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【発明の名称】 魚釣り用リールの構成部材
【発明者】 【氏名】小池 守

【要約】 【課題】加工精度が高く、表面に凹凸がなく、内部にピンホールや湯じわがなく、従って高強度である金属成型体からなる、魚釣り用リールの構成部材を提供することを目的とする。

【解決手段】酸素雰囲気製法におけるホットチャンバーダイカスト法、または酸素雰囲気製法における半溶融鍛造法により形成した金属部品からなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】酸素雰囲気製法におけるホットチャンバーダイカスト法により形成した金属部品からなることを特徴とする魚釣り用リールの構成部材。
【請求項2】酸素雰囲気製法における半溶融鍛造法により形成した金属部品からなることを特徴とする魚釣り用リールの構成部材。
【請求項3】前記構成部材は、非鉄金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の魚釣り用リールの構成部材。
【請求項4】前記構成部材は、ギヤ及びスプールの少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の魚釣り用リールの構成部材。
【請求項5】前記構成部材は、光輝性を備えた非鉄金属からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の魚釣り用リールの構成部材。
【請求項6】前記構成部材は、熱処理が施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の魚釣り用リールの構成部材。
【請求項7】前記構成部材は、表面処理が施されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の魚釣り用リールの構成部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣り用リールの構成部材に係り、特に、魚釣り用リールのスプール、ギヤ等の構成部材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、魚釣り用リールは、軽量、高剛性とするために、様々な金属からなる構成部品が用いられている。特に、魚釣り用リールのギヤやスプールには、複雑な形状を金属で実現するために、軽量かつ加工性に優れ、同一金属での比強度に優れた、アルミニウム合金、マグネシウム合金等が用いられている。
【0003】現在、魚釣り用リールの構成部材にアルミニウム合金、マグネシウム合金を用いる理由としては、(1)加工性に優れているため、複雑な形状に加工し易いこと、(2)融点が他の金属に比べて低く、型による成形を行い易いこと、等を挙げることが出来る。
【0004】このようなアルミニウム合金やマグネシウム合金製の構成部品は、通常、コールドチャンバーダイカスト法や鍛造等の型による成形、或いは切削等の機械加工による成形法により形成されていた。
【0005】しかし、コールドチャンバーダイカスト法の場合、成形時に空気の巻き込みによる巣が発生し易く、完成品が脆くなり易いという問題がある。また、鍛造の場合、金型の転写性が悪く、表面の凹凸を切削等の機械加工で取り除く必要があるため、量産性、コストの面で不利である。
【0006】更に、切削等の機械加工により形成する方法は、加工時間が長く、大量生産に不向きである。魚釣り用リール、特にスピニングリールに使用されているフェースギアを例に挙げると、フェースギアは歯面の形状が複雑なので、切削加工では非常に時間がかかり、生産性が非常に悪い。そのため、コールドチャンバーダイカスト法や鍛造などの型による成形法が一般に採用されている。
【0007】しかし、コールドチャンバーダイカスト法では、型や成形機の内部に存在する空気や、上述したように溶融スラグの成形機への充填時の空気の巻き込みのため、成形品内に鋳巣が発生し、完成品が脆くなる。また、歯面に凹凸が発生し易いので、歯面のラッピング処理に非常に時間がかかるという問題がある。
【0008】鍛造によりフェースギアを形成した場合には、上述のように金型の転写性が悪く、コールドチャンバーダイカスト法製品よりも表面が荒れているため、歯面のラッピング処理には更に時間がかかる。また、歯面の形状は複雑を極めるため、ラッピング処理以外の修正方法は事実上なく、ラッピング処理による歯面の修正に要する時間を短縮することが、量産性を高めるために必須の要件である。
【0009】以上のことから、ラッピング処理前の一次成形品を高い精度で成形することが望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の種々の成形法は、いずれも多くの欠点を有しており、そのような成型法により形成された魚釣り用リールの構成部材は、実用上、多くの問題を有していた。即ち、魚釣り用リールの構成部材、例えばスピニングリールに使用されるフェースギア、スプールには、加工精度が高く、表面に凹凸がないこと、内部に巣がなく、従って高強度であること等、様々な厳しい要件が求められているが、従来の成型法には、これら要求をすべて満たすものはない。
【0011】本発明は、このような事情の下になされ、加工精度が高く、表面に凹凸がなく、内部に巣がなく、従って高強度である金属成型体からなる、魚釣り用リールの構成部材を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、第1の発明は、酸素雰囲気製法におけるホットチャンバーダイカスト法により形成した金属部品からなることを特徴とする魚釣り用リールの構成部材を提供する。
【0013】かかる魚釣り用リールの構成部材は、酸素雰囲気製法におけるホットチャンバーダイカスト法により形成されているので、鋳巣が生じにくく、また酸素が金属と反応するため金型内が真空に近い状態となり、溶融金属を吸引し、金型の転写性が良好となるため、鍛造品に比べ、成形後の形状が完成品形状に近くなる。そのため、追加工の必要がなく、安価で容易に成形可能である。また、切削加工に比べ、量産性においてはるかに優れている。
【0014】また、第2の発明は、酸素雰囲気製法における半溶融鍛造法により形成した金属部品からなることを特徴とする魚釣り用リールの構成部材を提供する。
【0015】かかる魚釣り用リールの構成部材は、酸素雰囲気製法における半溶融鍛造法により形成されているので、上述の第1の発明による利点に加え、低温での成形のため成形時の収縮率が小さく、完成品に対する寸法誤差が少ないという利点がある。
【0016】第1および第2の発明に係る構成部材を、非鉄金属、特にアルミニウム合金やマグネシウム合金により形成することで、より軽量化を図ることが出来る。アルミニウム合金としては、どのようなものをも使用可能であるが、特に、超ジュラルミンや超々ジュラルミンは、高強度であるため、薄肉加工が可能であるとともに成型体の軽量化を図ることができるので、好ましい。
【0017】また、構成部材は、ギヤまたはスプールの少なくともいずれか一方であることが望ましい。ギヤ、特にスピニングリールのフェースギヤは複雑な形状を有するため、切削加工では極めて長時間を要するが、上記2つの方法のいずれかにより成形することにより、短時間での量産化が可能である。
【0018】更に、スプールの場合、上記方法により成形することにより、切削加工を施しても巣が表面に出ないので、仕上がり面が荒れず、また釣り糸巻回時の締め付けによる変形が生ずることがない。
【0019】また、構成部材を、光輝性を備えた非鉄金属により形成することにより、アルマイト等の表面処理を施すだけで、美しい外観を得ることが出来るので、塗装等の処理が不要となるという利点がある。
【0020】更に、本発明の構成部材は、上述のように巣が生じにくいので、熱処理が可能であり、また成形面がほぼ均一であるので表面処理を施しても凹凸が発生しにくく、寸法精度の狂いを極力減らすことが可能となる。
【0021】本発明の魚釣り用リールの構成部材は、上述したギア、スプールに限らず、フレーム、ロータ、ボディカバ−、ハンドルアーム等であってもよい。魚釣り用リールは、スピニングリール、両軸リール、いずれのタイプでもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。第1の発明に係る魚釣り用リールの構成部材は、酸素雰囲気製法におけるホットチャンバーダイカスト法により形成したことを特徴とする。ここで、図7を参照して、ホットチャンバーダイカスト法について説明する。
【0023】図7は、ホットチャンバーダイカスト法を実施する装置を概略的に示す図である。セラミクス製溶解炉71内には、アルミニウム合金の溶湯72が収容されており、射出シリンダー73の動作により、セラミクススリーブ74から金型75内に直接、溶湯が流体のまま充填されるようになっている。
【0024】成型条件は、溶湯72の温度が650〜660℃、射出スピードが1/100秒前後である。
【0025】なお、金型75内への溶湯の充填に際しては、まず、金型75内に酸素を注入しながら金型75を閉鎖し、次いで、セラミクススリーブ74から金型75内に溶湯を射出する。このとき、金型75内への空気の巻き込み・浸入は生じない。そのため、成形体に鋳巣が生ずることはない。
【0026】注入された酸素は、アルミニウム合金と反応して消費されるため、金型75内は真空に近くなり、そのため、溶湯の回り込み、転写性が向上し、凹凸面のない成形体が得られる。
【0027】以上のようにして得た成型体は、ピンホールは湯じわ等の内部欠陥が格段に少ないため、強度が高く、かつ安定である。また、コールドチャンバーダイカスト成型法以上に複雑かつ肉薄な形状の成型を行うことが可能であり、更に、得られた成型体には、ピンホールや湯じわが存在しないため、熱処理が可能であるとともに、後加工を行っても、外観にピンホールが露出しないため、肉厚部の切削加工が可能である。また、得られた成型体には、鍛造法により得られた成型体のように、残留応力、結晶配向が格段に少なく、応力割れ、応力腐食、粒界腐食を生ずることが格段に少ない。
【0028】第2の発明に係る魚釣り用リールの構成部材は、酸素雰囲気製法における半溶融鍛造法により形成したことを特徴とする。ここで、図8を参照して、半溶融鍛造法について説明する。
【0029】半溶融鍛造法による成型は、以下のような手順により行われる。まず、図8(a)に示すように、成型材料である合金を坩堝81内において加熱して、固相と液相を含む半溶融体82とする。この加熱は、例えば誘導加熱により行うことができ、温度は、570〜580℃が好ましい。半溶融体82は、固相70〜60%、液相30〜40%の組成を有するのが好ましい。例えば、固相60%、液相40%とすることができる。
【0030】次いで、半溶融体82は、半溶融スラグ83として取り出され、図8(b)に示すように、そのまま鋳型85に流し込まれて、インゴット86とされる。このインゴットは、市販されており、場合によっては、このインゴットを購入して以下の工程を行ってもよい。なお、加熱および冷却を通して、半溶融体および半溶融スラグは、例えば電磁撹拌ロータリー84により、撹拌されている。この半溶融体82の撹拌は、半溶融鍛造法の特徴の1つであり、非樹枝状組織を得るために必須な操作と言える。
【0031】得られたインゴット86は、図8(c)に示すように、所定の大きさにカットされてビレット87とされる。その後、このビレット87は、図8(d)に示すように、坩堝88内において、例えば誘導加熱により、所定の温度および粘度となるように再加熱される。この場合、ビレットの温度分布にバラツキがないようにすることが重要である。温度および得られた半溶融体89中の固相と液相の割合は、インゴットを得るための加熱工程と同様である。半溶融体89の粘度は、粘度計90により測定される。なお、半溶融体89の粘度は、30cP〜100cP程度であるのが望ましい。
【0032】再加熱により得た半溶融体は、図8(e)に示すように、ダイキャスト成型機と同様の成型機91により、成型される。射出スピードは0.1〜1.0秒、充填圧は、300〜500kgf/cm2程度である。成形は、金型内に酸素を注入して行われる。
【0033】以上の工程では、半溶融スラグを鋳型に流し込んで、インゴットを形成し、これを所定の大きさにカットされてビレットとし、このビレットを再加熱して半溶融体とし、これを成型機に導入して成型しているが、インゴット、ビレットとすることなく、半溶融体または半溶融スラグを直接成型機に導入して成型することも可能である。そうすることにより、工程の短縮化、低コスト化を図ることが出来る。
【0034】以上のようにして得た成型体は、非樹枝状組織を有し、そのため強度が高く、かつ安定である。また、ダイキャスト成型法並に複雑な形状の成型を行うことが可能であり、更に、得られた成型体には、ピンホールや湯じわの発生は全く見られない。このように、ピンホールや湯じわが存在しないため、熱処理が可能であるとともに、後加工を行っても、外観にピンホールや湯じわが露出しないため、肉厚部の切削加工が可能である。
【0035】更に、半溶融鍛造法により得られた成型体には、鍛造法により得られた成型体のように、残留応力、結晶配向が格段に少なく、応力割れ、応力腐食、粒界腐食を生ずることが格段に少ない。
【0036】また、成型は低温で行われるため、成型時の熱収縮率が小さく、完成品に対する寸法誤差が非常に小さくなり、寸法精度が良好となる。
【0037】以上説明した2つの成形法が適用される、本発明の魚釣り用リールの構成部材の材料は、上述したように、特に、アルミニウム合金、マグネシウム合金を用いることが好ましい。アルミニウム合金をとしては、例えば、超ジュラルミン、超々ジュラルミンを用いることができ、このような材料を用いることにより、薄肉加工が可能であり、成型体の軽量化を図ることができる。
【0038】以下、以上説明した2つの成型法により得られる、本発明の一実施形態に係るギヤ、スプール等の構成部品を具備する魚釣り用スピニングリールについて、図1〜図4を参照して説明する。
【0039】図1および図2に示されるように、魚釣用スピニングリール1は、リール本体1aと、リール本体1aから延出する脚部1bと、脚部1bの端部に形成され且つ図示しない釣竿に取り付けられる竿取付部1cとを有している。リール本体1a内には、ハンドル5が固定されるハンドル軸2が回転可能に支持されている。ハンドル軸2にはドライブギア3が固定されており、このドライブギア3には、ハンドル軸2に対して直交する方向に延び且つリール本体1aに軸受け11を介して回転可能に支持された管状のピニオンギア13が噛合している。このピニオンギア13の先端部には、ベール6および釣糸案内装置15を備えたロータ8が一体的に取り付けられている。
【0040】ハンドル軸2と直交する方向に延在するスプール軸9がピニオンギア13を貫通している。この場合、スプール軸9は、ピニオンギア13と同心的に配されており、ハンドル軸2と直交する方向に沿って前後動できる。また、スプール軸9の先端部には釣糸が巻回されるスプール10が取付けられている。
【0041】また、ドライブギア3にはピニオンギア13を介してオシレーティング機構19が係合している。このオシレーティング機構19は、ピニオンギア13と噛み合って回転するウォームシャフト(トラバースカム軸)19aと、ウォームシャフト19aの溝と噛み合い且つスプール軸9に対してその軸方向に移動不能に取り付けられたスライダ19bとからなり、ハンドル軸2がハンドル5の回転操作によって回転されると、スプール軸9を軸方向に沿って往復駆動(前後動)する。
【0042】このような構成では、ハンドル5を回転操作してハンドル軸2を回転させると、オシレーティング機構19を介してスプール軸9に取り付けられたスプール10が前後に往復動するとともに、ドライブギア3およびピニオンギア13を介してロータ8が回転駆動する。したがって、スプール10には、釣糸案内装置15を介して、釣糸が均等に巻回される。
【0043】また、リール本体1aには、ロータ8の逆回転を防止する逆転防止機構が設けられている。この逆転防止機構は、ピニオンギア13に対して回り止め嵌合され且つ軸受12を介してピニオンギア13とともにリール本体1aに回転可能に支持された内輪20と、内輪21の外側に配された環状の保持体27と、保持体27の外側に配され且つリール本体1aに取付け固定された外輪25とを有している。
【0044】保持体27は複数の転動部材27aを保持している。各転動部材27aは、内輪20の外周面と摩擦接触して内輪20の回転動作によって転動するとともに、外輪25の内周面と摩擦接触することができる。また、外輪25の内周面には、各転動部材27aがフリーに回転(転動)できるフリー回転領域と、各転動部材27aと摩擦接触して各転動部材27aの回転を阻止する楔領域とが形成されている。また、各転動部材27aは、保持体27に設けられたバネ部材(図示せず)によって、前記楔領域に向けて常時付勢されている。また、保持体27は、各転動部材27aが前記バネ部材の付勢力に抗してフリー回転領域に強制的に位置される逆転可能位置と、各転動部材27aが楔領域とフリー回転領域とを自由に移動できる逆転防止位置との間で、内輪20に対し回動できる。
【0045】保持体27には、保持体27とともに回動する回動部材21が取付け固定されている。この回動部材21の端部にはスリット孔21aが設けられている。また、スリット孔21aには、回動部材21を介して保持体27を逆転可能位置と逆転防止位置との間で回動させるための切換操作軸22の一端部22aが係合している。切換操作軸22は、スプール軸9と平行に延びるとともに、リール本体1aに回動可能に支持されており、その他端部がリール本体1aの後端部から外部に突出している。なお、リール本体1aの後端部から突出する切換操作軸22の他端部には、操作ツマミ23が取り付けられている。
【0046】このような構成の逆転防止機構では、操作ツマミ23を一方向に操作することにより保持体27を回動させて逆転防止位置に位置させると、ロータ8の正回転が許容され逆回転が阻止される。すなわち、保持体27が逆転防止位置に位置された状態で、ピニオンギア13とともに内輪20が正回転する(ロータ8が糸巻き取り方向に正回転する)と、保持体27の転動部材27aが外輪25のフリー回転領域に位置され、内輪20の回転に伴う転動部材27aの転動が外輪25によって阻止されない。したがって、内輪20すなわちロータ8はそのまま正回転し続けることができる。しかし、ピニオンギア13とともに内輪20が逆回転する(ロータ8が糸繰り出し方向に回転する)と、保持体27の転動部材27aが外輪25の楔領域に位置され、内輪20の回転に伴う転動部材27aの転動が外輪25によって阻止される。したがって、内輪20すなわちロータ8は逆回転することができない。
【0047】一方、操作ツマミ23を他方向に操作することにより保持体27を回動させて逆転可能位置に位置させると、ロータ8の正回転および逆回転の両方が許容される。すなわち、保持体27が逆転可能位置に位置されると、保持体27の転動部材27aが外輪25のフリー回転領域に強制的に位置されて保持されるため、ピニオンギア13とともに内輪20を正回転させても、あるいは、ピニオンギア13とともに内輪20を逆回転させても、内輪20の回転に伴う転動部材27aの転動が外輪25によって阻止されず、内輪20すなわちロータ8は正回転および逆回転をすることができる。
【0048】図2に明確に示されているように、ハンドル軸2は、ハンドル5を左右で付け替え可能とするべく、リール本体1a内でスプール軸9と交差するように延びている。具体的には、ハンドル軸2の両側部は軸受41,42を介してリール本体1aに回転可能に支持されるとともに、ハンドル5が固定されるハンドル軸2の左右両端部2b,2cは、リール本体1aの左右両側に臨むべく、リール本体1aの左右両側に形成された開口部50,50に位置決めされている。なお、リール本体1aの開口部50,50には雌ネジ51が形成されており、この雌ネジ51には開口部50を閉塞するための蓋体40が螺合されるようになっている。
【0049】ハンドル軸2の詳細が図3に示されている。図示のように、ハンドル軸2の外周面には、スプール軸9と交差する略中央部位に、環状凹部29が形成されている。すなわち、スプール軸9と交差するハンドル軸2の部位は、左右両端部2b,2cを含むハンドル軸2のその他の部位よりも外径が小さく設定された小径部2aとして形成されている。なお、環状凹部29は、その内側にスプール軸9の少なくとも一部を収容できる寸法に設定されている。特に、小径部2aの外径dはドライブギア3の外径Dの17%以下(d/D≦0.17)に設定されている。
【0050】また、ハンドル軸2は中空構造を成している。具体的には、ハンドル軸2にはその全長にわたって連続した貫通孔30が形成されている。この場合、ハンドル軸2の小径部2aの強度を確保するために、この小径部2aに位置する貫通孔30の部位30bの内径は、他の貫通孔30の部位30a,30cの内径よりも小さく設定されている。
【0051】また、ハンドル軸2の左端部2bの外径は、ハンドル軸2の右端部2cの外径よりも大きく設定されている。また、左端部2bの外周面には第1の雄ネジ(正ネジ)33が形成され、右端部2cの外周面には第1の雄ネジ33とネジ方向が逆の第2の雄ネジ(逆ネジ)34が形成されている。
【0052】一方、ハンドル軸2に着脱自在に取り付けられるハンドル5は、手で把持されて回転操作される腕部5aと、腕部5aの基部に設けられ且つハンドル軸2の左右両端部2b,2cに螺着される接続部5bと、接続部5bに設けられ且つ接続部5bが左右両端部2b,2cに螺着された際にリール本体1aの開口部50を閉塞する蓋部5cとからなる。この場合、腕部5aには、ハンドル5を内側に折り畳む際に操作される操作部37が設けられている(図2参照)。また、接続部5bには段付き孔39が形成されている。この段付き孔39は、外方に位置する大径孔39aと、内方に位置する小径孔39bとからなる。また、大径孔39aの内周面には第1の雄ネジ33と螺合可能な第1の雌ネジ35が形成され、小径孔39bの内周面には第2の雄ネジ34と螺合可能な第2の雌ネジ36が形成されている。
【0053】本実施形態では、以上説明した魚釣用スピニングリール1における、ドライブギア3を、酸素雰囲気製法におけるホットチャンバーダイカスト法により成型した。即ち、アルミニウム合金としてADC12を用い、図7に示すホットチャンバーダイカスト装置により成形した。
【0054】まず、セラミクス製溶解炉71内の溶湯72を、射出シリンダー73の動作により、セラミクススリーブ74から金型75内に直接、溶湯が流体のまま充填する。この場合、金型75内に酸素を注入しながら金型75を閉鎖し、次いで、セラミクススリーブ74から金型75内に溶湯を射出した。
【0055】溶湯72の温度は650〜660℃、射出スピードは1/100秒前後であった。
【0056】このようにして成型されたドライブギア3は、内部に鋳巣が生じていなかった。また、表面に凹凸が非常に少なく、切削加工の必要はなかった。更に、得られたドライブギア3は、ピンホールや湯じわ等の内部欠陥が格段に少ないため、非常に強度が高かった。
【0057】次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0058】図4は、両軸リールの全体の構成を示す概略図である。図4において、参照符号61は両軸リールのフレームを示し、このフレーム61の内部に設けられた回転軸(図示せず)に、スプール62が回転可能に取付けられている。フレーム61の側部には、歯車機構(図示せず)を介してスプール62を回転させるためのハンドル63が取り付けられている。また軽量化のために、スプール62の上方に孔64a,64bが設けられている。
【0059】図5および図6は、図4に示す両軸リールのスプール62を示す断面図および平面図である。本実施例に係るスプール62は、半溶融鍛造法により成型された。即ち、アルミニウム合金としてA7075を用い、図8に示す装置により成型した。
【0060】即ち、A7075を坩堝81内で、電磁撹拌ロータリー84で撹拌しつつ、誘導加熱により570〜580℃に加熱して、固相60%、液相40%の半溶融体とし、これを冷却および鋳型86に流し込んで、ビレット87を形成した。次いで、このビレット87を誘導加熱により570〜580℃に再加熱して、固相60%、液相40%の半溶融体89とし、これをダイキャスト成型機91に導入して、成型し、スプール62を得た。成型は、射出スピード0.13秒で、充填圧120kgf/cm2 で行った。
【0061】スプールは、釣糸を巻回保持する部材であり、釣糸の負荷が直接かかる部材であるため、特に強度が高いことが要求される。即ち、スプール62には、糸巻き張力と、巻き取られた釣糸の膨潤により、図5に示すように、矢印方向に大きな力が発生する。また、部分Aには、片持ち支持の支点として、応力が集中するが、コールドチャンバーダイカスト法により得たスプールでは、この部分Aは肉厚であるため、巣の発生が避けられず、肉厚相当の高い強度は得られなかった。
【0062】更に、図5に点線65で示すように、コールドチャンバーダイカスト法では、型抜きのために、3〜4°程度の抜きテーパが必要であるため、斜線で示すように、肉厚となり、スプールの重量が重くなっていた。スプールの重量が重いと、慣性力が大きくなるため、バックラッシュが生じやすく、これを防止するためブレーキを大きくすると、飛距離が落ちてしまう。
【0063】これに対し、本実施形態に係るスプールは、半溶融鍛造法により形成したため、抜きテーパを1〜2°に低減することが可能となった。その結果、スプールの重量を20%程度低減することができ、バックラッシュの防止が可能となった。また、部分Aにはピンホールや湯じわが見られず、静荷重状態で平均10%、繰り返し荷重で平均15%の強度の向上が得られた。
【0064】更に、一般に、図4に示すように、スプールの内壁面Bは、平滑ではないため、切削加工が施されるが、コールドチャンバーダイカスト法により得たスプールでは、巣の露出を避けるため、切削量は最大で0.3mmしかとれなかった。これに対し、本実施例に係るスプールでは、巣が存在しないため、所定の強度が確保される限り、切削量に制限はなくなった。そのため、同一の金型で成型した後に、切削加工を行うことにより、浅溝タイプ、深溝タイプ等のサイズの相違するスプールを得ることができ、即ち、金型の共通化によるコストダウンを図ることができた。
【0065】また、内部にピンホールや湯じわが存在しないため、図6に示すように、切削により孔66を形成し、所望の強度が維持される程度にスプールの肉抜きを行うことが可能となった。それによって、スプールの軽量化と意匠性の向上を図ることが可能である。
【0066】なお、アルミニウム合金材料として、A6061のようなアルマイト加工性の良好な光輝アルミニウム合金によりスプールを成型し、染色アルマイト処理を行ったところ、美しい光沢感のある外観を得ることができた。
【0067】以上、魚釣りリールのギヤ、スプールに適用した本発明の実施例について説明したが、本発明は、これに限らず、フレーム、ロータ、ボディ、ボディカバ−等の様々な魚釣りリールの構成部品に適用することが出来るとともに、適宜修正、変形が可能である。また、成型後のこれら構成部材にバフ処理を施し、更に傷つき防止のため、クリヤー塗装を施すことにより、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の金属感を維持し、更に光沢のある製品とすることが可能である。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、酸素雰囲気製法におけるホットチャンバーダイカスト法、または酸素雰囲気製法における半溶融鍛造法により形成されたものであるため、内部に鋳巣が生じていないとともに、表面に凹凸が格段に少なく、成形後の形状が完成品形状に近い、魚釣り用リールの構成部材、特に、ギヤ、スプールが得られる。そのため、本発明の魚釣り用リールの構成部材は、追加工の必要がなく、安価で容易に成形が可能である。また、切削加工に比べ、量産性においてはるかに優れている。
【0069】特に、酸素雰囲気製法における半溶融鍛造法により形成した金属部品からなる構成部材は、低温での成形のため成形時の収縮率が小さく、完成品に対する寸法誤差が少ない。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2002−291380(P2002−291380A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−102335(P2001−102335)