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【発明の名称】 新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法
【発明者】 【氏名】佐藤 裕隆

【氏名】萩尾 勝彦

【要約】 【課題】新築住宅のプレカット端材や、住宅解体時の木質廃材の再資源化を可能とし、良質の家畜用敷料を提供し、更にここから発生する廃棄物を有効活用して、有用な農林資材としてを提供する。

【解決手段】端材、廃材を解砕、目通り2〜10mmに篩別して得られる解砕チップからなる家畜用敷料、並びに使用済み敷料に解砕チップあるいは更に解体チップを混合して堆積発酵してなる敷料、土壌改良材、法面吹き付け用植生基盤材、及びマルチング資材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材を破砕して得られる解体チップを解砕し、得られた解砕物を目通り2〜10mmに篩別してなる嵩密度130〜160g/lの解砕チップを家畜敷料として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法。
【請求項2】 家畜糞尿を含有した請求項1記載の敷料に請求項1記載の解砕チップを添加混合、堆積発酵処理を行って得られた堆積発酵物あるいはさらに請求項1記載の解砕チップを混合してなる混合物を再び家畜敷料として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法。
【請求項3】 家畜糞尿を含有した、請求項1または2に記載の家畜敷料に請求項1記載の解砕チップを添加混合、堆積発酵処理を行って得られる堆積発酵物を土壌改良材として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法。
【請求項4】 家畜糞尿を含有した、請求項1記載の家畜敷料あるいは請求項2記載の堆積発酵物由来の家畜敷料に、請求項1記載の解砕チップを添加し、更に堆積発酵処理してなる堆積発酵物を法面吹き付け用植生基盤材として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法。
【請求項5】 家畜糞尿を含有してなる、請求項1記載の家畜敷料あるいは請求項2記載の堆積発酵物由来の家畜敷料に、端材及び/又は廃材からなる木質材料を破砕して得られる解体チップを添加し、更に堆積発酵処理してなる堆積発酵処理物をマルチング資材として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法。
【請求項6】 請求項1記載の解砕チップを堆積発酵助剤として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法に関し、より詳しくは新築用住宅木質端材や解体住宅木質廃材を解砕してなる解砕チップを家畜敷料として用いる方法あるいは更に、使用済み敷料を堆積発酵処理して得られる堆積発酵物を土壌改良材、法面植生基盤材及びマルチング資材として用いる新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】住宅建築時に用いる木材から発生するプレカット端材や、住宅解体時に発生する木質廃材は、その発生量も多く、一部はパーティクルボードやインシュレーションボードの原材料として利用されたり燃料用チップとして利用されているものの、そのほとんどが利用されずに投棄、焼却あるいは放置されている。
【0003】一方、畜産分野では、堅い床による衝撃を抑制して家畜を怪我から守り、また、寝たときに畜体が冷えるのを防ぎ、また、糞尿を吸着することで畜舎内を乾いた状態にして清潔を保つなどの目的から、家畜敷料(畜舎の床に敷く資材)が用いられている。家畜敷料としては農業や林業で発生する残渣が用いられることが多く、例えば、稲わら、籾殻、おがくず、再生紙等が使われている。畜産農家は飼育する畜種、畜舎の構造、敷料として利用した後の有効利用手段等に応じて上記素材を単独あるいは複数種類組み合わせて敷料として利用している。このうち、おがくずはクッション性、吸水性、脱臭性など敷料としての特性に優れ、そのニーズは高い。稲わら、籾殻、おがくずなどは敷料としての使用後、糞尿を堆肥化するにあたって、水分を調整するとともに通気性を改善し、発酵を促進させる副資材としても有効であり、かつ、これらの材料自体も堆肥の原料とすることにより廃棄物を出さないようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、稲わらは粗飼料としても優れているため、粗飼料にする方が優先され、敷料としての入手は困難になっている。また、おがくずは発生場所が製材所等一部の地域に限られ、更に、その絶対量も不足気味となっている。更に、おがくずは粒径が細かく、嵩密度も約170〜200g/lと高いため、堆肥化にあたって通気不良となり易く、特に、敷料として家畜糞尿を充分に吸収した場合、含水率が著しく高くなり、通気不良により酸素も不足するため発酵が抑制される等の問題があった。一方、住宅建築用に用いられる木材のプレカット端材や、住宅解体時に大量に発生する解体住宅木質廃材の再資源化が強く要望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意検討した結果、従来、投棄あるいは焼却されていた新築住宅用木材の端材や解体住宅木質廃材を用いて家畜敷料として活用する方法を見出し、また、使用済みの家畜糞尿を含んだ敷料を土壌改良材、法面吹き付け用植生基盤材、マルチング資材として活用し、家畜敷料として利用後の廃棄物を抑制しつつ新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材を再資源化する方法、更に、家畜糞尿や、おがくず系敷料の堆肥化を促進する方法を見出し、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明における第1の発明の要旨は、新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材を破砕して得られる解体チップを解砕し、得られた解砕物を目通り2〜10mmに篩別してなる嵩密度130〜160g/lの解砕チップを家畜敷料として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法にある。また、本発明における第2の発明の要旨は、家畜糞尿を含有した上記の家畜敷料に上記の解砕チップを添加混合、堆積発酵処理を行って得られる堆積発酵物あるいはさらに上記の解砕チップを混合してなる混合物を再び家畜敷料として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法にある。また、本発明における第3の発明の要旨は、家畜糞尿を含有した、上記の解砕チップ及び又は上記の堆積発酵物からなる家畜敷料に上記の解砕チップを添加混合、堆積発酵処理を行って得られる堆積発酵物を土壌改良材として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法にある。また、本発明における第4の発明の要旨は、家畜糞尿を含有した、上記の解砕チップ及び又は上記の堆積発酵物からなる家畜敷料に上記の解砕チップを添加混合、堆積発酵処理してなる堆積発酵物を法面吹き付け用植生基盤材として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法にある。また、本発明における第5の発明の要旨は、家畜糞尿を含有した、上記の解砕チップ及び又は上記の堆積発酵物からなる家畜敷料に、端材及び/又は廃材からなる木質材料を破砕して得られる解体チップを添加し、更に堆積発酵処理してなる堆積発酵処理物をマルチング資材として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法にある。また、本発明における第6の発明の要旨は、上記解砕チップを堆積発酵助剤として用いることを特徴とする新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材の再資源化方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては資源の再活用の目的から、新築住宅用木材端材や解体住宅木質廃材等を用いる。これらの端材や廃材は鉄、アルミニウムなどの金属類やガラス、石などの無機物、プラスチック類釘など非木質材料を含まないように選別して、破砕機等にかけるのに適切なサイズにカットし、ハンマーミル等の破砕機やリングフレーカー、チッパー等で砕いて解体チップとする。解体チップは、破砕あるいは圧壊、叩解により得られるものであり、その形状は厚さ約5mm、幅約10mm、長さ20〜50mm木質チップであることが好ましく、このような解体チップであると、次工程での解砕が容易となる。上記の形状になる方法であれば、解体チップへの破砕としてどのような方法も採用でき、上記例示の機械によるものに限定されるものではない。
【0008】この解体チップをハンマーミルやロールミル、ボールミル等の破砕機で解砕する。解砕としては、磨砕や叩解等木材中の繊維質をほぐして、比較的柔らかい繊維状成分が生成するような効果を有する破砕法が好ましい。この解砕により、解体チップに含まれていた木質材料の鋭い裂けやバリが大幅に減少する。こうして得られた解砕物を目通り2〜10mmの篩別処理を行い、主として大きな未解砕物を除去して解砕チップを得る。ここで、目通り2〜10mmの篩別処理とは、目通り10mmの篩を通過し、目通り2mmの篩を通過しないものを得ることを言う。この解砕チップは木質の細長い細桿状物や繊維状物からなり嵩密度は130〜160g/l程度である。
【0009】牛舎、豚舎等家畜舎床に敷料として上記で得られた解砕チップを厚さ10〜50cm、好ましくは10〜30cm程度敷き詰めると、吸水性、透水性、クッション性、脱臭性に優れ、木の揮発性芳香物質による糞尿臭気のマスキング効果もあり、家畜が横臥したときなどでも、家畜の腹部や乳にとげが刺さることが無く、乳房炎を代表とする皮膚病が発生し難いという効果を有する。この敷料としては、解砕チップの他に、ヤシ解砕物、ピートモス、バーク堆肥等を含んでいてもよく、これらを含んでいるとクッション性が更に向上する。敷料として用いる解砕チップは、含水率25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。解砕チップを敷料として使用すると、敷料の吸水性、透水性が高いため畜舎が清潔に保たれる。
【0010】敷料は使用中、そこに家畜糞尿が垂れ流されるので、状況を見計らって交換する必要がある。使用済み敷料をそのまま廃棄すると糞尿による悪臭、腐敗のため環境が悪化するため、環境保全型畜産の観点から堆肥化することが好ましい。使用済み敷料は家畜糞尿を大量に含んでおり、そのままでは含水率が高すぎて堆積発酵処理が困難である。そこで、含水率の低い上記の目通り2〜10mmに篩別してなる解砕チップを添加混合し、堆積発酵処理を行う。解砕チップの添加量は、使用済み敷料の含水率によって適宜決めればよいが、解砕チップ/使用済み敷料が、5容量%/95容量%〜30容量%/70容量%(解砕チップが5〜30%v/v)であることが好ましい。この解砕チップを加えることにより、この混合物は発酵に適した含水率とすることができ、更に空隙率も向上するので通気性が向上して、堆積後の発酵が促進される。また、家畜糞尿による悪臭も低減される。
【0011】家畜糞尿の堆肥化にあたっての水分調節材としておがくずが用いられることもあるが、水分調節剤としておがくずを添加する場合に較べ、解砕チップを用いた場合は少ない添加量で発酵が可能となるので、少ないスペースと労力で堆積発酵に適したものとすることができ、畜舎から排出する全体量を減少することができる。また、おがくずのような粒径の細かい木質剤を水分調節剤として用いた場合の空隙率、通気性を向上させ難いという問題もない。堆積発酵処理としては通常の堆肥製造方法を採用でき、適当な間隔で切り返しを行いながら、屋内あるいは屋外に堆積する方法や、自動的に切り返しや通気を行う発酵槽を用いる方法を採用できる。
【0012】堆積発酵を行うと含水率が低下する。堆積発酵によって、含水率が低下したものは、再度敷料として使用できる。堆積発酵物を敷料として用いる場合は、堆積発酵物の含水率が50重量%以下であることが好ましい。堆積発酵処理物からなる上記敷料に、上記の解砕チップを混合して敷料としてもよい。上記堆積発酵処理物も、上記解砕チップも単独で敷料として用いることができることから、その混合比に何ら制限はない。
【0013】堆積発酵を行うと、通常、堆積発酵物の内部は、発酵熱で通常60℃以上の高温となるため、乳房炎等の原因となる病原菌や、はえ等の害虫の幼虫や卵等が死滅する。敷料として用いるための堆積発酵は屋内で行うことが好ましく、その処理期間は、易分解性の有機物が概ね分解し、含水率が50%以下まで低下していることを目安とするが、20日以上、90日以下であることが好ましい。堆積発酵処理中は適当な頻度で切り返しを行う。なお、発酵処理に処理物が過乾状態になると埃等の問題が発生するので、その場合は適宜散水を行う。堆積発酵処理を行うと、解砕チップに含まれていた比較的固く粗い成分が柔らかくなったり、除去される。
【0014】敷料として使用しないで残った堆積発酵処理物は、更に堆積発酵処理を継続して、土壌改良材として用いることができる。土壌改良材として安全に使用するためには、炭素/窒素比が40以下となるまで堆積発酵処理を行う。堆積発酵期間は90日以上であることが好ましい。堆積発酵処理の方法は特に制限はないが、屋内、屋外の堆積場で適宜切り返しを行いながら堆積発酵することが好ましい。
【0015】また、敷料として使用した後の家畜糞尿を含有する敷料に上記の解砕チップを加え、堆積発酵処理を行って得られる堆積発酵物は法面等吹き付け用の植生基盤材として有用である。上記の敷料としては、堆積発酵処理後に再度敷料として使用したものであってもよい。使用済み解砕チップ系敷料に更に解砕チップを加えて堆積発酵させることで電気伝導度(EC)が低下した堆肥が得られ、これがそのまま法面吹き付け用植生基盤材となる。法面吹き付け用植生基盤材として用いるために、使用済み敷料に加える解砕チップの量は、解砕チップ/使用済み敷料が、30容量%/70容量%〜70容量%/30容量%であることが好ましい。上記量よりも解砕チップが少ない場合は、発酵が進んだとしても、得られる堆肥のECが高く、植生基盤材とともに吹き付けられた種子の発芽を抑制する。添加量が上記より多すぎると、家畜糞尿由来の易分解性有機物の割合が少なくなるため堆積発酵処理に要する時間が長くなる。
【0016】こうして得られた法面吹き付け用植生基盤材は、解砕チップが、おがくずとは異なり繊維構造を有しているため、吹き付けた植生基盤の強度を維持できる。上記の法面吹き付け用植生基盤材には解砕したバーク、ヤシ果実外果皮等の難分解性の繊維性粗大有機物を含んでいてもよい。このような繊維性粗大有機物が植生基盤材に含まれていると、吹き付け時に、これらの繊維が絡み合いながら法面に圧着されることにより、植生基盤としての強度がさらに向上する。繊維性粗大有機物を含有させる場合は、その添加量が3〜20容量%であることが好ましい。繊維性粗大有機物は解砕チップと同時に添加してもよく、発酵処理後の発酵処理物に加えてもよい。解砕チップの繊維構造で植生基盤の強度を維持するため、土壌改良材と異なり、解砕チップが完全に堆肥化される必要がないことから、堆積発酵期間は30日〜90日と比較的短くてよい。
【0017】また、敷料として使用した後の家畜糞尿を含有する敷料に端材及び/又は廃材からなる木質材料を破砕して得られる解体チップを添加して、更に堆積発酵処理して得られる堆積発酵処理物はマルチング資材として有用である。法面吹き付け用植生基盤材の場合と同様、この場合も、敷料は再度敷料として使用したものであってもよい。解体チップの添加量は、解体チップ/家畜糞尿含有敷料が、30容量%/70容量%〜70容量%/30容量%であることが好ましく、40容量%/60容量%〜60容量%/40容量%であることがより好ましい。マルチング資材とは、緑地、果樹園等において、樹木の株元に敷き詰め、株元部分の土壌の保温、保湿、流亡抑制、踏圧による固結防止、雑草抑制などの機能を有するものである。本発明のマルチング資材は上記の機能を有するとともに、植物の生育に必要な窒素、燐酸、カリ等の肥料成分を多量に含み、更に植物生育に必要な微量成分をも多量に含み、樹木の生育を促進する。また、有機物や腐植質を多く含むため、表面土壌を膨軟化し、植物の生育に好ましい土壌環境が得られる。
【0018】解体チップの添加量が上記より少ない場合はマルチング資材の空隙率や透水性が充分に確保できず、マルチング資材としての機能を充分に発揮できなくなる。また、添加量が上記より多すぎると、空隙率、透水性が過剰となり、保温、保湿性が不充分となり、植栽土壌への腐植や肥料成分の供給力が劣る。また、家畜糞尿由来の易分解性有機物の割合が少なくなるため堆積発酵処理に要する時間が長くなる。マルチング資材は土中に混和する土壌改良材とは異なり、土壌表面に敷き詰めるものであるため、分解し難い木片等を完全に堆肥化させる必要はなく、堆積発酵期間も30日〜90日と比較的短くてよい。マルチング資材として、敷料に使用した解砕チップのみ、あるいはこれに解砕チップを加えて水分量を調節して堆積発酵させた場合は、解砕チップに由来する成分がマルチング資材としては細かすぎるため、降雨などによって泥状化し、容易に流亡したり、飛来した雑草種子が発芽しやすい環境を作るなどの問題がある。これに対し上記のような解体チップを混合して堆積発酵処理したものは、得られるマルチング資材の空隙率が高まり、透水性がよい。このため降雨によって泥状化し難く、流亡し難い。また、マルチング資材表面が乾燥し易いため雑草種子が飛来してきてもその種子は発芽し難い。また、重量のある粗い解体チップが敷き詰められたマルチング資材表面に存在するため、通常の風では飛散せず、マルチング資材の機能を充分に発揮できる。
【0019】また、上記解砕チップは、家畜糞尿、おがくずからなる使用済み敷料の堆積発酵にあたっての堆積発酵助剤としても有用である。家畜糞尿のみでは含水率が高く、含水率を適度にしても通気性に劣るため、堆積発酵処理が困難である。また、おがくず系使用済み敷料もそれのみでは堆積発酵処理が困難である。これに対し、家畜糞尿や、おがくず系使用済み敷料に上記の解砕チップを加えると堆積も容易となり、発酵も可能となる。これに対し、敷料として未使用のおがくずを堆積発酵助剤として用いた場合は、解砕チップを用いた場合に較べ、より大量のおがくずを用いないと、同様の堆積しやすさ、発酵しやすさは得られない。解砕チップの堆積発酵助剤としての使用量は、家畜糞尿に対して15〜25容量%とすることが好ましく、おがくず系使用済み敷料に対しては5〜15容量%とすることが好ましい。
【0020】
【実施例】以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。以下の実施例においては、解砕チップとしては、新築住宅用木材の端材及び/又は解体住宅木質廃材からなる木質材料を破砕して得られる解体チップを解砕し、得られた解砕物を目通り2〜10mmに篩別して得られた、木質の細長い細桿状物や繊維状物からなり、嵩密度147.6g/lの解砕チップ(含水率10%)を用いた。なお、実施例の結果を示す表において、−:不良、+:普通、++:良好 を示す。
(実施例1)家畜糞尿として牛糞(含水率90%)を用い、これと、おがくずを用いた使用済み豚舎表面敷料で、含水量90重量%に調製して混練したものを試料として用いた。また、解砕チップ(含水率10%)と、同様の木質材料を用いて得たおがくず(含水率25%、嵩密度176.4g/l)を準備し、これらをそれぞれ上記試料に表1に記載の比率で添加混合して、混合物の含水率を求め、更に堆積発酵処理を30日間行い、堆積し易さ、発酵状況を調べた。その結果を表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】表1から明らかなように、牛糞、おがくず豚舎表面敷料とも、単独では堆積し難く、発酵処理を実施できなかったが、いずれも解砕チップを5%v/v添加することで堆積も可能となり発酵が可能であった。牛糞の場合は15〜25v/v%、おがくず豚舎表面敷料の場合は5〜15%v/v解砕チップを添加すると発酵に最適となった。これに対して、おがくず添加の例では、牛糞の場合は15%以下では発酵が充分には進まず、25%以上の添加で最適となった。また、おがくず豚舎表面敷料の場合は、5%添加で一応発酵はするが、同量の解砕チップを用いた場合に比較すると発酵状況は悪かった。この結果から、本発明の解砕チップからなる堆積発酵助剤を用いると、おがくずを用いた場合に較べて、添加量が少なくても発酵に適した条件となることがわかる。これは、おがくずに較べて解砕チップの含水率が低いこと、粒径の粗いもの、繊維状、細桿状のものを含有するため堆積しやすく高い空隙率など、発酵に適した物理的環境が得られたためと判断される。
【0023】(実施例2)実施例1で用いたと同様の牛糞に本発明の解砕チップからなる堆積発酵助剤とおがくずをそれぞれ15%v/v添加混合したものの含水率の変化を2ヶ月半にわたって追跡調査した。なお、両者の違いを明瞭にするため、おがくず混合系については、その含水率を解砕チップ混合系と同じ77重量%に調整したものを用いた。その結果を表2に示す。
【表2】

表2から、解砕チップ系の方が含水率の低下が早いことがわかる。これは、解砕チップ系の方でより発酵が促進されたこと、通気性が良いため発酵に伴う水分蒸発が多かったためと思われる。この結果、堆積発酵処理したものを敷料として利用する場合、おがくずを用いた場合より、解砕チップを用いた方が堆積発酵処理期間を短縮できることがわかる。
【0024】(実施例3)実施例1で用いたと同様の牛糞に本発明の解砕チップからなる堆積発酵助剤またはおがくずを25%添加混合して、適当な間隔で切り返しを行いながら通常の堆肥製造方法で2ヶ月堆積発酵処理したものを火山灰土壌(茨城県つくば市)に30%v/v混合し、土壌の理化学性を調査した。その結果を表3に示す。
【表3】

表3から明らかなように、解砕チップ混合系堆肥を添加した方が腐植含有量が高くなった。これは、解砕チップ混合系の方が堆肥化が促進されており、堆肥化過程で生成する腐植の含有量が高くなったためと思われる。また、解砕チップ混合系堆肥を添加した方が透水性が高く、土壌の空隙率が高くなり、その結果として膨軟性が向上した。これは解砕チップの物理的形状に起因するものと思われる。以上の結果から、本発明で用いる解砕チップを用いて得られた堆肥は通常敷料として用いられているおがくずを用いた堆肥よりも土壌改良効果が高いことが明らかである。実施例1乃至3の結果から、解砕チップを用いた堆積発酵助剤はおがくずに較べて助剤として優れていることが分かる。また、表1〜3の、牛糞に解砕チップを混合したものは、使用済み敷料と同等であり、本発明の堆積発酵方法の有用性を示すデータにもなっている。
【0025】(実施例4)使用済み敷料のモデルとして、牛糞(含水率90%)及びこれに解砕チップ(含水率10%)、おがくず(含水率25%)を表4に記載の割合で混合したものをそれぞれ小規模に堆積し、水分調整、切り返しを行いながら60日間堆積発酵処理して法面用植生基盤材を作成した。得られた植生基盤材の電気伝導度(EC)を測定した。また、これらの植生基盤材をそれぞれ育苗トレイに充填し、ケンタッキーブルーグラスの種子を播種し、発芽率、発芽後の生育状況、生理障害の有無について観察した。また、粘着剤として、ルコナゾール1g/リットルをそれぞれの植生基盤材に混合した後にそれぞれトレイに圧充して48時間室内に放置し、固化強度として、ひび割れし難さ、ほぐれ難さ、散水による崩れ難さ等を総合的に三段階評価した。その結果を表4に示す。
【0026】
【表4】

【0027】牛糞のみではECが高く、この結果、植物の発芽や生育が抑制された。解砕チップの混合量が多くなるほどECが低下し、解砕チップ混合率30%以上では発芽、生育ともほとんど問題は見られなかった。しかし解砕チップ90%では逆に窒素が欠乏し、生育不良となった。固化強度は解砕チップが多いほど良好となり、添加率が少ない場合、ひび割れが見られたり、散水時に崩れが起きたりした。おがくずを添加した場合は、50%添加したものでもひび割れが見られ、散水によって崩れやすかった。以上の結果から、牛糞に解砕チップを30〜70%混合して堆積発酵処理して得られるものは、法面吹き付け用の植生基盤材として有用であることがわかる。
【0028】(実施例5)使用済み敷料のモデルとして、牛糞(含水率90%)に解砕チップ(含水率10%)を20%混合したものを用い、これに、木質端材や廃材を適切なサイズにカットし、破砕機等で砕いて得た解体チップ(チップ形状:棒状、板状等種々の形状のものを含み、長さ50mm以下20mm以上、太さ10mm以下の木片を表5に記載の割合で混合したものを小規模に堆積し、水分調整、切り返しを行いながら、60日間堆積発酵処理を行い、マルチング資材を作成した。作成したマルチング資材をそれぞれ火山灰土壌(EC:0.1dS/m)の上に厚さ5cmに敷き詰め、マルチングとしての性能を評価した。その結果を表5に示す。
【0029】
【表5】

【0030】解体チップ混合率が30%未満では、散水したときに流亡し易く、また、乾燥時に微塵が風で飛散し易かった。また、解体チップの添加率が70%より多いと、保湿性や保温性が劣り、ECが設置前と変わらず、マルチング資材による土壌への養分供給がほとんど期待できないことがわかった。このことから、マルチング資材として利用するためには解体チップを30〜70%添加することが適当と思われる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、新築住宅用木材端材や解体住宅木質廃材等を解砕し、目通り2〜10mmに篩別して解砕チップとし、これを家畜飼育用の家畜敷料として用いることで、従来投棄あるいは焼却されていたものを有効活用でき、更に、使用後の敷料は家畜糞尿を含むことから、従来、そのままでは堆積発酵が進みにくかった木質材料を容易に堆積発酵することが可能となり、使用済み家畜敷料に水分調整剤として解砕チップを混合して堆積発酵したものは、再度家畜敷料として活用できる。また、再度家畜敷料として使用しない上記堆積発酵物は更に堆積発酵を続けることにより、土壌改良材として使用可能であり、また、上記堆積発酵物はより多くの解砕チップを加えて堆積発酵することにより、法面吹き付け用植生基盤材として活用でき、また、解体チップを加えてマルチング資材として活用できる。
【0032】また、上記解砕チップは家畜敷料として用いない場合でも、家畜糞尿あるいはおがくず系使用済み敷料の堆積発酵にあたって水分調整剤としての効果のみならず、透水性、空隙率を向上させ、より短期間で堆積発酵を行うことができることから有用な堆積発酵助剤となる。このように、本発明によれば、従来投棄あるいは焼却していた新築住宅用木材端材及び/又は解体住宅木質廃材を、家畜用敷料として活用し、更に、使用済み家畜敷料も堆積発酵することにより再度有効活用し、更に土壌改良材、法面吹き付け用植生基盤材、マルチング資材として二次、三次の資源活用ができるという特徴を有する。
【出願人】 【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
【出願日】 平成13年3月14日(2001.3.14)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2002−262690(P2002−262690A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−72859(P2001−72859)