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【発明の名称】 中通し竿
【発明者】 【氏名】松本 聖比古

【氏名】南 俊行

【要約】 【課題】貫通孔から水が排出され易く、釣糸の巻き取りや送り出し時における操作性の良好な中通し竿を提供する。

【解決手段】内側に釣糸を挿通させる竿本体を備え、該竿本体に、内側に進入した水を外側に排出可能な貫通孔が設けられてなる中通し竿であって、前記貫通孔の少なくとも内周面には、親水性領域が設けられてなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内側に釣糸(L)を挿通させる竿本体(1)を備え、該竿本体(1)に、内側に進入した水を外側に排出可能な貫通孔(2)が設けられてなる中通し竿であって、前記貫通孔(2)の少なくとも内周面(20)には、親水性領域(15)が設けられてなることを特徴とする中通し竿。
【請求項2】 前記親水性領域(15)は、親水性塗料が塗布されて形成されている請求項1記載の中通し竿。
【請求項3】 前記貫通孔(2)が尻栓(6)に設けられ、該貫通孔(2)の内周面(20)に前記親水性領域(15)が設けられてなる請求項1又は2記載の中通し竿。
【請求項4】 前記貫通孔(2)がトップガイド(4)に設けられ、該貫通孔(2)の内周面(20)に前記親水性領域(15)が設けられてなる請求項1乃至3の何れかに記載の中通し竿。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内側に釣糸を挿通させる竿本体を備えた中通し竿に関し、詳しくは、該竿本体に、内側に進入した水を外側に排出可能な貫通孔が設けられてなる中通し竿に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、竿管等からなる竿本体の内側に釣糸を挿通させるタイプの所謂中通し竿が使用されている。この中通し竿は、竿管の外側において釣糸を通すガイドが設けられた通常の釣竿に比べて、ガイドへの釣糸の絡みが少なく、釣竿の操作性に優れているという利点を有している。
【0003】ところで、中通し竿は、このような利点を有する一方で、水中に浸っていた釣糸を巻き取る際に、該釣糸が水滴を竿本体内に持ち込んで、竿本体内に水が進入することが多く、このように竿本体内に水が進入した場合には、進入した水の抵抗によって、内側に挿通した釣糸の巻き取りや送り出しをスムーズに行うことができない虞がある。従って、従来、内側の水を外側に排出すべく、トップガイド、竿管、尻栓等の竿本体の所望箇所に貫通孔が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の中通し竿では、水の表面張力のためか、内側に進入した水が水滴状に集まって貫通孔を通過しようとする際に、スムーズに通過せず、貫通孔の内周面に付着したり、該貫通孔を閉塞したりする場合等があり、水が外側に排出され難く、結局、釣糸の巻き取りや送り出しをスムーズに行うことが困難であるという問題点、即ち、釣糸の巻き取りや送り出し時における操作性が悪いという問題点を有していた。
【0005】そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、貫通孔から水が排出され易く、釣糸の巻き取りや送り出し時における操作性の良好な中通し竿を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、本発明に係る中通し竿は、内側に釣糸を挿通させる竿本体を備え、該竿本体に、内側に進入した水を外側に排出可能な貫通孔が設けられてなる中通し竿であって、前記貫通孔の少なくとも内周面には、親水性領域が設けられてなることを特徴とする。本発明に係る中通し竿においては、貫通孔の内周面に親水性領域が設けられてなるので、内側に進入した水が貫通孔を通過しようとする際に、水は該内周面に薄く広がって、該内周面に沿って滝の様に流れることとなり、該水が該内周面に付着したり、貫通孔を閉塞したりすることが抑制され、内側の水が外側に排出され易いという利点を有する。
【0007】尚、本発明において、親水性領域とは、液適法による水との接触角が80度以下、好ましくは、60度以下である領域を意味するものである。親水性領域を形成する親水処理方法としては、表面を粗面化する処理方法や、表面に親水性塗料を塗布する処理方法等を採用することができる。表面を疎水化する処理方法としては、例えば、サンドブラスト処理、バレル研磨処理、ホーニング処理、コロナ放電処理、プラズマ処理及び火花処理等の物理的処理方法や、酸、アルカリを用いた処理等の化学的処理方法を挙げることができる。また、表面に親水性塗料を塗布する場合、用いる親水性塗料としては、例えば、界面活性剤や金属塗料を用いることができる。界面活性剤を用いる場合として、具体的には、界面活性剤を公知の方法で固定させる処理方法を採用でき、金属塗料を用いる場合としては、金、銀メッキ処理を施したり、酸化金属被膜を蒸着処理すること等を挙げることができる。
【0008】本発明においては、前記貫通孔が尻栓に設けられ、該貫通孔の内周面に前記親水性領域が設けられてなるものが好ましい。斯かる構成からなる中通し竿においては、釣竿を立てることにより、竿本体の内側にある水を尻栓のある竿尻側に流れ落とし、尻栓に設けられた貫通孔から内側の水を外側に容易に排出させることができるため、内部にある水をより容易に排出することができるという利点を有する。
【0009】また、本発明においては、前記貫通孔がトップガイドに設けられ、該貫通孔の内周面に前記親水性領域が設けられてなるものが好ましい。斯かる構成を採用することにより、巻き上げられた釣糸に水が付着していても、該水は先ずトップガイド内に進入し、該トップガイドにおいて排出され易く、竿管内にまで多量の水が進入し難く、釣糸の巻き取り時等における操作性の阻害される虞が少ないものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1(イ)は、本実施形態の中通し竿を示す一部破断を含む側面図であり、(ロ)は、(イ)の破断部を示す要部拡大図である。本実施形態の中通し竿は、内側に釣糸Lを挿通させる竿本体1を備えて構成されている。この竿本体1は、図1に示すように、振り出し式に構成されてなり、竿尻側の元竿管10と、該元竿管10の穂先側に振り出し式に連結された中竿管11と、該中竿管11の穂先側に振り出し式に連結された穂先竿管12と、該穂先竿管12の穂先端部に設けられたトップガイド4と、前記元竿管10の竿尻端部に設けられた尻栓6とを備えて構成されている。前記元竿管10には、上方側において、リール5を装着するためのリールシート9が備えられている。図1においては、該リールシート9を介してリール5が装着された状態が示されている。
【0011】更に、前記元竿管10には、軸方向における中間部上方において、リール5からの釣糸Lを元竿管10内に導入するための釣糸導入部19が備えられ、該釣糸導入部19において、元竿管10の内側と外側を連通し且つリール5から釣糸Lを挿通させる貫通孔2が設けられている。尚、図1においては、釣糸導入部19が元竿管10の上側において膨出するように形成され、該釣糸導入部19に貫通孔2が設けられているが、例えば、元竿管10の管状の本体部分であってリールシート9の穂先側を釣糸導入部19とし、該釣糸導入部19、即ち、管状の本体部分に直接貫通孔2が設けられていてもよい。この釣糸導入部19に設けられた貫通孔2の内周面の全域には、金又は銀等を含有する金属塗料が塗布されて親水性領域15が形成されている。そして、前記竿本体1には、釣糸導入部19の貫通孔2からトップガイド4の先端まで、内側において軸方向に沿った釣糸案内経路Aが形成されている。図1(ロ)に示すように、釣糸案内経路Aには、軸方向に所定の間隔を空けて、釣糸案内リング等の釣糸案内凸部16が設けられている。これらの釣糸案内凸部16は、各竿管の内周面よりも中心側(軸心側)に突出した状態となっている。従って、竿本体1内を通る釣糸Lは、該釣糸案内凸部16上を通ることになる。そして、この釣糸案内凸部16上を通ることにより、竿本体1の内周面と釣糸Lとの接触機会が減少すると共に、該内周面に付着した水滴等に釣糸Lが接触する虞も減少することから、巻き取り時や送り出し時における釣糸Lの摺動抵抗、即ち、釣糸Lが竿本体1内を摺動する際の抵抗が低減されている。リール5から出た釣糸Lは、図1に示すように、釣糸導入部19の貫通孔2から内側に導入され、釣糸案内経路Aを挿通して穂先端部に備えられたトップガイド4の先端から導出されている。
【0012】図2に示すように、前記トップガイド4は、前端側が末広がりとなる筒状のトップガイド本体4aを備え、元竿管10、中竿管11、穂先竿管12と共に一つの釣糸案内経路Aを構成している。このトップガイド本体4aには、前端側の開口端部に沿って、釣糸案内凸部16が設けられ、更に、それよりも後方側には、前方側の釣糸案内凸部16よりも小型の釣糸案内凸部16が略同軸状に設けられている。斯かるトップガイド4は、その後端側において穂先竿の先端側に外嵌装着されて、竿本体1の穂先部分を構成している。
【0013】尚、トップガイド本体4aに設けられた釣糸案内凸部16は、共に、トップガイド本体4aの内周面よりも中心側に突出した状態となっている。従って、リールで釣糸Lを巻き取る際には、釣糸Lは、それらの釣糸案内凸部16に摺動し、トップガイド本体4aの内周面には接触せずに巻き取られる。
【0014】また、前記トップガイド本体4aには、下方側で且つ前後に設けられた釣糸案内凸部16の間の部分において、釣糸Lに付着した水を排出可能で且つ内側と外側を連通する貫通孔2が設けられている。更に、その貫通孔2の内周面20の全域及び竿本体1の内側であって貫通孔2の周縁部21(例えば、周縁から約2cmまで)には、金又は銀等を含有する金属塗料が塗布されてなる親水性領域15が形成されている。尚、貫通孔2の周縁部21における親水性領域15は、貫通孔2の内周面20に形成され親水性領域15に連続するように形成されている。
【0015】図3は、前記元竿管10の竿尻端部及び前記尻栓6を軸心方向に沿って切断した断面図である。図3に示すように、前記元竿管10の竿尻端部には、内周面において雌ネジ山25が螺刻されなる。前記尻栓6は、合成樹脂等で成形されてなり、元竿管10の竿尻端部を略閉塞可能な基体部6aと該基体部6aに一体的に設けられ且つ外周面において雄ネジ山24が螺刻された筒状部6bを備えて構成されている。そして、この尻栓6は、前記筒状部6bが元竿管10の竿尻端部に螺入されることにより、前記元竿管10の竿尻端部に取り付けられている。
【0016】前記基体部6aの内側面は、中心部に向けてなだらかに湾曲し且つ竿尻側に傾斜する傾斜面となっており、更に、中心部には、竿本体1の内側と外側とを連通する貫通孔2が該基体部6aの中心軸に沿って設けられている。この貫通孔2は、竿尻方向(即ち外側)に向けて縮径するテーパー状に形成されている。さらに、この貫通孔2のテーパー状の内周面及び竿本体1の内側であって貫通孔2の周縁部21(前記傾斜面)に、金又は銀等を含有する金属塗料が塗布されて親水性領域15が形成されている。尚、貫通孔2の周縁部21における親水性領域15は、貫通孔2の内周面20に設けられた親水性領域15に連続するように設けられている。
【0017】このように、本実施形態において、尻栓6に設けられた貫通孔2は、テーパー状に形成されてなり、しかも、内周面20及び周縁部21に親水性領域15が形成されてなるので、釣竿を立てるのみで、内側に進入した水を集めて、該貫通孔2から効率良く排出することができると共に、テーパー状であるが故、水を排出する排出効率の割に、尻栓6の後端縁(竿尻側端縁)の孔径が小さくてすみ、竿尻を地面に接地させた場合における該貫通孔2からの砂等の進入が少ないという利点を有する。
【0018】また、本実施形態においては、竿本体1の内側であって貫通孔2の周縁部21にも親水性領域15が形成され、該親水性領域15が、貫通孔2の内周面20に形成された親水性領域15に連続するように形成されてなるので、貫通孔2の周縁部21にある水は、該周縁部21の親水性領域15に誘導されるように、貫通孔2の内周面20に移動し易く、より効率良く、内側の水を排出することができるという利点を有する。
【0019】尚、本実施形態の中通し竿は、上記の如く構成されたが、本発明においては、本実施形態に限定されず、適宜設計変更可能である。例えば、上記実施形態において、貫通孔2は、トップガイド4、尻栓6及び元竿管10の釣糸導入部19に設けられ、該貫通孔2の内周面20に親水性領域15が形成されたが、本発明において、内周面20に親水性領域15の形成される貫通孔2は、斯かる部位に限定されず、例えば、図4に示すように、釣糸案内凸部16の周縁部27に穿設される場合であっても本発明の意図する範囲内である。竿管内に進入した水は、釣糸案内凸部16の周縁部27に溜まり易いが、斯かる構成を採用することにより、該周縁部27に設けられた貫通孔2から水を外側に容易に排出することができ、該周縁部27に水の溜まる虞が低減され、従って、内側にある水がより一層排出されることから、釣糸Lの巻き取りや送り出し時における操作性のより一層良好な中通し竿となる。
【0020】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る中通し竿は、竿本体に設けられた貫通孔から内側の水が排出されやすく、釣糸の巻き取りや送り出し時における操作性が良好であるという利点を有する。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成13年2月23日(2001.2.23)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇 (外5名)
【公開番号】 特開2002−247934(P2002−247934A)
【公開日】 平成14年9月3日(2002.9.3)
【出願番号】 特願2001−48655(P2001−48655)