| 【発明の名称】 |
鋳鉄枠組み木材魚礁を中心とする大規模魚礁システム |
| 【発明者】 |
【氏名】森 正治
|
| 【要約】 |
【課題】これまで取り組まれてきた魚礁事業は、漁獲高の増大という本来目的とすべき成果を出していない。
【解決手段】山林に伐倒されたまま放置されている間伐材を利用して魚礁を作ることにより、森林再生と漁業振興が実現できる。鋳鉄枠による木材魚礁を中心とした魚礁システムを考案したものである。木材漁礁、コンクリート漁礁および伊勢エビ棚を組み合わせて、多くの魚類が集まって生息できる環境を確保するものである。魚類の住み易い魚礁環境を大規模に構築することにより、沿岸漁業を魅力ある産業へ脱皮・変身させることができる。その建設や維持には相当量の工事量が必要となるため、公共工事の代替策として地元経済対策に極めて有効である。公共工事として作られる治水・砂防ダムや道路・トンネルなどは、それ自体は直接生産に結びつくことは無いが、魚礁は設置後の漁獲高の増大によって地元経済に大きく貢献する点で格段に投資効率が高い。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 比重が大きい鋳鉄を利用して多量の木材を高密度に沈めるため、長方形の鋳鉄に円形の穴を相当数並べた鋳鉄枠の形状。 【請求項2】 長さ2メートル程度の木材を、両側10センチ程度のところまで、鋳鉄枠の穴に差し込んで、その木材に鋳鉄枠を両側から挟むように釘を釘の長さの半分程度打ち込み、この釘によって短時間に効率的に木材を鋳鉄枠に固定する方法。 【請求項3】 鋳鉄枠の両側上下4カ所に、鋳鉄枠の厚さに相当する浅い溝を設け、その溝同士を重ねて組み合わせることで、井桁状に鋳鉄枠を組み上げる組立方法。 【請求項4】 鋳鉄枠に木材を差し込んで固定し、何段にも積み上げることにより、魚が好んで住む魚体に合った空間を何段も確保できる魚礁の形状。 【請求項5】浮力のある木材と比重の重い鋳鉄枠とが組み合わされた木材魚礁は、海底に沈んでいる状態ではそれほど安定度は高くないため、海流や潮流の影響により魚礁が変形や転移して魚礁としての機能を損なう恐れがあり、これを防止するため、木材魚礁の周囲には取り囲むようにコンクリート魚礁を配置して潮流等から木材魚礁を守るレイアウト。 【請求項6】 大規模魚礁システムを構築する際は、外周のコンクリート魚礁については、外側に向かって低くなるよう傾斜を設け、これにより海底に沿って流れてきた潮流等が上方に受け流され、その反作用によりコンクリート魚礁が海底面に押しつけられて安定し、かつ、内部の木材魚礁に対する潮流等の悪影響を最小限に減少させるコンクリート魚礁の形状。 【請求項7】 木材魚礁に住み着いた魚が、自由に外洋に出入りできるよう隣接する木材魚礁、コンクリート魚礁との間隔を一定間隔で確保するレイアウト。 【請求項8】 伊勢エビ、カニ、タコなどは、体型にあった狭い空間を好んで生息する習性があることから、矩形や円形等の筒状、箱状等の細かく区画された多数の空間を提供して大量の伊勢エビなどの生息を促す構造物(伊勢エビ棚)。 【請求項9】 本件大規模魚礁システムは、建設に際して、作業用クレーン船などを一定海域に係船して、定められた場所に正確に各種の魚礁等を配置する必要があるが、任意の場所に投錨すると、既に設置された各種魚礁等を破壊する恐れがあるため、事前に重量のある係船用コンクリートブロックを最適配置する方法。 【請求項10】 海中の木材は3〜5年程度で水性生物の食害等により消失するため、定期的に木材を補充するという管理手法、および、本件魚礁の効果により大幅に増加した魚を大量に漁獲するための違法かつ魚礁に有害な操業から魚礁全体を保護し、大規模魚礁システムを良好かつ健全な状態に維持するという概念と方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、減少する漁業資源を飛躍的に増大させることを目的とした木材魚礁を中心とする大規模魚礁システムであり、間伐材などの小径木材を安全、確実かつ効率的に魚礁に利用する方法、魚が住み着くこと及び潮流の影響を軽減することを目的とするコンクリート魚礁の形状、伊勢エビ等が好んで生息することを目的とした蜂ノ巣状の魚礁の形状、およびこれらの魚礁等で構成された大規模魚礁システムの設置方法と維持管理に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の木材を利用した魚礁は、浮力のある木材を沈めるためのおもりとして、主にコンクリートが用いられていたが、コンクリートは比重が2.3程度で、鉄の7.86(広辞苑による。)と比べて三分の一以下と軽いため、おもりとしては大きな体積が必要になり、木材を効率的に利用する能力が低かった。 【0003】木材をコンクリートに固定する方法は、コンクリートに取り付けた10ミリ程度の鉄筋に木材を通す方法、コンクリートに木材を直接埋め込んで打設し一体化する方法などが用いられていたが、3〜5年程度で消滅する木材を継続して補充することは考慮されていなかった。 【0004】魚の生態に関する理解が十分でなく、周囲を囲っただけの桝状の魚礁や、コンクリートの枠柱だけで構成され、内部が大きな空間になった魚礁しかなく、魚が好む魚体に応じた空間を確保できていなかった。 【0005】これまで設置されてきた魚礁は小規模であったため、実験の域を出ておらず、大幅な漁獲高の増加を期待できるものではなかった。 【0006】折角設置された魚礁も、設置後の維持・管理を行う概念が欠けていたため、設置後は全く管理されることが無く、野放図な漁労の対象となり、魚礁全体に漁網が被さったまま放置されるなどにより、魚礁としての機能を喪失するケースが多かった。 【0007】これまで大量に設置されてきた大型魚礁を中心とするコンクリート魚礁は、水深80〜90メートルの海域が中心で、魚礁が魚に対してどのように効果を発揮しているか確認することが困難だったため、科学的な調査を行うことなく、単に投入付近海域での漁獲高の増減をもって効果を判定するという極めてあいまいな方法が行われている。 【0008】大型魚礁設置によって、魚礁に当たった海流が上昇する際に、海底の有機物等を海面付近へ吹き上げると言われており、これによってアジ、サバ、イワシなどの回遊魚が集まることを目的としたもので、もともと魚が育ち、増加することを目的としたものではなかった。 【0009】大型魚礁により漁獲の増加を意図している魚種は、比較的単価の低いものであり、大型の漁業装備が必要で、零細沿岸漁民にはメリットは極めて少なかった。 【0010】魚礁の投入は全国的にかなり以前から多額の費用を用いて実施されているが、以上のような問題点が残されたままで、十分な効果を発揮することなく沿岸漁業の漁獲高は減少の一途を示している。 【0011】漁業振興の一環として水産試験場などを中心に取り組まれている事業に稚魚の放流があるが、長い港湾工事の歴史の中で、海底に大量に分布していた転石が、築港や防波堤工事に使用されたため、海底に稚魚の住む環境が著しく少なくなっていることが見逃されており、稚魚の放流が漁獲高の増加に結びついていない。 【0012】沿岸漁業再生の打開策として、昭和五十年代頃から盛んになった海面養殖業は、元々1キロの成魚を育てるのに5キロの魚肉が必要という食糧政策上の問題を包含しており、海域の汚染とコスト高と魚価の低迷により一部の高級魚を残して大幅に減少している。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】港の建設・補修や海岸の保全に必要な自然石は、江戸時代以前から昭和前期頃まで主に海底から船を利用して集められていたと考えられる。古い港や、埋め立て地などには直径30〜100センチメートル程度の丸い自然石が必ず主材料として使用されていることからもこのことが裏付けられる。しかしながら、これにより海底の自然石は長年月にわたり大量に陸揚げされ、本来魚が住むべき良好な環境は減少の一途をたどり、自然状態復帰への適切な施策が行われなかったために漁獲高の継続的な減少へとつながったものである。 【0014】現在の海底の大部分は延々と続く砂地であり、岩盤や礫である場合も、魚が生息するのに好適な穴や隙間は極めて限られた数しか存在しない。海底は魚が増加・繁殖するには極めて厳しい環境であるのに、現実にはこのことは一般的にとほんど認識されていない。 【0015】海底に大きな岩石が無くなったため、底引きなどの漁法が可能となったが、そのため、繰り返し行われた底引き漁により稚魚や利用価値の低い魚種までもが徹底的に捕獲され、深刻な不漁が続く状態に陥っている。 【0016】漁獲高の向上に寄与する対策を考える場合、100尾や1,000尾単位ではあまり意味は無く、数十万尾、あるいは数百万尾を単位にしなければ多くの漁民の生活を支える基盤にはなりえない。現在全国各地で取り組まれている魚礁の規模は、実験の域を出ない小規模のものに限られており、効果の有無を論じるレベルに達していない。 【0017】陸上でも、砂漠に100本の植林をしても、短期間で消滅することは容易に予見できる。しかしながら、100万本の植林をすれば、自然のサイクルが復元する可能性は高いものになり、一定レベル以上の大規模な対策を講じることにより、豊かな自然を取り戻した事例は多数見られる所である。魚礁の場合も、少数散在していては生存できない肉食性の大型魚も、大量の魚礁で餌が豊富になれば相当数育つ余地が生まれるなどの相乗効果が見込める。魚礁を大規模化することは、単に工事費用が倍数分だけ拡大する以上の付加的相乗効果が期待でき、地域漁民に対する心理的期待感と安心感、そして現実の漁獲量の増加は計り知れない。 【0018】これまで実施されてきた魚礁は、小規模な魚礁を散発的に設置するケースがほとんどであっただけでなく、魚礁の構造が、魚体にあった空間を好むという魚の生態にそぐわないものが大半であった。さらに、投入海域の水深が深すぎるため調査・研究がなされず魚礁の改良が進まないなどにより、設置された魚礁が漁獲の向上にあまり寄与していなかったこと。 【0019】魚礁の投入海域が陸地からかなり離れたところであるケースが多く、他県や場合によっては外国船の操業対象となり、所期の漁獲量の向上につながらなかった。 【0020】海面養殖では、コストの大半を飼料代が占めるが、イワシの不漁などで動物性飼料は入手困難となりつつあり、今後は植物性飼料への転換が進むと見込まれるものの、これらは輸入農産物が中心であり、食糧の自給率向上にはマイナスである。国内で大量に発生する間伐材を利用した魚礁で、大量の高級魚が生育する環境を確保することは、資源の利用効率と食糧安全保障の面から優先的に推進すべき課題である。 【0021】人工的に植林されたスギやヒノキの純林は、定期的に間伐しなければ密植となり、林内に日光が入らないため下草が生えず、土壌流失が起こり林地内の土地は養分を失って樹木の成長は著しく阻害される。国は、流出する土砂による災害を防止するため、砂防ダムの建設を大量に実施しているが、適切な間伐が行われれば土砂は止まり、森林も救われて復活する。この問題を解決するためには、全国の大量の処理が必要な間伐材の有効利用が緊急課題であるが、未だ適切・有効な方法は確立されていない。 【0022】 【課題を解決するための手段】魚礁のレイアウトを大規模化・システム化することにより、多種多様の生物や魚が大量に住み着く場所を提供する。 【0023】魚礁を水深30メートル程度のところに設置することとし、これにより定期的に魚礁の保全状態を点検・管理し、さらに魚礁の設置効果を調査することにより、より効果的な魚礁システムの実現を図ることが可能となる。 【0024】比重の大きい鋳鉄枠を使用することで大量の木材を効率的に組み込むことが可能となり、緊急間伐材利用促進対策の一環として大量の間伐材を継続的に有効利用する方法が確立する。 【0025】木材魚礁を構成する木材の有機物をもとにして、微少な水生生物が増加して魚への食物連鎖を構成し、魚の生育を助け漁獲高の増大を促す。 【0026】蜂ノ巣状の多数の小さい穴状の空間を有する魚礁により、これまで魚礁で増やした実績が少なかった伊勢エビ、カニ、タコ、ウナギなどが多数生息できる環境を提供する。 【0027】木材魚礁の周囲を、潮流等から保護するために設置するコンクリート魚礁についても、水平空間を多段式にして比較的大型の魚の定着に適した構造とする。 【0028】海底に広い面積の大型魚礁を設置することにより、結果的に乱獲を防止する保護区が設けられたと同様の効果をもたらし、数年程度の期間で見れば、大幅な漁獲高の向上が可能となる。 【0029】 【本発明の実施の形態】木材の配置と固定を容易にするため、長方形の厚い鋳鉄製鉄板枠に直径10センチから20センチ程度の円形の穴を10個程度多数並べる構造とする。 【0030】鋳鉄枠の穴の数に応じた数と太さの長さ2メートル程度の木材を並べ、木材の両側から鋳鉄枠の穴へそれぞれ差し込む。 【0031】差し込んだ木材が鋳鉄枠から抜けることを防止するため、木材両側の木口から10センチ程度の所に差し込まれた鋳鉄枠の内側と外側に、合計4カ所釘止めすることで木材を鋳鉄枠に固定する。 【0032】木材は一般的に4ヶ月程度で浮力を失って海底に沈むため、鉄釘でも腐食するまでの1〜2年の期間で十分機能することができ、木材が3〜5年で消失した後は、海水により腐食消滅するので汚染等の恐れは皆無である。 【0033】この木材10本程度と鋳鉄枠2個のセットで構成する簀の子状のユニットを、縦横交互に上方に、高さ2メートル程度に積み上げることで、一つの木材魚礁ブロックを形成するが、いわば高層マンションのように床面積に相当する空間が階層をなして数段形成され、多数の魚が住む環境を実現できる。 【0034】使用する木材の本数と鋳鉄枠の段数を調節することで、目的とする魚種と魚体の大きさに自由に対応することが可能である。 【0035】鋳鉄枠の両端付近の上下に刻まれた溝に鋳鉄枠自体の重さで噛み合わせる方法により、鋳鉄枠と木材とを組み合わせた簀の子状のセットを高さ2メートル程度に積み上げるが、特段の固縛策は講じないものとする。鋳鉄枠が固定されていないので、3〜5年程度の後に木材が消失した場合に、鋳鉄枠を引き上げて木材を再組み込みする作業が簡単になり、効率的に実施することが可能となる。また、一部の鋳鉄枠が腐食で使用できなくなった場合の取り替え交換も容易である。 【0036】この一辺2メートル程度の立方体状の木材魚礁ブロックを、1メートル間隔程度に縦横四個ずつ、合計16個を1単位として配置し、この周囲を高さ3メートル程度のコンクリート魚礁で囲うことにより強い潮流で木材魚礁ブロックが破壊・変形・流失することを防止する。 【0037】コンクリート魚礁には、水平方向に箱型のトンネル状の空間を3カ所から数段程度設け、内部にある木材魚礁への適量の潮流を確保するとともに、魚体の大きい魚の生息空間として提供する。 【0038】木材魚礁とコンクリート魚礁との間隔を1メートル程度とすることにより、木材魚礁に住み着いた魚が自由に外部へ泳ぎ出る通路を確保する。また、木材魚礁に入りきれないほど大きくなった魚は、木材魚礁同士の間やコンクリート魚礁との間の幅1メートル、高さ2メートル程度の回廊状の隙間を生息空間とすることができる。 【0039】16個の木材魚礁とコンクリート魚礁で構成するセルを1単位として縦横に延長して並べることにより、長さ1キロメートル単位、幅100メートル単位の大規模魚礁システムを構築する。海底に大量のコンクリート魚礁や木材魚礁を並べることは、かつて、海底に大量に存在したと考えられる50〜100センチ程度の石の代わりに補てんするに過ぎず、設置される魚礁群によって海底の自然が破壊される事態は考えられない。 【0040】魚礁を大規模化することにより、数百万尾にのぼる魚を生育させることが可能となり、多数の漁民の生活を支える基盤とすることができる。 【0041】本件魚礁システムの形態では、アジ・サバ・イワシなどの回遊魚ではなく、マハタ、クエ、イシダイ、伊勢エビなどの根付きと呼ばれる高級魚が好んで住む可能性が高く、これまでの魚礁よりも格段に高い収益性が期待できる。 【0042】コンクリート魚礁同士の間か、または内部の木材魚礁の代わりに伊勢エビ等の魚類の生息に適した空間を確保するため、幅20〜200センチ程度、高さ200センチ程度の大きさで、内部に多数の小さい空間を有する多段式の棚(伊勢エビ棚)を設置する。外形の形状は、コンクリート魚礁や木材魚礁の配置に合わせて、平板状、立方体、円柱形、扇状柱形、ピラミッド型、円錐形などの形状を活用する。 【0043】魚礁全体の外周を囲むコンクリート魚礁については、外壁に傾斜を設けて強い潮流の力を上方に受け流すことにより木材魚礁ブロックおよび魚礁システム全体の安定性の向上を図るとともに、水平に通り抜ける空間を数段設け、木材魚礁への適量の水流を確保する構造とする。 【0044】本件魚礁システムは、当初の建設に際してコンクリート魚礁を周囲に配置してから中身となる木材魚礁や伊勢エビ棚を並べていくこととなるため、作業船を潮流のある洋上で一定の位置に固定する方法として、重量のあるコンクリートブロックをコンクリート魚礁の間に一定間隔で配置する。 【0045】コンクリートブロックにロープを固定するためのリングを取り付け、ここからロープによりフロートを水面に浮かべ、クレーン作業船などを必要な箇所に正確に係留できる体制とする。 【0046】間伐材などの海中に沈められた木材は3〜5年程度で海中生物の食害等により消失するため、4〜5年程度の期間で定期的に木材を補てんする必要があり、この際に前記フロートを利用して作業船を固定しての沈設作業を行うことができる。 【0047】本件魚礁システムは、比較的破壊されやすい木材を中心としていること、大量の漁獲が見込まれるため、漁獲の増大を狙った違法な操業が行われる危険性が高いことなどから、魚礁システム全体を保護する対策を講じる必要があり、係船用コンクリートブロックからロープでフロートを水面まで浮かべておくことで、魚礁システム維持管理と両方の目的に対応できる。 【0048】 【発明の効果】本発明を利用することにより、一般的に高級とされる根付き魚の漁獲高を大幅に増大させることが可能となる。 【0049】魚礁の設置場所は、水深30メートル程度と比較的浅い海域を対象としており、海岸からの距離が近く、小型漁船での一本釣りによる操業のみが可能となることから、大型船の購入が不要で、レーダーや無線機などの高額の漁業装備も必要なく、船の燃料費もわずかで済むなど、漁業者への経済的負担は格段に軽減される。 【0050】魚礁を設置した海域付近の零細漁業者を中心に、地元で確実に魚礁の恩恵を受けることができるので、地元漁協等による適切な魚礁管理が期待でき、魚礁が永続的に機能を発揮することが見込まれる。 【0051】魚礁設置海域が増加すれば、その付近では魚の増加に有害な底引き漁などの漁法が不可能となるため、魚の環境改善と乱獲防止が一挙に進み、漁獲高の飛躍的な増加につながると予想される。 【0052】大型船による遠洋漁業からの回帰、転向が進めば、エネルギー使用量の低減となり、二酸化炭素排出削減問題についても大きく貢献することになる。 【0053】沿岸から魚礁設置海域の監視が可能であり、違法な操業や外国船による操業などを防止できる。 【0054】本件魚礁で生育する魚種は、アラやイシダイ、伊勢エビなど高級魚が中心であることから、少ない個体数で十分な収益が見込めるため、操業日数と操業時間を短縮しても生計維持が可能となり、重労働や荒天時の危険な操業から解放され、漁業者の就業環境が大幅に改善される。 【0055】森林の保護育成のため、現在緊急課題となっている間伐材の大量かつ継続的利用方法が確立する。 【0056】間伐が進むことにより、森林の保水力が向上し、水害が減少することによる災害防止効果と、山地への降水が長期間留まることから、水不足の解消につながる。 【0057】魚礁に利用する間伐材等の木材は、表皮を取り除く必要が無く、乾燥させる必要もないので、加工等の作業が最低限で済むメリットがある上、多少の変形や太さの大小もほとんど問題とならないので、間伐材の処理対策として木材魚礁は最適である。 【0058】間伐以外の正規に伐採した木材の先端部分などで、これまで利用価値が無く廃棄されていた木材も有効利用が可能となる。 【0059】土木工事などで伐採された広葉樹などは、最近環境問題で焼却処分ができなくなったが、一定の形状と太さがあれば、これらも木材魚礁として使用でき、その分廃棄物の減少となって環境対策としても有効である。 【0060】自然保護や公共事業の見直し機運による港湾工事量等の減少を、魚礁の設置と維持管理作業により、一定比率で代替することが見込まれ、再生・継続可能な環境に優しい事業として国の経済対策の一環を担うことができる。 【0061】公共工事で建設された砂防ダムやトンネルからは、直接生産されるものは無いが、本件大型魚礁は、投入された費用は公共事業としての経済効果を有する上に、その投資額に比例して相当額の漁獲高が望めることから、今後はこれまでの公共事業よりも有力かつ有効な国家的プロジェクトとして取り組むべき事業である。 【0062】日本の食糧自給率の低下は歯止めがかからない状態であるが、本件魚礁による漁獲量の増大が実現すれば、不要な木材によって重要、かつ、良質なタンパク源が大量に獲得できることになり、食糧戦略上の価値は計り知れないところである。 【0063】間伐が適正に実施されることになれば、現在10人に1人と言われるスギ花粉を中心とする花粉症対策としても、医療費を中心とする莫大な国家的損失の軽減につながる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】301023766 【氏名又は名称】森 正治
|
| 【出願日】 |
平成13年4月17日(2001.4.17) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2002−306018(P2002−306018A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月22日(2002.10.22) |
| 【出願番号】 |
特願2001−117761(P2001−117761) |
|