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【発明の名称】 ごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法
【発明者】 【氏名】坪田 卓也

【氏名】山口 安幸

【氏名】山内 豊

【氏名】永田 良一

【要約】 【課題】ごみを加工したごみ固形燃料の活用の場を新たに開拓して、その消費を促進する手段について、特に環境保全の立場から提案する。

【解決手段】ごみの破砕、乾燥および成形を経て所定の形状に加工された、ごみ固形燃料を乾留して得られる炭素質材を、畜舎内の糞尿に混合使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ごみの破砕、乾燥および成形を経て所定の形状に加工された、ごみ固形燃料を乾留して得られる炭素質材を、畜舎内の糞尿に混合使用することを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【請求項2】 請求項1において、糞尿の表面に、炭素質材の散布による炭素質材層を形成することを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【請求項3】 請求項1において、炭素質材を畜舎の床面に敷きつめることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【請求項4】 請求項1ないし3において、炭素質材を混合した糞尿を回収し、肥料として供することを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【請求項5】 ごみの破砕、乾燥および成形を経て所定の形状に加工された、ごみ固形燃料を乾留して得られる炭素質材を、畜舎の床面に敷きつめるか、および/または糞尿の表面に散布して、家畜の飼育を行い、その後炭素質粉末とともに家畜の糞尿を回収し、該回収物を乾留して得られる炭素質材を、再度家畜の飼育に用いることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、炭素質材を、さらに賦活化して用いることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかにおいて、炭素質材の比表面積が25〜500 m2/gであることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかにおいて、炭素質材のC含有量が30〜70mass%であることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかにおいて、炭素質材の径が1〜50mmであることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は ごみを破砕、乾燥および成形して得た固形燃料を利用して、家畜を飼育する畜舎内での悪臭の発生を未然に防ぐ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年 廃棄物、いわゆるごみから可燃ごみを選別して回収したのち、このゴミを破砕、乾燥および成形して固形燃料とする、ごみの処理および利用技術が、種々開発されている。例えば、このような技術として、特許第2865541 号、同第2981399 号および特開平8−86569 号公報などを挙げることができる。
【0003】すなわち、都市ごみ、家庭ごみ、産業廃棄物および一般廃棄物などのごみを、破砕した後、ごみ中の水分を減少するために乾燥を行い、金属、ガラスおよび陶器類等を除去する選別を経て、所定の形状、例えばクレヨン形状などに成形し、固形燃料とするものである。
【0004】このごみ固形燃料は、各種施設の冷暖房用の熱源として、また発電用の燃料として、利用されているが、その利用に当っては、ごみ固形燃料に適した設備の新設や、既存設備の改修などの、設備投資が必要となる。一方で、日々発生するごみの量は増加の一途を辿っており、これに比例して、ごみ固形燃料を増産することが、環境保全の観点から望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のように、ごみ固形燃料を活用するための設備が十分に用意されているとはいえない現状にあって、ごみ固形燃料を単に増産しても無意味である。
【0006】そこで、この発明は、ごみ固形燃料の活用の場を新たに開拓して、その消費を促進する手段について、特に環境保全の立場から提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、ごみ固形燃料を環境保全に役立つ形で利用する方途を模索したところ、ごみ固形燃料を乾留して得られる炭素質材が、畜舎床面における敷料として極めて有効であることを見出し、この発明を完成するに到った。
【0008】ここに、家畜を飼育する畜舎では、その床面に、家畜が横臥する場所を柔らかくかつ暖かくし、また家畜の排泄物の水分を吸収し、さらに消臭をはかるために、藁やおが屑などの敷料を敷くのが一般的である。しかしながら、この敷料を特に吸水や消臭を目的として使用する場合、その効果は極めて些少であるところから、藁やおが屑などを家畜の排泄物とともに頻繁に回収し、新しい敷料にする必要があり、この敷料にかかる費用の削減が希求されている。
【0009】また、おが屑などとともに回収した家畜の排泄物は、一部堆積発酵等肥料化して再利用されてはいるが、大半は焼却処理するか最終処分場へ投棄されているのが現状であり、環境保全の立場から改善が求められていた。
【0010】かような背景の下、発明者らは、畜舎に使用する敷料の高性能化、そして低コスト化を模索したところ、原料費を基本的には要することのない、ごみを加工したごみ固形燃料に着目し、これに敷料として成立する性能を付与することによって、従来の敷料の性能を遥かに凌駕する代替物が得られることを見出し、この発明を完成するに到った。
【0011】すなわち、この発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1) ごみの破砕、乾燥および成形を経て所定の形状に加工された、ごみ固形燃料を乾留して得られる炭素質材を、畜舎内の糞尿に混合使用することを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0012】(2) 上記(1) において、糞尿の表面に、炭素質材の散布による炭素質材層を形成することを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0013】(3) 上記(1) において、炭素質材を畜舎の床面に敷きつめることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0014】(4) 上記(1) ないし(3) において、炭素質材を混合した糞尿を回収し、肥料として供することを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0015】(5) ごみの破砕、乾燥および成形を経て所定の形状に加工された、ごみ固形燃料を乾留して得られる炭素質材を、畜舎の床面に敷きつめるか、および/または糞尿の表面に散布して、家畜の飼育を行い、その後炭素質粉末とともに家畜の糞尿を回収し、該回収物を乾留して得られる炭素質材を、再度家畜の飼育に用いることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0016】(6) 上記(1) ないし(5) のいずれかにおいて、炭素質材を、さらに賦活化して用いることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0017】(7) 上記(1) ないし(6) のいずれかにおいて、炭素質材の比表面積が25〜500m2/gであることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0018】(8) 上記(1) ないし(7) のいずれかにおいて、炭素質材のC含有量が30〜70mass%であることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0019】(9) 上記(1) ないし(8) のいずれかにおいて、炭素質材の径が1〜50mmであることを特徴とするごみ固形燃料を利用した畜舎の悪臭防止方法。
【0020】
【発明の実施の形態】以下 この発明を詳細に説明する。この発明の方法は、ごみの破砕、乾燥および成形を経て所定の形状に加工された、ごみ固形燃料を、乾留して得られる炭素質材を、畜舎内の糞尿表面に散布するか、および/または炭素質材を予め畜舎の床面に敷きつめて、混合使用することを特徴とするものである。
【0021】ここで、炭素質材を散布して使用すること、および炭素質材を予め畜舎の床面に敷きつめて使用すること、の使用形態において、家畜の歩行等により糞尿と炭素質材との混合が容易に生じるから、かような現象を含めて混合使用する、と表現する。
【0022】さて、都市ごみ、家庭ごみ、産業廃棄物および一般廃棄物などのごみから成るごみ固形燃料を乾留すると、炭素質の粉末が得られる。この炭素質材は、表1に示すように、活性炭には及ばないものの、比較的に大きな比表面積を有するため、悪臭成分の吸着能力を有している。とりわけ、炭素質材を賦活化したものは、比表面積が増大するため、悪臭成分を吸着するのに有利である。従って、この炭素質材を畜舎の糞尿の表面に散布するか、または予め床面に敷きつめておけば、家畜から排泄された尿は炭素質材に吸収され、同様に糞の表面は炭素質材で覆われて臭気が吸着される結果、畜舎からの悪臭の発生は未然に防止されるのである。
【0023】さらに、炭素質材の比表面積が25〜500 m2/gであることが有利である。なぜなら、比表面積が25m2/g未満では、悪臭の吸着効果が不足して悪臭防止のための使用量が増加し、一方500 m2/gをこえると、製造コストの上昇をまねいて高価なものとなってしまうため好ましくない。なお、この炭素質材の比表面積を増大するには、上記の如く賦活化すれば良く、ごみ固形燃料の乾留中又は乾留後に賦活処理を施せばよい。この賦活処理により、例えば表1に示す例では、3倍の比表面積を得ることができた。
【0024】
【表1】

【0025】ここで、上記炭素質材を畜舎の悪臭防止に用いるに当り、まず糞尿の表面を覆うように散布すること、および予め畜舎の床面に散布することを、単独でまた適宜に組み合わせることによって、悪臭を防止することができる。なぜなら、炭素質材は多孔体であってアンモニア等の悪臭成分の吸着能力に優れるため、これを糞尿に混合することによって悪臭を抑制することが可能である。また、糞尿表面を覆うように、炭素質材を定期的に散布することで悪臭成分の飛散を防止でき、畜舎の周辺への悪臭による環境問題を未然に防止できる。さらに、乾留して得た炭素質材であるため、家畜が誤って食べた場合にも、健康上の問題に発展することがない利点もある。
【0026】なお、炭素質材を混合した糞尿は、畜舎内から回収し、そのまま肥料として供することができる。すなわち、ごみ固形燃料から作製した炭素質材は、土壌の改良に有利な成分、つまり炭素、カルシウムや燐等を含むから、これと糞尿との混合物は極めて有効な肥料となる。
【0027】また、上記炭素質材を畜舎の床面に敷きつめ、或いは糞尿の表面を覆うように散布するに当り、1〜50mm径の炭素質材を用いることが好ましい。なぜなら、畜舎は、家畜の健康のために通気を良くしており、通風による炭素質材の飛散を防止するために、1mm以上の径の炭素質材を用いるとよく、10mm径程度が好ましい。一方、飛散の防止をはかることができれば、特に上限を設ける必要はないが、造粒コストを考慮すると、炭素質材の径を50mm以下とすることが好ましい。
【0028】さらに、炭素質材を畜舎の床面に敷きつめて用いる場合は、畜舎の床面に炭素質材を敷きつめ、その上に藁やおが屑などの敷料を敷きつめて家畜の飼育を行い、敷料上に排出された糞尿に炭素質材を散布して覆うことによって、悪臭の発生を未然に防止することが推奨される。その後、炭素質材あるいは上記敷料とともに家畜の糞尿を回収し、該回収物を乾留して得られる炭素質材にしてから、この炭素質材を再度畜舎の床面に敷きつめることを繰り返すことによって、資源の有効利用をはかることができる。
【0029】ここで、炭素質材には、そのC含有量が30〜70mass%であるものを用いることが好ましい。すなわち、炭素質材のC含有量が30mass%未満では、過度の乾留により得られる多孔質体の表面積及び多孔質体の量自体が不足して、十分な悪臭の吸着機能が得られない、おそれがあり、一方C含有量が70mass%をこえると、乾留不足による表面積の低下により、30mass%未満の場合と同様の問題を生じるため、70mass%以下、好ましくは60mass%以下とする。
【0030】次に この発明の土壌改良材の製造手順について、詳しく説明する。まず、郡市ごみ 家庭ごみなどの一般ごみ 産業廃棄物 一般廃棄物 および家電製品、自動車部品などを破砕して得られたシュレッダーダストなどのごみから 金属類 ガラスおよび陶磁器類を除去する その後 得られた可燃物を主体とするごみを破砕し 例えば蒸気を熱源として乾燥する。そして、乾燥後のごみを再度破砕した後 必要に応じて金属類を除去してから、所定形状に成形してごみ固形燃料を製造する。
【0031】次いで、ごみ固形燃料に乾留処理を施す。すなわち、乾留処理は、例えば乾留炉内への供給空気量を調整して炉内の酸素濃度を1 vol%以下に制御するとともに、乾留温度を600 ℃以上、好ましくはダイオキシンの発生を抑制するために800 ℃以上に制御して行う。かくして得られる炭素質の粉体を、畜舎の悪臭防止に供するのである。
【0032】なお、乾留処理時に発生する乾留ガスは 乾留炉出側に設置した燃焼装置において完全燃焼させる際、800 ℃以上の温度領域における燃焼ガスの滞留時間を2秒以上とし 燃焼ガスを急冷することによって、ダイオキシン類の生成を確実に防止することができる。
【0033】
【実施例】実施例1乾留炉内の酸素濃度:1 vol%以下および雰囲気温度:600 ℃の条件に従ってごみ固形燃料から炭素質材を製造した。この炭素質材の性状について調査した結果を、表2に示す。
【0034】かくして得られた炭素質材を、牛の畜舎から回収した糞尿の表面を覆うように散布して、この炭素質材で覆われた糞尿から20m離れた地点における臭気を風下側で判定した。この判定結果を、表3に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】実施例2また、表2に示した炭素質材を、牛の畜舎の床面を覆うように敷きつめ、家畜(牛)の飼育を1週間の期間にわたって行った際、畜舎から20m離れた地点における臭気を風下側で判定した。飼育に際して、上記炭素質材を用いない場合は、飼育が3日をこえて1週間に近づくにつれて、飼育が不可能なほどの悪臭が発生ひるのに対して、上記の炭素質材の適用によって悪臭の発生が1週間にわたり防止することができた。
【0038】
【発明の効果】この発明によれば、ごみ固形燃料を畜舎の悪臭防止に活用するため、ごみ固形燃料の消費を促進して環境保全型のごみ処理を推進し、併せて環境の改善をはかることができる。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成13年3月8日(2001.3.8)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作 (外1名)
【公開番号】 特開2002−262693(P2002−262693A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−64321(P2001−64321)