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【発明の名称】 釣り竿用積層管の製造方法及び釣り竿用積層管
【発明者】 【氏名】重藤 秀俊

【要約】 【課題】樹脂量が少なく軽量で、中空円筒部と中実円錐部との一体感の高く、且つ、製造工程において作業者の環境を向上させる釣り竿用積層管の製造方法及び釣り竿用積層管の提供。

【解決手段】釣り竿用積層管1は、基部をなす中空円筒部10と先端部をなす中実円錐部20とからなる。中空円筒部10は、急テーパ部12と、内層11A、外層11Bからなる二層構造をした緩テーパ部11とにより構成されている。内層11Aは、芯金の周方向に積層されたプリプレグシートにより構成されており、プリプレグシート中の補強繊維は軸方向と周方向とに指向する。外層11B、急テーパ部12及び中実円錐部20は、芯金の軸方向に配置された連続するヤーンプリプレグにより一体に構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端を急テーパの円錐形状に形成した芯金の外周の緩テーパ部に高強度・高弾性補強繊維を少なくとも該芯金の周方向に巻回し、該巻回層の外周の基部から先端よりも先まで該芯金の軸方向に合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束を複数本配置して軸方向繊維層を形成し、該軸方向繊維層の外周に加圧テープを巻回して加熱硬化させ後に該加圧テープを除去すると共に該芯金を脱芯して仕上げ加工をすることを特徴とする釣り竿用積層管の製造方法。
【請求項2】 基部の中空円筒部と先端部中実円錐部とを一体に形成してなる釣り竿用積層管において、前記中空円筒部の内周は、周方向及び軸方向に高強度・高弾性補強繊維を配向させたプリプレグシート或いはプリプレグテープの巻回層からなり、前記中空円筒部の外周及び前記先端部中実円錐部は、基端から先端に亘って軸方向に配向された高強度・高弾性補強繊維樹脂層からなることを特徴とする釣り竿用積層管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は釣り竿用積層管の製造方法及び釣り竿用積層管に関し、特に先端部が中実円錐部、基部が中空円筒部からなる釣り竿用積層管及び釣り竿用積層管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一本もののルアー竿や、継竿を構成する穂先竿としては、中空円筒部たる基部と中実円錐部たる先端部とが一体に設けられた釣り竿用積層管により構成されるタイプが知られている。
【0003】特開平8−332002号公報にはこのタイプの釣り竿用積層管が記載されている。図3に示されるように、釣竿を構成する中空円筒部110たる基部は、図示せぬ基端から先端110Aへ向かって細くなる緩いテーパを有している。先端の中実円錐部120には、その底面から円錐の軸方向であって円錐から離間する方向に同軸的に突出する円柱部120Aを有しており、円柱部120Aの直径は、中空円筒部110の先端の内周の直径に一致する。
【0004】一般に、このタイプの積層管101は、以下の方法により製造される。中空円筒部110は、次の工程により製造される。先ず、一端から他端へ向かって大径となるように緩いテーパをもたせた図示せぬ芯金の外周面に、フッ素等の離型剤を塗布する。次に、離型剤の塗布された芯金の外周に、バインダーとしての熱硬化性合成樹脂を補強繊維に含浸させて半乾燥させた図示せぬプリプレグを、所望の量だけ巻回し積層する。
【0005】次に、巻回し積層したプリプレグの外周面に、加圧テープを加圧テープの両側面が重なり合うように螺旋状に巻回し、加熱炉内に吊下げて加熱して熱硬化性合成樹脂を溶融・硬化させ、最後に、加圧テープを剥離し、芯金を抜き去り、両端を所定の位置で切断し、外周面を研磨する仕上げ加工をすることにより、中空円筒部110が製造される。
【0006】中実円錐部120は、繊維補強合成樹脂からなる図示せぬ円柱体の外周面を切削加工して、中実円錐部120の形状とすることにより製造されるか、または、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性合成樹脂液中に浸漬させた炭素繊維や硝子繊維等からなる補強繊維を、内面が略円錐状をした型内に引込んで加熱硬化させ、硬化後に型内から引出すことにより製造される。
【0007】最後に、中実円錐部の120円柱部120Aが、中空円筒部110の先端部110Aから中空円筒部110内に挿入され、中空円筒部110に接着されることによって、中空円筒部110と中実円錐部120とが一体となり、釣り竿用積層管101が製造される。
【0008】このタイプの釣り竿用積層管の製造方法においては、中実円錐部120の中空円筒部110への接着工程が必要であり、また、積層管101の使用頻度が多くなると、接着した部分が剥離し積層管101の破壊につながるという問題が生じていた。また、中実円錐部120の円柱部120Aが接着されている中空円筒部110の部分に、たわみ時の応力が集中して破損しやすく、竿先の重量増に伴う持ち重りの原因になるのみならず、竿調子がでなくなるといった問題も生じていた。また、この部分の周方向の補強が不足すると割れが発生してしまうといった問題も生じていた。
【0009】特公昭37−12812号公報には、緩いテーパを有する略円柱形状の芯金の外周に、補強繊維からなるヤーンを周方向へほぼ密に巻回させた後に、芯金の軸方向に芯金の一端よりも所定の距離だけ離間した位置まで、直前にタンク内の熱硬化性合成樹脂溶液に浸漬されヤーンに付着した樹脂をシゴキとるための伸縮自在のゴム板に通されて余分な樹脂が除去された補強繊維からなる複数本のヤーンを配置させ、後に加熱することによりヤーンに含浸した熱硬化性合成樹脂を硬化させ、外周面の研磨を行う仕上げ加工を行う他の製造方法が開示されている。芯金の先端は、棒が切断されたような所定の半径を有する断面となっているため、芯金の先端よりも先は芯金が存在しておらず、芯金の軸方向に配置されるヤーンは、その部分、即ち、中実円錐部となる部分において芯金の半径方向内方へ入り込むことになり、中空円筒部と中実円錐部とが接続されている部分に段差が生じる。仕上げ加工にて、この段差を削り取るとこの部分の強度をすこぶる低下させることになる。
【0010】しかし、特公昭37−12812号公報記載の積層管の製造方法では、熱硬化性合成樹脂の溶液にヤーンを浸積した後に芯金上に配置するため、溶媒が積層管内に多量に含まれ、硬化時に気泡となり、製造された積層管内部へ気泡が多数残存し、積層管が破損し易かった。
【0011】また、熱硬化性合成樹脂の溶液にヤーンを浸積した直後に余分な樹脂をゴム板で除去していたが十分に除去することができず、製造された積層管の樹脂量重量比率は多くなって、重い積層管しか得られないため操作性が悪かった。
【0012】また、熱硬化性合成樹脂の溶液へヤーンを浸積するためヤーン1本ずつへ一定の張力をかけることができず、製造された積層管内部でヤーンが上下左右に蛇行した状態になってしまい、曲げ剛性や曲げ強力が一定にならないため積層管が破損しやすいといった問題や、ヤーンが丸くなろうとするため厚さが一定にならず、製造された積層管の表面に凹凸ができ、外層のヤーンが屈曲し、曲げ剛性、曲げ強力が低下し不安定であるといった問題が生じていた。
【0013】また、このタイプの釣竿用積層管の製造方法においては、必要とされる竿の曲げ強力や曲げ剛性から積層管の基端の肉厚を設定し、積層管の基端をベースに芯金の軸方向に配置されるヤーンの目付や本数を決定しなければならないので、先端中実円錐部の補強繊維量が増大して、しなやかなたわみ曲線を描く積層管を得にくく、肉厚は芯金の径が大きい元部で薄く、芯金の径が小さい先端部で大きくなっていた。このため、先端部の中実円錐部の外径は不必要に太く重くなり、研磨して廃棄する材料が多く、持ち重りが非常に大きく操作性が悪い竿になっていた。
【0014】また、特公昭37−12812号公報記載の積層管の製造方法では、周方向に巻回するヤーンに代えてプリプレグを使用すると、巻回されたプリプレグに含浸されている樹脂が、溶液中の溶媒によって溶解されてプリプレグ中の補強繊維がばらけてしまうという不具合が発生する問題もある。
【0015】
【本発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、樹脂量が少なく軽量で、中空円筒部と中実円錐部との一体感の高く、且つ、製造工程において作業者の環境を向上させる釣り竿用積層管の製造方法及び釣り竿用積層管を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明による釣り竿用積層管の製造方法は、先端2Dを急テーパ2Aの円錐形状に形成した芯金2の外周の緩テーパ部2Bに高強度・高弾性補強繊維13を少なくとも該芯金2の周方向に巻回し、該巻回層11Aの外周の基部2から先端2Dよりも先まで該芯金2の軸方向に合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束14を複数本配置して軸方向繊維層11Bを形成し、該軸方向繊維層11Bの外周に加圧テープを巻回して加熱硬化させ後に該加圧テープを除去すると共に該芯金2を脱芯して仕上げ加工をする。
【0017】また本発明による釣り用積層管1は、基部の中空円筒部10と先端部中実円錐部20とを一体に形成してなる釣り竿用積層管1において、前記中空円筒部10の内周11Aは、周方向及び軸方向に高強度・高弾性補強繊維を配向させたプリプレグシート13或いはプリプレグテープの巻回層からなり、前記中空円筒部の外周11B及び前記先端部中実円錐部20は、基端から先端1Aに亘って軸方向に配向された高強度・高弾性補強繊維樹脂層からなる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態による釣り竿用積層管1及び釣り竿用積層管1の製造方法について図1乃至図2に基づき説明する。釣り竿用積層管1は、一本もののルアー竿を構成し、図1に示されるように、基部を構成する中空円筒部10と先端部を構成する中実円錐部20とにより構成されている。中空円筒部10は、積層管の図示せぬ基端から先端1Aへ向かって細径となる緩テーパ部11を有し、細径となっている緩テーパ部11の一端よりも積層管の先端寄りの部分は、積層管の図示せぬ基端から先端1Aへ向かって更に細径となる急テーパ部12を有している。釣り用積層管1を構成する中空円筒部10の、細径となっている急テーパ部12の一端から積層管の先端1Aに至る部分は、円錐形状の中実円錐部20により構成されている。従って、中実円錐部20は中空円筒部10の急テーパ部12に一体的に形成されており、急テーパ部12は緩テーパ部11に一体的に形成されている。
【0019】中空円筒部10の緩テーパ部11は内層11Aと外層11Bとからなる二層構造になっている。内層11Aには、プリプレグシート13(図2)を巻回することにより構成されている。プリプレグシート13は、炭素繊維を有するプリプレグシートをガラススクリムクロスで裏打ちしたものを2プライ巻回して2層とすることにより構成されている。具体的には、プリプレグシート13には、03ガラススクリムクロスによって裏打ちされたトレカ3053S−05からなるトレカ3053S−0503を使用している。プリプレグシート13中の炭素繊維は、全て釣り用積層管1の軸方向に指向している。03スクリムクロスを構成するガラス繊維は、軸方向に指向するガラス繊維と周方向に指向するガラス繊維とを織成して形成している。トレカ3053S−05は、炭素繊維重量が55g/m、樹脂量が30WT%であり、03ガラススクリムクロスは、ガラス繊維重量が24g/m、樹脂量が31.4WT%であり、トレカ3053S−0503全体の合計重量は113.6g/mである。プリプレグシート13のトレカ3053S−05、03ガラススクリムクロスには熱硬化性合成樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させて半乾燥させている。プリプレグシート13中のガラス繊維は、周方向に巻回された高強度、高弾性補強繊維に相当する。
【0020】外層11Bは、熱硬化性合成樹脂としてのエポキシ樹脂と炭素繊維束とからなるヤーンプリプレグ14を、釣り竿用積層管1の軸方向に指向させて構成されている。より具体的には、直径が7ミクロンの炭素繊維3000本を一束としたトレカT−700S−24トン炭素繊維3Kにエポキシ樹脂を含浸させて半乾燥させたヤーンプリプレグ14が32本用いられて、外層11Bは構成されている。ヤーンプリプレグ14は、ヤーンサイズが3K、繊維重量が0.198g/m、樹脂量が24WT%、プリプレグ重量が0.261g/m、繊維容積が0.110m/m、樹脂容積が0.050m/m、ヤーンプリプレグの容積が0.160m/m、繊維容積比率が68.6%、弾性率が15,873kg/mmである。外層11Bを構成するヤーンプリプレグ14が配置された後に加圧・加熱され、プリプレグシート13及びヤーンプリプレグ14に含浸されている熱硬化性合成樹脂が硬化されて、外層11B及び内層11Aからなる二層構造の中空円筒部10を形成する。
【0021】軸方向に配置され外層11Bに用いられている32本のヤーンプリプレグ14の各々は、外層11Bに用いられている部分以外の部分が中空円筒部10の急テーパ部12、中実円錐部20として用いられている。即ち、一本のヤーンプリプレグ14の一部は、緩テーパ部11の外層11Bを構成するために用いられ、外層11Bに用いられている部分に先端側で隣接する部分は急テーパ部12を形成するために用いられ、急テーパ部12に用いられている部分に先端側で隣接する部分は中実円錐部20に用いられる。中実円錐部20、中空円筒部10の急テーパ部12は、緩テーパ部11の外層11Bに用いられているヤーンプリプレグ14のみが用いられて構成されている。
【0022】製造した釣り用積層管1の全長は、1800mmであり、基端の内径は6.500mm、外径は7.210mmであり、内層11Aと外層11Bとの境界線からなる面よって規定される、積層管の半径方向の断面の径、即ち、中間径は、6.743mmである。急テーパ部12の、中実円錐部20と接続されている部分の内径は0.400mmである。また、製造された釣竿用積層管の重量は17.7gであり、持ち重り、即ちモーメントは13897g・mmである。
【0023】釣り用積層管1の製造方法で用いられる芯金2は、略棒状をしており、先端側急テーパ部2Aと基部側緩テーパ部2Bと、基部側急テーパ部2Cとにより構成されている。先端側急テーパ部2A及び基部側急テーパ部2Cは円錐形状をしている。先端側急テーパ部2Aの先端は芯金2の先端2Dをなし、基端側急テーパ部の先端は芯金2の基端2Eをなす。芯金2の外径は、先端2Dではφ0.4mm、先端からの距離が50mmの位置ではφ1.9mm、先端からの距離が1500mmの位置、即ち、基部側緩テーパ部2Bと基部側急テーパ部2Cとが接続されている位置ではφ6.5mmである。
【0024】釣り用積層管1の製造に際しては、先ず、芯金2の外周面全体にフッ素等からなる離型剤を塗布する。次に、基部側緩テーパ部2Bに、トレカ3053S−0503を台形状に裁断したプリプレグシート13が、芯金2の周方向に巻回される。芯金2にプリプレグシート13を巻回する際には、プリプレグシート13中の炭素繊維が芯金2の軸方向に指向するように配置する。
【0025】次に、プリプレグシート13が巻回された芯金2上に配置され緩テーパ部11の外層11B、急テーパ部12、及び中実円錐部20をなすヤーンプリプレグ14の本数、目付を決定する。ヤーンプリプレグ14の目付、本数は、製造される釣り用積層管1に要求される曲げ剛性及び曲げ強力に基づいて中実円錐部20の急テーパ部12と接続されている部分の外径を決定し、この外径に加工代を加えた状態の半径方向の断面積から決定する。本実施の形態による釣り用積層管1の製造方法では、本数は32本、用いられるヤーンプリプレグ14は、トレカT−700S−24トン炭素繊維3Kとエポキシ樹脂とにより構成され熱硬化性合成樹脂を24WT%含むものに選定される。
【0026】32本のヤーンプリプレグ14は、プリプレグシート13の巻回された芯金2の周方向に等間隔で、芯金2の軸方向に指向した状態で配置される。ヤーンプリプレグ14は、芯金2の、基端側急テーパ部と基端側緩テーパ部とが接続されている位置から、芯金2の先端側急テーパ部2Aの方向に配置されてゆき、先端側急テーパ部2Aの先端よりも先まで、即ち、芯金2の先端からこの軸方向に離間した所定の位置まで配置される。
【0027】次に、配置したヤーンプリプレグ14の上から、加圧テープを、加圧テープの両側面が重なり合うように螺旋状に巻回する。そして、加熱炉内に吊下げて加熱することにより、プリプレグシート13及びヤーンプリプレグ14を溶融させ、更に硬化させる。この段階における急テーパ部12の、中実円錐部20と接続されている一端の外径は2.584mm、中実円錐部20の、急テーパ部12と接続されている一端の外径は2.55mmであり、外径の差は0.034mmである。急テーパ部12と中実円錐体とは同軸的な位置関係であり釣り用積層管1の半径方向に軸心を中心として線対称の位置関係に2つ形成されているため、外径の差を2で割った値が段差の値であり、段差は0.017mmである。
【0028】最後に、加圧テープを剥離し、芯金2を抜き、所定の位置で積層管の両端を切断し、外周面を研磨加工して、所望の釣り用積層管1の形状とする。
【0029】ヤーンプリプレグ14を軸方向に配置させて、緩テーパ部11の外層11B、急テーパ部12、及び中実円錐部20を構成したため、ヤーンプリプレグ14を構成する熱硬化性合成樹脂の量をヤーンプリプレグ14中で均一となるようにコントロールすることが可能となり、樹脂量を20乃至35%といった低い値にまで任意にコントロールすることができる。このため、竿の大幅な軽量化を図ることができる。また、ヤーンプリプレグ14の乾燥状態を容易に管理できるため、ヤーンプリプレグ14中の溶媒の残存量を1.5%以下にすることが可能となり、釣り用積層管1へ持込む溶媒の量を極端に減少でき、釣り用積層管1の強度の安定、向上を図ることができる。
【0030】また、ヤーンプリプレグ14中のヤーン1本ずつの張力のコントロールが容易となり、芯金2外周へ配置したヤーンの乱れが無くなり、曲げ剛性、曲げ強力の安定化と向上を図ることができる。
【0031】ヤーンプリプレグ14は半乾燥状態であり溶媒がほとんど無いため、芯金2へ前もってプリプレグのシート、プリプレグクロスなどを積層し、その上にヤーンプリプレグ14を配置しても、プリプレグシート13中の補強繊維がばらけない。このため、設計の自由度を向上させることができる。また、釣り用積層管1を製造する工場とは別の換気状態のよい部屋で、前もってヤーンへ樹脂を含浸しヤーンプリプレグ14を製造しておくことができるため、積層管を製造する工場内に熱硬化性合成樹脂と溶媒のタンクを置く必要がなく、作業環境の向上を図ることができる。
【0032】また、プリプレグの厚さを均一とすることができるため、芯金2に巻回された状態のプリプレグ表面に凹凸が生じないようにすることができる。このため、プリプレグの上に配置され外層11Bをなすヤーンプリプレグ14の繊維配列が安定し、品質を向上させることができる。
【0033】また、ヤーンプリプレグ14の目付、本数は、製造される釣り用積層管1に要求される曲げ剛性及び曲げ強力に基づいて中実円錐部20の急テーパ部12と接続されている部分の外径が決定され、この外径により定まる断面積から決定されるようにできるため、仕上げ加工を行う際に、釣り用積層管1の先端を構成するヤーンプリプレグ14からなる部分を、研磨して廃棄するロスを大きく減少することができる。
【0034】また、基部の芯金2径や前もって積層され内層11Aをなすプリプレグシート13の肉厚によって外層11Bの内径が設定され、外層11Bの外径を計算できる。このため、ヤーンプリプレグ14とは異なる種々の弾性率、強度を有するプリプレグシート13等を内層として使用でき、設計の自由度が格段に向上し、大きな軽量化が図れ、持ち重りが無く操作性に優れた竿を得ることができる。
【0035】また、周方向補強材として、プリプレグテープ単体もしくはプリプレグシートへの張り合わせ材を使用できるため積層管の厚さが安定し、品質を安定、向上させることができる。
【0036】また、緩テーパ部11は、内層に炭素繊維・ガラス繊維、外層に炭素繊維を有する二層構造であり、急テーパ部12及び中実円錐部20は、炭素繊維を有しガラス繊維を有していないため、曲がりがスムーズでより先調子の竿を得ることができる。
【0037】また、中空円筒部10の緩テーパ部11をガラス繊維と炭素繊維とが混在した構造としたため、ガラスと炭素との中間の弾性率を得ることができ、軽い竿を得ることができる。また、ガラス繊維等の、炭素繊維の弾性率とは異なる材料を緩テーパ部11に混在・配合させることによって、緩テーパ部11の弾性率をその配合比率により調整して、任意に得ることができる。
【0038】また、芯金2先端外径をφ0.4mm以下としたことにより、中実円錐部20と中空円筒部10との境目に生ずる段差を極度に減少させることができ、仕上げ加工における研磨後の繊維切断等に起因しての破損が防止できる。
【0039】次に、本実施の形態による釣り竿用積層管1の効果を明らかにするために、本実施の形態による釣り竿用積層管1と同等の曲げ剛性及び曲げ強力を有する図示せぬ従来の釣り竿用積層管を、前述の特公昭37−12812号公報に記載の製造方法に基づき製造し比較を行った。
【0040】従来の釣り竿用積層管は一本もののルアー竿であり、本実施の形態による釣り竿用積層管1と類似の構成をしており、中実円錐部と中空円筒部とからなり、中空円筒部は緩テーパ部と急テーパ部とからなる。また、緩テーパ部は外層と内層とからなる二層構造になっている。但し、中実円錐部、中空円筒部の急テーパ部、緩テーパ部の内層、外層に用いられている材料は、本実施の形態による釣り竿用積層管1のものとはそれぞれ異なっている。
【0041】内層には炭素繊維からなるヤーン、より具体的には、直径が7ミクロンの炭素繊維3000本を一束としたヤーンであるトレカT−700S−24トン炭素繊維3Kが周方向に巻回されて螺旋状とされ、ヤーンの両側面が互いに接触した状態とされて用いられている。また、外層には、内層に用いられているヤーンと同一のヤーン36本が、エポキシ樹脂溶液に浸漬され、内層を構成するヤーンの上に周方向に均等の間隔で釣り竿用積層管の軸方向に指向するように配置されている。外層を構成するヤーンが配置された後に加熱され、ヤーンに含浸したエポキシ樹脂が硬化されて、外層及び内層からなる二層構造の中空円筒部をなす。
【0042】エポキシ樹脂溶液に浸漬され外層に用いられた36本のヤーンは、本実施の形態と同様に、それぞれ中空円筒部の急テーパ部及び中実円錐部にも用いられており、ヤーンが配置された後に加熱され、ヤーンに含浸したエポキシ樹脂が硬化されることにより、急テーパ部及び中実円錐部を構成する。
【0043】釣り竿用積層管の全長は、1800mmであり、基端の外径はφ8.734mm、内径は8.000である。急テーパ部の、中実円錐部に接続されている部分の内径は0.800mmである。釣り竿用積層管の重量は24.0gであり、持ち重り、即ちモーメントは19708g・mmである。
【0044】比較される従来の釣り竿用積層管の製造方法は、本実施の形態による釣り竿用積層管1の製造方法とは若干異なる。具体的には、芯金にはプリプレグシートではなくヤーンを周方向に螺旋状に巻回しヤーンの側面が互いに接した状態とし、その上に、ヤーンプリプレグではなく熱硬化性合成樹脂を含浸させたヤーンを芯金の軸方向に配置する点で本実施の形態による釣り竿用積層管の製造方法とは異なる。ヤーンは、本実施の形態におけるヤーンプリプレグが有するヤーンと同一であり、熱硬化性合成樹脂を含浸させた状態のヤーンは、樹脂量が50WT%、重量が0.396g/m、樹脂容積が0.158m/m、ヤーンの容積が0.268m/m、繊維容積比率が41.0%、弾性率が9,487kg/mmである。
【0045】ヤーンの目付や本数は、本実施の形態による釣り竿用積層管の曲げ強力や曲げ剛性の値を基準として決定した。従来の釣り竿用積層管の製造方法では、本数は36本、目付は、0.198g/m、用いられるヤーンは、トレカT−700S−24トン炭素繊維3Kと決定した。
【0046】また、芯金の形状も異なる。芯金は略棒状をしており、一端から他端へ向かって小径となる緩いテーパを有している。一端は芯金の基端をなし、他端は芯金の先端をなす。芯金の外径は、先端ではφ0.8mm、先端からの距離が1500mmの位置、即ち、基端の位置ではφ8.0mmである。これら以外は、本実施の形態による釣り竿用積層管1の製造方法と同一である。
【0047】また、比較される従来の釣り竿用積層管の製造方法における、仕上げ加工をする前の段階の急テーパ部の先端の外径は3.595mm、中実円錐部の、急テーパ部の先端と接続されている部分の外径は3.505mmである。従って、外径の差は0.090mmであり、外径の差を2で割ることにより求まる段差の値は0.045mmである。
【0048】本実施の形態による釣り竿用積層管1と従来の釣り竿用積層管とを比較すると、従来の釣り竿用積層管に対して本実施の形態による釣り竿用積層管の重量は73.8%と軽量化されている。また、基端の外径は、82.5%と小径化され、モーメントは70.5%と小さくなっており、商品価値が格段に向上していることが分かる。中実円錐部の急テーパ部の先端と接続されている部分に生ずる段差は、35.8%と大幅に小さくなっており、仕上げ加工における研磨によって中空円筒部が損傷を受けて折れることがなくなり、品質が格段に向上することが分かる。
【0049】本発明による釣り竿用積層管の製造方法及び釣り竿用積層管は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形態では、軸方向に配置され、又は周方向に巻回された高強度・高弾性補強繊維として炭素繊維、ガラス繊維を用いたが、炭素繊維は、低弾性、中弾性、高弾性のいずれであってもよく、また、ケブラーなどの有機繊維、ボロン、アモルファスなどの金属繊維であってもよい。これらの内の一を単独で用いてもよく、2種類以上の繊維を重ねて配置してもよく、並列させて配置してもよい。従って、プリプレグシートとしては、一方向引揃えシート、直交シート、張り合わせシート、ガラススクリムクロスのみからなるプリプレグシート、織物でもよい。また、形状はシートではなくてもよくテープ状のものを両側面が重なるように螺旋状に巻回するようにしてもよい。
【0050】また、本実施の形態では、熱硬化性合成樹脂としてエポキシ樹脂を用いたが、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等を用いてもよい。
【0051】また、ヤーンプリプレグの樹脂量は24WT%であったが、35%WT以下であればよく、20乃至30WT%であることが望ましい。
【0052】また、外層にヤーンプリプレグが用いられるのであれば、内層にはプリプレグシートが用いられなくてもよく、例えば、内層にはヤーンが用いられてもよい。
【0053】
【発明の効果】請求項1記載の釣り竿用積層管の製造方法によれば、巻回層の外周の基部から先端よりも先まで芯金の軸方向に合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束を複数本配置して軸方向繊維層を形成するようにしたため、高強度・高弾性補強繊維束を構成する熱硬化性合成樹脂の量を、合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束中で均一となるようにコントロールすることが可能となり、樹脂量を20乃至35%といった低い値にまで任意にコントロールすることができる。このため、釣り竿用積層管の大幅な軽量化を図ることができる。また、合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束の乾燥状態を容易に管理できるため、合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束中の溶媒の残存量を低減させることが可能となり、釣り竿用積層管へ持込む溶媒の量を極端に減少でき、釣り竿用積層管の強度の安定、向上を図ることができる。
【0054】また、合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束中のヤーン1本ずつの張力のコントロールが容易となり、芯金外周へ配置したヤーンの乱れが無くなり、釣り竿用積層管の曲げ剛性、曲げ強力の安定化と向上を図ることができる。
【0055】また、合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束には溶媒がほとんど無いため、芯金へ前もってプリプレグのシート、プリプレグクロスなどを積層し、その上に合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束を配置しても、プリプレグシート中の補強繊維がばらけない。このため、設計の自由度を向上させることができる。また、釣り竿用積層管を製造する工場とは別の換気状態のよい部屋で、前もってヤーンへ樹脂を含浸し合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束を製造しておくことができるため、積層管を製造する工場内に熱硬化性合成樹脂と溶媒のタンクを置く必要がなく、作業環境の向上を図ることができる。
【0056】また、内層の周方向補強材にプリプレグシートやプリプレグテープ、プリプレグクロステープ等を使用できるため、繊維の毛羽立ちが無くなり、作業環境の向上を図ることができる。また、プリプレグの厚さを均一とすることができるため、芯金に巻回された状態のプリプレグ表面に凹凸が生じないようにすることができる。このため、プリプレグの上に配置され外層をなす合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束の繊維配列が安定し、品質を向上させることができる。
【0057】また、基部の芯金径や前もって積層され内層をなすプリプレグシートの肉厚によって外層の内径が設定され、外層の外径を計算できる。このため、合成樹脂を含浸させて半乾燥させた高強度・高弾性補強繊維束とは異なる種々の弾性率、強度を有するプリプレグシート等を内層として使用でき、設計の自由度が格段に向上し、大きな軽量化が図れ、持ち重りが無く操作性に優れた釣り竿用積層管を得ることができる。
【0058】また、周方向補強材として、プリプレグテープ単体もしくはプリプレグシートへの張り合わせ材を使用できるため積層管の厚さが安定し、品質を安定、向上させることができる。
【0059】請求項2記載の釣り竿用積層管によれば、中空円筒部の内周は、周方向及び軸方向に高強度・高弾性補強繊維を配向させたプリプレグシート或いはプリプレグテープの巻回層からなり、中空円筒部の外周及び先端部中実円錐部は、基端から先端に亘って軸方向に配向された高強度・高弾性補強繊維樹脂層からなるようにしたため、高強度・高弾性補強繊維樹脂層を構成するヤーンプリプレグの熱硬化性合成樹脂の量をヤーンプリプレグ中で均一となるようにコントロールすることが可能となり、樹脂量を20乃至35%といった低い値にまで任意にコントロールすることができる。このため、釣り竿用積層管を大幅に軽量化することができる。また、ヤーンプリプレグの乾燥状態を容易に管理できるため、ヤーンプリプレグ中の溶媒の残存量を低減させることが可能となり、釣り竿用積層管へ持込む溶媒の量を極端に減少でき、強度の安定、向上化が図られた釣り竿用積層管とすることができる。
【0060】また、ヤーンプリプレグ中のヤーン1本ずつの張力が的確にコントロールされ、芯金外周へ配置したヤーンの乱れが無く、曲げ剛性、曲げ強力の安定化と向上が図られた釣り竿用積層管とすることができる。
【0061】ヤーンプリプレグは半乾燥状態であり溶媒がほとんど無いため、芯金へ前もってプリプレグのシート、プリプレグクロスなどを積層し、その上にヤーンプリプレグを配置しても、プリプレグシート中の補強繊維がばらけない。このため、設計の自由度の向上した釣り竿用積層管とすることができる。また、釣り竿用積層管を製造する工場とは別の換気状態のよい部屋で、前もってヤーンへ樹脂を含浸しヤーンプリプレグを製造しておくことができるため、積層管を製造する工場内に熱硬化性合成樹脂と溶媒のタンクを置く必要がなく、作業環境の向上を図られた状態で製造される釣り竿用積層管とすることができる。
【0062】内層に軸方向の繊維を配向させるので、外層のヤーンプリプレグの目付、本数は中実円錐部の急テーパ部と接続されている部分の外径により定まる断面積にて決定でき、外層のヤーンプリプレグの目付、本数の低減が図れ、軽量かつ持ち重り感のない細身の積層管に要求される曲げ剛性及び曲げ強力を得ることができる。
【0063】また、中空円筒部の内周は、周方向及び軸方向に高強度・高弾性補強繊維を配向させたプリプレグシート或いはプリプレグテープの巻回層からなるため、製造される過程において繊維の毛羽立ちが無くなり、作業環境の向上が図られた状態で製造される釣り竿用積層管とすることができる。また、プリプレグの厚さを均一とすることができるため、芯金に巻回された状態のプリプレグ表面に凹凸が生じないようにすることができる。このため、プリプレグの上に配置され外層をなすヤーンプリプレグの繊維配列が安定し、品質の向上した釣り竿用積層管とすることができる。
【0064】また、基部の芯金径や前もって積層され内層をなすプリプレグシートの肉厚によって外層の内径が設定され、外層の外径を計算できる。このため、ヤーンプリプレグとは異なる種々の弾性率、強度を有するプリプレグシート等を内層として使用でき、設計の自由度が格段に向上し、大きな軽量化が図られ、持ち重りが無く操作性に優れた釣り竿用積層管とすることができる。
【0065】また、周方向補強材として、プリプレグテープ単体もしくはプリプレグシートへの張り合わせ材を使用できるため厚さが安定し、品質を安定、向上させた釣り竿用積層管とすることができる。
【出願人】 【識別番号】592262163
【氏名又は名称】株式会社 上州屋
【識別番号】591231465
【氏名又は名称】株式会社銀星社
【出願日】 平成13年4月13日(2001.4.13)
【代理人】 【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩 (外2名)
【公開番号】 特開2002−306028(P2002−306028A)
【公開日】 平成14年10月22日(2002.10.22)
【出願番号】 特願2001−115064(P2001−115064)