トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 牧柵構造
【発明者】 【氏名】不動 孝之

【要約】 【課題】牧柵の建設コストを抑えつつ、血統馬や放牧牛の健康を害さない牧柵を提供する。

【解決手段】支柱に横板の連結部材を固定し、連結部材に横板を嵌装して固定する。連結部材および横板は、樹脂または金属で成形する。連結部材は、外周ケースと、当該外周ケースの内部に配したガイド部材とを備え、当該ガイド部材は、外周ケースの内側略中央に配した取付ブリッジを介して外周ケースに固定することが望ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】適当間隔で配した支柱に横板を配する牧柵構造において、前記支柱に横板の連結部材を固定し、該連結部材に横板を嵌装固定するものであって、連結部材および横板を樹脂または金属によって成形することを特徴とする牧柵構造。
【請求項2】前記連結部材は、外周ケースと、当該外周ケースの内部に配したガイド部材とを備え、当該ガイド部材は、外周ケースの内側略中央に配した取付ブリッジを介して外周ケースに固定することを特徴とする請求項1記載の牧柵構造。
【請求項3】外周ケースは、当該外周ケースを支柱に固定するためのビス孔と、ガイド部材によって嵌装させた横板を固定するためのビス孔を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の牧柵構造。
【請求項4】前記横板は、ガイド部材の外周を抱持しつつ外周ケースの内側面に当接する形状であることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の牧柵構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家畜の放牧用の柵(牧柵)の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】牧柵は、地面に打ち込んだ支柱と、この支柱に固定した横板とからなる。従来、このような牧柵は木材で作った支柱と、木材で作った横板をもって建築されるのが一般であり、例えば適当間隔で配した木材支柱に、木材横板を釘打ちして固定する建築方式が広く採用される。この場合、支柱や横板には防腐剤や防虫剤を塗布等によって使用する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、牧柵を要する牛馬のうち、特に競走馬(サラブレッド)は高額である。このため、例えばサラブレッド用の牧柵に木材を使用すると、表面に塗布した防虫・防腐剤によって、牧柵を舐めたり囓ったりした血統馬が死亡する等の事故が発生する虞れがあり、甚大な被害が生ずる可能性があった。
【0004】一方、放牧地は広大である。このため、防腐防虫処理を施さずに牧柵を作ることは管理面での経済的負担が大きくなりすぎる。このため、サラブレッド用の牧柵については、従来から馬に害を与えず設計や管理コストも低く抑えることが可能な牧柵が求められていた。
【0005】一方、牛用の牧柵であっても、その設計に際しては各種の条件、例えば畜舎および搾乳室の配置、草地の傾斜条件、糞尿等の物資循環の効率など、最大限の効率を勘案した牧柵設計を行う。しかし、自然環境を含めた雑多な設計要因を当初から完全に行うことは至難である。相当程度の経験をもった牧畜業者であっても、環境変化に応じて随時牧柵の設計変更を行う必要性に迫られることも少なくない。
【0006】そこで本発明の目的は、牧柵の安全性を高め、かつ牧柵の設計変更の自由度を高める点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明に係る牧柵構造は、支柱に横板の連結部材を固定し、当該連結部材に横板を嵌装して固定する。連結部材および横板は、樹脂または金属で成形する。
【0008】連結部材は、外周ケースと、当該外周ケースの内部に配したガイド部材とを備え、当該ガイド部材は、外周ケースの内側略中央に配した取付ブリッジを介して外周ケースに固定することが望ましい。外周ケースは、当該外周ケースを支柱に固定するためのビス孔と、ガイド部材によって嵌装させた横板を固定するためのビス孔を備える場合がある。横板は、ガイド部材の外周を抱持しつつ外周ケースの内側面に当接する形状とすることが望ましい。
【0009】
【作用】本発明に係る牧柵構造は、樹脂または金属で成形した部材を用いるため、牛馬が牧柵を舐めたり囓っても、健康上の障害を惹起する可能性は殆どない。また強度が高まって破損の可能性が減少し、雨雪による腐食の問題や塗装劣化等の美観上の問題も解消できる。
【0010】第二に、連結部材を介して横板を嵌装固定する構造であるため、釘打ちによる牧柵構築と異なり、設計変更に応じて支柱の位置や横板の位置を随時変更することが可能となる。横板は連結部材に嵌装して固定するため、横板の取り外しと固定が従来より容易となるからである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図に基づいて本発明に係る牧柵構造の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る牧柵構造の概略を示すものである。1は支柱、10は連結部材、30は横板部材である。通常の場合、支柱1は地面に杭打ち等の方法で立設するが、この支柱1は木製であっても構わない。従来から使用してきたカラマツ材等の牧柵支柱を利用しても良いからである。但し、本発明の実施に際しては、樹脂または金属をもって成形する連結部材10の取付の容易を考慮して、支柱1に取付用ケース体5を被せ、この取付用ケース体5を介して連結部材10を支柱1に固定することが望ましい。取付用ケース体5に連結部材10を固定しておけば、設計変更に伴う煩雑を解消できるからである。また取付用ケース体5に連結部材10を固定した規格品を大量生産できる可能性も生ずる。
【0012】この実施形態では、連結部材10の内側に横板部材30を嵌入させる構造をとる。連結部材10に横板部材30を嵌め入れて固定する構造をとるので、図2にも示すように、連結部材10の内側に所定形状のガイド20を設けておく。また、嵌入させた横板部材30を固定する際の位置決めを容易にするため、連結部材10の略中央にストッパとなる仕切板(取付ブリッジ)25を設けておく。仕切板25は、作業時の乱暴な衝撃を考慮すれば、肉厚3〜10mm程度に設定し、横板部材30の端部によって受ける衝撃に耐える程度の剛性を確保する。尚、本発明に係る取付ブリッジは他の構造をとることも可能であるが、中央の仕切板25をもって取付ブリッジとする構造が最も単純であり、剛性の確保とコスト低減を図ることができる。
【0013】図3は、連結部材10と、この横板部材10に嵌入させる横板部材30との関係を例示する図である。連結部材10は、本体ケース11と、この本体ケース11の内側に配したガイド20とを備えるよう構成する。またガイド20は、図2に示したように、本体ケース11の略中央において仕切板25を介して本体ケース11の内側面に固定しておく。
【0014】符号16は、本体ケース11を取付用ケース体5(または支柱1)に固定するためのビス孔である。また18、19は、横板部材30を固定するためのビス孔である。ビス孔18、19は、それぞれ本体ケース11および横板部材30に設けておくが、成形誤差を考慮して、いずれか一方のビス孔18、19は、長楕円(直線部が長い競技トラック形)に成形しておくことが望ましい。図3では本体ケース11側のビス孔18を長楕円形に示してある。
【0015】尚、このビス孔18、19は、寒暖による横板部材30の収縮を吸収する役目を果たす。北海道のような寒冷地では寒暖差が60℃程度あるが、このとき横板部材30は、例えば2.5〜3/1000程度の収縮率となる。そこで長楕円形のビス孔18,19にリベットを打ち込んでおけば、横板部材30の収縮/膨張による固定点の移動を吸収して構造を保全することが出来る。
【0016】本体ケース11とガイド20との間には、横板部材30を挿入させる隙間S1が存在する。またガイド20は、内部中空とすることが望ましい(中空部を符号S2として示す)。連結部材10を軽量化させるためである。一方、横板部材30も、ガイド20の外周面を抱持する形状であれば良く、基本的には内部中空の構造とすることが望ましい(中空部を符号S3で示す)。部材の軽量化のためである。
【0017】図4は、連結部材10の内部構造、特に本体ケース11を支柱1(取付用ケース体5)に固定するビス孔16と、仕切板25の位置関係を例示すものである。この図に示すように、ビス孔16は本体ケース11の表面から裏面に貫通している。連結部材10を支柱1に固定するためである。
【0018】一方、仕切板25は、上下のビス孔16の間に配するだけで十分であり、本体ケース11の内側上下には、一定の空間(連通空間S5、S6)が存在しても構わない。仕切板(連結ブリッジ)15は、横板部材30の位置決めが出来る限り形状や大きさを問わない。また連通空間S5、S6を設けることにより、連結部材10を軽量化でき、また製品コストを低減できる。
【0019】従って、かかる牧柵構造によれば、樹脂又は金属で成形した連結部材10を支柱1に取り付けることにより、ガイド20を介して横板部材30を簡単に連結部材10に固定することが出来る。ビス固定なので、取り外しも容易である。
【0020】連結部材10および横板部材30は、樹脂又は金属で成形するから、耐久性に優れる。特に、家畜の衝突による牧柵の破損を生じにくい。また基本的に内部中空型であるから軽量化が可能であり、作業性等、取り扱いも容易である。
【0021】尚、連結部材10を支柱1(取付用ケース体5)に配置する際の位置決めを容易にするため、例えば図5に示すように、連結部材10の裏面に左右一対の位置決突起61,62を配しておくことが望ましい。支柱1は予め寸法が決まっているので、位置決突起61,62の横幅間隔W6もそれに一致させておく。このようにすれば、位置決突起61,62の間に支柱1を嵌め入れることで、ビス孔16の位置決めが効率的となる。
【0022】位置決突起61,62の形状は問わない。この実施形態では、上下方向に長い略三角柱状の形状に示したが、角柱状、半円形状等であっても良い。
【0023】尚、前記説明では、横板部材30を連結部材10に嵌入させる構造を例示したが、本発明に係る牧柵構造は、横板部材を連結部材の外側から差し込む構造としても良い。例えば、図6に示すように、連結部材71を略半円形の棒状体として成形し、その外側の中間位置に仕切板72を配する一方、連結部材71を抱持できる内部空間S7をもった略半円形の横板部材73を、連結部材71の外側から差し込む方式である。連結部材71は内部中空である必要はない。
【0024】このような構造であっても、前記連結部材10/横板部材30と略同様の効果を得ることが出来、連結部材71の成形コストを抑えることが出来る。但し、この場合は、連結部材71だけでなく横板部材73も一緒に支柱1にビス止めする必要が生ずるため、作業効率は前記構造より低下する。
【0025】尚、本発明に係る連結部材および横板部材の外観形状は限定されない。支柱1との接触面が十分に確保できる限り、断面デザインは例えば半円状であっても角柱状であっても構わない。ガイドは、連結部材本体から突出させなくても構わない。例えば横板部材の表面に凹凸ラインを形成する等、適宜表面装飾を施しても良い。横板部材とガイド20との嵌装を容易にするため、横板部材内に別途ガイド板を設けても良い。傾斜地等、とくに剛性が高く求められる箇所では、横板部材内に補強材(例えば鋼板)を入れても良い。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る牧柵構造によれば、牧柵の建設コストを抑えつつ、牛馬の健康上の懸念を払拭でき、牧柵のデザイン/設計の変更の自在性を確保することが出来る。
【出願人】 【識別番号】501095602
【氏名又は名称】東和産業株式会社
【出願日】 平成13年3月9日(2001.3.9)
【代理人】 【識別番号】100099014
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 滿茂
【公開番号】 特開2002−262695(P2002−262695A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−67840(P2001−67840)