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【発明の名称】 魚釣用スピニングリ−ル
【発明者】 【氏名】松田 和之

【要約】 【課題】ハンドル軸とスプ−ル軸との対向離間距離を近づけて駆動歯車とピニオンは充分な安定した噛み合い状態にして力の伝達効率を向上しリ−ル本体を小型化したこと。

【解決手段】回転軸筒4の中心孔4cにはスプ−ル軸6の太径部6aが前後往復動可能に摺動自在に挿入され、スプ−ル軸6の先端にスプ−ル19が取り付けられ、スプ−ル軸6の後端部に摺動子Aがビス20で取り付けられている。スプ−ル軸6のハンドル軸13と対向する前後往復動領域の長手方向の太径部6aにスリ割面6eが形成され、スリ割面6eの外形幅αは回転軸筒4の中心孔4cの内径及び太径部6aの外径の外形幅βより小さく形成されて駆動歯車3の回転軸3aが外嵌されたハンドル軸13をスリ割面6eに近づけて設けると、駆動歯車3とピニオン4bのオフセット量γが小さくなって噛合量が多くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ハンドル軸の回転を摺動子を有する往復動機構を介して先端にスプ−ルを有するスプ−ル軸を前後動に変換すると共に、釣糸案内部を有するロ−タを一体回転するように固定して内部に前記スプ−ル軸を挿通するピニオンに、前記ハンドル軸上の駆動歯車を噛合して巻き取り駆動する魚釣用スピニングリ−ルにおいて、前記スプ−ル軸後部の前記ハンドル軸に対向する前後往復動領域の外形幅を、前記ピニオン内に挿通案内支持される外形幅より小さく形成したことを特徴とする魚釣用スピニングリ−ル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リ−ル本体に装着したハンドルの回転操作運動をスプ−ルの前後往復動に変換するスプ−ル往復動機構をリ−ル本体内に設けた魚釣用スピニングリ−ルの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】魚釣用スピニングリ−ルは、ハンドルの回転操作に連動して、釣糸案内部を有するロ−タを回転かさせると共に先端にスプ−ルを有するスプ−ル軸を前後動させてスプ−ルに釣糸を巻回するものであり、ロ−タはハンドル軸に取り付けられた駆動歯車と噛合するピニオンを介して回転駆動され、ハンドルの回転運動をスプ−ルの前後動に変換する往復動機構は、例えば特開平8−154543号公報に開示されている偏芯凸部を有する運動ギヤ方式や特開平9−248107号公報に開示されているトラバ−スカム軸方式等が一般的に知られている。このように、魚釣用スピニングリ−ルは、巻き取り駆動機構を収容するリ−ル本体内にスプ−ル軸が前後往復動する構成のため、駆動歯車を有するハンドル軸と該駆動歯車と噛合するピニオンの内部を前後動可能に挿通するスプ−ル軸とは互いに交差する方向に対向離間配置する構成(オフセット)となることにより、充分な安定した噛み合い状態が得られずに力の伝達効率が悪くなってしまうと共にリ−ル本体が上下方向に大型化してしまう等の課題が指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題点は、駆動歯車を有するハンドル軸と該駆動歯車と噛合するピニオンの内部を前後動可能に挿通するスプ−ル軸とは互いに交差する方向に対向離間配置する構成(オフセット)となることにより、充分な安定した噛み合い状態が得られずに力の伝達効率が悪くなってしまうと共にリ−ル本体が上下方向に大型化してしまうことである。
【0004】本発明の目的は前記欠点に鑑み、ハンドル軸とスプ−ル軸との対向離間距離を近づけて駆動歯車とピニオンとの充分な安定した噛み合い状態にして力の伝達効率を向上しリ−ル本体を小型化した魚釣用スピニングリ−ルを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に係わる本発明は、ハンドル軸の回転を摺動子を有する往復動機構を介して先端にスプ−ルを有するスプ−ル軸を前後動に変換すると共に、釣糸案内部を有するロ−タを一体回転するように固定して内部に前記スプ−ル軸を挿通するピニオンに、前記ハンドル軸上の駆動歯車を噛合して巻き取り駆動する魚釣用スピニングリ−ルにおいて、前記スプ−ル軸後部の前記ハンドル軸に対向する前後往復動領域の外形幅を、前記ピニオン内に挿通案内支持される外形幅より小さく形成したことを要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】請求項1の本発明により、スプ−ル軸6のハンドル軸13と対向する前後往復動領域の長手方向の太径部6aにスリ割面6eまたは小径部6fが形成され、スリ割面6eの外形幅α、小径部6fの外形幅δが回転軸筒4の中心孔4cの内径及び太径部6aの外径、即ち回転軸筒4内を挿通案内支持される外形幅βより小さく形成されているので、駆動歯車3の回転軸3aが外嵌されたハンドル軸13をスリ割面6eと小径部6fに近づけて設けると、駆動歯車3とピニオン4bのオフセット量γが可及的に小さくなって噛合量が多くなり、駆動歯車3とピニオン4bは充分な安定した噛み合い状態に向上して駆動歯車3からピニオン4bへの力の伝達効率がアップし、良好な巻き取り操作性が得られると共にリ−ル本体1を小型化することができる。
【0007】
【実施例】以下、図示の実施例によって本発明を説明すると、図1から図3は第1実施例で、図1は魚釣用スピニングリ−ルの要部断面側面図と要部拡大断面側面図、図2はハンドル軸位置の拡大断面背面図、図3は摺動子位置の断面背面図と摺動子の拡大断面背面図である。
【0008】魚釣用スピニングリ−ルは、リ−ル本体1の一側に蓋体2が取り付けられてリ−ル本体1に取り付けられた軸受10と蓋体2に取り付けられた軸受11で駆動歯車3の回転軸3aの両端が軸承されている。回転軸3aの中心多角形孔にハンドル12が固定されたハンドル軸13が左右交換自在に挿入嵌合されている。リ−ル本体1の外側に筒部1aが形成されて内側に凹部1bが、筒部1a内に透孔1cが形成されて軸受10はリ−ル本体1の凹部1b内に挿入されている。蓋体2の外側に筒部2aが形成されて内側に凹部2bが、筒部2a内に透孔2cが形成されて軸受11は蓋体2の凹部2b内に挿入されている。軸受11と駆動歯車3の間に調整ワッシャ14が挾み込まれている。
【0009】リ−ル本体1の前部には軸受15で回転軸筒4が回転自在に軸受されると共に前側に突出されている。軸受15より前側の回転軸筒4の外周にロ−タ5の筒部5aが回り止め嵌合されてナット16で固定されている。回転軸筒4の基端4aは軸受部1dで回転自在に軸承され、基端4aの前側に一体的に形成されたピニオン4bに駆動歯車3が噛合されてロ−タ5はハンドル12の回転に連動して回転されるように支持されている。ピニオン4bより前側の回転軸筒4の外周に伝達歯車17と逆転防止歯車18が回り止め嵌合されている。
【0010】前記回転軸筒4の中心孔4cにはスプ−ル軸6の太径部6aが前後往復動可能に摺動自在に挿入され、スプ−ル軸6の先端側に段部で太径部6aより小径の小径部6bが形成されて小径部6bにスプ−ル19が取り付けられている。スプ−ル軸6の後端部に切欠きで回り止め部6cと透孔6dが形成されて摺動子Aがビス20で取り付けられている。スプ−ル軸6の駆動歯車3の回転軸3aとの対向する前後往復動領域の長手方向の太径部6aにスリ割面6eが形成されている。スリ割面6eの外形幅αは回転軸筒4の中心孔4cの内径及び太径部6aの外径の外形幅βより小さく形成されている。スプ−ル軸6の太径部6aにスリ割面6eを設けて駆動歯車3の回転軸3aをスリ割面6eに近づけて設けると、駆動歯車3とピニオン4bのオフセット量γが小さくなって噛合量が多くなる。
【0011】スプ−ル軸6の太径部6aにスリ割面6eを設けことによるスプ−ル軸6の強度は、スプ−ル19に力が掛かった時、スプ−ル軸6に掛かる力は回転軸筒4で受けられ、回転軸筒4の基端4aは軸受部1dで回転自在に軸承されて基端4aに掛かるので、スプ−ル軸6にスリ割面6eを設けても強度に影響を受けず、外形幅αを小さくすることができる。
【0012】ロ−タ5は筒部5aで回転軸筒4に取り付けられ、筒部5aと前壁5bと大径の筒部5cと大径の筒部5cの基部5d、5eの外周から前方に向けて突出された一対の支持腕5f、5gとで形成されている。一対のベ−ル支持腕5f、5gの先端部外側に一方のベ−ル支持部材21と他方のベ−ル支持部材22がビス23、24で釣糸巻取位置と釣糸放出位置に反転自在に軸承されている。一方のベ−ル支持部材21には釣糸案内ロ−ラ25の取付部26が取り付けられている。他方のベ−ル支持部材22と取付部26の間にベ−ル27が取り付けられている。
【0013】リ−ル本体1内の前側側壁面に軸筒からなる支持部1eが形成されて支持部1e内の軸受28とリ−ル本体1の後側に取り付けられた支持板29のカラ−30でトラバ−ス軸7が軸承されている。トラバ−ス軸7には螺旋溝7aが形成されている。トラバ−ス軸7の一側には連動歯車31が回り止め嵌合されている。連動歯車31は伝達歯車17に噛合されている。支持板29にはカバ−32が螺合されている。伝達歯車17と連動歯車31と摺動子Aとトラバ−ス軸7でスプ−ル19とスプ−ル軸6の前後往復動機構が構成されている。リ−ル本体1内の軸受部1dと支持板29にトラバ−ス軸7と平行に軸杆33が設けられている。
【0014】摺動子Aは摺動子本体8と摺動子本体8の中に挿入される係合部材34と係合部材34を抜け止めする袋状ナットからなる閉塞部材9で構成されている。
【0015】摺動子本体8は直方体の一側に膨出部8aが形成されて膨出部8aの上側は空白の凹陥部8bに形成されている。摺動子本体8の上側にはD形の透孔8cが形成されて透孔8cに直交する方向に横向きのネジ孔8dが形成されている。膨出部8aには大径の透孔8eが形成されて透孔8eに直交する方向の摺動子本体8に横向きの透孔8fが形成されている。摺動子本体8の下端にはΩ字形の溝8gが形成されている。透孔8fの外側は筒部8hに形成され、筒部8hの外周にネジ部8iが、それより外側に、内側が円錐状でテ−パ−面からなる弛緩防止部8jが形成されている。袋状ナットからなる閉塞部材9は、筒部9a内側にネジ部9bが筒部先端外周にテ−パ−面を有する弛緩防止部9cが形成されている。
【0016】D形の透孔8cにスプ−ル軸6の後端の回り止め部6cが挿入されると共に透孔6dにビス20が挿入され、ビス20のネジ部20cはネジ孔8dに螺合されて摺動子本体8から凹陥部8bに突出したビス20の頭部20aと反対側の先端部20bに別体のナットからなる緩み防止部材35が螺合で係合されている。
【0017】膨出部8aの大径の透孔8eにはトラバ−ス軸7が挿入され、透孔8fに係合部材34が挿入されて袋状ナットからなる閉塞部材9で閉塞されている。閉塞部材9で閉塞される時は、摺動子本体8の筒部8h外周のネジ部8iに、閉塞部材9のネジ部9bが螺合され、円錐状でテ−パ−面からなる弛緩防止部8jにテ−パ−面を有する弛緩防止部9cが押圧される。係合部材34の先端はトラバ−ス軸7の螺旋溝7aに係合されている。摺動子本体8のΩ字形の溝8gには軸杆33が挿入され、摺動子本体8は軸杆33でスプ−ル軸6に対する回転方向の動きの規制を図りながら前後方向にトラバ−ス軸7で移動案内可能に設けられている。スプ−ル19に巻回された釣糸36は釣糸案内ロ−ラ25で案内されて引き出される。
【0018】魚釣用スピニングリ−ルの動作は、一方のベ−ル支持部材21と他方のベ−ル支持部材22が釣糸巻取位置にあって釣糸36がスプ−ル19に巻回される方向にハンドル12が回転されると、駆動歯車3が回転されてピニオン4bを介して回転軸筒4が回転され、ロ−タ5が回転される。駆動歯車3が回転されると、回転軸3aが回転されて伝達歯車17が回転され、連動歯車31が回転される。連動歯車31の回転で摺動子Aがトラバ−ス軸7の螺旋溝7aに係合された係合部材34で直線往復動されてスプ−ル軸6とスプ−ル19が前後往復動され、一方のベ−ル支持部材21に設けられた釣糸案内ロ−ラ25で釣糸36が案内されて前後に往復動されるスプ−ル19に平行に巻回される。
【0019】前記のように魚釣用スピニングリ−ルが構成されると、スプ−ル軸6のハンドル軸13と対向する前後往復動領域の長手方向の太径部6aにスリ割面6eが形成され、スリ割面6eの外形幅αが回転軸筒4の中心孔4cの内径及び太径部6aの外径、即ち回転軸筒4内を挿通案内支持される外形幅βより小さく形成されているので、駆動歯車3の回転軸3aが外嵌されたハンドル軸13をスリ割面6eに近づけて設けると、駆動歯車3とピニオン4bのオフセット量γが可及的に小さくなって噛合量が多くなり、駆動歯車3とピニオン4bは充分な安定した噛み合い状態に向上して駆動歯車3からピニオン4bへの力の伝達効率がアップし、良好な巻き取り操作性が得られると共にリ−ル本体1を小型化することができる。
【0020】図4、図5は第2実施例で、図4は魚釣用スピニングリ−ルの要部拡大断面側面図、図5はハンドル軸位置の拡大断面背面図である。
【0021】第2実施例では、スプ−ル軸6の駆動歯車3の回転軸3aとの対向する前後往復動領域の長手方向が円形の小径部6fに形成され、小径部6fの外形幅δが回転軸筒4の中心孔4cの内径及び太径部6aの外径、即ち回転軸筒4内を挿通案内支持される外形幅βより小さく形成されている。他の構成は前記第1実施例と略同一である。
【0022】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0023】請求項1により、スプ−ル軸のハンドル軸と対向する前後往復動領域の長手方向の太径部にスリ割面または小径部が形成され、スリ割面の外形幅、小径部の外形幅が回転軸筒の中心孔の内径及び太径部の外径、即ち回転軸筒内を挿通案内支持される外形幅より小さく形成されているので、駆動歯車の回転軸が外嵌されたハンドル軸をスリ割面と小径部に近づけて設けると、駆動歯車とピニオンのオフセット量が可及的に小さくなって噛合量が多くなり、駆動歯車とピニオンは充分な安定した噛み合い状態に向上して駆動歯車からピニオンへの力の伝達効率がアップし、良好な巻き取り操作性が得られると共にリ−ル本体を小型化することができる。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−281872(P2002−281872A)
【公開日】 平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願番号】 特願2001−88969(P2001−88969)