| 【発明の名称】 |
魚介類養殖装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】井戸 勝富
【氏名】新藤 秀逸
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| 【要約】 |
【課題】養殖水槽内における魚介類の生育環境を良好に維持することができる魚介類養殖装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2飼育水槽19a,20aの各長側壁17側にはそれぞれエアレーション装置13が設置され、第1飼育水槽19aの一端側及び第2飼育水槽20aの他端側の連通水槽23にはそれぞれエアレーション装置13が設置されている。そして、各連通水槽23に設置されたエアレーション装置13により第1水槽19と第2水槽20との間を一方向へ循環する循環流が形成され、各長側壁17側に設置されたエアレーション装置13により循環流の流動方向と略直行する方向へ流動する旋回流が形成される。そして、循環流と旋回流により養殖海水全体が攪拌される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 魚介類及び養殖水が収容される養殖水槽と、中空状をなし略垂直向きに養殖水槽内に配置される中空管と、当該中空管内下端側に配置され、空気を吹出す気泡ポンプとよりなり、気泡ポンプから吹出された気泡により養殖水を曝気処理するとともに、前記気泡が中空管内の養殖水と混入されることにより当該養殖水を中空管内で上昇させて上部の吐出口から吐出させるエアレーション装置と、養殖水槽内で生じた養殖水中に含まれる魚介類の糞尿等を分解する生物分解層と、前記養殖水槽内で養殖水が一方向へ循環流動する循環流を形成する循環流形成手段とを備え、前記循環流形成手段により形成された循環流の流動方向に対して交差する方向へ流動する旋回流を形成する位置に前記エアレーション装置を設置して、前記循環流及び旋回流により養殖水槽内の養殖水全体を攪拌することを特徴とする魚介類養殖装置。 【請求項2】 前記循環流形成手段をエアレーション装置により形成することを特徴とする請求項1に記載の魚介類養殖装置。 【請求項3】 前記養殖水槽を、前記魚介類を養殖する飼育水槽と、同飼育水槽の少なくとも一側に設けられ、養殖水のろ過を行うろ過水槽とにより構成し、飼育水槽及びろ過水槽に前記生物分解層を設置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の魚介類養殖装置。 【請求項4】 前記曝気処理は高圧静電場処理を施した電子エアーにより行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の魚介類養殖装置。 【請求項5】 前記養殖水は高圧静電場処理を施した電子水を使用して調製することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の魚介類養殖装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、魚介類の陸上養殖を可能とする魚介類養殖装置に係り、詳しくは養殖水槽内での養殖水全体の攪拌を可能とする水の流れを形成する魚介類養殖装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】魚介類の養殖として、例えばヒラメ、鮑、トラフグ、オコゼ、クルマエビ等の養殖が挙げられる。近年、これら魚介類の養殖は、陸上に建設された養殖水槽で行われるようになってきている。前記養殖水槽には魚介類の生育環境を作るため、空気を水中に溶け込ませるためのエアレーション装置や、養殖水槽内の水を浄化するろ過装置等が設けられている。 【0003】上記養殖水槽としては、例えば特開平11−18620号公報に開示されるものが知られている。この養殖水槽に設けられたエアレーション装置は養殖水槽内に一端を水面上に突出して略垂直向きに配設される中空管と、その中空管内に配設される気泡ポンプとより構成されている。中空管の上部には、同中空管の軸線に対して略垂直をなす分岐管が突設され、その分岐管の先端には吐出口が形成されている。また、養殖水槽の底部にはろ材を備えたろ過装置が設けられている。 【0004】そして、エアレーション装置における気泡ポンプから空気が水中に吹き出されると、空気が水中の気泡となって供給されて平均比重の小さい気液二相流体を作り、外部の水との比重差により揚水される状態となる。その揚水により水槽内の水は中空管内を上昇して吐出口から吐出される。それと同時に、ろ過装置を通過してろ材により浄化された水は中空管内へと吸い込まれ、浄化された水が揚水により水槽内へ吐出される。この水の揚水作用の繰り返しにより養殖水槽内には一方向への流れが形成される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の養殖水槽においては、エアレーション装置により形成される流れの流動方向と略直行する方向には水の流れが形成されていない。そのため、養殖水槽内において水の流れが形成されない場所では、空気が溶け込んだ水が供給されにくくなるとともに、水が攪拌されにくくなる。従って、溶存酸素濃度が低下してしまうとともに、魚介類の排泄物、残餌等が養殖水槽の底部に堆積して魚介類の生育環境が悪化してしまうという問題があった。 【0006】本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、養殖水槽内における魚介類の生育環境を良好に維持することができる魚介類養殖装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の魚介類養殖装置は、魚介類及び養殖水が収容される養殖水槽と、中空状をなし略垂直向きに養殖水槽内に配置される中空管と、当該中空管内下端側に配置され、空気を吹出す気泡ポンプとよりなり、気泡ポンプから吹出された気泡により養殖水を曝気処理するとともに、前記気泡が中空管内の養殖水と混入されることにより当該養殖水を中空管内で上昇させて上部の吐出口から吐出させるエアレーション装置と、養殖水槽内で生じた養殖水中に含まれる魚介類の糞尿等を分解する生物分解層と、前記養殖水槽内で養殖水が一方向へ循環流動する循環流を形成する循環流形成手段とを備え、前記循環流形成手段により形成された循環流の流動方向に対して交差する方向へ流動する旋回流を形成する位置に前記エアレーション装置を設置して、前記循環流及び旋回流により養殖水槽内の養殖水全体を攪拌することを特徴とするものである。 【0008】請求項2に記載の発明の魚介類養殖装置は、請求項1に記載の発明において、前記循環流形成手段をエアレーション装置により形成することを特徴とするものである。 【0009】請求項3に記載の発明の魚介類養殖装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記養殖水槽を、前記魚介類を養殖する飼育水槽と、同飼育水槽の少なくとも一側に設けられ、養殖水のろ過を行うろ過水槽とにより構成し、飼育水槽及びろ過水槽に前記生物分解層を設置したことを特徴とするものである。 【0010】請求項4に記載の発明の魚介類養殖装置は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記曝気処理は高圧静電場処理を施した電子エアーにより行うことを特徴とするものである。 【0011】請求項5に記載の発明の魚介類養殖装置は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記養殖水は高圧静電場処理を施した電子水を使用して調製することを特徴とするものである。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明を魚介類としてのヒラメの養殖装置(以下、単に養殖装置と称す)に具体化した一実施形態を図1及び図2に従って説明する。なお、図1は養殖装置を模式的に示す概略図である。 【0013】図1に示すように、養殖装置11は養殖水槽12と、旋回流を形成するエアレーション装置13と、生物分解層14と、循環流形成手段としてのエアレーション装置13とから主に構成され、まず、前記養殖水槽12から説明する。養殖水槽12は平面長方形状の底壁15と、同底壁15の相対向する短側縁にそれぞれ立設された短側壁16と、前記底壁15の相対向する長側縁にそれぞれ立設された長側壁17とより略直方体状に形成されている。この養殖水槽12内は、前記長側壁17と平行をなし養殖水槽12内を長さ方向に二分割する第1隔壁18により第1水槽19と第2水槽20とに区画されている。また、養殖水槽12内の両側にはそれぞれ前記短側壁16と平行をなし養殖水槽12の幅方向に延びる第2隔壁21が設けられ、それら第2隔壁21より養殖水槽12の両端部側にはそれぞれ第3隔壁22が設けられている。 【0014】そして、前記第1及び第2水槽19,20において、底壁15と、長側壁17と、一対の第2隔壁21と、第1隔壁18とに囲まれた空間にそれぞれ第1及び第2飼育水槽19a,20aが形成されている。また、底壁15と、長側壁17と、第2隔壁21と、第3隔壁22と、第1隔壁18とに囲まれた空間にそれぞれ連通水槽23が形成されている。さらに、底壁15と、短側壁16と、第1隔壁18と、第3隔壁22と、長側壁17とに囲まれた空間にはそれぞれろ過水槽24が形成されている。即ち、第1及び第2水槽19,20において、第1及び第2飼育水槽19a,20aの両側にはそれぞれ連通水槽23が設けられ、それら連通水槽23の外側にはそれぞれろ過水槽24が設けられている。 【0015】まず、前記第1及び第2飼育水槽19a,20aについて説明すると、各飼育水槽19a,20a内には養殖水としての養殖海水が収容され、その養殖海水内に魚類としてのヒラメが放流されている。第1飼育水槽19aと第2飼育水槽20aとにはそれぞれ生育日数が異なるヒラメが選別して収容されている。図2に示すように、各飼育水槽19a,20aの底部には生物分解層14が設置されている。この生物分解層14は網目状に形成された第1プレート14aと、その第1プレート14a上に設置された第2プレート14bとから二層構造に形成されている。前記第1プレート14aと、底壁15との間には養殖海水が流入可能な空間が形成されるように生物分解層14が底壁15上に設置されている。 【0016】前記第2プレート14bはろ材としての粉炭(備長炭)層、牡蠣殻層、種菌濾過材層、サンゴ(粒)層、サンゴ石層、イズカライト層、硅砂層、セラミックボール層及び麦飯石層が積層されて形成されている。なお、各ろ材の層の積層順序は適宜組み替えてもよく、第2プレート14bを前記ろ材の層のうちの少なくともいずれか一層により構成してもよい。 【0017】また、第2プレート14bは各飼育水槽19a,20aのヒラメから排出された養殖海水中に含まれる糞尿、老廃物等の排泄物の有機物、特にアンモニアを硝酸塩にまで分解する生物分解を行なうために設けられている。具体的には、第2プレート14bにはでんぷん分解細菌、たんぱく分解細菌、アンモニア生成細菌等の従属栄養細菌や亜硝酸生成細菌、硝酸生成細菌等の硝酸化成細菌(硝化細菌)が生息している。 【0018】図1に示すように、第1及び第2飼育水槽19a,20a内において、各長側壁17の内側面にはそれぞれ複数個のエアレーション装置13が各飼育水槽19a,20a内に旋回流を形成するために間隔をおいて設置されている。図2に示すように、それらエアレーション装置13はそれぞれ中空管13aと、その中空管13a内に配設される通気チューブ13bの先端に設けられ、中空管13a内の下端側に配置された気泡ポンプ13cとより構成されている。前記中空管13aは上下両端面が開放され、下端側に養殖海水の流入口13d、上端側に吐出口13eが形成されている。そして、中空管13aは各飼育水槽19a,20a内に吐出口13eが養殖海水面とほぼ面一となるとともに、流入口13dが前記生物分解層14より下方に位置するように略垂直に設置されている。前記通気チューブ13bは電子エアー発生装置(図示せず)に接続されている。 【0019】次いで、前記連通水槽23について説明する。図1に示すように、各連通水槽23はそれぞれ第1及び第2飼育水槽19a,20aとろ過水槽24との間で養殖海水を連通可能とするために設けられている。第1飼育水槽19aの一端側及び第2飼育水槽20aの他端側の各連通水槽23にはそれぞれ前記エアレーション装置13が循環流形成手段として第2隔壁21に沿って複数個間隔をおいて設置されている。また、各第2隔壁21の上部にはそれぞれ連通口25が形成され、各連通口25の下側の内周縁と養殖海水面とが略面一となるように設定されている。 【0020】続いて、前記ろ過水槽24について説明する。各ろ過水槽24の底壁15上には前記生物分解層14が設置されている。また、前記第3隔壁22の下端縁と底壁15上面との間には導入口26が形成されているため、第3隔壁22を挟んで連通水槽23と隣接するろ過水槽24との間は養殖海水が往来可能に形成されている。また、第1隔壁18の両端側にはそれぞれ連通口25が形成され、その第1隔壁18を挟んで隣接するろ過水槽24同士の間で養殖海水が往来可能に形成されている。 【0021】養殖海水は人工海水用塩を電子水に溶解したもので、その電子水は電子水生成装置(図示せず)により調製される。前記人工海水用塩としてはマリン・エッセンス(日本家庭用塩 株式会社製)を使用した。また、蒸発等による養殖海水の減少を補給するため、電子水を供給可能になっている。 【0022】ヒラメに供給される配合飼料は、炭素(C)、リン(P)及び窒素(N)を含有し、また、各魚介類の生育に必要なミネラル類として、カルシウム、鉄及び亜鉛が補給されるようになっている。養殖装置11には遮光ネット(図示せず)が設けられ、その遮光ネットにより第1及び第2飼育水槽19a,20a内の生育環境が海洋と近い環境に設定されている。 【0023】前記電子エアー及び電子水について説明すると、それらは前記電子エアー発生装置及び電子水生成装置に設けられた高電圧静電場発生装置により形成された静電場を空気又は水に印加して静電場処理を行うことにより製造される。即ち、空気又は水に高電圧静電場発生装置により電子を印加して、酸化状態にある前記空気又は水を還元することにより製造される。 【0024】さて、上記養殖装置11を使用したヒラメの養殖方法について説明する。第1水槽19と第2水槽20とにはそれぞれ養殖海水が収容され、ヒラメが収容されている。ヒラメには、前記配合飼料、ミネラル類等が適宜供給されている。そして、電子エアー発生装置により電子エアーを発生させ、各エアレーション装置13により養殖海水の曝気処理を行う。この曝気処理により養殖海水には空気が溶け込み、養殖海水の溶存酸素濃度は高濃度に維持される。また、電子エアーは空気に電子が印加され、酸化ガスが還元、中和されているため、養殖海水における病原菌や細菌等の発生が抑制され、養殖海水が清浄に維持される。 【0025】また、電子エアーの電子により養殖海水が還元、中和され、養殖海水が励起振動し、養殖海水のクラスターが小さくなる。従って、電子水より調製された養殖海水が電子エアーによる曝気処理により、さらにクラスターが小さくなる。すると、ヒラメの細胞内へ養殖海水が効率よく浸透し、ヒラメの細胞における新陳代謝が活発に行われるとともに、体内での酵素の働きが高まる。すると、ヒラメは細胞が緻密になるとともに、生育速度が速まる。 【0026】さて、各飼育水槽19a,20aにおいて、養殖海水が生物分解層14を通過する際に、その養殖海水中に含まれる排泄物、老廃物、残餌等はろ材により除去され、養殖海水は清浄化される。また、第1及び第2飼育水槽19a,20aの各長側壁17側に設置されたエアレーション装置13により、曝気処理が行われると電子エアーが気泡ポンプ13cから吹き出される。 【0027】すると、空気が水中の気泡となって供給されて平均比重の小さい気液二相流体を作り、外部の水との比重差により揚水される状態となる。その揚水により各飼育水槽19a,20a内の養殖海水は中空管13a内を上昇して吐出口13eから吐出される。それと同時に、生物分解層14を通過して浄化された養殖海水が流入口13dから中空管13a内へと吸い込まれる。このエアレーション装置13による揚水作用の繰り返しにより各飼育水槽19a,20a内には各長側壁17側から第1隔壁18方向へ流動する旋回流が発生される。また、長側壁17の長さ方向に沿って複数個のエアレーション装置13が設置されているため、前記旋回流は第1及び第2飼育水槽19a,20aの長さ方向に沿って複数箇所に形成される。 【0028】さて、養殖装置11の長さ方向においては、第1飼育水槽19aの一端側の連通水槽23内に設置されたエアレーション装置13から養殖海水が吐出される。すると、その養殖海水は第1飼育水槽19aの一端側から他端側へ流動する。そして、第1飼育水槽19aの一端側から他端側へ流動した養殖海水はオーバーフローにより第2隔壁21の連通口25から連通水槽23内へ流入される。 【0029】すると、連通水槽23において、養殖海水の水面は一定に保たれるようになるため、流入された養殖海水分だけ、隣接するろ過水槽24へ導入口26から養殖海水が流入される。導入口26からろ過水槽24への流入時に、養殖海水は生物分解層14を通過し、養殖海水中に含まれる排泄物等はろ材に除去される。さらに、ろ過水槽24においても養殖海水の水面は一定に保たれるため、ろ過水槽24内へ流入された養殖海水はオーバーフローにより第1隔壁18の連通口25から隣接するろ過水槽24へ流入される。 【0030】そして、第2水槽20の他端側のろ過水槽24へ養殖海水が流入されると、ろ過水槽24において、養殖海水の水面は一定に保たれるようになるため、流入された養殖海水分だけ、隣接する連通水槽23へ導入口26から流入される。このとき、養殖海水は生物分解層14を通過し、養殖海水中に含まれる排泄物等はろ材に除去される。 【0031】さらに、生物分解層14により浄化された養殖海水は、第2水槽20の他端側の連通水槽23に設置されたエアレーション装置13の流入口13dからの中空管13a内への吸い込みによりエアレーション装置13に吸入される。そして、中空管13a内に吸入された養殖海水は吐出口13eから吐出され、連通口25から第2飼育水槽20a内へ吐出される。第2飼育水槽20aへ吐出された養殖海水は、同第2飼育水槽20aの他端側から一端側へ流動し、上記第1水槽19から第2水槽20への流動と同様に第2水槽20から第1水槽19へ流動する。 【0032】その結果、養殖水槽12には第1水槽19と第2水槽20との間を一方向へ循環する循環流が形成される。そして、各長側壁17側に設置されたエアレーション装置13により形成される旋回流と、循環流の循環方向とは略直行し、第1及び第2飼育水槽19a,20a内は空気が溶け込んだ養殖海水により全体的に攪拌される。 【0033】養殖水槽12内に循環流と旋回流が形成された状態において、ヒラメは配合飼料を栄養源として成長するとともに、糞尿等を養殖海水中に排出する。すると、排泄物、老廃物、残餌等を含んだ養殖海水が、各飼育水槽19a,20aの生物分解層14を通過する間に、前記排泄物等はろ材によりろ過される。そして、ろ材に除去された排泄物等は第2プレート14bの硝化細菌等により分解される。さらに、養殖海水が生物分解層14を通過する間に、ろ材内に含まれるカルシウムやミネラル類が養殖海水内に補われる。なお、蒸発等により、養殖海水はそれぞれ蒸発するため、前記電子水が補給される。 【0034】加えて、前記各飼育水槽19a,20aの生物分解層14における排泄物等の生物分解で発生したアンモニア等の分解物は循環流によりろ過水槽24へ流入される。このろ過水槽24においても、上記と同様に生物分解層14を通過することにより、硝化細菌等によりアンモニア等が分解され、さらにミネラル類の補給が行われる。 【0035】上記実施形態の養殖装置11によれば以下のような特徴を得ることができる。 ・ 連通水槽23に設置されたエアレーション装置13により第1水槽19と第2水槽20との間を一方向へ循環する循環流が形成され、各長側壁17側に設置されたエアレーション装置13により循環流の進行方向と直行する方向へ流動する旋回流が形成される。その結果、循環流と旋回流とにより各飼育水槽19a,20a内の養殖海水が全体的に攪拌され、ヒラメの排泄物、残餌等が生物分解層14上に堆積するといった不具合が防止される。従って、ヒラメの生育環境を良好に維持して、養殖水槽12内における病気等の発生を抑えてヒラメの養殖量の低下等を抑えることができる。 【0036】・ また、排泄物、残餌等の生物分解層14上への堆積が防止されるため、養殖海水の定期的な交換、養殖水槽12内の清掃等の大掛かりな作業を行う回数を減らすことができる。 【0037】・ エアレーション装置13により空気が溶け込んだ養殖海水が各飼育水槽19a,20aの全体に行きわたるため、養殖海水全体の溶存酸素濃度を高く維持することができる。従って、養殖海水が嫌気化、腐敗するのを防止してヒラメの発育が悪くなるといった不具合を防止することができるとともに、硝化細菌等の活性を高く維持して生物分解層14による生物分解作用を効果的に発揮させることができる。 【0038】・ エアレーション装置13により養殖水槽12内に循環流及び旋回流を形成した。そのため、水中ポンプや水中ミキサーを使用して養殖水槽12内に循環流及び旋回流を形成する場合と比較して、循環流及び旋回流を形成するための電力消費量を1/2〜1/5にしてヒラメの養殖コストが嵩むのを防止することができる。 【0039】・ 養殖海水は養殖水槽12内で浄化されながら循環されるため、養殖装置11の外部にヒラメの排泄物、残餌等が混入された排水が排出されず、養殖装置11周辺の環境の変化を防止することができる。 【0040】・ ろ過水槽24と連通水槽23との間に第3隔壁22を設けるとともに、その第3隔壁22の下側の導入口26によりろ過水槽24と連通水槽23との間の養殖海水の往来を可能とした。そのため、エアレーション装置13が設置された連通水槽23へは生物分解層14を通過して排泄物等が除去された養殖海水が流入されるため、エアレーション装置13から各飼育水槽19a,20aへ浄化された養殖海水を流入させることができる。 【0041】・ 飼育日数の異なるヒラメを第1飼育水槽19aと第2飼育水槽20aとに選別して収容した。そのため、生育日数に合わせて配合飼料の供給量、ミネラル類の補給量等を合わせることができ、生育日数が異なるヒラメが同一の飼育水槽19a,20a内に収容されている場合と異なり、ヒラメの養殖を効率よく行うことができる。 【0042】・ 各飼育水槽19a,20a及びろ過水槽24にそれぞれ設置された生物分解層14に生育する硝化細菌等により養殖海水中の排泄物、老廃物、残餌、アンモニア等は分解され、養殖海水の水質が清浄状態に維持される。従って、ヒラメがウィルスや病原菌等に汚染されたり、水質低下によるストレス等の影響を受けたりするのを防止して安定した状態で長期間にわたって養殖することができる。 【0043】・ 各飼育水槽19a,20a内で発生する排泄物、残餌等は各飼育水槽19a,20a内の生物分解層14で主に生物分解され、排泄物等の分解により発生したアンモニア等は循環流にのってろ過水槽24へ流動し、ろ過水槽24の生物分解層14で主に生物分解される。従って、養殖水槽12全体を養殖海水が循環する間に排泄物、分解物等が生物分解されるため、養殖海水全体を清浄に維持することができる。 【0044】・ 空気に電子を印加することにより空気における酸化ガスを還元、中和することができる。従って、還元、中和された電子エアーにより養殖海水の曝気処理を行うため、酸化ガスによる養殖海水の汚染、腐敗を防止して病原菌や細菌等の発生を抑制し、ヒラメの養殖を安定した状態で行うことができ、養殖量の低下を防止することができる。 【0045】・ 電子水を使用して養殖海水を調製したため、養殖海水のクラスターを小さくすることができる。従って、ヒラメの細胞における新陳代謝が活発に行われるとともに、体内での酵素の働きが高まり、ヒラメの生育速度を速めることができる。 【0046】なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。 ・ 実施形態では、第2及び第3隔壁21,22により連通水槽23を構成したが、第2及び第3隔壁21,22を省略するとともに、連通水槽23を省略して各飼育水槽19a,20aと、エアレーション装置13が設置されたろ過水槽24とにより養殖水槽12を構成してもよい。 【0047】・ 実施形態では、第1隔壁18により養殖水槽12を第1及び第2水槽19,20に区画し、ヒラメを生育日数で選別して養殖したが、第1隔壁18を省略して、1つの飼育水槽でヒラメを選別せずに養殖を行ってもよい。また、第1及び第2飼育水槽19a,20aとでヒラメを飼育日数により選別したが、各飼育水槽19a,20aとの間でヒラメを飼育日数で選別せず混合して養殖してもよく、また、ヒラメの体重、雌雄等により選別してもよい。 【0048】・ 実施形態では、電子水を使用して養殖海水を調製したが、電子水を使用せず、水道水を使用して養殖海水を調製してもよく、滅菌処理を施した海水を使用してもよい。 【0049】・ 実施形態では、電子エアーを使用して曝気処理を行ったが、電子エアーを使用せず、一般のエアーポンプを使用してエアレーション装置13により曝気処理を行ってもよい。 【0050】・ 実施形態では、各飼育水槽19a,20aの両側に連通水槽23及びろ過水槽24を設けたが、各飼育水槽19a,20aのいずれか一側のみに連通水槽23及びろ過水槽24を設けてもよい。 【0051】・ 実施形態では、養殖水槽12を平面長方形状に形成したが、平面円形状又は円環状に形成し、養殖水槽12の周方向に沿って循環流を形成可能とすべく養殖水槽12の径方向に沿って循環流形成手段としてのエアレーション装置13を設置する。また、循環流の流動方向に対して略直行する方向へ流動する旋回流を形成可能とすべく養殖水槽12の周壁内面にエアレーション装置13を設置してもよい。 【0052】・ さらに、図3に示すように、平面円形状の養殖水槽12の外部に循環パイプを介して循環水槽27aを設けるとともに、その循環水槽27aに循環流形成手段としての水中ポンプ27及び生物分解層14を設ける。また、養殖水槽12の側壁内周側及び中央部に旋回流を形成するためのエアレーション装置13を設置する。このように構成した場合、循環パイプにより循環水槽27aに供給された養殖海水は生物分解層14により浄化された後、水中ポンプ27により養殖水槽12内へ供給される。その結果、水中ポンプ27により養殖水槽12内には一方向へ循環する循環流が形成され、エアレーション装置13により循環流に対して交差する方向へ延びる旋回流が形成される。 【0053】・ 実施形態では、エアレーション装置13により旋回流を形成したが、水中ポンプ27や養殖水槽12の高低差により旋回流を形成してもよい。 ・ 実施形態では、長側壁17の内面に沿って複数個のエアレーション装置13を設置したが、長側壁17に沿ってエアレーション装置13を移動させてもよい。このように構成した場合、各飼育水槽19a,20aの長さ方向に沿って全体的に旋回流を形成して養殖海水全体を攪拌することができる。 【0054】・ 実施形態では、魚類としてのヒラメの養殖に具体化したが、魚類としてタイ、オコゼ、トラフグ等に、二枚貝として、ホタテ貝、牡蠣、ヒオウギ貝、バカ貝等に、甲殻類としてエビ類、カニ類等に又は軟体動物としてタコ、イカ等の養殖に具体化してもよい。さらに、巻貝として鮑、サザエ、トコブシ、バイ貝、ホラ貝等に変更してもよい。 【0055】・ 実施形態では、養殖海水を使用して海水魚を養殖したが、淡水を使用して鮎、アマゴ、ヤマメ、マス等の淡水魚を養殖してもよい。次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。 【0056】・ 前記飼育水槽とろ過水槽との間に、それら飼育水槽とろ過水槽との間を連通する連通水槽を設けるとともに、その連通水槽に前記旋回流形成手段を設けたことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の魚介類養殖装置。このように構成した場合、ろ過水槽から飼育水槽へ養殖水が流動するとき、ろ過水槽の生物分解層でろ過された養殖水が連通水槽に流入され、旋回流形成手段に供給される。そのため、浄化された養殖水を飼育水槽へ流入させることができる。従って、飼育水槽における魚介類の生育環境を良好にすることができる。 【0057】・ 前記請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の魚介類養殖装置を用い、前記循環流及び旋回流が形成された養殖水中で魚介類を養殖することを特徴とする魚介類養殖方法。このように構成した場合、養殖水槽内における魚介類の生育環境を良好に維持して、健康な魚介類を養殖することができる。 【0058】 【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明の魚介類養殖装置によれば、養殖水槽内における魚介類の生育環境を良好に維持することができる。 【0059】請求項2に記載の発明の魚介類養殖装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、水中ポンプや水中ミキサーを使用して養殖水槽内に循環流を形成する場合と比較して、循環流を形成するための電力消費量を低減して魚介類の養殖コストが嵩むのを防止することができる。 【0060】請求項3に記載の発明の魚介類養殖装置によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、養殖水槽全体で養殖水中の排泄物、分解物等が生物分解されるため、養殖水全体を清浄に維持することができる。 【0061】請求項4に記載の発明の魚介類養殖装置によれば、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、養殖水の溶存酸素濃度を高濃度に維持することができるとともに、曝気処理を行う空気中の酸化ガスを還元、中和して、酸化ガスによる養殖水の汚染、腐敗を防止することにより病原菌や細菌等の発生を抑制し、魚介類の養殖を安定した状態で行うことができ、養殖量の低下を防止することができる。 【0062】請求項5に記載の発明の魚介類養殖装置によれば、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、養殖水のクラスターを小さくすることができる。従って、魚介類の細胞における新陳代謝が活発に行われるとともに、体内での酵素の働きが高まり、魚介類の生育速度を速めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593150553 【氏名又は名称】株式会社電子物性総合研究所 【識別番号】301028897 【氏名又は名称】白山水産株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−320427(P2002−320427A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月5日(2002.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2001−131124(P2001−131124) |
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