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【発明の名称】 魚釣用スピニングリール
【発明者】 【氏名】本 博憲

【要約】 【課題】糸絡みや糸傷及びベールの亀裂などの発生を防止すると共に、ロータの回転バランスに優れた魚釣用スピニングリールを提供する。

【解決手段】本発明の魚釣用スピニングリールは、リール本体2に回転自在に支持されたロータ14と、ロータから延びる一対のベール取付アーム16に回動反転可能に取り付けられた一対のベール支持部材18と、一対のベール支持部材18に支持されたベール20と、一方側のベール支持部材に設けられたラインローラ22と、ベール反転時にベールで拾われた釣糸をラインローラへ導く釣糸導入部24と、釣糸導入部に形成され且つベールの端部を取付可能なベール取付部26とを備えている。ベール取付部26及びベール20の端部は、少なくとも、その接合部W近傍が中空形状を成し、この接合部近傍に中空の補強部材28を介在させることによって、ベール取付部とベールの端部とを互いに接合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リール本体に回転自在に支持されたロータと、このロータから延びる一対の腕部に回動反転可能に取り付けられた一対のベール支持部材と、これら一対のベール支持部材に支持されたベールと、一方側のベール支持部材に設けられた釣糸案内部と、この釣糸案内部の近傍に設けられ且つベール反転時にベールで拾われた釣糸を前記釣糸案内部へ導くように構成された釣糸導入部と、この釣糸導入部に形成され且つベールの端部を取付可能なベール取付部とを備えた魚釣用スピニングリールにおいて、前記ベール取付部及びベールの端部は、少なくとも、その接合部近傍が中空形状を成しており、この接合部近傍に中空の補強部材を介在させることによって、ベール取付部とベールの端部とを互いに接合したことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】 前記釣糸導入部には、ベール取付部が突出形成されていることを特徴とする請求項1の魚釣用スピニングリール。
【請求項3】 前記ベール取付部とベールの端部との接合部には、接合手段として溶着処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項4】 前記ベールは、中空形状を成していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベールとベール取付部との接合部近傍を改良した魚釣用スピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、魚釣用スピニングリールのロータの一対の腕部には、ベールと、このベールを支持するベール支持部材とが夫々取り付けられている。この内、一方のベール支持部材には、釣糸案内部と、ベールの端部を取付可能なベール取付部を有する釣糸導入部とが設けられており、このベール支持部材によって、ベールは、釣糸繰出位置と釣糸巻取位置に回動反転自在に構成されている。また、釣糸導入部は、釣糸案内部の近傍に設けられており、ベール反転時に釣糸を釣糸案内部へ導くことができるように構成されている。
【0003】しかし、上述したような構成では、特にベールの端部と釣糸導入部との取付部分に段差が形成されているため、例えばベール反転時において、その取付部分に釣糸が糸絡みし易いといった不具合が指摘されていた。
【0004】そこで、例えば実開平3−117462号公報には、ベールと釣糸導入部とを一体形成すると共に釣糸導入部を円錐状に形成することによって、ベールと釣糸導入部との間に生じる段差を無くし、更にベールと釣糸導入部との接合部をリール本体側へ偏寄させることによって、糸絡みを防止する構成が開示されている(第1の従来技術)。
【0005】また、例えば特開平10−117644号公報には、ベールの釣糸接触部とスプールの釣糸接触部との間隔が、ベールからラインローラ方向に沿って徐々に狭くなるように、釣糸導入部の形状を構成すると共に、この釣糸導入部をベールとは別体で形成し、ベールからラインローラ方向に沿って徐々に大径となる円錐状に形成して糸絡みを防止する構成が開示されている(第2の従来技術)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した第1の従来技術では、ベールと釣糸導入部とを一体形成したことによって、その形状が複雑化するため、製造が困難になり、製造コストが高くなってしまうといった不具合が指摘されている。
【0007】また、上記した第2の従来技術では、ベールと釣糸導入部との間に段差が生じるため、糸絡みや糸傷などが発生し易いといった不具合や、釣糸導入部にベールを取り付ける際にベールを屈曲させなければならないため、ベール形状が複雑になり、正確な形状出しが難しいといった不具合などが指摘されている。
【0008】そこで、特開2000−279068号公報には、ベールと釣糸導入部との接合部に中実ピンを挿入介在させて、その接合部を補強することによって、上記した従来技術の不具合を解消するように構成した技術が提案されている。
【0009】しかし、接合部に中実ピンを挿入介在させた場合、ベールに外力が作用した際に、中実ピンの両端近傍のベールに対して局部的な曲げ荷重が加わると、ベールに亀裂が入り、糸切れ等の問題を誘発するおそれがあり、改良の余地がある。また、中実ピンを補強部材として用いると、回転軌跡の外側に位置するベールの重量を軽減することができなくなるため、ベールと共に回転するロータの回転バランスが取り難くなる等の問題も指摘されている。
【0010】本発明は、このような問題を解決するために成されており、その目的は、糸絡みや糸傷及びベールの亀裂などの発生を防止すると共に、ロータの回転バランスに優れた魚釣用スピニングリールを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明は、リール本体に回転自在に支持されたロータと、このロータから延びる一対の腕部に回動反転可能に取り付けられた一対のベール支持部材と、これら一対のベール支持部材に支持されたベールと、一方側のベール支持部材に設けられた釣糸案内部と、この釣糸案内部の近傍に設けられ且つベール反転時にベールで拾われた釣糸を前記釣糸案内部へ導くように構成された釣糸導入部と、この釣糸導入部に形成され且つベールの端部を取付可能なベール取付部とを備えた魚釣用スピニングリールにおいて、ベール取付部及びベールの端部は、少なくとも、その接合部近傍が中空形状を成しており、この接合部近傍に中空の補強部材を介在させることによって、ベール取付部とベールの端部とを互いに接合したことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態に係る魚釣用スピニングリールについて、図1及び図2を参照して説明する。
【0013】図1に示すように、魚釣用スピニングリールは、リール本体2と、このリール本体2を釣竿4のリール取付部6に取り付けるためのリール脚部8とを備えている。リール本体2内には、ハンドル10の回転操作によって回転駆動される駆動歯車が設けられており、この駆動歯車には、中空のピニオンが歯合している。
【0014】ピニオン内には、スプール軸が軸方向に挿通されており、このスプール軸の先端には、釣糸が巻回されるスプール12が取り付けられている。また、ピニオンには、このピニオンと一体的に回転するロータ14が取り付けられており、このロータ14には、一対のベール取付アーム(腕部)16が設けられている。これら一対のベール取付アーム16には、夫々、ベール支持部材18を介してベール20が釣糸繰出位置と釣糸巻取位置に回動反転可能に支持されている。なお、一方側のベール支持部材18とベール20の端部との間には、釣糸案内部(以下、ラインローラという)22が支持されている。
【0015】また、上記の駆動歯車には、オシレーティング機構が係合しており、ハンドル10を回転操作して駆動歯車を回転させることによって、上述したスプール軸(スプール12)を前後動させることができるように構成されている。
【0016】このような構成を有する魚釣用スピニングリールにおいて、ベール20を釣糸繰出位置に回動させた状態でキャスティングした後、ハンドル10を回転操作すると、ベール20が釣糸巻取位置に反転すると共に、ハンドル10の回転運動は、駆動歯車を介してピニオンに伝達され、このピニオンを回転させる。同時に、ハンドル10の回転運動は、オシレーティング機構を介してスプール軸に伝達され、このスプール軸を前後動させる。このとき、ロータ14が回転しつつスプール12が前後動することによって、釣糸は、ラインローラ22を介してスプール12に平行且つ均等に巻回される。
【0017】このような魚釣用スピニングローラには、糸絡みや糸傷及びベール20の亀裂などの発生を防止すると共に、ベール20と共に回転するロータの回転バランスを向上させるために、以下のような構成が施されている。
【0018】図2(a)に示すように、本実施の形態では、ベール20は、一対のベール支持部材18(片方のみ図示)を介して、一対の腕部16(片方のみ図示)に回動反転可能に取り付けられている。図示された一方側のベール支持部材18には、回転可能に支持されたラインローラ22と、このラインローラ22の近傍に配される釣糸導入部24が設けられており、釣糸導入部24の先端側には、ベール20の端部を取付可能なベール取付部26が突出形成されている。
【0019】前記釣糸導入部24は、ラインローラ22側からベール取付部26に向かうにしたがって徐々に(連続して滑らかに)縮径した表面形状(曲面形状)を成している。そして、ベール20の端部とベール取付部26とは、互いに段差の無い略同一表面状で且つ同径の形状に形成されていると共に、所定の接合手段によって互いに略同一軸芯上に接合されている。すなわち、釣糸導入部24は、ラインローラ22側からベール取付部26に向かって円滑に縮径し、そのベール取付部26は、ベール20の端部が延出する方向に沿って突出形成されている。
【0020】この構成によれば、ベール20を釣糸導入部24のベール取付部26に取り付ける際に、ベール20を屈曲させること無く(つまり、ベール20を複雑な形状に加工すること無く)、ベール20の端部とベール取付部26とを互いに接合させることが可能となる。なお、上記した曲面形状とは、円錐形状や凹状の湾曲形状などを含めた上位概念を意味する。
【0021】また、図2(b),(c)に示すように、一方側のベール20の端部とベール取付部26には、夫々、少なくともその接合部W(接合部Wを含めた近傍も含める)において、所定寸法の中空部20a,26aが形成されている。そして、これら中空部20a,26a内に中空の補強部材28を嵌入することによって、ベール20の端部とベール取付部26とを互いに接合させることができるようになっている。
【0022】更に、中空部20a,26a内に中空の補強部材28を嵌入してベール20の端部とベール取付部26とを互いに接合させた状態において、接合手段としての溶着機30によって、ベール20の端部とベール取付部26との接合部Wに溶着処理を施す。
【0023】溶着処理としては、例えば、ロー付け、アルゴン溶接、ガス溶接、プラズマ溶接、レーザ溶接、アーク溶接、テルミット溶接、電子ビーム溶接などの各種溶着法を適用することが可能である。
【0024】この場合、ベール20及びベール取付部26は、このような溶着処理に最適な材料で形成することが好ましい。例えば、銅、真鍮、SUS、スチール、アルミニウム、亜鉛などの各種材料を適用することが可能である。また、中空の補強部材28としては、ベール20及びベール取付部26と同じ材料で形成することも可能であるが、上記の溶着処理に適した材料である限りにおいて、これに限定されることは無く、任意の材料を選択することが可能である。
【0025】上述したような本実施の形態の構成によれば、ベール20の端部及びベール取付部26の少なくとも接合部W(接合部Wの近傍を含める)を中空形状に構成すると共に、この接合部Wに介在させる補強部材28も中空に構成したことによって、ベール20、及びベール取付部26が突出形成された釣糸導入部24を軽量化させることができる。この結果、ベール20と共に回転するロータの回転時のバランスを向上させることができ、釣糸巻取操作を常時安定した状態に維持することが可能となる。
【0026】更に、接合部W及び補強部材28を中空形状としたことによって、ベール20に外力が作用して接合部W及び補強部材28に曲げ荷重が加えられた場合でも、中空の接合部W並びに補強部材28は、その曲げ荷重の程度に応じて柔軟に弾性変形して応力を分散させることができる。この結果、中実の補強部材を使用した場合に生じた従来の問題(例えば、中実の補強部材の両端近傍のベールに亀裂が入って糸切れ等が生じる問題)を解消させることが可能となる。
【0027】従って、例えばベール20に対して屈曲加工処理を施すような場合でも、中空部分が柔軟に曲げ加工を許容して接合部Wへの局部的な応力集中の発生を防止することができるため、補強部材端部近傍の部分からの折れを防ぎ、接合部を効果的に補強しながら加工性を向上させることができる。
【0028】また、釣糸導入部24のベール取付部26をベール20の端部の延出方向に沿って突出形成したことによって、ベール20からベール取付部26を介して釣糸導入部24までを滑らかに連続した一体構造とすることができる。この結果、段差の無い接合部Wを実現することができ、糸絡みや糸傷などの発生を防止することが可能となる。
【0029】更に、ベール20の端部とベール取付部26との接合部Wに溶着処理を施したことによって、繋ぎ目の無い綺麗な外観を維持することができると共に、ベール20からベール取付部26を介して釣糸導入部24までを一体化させたモノコック構造とすることができる。この結果、糸絡みし難く且つ耐久性に優れたベール20を実現することが可能となる。
【0030】なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることは無く、以下のように種々変更することが可能である。
【0031】上述した実施の形態では、ベール20の端部を中空形状としたが、例えばベール20の全体に亘って中空形状を成すように構成しても良い。このような構成によれば、例えば高い強度を有する材料で太径のベール20を構成した場合でも、ベール20の高強度化と軽量化を同時に図ることができる。従って、例えばベール20に対して屈曲加工処理を施すような場合でも、中空の補強部材28が嵌入された接合部Wへの局部的な応力集中の発生を防止することができるため、加工性を向上させることができる。
【0032】また、上述した実施の形態では、接合部Wにおいて、ベール20の端部(延出端部)とベール取付部26の端部(先端部)とを当て付けて構成したが、例えば図3(a),(b)に示すように接合部Wを構成しても良い。
【0033】この場合、釣糸導入部24は、中空の補強部材28を嵌入する部分(例えばベール取付部26の部分及びその近傍)のみに中空部26aが形成され、それ以外の部分は中実に形成されている。また、ベール20の少なくとも端部の径寸法(具体的には、中空部20aの内径寸法)は、ベール取付部26の外径寸法よりも大きく設定されており、接合部Wにおいて、ベール20の端部がベール取付部26に外嵌されるように構成されている。すなわち、中空の補強部材28が嵌入されたベール取付部26は、接合部Wにおいて、ベール20の端部の中空部20a内に嵌入されるように構成されている。
【0034】このような構成によれば、接合部Wは、最も内側に中空の補強部材28が介在され、その外側にベール取付部26及びベール20の端部が階層される構造となり、その強度を向上させることができる。このため、特に溶着処理を必要としない場合も想定されるが、溶着処理を施すことによって、接合部W及びその近傍を繋ぎ目の無い綺麗な外観に加工することができると共に、ベール20からベール取付部26を介して釣糸導入部24までを一体化させたモノコック構造とすることができる。この結果、糸絡みし難く且つ耐久性に優れたベール20を実現することが可能となる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、ベール部分における糸絡みや糸傷、及びベールの亀裂などの発生を防止すると共に、ベールと共に回転するロータの回転バランスに優れた構成の魚釣用スピニングリールを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−291381(P2002−291381A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−100482(P2001−100482)