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【発明の名称】 釣り用リールの部品組立体
【発明者】 【氏名】滝倉 恒治

【要約】 【課題】釣り用リールの部品組立体において、部品組立体の摺動部分に耐久性の高い撥水処理を施す。

【解決手段】スピニングリールのオシレーティング機構6は、螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に摺動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有している。スライダ22は、螺軸21と平行に配置された上下2本のガイド軸24に移動自在に支持されている。スライダ22及びガイド軸24は金属薄膜による撥水処理が施されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】リール本体の内部に設けられる釣り用リールの部品組立体であって、前記リール本体の内部に設けられた第1部品と、前記第1部品に対向して配置され、前記第1部品に対して摺動可能に設けられた第2部品と、前記第1部品及び前記第2部品の少なくともいずれかの対向面上に形成された撥水性を有する金属薄膜層と、を備えた釣り用リールの部品組立体。
【請求項2】前記第1部品及び前記第2部品の少なくともいずれかの対向面と前記金属薄膜層との間には下地膜層をさらに備えている、請求項1に記載の釣り用リールの部品組立体。
【請求項3】前記金属薄膜層にはフッ素樹脂が含浸されている、請求項1又は2に記載の釣り用リールの部品組立体。
【請求項4】前記第1部品及び前記第2部品の一方は前記リール本体に装着されたスプールを摺動させるオシレーティング機構のスライダであり、前記第1部品及び前記第2部品の他方は前記スライダを案内するガイド軸である、請求項1から3のいずれかに記載の釣り用リールの部品組立体。
【請求項5】前記第1部品及び前記第2部品の一方は前記リール本体に装着されたレベルワインド機構のスライダであり、前記第1部品及び前記第2部品の他方は前記スライダを案内するガイド筒である、請求項1から3のいずれかに記載の釣り用リールの部品組立体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣り用リールの部品組立体、特に、リール本体の内部に設けられる釣り用リールの部品組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】釣竿に装着されて釣り糸を巻き取る釣り用リールには、主にスピニングリールと、両軸受リールと、片軸受リールとがある。この種の釣り用リールは、釣竿に装着されるリール本体と、リール本体に装着された糸巻き用のスプールとを有している。両軸受リールや片軸受リールでは、スプールはリール本体に回転自在に支持されている。スピニングリールでは、スプールはリール本体内部に装着されたオシレーティング機構のスライダの摺動により、リール本体に対して前後移動自在に装着されている。
【0003】この種の釣り用リールでは、リール本体内部への浸水を防止するため、特開2000−41543号公報に開示されているように、リール本体内部の部品組立体に撥水性を有する混合物の粒子をバインダーとともに揮発性溶媒に分散させて塗布したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の撥水処理を施した釣り用リールの部品組立体では、部品組立体に撥水性を有する混合物の粒子をバインダーとともに揮発性溶媒に分散させて塗布しているだけであるので、部品組立体に対する密着力が比較的弱い。このため、特にオシレーティング機構のスライダ等の摺動する部品組立体に撥水処理を施した場合、撥水性を有する混合物の粒子がスライダの表面から容易に剥離してしまうおそれがある。
【0005】本発明の課題は、釣り用リールの部品組立体において、部品組立体の摺動部分に耐久性の高い撥水処理を施すことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明1に係る釣り用リールの部品組立体は、リール本体の内部に設けられる釣り用リールの部品組立体であって、リール本体の内部に設けられた第1部品と、第1部品に対向して配置され第1部品に対して摺動可能に設けられた第2部品と、第1部品及び第2部品の少なくともいずれかの対向面上に形成された撥水性を有する金属薄膜層とを備えている。
【0007】この釣り用リールの部品組立体では、摺動する第1部品及び第2部品の対向面には、撥水性を有する金属薄膜層が形成されている。ここでは、撥水性を有するたとえばシリコン樹脂やフッ素樹脂等が含浸された金属薄膜層は第1部品及び第2部品に対する密着力が比較的強いので、第1部品及び第2部品が摺動して対向面が擦れても、撥水性を有する金属薄膜層は剥離しにくい。したがって、第1部品及び第2部品の摺動部分が確実に撥水処理されることにより、部品組立体の摺動部分に耐久性の高い撥水処理を施すことができる。
【0008】発明2に係る釣り用リールの部品組立体は、発明1の釣り用リールの部品組立体において、第1部品及び第2部品の少なくともいずれかの対向面と金属薄膜層との間には下地膜層をさらに備えている。この場合、たとえば下地膜層として各種の下地処理を施すことにより、金属薄膜層の密着性を向上させることができる。
【0009】発明3に係る釣り用リールの部品組立体は、発明1又は2の釣り用リールの部品組立体において、金属薄膜層にはフッ素樹脂が含浸されている。この場合、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂を金属薄膜層である無電解ニッケルめっき層に含浸させることにより撥水効果を高めることができる。
【0010】発明4に係る釣り用リールの部品組立体は、発明1から3のいずれかの釣り用リールの部品組立体において、第1部品及び第2部品の一方はリール本体に装着されたスプールを摺動させるオシレーティング機構のスライダであり、第1部品及び第2部品の他方はスライダを案内するガイド軸である。この場合、釣り用リールはスピニングリールであって、スライダ及びガイド軸の摺動部分に撥水性を有する金属薄膜層が形成されているので、スライダ及びガイド軸の摺動部分に耐久性の高い撥水処理を施すことができる。
【0011】発明5に係る釣り用リールの部品組立体は、発明1から3のいずれかの釣り用リールの部品組立体において、第1部品及び第2部品の一方はリール本体に装着されたレベルワインド機構のスライダであり、第1部品及び第2部品の他方はスライダを案内するガイド筒である。この場合、釣り用リールは両軸受リールであって、スライダ及びガイド筒の摺動部分に撥水性を有する金属薄膜層が形成されているので、スライダ及びガイド筒の摺動部分に耐久性の高い撥水処理を施すことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、図1に示すように、ハンドル1と、ハンドル1が回転自在に装着されたリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、ハンドル1の回転に連動して回転して釣り糸をスプール4に案内するものであり、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、ロータ3により案内された釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後方向に往復移動自在に配置されている。
【0013】リール本体2は、図2に示すように、リール本体2の主部を構成し側部に開口を有するリールボディ2aと、リールボディ2aから斜め上前方に一体で延びるT字状の竿取付脚2bとを有している。
【0014】リールボディ2aの内部に設けられた空間には、図2に示すように、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2aの前部には、ロータ3の糸繰り出し方向の回転(逆転)を禁止・解除するための逆転防止機構50のワンウェイクラッチが回転不能に装着されている。
【0015】ロータ3は、図2に示すように、後述するピニオンギア12に固定された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32と、釣り糸をスプール4に案内するためのベールアーム40とを有している。円筒部30と第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とは、たとえばアルミニウム合金製であり一体成形されている。
【0016】スプール4は、図2に示すように、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されている。スプール4は、スプール軸15の先端部にドラグ機構60を介して連結されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に設けられたフランジ部4cとを有している。
【0017】ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。フェースギア11は、ハンドル軸10に回転不能に装着されるフェースギア軸11aと一体成形され、フェースギア軸11aの両端は軸受を介してリール本体2に回転自在に支持されている。
【0018】ピニオンギア12は、図2に示すように、筒状の部材であり前後方向に沿って配置され、リールボディ2aに回転自在に装着されている。ピニオンギア12の前部はロータ3の中心部を貫通しており、この貫通部分でナットによりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、軸方向の中間部と後端部とでそれぞれ軸受14a、14bを介してリールボディ2aに回転自在に支持されている。このピニオンギア12の内部をスプール軸15が貫通している。ピニオンギア12は、フェースギア11に噛み合うとともに、オシレーティング機構6にも噛み合っている。
【0019】オシレーティング機構6は、図2に示すように、スプール軸15の略直下方に平行に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に摺動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有している。スライダ22は、螺軸21と平行に配置された上下2本のガイド軸24(下側のみ図示)に移動自在に支持されている。スライダ22はスプール軸15の後端が回転不能に固定されている。中間ギア23は図示しない減速機構を介してピニオンギア12に噛み合っている。このようなスライダ22及びガイド軸24には、スライダ22及びガイド軸24の摺動する対向面を含む全表面にわたって金属薄膜による撥水処理が施されている。
【0020】スライダ22及びガイド軸24は、図3に示すように、アルミニウム合金製の本体部17と、本体部17の表面に形成された撥水膜層18とを有している。撥水膜層18は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂を金属薄膜である無電解ニッケルめっき層に含浸させることにより形成されている。このような撥水膜層18では、撥水膜層18上における水滴の接触角はたとえば170度以上となっており、一般によく用いられる撥水剤を処理した場合の水滴の接触角が110度であることと比較して、撥水力が非常に高くなっている。
【0021】このようなスピニングリールでは、スライダ22及びガイド軸24の表面には金属薄膜を含む撥水膜層18が形成されている。ここでは、撥水性を有するたとえばシリコン樹脂やフッ素樹脂等が含浸された金属薄膜層である撥水膜層18は、スライダ22及びガイド軸24に対する密着力が比較的強いので、スライダ22及びガイド軸24が摺動して対向面が擦れても、撥水膜層18は剥離しにくい。したがって、スライダ22及びガイド軸24の摺動部分が確実に撥水処理されることにより、スライダ22及びガイド軸24の摺動部分に耐久性の高い撥水処理を施すことができる。
【0022】〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、フロントドラグ型のスピニングリールを例に説明したが、これに限定されるものではなく、リアドラグ型のスピニングリールやドラグを有さないスピニングリールにも本発明を適用できる。
【0023】(b) 前記実施形態では、スライダ22及びガイド軸24の全表面に撥水処理が施されていたが、スライダ22及びガイド軸24の摺動する対向面のいずれか一方のみに撥水処理を施してもよい。
【0024】(c) 前記実施形態では、本体部17の表面に撥水膜層18が形成されていたが、図4に示すように、本体部17と撥水膜層18との間に下地膜層19をさらに形成してもよい。また、前記実施形態における撥水膜層18は、PTFEを無電解ニッケルめっき層に含浸させて形成していたが、これに限定されるものではなく、撥水性を有するシリコン樹脂やフッ素樹脂等を含浸させて形成してもよい。
【0025】(d) 図5に示すように、両軸受リールにおけるレベルワインド機構115のスライダ127及びガイド筒125にも本発明を適用できる。レベルワインド機構115は、リール本体101に回転可能に装着された螺軸126と、螺軸126を左右方向に摺動するスライダ127と、スライダ127を案内するガイド筒125とを有している。スライダ127及びガイド筒125の摺動する対向面を含む全表面にわたって金属薄膜による撥水処理が施されている。この場合、スライダ127及びガイド筒125の摺動部分に耐久性の高い撥水処理を施すことができる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、釣り用リールの部品組立体において、部品組立体の摺動する対向面には撥水性を有する金属薄膜層が形成されているので、部品組立体の摺動部分に耐久性の高い撥水処理を施すことができる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2002−345373(P2002−345373A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−157003(P2001−157003)