| 【発明の名称】 |
スピニングリールのロータ制動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】落合 浩士
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| 【要約】 |
【課題】移動方向と押圧方向とが異なるスピニングリールのロータ制動機構において、押圧方向のガタによる制動力の変動を抑える。
【解決手段】スピニングリールのロータ制動機構54は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるときにロータ3を制動する機構であって、トグルばね機構50と、移動部材51と、制動部材65と、押圧ばね68とを備えている。トグルばね機構50は、ベールアームを漁師製に振り分けて付勢する。移動部材は、ベールアームに連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在にロータに設けられ、第2位置にあるとき、リール本体の前部に向けて後端部が突出する。制動部材は、リール本体の前部に設けられ、第2位置に移動した移動部材の後端部により移動方向と交差する方向に押圧される制動面65aを有している。押圧ばねは、移動部材を制動面に向けて付勢する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータを、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動するベールアームの揺動に応じて制動するスピニングリールのロータ制動装置であって、前記ベールアームに連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と前記糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在に前記ロータに設けられ、前記第2位置にあるとき、前記リール本体の前部に向けて一部が突出する移動部材を有する移動機構と、前記リール本体の前部に設けられ、前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した一部により移動方向と交差する方向に押圧される制動面を有する制動部材と、前記移動部材を前記制動面に向けて付勢する付勢部材と、を備えたスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項2】前記移動部材は、先端が前記ベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲し、後端が前記ロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その間が前記ロータの回転軸芯に沿って配置された棒状部材であり、前記先端が前記ベールアームに回動自在に係止され、後端が前記ロータに前後移動自在に係止されており、前記制動部材は環状部材であり、前記制動面は、少なくとも外周の一部に平坦な円周面で構成されており、前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した後端により内周側に押圧され、前記付勢部材は、前記移動部材の屈曲部の間を押圧方向に沿って付勢する、請求項1に記載のスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項3】前記ロータに固定され、前記移動部材の前記後端側の屈曲部の前後部分を案内する案内部材をさらに備え、前記付勢部材は前記案内部材に装着されている、請求項2に記載のスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項4】前記移動部材の前記後端の端面は丸みを帯びている、請求項2又は3に記載のスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項5】前記移動機構は、前記ベールアームに一端が回動自在に係止され、前記糸巻取姿勢と前記糸開放姿勢とに前記ベールアームを振り分けて付勢するトグルばね機構を有する、請求項2から4のいずれかに記載のスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項6】前記リール本体の前部に設けられ、前記ロータが糸巻取方向に回転したとき、前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した後端に接触して前記移動部材を前記第1位置に向けて移動させる切換部をさらに備える、請求項5に記載のスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項7】前記切換部は、前記ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側より前記リール本体の前面から前記ロータ側に突出した傾斜面を有する、請求項6に記載のスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項8】前記移動機構は、前記ベールアームの揺動中心に近接した位置に先端が回動自在に装着され、途中が前記ロータに揺動自在に係止されたトグルばね機構をさらに備え、前記移動部材は、前記トグルばね機構の後端に係止されかつ前記ロータの回転軸に平行な軸回りに前記第1位置と前記第2位置とに揺動自在に前記ロータの後面に装着されており、前記制動部材は環状部材であり、前記制動面は、少なくとも前面の一部に平坦な環状面で構成されており、前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した先端側面により後方に押圧され、前記付勢部材は、前記移動部材を押圧方向に沿って付勢する、請求項1に記載のスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項9】前記リール本体の前部に設けられ、前記ロータが糸巻取方向に回転したとき、前記第2位置に移動した前記移動部材の突出した後端に接触して前記移動部材を前記第1位置に向けて移動させる切換部をさらに備える、請求項8に記載のスピニングリールのロータ制動装置。 【請求項10】前記切換部は、前記ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側より径方向外方に突出した傾斜面を有する、請求項9に記載のスピニングリールのロータ制動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ロータ制動装置、特に、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータを、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動するベールアームの揺動に応じて制動するスピニングリールのロータ制動装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般にスピニングリールのロータには、釣り糸をスプールに案内するためのベールアームが設けられている。ベールアームは、釣り糸を巻き取る際に釣り糸をスプール外周に導く糸巻取姿勢と、スプールから釣り糸を繰り出す際に邪魔にならないように糸巻取姿勢から倒された糸開放姿勢とをとり得る。ベールアームを糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに維持するとともに、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すために、ロータにはベール反転装置が設けられている。 【0003】従来のベール反転装置として、特開平10−4839号公報に開示された装置が知られている。このベール反転装置は、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、ロータに装着されたトグルばねと、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、基端がリール本体に向けて前後移動する棒状の移動部材と、移動部材に接触するようにリール本体に設けられた切換突起とを有している。トグルばねは、ベールアームを2つの姿勢に振り分けて付勢し、ベールアームを2つの姿勢で保持する。移動部材は、糸開放姿勢にベールアームが揺動すると、切換突起に接触する位置に後退する。そして、ロータが糸巻取方向に回転すると、切換突起に接触して前進する、この前進によりトグルばねが収縮し、トグルばねによってベールアームが糸巻取姿勢に戻る。 【0004】回転伝達効率を高めたスピニングリールでは糸巻取方向に簡単に回転しやすい。ロータが回転すると、キャスティングやサミングのそれぞれに適した回転位相にロータを回転させても回転位相が容易にずれることがある。 【0005】前記従来の構成では、糸開放姿勢でのロータの回転を防止するために、リール本体に接触してロータを制動する制動部材が移動部材に装着されている。制動部材は、移動部材が接触位置に移動すると、リール本体の前面に接触して圧縮されロータを制動する。このようにベール反転時にロータを弾性的に制動すると、ロータの回転を防止できるとともに、必要に応じてロータの糸巻取方向へ回転させることができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、移動部材に装着された制動部材がリール本体に接触して圧縮されることによりロータを制動している。このため、製作誤差や取付誤差等により移動部材の接触位置が前後に変動すると、制動部材の圧縮量が変動する。圧縮量が変動すると、ロータの制動力が変動し、ロータを安定して制動できなくなる。 【0007】そこで、環状の制動部材をリール本体に設けるとともに、移動部材を制動部材の押圧方向と交差する方向に制動部材の端部から外側面に向けて移動させて制動部材に接触させることが考えられる。このように移動方向と押圧方向とを異ならせることにより、移動部材の移動量の変動に関わらずロータを安定して制動できるようになる。しかし、このように構成すると、移動部材が制動部材に接触するときに、移動位置の相違による制動力の変化は少なくなるが、押圧方向のガタの相違によって制動力が個々のリールで変動するおそれがある。 【0008】本発明の課題は、移動方向と押圧方向とが異なるスピニングリールのロータ制動装置において、押圧方向のガタによる制動力の変動を抑えることにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニングリールのロータ制動装置は、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータを、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動するベールアームの揺動に応じて制動する装置であって、移動機構と、制動部材と、付勢部材とを備えている。移動機構は、ベールアームに連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在にロータに設けられ、第2位置にあるとき、リール本体の前部に向けて一部が突出する移動部材を有している。制動部材は、リール本体の前部に設けられ、第2位置に移動した移動部材の突出した一部により移動方向と交差する方向に押圧される制動面を有している。付勢部材は、移動部材を制動面に向けて付勢する。 【0010】このロータ制動装置では、ベールアームが糸巻取姿勢から糸開放姿勢に揺動すると、ロータに設けられた移動機構の移動部材の一部がリール本体の前部に向けて突出し、突出した一部が制動部材を移動方向と交差する方向に押圧してロータが制動される。この移動部材は、付勢部材により制動面に向けて付勢されている。ここでは、移動部材が付勢部材により制動面に向けて付勢されているので、移動する移動部材の取付誤差などにより移動部材に制動面に向けた押圧方向のガタが生じても、そのガタが付勢部材により解消され、付勢部材により一定の付勢力で移動部材が押圧される。このため、押圧方向のガタによる制動力の変動を抑えることができる。 【0011】発明2に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明1に記載の装置において、移動部材は、先端がベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲し、後端がロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その間がロータの回転軸芯に沿って配置された棒状部材であり、先端がベールアームに回動自在に係止され、後端がロータに前後移動自在に係止されており、制動部材は環状部材であり、制動面は、少なくとも外周の一部に平坦な円周面で構成されており、第2位置に移動した移動部材の突出した後端により内周側に押圧され、付勢部材は、移動部材の屈曲部の間を制動面に向けて押圧方向に付勢する。この場合には、ベールアームが揺動すると、揺動軸芯に沿って屈曲しベールアームに係止された移動部材の先端が揺動軸芯回りに旋回する。これにより、ロータの回転軸芯に向かう移動部材の他端がロータに係止されて前後移動する。この移動時に屈曲部間が付勢部材により押圧方向に付勢されガタが解消される。ここでは、屈曲して形成された棒状の移動部材の先端をベールアームに係止し、後端を前後移動自在に係止するだけで、ベールアームの揺動運動を移動部材の他端の前後直線運動に簡素な構成で簡単に変換できる。しかも、その屈曲部間を付勢するだけで簡単に移動部材の押圧方向のガタを解消できる。 【0012】発明3に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明2に記載の装置において、ロータに固定され移動部材の後端側の屈曲部の前後部分を案内する案内部材をさらに備え、付勢部材は案内部材に装着されている。この場合には、移動部材の後端側の屈曲部の前後部分が案内部材により案内されるので、前後移動及び第2位置での位置精度を高めて制動力を安定させることができるとともに、移動部材を案内する案内部材に付勢部材を装着できるので、付勢部材の装着が容易になる。 【0013】発明4に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明2又は3に記載の装置において、移動部材の後端の端面は丸みを帯びている。この場合には、制動部材に接触する移動部材の後端の端面が丸みを帯びているので、移動部材が移動しながら制動部材を押圧するときに、滑らかに移動できる。 【0014】発明5に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明2から4のいずれかに記載の装置において、移動機構は、ベールアームに先端が回動自在に係止され、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とにベールアームを振り分けて付勢するトグルばね機構を有する。この場合には、ベールアームを2つの姿勢で確実に保持できる。 【0015】発明6に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明5に記載の装置において、リール本体の前部に設けられ、ロータが糸巻取方向に回転したとき、第2位置に移動した移動部材の突出した後端に接触して移動部材を前記第1位置に向けて移動させる切換部をさらに備える。この場合には、ベールの反転装置とロータの制動装置とで構成要素を兼用でき、コンパクトなスピニングリールを実現できる。 【0016】発明7に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明6に記載の装置において、切換部は、ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側よりリール本体の前面からロータ側に突出した傾斜面を有する。この場合には、ロータが糸巻取方向に回転を開始すると、移動部材が切換部材の傾斜面に接触し、徐々にロータ側に押圧される。すると、ベールアームが糸巻取姿勢にもどる。ここでは、傾斜面により滑らかにベールアームを糸巻取姿勢に復帰させることができる。 【0017】発明8に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明1に記載の装置において、移動機構は、ベールアームの揺動中心に近接した位置に先端が回動自在に装着され、途中がロータに揺動自在に係止されたトグルばね機構をさらに備え、移動部材は、トグルばね機構の後端に係止されかつロータの回転軸に平行な軸回りに第1位置と第2位置とに揺動自在にロータの後面に装着されており、制動部材は環状部材であり、制動面は、少なくとも前面の一部に平坦な環状面で構成されており、第2位置に移動した移動部材の突出した先端側面により後方に押圧され、付勢部材は移動部材を制動面に向けて付勢する。この場合には、ベールアームが揺動すると、トグルばね機構が揺動してその後端に係止された移動部材がロータの後面で第1位置から第2位置にロータの回転軸と平行な軸周りに揺動する。第2位置に移動部材が揺動すると制動部材の前面に設けられた制動面を移動不在の先端が押圧してロータが制動される。この揺動時に、移動部材が付勢部材により制動面に向けて付勢される。ここでは、移動部材をベールアームに係止されたトグルばね機構に係止しているので、トグルばね機構を利用してベールアームを2つの姿勢に確実に保持できるとともに、付勢部材により揺動する移動部材を制動面に付勢しているので、押圧方向のガタを解消できる。 【0018】発明9に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明8に記載の装置において、リール本体の前部に設けられ、ロータが糸巻取方向に回転したとき、第2位置に移動した移動部材の突出した先端に接触して移動部材を第1位置に向けて移動させる切換部をさらに備える。この場合には、ベールの反転装置とロータの制動装置とで構成要素を兼用でき、コンパクトなスピニングリールを実現できる。 【0019】発明10に係るスピニングリールのロータ制動装置は、発明9に記載の装置において、切換部は、前記ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側より径方向外方に突出した傾斜面を有する。この場合には、ロータが糸巻取方向に回転を開始すると、移動部材が切換部材の傾斜面に接触し、徐々に第1位置側に押圧される。すると、ベールアームが糸巻取姿勢にもどる。ここでも、傾斜面により滑らかにベールアームを糸巻取姿勢に復帰させることができる。 【0020】 【発明の実施の形態】〔実施形態1〕図1において、本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。 【0021】リール本体2は、内部に空間を有するリールボディ2aと、リールボディ2aの空間を塞ぐためにリールボディ2aに着脱自在に装着される蓋部材2bとを有している。 【0022】リールボディ2aは、たとえばマグネシウム合金製であり、上部に前後に延びるT字形の竿取付脚2cが一体形成されている。図2に示すように、リールボディ2aの空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2a及び蓋部材2bの前端には、円形のフランジ部2dと、フランジ部2dより小径で先端が開口する円筒部2eと形成されている。円筒部2eの断面は、図5に示すように、円の一部が切り欠かれたD字状に形成されている。 【0023】蓋部材2bは、たとえばマグネシウム合金製の部材であり、3カ所でリールボディ2aにビス止めされている。フランジ部2dにおいて、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、図5及び図6に示すように、後述する切換部材52が着脱自在に装着されている。 【0024】ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、ナット13によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受14a,14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。 【0025】オシレーティング機構6は、スプール4の中心部にドラグ機構71を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。 【0026】〔ロータの構成〕ロータ3は、図2に示すように、ロータ本体16と、ロータ本体16の先端に糸開放姿勢と糸巻取姿勢とに揺動自在に装着されたベールアーム17と、ベールアーム17を糸巻取姿勢に戻すためにロータ本体16に装着されたベール反転機構18とを有している。 【0027】ロータ本体16は、リールボディ2aにスプール軸15回りに回転自在に装着された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1及び第2ロータアーム31,32とを有している。円筒部30と両ロータアーム31,32とは、たとえばマグネシウム合金製であり一体成形されている。 【0028】円筒部30の前部には前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボス部33aが形成されている。ボス部33aの中心部には貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニオンギアの前部12a及びスプール軸15が貫通している。前壁33の前部にロータ3の固定用のナット13が配置されている。 【0029】第1及び第2ロータアーム31,32は、図2〜図4に示すように、円筒部30の後部外周面にそれぞれ配置された第1及び第2接続部31a,32aと、第1及び第2接続部31a,32aからそれぞれ外方に凸に湾曲しつつ前方に延びる第1及び第2アーム部31b,32bと、両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bとの両外方部分をそれぞれ覆う第1及び第2カバー部材31c.32cとを有している。第1及び第2接続部31a,32aは、円筒部30と周方向に滑らかにそれぞれ連続して形成されている。 【0030】第1及び第2アーム部31b,32bは、第1及び第2接続部31a,32aと滑らかに連続して形成され円筒部30と間隔をあけて前方に延びている。第1及び第2アーム部31b,32bは、先端部から円筒部30との接続部分に向けて滑らかに湾曲している。両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bとの両外方部分には、開口31d,32dがそれぞれ形成されており、第1及び第2カバー部材31c,32cは、開口31d,32dをそれぞれ外周側から塞いでいる。この第1カバー部材31cと第1接続部31a及び第1アーム部31bとの間には、収納空間48が形成されている。 【0031】第1アーム部31bの先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第1アーム部31bには、図4に示すように、ベール反転機構18を装着するための長孔36と、第1ベール支持部材40を揺動自在に装着するためのねじ孔付きのボス部38とが形成されている。 【0032】第2アーム部32bの先端内周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。第1ベール支持部材40は、第1アーム31bのボス部38にねじ込まれた取付ピン39により第1ロータアーム31に取り付けられる。この取付ピン39は引っかかりが少ない六角孔付きボルトからなり、その頭部に釣り糸が引っかかりにくくなっている。 【0033】第1ベール支持部材40の先端には、図3に示すように、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41と、ラインローラ41を挟んで第1ベール支持部材40に固定された固定軸カバー47とが装着されている。ラインローラ41は、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されている。固定軸カバー47は、先端がとがった変形円錐形状である。固定軸カバー47の先端部と第2ベール支持部材42との間には線材を略U状に湾曲させた形状のベール43が固定されている。これらの第1及び第2ベール支持部材40,42、ラインローラ41、ベール43及び固定軸カバー47により釣り糸をスプール4に案内するベールアーム17が構成される。ベールアーム17は、図3(a)に示す糸案内姿勢と、図3(b)に示す糸案内姿勢から反転した糸開放姿勢との間で揺動自在である。 【0034】〔ベール反転機構の構成〕ベール反転機構18は、第1ロータアーム31の収納空間48内に配置されている。ベール反転機構18は、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸案内姿勢にロータ3の回転に連動して復帰させるとともに、両姿勢でその状態を保持する。 【0035】ベール反転機構18は、図3〜図6に示すように、収納空間48内で第1アーム部31bに揺動自在に装着されたトグルばね機構50と、収納空間48内に略前後移動自在に装着された移動部材51と、移動部材51に接触可能にフランジ部2dに着脱自在に装着された切換部材52と、ロータ3を制動するための制動部材65を有するロータ制動機構54とを有している。 【0036】トグルばね機構50は、図3に示すように、ベールアーム17が糸巻取姿勢となる第1位置と糸開放姿勢となる第2位置とを取り得るように第1ロータアーム31内に配置され、ベールアーム17を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに保持するための機構である。トグルばね機構50は、一端が第1ベール支持部材40に形成された係止され、他端が第1アーム部31bに沿って延びるロッド55と、ロッド55を進出側に付勢するコイルばね57とを有している。 【0037】ロッド55は、図4に示すように、先端に第1ベール支持部材40の係合穴40aに係止されるように第1ベール支持部材40に向けて折れ曲がった係止部55aを有している。また、ロッド55は、中間部にコイルばね57の先端部を係止するための係止突起55bを有し、後端部に僅かに湾曲した湾曲部55cを有している。係止突起55bには、コイルばね57の先端が当接するワッシャ56が装着されており、これにより、コイルばね57の先端部からロッド55に力が均一に伝達される。 【0038】コイルばね57は、アーム部31bに装着された、たとえばナイロン66などの合成樹脂製の案内シート34に接触して案内される。案内シート34は、コイルばね57の一側面を案内するとともに基端部を係止するように折れ曲がった壁面部34aを有している。壁面部34aは、コイルばね57の側部及び基端部に接触し得る高さを有している。これにより、コイルばね57が伸縮しやすくなるとともに、コイルばね57が伸縮する際にアーム部31bが傷つかなくなる。 【0039】コイルばね57のワッシャ56に係止される先端部は他の部分より巻径が小さくなっている。これにより先端部以外でコイルばね57とロッド55との間で大きな隙間が生じ、コイルばね57の内部でロッド55が姿勢を変えてもコイルばね57が変形しにくくなる。なお、コイルばね57の基端部内周面に接触するボス部や基端部外周面を覆うカバー部等を設けてコイルばね57の基端部を係止するようにしてもよい。また、これらのボス部やカバー部を第1ベール支持部材40の揺動軸と平行な軸回りに揺動するようにアーム部31bに装着してもよい。たとえば、ボス部の基端面に円弧凸部を形成するとともにアーム部31b内に円弧凸部に係合する円弧凹部を形成し、これによりボス部を揺動自在に構成することが考えられる。 【0040】このような構成のトグルばね機構50は、揺動軸の軸芯であるコイルばね57と基端の中心位置と第1ベール支持部材40の揺動軸芯(取付ピン39の軸芯)とを結ぶ線分Fに対して、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とでロッド55の第1ベール支持部材40に対する係止位置が異なる方向に位置するように配置されている。これにより、トグルばね機構50は、ベールアーム17を両姿勢に振り分けて付勢して両姿勢で保持できる。 【0041】移動部材51は、たとえば、ステンレス合金などの金属製の線材の両端を90度異なる方向に折り曲げて形成された部材である。移動部材51は、図3(a)に示す第1位置(離反位置)と図3(b)に示す第2位置(接触位置)とに、第1アーム部31bに略前後移動自在に装着されている。移動部材51は、図3〜図6に示すように、その先端部51aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持部材40に形成された係合凹溝40bに係止されている。中間部51bは、ロッド55より径方向内側で第1アーム部31bに沿って延びている。 【0042】後端部51cは、長孔36を貫通し、ロータ制動機構54を構成する制動部材65の前端面に僅かに重なり合う位置まで内方に延びており、その後端面が僅かに丸みを帯びている。長孔36の幅は、移動部材51の直径とほぼ同じ寸法である。このため、移動部材51の後端部51cは、ベールアーム17の揺動に連動して長孔36に沿って前後に移動する。中間部51bと後端部51cとの屈曲部分の外周側は、案内部材67により前後方向及び径方向に案内されている。案内部材67は第1カバー部材31cに固定されており、後端部51cがはまりこむように湾曲した凹溝67aが内部に形成されている。案内部材67には、コイルばねからなる押圧ばね68を装着可能なたとえば円柱状の装着穴67bが凹溝67aに開口して形成されている。押圧ばね68は、圧縮状態で凹溝67aに装着されており、移動部材51の中間部51bを押圧することで後端部51cを制動部材65の外周に形成された制動面65a(後述)に向けて付勢している。押圧ばね68の先端には、移動部材51の中間部51bの外周面に係合するように半円弧状の凹部69aが形成された押圧部材69が装着されている。押圧部材69は、移動部材51の中間部51bを前後移動自在にしかつ押圧ばね68の付勢力を中間部51bに効率よく伝達するために設けられている。 【0043】このように、移動部材51を制動面65aに向けて付勢することにより、前後移動する移動部材51の取付誤差などにより移動部材51に制動部材65に向けた押圧方向のガタが生じても、そのガタが押圧ばね68により解消され、押圧ばね68により一定の付勢力で移動部材51が押圧される。このため、制動面65aに向かう押圧方向のガタによる制動力の変動を抑えることができる。 【0044】移動部材51の係合凹溝40bでの係止端は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、後端部51cとベールアーム17の揺動中心とを結ぶ線分より糸巻取姿勢側に位置している。つまり、移動部材51は、接触位置(図3(b))にあるときの後端部51cの軸芯と第1ベール支持部材40の揺動軸芯とを結ぶ線分から同じ方向に第1位置(離反位置)と第2位置(接触位置)とで第1ベール支持部材40への係止位置が存在するように配置されている。これにより、移動部材51の後端部51cが切換部材52により押圧されたとき、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢側に復帰させることができる。この第2位置(接触位置)にあるとき、後端部51cの端面は、制動部材65の前端面より奥側で外周面よりやや内方に食い込んでいる。このため、移動部材51の移動量が僅かに変動しても常に同じ制動力が得られる。 【0045】切換部材52は、たとえばナイロン66やポリアセタールなどの合成樹脂製の部材であり、図5及び図6に示すように、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分でフランジ部2dに着脱自在に装着されている。リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、矩形の切り欠き53が形成されている。切換部材52は、2つの傾斜面60a,60bを有する山形のカム部60と、カム部60と一体形成されたくびれ部61と、鍔部62とを有している。傾斜面60aは、図6に矢印で示すロータ3の糸巻取回転方向の下流側が上流側によりロータ3に向けて前方に突出する傾斜面である。傾斜面60bは、傾斜面60aの突出部分から糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する傾斜面である。くびれ部61は、切り欠き53にはめ込まれる大きさを有しており、フランジ部2dの肉厚と略同じ寸法の隙間をカム部60と鍔部62との間に形成している。鍔部62は、くびれ部61より大きな断面を有しており、フランジ部2dの裏面に接触する。この傾斜面60bを設けると、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、無理に逆転(糸繰り出し方向の回転)が加わって移動部材51が切換部材52に接触しても、ベール反転機構18の移動部材51が傾斜面60bで切換部材52に滑らかに案内され、損傷しにくくなる。なお、このような2つの傾斜面60a,60bを有する切換部材52は、リール本体2と一体形成された切換部にも適用できる。 【0046】このように構成された切換部材52は、リールボディ2aに蓋部材2bを装着するとき、たとえばリールボディ2a側の切り欠き53にくびれ部61をはめ込み、蓋部材2bをリールボディ2aにビス止めするだけで、リール本体2に固定できる。このため、固定のための別の部材を用いずに簡単にリール本体2に切換部材52を固定できる。また、リール本体2が腐食しやすいマグネシウム合金製であっても、移動部材51が接触する切換部材52はリール本体2と別部材であるので、ベールアーム17が反転するときにリール本体2が傷つくことがない。このため、傷による腐食の進行を防止できる。さらに、リール本体2に装着される切換部材52は、誘電体である合成樹脂製であるため、切換部材52をリール本体2に接触させてもリール本体2が電解腐食しない。 【0047】ロータ制動機構54は、糸開放姿勢にベールアーム17が揺動したときロータ3を制動するものであり、移動部材51と、円筒部2eの基端部に装着された制動部材65とを有している。すなわち、移動部材51は、ベール反転機構18を構成するとともに、ロータ制動機構54も構成する。 【0048】制動部材65は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、ロータ3の回転を制動するために設けられている。制動部材65は、断面が矩形の、たとえばスチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、ウレタン‐ゴム等の合成ゴムからなる弾性体製のリング状の部材である。制動部材65の外周面には、切換部材52を回避する部分を除いて平坦な円周面で構成された制動面65aが形成されている。制動部材65は、断面がD字状の円筒部2eの基端外周面に装着されている。したがって、制動部材65は、正面視D字状に装着されている。この制動部材65の直線部は、切換部材52を迂回するために設けられている。制動部材65の制動面65aの先端端縁には、導入面65bが制動面65aと連続して形成されている。導入面65bは、糸開放姿勢への揺動に連動した移動部材51の移動方向上流側が下流側より遠ざかるように形成されており、本実施形態では、制動面65aと連続して丸みをおびたアール面で形成されている。このように制動面65aに連続して傾斜した導入面65bを形成すると、移動部材51が制動部材65に接触するとき、移動部材51の丸みを帯びた後端部51cの端面が制動部材65の導入面65bを経て制動面65aに滑らかに接触する。このため、ベールアーム17の姿勢の切り換えがスムーズになる。円筒部2eの外周面には、フランジ部2dと間隔を隔てて環状突起2fが形成されており、制動部材65は、フランジ部2dと環状突起2fとの間に両者に接触して装着されている。 【0049】このような構成のベール反転機構18では、トグルばね機構50は、図3(a)に示すような第1位置と、図3(b)に示すような第2位置とをとることが可能である。第1位置は、ベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置はベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。また、移動部材51は、図3(a)に示す第1位置(離反位置)と、図3(b)に示す第2位置(接触位置)とに後端部51cが長孔36に案内されて前後移動することができる。この第1位置(離反位置)が糸巻取姿勢に対応し、第2位置(接触位置)が糸巻取姿勢に対応する。第2位置(接触位置)では、移動部材51の後端部51cの端面が制動部材65の前端面より奥側で制動面65aが僅かに圧縮されるように接触する。このため、移動部材51の移動位置、つまり第2位置(接触位置)が軸方向に変動しても制動力は変動しない。 【0050】また、第2位置(接触位置)でハンドル1の操作によりロータ3が糸巻取方向に回転すると、移動部材51の後端部51cが切換部材52の傾斜面60aに衝突して回転し、移動部材51は第1位置(離反位置)に向けて前方に押圧されるトグルばね機構50の死点を超えた時点でベールアーム17は、糸巻取姿勢に復帰する。 【0051】ロータ3の円筒部30の内部には、図2に示すように、ロータ3の逆転を禁止・解除するための逆転防止機構70が配置されている。逆転防止機構70をローラ型のワンウェイクラッチを有しており、ワンウェイクラッチを作用状態と非作用状態とに切り換えることにより、ロータ3の逆転を禁止・解除する。 【0052】スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機構71を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に一体で形成されたフランジ部4cとを有している。 【0053】〔リールの操作及び動作〕キャスティング時には逆転防止機構70によりロータ3を逆転禁止状態にしてベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17を糸開放姿勢に反転させると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は後方側に倒れ、ベール反転機構18は、図3(b)に示すような第2位置に配置される。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。 【0054】この糸巻取姿勢から糸開放姿勢への揺動において、トグルばね機構50では、第1ベール支持部材40の回転によってロッド55が図3(a)において徐々に退入しつつ反時計方向に揺動し、図3(b)に示す第2位置にいたる。このとき、死点を超えるまでは退入する。死点を超えると、ロッド55がコイルばね57の付勢力により進出してベールアーム17を糸開放姿勢側に切り換えるとともにその姿勢で保持する。 【0055】ベールアーム17が糸開放姿勢に揺動すると、この揺動に伴って移動部材51は離反位置から接触位置に移動し、移動部材51の後端部51cの先端は制動部材65に弾性的に接触する。この結果、ロータ3が制動されその回転位相を保持する。しかし制動部材65と弾性的に接触して摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3を手で回転させたりハンドル1により回転させたりすれば簡単に回転位相を調整できる。すなわち、ロータ3が摩擦力により制動され回転位相が維持されるので、ベールアーム17を糸開放姿勢にしたときにロータ3が回転することはない。したがって、キャスティング時やサミング時にロータ3の不意の回転による不具合を解消できる。しかも、ロータ3は摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3に力を加えれば簡単に回して回転位相を調整することができる。また、移動部材51は、押圧ばね68により制動面65aに向けて付勢されているので、移動する移動部材51の取付誤差などにより移動部材51に制動面65aに向けた押圧方向のガタが生じても、そのガタが押圧ばね68により解消され、押圧ばね68により一定の付勢力で移動部材51が押圧される。このため、押圧方向のガタによる制動力の変動を抑えることができる。 【0056】この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1をたとえば左手で糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻取方向に回転する。ロータ3が糸巻取方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構18により糸巻取姿勢に復帰する。 【0057】具体的には、図5及び図6において、移動部材51がロータ3とともに時計方向に回転する。すると、移動部材51の後端部51cがリール本体2側に固定された切換部材52の傾斜面60aに当接する。これにより、移動部材51が前方に押圧され、図6に二点鎖線で示す第1位置(離反位置)に切り換えられ、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢に揺動させる。これに伴ってトグルばね機構50のロッド55が図3(b)に示す第2位置から図3(a)に示す第1位置に向けて揺動する。そして、死点を超えると、コイルばね57の付勢力よりロッド55が進出し、ベールアーム17を糸巻取姿勢に切り換えるとともにその姿勢で保持する。ベールアーム17が糸巻取姿勢に復帰すると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は、図1及び図2に示すように、それぞれ前方側に起立している。ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻ると、ベールアーム17により釣り糸がスプール4に案内されてスプール4の外周に巻き付けられる。 【0058】〔実施形態2〕前記実施形態1では、前後移動する移動部材51により移動機構を構成したが、スプール軸15と平行な軸周りに揺動する戻しレバー(移動部材の一例)151を含む移動機構でもよい。 【0059】ベール反転機構118は、図7〜図9に示すように、収納空間48内で第1アーム部31b及び第1カバー部材31cに揺動自在に装着された第1トグルばね機構150と、第1接続部31aの後面に揺動自在に装着された戻しレバー151と、戻しレバー151を保持する第2トグルばね機構152と、リールボディ2aの前部のフランジ部2dに形成された切換部材153と、ロータ制動機構154とを有している。 【0060】第1トグルばね機構150は、ベールアーム17が糸巻取姿勢となる第1位置と糸開放姿勢となる第2位置とを取り得るように第1ロータアーム31内に配置され、ベールアーム17を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに保持するための機構である。第1トグルばね機構150は、一端が第1ベール支持部材40に係止され、他端が第1アーム部31bに沿って延びる第1ロッド155と、第1ロッド155が進退自在に装着されるとともに第1アーム部31bに中間部が揺動自在に取り付けられた第1ガイド部材156と、第1ロッド155を進出側に付勢する第1コイルばね157と、第1ロッド155を少なくとも揺動途中で揺動方向に係止可能に第1ガイド部材156に移動不能に装着された係止部材158とを有している。 【0061】第1ロッド155は、図7に示すように、その先端部155aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持部材40に形成された係合穴40aに係止されている。また第1ロッド155の外周面には、ばね係止用の突起部155bが形成されている。 【0062】第1ガイド部材156は前端が開口する有底角筒状の部材であり、第1アーム部31bに形成された装着孔37a及び第1カバー部材部31cに形成された装着穴37bに係合する両外方に突出する揺動軸156a,156bを軸方向の中間部に有している。揺動軸156a,156bは、ロータ3の径方向に沿って配置されており、第1ガイド部材156は、揺動軸156a,156bを中心に第1ロータアーム31に揺動自在に取り付けられている。第1ガイド部材156の後端部(図5右端部)には、戻しレバー151が係合する係止突起156cが後方に突出して形成されている。 【0063】係止部材158は、第1ガイド部材156の外側面(図5の上面)に移動不能に固定された板状の部材である。係止部材の前端部は、第1ガイド部材156の前端部より前方に延びている。この延びた先端に係止溝159が形成されている。係止溝159は、第1ロッド155の折り曲げられた先端部155aを第1ガイド部材156の揺動方向に係止する溝であり、第1ロッド155の進退方向に沿って形成されている。この係止溝159の長さは、第1トグルばね機構150の死点位置近傍で第1ロッド155を係止可能な長さであり、ボス部38との干渉等を考慮して決定される。具体的には、ベールアーム17の揺動時の第1ロッド155の死点位置から最大移動位置までの長さに対して死点位置から10%から50%の長さである。特に、ベールアーム17を戻しやすくするために死点位置を糸開放姿勢側に偏倚させた場合には、糸開放姿勢側の第1位置にあるとき、第1ロッド155が係止部材158に係止されるような長さが好ましい。 【0064】ここで、死点位置とは、第1ベール支持部材40の揺動中心と、第1トグルばね機構150の揺動中心(第1ガイド部材156の揺動中心)と、第1ロッド155と第1ベール支持部材40との係止位置とが一直線上に並んだ位置をいう。このとき、第1ロッド155は、第1ガイド部材156に最も退入し、第1コイルばね157は、最も収縮する。 【0065】係止部材158の後端部には、第1ガイド部材156の両側面に沿って延びる1対の取付片158a,158bが形成されている。また、中間部に揺動軸156bにはめ込まれる嵌合穴158cが形成されている。この取付片158a,158b及び嵌合穴158cによって係止部材158は、第1ガイド部材156に移動不能に固定されている。 【0066】このような構成の第1トグルばね機構150は、図8(a)に示すような第1位置と、図8(b)に示すような第2位置とをとることが可能である。第1位置は、ベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置はベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。 【0067】戻しレバー151は、図7及び図9に示すように、第1接続部31aの後面に形成されたボス部35aにロータ回転平面と平行な面内で第1位置(離反位置)と第2位置(接触位置)との間で揺動自在に取り付けられている。ボス部35aの基端部と戻しレバー151との間には、戻しレバー151を後方に付勢する皿ばね(付勢部材の一例)164が装着されている。皿ばね164は、戻しレバー151を制動部材165への押圧方向に向けて押圧するために設けられている。 【0068】戻しレバー151は、第1トグルばね機構150の第1ガイド部材156の係止突起156cを係止する係止用切欠き151aと、第2トグルばね機構152の係止用の孔151bと、ロータ回転軸心側に突出可能な突出部151cとを有している。係止用切欠き151aと第1ガイド部材156の係止突起156cとの間には隙間が形成されている。このように隙間が形成されているので、第1ガイド部材156と戻しレバー151との位置が切り換えられた際に両者による衝突音が発生する。これにより、ベールアーム17の姿勢が切り換えられたことを操作者に確実に報知することができる。 【0069】ロータ制動機構154は、戻しレバー151と、円筒部2eに装着された制動部材165とを有している。ロータ制動機構154は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、ロータ3の回転を制動するために設けられている。制動部材165は、戻しレバー151の突出部151cの側面に接触可能に、断面が矩形で前面に平坦な制動面165aを有するリング状の弾性部材により構成されている。 【0070】この戻しレバー151の突出部151cの側面に制動部材165を接触させることにより、戻しレバー151の移動方向(スプール軸15と平行な軸周りの揺動方向)と制動部材165の押圧方向(前後方向)とが異なる方向になり、戻しレバー151の第2位置(接触位置)での変動に関わらず制動力が一定になる。このため、ロータ3を手で回しても制動力が変動しにくくなり安定した制動力が得られる。 【0071】また、戻しレバー151が皿ばね164により制動部材165を圧縮する押圧方向(前後方向)に付勢されているので、戻しレバー151の取付誤差が吸収されて取付誤差に関わらず制動力が安定する。 【0072】第2トグルばね機構152は、戻しレバー151を第1位置と第2位置とに保持するための機構であり、戻しレバー151を介して第1トグルばね機構150を第1位置と第2位置とに保持している。第2トグルばね機構152は、戻しレバー151に係止された第2ガイド部材161と、第2ガイド部材161に一端が収納され他端がロータ3に揺動自在に取り付けられた第2ロッド162と、第2ガイド部材161を戻しレバー151側に付勢する第2コイルばね163とを有している。なお、第2ガイド部材161及び第2コイルばね163は、ロータ回転平面と平行な面内で移動する。 【0073】このような戻しレバー151及び第2トグルばね機構152の構成では、第2ガイド部材161及び第2コイルばね163によって、戻しレバー151は図9に二点鎖線で示す第1位置と実線で示す第2位置とをとり得る。第1位置は第1トグルばね機構150の第1位置及びベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置は第1トグルばね機構150の第2位置及びベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。 【0074】切換部材153は、合成樹脂製の部材であり、図9に示すように、実施形態1と同様な形態でリールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分に挟持されている。切換部材153は、制動部材165の外周側に配置され、制動部材165をほぼ円環状に配置可能である。切換部材153は、ロータ3の糸巻取回転方向下流側が上流側より径方向外方に突出した傾斜面153aを有する。この切換部材153は、戻しレバー151がロータ3とともに回転してきた際に、戻しレバー151の突出部151cに当接可能である。 【0075】〔リールの操作及び動作〕キャスティング時には逆転防止機構70によりロータ3を逆転禁止状態にしてベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17を糸開放姿勢に反転させると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は後方側に倒れ、図8(b)に示すような第2位置に配置される。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。 【0076】この糸巻取姿勢から糸開放姿勢への揺動において、第1トグルばね機構150では、第1ベール支持部材40の回転によって第1ロッド155が図8(a)において徐々に退入しつつ反時計方向に揺動し、図8(b)に示す第2位置にいたる。このとき、死点を超えるまでは退入し死点を超えると進出する。そして退入工程において、係止部材158に第1ロッド155が係止されるまでは、第1ロッド155から第1コイルばね157を介して力が第1ガイド部材156に間接的に伝達され、これに伴って第1ガイド部材156は押圧されて揺動中心を中心に反時計方向に揺動する。死点付近で第1ロッド155が係止部材158に係止されると、第1ロッド155から係止部材158を介して第1ガイド部材156に力が直接伝達される。死点を超えると、第1ロッド155が第1コイルばね157の付勢力により進出してベールアーム17を糸開放姿勢側に切り換えるとともにその姿勢で保持する。 【0077】ここでは、係止部材158が、第1ガイド部材156に移動不能に設けられているとともに第1ロッド155を揺動方向に係止するので、係止部材158を介して第1ロッド155が第1ガイド部材156を押圧するとき、第1ロッド155から第1ガイド部材156に力が効率よく伝達される。このため、揺動時の剛性感が向上し揺動フィーリングが向上する。 【0078】第1ガイド部材156が第2位置に揺動すると、この揺動に伴って戻しレバー151が、図9において時計方向に揺動し、実線で示す第2位置となる。戻しレバー151は、この状態において第2トグルばね機構152によって保持されている。 【0079】この第2位置に戻しレバー151が揺動すると、図9に示すように、戻しレバー151の突出部151cがロータ回転軸心側に突出し制動部材165の前面に弾性的に接触し制動部材165を後方に押圧する。この結果、ロータ3が制動されその回転位相を保持する。しかし制動部材165と弾性的に接触して摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3を手で回転させたりハンドル1により回転させたりすれば簡単に回転位相を調整できる。すなわち、ロータ3が摩擦力により制動され回転位相が維持されるので、ベールアーム17を糸開放姿勢にしたときにロータ3が回転することはない。したがって、キャスティング時やサミング時にロータ3の不意の回転による不具合を解消できる。しかも、ロータ3は摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3に力を加えれば簡単に回して回転位相を調整することができる。 【0080】また、制動部材165の押圧方向(後方)と戻しレバー151の揺動方向が異なるので、戻しレバー151の第2位置の変動にかかわらず糸巻取姿勢のときのロータの制動力が一定に維持される。さらに、皿ばね164により戻しレバー151を押圧方向に付勢しているので、戻しレバー151の取付誤差を吸収して押圧方向の変動が少なくなりさらに制動力が一定に維持される。 【0081】この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1をたとえば左手で糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻取方向に回転する。ロータ3が糸巻取方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構118により糸巻取姿勢に復帰する。 【0082】具体的には、図9において、戻しレバー151がロータ3とともに反時計方向に回転する。すると、戻しレバー151の突出部151cがリール本体2側に固定された切換部材153に衝突する。これにより、戻しレバー151は蹴り上げられて二点鎖線で示す第1位置に切り換えられる。 【0083】戻しレバー151の第1位置への切換に伴って第1トグルばね機構150の第1ガイド部材156が図8(b)に示す第2位置から図8(a)に示す第1位置に揺動する。この揺動途中では、係止部材158に第1ロッド155が係止されているので、第1ガイド部材156から第1ロッド155に力が効率よく伝達される。そして、死点を超えると、第1コイルばね157の付勢力より第1ロッド155が進出し、ベールアーム17を糸巻取姿勢に切り換えるとともにその姿勢で保持する。 【0084】このとき、第1トグルばね機構150の第2位置では、第1ロッド155は死点より僅かに糸開放姿勢側に位置しているので、戻しレバー151から少しの力を与えるだけで第1位置側に移行する。また、戻しレバー151はロータ回転平面内で回転するので、ロータ3の回転力がそのまま効率良く戻しレバー151に伝えられる。したがって、ハンドル操作時には小さい力でベールを糸開放姿勢から糸巻取姿勢側に切り換えることが可能となる。しかも、糸開放姿勢からの揺動開始時に第1ロッド155が係止部材158に係止されているので、力が効率よく伝達され、第1トグルばね機構150での遊びが少なくなり、ベール反転動作が剛性感があるカッチリした動作になる。 【0085】ベールアーム17が糸巻取姿勢に復帰すると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は、図1及び図2に示すように、それぞれ前方側に起立している。この状態では、第1トグルばね機構150では、第1ガイド部材156は図8(a)に示すように第1コイルばね157によって時計方向に揺動し、第1ロッド155は進出した状態となっている。このとき、力が効率よく第1ガイド部材156から第1ロッド155に伝達されるため、死点位置を従来より糸巻取姿勢側に偏倚させてもベールアーム17を瞬時に糸巻取姿勢に戻すことができる。したがって、糸巻取姿勢時の第1トグルばね機構150の付勢力を増加させることができ、糸巻取姿勢の時にベールアーム17を保持する力を高く維持できる。 【0086】また、この糸巻取姿勢では、戻しレバー151は図9に二点鎖線で示す第1位置に位置しており、この状態が第2トグルばね機構152によって保持されている。なおこの状態では、戻しレバー151の突出部151cはロータ外周側に退避しており、ロータ3が回転しても突出部151cが切換部材153に当接することはない。 【0087】ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻ると、ベールアーム17により釣り糸がスプール4に案内されてスプール4の外周に巻き付けられる。 〔他の実施形態〕 (a)前記実施形態では、移動部材として後端部が前後移動する線材製のものと揺動する戻しレバーとを例示したが、移動部材としては移動方向と制動部材への押圧方向が異なるものであればどのような形態でもよい。 【0088】(b)前記実施形態では、ロータ制動機構54,154を含むベール反転機構18,118を第1ロータアーム31側に装着したが、第2ロータアーム32側に装着してもよい。 【0089】(c)前記実施形態1では、戻しレバー151を制動部材65の前端面に接触させていたが、制動部材65の外周面に接触させるようにしてもよい。この場合、戻しレバー151の突出部の先端を揺動軸芯からの距離が等しくなるように円弧状に形成すれば、押圧方向(揺動軸の径方向)と移動方向(揺動方向)とが異なることになる。 【0090】(d)前記実施形態では、ベール反転機構の移動部材や戻しレバーを利用してロータ制動機構を構成したが、ベール反転機構とロータ制動機構とを互いに独立して設けてもよい。この場合、ベール反転機構とロータ制動機構とを同じロータアームに設けてもよく、また別々のロータアームに設けてもよい。また、ベール反転機構を設けずにロータ制動機構だけを設けてもよい。 【0091】 【発明の効果】本発明によれば、移動部材が付勢部材により制動面に向けて付勢されているので、移動する移動部材の取付誤差などにより移動部材に制動面に向けた押圧方向のガタが生じても、そのガタが付勢部材により解消され、付勢部材により一定の付勢力で移動部材が押圧される。このため、押圧方向のガタによる制動力の変動を抑えることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002439 【氏名又は名称】株式会社シマノ
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| 【出願日】 |
平成13年4月16日(2001.4.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094145 【弁理士】 【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−306034(P2002−306034A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月22日(2002.10.22) |
| 【出願番号】 |
特願2001−116312(P2001−116312) |
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