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【発明の名称】 魚釣用リール
【発明者】 【氏名】宮崎 健夫

【要約】 【課題】巻取り駆動機構の構成部品を軽量化し、操作性のよい魚釣用リールを提供すること【解決手段】リール本体10に支持されたスプール20に釣糸を巻回保持するための巻取り駆動機構が、その構成部品を平均結晶粒径が0.005〜1μmの超微細結晶アルミ合金で形成した魚釣用リール。

【解決手段】リール本体10に支持されたスプール20に釣糸を巻回保持するための巻取り駆動機構が、その構成部品を平均結晶粒径が0.005〜1μmの超微細結晶アルミ合金で形成した魚釣用リール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リール本体に支持されたスプールと、このスプールに釣糸を巻回保持するための巻取り駆動機構とを備えた魚釣用リールにおいて、前記巻取り駆動機構の構成部品を平均結晶粒径が0.005〜1μmの超微細結晶アルミ合金で形成したことを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】 前記構成部品は、巻取り駆動機構の動力伝達用歯車であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣用リールに関し、特に、リール本体に支持されたスプールと、このスプールに釣糸を巻回保持するための巻取り駆動機構とを備えた釣糸用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、魚釣用リールのスプールに釣糸を巻回保持するための巻取り駆動機構は、ハンドルにと一体的に回転する駆動歯車と、巻取り駆動部を駆動するピニオンギヤと、スプールに釣糸を均等に巻回する釣糸平行巻き装置を駆動する従動歯車等を備えており、これらのピニオンギヤおよび従動歯車は、駆動歯車と噛合い、この駆動歯車を介して、ハンドルに作用する力を巻取り駆動部および巻取り駆動部に伝達する。
【0003】このような巻取り駆動機構を形成する種々の部材のうち、特に駆動歯車およびピニオンギヤには釣糸の巻取り時に大きな負荷が作用するため、強度の大きな金属材料が用いられている。一般的には、巻取り駆動機構の歯車の金属材料として、銅系合金、鉄系合金、および、アルミ合金等が用いられている。
【0004】しかし、これらの金属材料等を用いて形成した魚釣用リールの歯車は、以下のような様々の欠点を有している。まず、銅系合金、鉄系合金の場合、比重が大きく、部品重量が重くなってしまう。特に、一対の側板間にスプールを保持した両軸受型リールの場合には、巻取り駆動機構の種々の部材がハンドル側に集中して配置されるため、ハンドル側が特に重く、左右の重量バランスが悪くなる。このため、釣糸を巻取り操作する際に、手首に捩れ方向の力が作用し、操作性が悪く、長時間にわたって使用した場合の疲労度が極めて高くなるという不具合がある。
【0005】また、軽量化を目的として樹脂あるいはアルミ合金で歯車を形成する場合には、次のような不具合がある。すなわち、樹脂の場合には、強度不足となり易く、歯が欠ける等のトラブルが発生する。このため、高負荷の作用する駆動歯車およびピニオンギヤには樹脂材料を使用することはできない。また、アルミ合金の場合には、駆動歯車を形成することは可能であるが、しかし、ピニオンギヤについては、歯数が少ないこと、および、両軸受型リール等の場合にクラッチ機構の関係でスプール軸との係合部を形成することから強度の大きな銅系金属や鉄系金属を用いる必要があり、これにより、駆動歯車とピニオンギヤとが異種金属で形成されることになる。この結果、駆動歯車とピニオンギヤとの間で電食による腐食が発生する虞がある。
【0006】このような電食を防止するために、アルミ合金製の駆動歯車に表面処理(アルマイト等)を施して使用すると、アルマイト等の表面に生成された硬く脆い層は、歯面に作用する大きな負荷でうろこ状に剥離し、歯面に段差が形成される。これにより、駆動歯車の回転時にガタ付きを生じさせ、回転不良となる。したがって、駆動歯車をアルミ合金で形成する場合には強度不足が生じるというのが現状であり、小さな負荷が作用する部分にしか用いることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の種々の材料を用いて魚釣用リールの駆動機構を形成する種々の歯車を形成する場合には、実用上多くの問題を有していた。すなわち、大きな負荷の作用する例えば駆動歯車およびピニオンギヤ等の駆動機構の構成部品は軽量かつ高強度である等の厳格な要件を求められているが、従来の材料にはこれらの要求を充足するものはなく、重い銅系金属あるいは鉄系金属で形成せざるを得なかった。本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、巻取り駆動機構の構成部品を軽量化し、操作性のよい魚釣用リールを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によると、魚釣用リールのリール本体に支持されたスプールに釣糸を巻回保持するための巻取り駆動機構は、その構成部品を平均結晶粒径が0.005〜1μmの超微細結晶アルミ合金で形成したことを特徴とする。このような構成部品は、巻取り駆動機構の動力伝達用歯車であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の魚釣用リールは、巻取り駆動機構の構成部品を、平均結晶粒径が0.005〜1μmの超微細結晶アルミ合金で形成したことを特徴とする。このような0.005〜1μmの平均結晶粒径を持つ超微細結晶アルミ合金は、通常のアルミ合金の結晶サイズが数百μmであるのに対し、ほぼ数千分の1程度の微細結晶組織を持つもので、ガスアトマイズ法で作成した急冷凝固粉末を押出固化あるいは焼結することにより得られる。このような結晶組織の微細化により、結晶サイズが数百μmである通常のアルミ合金と比較して、高強度の特性を有する。これは、析出した金属間化合物の粒子が極めて小さく、このため金属間化合物とマトリックスとの界面において応力集中も小さく抑えられ、アルミ合金が破壊され難いためである。
【0010】また、種々のアルミ合金をガスアトマイズ法で超微細結晶化することが可能であることに加え、Niなどの遷移金属元素を添加することにより微細な金属間化合物が金属組織中に均一に分散され、高剛性、高耐熱性等の優れた特性を付与することもできる。
【0011】このような超微細結晶アルミ合金を所要形状とする塑形方法には、種々の方法があり、主にAl−Ni系(高強度、高剛性の特性を有する)およびAl−Zn系(高靭性の特性を有する)の材料について行われるものとして、ガスアトマイズ法で作成した急冷凝固粉末を押出固化した押出材から切削加工することができる。また、主にジュラルミン系のアルミ合金については、急冷凝固粉末を押出固化あるいは焼結したプリフォーム材を圧延し、プレス加工に類似した超塑性加工による塑形しても良く、更に、Al−Si系およびジュラルミン系のアルミ合金については、鋳造鍛造に類似した高速超塑性加工により塑形が可能である。
【0012】
【実施例】以下、本発明の種々の具体的実施例について説明する。図1および図2は、魚釣用リールの内、一般的なスピニングリールを示す。このスピニングリールのリール本体10には、管軸12によって回転自在に軸支されたロータ14が設けられ、釣糸を案内するベール16がこのロータ14に取付けられている。この管軸12内に挿入されたスプール軸18の先端部に、釣糸が巻き付けられるスプール20が固定されている。
【0013】また、管軸12の一端側の外周部には、ピニオン12aが形成されており、このピニオン12aは、フェースギヤとして形成された駆動歯車22と噛合している。この駆動歯車22は、ピニオン12aと共にリール本体10にスプール軸18と直交する方向に取付けられたハンドル軸24a上に固定されており、ハンドル24を回転したときに、ハンドル軸24aと共に回転される。
【0014】また、図2に示すように、ピニオン12aは、ウォームシャフト26に設けられた従動歯車26aと噛合う。このウォームシャフト26の外周面には螺旋状の溝が形成してあり、この溝に噛合う図示しないスライダが、スプール軸18に対して軸方向に移動不能に取付けられている。ウォームシャフト26が、駆動歯車22により、ピニオン12aを介して回転されると、スライダがこのウォームシャフト26上を軸方向に移動し、ロータ14の回転に連動してスプール軸18およびスプール20を前後動させる。なお、符号28は、この魚釣用リールを竿に固定するためのリール脚を示す。
【0015】魚を取込む際、ハンドル24を回転すると、ハンドル24に作用する力でベール16を具備したロータ14が回転され、かつスプール20が前後動され、これにより、釣糸はスプール20に均等に巻き付けられる。この際、巻取り駆動機構を形成する駆動歯車22およびピニオン12aには、大きな負荷が作用する。
【0016】本実施例においては、これらの駆動歯車22とピニオン12aと従動歯車26aとの互いに噛合う歯車の全てを、0.005〜1μmの平均結晶粒径を持つ超微細結晶アルミ合金で形成してある。これらの歯車の塑形方法は、ホブによる切削加工が好ましい。
【0017】このように、従来では重い銅系合金あるいは鉄系合金で形成せざるを得なかった駆動歯車22とピニオン12aとが、これらの歯車の強度および剛性を損なうことなく軽量化され、魚釣用リールの全体が軽量化し、操作性が大きく向上する。
【0018】特に、駆動歯車に対して摺動しつつ回転するピニオン12aを超微細結晶アルミ合金で形成することにより、歯数が少なくても十分な強度を維持することができ、これにより、更に軽量化が促進される。また、耐磨耗性も向上するため、長期にわたって滑らかな噛合いを維持することができる。
【0019】更に、大きな負荷が作用する駆動歯車22およびピニオン12aだけでなく、従動歯車26aを含む互いに噛合って力を伝達する全ての歯車をこのようなアルミ合金で形成することにより、電食の発生が防止でき、したがって、アルマイト等の表面処理が不要である。このようなアルマイト等の表面処理層は、強い力が作用したときに、うろこ状の剥離の発生に起因する噛合い部のガタ付きを生じさせるものであり、通常は大きな負荷が作用しない歯車に例えば異物の噛み込み等により歯面に強い力が作用した場合であっても、このようなうろこ状の剥離によるガタ付きが防止できる。
【0020】図3は、両軸受型リールを示す。本実施例では、非丸型である異形状の両軸受型リールとして形成してある。本実施例の両軸受型リールのリール本体50は、一対のフレーム52a,52b間に、スプール54取付けたスプール軸54aが回転可能に支持されている。このスプール軸54aには、その一端側に、ハンドル軸56aに取り付けられた駆動歯車58と噛合関係にあるピニオン60が設けられている。そして、ハンドル軸56aがハンドル56の回転操作によって回転駆動されると、その回転力は、駆動歯車58、ピニオン60およびスプール軸54aを介してスプール54に伝達される。
【0021】ピニオン60には、周方向溝60aが形成されており、この周方向溝60aに、クラッチ機構の一部であるクラッチ板62が係合している。クラッチ板62は、図示しない切換えレバーによって軸方向に駆動され、ピニオン60を軸方向に移動させる。スプール軸54aの端部には、嵌合部54bが形成されており、ピニオン60がクラッチ板62によって軸方向に移動されると、ピニオン60は、この嵌合部に嵌合し、あるいはこの嵌合部54bから外れる。ピニオン60が嵌合部54bから外れると、ピニオン60の回転力は、スプール軸54aに伝達されなくなり、スプール54はフリー回転可能な状態となる。すなわち、切換えレバー操作によって、スプール54は、ハンドル56の回転操作による釣糸巻取状態(クラッチオン)と、フリー回転状態(クラッチオフ)とに切り換えられる。
【0022】また、一対のフレーム52a,52bの間には、釣糸平行巻き装置64が設けられている。この平行巻き装置64は、軸方向孔66aを形成した案内筒66と、この案内筒66内に回転可能に支持されたウォームシャフト68と、案内筒66を囲繞して取り付けられかつ軸方向孔66aを介してウォームシャフト68に係合した釣糸案内部材70とを備えており、このウォームシャフト68の一端には、図示しない中間歯車を介して駆動歯車58で駆動される従動歯車72が取付けられている。これにより、釣糸案内部材70は、スプール54の回転に連動して一対のフレーム52a,52b間を移動し、釣糸案内孔(図示しない)を通して、スプール54上に釣糸をほぼ平行に巻回する。
【0023】本実施例では、駆動歯車58とピニオン60と従動歯車72とこの従動歯車72を駆動歯車58に連結する図示しない複数野中間歯車とが上述の超微細結晶アルミ合金で形成されている。
【0024】このような両軸受型リールのハンドル側に配置されている駆動歯車58とピニオン60と従動歯車72と中間歯車とをを上述の超微細結晶アルミ合金で形成することにより、上述の実施例と同様に魚釣用リール全体の軽量化が図られることに加え、左右の重量バランスが向上し、操作性が飛躍的に改善される。また、頻繁なクラッチ操作により、クラッチ板62を介してピニオン60に繰返し負荷が作用しても、ピニオン60が軽量であることに加え、駆動歯車58との噛合いが滑らかであるため、長期間にわたって過酷な操作に耐えることができる。
【0025】本実施例における駆動歯車58とピニオン60と従動歯車72と中間歯車とは、上述の実施例と同様な材料で形成することができるが、駆動歯車58はスピニングリールの駆動歯車22のようにフェースギヤとして形成する必要がなく、したがってプリフォームを切削加工することが可能である。
【0026】
【発明の効果】以上明らかなように、本発明によると、魚釣用リールのリール本体に支持されたスプールに釣糸を巻回保持するための巻取り駆動機構は、その構成部品を平均結晶粒径が0.005〜1μmの超微細結晶アルミ合金で形成したことにより、巻取り駆動機構の構成部品を軽量化し、操作性のよい魚釣用リールが提供される。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成13年3月29日(2001.3.29)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2002−291383(P2002−291383A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−96182(P2001−96182)