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【発明の名称】 外ガイド付き釣竿
【発明者】 【氏名】及川 勝広

【要約】 【課題】必要領域のみの捩り剛性を向上させて、軽量化を図りつつ釣竿の操作性を向上させる。

【解決手段】合成樹脂をマトリックスとし、強化繊維で強化された繊維強化樹脂製竿杆10を有し、該竿杆の外側に4個以上の複数個の釣糸ガイドG1,・・・,G6を設け、リールを装着するリール装着部12の前後にグリップFG,RGを有する釣竿であって、少なくとも前側グリップFGの前端近くから、最も手元に近い釣糸ガイドG1位置にまで亘って、一方向に引き揃えた強化繊維を主体の強化繊維とし、該強化繊維の指向方向が竿杆の長手方向に対して、概ね30度〜60度の範囲内の角度傾斜した傾斜層と、これと概ね対称な方向に傾斜指向した他の傾斜層とを有する傾斜方向繊維層を具備すると共に、該傾斜方向繊維層の前端位置P2から釣竿先端までの間には、殆ど傾斜方向繊維層が存在しないよう構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成樹脂をマトリックスとし、強化繊維で強化された繊維強化樹脂製竿杆を有し、該竿杆の外側に4個以上の複数個の釣糸ガイドを設け、リールを装着するリール装着部の前後にグリップを有する釣竿であって、少なくとも前側グリップの前端近くから、最も手元に近い釣糸ガイド位置にまで亘って、一方向に引き揃えた強化繊維を主体の強化繊維とし、該強化繊維の指向方向が竿杆の長手方向に対して、概ね30度〜60度の範囲内の角度傾斜した傾斜層と、これと概ね対称な方向に傾斜指向した他の傾斜層とを有する傾斜方向繊維層を具備すると共に、該傾斜方向繊維層の前端位置から釣竿先端までの間には、殆ど傾斜方向繊維層が存在しないことを特徴とする外ガイド付き釣竿。
【請求項2】 前記傾斜方向繊維層の前端位置は、前記リール装着部の中央位置から測り、釣竿先端までの長さに対して概ね20〜65%の長さ範囲内に位置している請求項1記載の外ガイド付き釣竿。
【請求項3】 前記傾斜方向繊維層の前端位置が、竿表面からの釣糸ガイド内口の最大高さの、前側に隣接した釣糸ガイドに対する増加率が、それよりも前側領域の釣糸ガイドに比べて急増している釣糸ガイドの付近に位置している請求項1又は2記載の外ガイド付き釣竿。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、竿杆の外側に釣糸ガイドを有する釣竿に関し、特に釣竿が大撓みした際の釣竿操作性を向上させた釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】リール装着部に装着されたスピニングリールや両軸受型リール等から引き出された釣糸を、竿杆の外側に設けた釣糸ガイドに挿通させて先端まで導く、所謂、外ガイド付きの釣竿が従来から使用されている。この外ガイド付きの釣竿で釣りを行うと、竿が大撓みした場合、即ち、仕掛け重量を含めて引きの強い魚が掛かった場合に、魚の動きによって釣竿が左右に振られる。これは、魚等の引きの力が釣糸ガイドに伝わり、この釣糸ガイドを介して竿杆が曲げられたり、捩られたりすることによる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】捩りに対して弱い竿では、強い引きの力を受けている状態に加え、釣竿を保持している手元部が捩られて保持が不安定になるため、釣竿の操作性が悪くなる。そこで、竿杆に対して、竿杆の長さ方向に対して左右対称な±45度方向に強化繊維を指向配設させて捩りに強くすることが考えられる。然しながら、竿が大撓みを受けた場合には、胴部が大きな曲率を受け、その先部の撓み剛性の低い領域は大きくは曲がらず、主に引張り力を受けて概ね直線状となる。こうした場合、竿を握った手元部を不安定にさせるように釣竿に捩りを発生させるのは、前記先部領域を除いた胴部や手元部である。依って本発明は、必要領域のみの捩り剛性を向上させて、軽量化を図りつつ釣竿の操作性を向上させることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み本発明の請求項1では、合成樹脂をマトリックスとし、強化繊維で強化された繊維強化樹脂製竿杆を有し、該竿杆の外側に4個以上の複数個の釣糸ガイドを設け、リールを装着するリール装着部の前後にグリップを有する釣竿であって、少なくとも前側グリップの前端近くから、最も手元に近い釣糸ガイド位置にまで亘って、一方向に引き揃えた強化繊維を主体の強化繊維とし、該強化繊維の指向方向が竿杆の長手方向に対して、概ね30度〜60度の範囲内の角度傾斜した傾斜層と、これと概ね対称な方向に傾斜指向した他の傾斜層とを有する傾斜方向繊維層を具備すると共に、該傾斜方向繊維層の前端位置から釣竿先端までの間には、殆ど傾斜方向繊維層が存在しないことを特徴とする外ガイド付き釣竿を提供する。ここで、殆ど傾斜方向繊維層が存在しないという事項の解釈において、傾斜方向繊維層が、例えば、釣竿先端領域の短い範囲に存在したり、或いは、釣糸ガイド部品の装着部位の短い範囲に存在したりというように、短い範囲に存在することは排除していない。また、所謂、ブレーディングのように編んだ繊維は傾斜方向繊維層の繊維には入れていない。こうした編み込んだ繊維では、繊維に凹凸が生じて、捩りに対しての抵抗力が低くなり、また、繊維を引き揃えた場合に比べて、繊維密度が小さく、層厚の割りに捩りに対する抵抗力が小さいからである。
【0005】胴部や手元部の捩り剛性を向上させるため、少なくとも前側グリップの前端近くから、最も手元に近い釣糸ガイド位置にまで亘って上記の傾斜方向繊維層を設けて、大撓み時の手元の捩れを防止して釣竿の操作性を向上させると共に、該胴部や手元部を除いた釣竿前方領域は、既述の如く、大撓み時には引張り力を受けて直線状となるため、捩り剛性を大きくする必要性に乏しく、後方領域の傾斜方向繊維層の途切れた位置となる前端位置から釣竿先端までの間には、殆ど傾斜方向繊維層を存在させず、その分、可及的に軽量化に寄与でき、こうした意味でも釣竿の操作性を向上させることができる。
【0006】請求項2では、前記傾斜方向繊維層の前端位置は、前記リール装着部の中央位置から測り、釣竿先端までの長さに対して概ね20〜65%の長さ範囲内に位置している請求項1記載の外ガイド付き釣竿を提供する。釣竿が大撓みをした場合、手元部に捩りを発生させるのは、釣竿前方領域を除いた後方領域であり、このため、リール装着部の中央位置から測り、釣竿先端までの長さに対して概ね20〜65%(好ましくは35〜60%、更に好ましくは50〜60パーセント)の長さ範囲内にまで至るように傾斜方向繊維層を設ければ、大撓み時の捩り力に対抗する捩り剛性が得られる。
【0007】請求項3では、前記傾斜方向繊維層の前端位置が、竿表面からの釣糸ガイド内口の最大高さの、前側に隣接した釣糸ガイドに対する増加率が、それよりも前側領域の釣糸ガイドに比べて急増している釣糸ガイドの付近に位置している請求項1又は2記載の外ガイド付き釣竿を提供する。釣糸ガイド内口の最大高さが急に高くなる位置では、該釣糸ガイドを介して該釣糸ガイドの内口高さに応じた大きさの捩りトルクによって竿杆が捩られる。従って、この位置の釣糸ガイド付近から後方に亘って傾斜方向繊維層を設けると大撓み時の捩りに対して抵抗できる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実施形態例に基づき、更に詳細に説明する。図1は本発明に係る外ガイド付き釣竿の例示であり、所謂、継式ではなく、1本竿である。その竿杆10の後端10Eは、リール(スピニングでも両軸受け型等でもよいが図示せず)を装着するリール装着部12の中央位置付近に位置している。このリール装着部の後ろには、竿杆10以外の杆部材を芯材としてリール装着部の後部に挿入連結し、外側に握持性のよいジュラコン(商品名)等の発泡性合成樹脂や、天然コルク等の弾力性部材を設けた後側グリップRGが設けられている。釣竿後端には尻栓14が装着されている。また、竿杆10は、エポキシ樹脂等の合成樹脂をマトリックスとし、炭素繊維等の強化繊維によって強化した繊維強化樹脂製である。
【0009】また、リール装着部の直前には、前記竿杆10の外側に、後部と同様な部材を設けた前側グリップFGが設けられている。竿杆10の、この前側グリップの前端位置P1から、釣竿先端までの長さの1/3程度前方位置に、第1釣糸ガイドG1を設けており、それから適宜間隔を隔てつつ、第2釣糸ガイドG2、第3釣糸ガイドG3、第4釣糸ガイドG4、第5釣糸ガイドG5、第6釣糸ガイド(トップガイド)G6と順次配設している。
【0010】前側グリップより幾分前方位置の竿杆10の拡大部分横断面を示す図3を参照すると、竿杆は、内側から順次、第1層10P、第2層10C、第3層10Dを具備している。第3層は、層K1と層K2とを有している。この第3層が本発明に係る傾斜方向繊維層であり、竿杆10に連続配設されている範囲Wとしては、前記前側グリップの前端位置P1から、第2釣糸ガイドG2の前側の足位置P2までである。この実施形態例の位置P2は、リール装着部12に装着するリール足部の中央位置となるリール装着部の中央位置から測り、釣竿先端までの長さに対して60%程の長さLの位置である。
【0011】この実施形態例では、第3釣糸ガイドG3から第6釣糸ガイドG6の、釣糸の挿通できるガイド内口の、竿表面からの最大高さ位置を連ねたラインL1は、概ね直線状である。第2釣糸ガイドG2のガイド内口最大高さ位置は、ラインL1の延長線上よりも高い位置である。即ち、釣竿先端から後方に向かって順次釣糸ガイドが並んでいるが、第2釣糸ガイドG2の内口最大高さ位置が急に高くなっている。このため、釣竿が大撓みした場合に、この第2釣糸ガイド位置から後方部竿杆に大きな捩り力が作用する。従って、後方からこの位置までの竿杆領域に傾斜方向繊維層10Dを設けている。
【0012】図2を参照すると、竿杆10に設けた第2釣糸ガイドG2は、前後の足部G2A,G2Bを有し、夫々、竿杆に対して、糸巻き構造等のガイド足固定部GK,GK’によって固定されている。前記傾斜方向繊維層10Dは、この前側の足部G2Aのガイド足固定部GKの途中にまで延設されている。この前側足部G2Aも、第2釣糸ガイドG2が釣糸から受ける力の一部を竿杆10に伝達するため、この前側足部にまで亘って傾斜方向繊維層10Dを設ける。更には、ガイド足固定部GKの存在によって、傾斜方向繊維層10Dの端部剥離を防止している。
【0013】図4は竿杆10の製造を説明する図であり、これを参照する。芯金20に対し、竿杆10の全長以上の長さのプリプレグ10P’を3回程度(1〜8回程度の範囲で)巻回する。このプリプレグは、一の方向の強化繊維と、これと直交する方向の強化繊維とを交差させた、例えば織布シート10A’と、強化繊維を前記一の方向に引き揃えた引き揃えシート10B’とを重ねたものであり、前記一の方向を芯金の長手方向に沿わせる。この上であって、竿杆の手元側である後方領域に、図示の台形状のプリプレグ10C’を適宜回数巻回する。このプリプレグ10C’の強化繊維は芯金の長手方向に指向させる。
【0014】更にこの上に、既述の傾斜方向繊維層10Dを形成する2枚の同じ大きさのシートK1’,K2’を一致するように重ねたプリプレグ10D’は、その後端(図の右側端)を、前記プリプレグ10C’の後端(図の右側端)よりも適宜寸法前側に位置させて巻回する。一方のシートK1’の強化繊維は、芯金の長手方向に対して概ね45度傾斜した方向に指向させており、他方のシートK2’の強化繊維は、芯金の長手方向に対して、前記一方のシートの強化繊維方向と概ね対称となる方向に指向させている。
【0015】前記プリプレグ10C’と10D’の各前端の配設位置関係は、この形態例では、プリプレグ10D’の先端位置を、プリプレグ10C’の先端位置よりも僅かな寸法δだけ前側にずらせている。これは、撓み剛性向上のためのプリプレグ10C’の前端位置において、竿杆10の撓み剛性が急変しないようにし、この部位において竿杆の撓み形状がへの字状になり、ここに応力集中が生じることを防止するためである。逆に、後側にずらせてもよい。
【0016】プリプレグ10P’のシート10A’の強化繊維はガラス繊維であるが、他は全て炭素繊維である。竿杆10を可及的に軽量化させるには、弾性率の高い強化繊維を使用すればよく、繊維量を少なくできる。傾斜方向繊維層形成のためのプリプレグ10D’に使用の炭素繊維の弾性率は26000kgf/mm(254800N/mm)である。軽量化のためには弾性率を高くすべきであるが、竿杆の長手方向における撓み剛性の不連続性を小さくするため、この程度の弾性率を使用している。また、竿杆10に使用の合成樹脂はエポキシ樹脂であり、このプリプレグ10D’は、重量による樹脂比率を45%程にしている。樹脂比率を低下させれば、より軽量化できるが、本実施形態例の竿杆は、最大外径が概ね10mmと小径であり、樹脂比率が小さければプリプレグの巻回操作性が悪いため、この程度にしている。
【0017】図4で説明したプリプレグを巻回した素材を、常法によって加圧加熱成形した竿杆10の図3に示す傾斜方向繊維層10Dの厚さtは、竿杆の肉厚Tに対して約2〜20%に設定し、好ましくは、約3〜10%に設定する。図4の説明で解るように、傾斜方向繊維層の元になるプリプレグ10D’は、図1の範囲Wの領域に配設しており、その前側には傾斜方向繊維層を形成していない。従って、大撓み時に必要な領域のみに設けているため、可及的に軽量化された釣竿となる。また、大撓み時に捩り作用を受けても、捩り剛性(抵抗)があり、手元が安定して釣竿の操作性が向上する。以上の実施形態例の竿杆10は中空竿杆であったが、中実竿杆でもよい。
【0018】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明によれば、必要領域のみの捩り剛性を向上させて、軽量化を図りつつ釣竿の操作性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【代理人】 【識別番号】100101421
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 俊郎
【公開番号】 特開2002−345365(P2002−345365A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−160607(P2001−160607)