスピニングリールは、発明1に記載のリールにおいて、第1制動状態はロータの回転を制動解除する状態であり、第2制動状態はロータの回転を所定の制動力で制動する状態である。この場合には、第1制動状態において所定の制動力で制動されたロータを第1制動状態において制動解除状態にできるので、魚に対して餌をより食い込み易くすることができる。
【0010】発明3に係るスピニングリールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、制動保持部は、リール本体に移動自在に設けられ、ロータを第1制動状態から第2制動状態に切り換え操作可能な制動切換操作手段を有する。この場合には、制動切換操作手段により制動保持手段を簡単に操作できる。
【0011】発明4に係るスピニングリールは、発明3に記載のリールにおいて、制動切換操作手段は、装着部に接離する方向に移動自在にリール本体に設けられている。この場合には、制動切換操作手段と制動力調整操作手段とを近接した位置に配置することができ、制動力の切り換えと調整とを手を離すことなく行え、操作性を向上させることができる。
【0012】発明5に係るスピニングリールは、発明4に記載のリールにおいて、制動切換操作手段は、制動力調整操作手段の装着部に接近する方向の移動に連動して装着部に接近してロータの糸繰り出し方向の回転を第1制動状態から第2制動状態に切り換える。この場合には、一度、制動力調整操作手段を装着部に接近する方向に操作するだけで、ロータは第2制動状態に維持されるので、釣り場を移動する時やリールを収納する時には制動力の切り換え操作を行う必要がなくなる。
【0013】発明6に係るスピニングリールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、制動保持手段は、制動力調整操作手段を前記装着部から離反する方向に操作するとロータを第1制動状態から第2制動状態に切り換え得る。この場合には1つの制動力調整操作部材によって、制動力の切り換えと調整とを行えるので、操作性をさらに向上させることができる。
【0014】発明7に係るスピニングリールは、発明1から6のいずれかに記載のリールにおいて、ロータの糸繰り出し方向の回転を禁止する逆転禁止状態と許可する逆転許可状態とを取り得る逆転禁止手段をさらに備える。この場合には、逆転禁止手段を逆転禁止状態にすることにより根掛かりしたときに釣り糸を確実に切ることができる。
【0015】発明8に係るスピニングリールは、発明7に記載のリールにおいて、逆転禁止手段は、制動力調整操作手段を装着部から離反する方向に操作すると逆転許可状態から逆転禁止状態に切り換わり、装着部に接近する方向に操作すると逆転禁止状態から逆転許可状態に切り換わる。この場合には、1つの制動力調整操作部材によって、制動力の調整と逆転許可・禁止の切り換えを行えるので、操作性をさらに向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】〔実施形態1〕
〔全体構成〕図1に示す本発明の一実施形態によるスピニングリールは、ハンドル1を備えたリール本体2と、リール本体2の前部に回転自在に支持されたロータ3と、ロータ3の前部に配置された釣り糸を巻き取るスプール4とを備えている。
【0017】リール本体2は、例えば合成樹脂製又は金属製である。リール本体2は、釣り竿に装着される前後に長い装着部2cと、装着部2cと間隔を隔てて配置されたリールボディ2aと、装着部2cとリールボディ2aとを連結する脚部2bとを有している。リールボディ2aの内部には、ロータ3を回転させるためのロータ駆動機構5と、ロータ3の糸繰り出し方向の回転(逆転)を制動するためのレバーブレーキ機構6と、スプール4を回転軸芯に沿って前後方向に移動させてスプール4に釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構7とが設けられている。
【0018】ロータ3は例えば合成樹脂又は金属製であり、リール本体2に回転自在に支持されている。ロータ3は、円筒部3aと、円筒部3aの側方に互いに対向して設けられた第1アーム部3b及び第2アーム部3cとを有している。円筒部3aの前壁3dの中央部には貫通孔3eを有するボス部3fが形成されている。この貫通孔3eにスプール軸8及びピニオンギア12(後述)が貫通している。第1アーム部3bの先端と第2アーム部3cの先端部とには、揺動自在にベールアーム9が設けられている。このベールアーム9により釣り糸をスプール4に案内する。
【0019】スプール4は例えば金属製であり、ロータ3の第1アーム部3bと第2アーム部3cとの間に配置されている。スプール4はスプール軸8の先端に着脱自在かつ回転不能に装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻き胴部4aと、糸巻き胴部4aの後部に一体形成されたスカート部4bと、糸巻き胴部4aの前端に固定されたフランジ部4cとを有している。スプール軸8は、オシレーティング機構7により前後方向に移動可能である。
【0020】ロータ駆動機構5は、ハンドル1が固定されたハンドル軸10とともに回転するマスターギア11と、このマスターギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ハンドル軸10は、リール本体2に回転自在に支持されている。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3中心部を貫通してスプール4側に延びている。この前部12aで、ロータ3はナット13によりピニオンギア12に回転不能に固定されている。ピニオンギア12は、中間部と後部とで軸受14,15によりリール本体2に回転自在に支持されている。
【0021】〔レバーブレーキ機構の構成〕レバーブレーキ機構6は、図1〜図3に示すように、ロータ3の糸繰り出し方向の回転を制動する制動部20と、制動部20を制動操作するための制動レバー21と、制動部20に接触可能にリール本体2に設けられ、ロータ3の糸繰り出し方向の回転を制動解除状態(第1制動状態)と所定制動状態(第2制動状態)とに保持可能な制動保持部22と、制動レバー21を装着部2cから離反する方向に付勢するコイルばね23と、制動保持部22により所定制動状態に保持されたロータ3を所定制動状態より強い力によるロータ3の糸繰り出し方向の回転に連動して第1制動状態に戻す復帰部24とを備えている。
【0022】図1に示すように、制動レバー21は、リール本体2に装着された支持軸33によりリール本体2に揺動自在に支持されている。また、前述したように、制動レバー21は、コイルばね23により装着部2cと離反する方向に付勢されている。制動レバー21は、図3及び図5に示す制動解除位置と、制動解除位置より装着部2cに接近した図4に示す制動位置との間でリール本体2に揺動自在に取り付けられている。制動位置において制動レバー21に加える力を加減することにより制動部20によるロータ3への制動力が変化する。
【0023】制動レバー21は、支持軸33による支持部分から湾曲して前方に延びる操作部21aと、支持部分から湾曲して斜め前下方に延びる制動作用部21bとを有している。操作部21aは、支持部分から装着部2cに沿ってベールアーム9の外方より前方に延びている。また、ベールアーム9の外方付近で分岐して径方向外方に向けて延び、さらに先端が前方に向けて湾曲している。この湾曲部分から前方が釣り竿を握る手の人差し指で操作可能な制動操作部21cとなっている。
【0024】制動作用部21bの先端は、左右(ロータ3の回転方向)に広がって制動部20の内周側に対向して配置され、そこには、図2及び図3に示すように、制動部20に接触可能な1対の圧接部21dが左右に間隔を隔てて着脱自在に取り付けられている。1対の圧接部21dは合成樹脂製であり、制動レバー21の揺動により制動部20を外方に配置されたリール本体2側に押圧する。制動レバー21は、何も操作されないとコイルばね23により付勢されて、図1に示すように、制動解除位置に配置されて1対の圧接部21dが制動部20から離反している。このように1対の圧接部21dをロータ3の回転方向に沿って設けることにより、制動部20と接触面積が増加して制動レバー21の操作による制動力が増加し、強力な制動力が得られやすい。
【0025】制動部20は、図1に示すように、制動レバー21により制動される制動部本体31と、制動部本体31をロータ3の糸繰り出し方向の回転にのみ連動して回転させるワンウェイクラッチ32とを有している。
【0026】制動部本体31は、ロータ3の内周側にロータ3と同心に配置された制動円筒40と、制動円筒40を傾動自在かつ回転不能に支持する回転円筒41と、リールボディ2aに設けられた円弧状の突出部42とを有している。
【0027】制動円筒40は薄肉の有底円筒形状の金属製円筒であり、その周部の先端の周接部40aが外周側に配置された突出部42と内周側に配置された制動レバー21の1対の圧接部21dとの間に配置される。また、底部40bの内側面に制動保持部22の圧接部21d(後述)が配置されている。制動円筒40はその中心部に鋸歯形状の内歯部(図示せず)を有している。
【0028】回転円筒41は、図1に示すように、大径部41aと小径部41bとを有する段付きの金属製円筒部材であり、大径部41aに内歯部に噛み合う外歯部(図示せず)が形成されている。この外歯部にワンウェイクラッチ32及び制動円筒40が回転不能に係止されている。さらに復帰部24も回転不能に係止されている。大径部41aの内側には、ピニオンギア12との間に軸受43が配置されている。小径部41bの外側にはリールボディ2aとの間に軸受44が配置されている。このため、回転円筒41は、前部が軸受43によりピニオンギア12に回転自在に支持され、後部が軸受44によりリールボディ2aに回転自在に支持されている。また、回転円筒41はワンウェイクラッチ32によりロータ3の糸繰り出し方向の回転には一体で回転し、巻き取り時にはロータ3の回転力が作用しないようロータ3に連結されている。
【0029】制動円筒40とワンウェイクラッチ32との間には傾動した制動円筒40を元の姿勢に戻すための円錐コイルばね45が配置されている。図2に示すように、突出部42には、円弧状の合成樹脂製の制動シュー42aが装着されている。制動シュー42aは、1対の圧接部21dとで制動円筒40の周接部40aを挟持可能な周方向長さを有している。ワンウェイクラッチ32は外輪遊転型のものであり、ロータ3の円筒部3aの内周面に回転不能に外輪が連結され、内輪が回転円筒41に回転不能に連結されている。
【0030】制動保持部22は、ロータ3を図3に示す制動解除状態と図4及び図5に示す所定制動状態とに切り換えて制動を行うためのものである。この実施形態1では、制動解除状態が第1制動状態に相当し、所定制動状態が第2制動状態に相当する。制動保持部22は、図3に示すように装着部2cから離反した制動解除位置と、図4に示すように装着部2cに接近した所定制動位置との間で揺動する。制動保持部22は、図2及び図3に示すように、支持軸33回りに揺動自在にリール本体2に支持された切換操作レバー25と、切換操作レバー25と連動して前後移動する圧接部材27とを有している。
【0031】切換操作レバー25は、制動レバー21の図3手前側側面に並べて配置されている。切換操作レバー25は、支持部分から制動レバー21に沿って上前方及び下方に延びたレバー本体25aと、レバー本体25aの先端にたとえばねじにより固定された連動部材25bとを有している。レバー本体25aの先端は制動レバー21の操作部21aの途中に位置している。また、支持部分から下方に延びるレバー本体25aの基端は、圧接部材27の後端部に連結されている。連動部材25bは、制動レバー21の操作部21aの上面に接触可能に配置され、制動レバー21の装着部2cに接近する方向の操作に連動して切換操作レバー25を装着部2cに接近する方向に揺動させるために設けられている。
【0032】圧接部材27は、図3に示すように、リール本体2にスプール軸8と平行に前後移動自在に装着されている。圧接部材27は後端がレバー本体25aの基端に揺動自在に連結されている。圧接部材27の後端は、レバー本体25aを両側から挟み込んでおり、そこには揺動ピン26が装着されている。揺動ピン26はレバー本体25aに固定されており、レバー本体25aから両側に突出している。
【0033】圧接部材27の後端には、揺動ピン26が係合する連結長孔27aが形成されている。圧接部材27は、捩じりコイルばねからなるトグルばね29により前進した所定制動状態に対応する圧接位置と後退した制動解除状態に対応する離反位置とに振り分けて付勢されている。このトグルばね29の付勢力により所定制動状態のときの制動力が決定される。なお、通常はこの制動力は仕掛けをつけたときに釣り糸が繰り出されない程度の弱い制動力である。圧接部材27の中間部には、リール本体2に設けられたガイドピン30に係合する前後に長いガイド孔27bが形成されている。このガイド孔27bがガイドピン30に係合することにより圧接部材27は、実質的にスプール軸方向に沿って前後移動する。
【0034】圧接部材27の前端には、傾斜面27cが形成されている。傾斜面27cはロータ3の糸繰り出し方向の上流側が下流側より凹んだ周方向に傾斜した傾斜面である。圧接部材27は、傾斜面27cの上部からさらに制動円筒40の底部40bに向かって延びており、延びた先端には、たとえば合成樹脂製の圧接部27dが着脱自在に装着されている。圧接部材27が圧接位置に配置されると圧接部27dが制動円筒40の底部40bに当接してロータ3の糸繰り出し方向の回転を所定制動状態で制動する。
【0035】コイルばね23は、制動レバー21の操作部21aとリール本体2の脚部2bとの間に圧縮状態で配置されている。コイルばね23は、制動レバー21を制動解除側に付勢している。これにより、制動レバー21から手を離すとロータ3は、制動解除状態になる。
【0036】復帰部24は、制動円筒40の後側で回転円筒41に一体回転可能に装着されている。復帰部24は、制動円筒40に回転不能に装着されるリング部24aと、リング部24aの外周部から径方向に延びるたとえば4つのアーム部24bと、各アーム部24bの先端から後方に延びるカム部24cとを有している。カム部24cの先端は、圧接位置にある傾斜面27cに接触可能でかつ離反位置にある傾斜面27cに接触不能な位置に配置されている。釣り糸が所定制動状態での制動力以上の力で繰り出されてロータ3が糸繰り出し方向に回転したとき、復帰部24は、圧接位置にある圧接部材27の傾斜面27cに接触して、圧接部材27を離反位置側に押圧し、ロータ3を制動解除状態に戻す。
【0037】〔リールの動作及び操作〕キャスティング時にはベールアーム9を糸開放姿勢側に倒し、釣り竿を降り出すことにより、スプール4の外周から釣り糸が繰り出される。糸巻取時には、ハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、ベールアーム9が図示しない戻し機構により糸巻き取り姿勢に戻る。ハンドル1の回転力はハンドル軸10、マスターギア11を介してピニオンギア12に伝達される。ピニオンギア12に伝達された回転力は、ピニオンギアの前部12aを介してロータ3に伝達される。このときロータ3は糸巻き取り方向に回転するので、ワンウェイクラッチ32の内輪は回転せず、この回転力は回転円筒41には伝達されない。ピニオンギア12が回転すると図示しない中間ギアによりその回転がオシレーティング機構7に伝達され、スプール軸8が前後方向に往復移動する。
【0038】制動レバー21を何も操作しなければ、制動レバー21はコイルばね23により押圧され制動解除位置側に配置される。このとき、制動保持部22が制動解除位置側に配置されていると、図3に示すように、圧接部21d及び圧接部27dが制動円筒40から離反し、ロータ3は制動解除状態になる。
【0039】ロータ3を逆転させて魚とやりとりする時には、制動レバー21の制動操作部21cを例えば人差し指により装着部2c側に引き込み操作し魚とのやりとりを行う。釣り糸が魚により引かれてロータ3が糸繰り出し方向に逆転すると、その回転力がワンウェイクラッチ32を介して回転円筒41に伝達され、さらに制動円筒40に伝達される。この結果、制動円筒40がロータ3と一体で回転する。
【0040】この状態で制動レバー21を装着部2cに接近する方向に操作すると、図5に示すように、制動レバー21の圧接部21dが制動円筒40の周接部40aを径方向外方に強く押圧し、周接部40aの外面が制動シュー42aに圧接する。この制動力は制動レバー21に加える力を加減することにより調整でき、ロータ3の逆転量を任意に調整できる。この結果、制動レバー21の操作力に応じた制動力がロータ3に付与される。
【0041】また、制動レバー21を装着部2cに接近する方向に操作すると、連動部材25bに制動レバー21の操作部21aが接触し、切換操作レバー25が制動レバー21に連動して装着部2cに接近する方向に揺動する。この結果、レバー本体25aが所定制動位置に配置され、圧接部材27が前進して圧接位置に配置され、圧接部27dが制動円筒40の底部40bに当接する。このとき、トグルばね29の死点を超えると圧接部材27は、圧接位置側に付勢されその位置に保持される。この状態で制動レバー21から手を離すと制動レバー21は制動解除位置に戻るが、圧接部材27はトグルばね29により付勢されて圧接位置に保持され、圧接部27dが制動円筒40に接触された状態を維持する。したがって、一度、制動レバー21を装着部2cに接近する方向に操作するだけで、ロータ3は所定制動状態に維持されるので、釣り場を移動する時やリールを収納する時には何ら制動操作を行う必要はない。
【0042】魚に当たりがあった時には、魚が所定制動状態における制動力より強く引くと、ロータ3が逆転して復帰部24も逆転する。復帰部24が逆転すると、カム部24cが傾斜面27cに接触してトグルばね29の付勢力に抗して圧接部材27を離反位置側に押圧する。そして、トグルばね29の死点を超えると圧接部材27はトグルばね29により離反位置側に付勢される。この結果、切換操作レバー25が制動解除位置側に揺動し、連動部材25bが制動レバー21の操作部21a上に接触する。このため、魚のアタリがあると、ロータ3が所定制動状態から制動解除状態に自動的に切り換わり、魚に仕掛けを確実に食い込ませることができる。
【0043】ここでは、制動保持部22を所定制動状態にしても、魚の引きなどの所定制動状態で制動力より強い力が糸繰り出し方向に作用すると、復帰部24により所定制動状態から制動解除状態に自動的に復帰するので、切換操作を意識することなく、ロータを所定制動状態(第2制動状態)からそれより弱い制動解除状態(第1制動状態)に切り換えできるようになる。
【0044】〔実施形態2〕前記実施形態1では、制動レバー21の装着部2cに接近する方向の操作と連動して制動保持部22を制動解除状態から所定制動状態にしたが、図6に示すように、制動レバー21の装着部2cから離反する方向の操作に連動して制動保持部52を制動解除状態から所定制動状態にさせてもよい。なお、実施形態2以降の説明において、実施形態1と同一または同様の部材についてはその構造及び動作の説明を省略する。
【0045】実施形態2では、制動レバー21は、図6に示す中立位置から装着部2cと接離する方向に揺動する。コイルばね23は、制動レバー21を中立位置に保持し、制動レバー21が中立位置から装着部2cに対して接離すると中立位置に向けて付勢する。制動レバー21は、中立位置では圧接部21dが制動円筒40に接触しない制動解除状態となっている。
【0046】制動保持部52は、ロータ3を制動解除状態と所定制動状態とに切り換えて制動を行うためのものである。この実施形態2でも、制動解除状態が第1制動状態に相当し、所定制動状態が第2制動状態に相当する。制動保持部52は、図7に示すように、制動レバー21の装着部2cから離反する方向の中立位置からの揺動に連動して揺動するレバー部材55を有している。
【0047】レバー部材55は、図7及び図8に示すように、制動円筒40の内周側で略周方向に延びる板状の部材である。レバー部材55は、基端側でリール本体2の前部にスプール軸8と平行な軸回りに揺動自在に装着されている。レバー部材55の基端部55aは、制動レバー21の制動作用部21bの先端下部に当接しており、レバー部材55は、制動レバー21と連動して制動解除位置(図8(a))と所定制動位置(図8(b))との間で揺動する。レバー部材55の先端にはトグルばね54が係止されている。トグルばね54は、レバー部材55を制動解除位置と所定制動位置とに振り分けて付勢する。これにより、レバー部材55は、制動解除位置と所定制動位置とで保持されるとともに、所定制動位置でトグルばね54により付勢される。
【0048】レバー部材55の先端外側部には、制動円筒40の周接部40aの内周側に配置された圧接部55bが設けられている。また、圧接部55bの外周側には圧接部55bに対向してリールボディ2aに円弧状の突出部46が形成されている。この突出部46には、制動シュー46aが装着されている。圧接部55bは、レバー部材55が所定制動位置にあるとき、制動円筒40の周接部40aを制動シュー46aとで挟んでロータ3を所定制動状態で制動する。この制動力は仕掛けの自重により釣り糸が繰り出されない程度の弱いものである。
【0049】レバー部材55の先端前側面には、カム部55cが形成されている。カム部55cは、復帰部24に接触して所定制動位置から制動解除位置にレバー部材55を戻すためのものである。カム部55cの外側面には、ロータ3の糸繰り出し方向上流側が下流側に向けて徐々に径方向外方に傾斜する傾斜面55dが形成されている。
【0050】復帰部24は、実施形態1と同様なものであり、制動円筒40の後側で回転円筒41に一体回転可能に装着されている。復帰部24は、制動円筒40に回転不能に装着されるリング部24aと、リング部24aの外周部から径方向に延びるたとえば40つのアーム部24bと、各アーム部24bの先端から後方に延びるカム部24cとを有している。カム部24cの先端は、図8(b)に示す所定制動位置にあるレバー部材55のカム部55cの傾斜面55dに接触可能でかつ図8(a)に示す制動解除位置にある傾斜面55dに接触不能な位置に配置されている。釣り糸が所定制動状態での制動力以上の力で繰り出されてロータ3が糸繰り出し方向に回転したとき、復帰部24は、圧接位置にあるレバー部材55の傾斜面55dに接触して、レバー部材55を離反位置側に押圧し、ロータ3を制動解除状態に戻す。
【0051】〔リールの動作及び操作〕制動レバー21を何も操作しなければ、制動レバー21はコイルばね23により押圧され中立位置に配置される。このとき、制動保持部52が制動解除位置側に配置されていると、図8(a)に示すように、圧接部21d及び圧接部55bが制動円筒40から離反し、ロータ3は制動解除状態になる。
【0052】ロータ3を逆転させて魚とやりとりする時には、制動レバー21の制動操作部21cを例えば人差し指により装着部2c側に引き込み操作し魚とのやりとりを行う。釣り糸が魚により引かれてロータ3が糸繰り出し方向に逆転すると、その回転力がワンウェイクラッチ32を介して回転円筒41に伝達され、さらに制動円筒40に伝達される。この結果、制動円筒40がロータ3と一体で回転する。
【0053】この状態で制動レバー21を装着部2cに接近する方向に引き込み操作すると、制動レバー21の圧接部21dが制動円筒40の周接部40aを径方向外方に強く押圧し、制動円筒40を傾け、周接部40aの外面が制動シュー42aに圧接する。この引き込み操作時の制動力は制動レバー21に加える力を加減することにより調整でき、ロータ3の逆転量を任意に調整できる。この結果、制動レバー21の操作力に応じた制動力がロータ3に付与される。制動レバー21に力を入れるのを止めると、制動レバー21はコイルばね23により中立位置に戻され、ロータ3は制動解除状態になる。
【0054】また、制動レバー21を装着部2cから離反する方向に中立位置からたとえば押圧操作すると、制動作用部21bがレバー部材55の基端部55aを押圧してレバー部材55が図8の反時計回りに揺動する。このときトグルばね54の死点を超えるとレバー部材55は所定制動位置側に付勢され、レバー部材55が所定制動位置に保持される。この結果、圧接部55bと制動シュー46aとで制動円筒40の周接部40aが挟持され、ロータ3が所定制動状態になる。この状態で制動レバー21の押圧操作を止めると、制動レバー21は中立位置に戻るが、制動保持部52のレバー部材55は所定制動位置に保持される。したがって、一度、制動レバー21を装着部2cから離反する方向に操作するだけで、ロータ3は所定制動状態に維持される。
【0055】魚に当たりがあった時には、魚が所定制動状態における制動力より強く引くと、ロータ3が逆転して復帰部24も逆転する。復帰部24が逆転すると、カム部24cが傾斜面55dに接触してトグルばね54の付勢力に抗してレバー部材55を制動解除位置側に押圧する。そして、トグルばね54の死点を超えるとレバー部材55はトグルばね54により制動解除位置側に付勢される。この結果、レバー部材55が制動解除位置側に揺動し、基端部55aが中立位置にある制動レバー21の制動作用部21bの下面に接触する。このため、魚のアタリがあると、ロータ3が所定制動状態から制動解除状態に自動的に切り換わり、魚に仕掛けを確実に食い込ませることができる。
【0056】ここでも、制動保持部52を所定制動状態(第2制動状態)にしても、魚の引きなどの所定制動状態で制動力より強い力が糸繰り出し方向に作用すると、復帰部24により所定制動状態から制動解除状態に自動的に復帰するので、切換操作を意識することなく、ロータを所定制動状態(第2制動状態)からそれより弱い状態(第1制動状態)に切り換えできるようになる。
【0057】〔実施形態3〕前記2つの実施形態では、ロータ3の糸繰り出し方向の逆転をレバーブレーキ機構6によって防止したが、図9に示すように、制動レバー21と連動して動作する逆転禁止機構80を設けてロータ3の逆転を禁止するようにしてもよい。この場合には、逆転禁止機構80を逆転禁止状態にすることにより、根掛かりしたときに釣り糸を確実に切ることができる。なお、この実施形態3では、制動保持部92は、制動レバー21の動作と独立して動作する。
【0058】図9において、実施形態2と同様に、制動レバー21は、図9に示す中立位置から装着部2cと接離する方向に揺動する。コイルばね23は、制動レバー21を中立位置に保持し、制動レバー21が中立位置から装着部2cに対して接離すると中立位置に向けて付勢する。制動レバー21は、中立位置では圧接部21dが制動円筒40に接触しない制動解除状態となっている。
【0059】逆転禁止機構80は、制動レバー21の中立位置から装着部2cから離反する方向の操作により逆転禁止状態になる。ピニオンギア12と一体形成された逆転禁止ホイール81と、逆転禁止ホイール81に接離自在な逆転禁止爪82とを有している。
【0060】逆転禁止ホイール81は、外周部に周方向に間隔を隔てて配置された略鋸歯状の多数の歯部81aを有している。歯部81aの糸繰り出し方向下流側面は上流側面に比べて径方向に沿って形成されている。これにより、逆転禁止ホイール81は、逆転禁止爪82により糸繰り出し方向の回転のみ禁止され得る。
【0061】逆転禁止爪82は、2点鎖線で示す逆転禁止姿勢と実線で示す逆転許可姿勢とにリール本体2の前部に揺動自在に装着されている。逆転禁止爪82は、トグルばね83により逆転禁止姿勢と逆転許可姿勢とに振り分けて付勢されている。逆転禁止爪82は基端部がトグルばね83に係止され、中間部がリール本体2に揺動自在に支持されている。また、先端部は二股に分かれた1対の係止部82a,82bを有している。
【0062】1対の係止部82a,82bの間には、制動レバー21の制動作用部21bが配置されている。制動作用部21bは、逆転禁止爪82が逆転許可姿勢にあるとき、係止部82a,82bのいずれにも接触しない位置に配置されている。制動レバー21が装着部2cと離反する方向に中立位置から操作されると、制動作用部21bは、係止部82bに接触して逆転禁止爪82を逆転禁止姿勢に向けて押圧する。逆転禁止爪82は、逆転禁止姿勢になると、下側の係止部82bの先端が逆転禁止ホイール81の歯部81aの回転方向下流側面に当接して逆転禁止ホイール81、すなわちピニオンギア12の糸繰り出し方向の回転を禁止し、ピニオンギア12に固定されたロータ3の糸繰り出し方向の回転を禁止する。また、逆転禁止爪82が逆転禁止姿勢になると、斜めに配置された係止部82bに制動作用部21bが接触し、制動レバー21は、逆転禁止爪82により中立位置から下方に揺動した姿勢で保持される。この状態で制動レバー21が中立位置に向けて操作されると、制動作用部21bが係止部82aを逆転許可姿勢側に押圧し、逆転禁止爪82を逆転禁止姿勢に戻す。
【0063】制動保持部92は、リール本体2の前下部に外部に露出して揺動自在に装着された操作レバー93と、操作レバー93に連結され制動円筒40の周接部40aの内面に接触する所定制動位置と離反する制動解除位置とに揺動自在なレバー部材94と、レバー部材94を所定制動位置と制動解除位置とに振り分けて付勢するトグルばね95を有している。
【0064】レバー部材94の先端外側部には、制動円筒40の周接部40aの内周側に配置された圧接部94aが設けられている。圧接部94aは、レバー部材94が所定制動位置にあるとき、制動円筒40の周接部40aを押圧してロータ3を所定制動状態で制動する。この制動力は仕掛けの自重により釣り糸が繰り出されない程度の弱いものである。
【0065】レバー部材94の先端前側面には、カム部94bが形成されている。カム部94bは、復帰部(図示せず)に接触して所定制動位置から制動解除位置にレバー部材94を戻すためのものである。カム部94bの外側面には、ロータ3の糸繰り出し方向上流側が下流側に向けて徐々に径方向外方に傾斜する傾斜面94cが形成されている。なお、復帰部は実施形態1及び2と同様な構成のため説明を省略する。
【0066】〔リールの動作及び操作〕制動レバー21を何も操作しなければ、制動レバー21はコイルばね23により押圧され中立位置に配置される。このとき、制動保持部92が制動解除位置側に配置されていると、図9に示すように、圧接部21d,94aがともに制動円筒40から離反し、ロータ3は制動解除状態になる。
【0067】ロータ3を逆転させて魚とやりとりする時には、制動レバー21の制動操作部21cを例えば人差し指により装着部2c側に引き込み操作し魚とのやりとりを行う。釣り糸が魚により引かれてロータ3が糸繰り出し方向に逆転すると、その回転力がワンウェイクラッチ32を介して回転円筒41に伝達され、さらに制動円筒40に伝達される。この結果、制動円筒40がロータ3と一体で回転する。
【0068】この状態で制動レバー21を装着部2cに接近する方向に中立位置から引き込み操作すると、図5に示すように、制動レバー21の圧接部21dが制動円筒40の周接部40aを径方向外方に強く押圧し、制動円筒40を傾け、周接部40aの外面が制動シュー42aに圧接する。このとき、逆転防止爪82の係止部82aと制動作用部21bとの間に隙間があいているので、逆転防止爪82は揺動しない。この引き込み操作時の制動力は制動レバー21に加える力を加減することにより調整でき、ロータ3の逆転量を任意に調整できる。この結果、制動レバー21の操作力に応じた制動力がロータ3に付与される。制動レバー21に力を入れるのを止めると、制動レバー21はコイルばね23により中立位置に戻され、ロータ3は制動解除状態になる。
【0069】また、制動レバー21を装着部2cから離反する方向に中立位置からたとえば押圧操作すると、制動作用部21bが逆転防止爪82の係止部82bを押圧して逆転防止爪82が図9の時計回りに揺動する。このときトグルばね83の死点を超えると逆転禁止爪82は逆転禁止姿勢側に付勢され、逆転防止爪82が逆転禁止姿勢になる。この結果、係止部82bの先端が逆転禁止ホイール81の歯部81aに接触してロータ3の逆転が禁止される。なお、トグルばね83の死点は、ロータ3が糸巻取方向に回転して逆転禁止ホイール81の歯部81aが逆転禁止爪82を押しても逆転禁止爪82を逆転禁止姿勢に付勢しない位置にセットされている。
【0070】逆転禁止機構80を逆転許可状態にするには、制動レバー21を中立位置に戻す操作を行えばよい。制動レバー21を中立位置に戻す操作を行うと、制動作用部21bが係止部82aを押圧して逆転禁止爪82を逆転許可姿勢側に戻す。このとき、トグルばね83の死点を超えると逆転禁止爪82は、逆転許可姿勢側に付勢されその位置に保持される。
【0071】一方、ロータ3を所定制動状態にしたい場合には、制動保持部92の操作レバー93を操作してレバー部材94を制動解除位置から所定制動位置に揺動させる。すると、レバー部材94の圧接部94aが制動円筒40の周接部40aに接触してロータ3が所定制動状態になる。
【0072】魚に当たりがあった時には、魚が所定制動状態における制動力より強く引くと、ロータ3が逆転して復帰部も逆転する。復帰部が逆転すると、カム部が傾斜面94cに接触してトグルばね95の付勢力に抗してレバー部材94を制動解除位置側に押圧する。そして、トグルばね95の死点を超えるとレバー部材94はトグルばね95により制動解除位置側に付勢される。この結果、レバー部材94が制動解除位置側に揺動する。このため、魚のアタリがあると、ロータ3が所定制動状態から制動解除状態に自動的に切り換わり、魚に仕掛けを確実に食い込ませることができる。
【0073】ここでも、制動保持部92を所定制動状態(第2制動状態)にしても、魚の引きなどの所定制動状態で制動力より強い力が糸繰り出し方向に作用すると、復帰部により所定制動状態から制動解除状態に自動的に復帰するので、切換操作を意識することなく、ロータを所定制動状態(第2制動状態)からそれより弱い状態(第1制動状態)に切り換えできるようになる。
【0074】〔他の実施形態〕
(a) 前記3つの実施形態では、第1制動状態を制動解除状態にして、第2制動状態を所定制動状態としたが、第1制動状態と第2制動状態とで制動力を変化させてもよい。たとえば、第1制動状態を仕掛けによる糸繰り出しを防止するための比較的弱い制動力に設定し、第2制動状態を魚の引きに応じた制動力としてもよい。
【0075】(b) 前記実施形態では、制動レバー21をリール本体2に揺動自在に装着したが、装着部2cに接離する方向に移動するのであれば直線移動するようにしてもよい。
【0076】(c) 前記実施形態2では、制動レバー21の押し込み操作にのみ連動してレバー部材55を動作させたが、レバー部材55を制動レバー21の押し引き双方の操作に連動して動作させてもよい。この場合、制動レバー21を押し込み操作すると実施形態3と同様に制動レバー21はその位置で保持される。したがって、そこからの制動レバー21の引き込み操作によってもレバー部材55を所定制動位置から制動解除位置に戻すこともできる。
【0077】
【発明の効果】本発明よれば、たとえば魚の引き等により第2制動状態より強い力がロータに作用してロータが糸繰り出し方向に回転すると、その回転に連動して制動保持手段による保持が解除されロータが第1制動状態に戻る。このため、切換操作を意識することなく、ロータを制動状態(第2制動状態)からそれより弱い状態(第1制動状態)に切り換えできるようになる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2002−345377(P2002−345377A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−157006(P2001−157006)