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【発明の名称】 釣用両軸受リール
【発明者】 【氏名】斉藤 年行

【要約】 【課題】大きなスプールにブレーキ力を加えてもブレーキ力の変動が少なく、スプールの回転が円滑にできる釣用両軸受リールを提供する。

【解決手段】スプール11の中空部11aに第1軸13を取り付け、この第1軸の中空部に第2軸17を取り付ける。第1軸に、スプールの両側面と接離可能な2枚のブレーキ板14,15を、回動可能にかつスラスト方向の移動自在に設ける。ブレーキ板の少なくとも一方は、歯車列を介してリールのハンドルに接続される。各ブレーキ板14,15とスプールとの間には、弾性体16を嵌装する。第2軸17の一方側にはストッパ手段18を設け、他方側には、ブレーキ板15をスプールに所望の押圧力で押圧可能な押圧手段21,22を設ける。スプール11は、両側のブレーキ板14,15で挟まれてブレーキ力を出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブレーキ板をスプールの側面に圧接することによってブレーキ力が発生するドラグブレーキ機構を備えた釣用両軸受リールであって、上記スプール(11)に回動自在に挿通された中空の第1軸(13)と、該第1軸の中空部(11a)に第1軸と同心でかつ第1軸に対して回転自在に挿通された第2軸(17)と、上記スプールの両側面のそれぞれと接離可能な位置に設けられ上記第1軸に対して回転自在でかつスラスト方向の移動が自在な2枚のブレーキ板(14,15)と、該ブレーキ板の少なくとも一方を回転駆動する駆動手段と、各ブレーキ板(14,15)を対向するスプールの側面から離反する方向に付勢する弾性体(16)と、上記第2軸(17)の一方側に設けられ上記ブレーキ板の一方(14)を対向するスプールの側面に押圧可能なストッパ手段(18)と、上記第2軸(17)の他方側に設けられ、上記ブレーキ板の他方(15)を対向するスプールの側面に所望の押圧力で押圧可能な押圧手段(21,22)と、を備えたことを特徴とする釣用両軸受リール。
【請求項2】 上記スプール(11)の上記ブレーキ板(14,15)と接触する側面に、自動車用の摩擦材からなる摩擦板(11b)を設けたことを特徴とする請求項1記載の釣用両軸受リール。
【請求項3】 上記ストッパ手段(18)が、スラストベアリング(18a)を有することを特徴とする請求項1又は2記載の釣用両軸受リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ドラグブレーキ機構を備えた釣用両軸受リールに関し、特に、大型化に適したものに関する。
【0002】
【従来の技術】ブレーキ板とスプールの側面との摩擦接触によってブレーキ力が発生するドラグブレーキ機構は、殆どの釣用リールに採用されている。通常、スプールの側面には、摩耗を防止するための摩擦板が設けられている。
【0003】図3は従来の釣用両軸受リールBの構造を示す図である。同図において、釣り糸を巻き取るスプール1は、ボールベアリングによりシャフト2に軸支され、シャフト2は、その両端をフレーム3に固定されている。シャフト2の図の左端とスプール1との間には、スプール1の軸方向の移動を抑制する皿バネ4があり、シャフト2の他方には、ブレーキ板5をスプール1から常時離反させるように付勢する圧縮ばね6が取り付けられている。スプール1のブレーキ板5と対向する側面には摩擦板1aが貼付されている。
【0004】シャフト2の図の右端側にはドラグレバー7が固定されており、このドラグレバー7のシャフト2の取付部にはカム8が設けられている。ドラグレバー7がシャフト2を中心に回動すると、その回動角度に応じてカム8がブレーキ板5をシャフト2の長手方向に移動させてスプール1の側面に押しつけ、押しつける力に応じてスプール1の回転にブレーキ力が加わることになる。
【0005】ブレーキ板5は金属製の板であり、スプール1との摩擦力を確保するために、スプール1側の摩擦板1aにはコルク製の板が用いられている。両軸受リールBには、ハンドル9があり、この回転は歯車列10を経由してブレーキ板5に伝達される。したがって、ハンドル9の回転力は、ブレーキ力に応じてスプール1に伝達されることになる。
【0006】リールのドラグブレーキ機構は、魚を確実、且つ迅速に釣上げるときに極めて重要な機構であり、ドラグブレーキ機構の性能はそのまま釣用リールの性能と言っても過言ではない。そのため、魚の引き力が設定したブレーキ力を超すと、直ちにブレーキ板5と摩擦板1aとをスリップさせて、その滑りを極めてスムースに持続させて釣糸を確実に引き出し、魚の引き力が設定値以下になれば摩擦による係合力を確実に発揮して、釣糸の引き出しを確実に止め、巻き上げることができるようなドラグブレーキ機構を、リールメーカは、さまざまな工夫を凝らして開発している。
【0007】これらのドラグブレーキ機構の従来の構成としては、釣用リールの種類に拘わらず基本的な構成としてはすべて同様のものであり、図3で説明したように1枚のブレーキ板をスプールの側面に押しつけて、その接触による摩擦力でブレーキ力を発生している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、スプール1の片側からブレーキ板5を押しつける場合、スプール1を押圧する力が均等であれば問題はないが、スプール1とボールベアリングとの間のガタや、ボールベアリングとシャフト2との間のガタの影響や、ブレーキ板5の平面度の誤差などから、スプール1の摩擦板1aの全面に均一な力が加わることはなく、必ず、不均衡となる。そのため、スプール1がこじれたり、ブレーキ力に変動が生じてスプール1の回転が円滑にできなくなるという弊害が生じる。特に、リールが大型になると、その影響が大きい。
【0009】本発明は、このような事実から考えられたもので、大きなスプールにブレーキ力を加えてもブレーキ力の変動が少なく、スプールの回転が円滑にできる両軸受リールを提供することを特徴としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、ブレーキ板をスプールの側面に圧接することによってブレーキ力が発生するドラグブレーキ機構を備えた釣用両軸受リールであって、上記スプールに回動自在に挿通された中空の第1軸と、該第1軸の中空部に第1軸と同心でかつ第1軸に対して回転自在に挿通された第2軸と、上記スプールの両側面のそれぞれと接離可能な位置に設けられ上記第1軸に対して回転自在でかつスラスト方向の移動が自在な2枚のブレーキ板と、該ブレーキ板の少なくとも一方を回転駆動する駆動手段と、各ブレーキ板を対向するスプールの側面から離反する方向に付勢する弾性体と、上記第2軸の一方側に設けられ上記ブレーキ板の一方を対向するスプールの側面に押圧可能なストッパ手段と、上記第2軸の他方側に設けられ、上記ブレーキ板の他方を対向するスプールの側面に所望の押圧力で押圧可能な押圧手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】上記スプールの上記ブレーキ板と接触する側面に、自動車用の摩擦材からなる摩擦板を設けた構成としたり、上記ストッパ手段が、スラストベアリングを有する構成とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図面によって説明する。図1は、本発明の両軸受リールAの要部断面図である。同図に示すスプール11は、中心軸の両側に円形の側板を設けた形状である。中心軸の中空部11aには両端に拡大部があり、この拡大部にボールベアリング12,12を嵌装し、これらに中空の第1軸13が回動自在に支持されている。スプール11の側板の外側には、摩擦板11b,11bが張り付けられている。
【0013】第1軸13の両端近くには、金属製(アルミ又はアルミ合金製)のブレーキ板14,15が回動自在に、かつ、軸方向の移動が自在な状態に取り付けられている。そして、ブレーキ板14,15とスプール11との間には、ブレーキ板14,15をスプール11から離反する方向に付勢する弾性体16,16が嵌装されている。弾性体16としては、小型で、かつ、小さい変位量で大きな力を得ることができることから、皿バネを用いている。
【0014】第1軸13の中空部には、第2軸17が回動自在に挿通されている。この第2軸17は、第1軸13より長く、第1軸13の両側に突出して、両端又はその近傍を従来例と同様なフレーム(図示せず)に支持されている。第2軸17の図の左端には、スラストベアリング18aが挿入され、その右側面は、ブレーキ板14に当接し、左側面は、第2軸17にねじ止めされた抜止部材18bに当接している。この抜止部材18bとスラストベアリング18aとでストッパ手段18を構成する。この構成によって、第2軸17を図1の右方に移動したとき、ストッパ手段18が弾性体16の付勢力に打ち勝ってブレーキ板14を図1の右方に移動し、スプール11の左側面の摩擦板11bに圧接できることになる。ブレーキ板14は、図示しない駆動手段としての電動モータによって回転駆動される歯車19が一体的に結合されている。
【0015】ところで、従来の摩擦板1a,1aは、その摩擦係数の大きさからコルク材が使用されていたが、本発明の両軸受リールAは、摩擦板11b,11bに、自動車に使用されるブレーキライニングやクラッチ板と同じ摩擦材を用いている。すなわち、摩擦板11b,11bは、プラスチック、金属、有機あるいは無機の繊維などを用いた高温に耐える摩擦材からなる。このような摩擦材としては、たとえば、中央ブレーキ製作所(埼玉県越谷市相模町)の商品名「ウーブンクラッチACF」や、「ウーブンクラッチMB」等を例示することができる。
【0016】このように素材を変えた理由は、以下の通りである。リールには、たとえば、ボールベアリングやスラストベアリングのグリースなどの潤滑油が使用されている。魚釣りにおいて、ブレーキ板14,15が摩擦板11b,11bに圧接してブレーキを効かせた状態が続くと、摩擦熱で温度が上昇する。この温度上昇が周囲に波及し、グリースが溶けて周囲に飛散してブレーキ板14,15や摩擦板11b,11bに付着する。摩擦板11b,11bがコルクの場合、付着したグリースが潤滑油となって、摩擦係数が極端に低下し、ブレーキが殆ど効かない状態になってしまう。それに対し、上記の自動車用のブレーキライニングやクラッチ板であれば、グリース等の潤滑油の付着で摩擦係数は低下するものの、ブレーキ力を確保するには差し支えない程度の低下で済むからである。
【0017】第1軸13の図1の右端には、ラチェットギヤ20が取り付けられている。ラチェットギヤ20は、ブレーキ板15と一体的に結合されているとともに、駆動手段としてのリールのハンドル(図示せず)を回すと、歯車列(図示せず)を経て回転するようになっている。このラチェットギヤ20は、スプール11の逆転を防止するもので、図示していないが、逆転止め用の爪が取り付けられている。
【0018】図2は、ラチェットギヤ20と第1軸13の嵌合部を示す図である。第1軸13の右端部13aは、正方形になっており、ラチェットギヤ20の中心孔20aは、この右端部13aが軽く、しかしガタツキなく挿入できる大きさの正方形の孔になっている。したがって、ラチェットギヤ20は、第1軸13と共に回転するが、第1軸13のスラスト方向の移動は可能な状態である。
【0019】第2軸17には、ドラグレバー21の一端が固定されている。ドラグレバー21にはカム22が一体に設けられていて、ドラグレバー21を第2軸17の周りに回転すると、カム22がドラグレバー21とラチェットギヤ20との間の距離が変化する。上記のドラグレバー21とカム22とで、押圧手段を構成している。
【0020】以上で構成の説明を終え、次に、作用の説明をする。まず、操作者は、ドラグレバー21の先端を掴み、第2軸17を中心にドラグレバー21を回転させる。この回転によりカム22がドラグレバー21とラチェットギヤ20との間の距離を拡げ、ラチェットギヤ20は図1の左方向に押圧される。すると、その反力で第2軸17全体が図1の右方向に移動するので、ストッパ手段18によりブレーキ板14がスプール11の左側の摩擦板11bに圧接する。同時に、ラチェットギヤ20が左方向に移動して、ラチェットギヤ20と一体になっているブレーキ板15がスプール11の右側の摩擦板11bに圧接する。要するに、スプール11は両側から同じ力でブレーキ板14,15で圧接され、ブレーキ板14,15と摩擦板11b,11bとの間の摩擦力でハンドルまたは電動モータからの回転が伝達されることになる。このとき、ドラグレバー21の位置を調整することで所望のブレーキ力を設定することができる。
【0021】本発明は、スプール11を、両側からブレーキ板14,15で圧接して摩擦力を得るので、大きなドラッグ力を設定してもスプール11は傾いたり、こじれたりすることがなく、安定した摩擦力でスプール11を回転することができる。特に、スラストベアリング18aがあるので、ブレーキ板14,15がスプール11の摩擦板11bに強い力で圧接しても、第1軸13と第2軸17とは軽く相対回転できるようになっている。
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、ブレーキ板をスプールの側面に圧接することによってブレーキ力が発生するドラグブレーキ機構を備えた釣用両軸受リールであって、上記スプールに回動自在に挿通された中空の第1軸と、該第1軸の中空部に第1軸と同心でかつ第1軸に対して回転自在に挿通された第2軸と、上記スプールの両側面のそれぞれと接離可能な位置に設けられ上記第1軸に対して回転自在でかつスラスト方向の移動が自在な2枚のブレーキ板と、該ブレーキ板の少なくとも一方を回転駆動する駆動手段と、各ブレーキ板を対向するスプールの側面から離反する方向に付勢する弾性体と、上記第2軸の一方側に設けられ上記ブレーキ板の一方を対向するスプールの側面に押圧可能なストッパ手段と、上記第2軸の他方側に設けられ、上記ブレーキ板の他方を対向するスプールの側面に所望の押圧力で押圧可能な押圧手段と、を備えた構成なので、スプールの両側から大きな力でブレーキ板を押しつけてブレーキ力を与えることが可能となり、ブレーキ力によりスプールがこじれたり、傾くことがなくなって、回転をスムーズにすることができる。
【0023】上記スプールの上記ブレーキ板と接触する側面に、自動車用の摩擦材からなる摩擦板を設けた構成とすれば、ブレーキ板と摩擦板との素材を適当に組み合わせることで、最適な摩擦係数を選択することができる。
【0024】上記ストッパ手段が、スラストベアリングを有する構成とすれば、スプールに大きな摩擦力(ブレーキ力)を加えても、第1軸と第2軸との相対回転は阻害されることなく軽く回転させることができる。
【出願人】 【識別番号】301026055
【氏名又は名称】有限会社サイトウ精機
【出願日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【代理人】 【識別番号】100099863
【弁理士】
【氏名又は名称】中倉 和彦
【公開番号】 特開2002−325530(P2002−325530A)
【公開日】 平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願番号】 特願2001−132102(P2001−132102)