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【発明の名称】 ペット用基布およびペット用構造物
【発明者】 【氏名】木村 達雄

【氏名】堀口 泰義

【要約】 【課題】家庭内等のペット飼育において、飼育通路、飼育小屋等の抗菌、防ダニ性の環境を創出できる基布、該基布を用いた構造物を実現すること。

【解決手段】抗菌成分(ピレスロイド系化合物)を付与した繊維質素材からなることを特徴とするペット用基布と該基布を用いた構造物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】抗菌成分を付与した繊維質素材からなることを特徴とするペット用基布。
【請求項2】抗菌成分が、ピレスロイド系化合物であることを特徴とする請求1項記載のペット用基布。
【請求項3】抗菌成分が、構成する維繊質素材に対して0.01〜1重量%付与されてなることを特徴とする請求1または2項記載のペット用基布。
【請求項4】繊維質素材に対して、1〜20重量の高分子樹脂バインダーが付与されてなることを特徴とする請求3項記載のペット用基布。
【請求項5】請求項1、2、3または4項記載のペット用基布が用いられて構成されてなることを特徴とするペット用構造物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家庭内等でのペット飼育において、抗菌・防ダニ性基布、抗菌・防ダニ性構造物として好適に使用され得るペット用基布およびペット用構造物に関するものであり、例えば、ペットの居住空間でシートとして敷いたり、壁面に貼ったりあるいはネット状やロープ状の形にしたり、更に穴をあけたり、折り紙の形でアクセサリー的に用いたり、あるいはパイル、バッキングを施して飼育通路、飼育小屋・オリに敷いたり壁面に貼る等することにより、抗菌、防ダニ性の環境を創出することができるペット用基布およびペット用構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の生活様式の清潔志向に伴い、家庭内のあらゆるもの、例えばカーテンなどのインテリア、文房具、車のハンドルなど従来の枠を越えたものにまで抗菌性の要求が広がってきている。
【0003】一方、社会生活では日常的にストレスが増える機会が多く、その反動として精神的癒しの欲求がペットを飼育することにつながるなど、家庭内での飼育も増加傾向にある。
【0004】しかし、家庭内でのペット飼育は不衛生的な要素が増えることになり、前述の清潔志向とは相反するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、家庭内のペット飼育の不潔的な要素と清潔志向との相矛盾する要求について、特にペットの飼育空間、環境に抗菌、防ダニ性を創出することのできる基布や構造物を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、次により達成されるものである。
【0007】すなわち、本発明のペット用基布は、抗菌成分を付与した繊維質素材からなることを特徴とするものであり、また本発明のペット用構造物はかかる基布で構成されるものである。
【0008】なお、本発明において、ペット用基布とは、ペット用飼育小屋・オリに直接敷いたり、壁面に貼るなど、シート状物として利用することのできる基布形態のものを言うものであり、また、ペット用構造物とは、例えばロープにして編んだり、折り紙の形状にして吊したり、パイルを植えてバッキングを施してカーペット類として敷いたりなどのペット用に該基布を成形あるいは加工等した構造物のことを言うものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明にかかるペット用基布は、抗菌成分を付与した繊維質素材からなるものである。
【0010】かかる本発明において、抗菌・防ダニ成分としてはピレスロイド系化合物を用いることが好ましく、フェノトリン、アレクトリン、フラルトリン、バルトリン、ジメトリン等が安全性や効果の点からより好ましく使用できる。
【0011】この場合、該ピレスロイド系化合物の付与量は基布を構成する繊維成分に対して0.01〜1.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.5重量%である。
【0012】微量の付与でも充分な効果は得られるために、多くしても効果の割りには過剰となりコスト面からも好ましくない。
【0013】この化合物の付与方法としては、化合物を含む溶液、分散液、乳化液に浸漬した後にニップロール絞液方式、スプレーで噴霧方式などで付与した後乾燥することが実用的である。
【0014】次に、本発明における基布の繊維成分としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系などが一般的に使用される。
【0015】なお、本発明の基布を構成する繊維質素材は織物、編み物、不織布などが一般的に使 用されるが、コスト面からはもちろん、後述のように加工の際には不織布が好ましく、強度面からは長繊維不織布がより好ましいが、特に限定されるものでない。
【0016】次に、本発明において該基布を構成する繊維の繊度は、長繊維不織布の場合にあっては、2〜15dtexが好ましく使用される。
【0017】かかる長繊維不織布にあっては、熱圧着したり、長繊維同士をニードルパンチして絡合させたりして得られるものが好ましく使用される。
【0018】該基布をそのまま下敷きにしたり、壁に貼り付けるシート状態で使用する場合、あるいはネット状・ロープ状等の形態、穴あけ加工、折り紙のような加工でペット用のアクセサリー商品に使用する場合には目付ムラなどが少なく、より均一なためにもは繊度が小さい方が好ましく用いられる。
【0019】また、簡単なパイル状のものを施してより豪華な形で飼育通路、飼育小屋・オリに敷いたり、壁面に貼る場合には通常のタフテッド加工品と同様に繊度が小さいとタフト加工での針の損傷が大きくなるので3〜9dtexが好ましいが、用途に応じ適宜使用すれば良い。
【0020】長繊維不織布の場合にあっては硬さの要求される折り紙のような加工のアクセサリー商品には熱圧着タイプが、成形性の要求される凹凸のあるオリに敷いたり、壁面に貼る場合には厚みや融通性のあるニードルパンチタイプの基布が好ましいが、特にこれに限定されない。
【0021】かかる長繊維不織布は多数のかる口金から吐出押し出されたフィラメント群をエジェクターで高速牽引、延伸しネット上に捕集して所定のシートを得た後、上述の通り、後加工での要求特性に応じてエンボスロールで熱圧着させたり、ニードルパンチして絡合させた後に高分子樹脂バインダーを付与せしめて得られる。
【0022】更に本発明において繊維質素材に高分子樹脂バインダーを付与する方法が好ましい。
【0023】すなわち、ピレスロイド系化合物が樹脂の存在により、物理的に脱離し難くなり抗菌防ダニ機能の耐久持続性が増すからであり、また基布強度面から高分子樹脂バインダーを付与することが経済的にもメリットがあり好ましいのである。
【0024】かかるバインダーの付与量は不織布を構成する繊維に対して、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜15重量%である。
【0025】高分子樹脂樹脂バインダーの付与量としては、該樹脂バインダーを多くすると、繊維質が硬くなるなどの傾向にあり 実用上問題を生じる場合があるので、注意が必要である。
【0026】該高分子樹脂バインダーの種類としては、特に限定はされず、アクリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン樹脂なども容易に使われコスト面、加工面での付与方式など適宜選べばよい。
【0027】かかるバインダーの付与量は、不織布等の基布を構成する繊維に対して好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜15重量%である。
【0028】本発明にかかるペット用構造物は、上述の本発明にかかるペット用基布をそのままのシート状態で貼り付けて使用したり、また細くスリットしてネット状やロープ状等の形態あるいは穴あけ加工、折り紙のような加工でペット用のアクセサリー商品に、あるいはパイル、バッキングを施して飼育通路、飼育小屋・オリに敷いたり、あるいは内壁面や天井面などに貼る等により抗菌、防ダニ性の環境を創出することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】なお、本発明では性能を次の方法で評価した。
1.防ダニ性:高さ4mm、直径4cmのシャーレに、その内径に合わせて切り取った評価基布サンプルを敷き、試験検体の中央に0.05gの粉飼料を置く。
【0031】これを9cmのシャーレの中央に置き、内側と外側のシャーレの間に生ダニ約一万匹に相当するダニ培地を均一になるように投入した。
【0032】これに飽和食塩水で調湿した密閉容器に入れ、遮光した25℃インキュベーター内で静置し、24時間後に内側のシャーレに移動してきたダニを取り出し、数をカウントして、その数より忌避率を次式で求めた。
【0033】
忌避率(%)=((A−B)/A)×100A;薬剤を添加していない未加工基布、あるいは、その基布からなる製品のダニ数(本発明での比較例に相当)
B;評価サンプルのダニ数2.抗菌性の評価法(統一試験法):滅菌した基布サンプルに試験菌(黄色ぶどう球菌)の懸濁液を注加し、密閉容器中で37℃、18時間培養し、生菌数を計数し本発明で使用の薬剤を添加していない基布に対する静菌活性値を次式より求めた。
【0034】なお、この評価は繊維製品新機能評価協議会定められた基準(SEK基準)に準拠した方法である。
静菌活性値=log(B−C)
B;薬剤を添加していない未加工基布、あるいは、その基布からなる製品の培養後菌数C;評価サンプルの培養後菌数実施例1高融点成分として融点260℃のポリエチレンテレフタレートと低融点成分として融点230℃のイソフタール酸共重合ポリエステルを70:30の割合で多数の口金から吐出押し出されたフィラメント群を単糸9dtexとなるようにエジェクターで高速牽引、延伸しネット上に捕集して、更に225℃熱エンボスロールで熱圧着させて、目付74g/m2 のシートを得た。
【0035】得られたシートに高分子樹脂バインダーとしてアクリル樹脂7重量%、シリコーン組成物を1重量%、ピレスロイド化合物を0.04重量%の付与量となるように配合、調整し水に乳化させたエマルジョンとして該樹脂液に浸漬した後にニップロールで絞液し、乾燥処理を経て目付約80g/m2 の基布を得た。
【0036】この基布に1000d、2杢のポリプロピレン製の原着パイル糸を1/8ゲージ、ステッチ8個/インチ、パイル高さ3mmのループ状でタフト加工した。
【0037】得られたタフト上がり生機の裏面をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂でバッキングを施し、マット製品を得た。
【0038】基布および得られたマット製品について、ピレスロイド化合物無添加のもの(比較例1)と性能を比較評価したところ、基布だけでなく驚くべきことにマット製品についても抗菌性、防ダニ性とも良好な結果を維持していることを示すものであった。
実施例2実施例1にピレスロイド化合物付与が0.08重量%になるように調整して基布を得た。
【0039】基布について、ピレスロイド化合物無添加のもの(比較例1)との性能比較をしたところ、抗菌性、防ダニ性ともに良好な結果を示すものであった。
施例3融点260℃のポリエチレンテレフタレートの単一成分のみでフィラメントを多数の口金から吐出押し出させエジェクターでを単糸5dtexとなるようにエジェクターで 高速牽引、延伸しネット上に捕集して、更に22高速牽引、延伸しネット上に捕集して、目付80g/m2 のシートを得て、さらに針密度55本/m2 のニードルパンチで繊維同士を絡合させたシートを得た。
【0040】得られたシートに高分子樹脂バインダーとしてアクリル樹脂10重量%、シリコーン組成物を1重量%、ピレスロイド化合物を0.05重量%の付与量となるように配合、調整し水に乳化させたエマルジョンとして該樹脂液に浸漬した後にニップロールで絞液し、乾燥処理を経て目付約88g/m2 の基布を得た。
【0041】この基布の性能はピレスロイド化合物を添加しないものと比較し、抗菌性、防ダニ性とも良好な結果を示すものであった。
比較例1ピレスロイド化合物を添加しないこと以外は実施例1と同じものを得た。
比較例2ピレスロイド化合物を添加しないこと以外は実施例3と同じものを得た。
【0042】以上の実施例1〜3、比較例1〜2について、抗菌性と防ダニ性について評価した結果を表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
【発明の効果】本発明によれば、抗菌・防ダニ成分を付与した繊維質素材からなる基布を単独あるいは、かかる基布で構成される構造物で飼育通路、飼育小屋等の抗菌、防ダニ性に優れた環境を創出できるものである。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成13年5月28日(2001.5.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−345356(P2002−345356A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−158323(P2001−158323)