| 【発明の名称】 |
スピニングリールのベール反転装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】平山 広和
【氏名】落合 浩士
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| 【要約】 |
【課題】スピニングリールのベール反転装置において、ベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに復帰させることができるようにする。
【解決手段】スピニングリールのベール反転機構18は、ベールアームを、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻す装置であって、移動部材51と、切換部材52と、ローラ59とを備えている。移動部材は、ベールアームに連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在にロータに設けられ、第2位置にあるとき、リール本体の前部に向けて一部が突出する。切換部材は、リール本体2の前部に設けられロータが糸巻取方向に回転したとき、突出した移動部材に接触して移動部材を第1位置に向けて移動させる。ローラは、移動部材の切換部材との接触部分に設けられ、切換部材ところがり接触する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、前記ロータの糸巻取方向の回転に連動して前記糸開放姿勢から前記糸巻取姿勢に戻すスピニングリールのベール反転装置であって、前記ベールアームに連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と前記糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在に前記ロータに設けられ、前記第2位置にあるとき、前記リール本体の前部に向けて一部が突出する移動機構と、前記リール本体の前部に設けられ前記ロータが糸巻取方向に回転したとき、前記第2位置で突出した前記移動機構に接触して前記移動機構を前記第1位置に向けて移動させる切換部と、前記移動機構及び前記切換部とのいずれか一方の前記移動機構及び前記切換部のいずれか他方との接触部分に設けられ、前記移動機構及び前記切換部のいずれか他方ところがり接触する転動部材と、を備えたスピニングリールのベール反転装置。 【請求項2】前記移動機構は、前記ベールアームの揺動中心に近接し、かつ前記ベールアームが前記糸開放姿勢にあるとき他端と前記揺動中心とを結ぶ線分より前記糸巻取姿勢側にある位置で一端が前記ベールアームに回動自在に係止され、前記ベールアームの揺動に連動して前記他端が前後移動する移動部材を有する、請求項1に記載のスピニングリールのベール反転装置。 【請求項3】前記移動部材は、前記一端が前記ベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲し、前記他端が前記ロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その間が前記ロータの回転軸芯に沿って配置された棒状の部材であり、前記他端が前記ロータに前後移動自在に係止されている、請求項2に記載のスピニングリールのベール反転装置。 【請求項4】前記転動部材は、前記移動部材の前記他端に回転自在に装着された筒状部材である、請求項3に記載のスピニングリールのベール反転装置。 【請求項5】前記移動機構は、前記ベールアームに前記移動部材と異なる位置に一端が回動自在に係止され、前記ベールアームを前記糸巻取姿勢と前記糸開放姿勢とに振り分けて付勢するトグルばね機構を有する、請求項2から4のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。 【請求項6】前記切換部は、前記ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側より前記リール本体の前面から前記ロータ側に突出した傾斜面を有する、請求項2から5のいずれかに記載のスピニングリールのベール反転装置。 【請求項7】前記移動機構は、前記ベールアームの揺動中心に近接した位置に一端が回動自在に装着され、途中が前記ロータに揺動自在に係止されたトグルばね機構と、前記トグルばね機構の他端に係止されかつ前記ロータの回転軸に平行な軸回りに揺動自在に前記ロータの後面に装着された戻しレバーとを有し、前記戻しレバーの先端が前記切換部に接触する、請求項1に記載のスピニングリールのベール反転装置。 【請求項8】前記切換部は、前記ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側より径方向外方に突出した傾斜面を有する、請求項7に記載のスピニングリールのベール反転装置。 【請求項9】前記転動部材は、前記戻し部材の先端に回転自在に装着されている、請求項7又は8に記載のスピニングリールのベール反転装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ベール反転装置、特に、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すスピニングリールのベール反転装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般、スピニングリールは、リール本体と、リール本体に回転自在に支持されたロータと、外周に釣り糸が巻かれるスプールとを有している。ロータは、回転軸を挟むように対向して配置された第1及び第2アーム部と、両アーム部の先端に揺動自在に装着されたベールアームとを有している。 【0003】ベールアームは、釣り糸を巻き取る際に釣り糸をスプール外周に導く糸巻取姿勢と、スプールから釣り糸を繰り出す際に邪魔にならないように糸巻取姿勢から倒された糸開放姿勢とをとり得る。ベールアームを糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに維持するとともに、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すために、ロータにはベール反転装置が設けられている。 【0004】ベール反転装置は、ベールアームの揺動に連動してロータ内に糸巻取姿勢に対応する第1位置と糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在に設けられ移動機構と、移動機構に接触可能にリール本体に設けられた切換部とを有している。移動機構は、第2位置にあるとき、ロータの後部から一部が突出し、突出端がロータの糸巻取方向の回転時に切換部に接触可能に配置されている。 【0005】切換部は、ロータの後部を塞ぐようにリール本体の前部に形成されたフランジ部にロータに向けて突出して一体又は別体で設けられている。このような構成のスピニングリールでは、キャスティング時のように糸開放姿勢にベールアームが配置された状態でハンドルを操作してロータを糸巻取方向に回転させると、移動機構の突出端が切換部に衝突して滑りながら接触する。そして、移動機構が切換部により押圧されて第2位置から第1位置に復帰し、ベールアームが糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻る。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】このようなベール反転機構では、ハンドル操作によりベールアームを糸巻取姿勢に復帰させる際には、出来るだけ軽い操作力でベールアームをスムーズに復帰できるようにすることが求められている。 【0007】前記従来の構成では、ベールアームの反転復帰時に移動機構の突出端が常に切換部に衝突するため、切換部が傷つくおそれがある。切換部が傷つくと、移動機構と切換部との接触部分での摩擦力が大きくなり、ベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに復帰させるのが困難になる。 【0008】本発明の課題は、スピニングリールのベール反転装置において、ベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに復帰させることができるようにすることにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニングリールのベール反転装置は、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたロータに糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着されたベールアームを、ロータの糸巻取方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻す装置であって、移動機構と、切換部と、転動部材とを備えている。移動機構は、ベールアームに連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在にロータに設けられ、第2位置にあるとき、リール本体の前部に向けて一部が突出する機構である。切換部は、リール本体の前部に設けられロータが糸巻取方向に回転したとき、第2位置で突出した移動機構に接触して移動機構を第1位置に向けて移動させるものである。転動部材は、移動機構及び記切換部とのいずれか一方の移動機構及び切換部のいずれか他方との接触部分に設けられ、移動機構及び切換部のいずれか他方ところがり接触する部材である。 【0010】このベール反転装置では、ベールアームが糸開放姿勢にあるとき、ハンドル操作によりロータを糸巻取方向に回転させると、移動機構の突出端が切換部に衝突して移動機構が第2位置から第1位置に向けて移動してベールアームが糸巻取姿勢に戻る。この衝突時に移動機構及び切換部のいずれか一方の接触部分に設けられた転動部材が他方と衝突するので、衝突後に転動部材が回転して他方と転がり接触する。このため、移動機構又は切換部と転動部材とが衝突してもいずれも傷つきにくくなりかつ転がり接触するので摩擦力が大きくなることもない。したがって、ベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに復帰させることができるようになる。 【0011】発明2に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1に記載の装置において、移動機構は、ベールアームの揺動中心に近接し、かつベールアームが糸開放姿勢にあるとき他端と揺動中心とを結ぶ線分より糸巻取姿勢側にある位置で一端がベールアームに回動自在に係止され、ベールアームの揺動に連動して他端が前後移動する移動部材を有する。この場合には、ベールアームが糸開放姿勢に揺動すると、移動部材の他端が後方に移動して切換部に接触する位置に突出する。そして、ロータが糸巻取方向に回転すると、突出した移動部材の他端が切換部に接触して移動部材を前方に押圧しベールアームを糸巻取姿勢に戻す。ここでは、移動部材がベールアームと切換部とに直接作用するので、力の伝達がスムーズになるとともに移動機構の構成が簡素になり、ベールを確実に反転できるとともにベール反転装置の製造コストを削減できる。 【0012】発明3に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明2に記載の装置において、移動部材は、一端がベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲し、他端がロータの回転軸芯に向けて屈曲し、その間が前記ロータの回転軸芯に沿って配置された棒状の部材であり、前記他端が前記ロータに前後移動自在に係止されている。この場合には、ベールアームが揺動すると、揺動軸芯に沿って屈曲しベールアームに係止された移動部材の一端が揺動軸芯回りに旋回する。これにより、ロータの回転軸芯に向かう移動部材の他端がロータに係止されて前後移動する。ここでは、屈曲して形成された棒状の移動部材の一端をベールアームに係止し、他端を前後移動自在に係止するだけで、ベールアームの揺動運動を移動部材の他端の前後直線運動に簡素な構成で簡単に変換できる。 【0013】発明4に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明3に記載の装置において、転動部材は、移動部材の他端に回転自在に装着された筒状部材である。この場合には、棒状の移動部材に筒状部材を回転自在に装着するだけで転動部材を簡単に構成できる。 【0014】発明5に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明2から4のいずれかに記載の装置において、移動機構は、ベールアームに移動部材と異なる位置に一端が回動自在に係止され、ベールアームを前記糸巻取姿勢と前記糸開放姿勢とに振り分けて付勢するトグルばね機構を有する。この場合には、トグルばね機構によりベールアームを両姿勢に保持できる。 【0015】発明6に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明2から5のいずれかに記載の装置において、切換部は、ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側よりリール本体の前面からロータ側に突出した傾斜面を有する。この場合には、ベールアームが糸開放姿勢にある状態でロータが糸巻取方向に回転すると、移動部材の他端(又は傾斜面)に装着された転動部材が傾斜面(又は他端)に衝突して回転しつつ移動部材が徐々に後退(前方に移動)してベールアームを糸巻取姿勢に戻す。このため、移動部材がスムーズに後退してベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに復帰させることができる。 【0016】発明7に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明1に記載の装置において、移動機構は、ベールアームの揺動中心に近接した位置に一端が回動自在に装着され、途中がロータに揺動自在に係止されたトグルばね機構と、トグルばね機構の他端に係止されかつロータの回転軸に平行な軸回りに揺動自在にロータの後面に装着された戻しレバーとを有し、戻しレバーの先端が切換部に接触する。この場合には、ベールアームが糸開放姿勢に揺動すると、戻しレバーが切換部に接触する位置に揺動する。そして、ロータが糸巻取方向に回転すると、戻しレバーが切換部に接触して元の位置に揺動し、この揺動によりトグルばね機構も揺動してベールアームを糸巻取姿勢に復帰させる。ここでは、戻しレバーがロータの回転軸と平行な軸回りに揺動するだけであるので、移動機構をロータにコンパクトに収納できる。 【0017】発明8に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明7に記載の装置において、切換部は、ロータの糸巻取回転方向下流側が上流側より径方向外方に突出した傾斜面を有する。この場合には、ベールアームが糸開放姿勢にある状態でロータが糸巻取方向に回転すると、戻しレバーの先端(又は切換部)に装着された転動部材が傾斜面(又は戻しレバー)に衝突して引っ込む方向に揺動し、トグルばね機構を介してベールアームを糸巻取姿勢に戻す。このため、戻し部材がスムーズに揺動してトグルばね機構を介してベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに復帰させることができる。発明9に係るスピニングリールのベール反転装置は、発明7又は8に記載の装置において、転動部材は、戻し部材の先端に回転自在に装着されている。この場合には、転動部材が揺動する戻し部材に装着されているので、一つの転動部材でスムーズに切換部に接触する。 【0018】 【発明の実施の形態】〔実施形態1〕図1において、本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。 【0019】リール本体2は、内部に空間を有するリールボディ2aと、リールボディ2aの空間を塞ぐためにリールボディ2aに着脱自在に装着される蓋部材2bとを有している。 【0020】リールボディ2aは、たとえばマグネシウム合金製であり、上部に前後に延びるT字形の竿取付脚2cが一体形成されている。図2に示すように、リールボディ2aの空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2a及び蓋部材2bの前端には、円形のフランジ部2dと、フランジ部2dより小径で先端が開口する円筒部2eと形成されている。円筒部2eの断面は、図5に示すように、円の一部が切り欠かれたD字状に形成されている。 【0021】蓋部材2bは、たとえばマグネシウム合金製の部材であり、3カ所でリールボディ2aにビス止めされている。フランジ部2dにおいて、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、図5及び図6に示すように、後述する切換部材52が着脱自在に装着されている。 【0022】ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、ナット13によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受14a,14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。 【0023】オシレーティング機構6は、スプール4の中心部にドラグ機構71を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。 【0024】〔ロータの構成〕ロータ3は、図2に示すように、ロータ本体16と、ロータ本体16の先端に糸開放姿勢と糸巻取姿勢とに揺動自在に装着されたベールアーム17と、ベールアーム17を糸巻取姿勢に戻すためにロータ本体16に装着されたベール反転機構18とを有している。 【0025】ロータ本体16は、リールボディ2aにスプール軸15回りに回転自在に装着された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1及び第2ロータアーム31,32とを有している。円筒部30と両ロータアーム31,32とは、たとえばマグネシウム合金製であり一体成形されている。 【0026】円筒部30の前部には前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボス部33aが形成されている。ボス部33aの中心部には貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニオンギアの前部12a及びスプール軸15が貫通している。前壁33の前部にロータ3の固定用のナット13が配置されている。 【0027】第1及び第2ロータアーム31,32は、図2〜図4に示すように、円筒部30の後部外周面にそれぞれ配置された第1及び第2接続部31a,32aと、第1及び第2接続部31a,32aからそれぞれ外方に凸に湾曲しつつ前方に延びる第1及び第2アーム部31b,32bと、両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bとの両外方部分をそれぞれ覆う第1及び第2カバー部材31c.32cとを有している。第1及び第2接続部31a,32aは、円筒部30と周方向に滑らかにそれぞれ連続して形成されている。 【0028】第1及び第2アーム部31b,32bは、第1及び第2接続部31a,32aと滑らかに連続して形成され円筒部30と間隔をあけて前方に延びている。第1及び第2アーム部31b,32bは、先端部から円筒部30との接続部分に向けて滑らかに湾曲している。両接続部31a,31bと両アーム部31b,32bとの両外方部分には、開口31d,32dがそれぞれ形成されており、第1及び第2カバー部材31c,32cは、開口31d,32dをそれぞれ外周側から塞いでいる。この第1カバー部材31cと第1接続部31a及び第1アーム部31bとの間には、収納空間48が形成されている。 【0029】第1アーム部31bの先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第1アーム部31bには、図4に示すように、ベール反転機構18を装着するための長孔36と、第1ベール支持部材40を揺動自在に装着するためのねじ孔付きのボス部38とが形成されている。 【0030】第2アーム部32bの先端内周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。第1ベール支持部材40は、第1アーム31bのボス部38にねじ込まれた取付ピン39により第1ロータアーム31に取り付けられる。この取付ピン39は引っかかりが少ない六角孔付きボルトからなり、その頭部に釣り糸が引っかかりにくくなっている。 【0031】第1ベール支持部材40の先端には、図3に示すように、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41と、ラインローラ41を挟んで第1ベール支持部材40に固定された固定軸カバー47とが装着されている。ラインローラ41は、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されている。固定軸カバー47は、先端がとがった変形円錐形状である。固定軸カバー47の先端部と第2ベール支持部材42との間には線材を略U状に湾曲させた形状のベール43が固定されている。これらの第1及び第2ベール支持部材40,42、ラインローラ41、ベール43及び固定軸カバー47により釣り糸をスプール4に案内するベールアーム17が構成される。ベールアーム17は、図3(a)に示す糸案内姿勢と、図3(b)に示す糸案内姿勢から反転した糸開放姿勢との間で揺動自在である。 【0032】〔ベール反転機構の構成〕ベール反転機構18は、第1ロータアーム31の収納空間48内に配置されている。ベール反転機構18は、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸案内姿勢にロータ3の回転に連動して復帰させるとともに、両姿勢でその状態を保持する。 【0033】ベール反転機構18は、図3〜図6に示すように、収納空間48内で第1アーム部31bに揺動自在に装着されたトグルばね機構50と、収納空間48内に略前後移動自在に装着された移動部材51と、移動部材51に接触可能にフランジ部2dに着脱自在に装着された切換部材52と、ロータ3を制動するための制動部材65を有するロータ制動機構54とを有している。 【0034】トグルばね機構50は、図3に示すように、ベールアーム17が糸巻取姿勢となる第1位置と糸開放姿勢となる第2位置とを取り得るように第1ロータアーム31内に配置され、ベールアーム17を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに保持するための機構である。トグルばね機構50は、一端が第1ベール支持部材40に形成された係止され、他端が第1アーム部31bに沿って延びるロッド55と、ロッド55を進出側に付勢するコイルばね57とを有している。 【0035】ロッド55は、図4に示すように、先端に第1ベール支持部材40の係合穴40aに係止されるように第1ベール支持部材40に向けて折れ曲がった係止部55aを有している。また、ロッド55は、中間部にコイルばね57の先端部を係止するための係止突起55bを有し、後端部に僅かに湾曲した湾曲部55cを有している。係止突起55bには、コイルばね57の先端が当接するワッシャ56が装着されており、これにより、コイルばね57の先端部からロッド55に力が均一に伝達される。 【0036】コイルばね57は、アーム部31bに装着された、たとえばナイロン66などの合成樹脂製の案内シート34に接触して案内される。案内シート34は、コイルばね57の一側面を案内するとともに基端部を係止するように折れ曲がった壁面部34aを有している。壁面部34aは、コイルばね57の側部及び基端部に接触し得る高さを有している。これにより、コイルばね57が伸縮しやすくなるとともに、コイルばね57が伸縮する際にアーム部31bが傷つかなくなる。 【0037】コイルばね57のワッシャ56に係止される先端部は他の部分より巻径が小さくなっている。これにより先端部以外でコイルばね57とロッド55との間で大きな隙間が生じ、コイルばね57の内部でロッド55が姿勢を変えてもコイルばね57が変形しにくくなる。なお、コイルばね57の基端部内周面に接触するボス部や基端部外周面を覆うカバー部等を設けてコイルばね57の基端部を係止するようにしてもよい。また、これらのボス部やカバー部を第1ベール支持部材40の揺動軸と平行な軸回りに揺動するようにアーム部31bに装着してもよい。たとえば、ボス部の基端面に円弧凸部を形成するとともにアーム部31b内に円弧凸部に係合する円弧凹部を形成し、これによりボス部を揺動自在に構成することが考えられる。 【0038】このような構成のトグルばね機構50は、揺動軸の軸芯であるコイルばね57と基端の中心位置と第1ベール支持部材40の揺動軸芯(取付ピン39の軸芯)とを結ぶ線分Fに対して、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とでロッド55の第1ベール支持部材40に対する係止位置が異なる方向に位置するように配置されている。これにより、トグルばね機構50は、ベールアーム17を両姿勢に振り分けて付勢して両姿勢で保持できる。 【0039】移動部材51は、たとえば、ステンレス合金などの金属製の線材の両端を90度異なる方向に折り曲げて形成された部材である。移動部材51は、図3(a)に示す離反位置と図3(b)に示す接触位置とに、第1アーム部31bに略前後移動自在に装着されている。移動部材51は、図3〜図6に示すように、その先端部51aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持部材40に形成された係合凹溝40bに係止されている。中間部51bは、ロッド55より径方向内側で第1アーム部31bに沿って延びている。後端部51cは、中間部51bから内周側に折り曲げられ、さらにロータ3の中心に向けて折り曲げられている。後端部51cは、長孔36を貫通して円筒部2eの基端部に装着された制動部材65の前端面に対向する位置まで内方に延びている。この後端部51cの先端には、先端が球状に丸められたキャップ58がたとえば圧入により固定されている。キャップ58に隣接して後端部51cにはローラ59が回転自在に装着されている。ローラ59は、切換部材52に接触可能な位置に配置されている。この結果、キャップ58が制動部材65に接触可能である。 【0040】長孔36の幅は、移動部材51の直径とほぼ同じ寸法である。このため、移動部材51の後端部51cは、ベールアーム17の揺動に連動して長孔36に沿って前後に移動する。 【0041】移動部材51の係合凹溝40bでの係止端は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、後端部51cとベールアーム17の揺動中心とを結ぶ線分より糸巻取姿勢側に位置している。つまり、移動部材51は、接触位置(図3(b))にあるときの後端部51cの軸芯と第1ベール支持部材40の揺動軸芯とを結ぶ線分から同じ方向に離反位置と接触位置とで第1ベール支持部材40への係止位置が存在するように配置されている。これにより、移動部材51の後端部51cが切換部材52により押圧されたとき、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢側に復帰させることができる。この接触位置にあるとき、キャップ58の先端は、制動部材65の前端面より奥側で外周面よりやや内方に食い込んでいる。このため、移動部材51の移動量が僅かに変動しても常に同じ制動力が得られる。 【0042】切換部材52は、たとえばナイロン66やポリアセタールなどの合成樹脂製の部材であり、図5及び図6に示すように、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分でフランジ部2dに着脱自在に装着されている。リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、矩形の切り欠き53が形成されている。切換部材52は、2つの傾斜面60a,60bを有する山形のカム部60と、カム部60と一体形成されたくびれ部61と、鍔部62とを有している。傾斜面60aは、図6に矢印で示すロータ3の糸巻取回転方向の下流側が上流側によりロータ3に向けて前方に突出する傾斜面である。傾斜面60bは、傾斜面60aの突出部分から糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する傾斜面である。くびれ部61は、切り欠き53にはめ込まれる大きさを有しており、フランジ部2dの肉厚と略同じ寸法の隙間をカム部60と鍔部62との間に形成している。鍔部62は、くびれ部61より大きな断面を有しており、フランジ部2dの裏面に接触する。この傾斜面60bを設けると、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、無理に逆転(糸繰り出し方向の回転)が加わって移動部材51が切換部材52に接触しても、ベール反転機構18の移動部材51が傾斜面60bで切換部材52に滑らかに案内され、損傷しにくくなる。なお、このような2つの傾斜面60a,60bを有する切換部材52は、リール本体2と一体形成された切換部にも適用できる。 【0043】このように構成された切換部材52は、リールボディ2aに蓋部材2bを装着するとき、たとえばリールボディ2a側の切り欠き53にくびれ部61をはめ込み、蓋部材2bをリールボディ2aにビス止めするだけで、リール本体2に固定できる。このため、固定のための別の部材を用いずに簡単にリール本体2に切換部材52を固定できる。また、リール本体2が腐食しやすいマグネシウム合金製であっても、移動部材51が接触する切換部材52はリール本体2と別部材であるので、ベールアーム17が反転するときにリール本体2が傷つくことがない。このため、傷による腐食の進行を防止できる。さらに、リール本体2に装着される切換部材52は、誘電体である合成樹脂製であるため、切換部材52をリール本体2に接触させてもリール本体2が電解腐食しない。 【0044】ロータ制動機構54は、糸開放姿勢にベールアーム17が揺動したときロータ3を制動するものであり、移動部材51と、円筒部2eの基端部に装着された制動部材65とを有している。すなわち、移動部材51は、ベール反転機構18を構成するとともに、ロータ制動機構54も構成する。 【0045】制動部材65は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、ロータ3の回転を制動するために設けられている。制動部材65は、断面が矩形の、たとえばスチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコーン‐ゴム、ウレタン‐ゴム等の合成ゴムからなる弾性体製のリング状の部材である。制動部材65の外周面には、切換部材52を回避する部分を除いて平坦な円周面で構成された制動面65aが形成されている。制動部材65は、断面がD字状の円筒部2eの基端外周面に装着されている。したがって、制動部材65は、正面視D字状に装着されている。この制動部材65の直線部は、切換部材52を迂回するために設けられている。制動部材65の制動面65aの先端端縁には、導入面65bが制動面65aと連続して形成されている。導入面65bは、糸開放姿勢への揺動に連動した移動部材51の移動方向上流側が下流側より遠ざかるように形成されており、本実施形態では、制動面65aと連続して丸みをおびたアール面で形成されている。このように制動面65aに連続して傾斜した導入面65bを形成すると、移動部材51が制動部材65に接触するとき、移動部材51に装着された丸みを帯びたキャップ58が制動部材65の導入面65bを経て制動面65aに滑らかに接触する。このため、ベールアーム17の姿勢の切り換えがスムーズになる。円筒部2eの外周面には、フランジ部2dと間隔を隔てて環状突起2fが形成されており、制動部材65は、フランジ部2dと環状突起2fとの間に両者に接触して装着されている。 【0046】このような構成のベール反転機構18では、トグルばね機構50は、図3(a)に示すような第1位置と、図3(b)に示すような第2位置とをとることが可能である。第1位置は、ベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置はベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。また、移動部材51は、図3(a)に示す第1位置(離反位置)と、図3(b)に示す第2位置(接触位置)とに後端部51cが長孔36に案内されて前後移動することができる。この第1位置(離反位置)が糸巻取姿勢に対応し、第2位置(接触位置)が糸巻取姿勢に対応する。第2位置(接触位置)では、移動部材51の後端部51cに装着されたキャップ58が制動部材65の前端面より奥側で制動面65aが僅かに圧縮されるように接触する。このため、移動部材51の移動位置、つまり第2位置(接触位置)が軸方向に変動しても制動力は変動しない。 【0047】また、第2位置(接触位置)でハンドル1の操作によりロータ3が糸巻取方向に回転すると、移動部材51の後端部51cに装着されたローラ59の周面は切換部材52の傾斜面60aに衝突して回転し、移動部材51は第1位置(離反位置)に向けて前方に押圧される。この衝突時にローラ59が切換部材52と衝突するので、衝突後にローラ59が回転して切換部材52と転がり接触する。このため、切換部材52とローラ59とが衝突してもいずれも傷つきにくくなりかつ転がり接触するので摩擦力が大きくなることもない。したがって、ベールアーム17を糸巻取姿勢にスムーズに復帰させることができるようになる。 【0048】ロータ3の円筒部30の内部には、図2に示すように、ロータ3の逆転を禁止・解除するための逆転防止機構70が配置されている。逆転防止機構70をローラ型のワンウェイクラッチを有しており、ワンウェイクラッチを作用状態と非作用状態とに切り換えることにより、ロータ3の逆転を禁止・解除する。 【0049】スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機構71を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に一体で形成されたフランジ部4cとを有している。 【0050】〔リールの操作及び動作〕キャスティング時には逆転防止機構70によりロータ3を逆転禁止状態にしてベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17を糸開放姿勢に反転させると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は後方側に倒れ、ベール反転機構18は、図3(b)に示すような第2位置に配置される。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。 【0051】この糸巻取姿勢から糸開放姿勢への揺動において、トグルばね機構50では、第1ベール支持部材40の回転によってロッド55が図3(a)において徐々に退入しつつ反時計方向に揺動し、図3(b)に示す第2位置にいたる。このとき、死点を超えるまでは退入する。死点を超えると、ロッド55がコイルばね57の付勢力により進出してベールアーム17を糸開放姿勢側に切り換えるとともにその姿勢で保持する。 【0052】ベールアーム17が糸開放姿勢に揺動すると、この揺動に伴って移動部材51は離反位置から接触位置に移動し、移動部材51の後端部51cに装着されたキャップ58は制動部材65に弾性的に接触する。この結果、ロータ3が制動されその回転位相を保持する。しかし制動部材65と弾性的に接触して摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3を手で回転させたりハンドル1により回転させたりすれば簡単に回転位相を調整できる。すなわち、ロータ3が摩擦力により制動され回転位相が維持されるので、ベールアーム17を糸開放姿勢にしたときにロータ3が回転することはない。したがって、キャスティング時やサミング時にロータ3の不意の回転による不具合を解消できる。しかも、ロータ3は摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3に力を加えれば簡単に回して回転位相を調整することができる。 【0053】この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1をたとえば左手で糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻取方向に回転する。ロータ3が糸巻取方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構18により糸巻取姿勢に復帰する。 【0054】具体的には、図5及び図6において、移動部材51がロータ3とともに時計方向に回転する。すると、移動部材51の後端部51cに装着されたローラ59がリール本体2側に固定された切換部材52の傾斜面60aに当接する。これにより、移動部材51が前方に押圧され、図6に二点鎖線で示す離反位置に切り換えられ、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢に揺動させる。これに伴ってトグルばね機構50のロッド55が図3(b)に示す第2位置から図3(a)に示す第1位置に向けて揺動する。そして、死点を超えると、コイルばね57の付勢力よりロッド55が進出し、ベールアーム17を糸巻取姿勢に切り換えるとともにその姿勢で保持する。ベールアーム17が糸巻取姿勢に復帰すると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は、図1及び図2に示すように、それぞれ前方側に起立している。ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻ると、ベールアーム17により釣り糸がスプール4に案内されてスプール4の外周に巻き付けられる。 【0055】〔実施形態2〕前記実施形態1では、前後移動する移動部材51により移動機構を構成したが、スプール軸15と平行な軸周りに揺動する戻しレバー151を含む移動機構でもよい。 【0056】ベール反転機構18は、図7〜図9に示すように、収納空間48内で第1アーム部31b及び第1カバー部材31cに揺動自在に装着された第1トグルばね機構150と、第1接続部31aの後面に揺動自在に装着された戻しレバー151と、戻しレバー151を保持する第2トグルばね機構152と、リールボディ2aの前部のフランジ部2dに形成された切換部材153とを有している。 【0057】第1トグルばね機構150は、ベールアーム17が糸巻取姿勢となる第1位置と糸開放姿勢となる第2位置とを取り得るように第1ロータアーム31内に配置され、ベールアーム17を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに保持するための機構である。第1トグルばね機構150は、一端が第1ベール支持部材40に係止され、他端が第1アーム部31bに沿って延びる第1ロッド155と、第1ロッド155が進退自在に装着されるとともに第1アーム部31bに中間部が揺動自在に取り付けられた第1ガイド部材156と、第1ロッド155を進出側に付勢する第1コイルばね157と、第1ロッド155を少なくとも揺動途中で揺動方向に係止可能に第1ガイド部材156に移動不能に装着された係止部材158とを有している。 【0058】第1ロッド155は、図7に示すように、その先端部155aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持部材40に形成された係合穴40aに係止されている。また第1ロッド155の外周面には、ばね係止用の突起部155bが形成されている。 【0059】第1ガイド部材156は前端が開口する有底角筒状の部材であり、第1アーム部31bに形成された装着孔37a及び第1カバー部材部31cに形成された装着穴37bに係合する両外方に突出する揺動軸156a,156bを軸方向の中間部に有している。揺動軸156a,156bは、ロータ3の径方向に沿って配置されており、第1ガイド部材156は、揺動軸156a,156bを中心に第1ロータアーム31に揺動自在に取り付けられている。第1ガイド部材156の後端部(図5右端部)には、戻しレバー151が係合する係止突起156cが後方に突出して形成されている。 【0060】係止部材158は、第1ガイド部材156の外側面(図5の上面)に移動不能に固定された板状の部材である。係止部材の前端部は、第1ガイド部材156の前端部より前方に延びている。この延びた先端に係止溝159が形成されている。係止溝159は、第1ロッド155の折り曲げられた先端部155aを第1ガイド部材156の揺動方向に係止する溝であり、第1ロッド155の進退方向に沿って形成されている。この係止溝159の長さは、第1トグルばね機構150の死点位置近傍で第1ロッド155を係止可能な長さであり、ボス部38との干渉等を考慮して決定される。具体的には、ベールアーム17の揺動時の第1ロッド155の死点位置から最大移動位置までの長さに対して死点位置から10%から50%の長さである。特に、ベールアーム17を戻しやすくするために死点位置を糸開放姿勢側に偏倚させた場合には、糸開放姿勢側の第1位置にあるとき、第1ロッド155が係止部材158に係止されるような長さが好ましい。 【0061】ここで、死点位置とは、第1ベール支持部材40の揺動中心と、第1トグルばね機構150の揺動中心(第1ガイド部材156の揺動中心)と、第1ロッド155と第1ベール支持部材40との係止位置とが一直線上に並んだ位置をいう。このとき、第1ロッド155は、第1ガイド部材156に最も退入し、第1コイルばね157は、最も収縮する。 【0062】係止部材158の後端部には、第1ガイド部材156の両側面に沿って延びる1対の取付片158a,158bが形成されている。また、中間部に揺動軸156bにはめ込まれる嵌合穴158cが形成されている。この取付片158a,158b及び嵌合穴158cによって係止部材158は、第1ガイド部材156に移動不能に固定されている。 【0063】このような構成の第1トグルばね機構150は、図8(a)に示すような第1位置と、図8(b)に示すような第2位置とをとることが可能である。第1位置は、ベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置はベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。 【0064】戻しレバー151は、図7及び図9に示すように、第1接続部31aの後面に形成されたボス部35aにロータ回転平面と平行な面内で揺動自在に取り付けられている。戻しレバー151は、第1トグルばね機構150の第1ガイド部材156の係止突起156cを係止する係止用切欠き151aと、第2トグルばね機構152の係止用の孔151bと、ロータ回転軸心側に突出可能な突出部151cとを有している。係止用切欠き151aと第1ガイド部材156の係止突起156cとの間には隙間が形成されている。このように隙間が形成されているので、第1ガイド部材156と戻しレバー151との位置が切り換えられた際に両者による衝突音が発生する。これにより、ベールアーム17の姿勢が切り換えられたことを操作者に確実に報知することができる。突出部151cには、ローラ154が回転自在に装着されている。ローラ154は、突出部151cの後面(図9の裏面側)に突出して形成された取付ピン151dに回転自在に装着されており、切換部材153の傾斜面153aに接触可能である。このようなローラ154もローラ59と同様に切換部材153への衝突後に回転するので、切換部材153を傷つけにくくなる。 【0065】戻しレバー151の突出部151cに接触可能に、断面が矩形のリング状の弾性部材からなる制動部材65が円筒部2eに装着されている。制動部材65は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、ロータ3の回転を制動するために設けられている。突出部151cの先端部は、戻しレバー151の揺動中心を中心とする半径Rの円弧状に形成されている。このように突出部151cを円弧状に形成することで、制動時にロータ3を回転させたときに、がたつきにより戻しレバー151が多少揺動しても、突出部151cが制動部材65に対して常に同じ量だけ外周側から食い込むので接触状態が変化しにくい。このため、ロータ3を手で回しても制動力が変動しにくくなり安定した制動力が得られる。 【0066】第2トグルばね機構152は、戻しレバー151を第1位置と第2位置とに保持するための機構であり、戻しレバー151を介して第1トグルばね機構150を第1位置と第2位置とに保持している。第2トグルばね機構152は、戻しレバー151に係止された第2ガイド部材161と、第2ガイド部材161に一端が収納され他端がロータ3に揺動自在に取り付けられた第2ロッド162と、第2ガイド部材161を戻しレバー151側に付勢する第2コイルばね163とを有している。なお、第2ガイド部材161及び第2コイルばね163は、ロータ回転平面と平行な面内で移動する。 【0067】このような戻しレバー151及び第2トグルばね機構152の構成では、第2ガイド部材161及び第2コイルばね163によって、戻しレバー151は図9に二点鎖線で示す第1位置と実線で示す第2位置とをとり得る。第1位置は第1トグルばね機構150の第1位置及びベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置は第1トグルばね機構150の第2位置及びベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。 【0068】切換部材153は、合成樹脂製の部材であり、図9に示すように、実施形態1と同様な形態でリールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分に挟持されている。切換部材153は、制動部材65の外周側に配置され、制動部材65をほぼ円環状に配置可能である。切換部材153は、ロータ3の糸巻取回転方向下流側が上流側より径方向外方に突出した傾斜面153aを有する。この切換部材153は、戻しレバー151がロータ3とともに回転してきた際に、戻しレバー151の突出部151cに当接可能である。 【0069】〔リールの操作及び動作〕キャスティング時には逆転防止機構70によりロータ3を逆転禁止状態にしてベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17を糸開放姿勢に反転させると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は後方側に倒れ、図8(b)に示すような第2位置に配置される。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。 【0070】この糸巻取姿勢から糸開放姿勢への揺動において、第1トグルばね機構150では、第1ベール支持部材40の回転によって第1ロッド155が図8(a)において徐々に退入しつつ反時計方向に揺動し、図8(b)に示す第2位置にいたる。このとき、死点を超えるまでは退入し死点を超えると進出する。そして退入工程において、係止部材158に第1ロッド155が係止されるまでは、第1ロッド155から第1コイルばね157を介して力が第1ガイド部材156に間接的に伝達され、これに伴って第1ガイド部材156は押圧されて揺動中心Aを中心に反時計方向に揺動する。死点付近で第1ロッド155が係止部材158に係止されると、第1ロッド155から係止部材158を介して第1ガイド部材156に力が直接伝達される。死点を超えると、第1ロッド155が第1コイルばね157の付勢力により進出してベールアーム17を糸開放姿勢側に切り換えるとともにその姿勢で保持する。 【0071】ここでは、係止部材158が、第1ガイド部材156に移動不能に設けられているとともに第1ロッド155を揺動方向に係止するので、係止部材158を介して第1ロッド155が第1ガイド部材156を押圧するとき、第1ロッド155から第1ガイド部材156に力が効率よく伝達される。このため、揺動時の剛性感が向上し揺動フィーリングが向上する。 【0072】第1ガイド部材156が第2位置に揺動すると、この揺動に伴って戻しレバー151が、図9において時計方向に揺動し、実線で示す第2位置となる。戻しレバー151は、この状態において第2トグルばね機構152によって保持されている。 【0073】この第2位置に戻しレバー151が揺動すると、図9に示すように、戻しレバー151の突出部151cがロータ回転軸心側に突出し制動部材65に弾性的に接触する。この結果、ロータ3が制動されその回転位相を保持する。しかし制動部材65と弾性的に接触して摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3を手で回転させたりハンドル1により回転させたりすれば簡単に回転位相を調整できる。すなわち、ロータ3が摩擦力により制動され回転位相が維持されるので、ベールアーム17を糸開放姿勢にしたときにロータ3が回転することはない。したがって、キャスティング時やサミング時にロータ3の不意の回転による不具合を解消できる。しかも、ロータ3は摩擦により制動されているだけであるので、ロータ3に力を加えれば簡単に回して回転位相を調整することができる。 【0074】この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1をたとえば左手で糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻取方向に回転する。ロータ3が糸巻取方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構18により糸巻取姿勢に復帰する。 【0075】具体的には、図9において、戻しレバー151がロータ3とともに反時計方向に回転する。すると、戻しレバー151の突出部151cに装着されたローラ154がリール本体2側に固定された切換部材153に衝突する。これにより、戻しレバー151は蹴り上げられて二点鎖線で示す第1位置に切り換えられる。このとき、衝突後にローラ154が切換部材153に回転しながら接触するので、切換部材153が傷つきにくくなる。 【0076】戻しレバー151の第1位置への切換に伴って第1トグルばね機構150の第1ガイド部材156が図8(b)に示す第2位置から図8(a)に示す第1位置に揺動する。この揺動途中では、係止部材158に第1ロッド155が係止されているので、第1ガイド部材156から第1ロッド155に力が効率よく伝達される。そして、死点を超えると、第1コイルばね157の付勢力より第1ロッド155が進出し、ベールアーム17を糸巻取姿勢に切り換えるとともにその姿勢で保持する。 【0077】このとき、第1トグルばね機構150の第2位置では、第1ロッド155は死点より僅かに糸開放姿勢側に位置しているので、戻しレバー151から少しの力を与えるだけで第1位置側に移行する。また、戻しレバー151はロータ回転平面内で回転するので、ロータ3の回転力がそのまま効率良く戻しレバー151に伝えられる。したがって、ハンドル操作時には小さい力でベールを糸開放姿勢から糸巻取姿勢側に切り換えることが可能となる。しかも、糸開放姿勢からの揺動開始時に第1ロッド155が係止部材158に係止されているので、力が効率よく伝達され、第1トグルばね機構150での遊びが少なくなり、ベール反転動作が剛性感があるカッチリした動作になる。 【0078】ベールアーム17が糸巻取姿勢に復帰すると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は、図1及び図2に示すように、それぞれ前方側に起立している。この状態では、第1トグルばね機構150では、第1ガイド部材156は図8(a)に示すように第1コイルばね157によって時計方向に揺動し、第1ロッド155は進出した状態となっている。このとき、力が効率よく第1ガイド部材156から第1ロッド155に伝達されるため、死点位置を従来より糸巻取姿勢側に偏倚させてもベールアーム17を瞬時に糸巻取姿勢に戻すことができる。したがって、糸巻取姿勢時の第1トグルばね機構150の付勢力を増加させることができ、糸巻取姿勢の時にベールアーム17を保持する力を高く維持できる。 【0079】また、この糸巻取姿勢では、戻しレバー151は図9に二点鎖線で示す第1位置に位置しており、この状態が第2トグルばね機構152によって保持されている。なおこの状態では、戻しレバー151の突出部151cはロータ外周側に退避しており、ロータ3が回転しても突出部151cが切換部材153に当接することはない。 【0080】ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻ると、ベールアーム17により釣り糸がスプール4に案内されてスプール4の外周に巻き付けられる。 〔他の実施形態〕 (a)前記実施形態では、移動する移動部材51や戻しレバー151にローラを装着したが、固定された切換部材側に転動するローラ又はコロ等の転動部材を設けてもよい。この場合、転動部材を複数設けると、移動部材51や戻しレバー151が衝突した後に移動するときに動きがさらにスムーズになる。また転動部材として循環移動する無端ベルトを用いてもよい。 【0081】(b)前記実施形態では、ベール反転機構18を第1ロータアーム31側に装着したが、第2ロータアーム32側に装着してもよい。 (c)前記実施形態1では、移動部材51を制動部材65の外周面に接触させていたが、制動部材65の前端面に接触させるようにしてもよい。 【0082】 【発明の効果】本発明によれば、移動機構と切換部との衝突時に移動機構及び切換部のいずれか一方の接触部分に設けられた転動部材が他方と衝突するので、衝突後に転動部材が回転して他方と転がり接触する。このため、移動機構又は切換部と転動部材とが衝突してもいずれも傷つきにくくなりかつ転がり接触するので摩擦力が大きくなることもない。したがって、ベールアームを糸巻取姿勢にスムーズに復帰させることができるようになる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002439 【氏名又は名称】株式会社シマノ
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| 【出願日】 |
平成13年4月16日(2001.4.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094145 【弁理士】 【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−306032(P2002−306032A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月22日(2002.10.22) |
| 【出願番号】 |
特願2001−116313(P2001−116313) |
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