| 【発明の名称】 |
魚介類採取具 |
| 【発明者】 |
【氏名】飯村 薫
【氏名】尾崎 潤二
|
| 【要約】 |
【課題】ボルトを使用せずに爪本体の下端に爪先部を着脱可能に固定することができ、爪先部を延伸して長期間使用できるようにする。
【解決手段】金属製弾性線材より成る複数の熊手状の爪本体12を備えた魚介類採取具において、爪本体12の先端部17を嵌合させる嵌合溝18が上部の一面側に形成され挿入孔22が下端21側から内部へ向けて設けられたアダプタ13と、上部が挿入孔22に挿入される爪先部14と、アダプタ13の上部に打ち込まれて爪本体12の先端部17とアダプタ13の上部とを固定する上部固定具15と、アダプタ13の挿入孔22の壁面と爪先部14の上部との間に介挿されアダプタ13の下部と爪先部14の上部とを固定する下部固定具16とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製弾性線材より成る複数の熊手状の爪本体を備えた魚介類採取具において、爪本体の先端部を嵌合させる嵌合溝が上部の一面側に形成され挿入孔が下端側から内部へ向けて設けられたアダプタと、上部が前記挿入孔に挿入される爪先部と、前記アダプタの上部に打ち込まれて爪本体の先端部とアダプタの上部とを固定する上部固定具と、前記アダプタの挿入孔の壁面と爪先部の上部との間に介挿されアダプタの下部と爪先部の上部とを固定する下部固定具と、を備えたことを特徴とする魚介類採取具。 【請求項2】 下部固定具に係合突部が突設され、爪先部の上部には前記係合突部が嵌入する複数の係合凹部が上下方向に間隔をあけて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚介類採取具。 【請求項3】 下部固定具の中間一側にはアダプタの下端に接する係止突部が突設され、アダプタの挿入孔の壁面と爪先部の上部との間に介挿された下部固定具は爪先部を挿入孔の壁面に押圧する弾性を備えていることを特徴とする請求項1に記載の魚介類採取具。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ホタテ貝等を採取する魚介類採取具に関するものである。 【0002】 【従来の技術】海底下3cm程の所に生息しているホタテ貝等を漁獲する道具として、八尺と呼ばれる大きな熊手状の魚介類採取具が古くから使われていて、この八尺で海底を引摺りながら八尺の後方に付いている爪でホタテ貝等を掻き起こして採取しており、その爪としては各種の大きさ、形状のものが使用されている。 【0003】図11は、このような従来から使われている魚介類採取具の一例の斜視図であって、八尺1の後部には、金属製弾性線材より成る一定長さの多数の爪本体2が熊手状に一列に並べて固定されており、八尺1を矢印で示すように前方へ引摺ることにより、爪本体2の先端部が海底を引掻いてホタテ貝等を採取するものである。 【0004】ところが図11に示す爪本体2は使用によって先端から摩耗するので、爪本体2の先端部を途中からガスで切断し、新しい爪本体2の先端部を溶接して再生することが行われていたが、繰り返して爪本体2の先端部を溶接して再生すると溶接部が脆弱化し、使用中の衝撃によって溶接部からの折損脱落により爪本体2の間隔が開いて漁獲効率が低下し、また折損脱落した箇所の修理に費用がかかっていた。 【0005】そこで図12に示すように爪本体2の先端部前側に爪先カバー3を着脱可能に取り付けることが行われるようになった。図12に示す爪先カバー3は、先端後部にブロック状の突起部4を突設し、中間部には後方へ向けて2枚の板5を互いに平行するように設けたものであり、爪本体2の下端部近くには後方へ向けて張り出す凸曲線状に曲げた屈曲部6を形成しておく。そして爪本体2の引摺られる方向となる前方から2枚の板5の間に爪本体2の屈曲部6を嵌め込んで爪本体2の下端を突起部4に当接し、2枚の板5の外側間の寸法に相当する長さのパイプ7を板5に穿設した孔に嵌め込み、このパイプ7に針金8を通して巻き付け、爪本体2の下端前部に爪先カバー3を固定する。使用時に爪本体2の下端部は爪先カバー3と共に海底に差し込まれ、前方へ引摺られて移動すると、爪先カバー3が海底の砂等を掻き分けることになるため専ら爪先カバー3が摩耗し、爪本体2は殆ど摩耗しなくなる。爪先カバー3が摩耗限度に達した際には、針金8をパイプ7から取り除いて摩耗した爪先カバー3を爪本体2から外し、新品の爪先カバー3と交換していた。 【0006】さらに従来は、図13に示すように爪本体2の下端にパイプ9を嵌め、パイプ9の下端側から丸棒10を差し込んでパイプ9にねじ込んだ複数のボルト11で爪本体2の下端と丸棒10の上端とをパイプ9に固定し、爪本体2の下端延長上に丸棒10を接続した状態にして丸棒10が摩耗するようにし、丸棒10が摩耗限度に達した際には丸棒10を新品と交換することも行われていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図12に示した魚介類採取具では、爪先カバー3を爪本体2の下端部にガタが生じないように固定することができないため、魚介類採取具の使用中に爪先カバー3がカタカタ動いて脱落あるいは紛失しないか不安であり、さらに爪先カバー3を新品のものに交換する際、針金8をパイプ7から取り除く作業が困難で手間がかかる問題があった。 【0008】また図13に示した魚介類採取具では、パイプ9にねじ込んだボルト11は、海底の砂の中に入るためねじ部に砂がこびりついたり錆が発生して取り外すことが不能になる問題があった。 【0009】本発明はこのような問題を解決するため、針金やボルトを使用せずに爪本体の下端に爪先カバーを着脱可能に固定することができるようにした魚介類採取具を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、金属製弾性線材より成る複数の熊手状の爪本体を備えた魚介類採取具において、爪本体の先端部を嵌合させる嵌合溝が上部の一面側に形成され挿入孔が下端側から内部へ向けて設けられたアダプタと、上部が前記挿入孔に挿入される爪先部と、前記アダプタの上部に打ち込まれて爪本体の先端部とアダプタの上部とを固定する上部固定具と、前記アダプタの挿入孔の壁面と爪先部の上部との間に介挿されアダプタの下部と爪先部の上部とを固定する下部固定具と、を備えたことを特徴とする魚介類採取具に係るもので、上部固定具及び下部固定具は衝撃を加えることにより着脱することができ、ボルトを使用せずに爪先部を爪本体の下端に取り付けることが可能になる。 【0011】請求項2の発明は、下部固定具に係合突部が突設され、爪先部の上部には前記係合突部が嵌入する複数の係合凹部が上下方向に間隔をあけて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚介類採取具に係るもので、爪先部の上部の複数の係合凹部のいずれかに下部固定具の係合突部を嵌め変えることにより、アダプタからの爪先部の露出長さを変えることが可能である。 【0012】請求項3の発明は、下部固定具の中間一側にはアダプタの下端に接する係止突部が突設され、アダプタの挿入孔の壁面と爪先部の上部との間に介挿された下部固定具は爪先部を挿入孔の壁面に押圧する弾性を備えていることを特徴とする請求項1に記載の魚介類採取具に係るもので、爪先部は下部固定具によりアダプタへ強固に取り付けられるようになる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。 【0014】図1は本発明の実施形態の一例を示す縦断側面図であって、爪本体12と、爪本体12の先端部を嵌合するアダプタ13と、アダプタ13の下部に挿入される爪先部14と、爪本体12の先端部とアダプタ13の上部とを固定する上部固定具15と、アダプタ13の下部と爪先部14の上部とを固定する下部固定具16とによって構成されるものであり、それらの詳細な構造を次に説明する。 【0015】爪本体12は金属製弾性線材より成るもので、図11に示した従来の爪本体2と同様に、複数本を八尺1の後部に熊手状に一列に並べて固定されるものであって、図1においては爪本体12の先端部17のみを示している。この爪本体12の先端部17は、図2にも示すように後部下方へ向けて斜めに屈曲されている。 【0016】図3はアダプタ13の実施形態の一例を示す側面図、図4は図3の縦断面図、図5は図4をV方向から見た背面図、図6は図4のVI−VI断面図であって、アダプタ13の後部側(図4、図6の左側)の面には、上部から中程下部に亙って図4ないし図6に示すように嵌合溝18が形成されている。嵌合溝18は図2に示した爪本体12の先端部17を嵌合するもので、図5に示すように嵌合溝18の幅は、爪本体12の先端部17(図1、図2参照)を密に嵌合するのに適する一定幅の寸法になっており、嵌合溝18の中間には、爪本体12の先端部17の屈曲されている傾斜(図2参照)に一致する傾斜面19が図4に示すように設けられている。そしてこの傾斜面19と向き合うように、アダプタ13の上部には円形の貫通孔20(図3、図4参照)が穿設されている。 【0017】更にアダプタ13の下端21からは、上方へ向けて挿入孔22(図4、図6参照)が形成されている。挿入孔22の前部壁面(図4の右側)は真っ直ぐな壁面になっているが、挿入孔22の後部壁面(図4の左側)の途中には下向段部23が形成され、アダプタ13の下端21後部側には、図2、図4に示すように傾斜溝24が設けられている。 【0018】図7は爪先部14の実施形態の一例を示す側面図であって、爪先部14は耐摩耗性金属で作られた丸棒で、その上部はアダプタ13の挿入孔22(図1、図4、図6参照)に密に挿入される直径になっている。そして爪先部14の上部一側には、上下方向に間隔をあけて、複数の係合凹部25が形成されている。 【0019】後述する下部固定具16の係止突部28と該係合凹部25との嵌合部の互いの形状は、爪先部14が下からの突きあげ力に充分耐える様互いに水平面で接する様に設計される事が望ましい。 【0020】図8は下部固定具16の実施形態の一例を示す斜視図であって、下部固定具16の前部には、上述した爪先部12の係合凹部25に嵌入するのに適合する形状の係合突部26が突設され、後部の上半分には凹陥部27が形成されていて、凹陥部27の下端には後方へ向けた係止突部28が形成されており、係止突部28の下方は前方へ向けた傾斜面29で先細りの形状に作られている。そして凹陥部27の前面にはゴム30が接着されていて、ゴム30の上方から後部に亘っては、屈曲した形状のステンレス板31が接着されている。 【0021】図9、図10はそれぞれ上部固定具15の実施形態の一例を示す斜視図であって両者を組合わせて使用するものであり、図9の上部固定具15はU字状の線ばね32より成り、U字状に曲げた上部33と下端部34とは、それぞれ後方へ向けて斜めに屈曲されている。図10の上部固定具15は、中間が大径で両端が小径の偏心ピン35である。次に、爪本体12の先端部に対して、アダプタ13、爪先部14等を装着する手順を説明する。 【0022】最初に、爪本体12の先端部17(図1、図2参照)をアダプタ13の嵌合溝18(図1、図4参照)に上方から嵌合し、爪本体12の先端部17を図1に示すように嵌合溝18中間の傾斜面19に沿わせる。そしてアダプタ13上部の貫通孔20(図3、図4参照)に図10の偏心ピン35を嵌め込み、爪本体12と偏心ピン35との間に線ばね32の下端部34(図9参照)を図1に示すように差し込んで、線ばね32のU字状に曲げた上部33をハンマーで叩き込むと、線ばね32と偏心ピン35とは協同して上部固定具15になり、爪本体12の先端部17をアダプタ13上部の嵌合溝18内に固定する。 【0023】次に、図8に示す下部固定具16の係合突部26を図7に示す爪先部14の複数の係合凹部25のうちの例えば上から2番目の係合凹部25に係合した状態にして、下部固定具16を爪先部14の上部に沿わせ、爪先部14と下部固定具16とを組合わせた状態でアダプタ13の下端21から挿入孔22に挿入し、爪先部14をハンマーで叩くと、爪先部14及び下部固定具16は挿入孔22内に叩き込まれて、図1に示すように下部固定具16の上部は挿入孔22の後部壁面に形成されている下向段部23の位置に達すると共に、下部固定具16の係止突部28はアダプタ13の下端21に密接した状態になり、ゴム30の弾性でアダプタ13のステンレス板31の凸部とアダプタ13の凹部23’とが嵌合し爪先部14の上部とを固定する。 【0024】これによって爪本体12の先端部17には、アダプタ13を介して爪先部14の上部が固定され、しかも下部固定具16の上部は、ゴム30の弾性によって爪先部14を挿入孔22の前部壁面(図1の右側)に常に押圧する状態になっている。 【0025】このように先端部17に爪先部14を固定した爪本体12を、図11に示した従来の爪本体2と同様に複数本を八尺1の後部に熊手状に一列に並べて固定し、ホタテ貝等の採取作業を行うと、主として爪先部14が海底を引掻いてホタテ貝等を採取して、爪先部14が摩耗するようになる。 【0026】爪先部14が摩耗して短くなった場合には、マイナス捩子用のドライバ先端をアダプタ13の後部側下端21の傾斜溝24に差し込んで下部固定具16の係止突部28の上面に当て、ドライバの基端をハンマーで叩くと、下部固定具16及び爪先部14は、アダプタ13の挿入孔22から抜け出るようになる。 【0027】下部固定具16及び爪先部14を挿入孔22から取り出した後、下部固定具16の係合突部26を爪先部14の例えば上から2番目の係合凹部25から外し、係合突部26を爪先部14の最上部の係合凹部25に係合した状態とし(図1の状態)、再び爪先部14と下部固定具16とを組合わせた状態でアダプタ13の下端21から挿入孔22に挿入し、爪先部14をハンマーで叩いてアダプタ13の下部と爪先部14の上部とを固定すると、爪先部14は今までよりもアダプタ13の下部から突出した状態になり、効率の良い状態になってホタテ貝等を採取することができる。 【0028】アダプタ13を爪本体12の先端部17から取り外す時には、線ばね32のU字状に曲げた上部33(図9参照)に下側からマイナス捩子用のドライバ先端を当て、ドライバ先端を上方に向けた状態にしてドライバの基端をハンマーで叩くと、線ばね32は偏心ピン35と爪本体12との間から抜け出すようになる。そして偏心ピン35をアダプタ13から外すと、アダプタ13を爪本体12の先端部17から取り外すことができる。 【0029】 【発明の効果】請求項1の発明は、上部固定具及び下部固定具は衝撃を加えることにより着脱することができ、ボルトを使用せずに爪先部を爪本体の下端に取り付けることができ、ボルトを使用した場合の砂や錆に起因する取換え不能を解消できる効果がある。 【0030】請求項2の発明は、爪先部の上部の複数の係合凹部のいずれかに下部固定具の係合突部を嵌め変えることにより、アダプタからの爪先部の露出長さを変えて爪先部を長期間にわたって使用でき、経済的になる効果がある。 【0031】請求項3の発明は、固定具の下部が爪先部を挿入孔の壁面に押圧する弾性を備えているため、爪先部は下部固定具によりアダプタへ強固に取り付けられて使用中にがたつかない効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000176833 【氏名又は名称】三菱製鋼株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年3月1日(2001.3.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078994 【弁理士】 【氏名又は名称】小松 秀岳 (外4名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−253086(P2002−253086A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月10日(2002.9.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−57268(P2001−57268) |
|