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【発明の名称】 魚釣用電動リール
【発明者】 【氏名】関本 昭夫

【要約】 【課題】ドラグ力の設定を正確且つ迅速に行なうことができる魚釣用電動リールの提供を目的としている。

【解決手段】本発明の魚釣用電動リールは、スプールの回転を固定する固定手段と、前記スプールの回転を前記固定手段によって固定した状態で前記スプール駆動モータを駆動させた際に、前記ドラグ機構が滑り出した時のモータ負荷を検出するモータ負荷検出手段85,119と、モータ負荷検出手段85,119の検出値をドラグ力に換算して表示する手段85,87,103,190Cとを具備することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リール本体と、このリール本体に回転可能に支持され且つ釣糸を巻回保持するスプールと、釣糸巻取り時における前記スプールの釣糸繰り出し方向の回転を制動力を付与しながら許容するドラグ機構と、前記スプールを駆動するスプール駆動モータとを備え、駆動用電源から供給される電力で前記スプール駆動モータを駆動して釣糸を前記スプールに巻き取る魚釣用電動リールにおいて、前記スプールの回転を固定する固定手段と、前記スプールの回転を前記固定手段によって固定した状態で前記スプール駆動モータを駆動させた際に、前記ドラグ機構が滑り出した時のモータ負荷を検出するモータ負荷検出手段と、前記モータ負荷検出手段の検出値をドラグ力に換算して表示する手段と、を具備することを特徴とする魚釣用電動リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻き取り駆動するスプール駆動モータを有する魚釣用電動リールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、魚釣用電動リールは、リール本体の両側板間に回転可能に支持され且つ釣糸を巻回保持するスプールと、このスプールを駆動するスプール駆動モータと、駆動用電源から供給される電力でスプール駆動モータを駆動して釣糸を巻き取る巻取り駆動機構とを備えている。
【0003】また、このような電動リールには、通常、釣糸の繰り出し量および巻き取り量を計測する糸長計測装置が備え付けられている。この糸長計測装置およびスプール駆動モータは、通常、ICモジュールによって制御されている。
【0004】更に、電動リールは、釣糸巻取り時におけるスプールの釣糸繰り出し方向の回転を、制動力を付与しながら許容するドラグ機構を備えたものが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記ドラグ機構の調整は、仕掛けの強度等を考慮して、仕掛けが切れることなく安定して釣糸を巻回することができるように行なわれなければならない。
【0006】しかしながら、従来におけるドラグ機構の調整は、調節体に刻まれた目盛りを目安にして行なったり、あるいは、実際に手で持って仕掛けを引張ることにより行なうのが一般的であるため、正確なドラグ設定となっていないことがある。ドラグ設定が正確でないと、例えばドラグ設定が弱すぎると、魚が掛かった際に、スプールの釣糸繰り出し方向の回転が止まらず、様々なトラブルが発生するため、早急に再調節を行なう必要がある。
【0007】再調節を行なう必要があるといっても、正確なドラグ力の設定は、一般に、ばね量りで仕掛けを引張り、スプールが回転を始めた時の量りの数値をもって行なうため、この設定(再調整)を作業環境の悪い船上や釣り場等で行なうことは困難である。
【0008】仮に、良好な作業環境下で予め正確なドラグ調整を行なって釣行した場合であっても、釣果を伸ばすために釣りの途中で仕掛けを繊細な仕掛け或いは強度の高い仕掛けに交換した時などにはドラグ力の設定変更(再調整)を行なう必要があり、こうした場合には、やはり、前述したような問題が生じる。
【0009】本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ドラグ力の設定を正確且つ迅速に行なうことができる魚釣用電動リールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明は、リール本体と、このリール本体に回転可能に支持され且つ釣糸を巻回保持するスプールと、釣糸巻取り時における前記スプールの釣糸繰り出し方向の回転を制動力を付与しながら許容するドラグ機構と、前記スプールを駆動するスプール駆動モータとを備え、駆動用電源から供給される電力で前記スプール駆動モータを駆動して釣糸を前記スプールに巻き取る魚釣用電動リールにおいて、前記スプールの回転を固定する固定手段と、前記スプールの回転を前記固定手段によって固定した状態で前記スプール駆動モータを駆動させた際に、前記ドラグ機構が滑り出した時のモータ負荷を検出するモータ負荷検出手段と、前記モータ負荷検出手段の検出値をドラグ力に換算して表示する手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0012】図1および図2に示されるように、本実施形態に係る魚釣用電動リール1は、リール本体2を備えている。リール本体2の左右フレーム4a,4b間には、スプール軸6が軸受を介して回転可能に支持されており、このスプール軸6を囲繞するようにスプール8が配置されている。なお、左右フレーム4a,4bには、左右側板10a,10bが取り付けられている。
【0013】左右フレーム4a,4b間には、スプール8(スプール軸6)よりも前側(釣糸繰出方向側)に、スプール駆動モータ12(以下、単にモータという。)が保持されていると共に、このモータ12の上方側には、スプール8に対して釣糸(図示しない)を平行に巻回させるレベルワインド機構が配置されている。なお、図中、150はモータ12の正転時の巻き上げ出力の調整を行なうパワーレバーである。
【0014】モータ12は、正転及び逆転可能に構成されており、その一端側(左フレーム4a側)に延出した左駆動軸12aと、その他端側(右フレーム4b側)に延出した右駆動軸12bとを有している。右駆動軸12bは、一方向クラッチ(以下、第1の一方向クラッチという。)を介してクラッチ操作機構13に連結されており、左駆動軸12aは、一方向クラッチ(以下、第2の一方向クラッチという。)を介して後述する連動歯車機構に連結されている。
【0015】前記第1の一方向クラッチは、モータ12が正転したとき、フリー回転状態となり、右駆動軸12bの駆動力をクラッチ操作機構13に伝達させないようになっており、一方、モータ12が逆転したとき、駆動力伝達状態となり、右駆動軸12bの駆動力をクラッチ操作機構13に伝達させるようになっている。
【0016】前記第2の一方向クラッチは、モータ12が正転したとき、駆動力伝達状態となり、左駆動軸12aの駆動力を連動歯車機構に伝達させるようになっており、一方、モータ12が逆転したとき、フリー回転状態となり、左駆動軸12aの駆動力を連動歯車機構に伝達させないようになっている。
【0017】なお、モータ12が正転している状態とは、前記第2の一方向クラッチ15を介して連動歯車機構を駆動させて、スプール8を釣糸巻取方向に回転させるための駆動力を伝達している状態のことであり、一方、モータ12が逆転している状態とは、前記第1の一方向クラッチ11を介してクラッチ操作機構13を駆動させて、クラッチ操作機構13に連結されたクラッチ機構40を制御している状態のことである。
【0018】連動歯車機構は、前記第2の一方向クラッチに連結された駆動歯車17と、この駆動歯車17に噛合した中間歯車19と、この中間歯車19に噛合したスプール駆動用歯車14とを備えており、スプール駆動用歯車14は、スプール軸6の一端側(左フレーム4a側)に回り止め嵌合されている。
【0019】中間歯車19は、左フレーム4aに回り止めされた固定軸に支持されており、この固定軸と中間歯車19との間には、一方向クラッチ(以下、第3の一方向クラッチという。)が介挿されている。
【0020】前記第3の一方向クラッチは、中間歯車19を一方向に回転させて且つ他方向に回転させないようになっている。具体的には、モータ12が正転して、その駆動力が前記第2の一方向クラッチを介して駆動歯車17に伝達されたとき、この駆動歯車17の回転運動をスプール駆動用歯車14に伝達するように、中間歯車19は、前記第3の一方向クラッチによって、一方向への回転が許容された状態となる。これに対し、後述するように手動ハンドル60を回転操作してスプール8を釣糸巻取方向に回転させる際には、スプール軸6(スプール駆動用歯車14)の回転を規制するように、中間歯車19は、前記第3の一方向クラッチによって、他方向への回転が規制(停止)された状態となる。
【0021】また、スプール軸6の他端側(右フレーム4b側)には、遊星ギヤ機構から成る減速機構20が設けられており、この減速機構20は、モータ12の正転時のスプール軸6の回転運動を減速させてスプール8に伝達するように構成されている。
【0022】また、スプール軸6の他端側において、右フレーム4bと右側板10bとの間には、クラッチ操作機構13によって駆動操作(クラッチON/OFF切換制御)されるクラッチ機構40が配置されている。このクラッチ機構40は、スプール軸6に沿ってスライド可能で且つ減速機構20に対して係合又は非係合されるピニオン42を備えている。
【0023】ピニオン42には、その外周面に円周溝42aが形成されている。また、この円周溝42aにはスライド片44が係合している。スライド片44は、クラッチ操作機構13によるクラッチ機構40のON/OFF切換制御によって、ピニオン42をスプール軸6に沿ってスライドさせる。すなわち、モータ12の逆転によってクラッチ操作機構13が作動されると、クラッチ機構40が駆動操作(クラッチON/OFF切換制御)され、スライド片44を介してピニオン42が減速機構20に対して係合又は非係合される。
【0024】また、実釣時に、モータ12によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた際、これに連動してハンドル60のハンドル軸50が回転するのを防止するために、ハンドル軸50には、逆転防止機構が設けられている。この逆転防止機構は、図3に示されるように、外周面にラチェット爪56aが所定ピッチで形成されたラチェット56と、ラチェット爪56aに対して一定の付勢力で常時係合しているストッパ58とを備えており、ラチェット56は、ハンドル軸50に回り止め嵌合されている。このような逆転防止機構では、モータ12によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させる際には、ラチェット爪56aにストッパ58が係合することによって、モータ12の回転に連動してハンドル軸50が回転するのを防止することができ、モータ10の動力が減速機構20を介してスプール8に伝達される。これに対して、ハンドル軸50に取り付けられた手動ハンドル60を回転操作して、スプール8を釣糸巻取方向に回転させる場合には、手動ハンドル60の回転操作に連動して、ハンドル軸50を回転させることができるようになっている。
【0025】また、ピニオン42には、ハンドル軸50に回転可能に支持されたドライブギア52が噛合しており、このドライブギア52とハンドル軸50との間には、実釣時にスプール8から釣糸(図示しない)が繰り出された際、スプール8に所望のドラグ力を与えることが可能な周知のドラグ機構54が配置されている。なお、ハンドル軸50の外端部には、ハンドル60のハンドルアーム60Aが取り付けられている。
【0026】ドラグ機構54は、釣糸の繰り出しで回転するスプール8に制動力を付与しながらスプール8の釣糸繰り出し方向への回転を許容する。特に、本実施形態において、ドラグ機構54は、スプール8に回転力を伝える(スプール8から回転力を受ける)ドライブギア52に制動力を付与することにより、スプール8の釣糸繰り出し方向への回転を制動できるようになっている。具体的には、ドラグ機構54は、図2および図3に示されるように、ドライブギア52と噛み合ってこれと一体回転する複数の第1の制動板(ワッシャ)31と、ハンドル軸50に回り止め支持(嵌合)されてハンドル軸50と一体に回転する第2の制動板(ワッシャ)32,33と、ハンドル軸52の外端部に螺合されたドラグ操作部材30と、ハンドル軸52に回り止め支持(嵌合)され且つドラグ操作部材30の回転によって制動板31,32,33を押圧するように移動される押圧部材34と、制動板31,32,33の摩擦面(制動面)間に介在して設けられたライニング材35とを備えている。この場合、押圧部材34と第2の制動板32,33はハンドル軸52の軸方向に沿ってスライドできるようになっている。また、制動板31,32,33とライニング材35は、一括して、ドライブギア52の凹状の収容部36内に収容されている。
【0027】このようなドラグ機構54では、ドラグ操作部材30が一方向に回転操作されると、押圧部材34が制動板31,32,33を押圧するようにハンドル軸50の軸方向に沿ってスライドされ、制動板31,32,33の摩擦面同士がライニング材35を介して圧接されるとともに、ドライブギア52が所定の押圧力で押さえ付けられる。そして、この時の押圧力がハンドル軸52と一体回転するラチェットギア56に作用することにより、ドライブギア52がハンドル軸50に対して摩擦結合され、スプール8に所定のドラグ力が発生する。
【0028】以上のように構成された電動リール1においては、リール本体2の表面(釣り人に対向する面)に搭載された操作パネル190上に配設された例えばスイッチ190Aを操作すると、クラッチ操作機構13によってクラッチ機構40がON/OFF切換制御される。すなわち、クラッチON状態(ピニオン42が減速機構20に係合した状態;釣糸巻取可能状態)と、クラッチOFF状態(ピニオン42が減速機構20に非係合した状態;スプール8のフリー回転可能状態)とに自動的又は選択的に切り換えられる。
【0029】まず、クラッチOFF状態にクラッチ機構40が切換制御されている状態では、ピニオン42が減速機構20に対して非係合状態となるため、スプール8は、フリー回転可能状態に維持される。この状態において、釣糸は、仕掛けの自由落下によってスプール8から繰り出される。釣糸が所望量繰り出された時(例えば、仕掛けが所望の棚に到達したとき)、操作パネル190上のスイッチ190AをON操作すると、モータ12が逆転し、その駆動力は、右駆動軸12bおよび前記第1の一方向クラッチを介して、クラッチ操作機構13に伝達される。これにより、スライド片44が軸方向にスライドされ、ピニオンギヤ42が減速機構20に対して係合し、クラッチON状態に切り換えられるとともに、このクラッチON状態はモータ12が停止されることにより保持される。
【0030】クラッチ操作機構13によってクラッチ機構40がクラッチON状態(釣糸巻取可能状態)に切り換えられている状態で、例えば操作パネル190のスイッチ操作によってモータ12を正転させると、その駆動力は、左駆動軸12aおよび第2の一方向クラッチ15を介して駆動歯車17に伝達され、駆動歯車17から中間歯車19を介してスプール駆動用歯車14に伝達されて、スプール軸6を釣糸繰出方向(釣糸巻取方向とは逆方向)に回転させる。そして、このスプール軸6の回転運動は、減速機構20を介してスプール8に伝達され、スプール8を釣糸巻取方向に回転させる。また、この時の回転力は、減速機構20に係合するピニオンギヤ42とドライブギヤ52とを介してハンドル軸50に伝達されるが、前述したように、ハンドル軸50に回り止め嵌合されたラチェット56にストッパ58が係合しているため、モータ12の回転に連動してハンドル軸50が回転することはない。
【0031】なお、モータ12を停止させて、手動ハンドル60を回転操作した場合、手動ハンドル60の回転運動は、ハンドル軸6からドラグ機構54を介してドライブギヤ52に伝達された後、ピニオン42から減速機構20に伝達され、スプール8を釣糸巻取方向に回転させる。また、この時の回転力は、減速機構20に連結するスプール軸6に伝達されるが、スプール軸6は、前述した第3の一方向クラッチによってその回転が停止(規制)された状態になっているため、ハンドル60の操作力がモータ12側に伝達されることはない。
【0032】次に、本実施形態の魚釣用電動リール1の特徴的な構成について説明する。
【0033】本実施形態の魚釣用電動リール1は、以上説明した構成に加え、ドラグ力の設定を正確且つ迅速に行なえるドラグ力設定機構を更に備えている。このドラグ力設定機構は、スプール8の回転を固定した状態でモータ12を駆動させた際にドライブギア52が滑り出した時のモータ負荷を検出するモータ負荷検出手段を備え、ドラグ調節に伴って変化する前記モータ負荷検出手段の検出値をドラグ力に換算して操作パネル190の表示部190Cに表示することにより、釣り人による正確で且つ迅速なドラグ力設定を可能にする。
【0034】具体的には、まず、図4および図5に示されるように、スプール8の側面8aにラチェットギア72が固定されるとともに、ラチェットギア72のラチェット爪72aと係合可能な係止爪73aを有するストッパ73が、リール本体2側に回動可能に設けられている。また、ストッパ73には、ストッパ73を回動させるアクチェータとしてのソレノイド74が連結されており、ソレノイド74が起動されると、ストッパ73は、その係止爪がラチェットギア72のラチェット爪72aに係止される係止位置(図4に示される位置)と、係止爪72とラチェット爪72aとの係止状態が解除される非係止位置(図5に示される位置)との間で回動されるようになっている。図4に示される係止位置では、スプール8(ラチェットギア72)の釣糸巻取り方向(図中に矢印で示される方向)の回転が防止され、図5に示される非係止位置では、スプール8(ラチェットギア72)の釣糸巻取り方向の回転が許容される。すなわち、ラチェットギア72とストッパ73は、スプール8の回転を固定する固定手段を構成している。
【0035】また、ドライブギア52の回転を検出するために、ドライブギア52の外表面には磁石71が固定的に取り付けられ、磁石130と対向し得るリール本体2の部位には、磁気センサ70が配置されている。磁気センサ70は、ドライブギア52と一体で回転する磁石71を磁気的に検出することにより、ドライブギア52の滑り始め(回転)を検出する。
【0036】また、リール本体2内には、図6に示される制御ユニット80が設けられている。この制御ユニット80は、マイクロコンピュータから成り、全体を制御するCPU85と、モータ12を制御するためのプログラムを格納するROM87と、CPU85での演算結果等のデータを格納するRAM103と、入力インタフェース105と、出力インタフェース107とを備え、これらはバス109を介して互いに電気的に接続されている。
【0037】また、入力インタフェース105には、磁気センサ70やパワーレバー150、操作パネル190上のスイッチ190A,190B等が接続され、また、出力インターフェース107には、操作パネル190上のデジタル表示器(表示部)190Cとモータ駆動回路113とがそれぞれ接続され、モータ駆動回路113にはモータ12が接続されている。
【0038】また、モータ12の電気回路中には、モータの電流値(モータ負荷電流値)を検出する電流検出器119が接続されている。電流検出器119で検出されたモータ電流値は、A/D変換器121でデジタル値に変換された後、制御ユニット80にフィードバックされるようになっている。
【0039】更に、CPU85には、予め設定したモータ電流規定値毎の連続または断続的な通電時間を計測するタイマ123が接続されている。
【0040】なお、ROM87もしくはRAM103内には、ドラグ力(kg)とモータ負荷電流値(A)との関係を示す換算データが予め記憶されている。
【0041】次に、このような構成のドラグ力設定機構の作用について説明する。
【0042】前記ドラグ力設定機構を用いて正確なドラグ力を設定したい場合には、まず最初に、操作パネル190上のスイッチ190Bを押す。これにより、ソレノイド74が起動して、ストッパ73が作動し、ストッパ73の係止爪73aがラチェットギア72のラチェット爪72aと係合する。これにより、スプール8の釣糸巻き取り方向の回転がロックされる。なお、本実施形態では、スプール8の釣糸巻取り方向の回転がラチェット機構によってロックされるが、スプール8の回転が釣糸巻取り方向および釣糸繰り出し方向の両方向でロックされるようになっていても良い。
【0043】スプール8の釣糸巻き取り方向の回転がロックされると、ドラグ機構によって摩擦結合しているドライブギア52の回転、つまり、ドライブギア52のスリップ状態を磁気センサ70によって監視するモードに移行される。このモード状態では、自動的に或いはパワーレバー150の操作により、モータ12が駆動される。モータ12が駆動され、モータ12の出力が所定量を超えると、設定ドラグ力に応じて、ハンドル軸50に摩擦結合したドライブギア52がハンドル軸50に対してスリップ回転し始める。なお、ハンドル軸50は、前述したように、この方向での回転が防止されている。
【0044】ドライブギア52がスリップ回転し始めた時点で、磁気センサ70がこれを検出し、その検出信号がCPU85に送られる。CPU85は、この磁気センサ70からの検出信号によってドライブギア52の滑りを認識し、その時のモータ負荷電流値を電流検出器119からA/D変換器121を介して得る。そして、CPU85は、RAM103もしくはROM87内に格納された前記換算データに基づいて、この時のモータ負荷電流値をドラグ力に換算し、その換算値を操作パネル190の表示部190Cに表示させる。無論、この時、釣り人がドラグ機構54を操作してドラグ調整を行なったり、モータ出力を上げると、それに伴って、ドライブギア52の滑り開始のタイミングやモータ負荷電流値も変化するが、その場合でも、磁気センサ70およびモータ負荷電流値を常にモニタしているCPU85によって、操作パネル190の表示部190C上には、前記変化に対応してドラグ力が逐次表示される。したがって、釣り人は、ドラグ操作部材30を回動操作して、表示部190C内のドラグ力表示を見ながら、所望のドラグ力に設定することができる。なお、スイッチ190Bを再度押すと、ソレノイド74が起動されて、係止爪73aがラチェット爪72aから離間し、モータ12による通常のスプール巻取り操作が可能になる(図5の状態)。
【0045】以上説明したように、本実施形態の魚釣用電動リール1は、スプール8の回転を固定した状態でモータ12を駆動させた際にドライブギア52が滑り出した時のモータ負荷を検出し、ドラグ調節に伴って変化する前記モータ負荷の検出値をドラグ力に換算して操作パネル190の表示部190Cに表示するようにしている。そのため、バネ量り等による煩雑な調整を行なわなくても、正確で且つ迅速なドラグ力設定が可能となる。すなわち、 目盛り等の目安ではなく、実際のドラグの作動で調整を行なうため、仕掛けの強度に合った、より正確なドラグ力の設定を行なうことができ、常に安定したドラグ力を発生させることが可能となる。
【0046】なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、ドライブギア52の回転を検出しているが、ドラグ機構の滑り始めを検知できる回転体、具体的には、モータ12からドライブギア52までの間に設けられた中間歯車19やスプール駆動用歯車14などの、スプール8の回転を固定した状態でモータ回転に連動して回転する部材であれば、どのような部材の回転を検知しても良い。また、スプール8の回転を固定する手段は、ソレノイド74に限定されるものではなく、手動で作動する爪等でスプール8を固定できれば、本件の目的を達成できることは言うまでもない。また、スプール8の回転の固定状態は、スプール回転検出センサ、ソレノイドの作動、スプール回転固定用爪の位置などによって検出することができる。また、モータ負荷電流値の検出は、駆動回路中の電流や電圧等の電力値の変化を負荷として検出する以外に、パワーレバー150の回動量(デューティ比の加減)を負荷として代用検出しても良い。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の魚釣用電動リールによれば、ドラグ力の設定を正確且つ迅速に行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2002−291386(P2002−291386A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−101578(P2001−101578)