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【発明の名称】 家畜監視装置および家畜の出産監視方法
【発明者】 【氏名】梁田 晃宏

【氏名】藤村 良裕

【要約】 【課題】家畜の出産などに伴う監視負担を軽減するとともに、その出産などの兆候を確実かつ早期に知らせることができる家畜監視装置を提供する。

【解決手段】厩舎内における馬の動作に応じて警報を発するための家畜監視装置Aであって、馬の画像を捉えて処理する画像センサGと、画像センサGからの画像信号および撮像信号に応じて警報信号を出力するCPU10と、CPU10から出力された警報信号を信号ケーブルC1を介して警報器に送り伝えるインターフェイス回路14とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 畜舎内における家畜の動作に応じて警報を発するための家畜監視装置であって、上記家畜の画像を捉えて処理する画像センサと、上記画像センサからの信号に応じて警報信号を出力する制御回路と、上記制御回路から出力された警報信号を本装置外に送り伝える通信回路と、を備えることを特徴とする、家畜監視装置。
【請求項2】 上記画像センサは、上記家畜を移動物体として特定し得る撮像信号と、上記家畜を静止物体として特定し得る画像信号とを出力する、請求項1に記載の家畜監視装置。
【請求項3】 上記画像センサからの上記撮像信号および/または上記画像信号を、本装置外のコンピュータ装置に撮像データおよび/または画像データとして送信するためのインターフェイス回路を備える、請求項2に記載の家畜監視装置。
【請求項4】 上記画像センサからの上記撮像信号および/または上記画像信号を、撮像データおよび/または画像データとして本装置内に記憶しておくためのストレージデバイスを備える、請求項2または3に記載の家畜監視装置。
【請求項5】 上記画像センサからの上記撮像信号および/または上記画像信号を、本装置外のモニタ装置に映像信号として送信するためのインターフェイス回路を備える、請求項2ないし4のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項6】 本装置外へと無線により信号またはデータを送信する無線ユニットを備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項7】 上記画像センサは、上記撮像信号に基づいて上記画像信号から上記家畜以外の背景部分を除去する、請求項2ないし6のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項8】 上記畜舎内の天井および/または壁面に複数個取り付けられる、請求項1ないし7のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項9】 上記家畜を赤外線により検知する赤外線センサを備える、請求項1ないし8のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項10】 上記家畜を照らすための光源を備える、請求項1ないし9のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項11】 上記光源の明るさを周辺の明るさに応じて調整する自動調整回路を備える、請求項10に記載の家畜監視装置。
【請求項12】 上記画像信号に基づいて順次得られる画像枚数は、上記撮像信号に基づいて計測される上記家畜の動き量に比例または反比例する、請求項2ないし11のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項13】 上記制御回路は、上記撮像信号に基づいて計測される上記家畜の動き量が最小設定値以下あるいは最大設定値以上の場合に限り、上記警報信号を出力する、請求項2ないし12のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項14】 上記制御回路には、上記最小設定値および最大設定値を変更するための設定値変更手段が設けられている、請求項13に記載の家畜監視装置。
【請求項15】 上記制御回路は、上記家畜の動き量が上記最小設定値以下あるいは最大設定値以上となった時点から所定時間が経過すると、上記警報信号を変化させる、請求項13または14に記載の家畜監視装置。
【請求項16】 上記制御回路は、上記家畜の動き量が上記最小設定値以下の場合と最大設定値以上の場合とで上記警報信号を異なるものとする、請求項13ないし15のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項17】 上記画像センサの画素全体から平均入力値を算出するとともに、この平均入力値に応じて画像の蓄積時間をゲイン調整するゲイン調整手段を有する、請求項1ないし16のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項18】 上記画像センサの入力感度を調整するための入力感度調整手段を有する、請求項1ないし17のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項19】 上記家畜の臭気を検知する臭気センサを備え、上記制御回路は、上記画像センサおよび上記臭気センサからの両信号に基づいて、上記家畜の出産兆候を伝えるべく上記警報信号を出力する、請求項1ないし18のいずれかに記載の家畜監視装置。
【請求項20】 請求項1ないし19のいずれかに記載の家畜監視装置を用いて、家畜が出産兆候にある旨を警報により知らせることを特徴とする、家畜の出産監視方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば厩舎で飼育される馬や牛、広くは動物園などで飼育されている動物などの家畜を監視するための技術に関し、特に、家畜の出産兆候を捉えるのに優れた家畜監視装置および家畜の出産監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、競走馬は、馬種の改良、畜産の振興を目的として飼育されるが、すぐれた疾走能力を発揮するのに必要な体型・体質・気質が要求され、特定の馬種同士を交配して生み出されるのが一般的とされている。このような競走馬の出産には、種付け費用などの相当な投資が伴うことから、確実かつ安全であることが要求され、そのため、出産時期には、厩務員が連日24時間体制で牝馬の監視を行うものとされている。
【0003】ところで、常に牝馬を監視するには相当な負担が強いられ、また、出産予定日よりも早い時期や遅れた時期に分娩が始まることもあることから、厩舎内にビデオカメラを取り付け、このビデオカメラで捉えた牝馬の挙動を監視所のモニタ装置に映し出して監視するようにしているところもある。また、最近においては、分娩に伴う特有の臭気を検知して監視所に出産間近である旨を報知するといったシステムを採用しているところもある。これにより、厩務員は、出産の兆候が現れるまで監視所で待機することができ、幾分負担が軽減されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビデオカメラおよびモニタ装置を用いて監視する体制としても、厩務員は、定期的あるいは常に監視所のモニタ装置を通じて牝馬の様子をうかがわなければならず、厩務員にとって監視負担が完全に払拭されるというわけではなかった。
【0005】一方、分娩に伴う臭気を検知して出産間近である旨を報知するシステムでは、破水などによって流出する羊水の臭いを検知することができるが、羊水流出などが起こるまでは、出産間近となって発せられる臭気の強さと平常時の臭気の強さとにほとんど差がないため、早期段階における出産の兆候を見逃すおそれがある。また、空気中を漂う臭気を検知対象とするために、牝馬以外の臭いにも反応して誤作動を引き起こすおそれがあり、これらの点から確実かつ早期に出産の兆候を捉えることができないという難点があった。
【0006】なお、上記した装置やシステムは、競走馬の出産に限らず、狭義の家畜としての馬や牛、さらに広く解釈すれば、動物園などで飼育されている動物などに関して出産や病気などを監視するためにも適用できるが、いずれにしても先述したような問題が生じるものとされる。
【0007】
【発明の開示】本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、家畜の出産などに伴う監視負担を軽減するとともに、その出産などの兆候を確実かつ早期に知らせることができる家畜監視装置、および家畜の出産監視方法を提供することを、その課題とする。
【0008】上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】すなわち、本発明の第1の側面によれば、畜舎内における家畜の動作に応じて警報を発するための家畜監視装置であって、家畜の画像を捉えて処理する画像センサと、画像センサからの信号に応じて警報信号を出力する制御回路と、制御回路から出力された警報信号を本装置外に送り伝える通信回路とを備えることを特徴とする、家畜監視装置が提供される。
【0010】好ましい実施の形態によれば、画像センサは、家畜を移動物体として特定し得る撮像信号と、家畜を静止物体として特定し得る画像信号とを出力する。
【0011】他の好ましい実施の形態によれば、画像センサからの撮像信号および/または画像信号を、本装置外のコンピュータ装置に撮像データおよび/または画像データとして送信するためのインターフェイス回路を備える。
【0012】さらに他の好ましい実施の形態によれば、画像センサからの撮像信号および/または画像信号を、撮像データおよび/または画像データとして本装置内に記憶しておくためのストレージデバイスを備える。
【0013】さらに他の好ましい実施の形態によれば、画像センサからの撮像信号および/または画像信号を、本装置外のモニタ装置に映像信号として送信するためのインターフェイス回路を備える。
【0014】さらに他の好ましい実施の形態によれば、本装置外へと無線により信号またはデータを送信する無線ユニットを備える。
【0015】さらに他の好ましい実施の形態によれば、画像センサは、撮像信号に基づいて画像信号から家畜以外の背景部分を除去する。
【0016】さらに他の好ましい実施の形態によれば、畜舎内の天井および/または壁面に複数個取り付けられる。
【0017】さらに他の好ましい実施の形態によれば、家畜を赤外線により検知する赤外線センサを備える。
【0018】さらに他の好ましい実施の形態によれば、家畜を照らすための光源を備える。
【0019】さらに他の好ましい実施の形態によれば、光源の明るさを周辺の明るさに応じて調整する自動調整回路を備える。
【0020】さらに他の好ましい実施の形態によれば、画像信号に基づいて順次得られる画像枚数は、撮像信号に基づいて計測される家畜の動き量に比例または反比例する。
【0021】さらに他の好ましい実施の形態によれば、制御回路は、撮像信号に基づいて計測される家畜の動き量が最小設定値以下あるいは最大設定値以上の場合に限り、警報信号を出力する。
【0022】さらに他の好ましい実施の形態によれば、制御回路には、最小設定値および最大設定値を変更するための設定値変更手段が設けられている。
【0023】さらに他の好ましい実施の形態によれば、制御回路は、家畜の動き量が最小設定値以下あるいは最大設定値以上となった時点から所定時間が経過すると、警報信号を変化させる。
【0024】さらに他の好ましい実施の形態によれば、制御回路は、家畜の動き量が最小設定値以下の場合と最大設定値以上の場合とで警報信号を異なるものとする。
【0025】さらに他の好ましい実施の形態によれば、画像センサの画素全体から平均入力値を算出するとともに、この平均入力値に応じて画像の蓄積時間をゲイン調整するゲイン調整手段を有する。
【0026】さらに他の好ましい実施の形態によれば、画像センサの入力感度を調整するための入力感度調整手段を有する。
【0027】さらに他の好ましい実施の形態によれば、家畜の臭気を検知する臭気センサを備え、制御回路は、画像センサおよび臭気センサからの両信号に基づいて、家畜の出産兆候を伝えるべく警報信号を出力する。
【0028】また、本発明の第2の側面によれば、上記家畜監視装置を用いて、家畜が出産兆候にある旨を警報により知らせることを特徴とする、家畜の出産監視方法が提供される。
【0029】つまり、本発明によれば、家畜が出産兆候などを示す特有の動作を始めると、その家畜を画像として捉えた画像センサから通常とは異なる信号が出力され、それに応じて警報信号が装置外に伝えられる。したがって、装置外となる監視所などに警報器を設置しておき、この警報器が警報信号を受信すると、家畜の出産兆候などが音や光などによって報知されるので、家畜の出産などに際して常に厩舎を見回る必要もなく監視負担を軽減できるとともに、その出産などの兆候を確実かつ早期に知らせることができる。
【0030】また、画像センサは、撮像信号および画像信号を出力するものとすれば、出産などの前兆として見られる家畜の動きを普段とは異なるものとして確実に捉えることができる。コンピュータ装置に撮像データや画像データを送信すれば、コンピュータ装置上でほぼリアルタイムに家畜の動きを確認することができる。ストレージデバイスに撮像データや画像データを記憶しておけば、コンピュータ装置を常に起動しておかなくても、必要に応じて撮像データや画像データを取り出し、定期的に家畜の動きを確認することができる。モニタ装置に映像信号を送信すれば、そのモニタ装置を介してほぼリアルタイムに家畜の動きを確認することができる。このような信号やデータを無線により送信するものとすれば、配線の手間を省くことができる。
【0031】また、画像センサは、動きの無い家畜以外の背景部分を除去するといった、移動物体抽出機能を備えたものとすれば、動きのある家畜を確実に捉えることができる。本装置を畜舎内の天井や壁面に複数個取り付けておけば、仮に一方の装置で家畜の動きを正確に捉えることができない状況にあっても、他方の装置側から家畜の動きを正確に捉えることができる。家畜を赤外線センサにより検知するようにすれば、この赤外線センサが家畜を検知している間に限り画像センサを作動させて省電力化を図ることができる。家畜を照らすための光源や、光源の明るさを調整する自動調整回路を備えたものとすれば、昼夜を問わずに家畜の動きを捉えることができる。
【0032】また、画像枚数を家畜の動き量に比例したものとすれば、家畜が出産間近となって激しく動く際、些細な動きも画像に捉えることができる一方、おとなしい様子の際には、無駄な画像の転送や保存などを防ぐことができる。逆に、画像枚数を家畜の動き量に反比例したものとすれば、家畜が病気などでおとなしい様子の際、些細な動きがあっても画像に捉えることができる一方、健康な状態で激しく動く際には、無駄な画像の転送や保存などを防ぐことができると言える。
【0033】また、家畜の動き量が最小設定値以下あるいは最大設定値以上の場合に限り警報信号を出力するとすれば、出産などの前兆として見られる家畜の激しい動きやおとなしくなった様子を確実に捉えることができる。このような最小設定値および最大設定値を変更できるとすれば、監視対象となる家畜の動きに応じて警報を発するレベルを適当に変更することができる。家畜の動き量が最小設定値以下あるいは最大設定値以上となった時点から所定時間が経過すると、警報信号を変化させるようにすれば、それに伴い警報器から発せられる音や光も変化させることができ、時間の経過に応じて警報の度合いを強めることができる。最小設定値以下の場合と最大設定値以上の場合とで警報信号を異なるものとすれば、警報器から発せられる音や光も異なるものとすることができ、家畜が激しく動く状態と、おとなしい状態とを区別して知ることができる。
【0034】また、画像センサの画素全体における平均入力値に応じて画像の蓄積時間をゲイン調整するようにすれば、画像センサを周辺環境の明るさに適した入力感度に自動調整でき、昼夜を問わずに家畜の動きを捉えることができる。一方、入力感度調整手段を有する場合には、画像センサを周辺環境の明るさに適した入力感度に手動で調整することができる。画像センサからの信号のみならず、家畜の臭気を検知する臭気センサからの信号にも基づいて、家畜の出産兆候を伝えるべく警報信号を出力するようにすれば、その旨をより確実かつ正確に知らせることができる。
【0035】本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う発明の実施の形態の説明によって、より明らかになるであろう。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0037】図1は、本発明に係る家畜監視装置の一実施形態として、それを用いた家畜の出産監視システムの概要図である。この図に示すように、家畜監視装置Aは、厩舎(畜舎)内における馬Hの出産兆候を捉えるためのものであって、各家畜監視装置Aは、各馬Hの動きを捉えるように厩舎内の天井などに設置されている。各家畜監視装置Aは、共通の信号ケーブルC1を介して監視所や厩舎外に設置された警報器Wと接続されている。また、各家畜監視装置Aは、通信ケーブルC2を介して監視所に設置されたコンピュータ装置Pと接続されている。なお、家畜監視装置Aは、便宜上、一頭の馬Hにつき1個が対応するものとするが、異なる角度から馬Hの動きを捉えるべく、天井や壁面などに複数個設置しても良い。また、コンピュータ装置Pは、いわゆるパーソナルコンピュータなどであって一般に広く知られていることから、その詳細な図示説明を省略する。さらに、警報器Wは、赤および黄の2灯式ランプのほか、警報音を発するブザーを備え、これらを入力信号に応じて動作させるものであるが、このような警報器Wについても一般に周知の技術に基づいて構成されることから、その詳細な図示説明を省略する。
【0038】ところで、馬Hは、出産間近となって産気づくと、普段の様子とは異なり落ち着きが無くなってぐるぐると動き回ったり、前脚で地面を掻いたり叩いたりすることが知られている。また、分娩の際には、比較的動きがおとなしくなるとともに、破水などによって流出する羊水の臭いが強まることが知られている。このような点を踏まえて本実施形態に係る家畜監視装置Aは、出産の兆候として見られる特有の動作や臭気を平常時とは異なるものとして捉え、出産の兆候を早期段階からいち早く確実に知らせるために構成されたものである。以下に、家畜監視装置Aの具体的な構成について図2に基づいて説明する。
【0039】図2は、家畜監視装置Aの内部構成を示すブロック図であって、この図に示すように、家畜監視装置Aは、画像センサG、臭気センサS、赤外線センサR、制御回路として機能するCPU10、ROM11、RAM12、およびEEPROM13、通信回路として機能するインターフェイス回路14、ならびに、光源Lや自動調整回路15などを具備して構成されている。画像センサG、臭気センサS、赤外線センサR、CPU10、ROM11、RAM12、EEPROM13、インターフェイス回路14、および自動調整回路15は、バス線20により相互に接続されている。バス線20には、アドレスバス、データバス、および制御信号線が含まれる。インターフェイス回路14には、信号ケーブルC1および通信ケーブルC2が接続されている。自動調整回路15には、光源Lが接続されている。なお、画像センサG、臭気センサS、赤外線センサR、および自動調整回路15には、バス線20との間で通信可能なインターフェイス回路が内蔵されている。もちろん、インターフェイス回路を個々に内蔵させずに、別途共通のインターフェイス回路を独立して設けても良い。
【0040】画像センサGは、たとえば人工網膜センサであって、馬Hの画像を単に捉えるだけでなく、画像処理をほぼリアルタイムで高速に行う機能を備える。具体的に言うと、画像センサGは、動きのある馬Hとその背景部分とを静止物体として捉えた画像信号と、オプティカルフローに基づいて馬Hの動きを移動ベクトルとして捉えた撮像信号とを同時に出力することができる。このような画像信号は、主として静止画像を表示するために用いられ、撮像信号は、動画を表示したり馬Hの動き量を計測したりするために用いられる。また、画像センサGは、輪郭強調やノイズ除去などといったロジック機能のほか、撮像信号に基づいて画像信号から馬H以外の背景部分を除去する背景除去機能や、受光面となる画素アレイ全体から平均入力値を算出し、この平均入力値に応じて画素アレイにおける電荷蓄積時間をゲイン調整するゲイン調整機能を備える。特に図示しないが、画像センサGには、入力感度を手動で調整するためのつまみ型スイッチ、ボリュームスイッチ、あるいはDIP(Dual Inline Package )型スイッチなどといった入力感度調整機構が設けられている。これによれば、厩舎内の明るさに応じて画像センサGの入力感度を自動あるいは手動で最適レベルに調整することができ、昼夜を問わずに24時間体制で馬Hの動きを捉えることができる。なお、画像センサGそのものは、すでに周知の人工網膜センサと何ら異なる機能を提供するものではない。
【0041】臭気センサSは、馬Hがたとえば破水などを起こしたときに発する羊水などの臭いを、平常時の臭いとは異なるレベルとして検知するものであって、検知対象となる臭気に適した金属酸化物や添加物などを組成とした半導体素子により構成されている。なお、臭気センサSそのものも、すでに周知の臭気センサと何ら異なる機能を提供するものではなく、臭気の強さに応じたセンサ信号を出力するものである。
【0042】赤外線センサRは、厩舎内における馬Hの存在を赤外線により検知するものである。このような赤外線センサRとしては、赤外線の点強度や点温度を測定し、その相対的変化により物体を検知するパッシブ方式や、発光部から発した赤外線を受光部にて検出することで物体を検知するアクティブ方式などがあるが、いずれの方式でも良い。なお、赤外線センサSそのものも、すでに周知の赤外線センサと何ら異なる機能を提供するものではなく、馬Hを検知したか否かに応じてオン/オフのセンサ信号を出力するものである。
【0043】制御回路として機能するCPU10、ROM11、RAM12、およびEEPROM13は、図示しない制御基板に組み込まれたマイクロコンピュータであって、特に図示しないが電源制御回路を通じて電源の供給が制御されるものとされている。つまり、マイクロコンピュータは、赤外線センサRから馬Hを検知したオンのセンサ信号が出力される場合に限り、電源制御回路から全体の動作に必要な電源供給を受けて動作するものとされる。CPU10は、家畜監視装置A全体の動作を制御し、ROM11は、CPU10が実行すべきプログラムなどを記憶し、RAM12は、CPU10の作業領域やデータのバッファ領域を提供し、EEPROM13は、ストレージデバイスとして各種のデータや情報などを蓄積記憶するものである。
【0044】具体的に言うと、CPU10は、画像センサGからの画像信号および撮像信号、さらには臭気センサSからのセンサ信号のレベルに応じて警報信号を生成出力する。この警報信号は、インターフェイス回路14および信号ケーブルC1を経て最終的に警報器Wに至るものとされ、警報信号を受信した警報器Wでは、赤や黄色のランプが点灯したり警報音が発生する。また、CPU10は、画像信号および撮像信号を画像データおよび撮像データに変換し、これらのデータをインターフェイス回路14を通じてコンピュータ装置Pへと送信する。画像データおよび撮像データについては、EEPROM13に蓄積記憶しておくこともできる。コンピュータ装置P上では、画像データおよび撮像データに基づいてリアルタイムで馬Hの様子を確認できる。なお、コンピュータ装置Pは、常に起動しておく必要はなく、上記した警報器Wを通じて警報が発せられる状況などに応じて起動し、必要に応じてEEPROM13から画像データおよび撮像データを取り込むようにしても良い。
【0045】さらに具体的に説明すると、CPU10は、移動ベクトルとして画像センサGで捉えた撮像信号に基づいて馬Hの動き量を計測し、この動き量に基づいて以下の処理を行うものとされる。たとえば、CPU10は、画像データとして一定時間内に得られる画像枚数を、馬Hの動き量に比例した枚数となるように制御する。これによれば、馬Hが出産間近となって動き回ったり前脚を激しく動かすようになると、一定時間内に得られる画像枚数を多くして些細な動きも画像データとして捉えることができる一方、馬Hが分娩し始めて比較的おとなしい状態となった際には、一定時間内に得られる画像枚数を少なくしてほとんど同じ内容の無駄な画像データの転送や保存などを防ぐことができる。
【0046】また、CPU10は、馬Hの動き量が最小設定値以下あるいは最大設定値以上の場合に限り、警報信号を生成出力するものとされる。特に、その動き量が最小設定値以下の場合には、臭気センサSから一定レベル以上のセンサ信号が得られる場合に限り、警報信号が出力されるものとされる。このような最小設定値および最大設定値については、設定情報としてEEPROM13に記憶しておくことができるが、最小設定値および最大設定値をユーザが自由に変更するためのつまみ型スイッチ、ボリュームスイッチ、あるいはDIP(Dual Inline Package )型スイッチなどといった設定値変更機構が制御基板に設けられている(図示省略)。さらに、CPU10は、警報信号を生成出力し始めてから一定時間が経過すると、警報信号の出力レベルを変化させたり、馬Hの動き量が最小設定値以下の場合と最大設定値以上の場合とで警報信号の出力レベルを異なるものとする。これによれば、出産の早期段階における前兆として馬Hが激しく動く際には、その動き量が最大設定値以上と計測される結果、インターフェイス回路14からたとえば「L」レベルの警報信号が出力され、この警報信号を受信した警報器Wにおいては、たとえば黄色のランプが点灯して小音量の警報音が発生することとなる。その一方、時間が経過して馬Hが分娩し始めておとなしくなると、その動き量が最小設定値以下と計測されるとともに、臭気センサSを介して一定レベル以上の臭気が検知される結果、インターフェイス回路14からたとえば「H」レベルの警報信号が出力され、この警報信号を受信した警報器Wにおいては、たとえば赤色のランプが点灯して大音量の警報音が発生することとなる。なお、ここで言う「L」レベル、「H」レベルは、論理レベルのことではない。
【0047】通信回路として機能するインターフェイス回路14は、信号ケーブルC1を介して警報器Wに警報信号を送出するとともに、通信ケーブルC2を介してコンピュータ装置Pとの間で画像データや撮像データなどを双方向にやり取りするためのものである。光源Lは、画像センサGが馬Hを移動物体として捉えやすいように、馬Hを照らし出すためのものであって、LEDやハロゲンランプなどが用いられる。自動調整回路15は、特に図示しないがフォトトランジスタやフォトダイオードなどの受光素子により周辺の明るさを検出し、光源Lの明るさを厩舎内の明るさに応じて自動的に調整するものであって、この自動調整回路15の機能により昼夜を問わずに馬Hの動きを画像センサGを介して確実に捉えることができる。
【0048】次に、家畜監視装置Aの動作について図面に基づいて説明する。
【0049】図3は、家畜監視装置Aにおける家畜監視処理を示すフローチャートであって、この図に示すように、CPU10は、赤外線センサRからオンのセンサ信号が出力されているか否かを判断している(S1)。
【0050】赤外線センサRからオンのセンサ信号が出力される場合(S1:YES)、厩舎内に馬Hが存在するため、CPU10は、画像センサGを駆動してこれから画像信号および撮像信号を取り込み、そのうちの撮像信号に基づいて馬Hの動き量を計測する(S2)。このような撮像信号には、画像センサGによって捉えられた馬Hの移動ベクトルに関する情報が含まれることから、CPU10は、複雑な画像処理を行うことなく移動ベクトルに基づいて馬Hの動き量をリアルタイムに求めることができる。このとき、馬Hに対しては、周辺の明るさに応じて必要な照度となるように光源Lから光が発せられ、朝昼晩によって明るさが変化する状況でも、移動物体としての馬Hの動きを画像センサGが確実に捉えることができるものとされる。
【0051】その一方、CPU10は、コンピュータ装置Pに対してチェックコマンドを送信し、それに応じてコンピュータ装置Pから送信されてくるACK信号などに応じてコンピュータ装置Pが通信可能な状態か否かを調べる(S3)。
【0052】コンピュータ装置Pが通信可能な状態の場合(S3:YES)、CPU10は、画像センサGから取り込んだ画像信号および撮像信号に基づいて画像データおよび撮像データを生成し、これらのデータをコンピュータ装置Pに対して転送する(S4)。画像データおよび撮像データを受信したコンピュータ装置P上では、これらのデータに基づいて馬Hを捉えた静止画像や動画がほぼリアルタイムに表示される。なお、コンピュータ装置Pが受信可能な状態であっても、静止画像や動画の表示に対応するアプリケーションプログラムが起動されていないときには、コンピュータ装置Pのハードディスクなどに画像データおよび撮像データが順次保存されるとしても良い。
【0053】このようなデータ転送に並行してCPU10は、S2にて得られた馬Hの動き量が最大設定値以上か否かを調べている(S5)。
【0054】そして、馬Hの動き量が最大設定値以上、または最小設定値以下となった場合(S5:YES)、CPU10は、出産の早期段階における前兆として馬Hがぐるぐると動き回ったり、前脚で地面を掻いたり叩いたりする状況であり、また分娩の初期のおとなしい動きとなった状況を認識し、それに応じた警報動作を警報器Wに実行させるべく「L」レベルの警報信号を出力する(S6)。これにより、「L」レベルの警報信号を受信した警報器Wでは、異常報知として黄色のランプが点灯するとともに、比較的小さい音量で警報音が発生することとなる。なお、警報信号を出力するか否かは、馬Hの動き量と臭気センサSからの出力レベルとを総合的に判断して決定するようにしても良い。たとえば、馬Hの動き量が最大設定値以上や最小設定値以下の場合であっても、臭気センサSの出力レベルが一定レベル以上にない場合には、警報信号を出力しないとしても良い。
【0055】また、CPU10は、その時点での臭気センサSの出力レベルがあらかじめ定めた一定レベル以上か否かを調べる(S7)。
【0056】臭気センサSの出力レベルが一定レベル以上にない場合(S7:NO)、CPU10は、赤外線センサRからオフのセンサ信号が出力されるか否かを調べる(S8)。
【0057】このようなS2〜S8の一連の処理は、赤外線センサRからオンのセンサ信号が出力されている限り繰り返し実行され(S8:NO)、赤外線センサRからオフのセンサ信号が出力される場合(S1:NO,S8:YES)、CPU10は、家畜監視処理のメインルーチンを実行することなく待機モードに移る。この待機モードでは、赤外線センサR以外の画像センサGや臭気センサSなどに対して電源供給が行われず、また、CPU10自体も赤外線センサRのセンサ信号を検出するために必要な最小限の電源供給を電源制御回路から受けるだけの状態となる。つまり、馬Hが厩舎内に存在しない場合には、CPU10が待機モードとなって家畜監視装置A全体の消費電力を抑えることができる。なお、ランプの点灯や警報音の発生といった警報動作を停止させるには、家畜監視装置Aや警報器Wに設けられた図示しない操作スイッチをオフにするほか、コンピュータ装置Pを通じて家畜監視装置A自体を制御して警報信号の出力を中止させるようにしても良い。
【0058】一方、S7において、臭気センサSの出力レベルが一定レベル以上の場合(S7:YES)、CPU10は、馬Hが分娩を始めておとなしい動きとなった状況などにあると認識し、それに応じた警報動作を警報器Wに実行させるべく「H」レベルの警報信号を出力し(S11)、その後S8に進む。つまり、「H」レベルの警報信号を受信した警報器Wでは、出産報知として赤色のランプが点灯するとともに、比較的大きい音量で警報音が発生することとなる。
【0059】また、S5において、馬Hの動き量が最大設定値以上、または最小設定値以下でない場合であっても(S5:NO)、CPU10は、その時点での臭気センサSの出力レベルがあらかじめ定めた一定レベル以上か否かを調べる(S10)。
【0060】臭気センサSの出力レベルが一定レベル以上の場合(S10:YES)、CPU10は、馬Hが分娩を始めた状況などにあると認識し、それに応じた警報動作を警報器Wに実行させるべく「H」レベルの警報信号を出力し(S11)、その後S8に進む。これにより、「H」レベルの警報信号を受信した警報器Wでは、出産報知として赤色のランプが点灯するとともに、比較的大きい音量で警報音が発生することとなる。
【0061】S10において、臭気センサSの出力レベルが一定レベル以上にない場合(S10:NO)、CPU10は、馬Hが単に睡眠中などでおとなしい状況にあるだけと認識し、警報信号を出力することなくS8に進む。
【0062】S3において、コンピュータ装置Pが通信不可の場合(S3:NO)、CPU10は、画像センサGからの画像信号および撮像信号に基づいて生成した画像データおよび撮像データを、順次EEPROM13に保存し(S9)、その後S5に進む。つまり、コンピュータ装置Pが起動されていなかったり、起動されていたとしても物理的あるいは通信プログラムなどの問題でデータを受信できない場合、画像データおよび撮像データをEEPROM13に蓄積保存しておくことができ、必要な時や状況などに応じてコンピュータ装置Pからアクセスを行うことで画像データおよび撮像データを取り込むことができる。
【0063】したがって、本実施形態に係る家畜監視装置Aによれば、馬Hが出産兆候を示す特有の動作を始めると、その馬Hを画像として捉えた画像センサGから通常とは異なる画像信号および撮像信号が出力され、それに応じて警報信号が警報器Wに伝えられる。つまり、出産予定の馬Hが所在する厩舎から離れた監視所などに警報器Wを設置しておき、この警報器Wが警報信号を受信すると、馬Hが出産の兆しとなる特有の動作を行っていることが音や光などによって報知されるので、馬Hの出産に際して常に畜舎を見回る必要もなく監視負担を軽減できるとともに、その出産の兆候を確実かつ早期に知らせることができる。
【0064】また、画像センサGは、動きの無い馬H以外の背景部分を画像信号から除去することができるので、動きのある馬Hを確実に捉えることができ、その動き量を精度良く計測することができる。しかも、馬Hの動き量が最大設定値以上の場合と最小設定値以下の場合とで警報器Wから発せられる光や音が異なる様子とされるので、出産の兆候を早期段階からいち早く知ることができるだけでなく、そのような早期段階と分娩し始めた際などの段階とを区別して知ることができる。さらに、画像センサGからの画像信号や撮像信号だけでなく、臭気センサSの出力レベルにも基づいて、馬Hの出産兆候を伝えるべく警報信号を出力するように構成されているので、出産の兆候をより確実かつ正確に知らせることができる。
【0065】なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0066】家畜監視装置Aは、画像センサGを必須とするものであって、必ずしも臭気センサSや赤外線センサRを備える必要はない。
【0067】監視対象となる家畜は、馬に限らず牛などであっても良く、広くは動物園などで飼育されている四足獣などであっても良い。
【0068】また、家畜監視装置Aは、出産に限らず家畜の病気を監視するために利用しても良い。この場合、CPU10は、画像データとして一定時間内に得られる画像枚数を、馬Hの動き量に反比例した枚数となるように制御すれば良い。そうすると、たとえば馬Hが病気などでおとなしい様子の際、一定時間内に得られる画像枚数を多くして些細な動きがあっても画像に捉えることができる一方、健康な状態で激しく動く際には、一定時間内に得られる画像枚数を少なくしてほとんど同じ内容の無駄な画像データの転送や保存などを防ぐことができる。
【0069】インターフェイス回路14は、信号ケーブルC1や通信ケーブルC2を介して各種の信号やデータをやり取りするとしたが、これらのやり取りを無線で行うものとしても良い。また、警報器Wやコンピュータ装置Pとインターフェイス回路14との間には、各種の信号やデータを集中管理するとともに電源供給を行う制御装置を設け、これら各種の信号やデータを電源供給線に載せてやり取りさせても良い。さらに、インターフェイス回路14は、伝送すべき信号やデータの種類に応じて複数設けられていても良い。
【0070】CPU10は、画像信号および撮像信号をコンポジット方式の映像信号に変換し、この映像信号をインターフェイス回路14を通じてコンポジット入力端子を備えたテレビジョン装置やビデオデッキ装置などのモニタ装置へと送信するようにしても良い。
【0071】画像データや撮像データを記憶しておくストレージデバイスとしては、据置型のハードディスクなどのほか、可搬型のメモリカードや光磁気ディスクなどを適用しても良い。
【0072】CPU10などからなるマイクロコンピュータや画像センサGなどは、必ずしも同一の制御基板に設ける必要はなく、たとえば複数の画像センサGを天井や壁面などの各所に設け、これらを1つのマイクロコンピュータが総合的に制御するようにしても良い。また、制御回路としてのマイクロコンピュータは、各画像センサGとは別にして厩舎内や監視所などに制御盤を別途設置し、この制御盤に組み込まれたものであっても良い。
【0073】画像センサGは、画像処理機能を備えないイメージセンサであっても良い。この場合、画像処理をCPU10に実行させればよい。
【0074】警報器Wは、単に1つのランプを備えるだけのものや、1つのブザーを備えるだけのものであっても良い。
【出願人】 【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
【識別番号】500446214
【氏名又は名称】有限会社マークリ牧場
【識別番号】595098169
【氏名又は名称】株式会社立花商会
【出願日】 平成13年3月26日(2001.3.26)
【代理人】 【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔 (外2名)
【公開番号】 特開2002−281853(P2002−281853A)
【公開日】 平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願番号】 特願2001−88367(P2001−88367)