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【発明の名称】 魚釣用リール
【発明者】 【氏名】関本 昭夫

【要約】 【課題】逆転防止機構を構成するストッパの支持強度および組み込み精度が向上した状態で、リール本体の支持基板の軽量、薄肉化が容易に図れる魚釣用リールを提供する。

【解決手段】本発明の魚釣用リールは、釣糸の繰り出しで回転するハンドル軸8aにラチェット50を一体的に設けると共に、ラチェット50に係合するストッパ52をフレーム2bに回転可能に支持した逆転防止機構を備えている。そして、ストッパ52の回転を規制する規制体60を、フレーム2bに別体として取り付け固定したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 釣糸の繰り出しで回転する回転体に係止体を一体的に設けると共に、前記係止体の係止部に係合するストッパを支持基板に回転可能に支持した逆転防止機構を備えた魚釣用リールにおいて、前記ストッパの回転を規制する規制体を、前記支持基板に別体として取り付け固定したことを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】 前記規制体は、前記ストッパの支持高さを調整する調整部を有することを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】 前記規制体は、巻取り駆動機構に連動する駆動部材の軸方向規制を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リール本体の側板間に回転自在に支持されたスプールを有する魚釣用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】上記した魚釣用リールは、ハンドルの回転操作をスプールに伝達する駆動機構と、魚が掛かった場合等に、釣糸が巻回されているスプールの不必要な逆回転を防止する逆転防止機構とを備えており、通常、これらの機構は、一方の側板内に収容支持されている。
【0003】前記逆転防止機構として、釣糸の繰り出しに伴って連動回転する回転体に設けられたラチェット歯車に、リール本体に支持されたラチェット爪(ストッパ)を係合させてなる構造が一般的に知られている。この逆転防止機構を構成するストッパは、例えば、実開昭60−131167号に開示されているように、リール本体の支持基板に一体形成された支軸や受部、あるいは回転規制部を介して、所定範囲において回動可能に支持されるよう構成されている。
【0004】ところで、上記逆転防止機構を始めとして、側板内に収容される各種駆動機構の駆動部材は、ハンドルの回転操作や、クラッチ機構の切換操作部材の外部操作等により、側板内で回転又は摺動可能となっており、これによって、巻取り機能、クラッチ機能、逆転防止機能等が実行されるようになっている。
【0005】そして、最近では、上記した各機能の性能の円滑・安定化、信頼性及び耐久性の向上を図るべく、各種駆動部材が支持されるリール本体の支持基板は、切削加工により平面状に形成されて精度アップが図られると共に、軽量化も考慮され、薄肉化される傾向にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、支持基板を切削加工することに伴い、逆転防止機構を構成するストッパは、支持基板に別体の支持ピンを嵌入固定しておき、これに支持される構造になってしまうことから、支持強度が十分に得られず、支持ピンが倒れやすくなったり、ストッパの組み込み精度が向上できない等の問題が生じる。
【0007】また、ストッパや、その回転の規制を行なう規制部は、ラチェット歯車の位置を考慮して、その高さを調整して組み込まなければならないが、この高さを調整する高さ調整部を支持基板に切削加工で一体形成するのは加工上難しく、これによりコスト高になる等の問題が生じる。
【0008】この発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、逆転防止機構を構成するストッパの支持強度および組み込み精度の向上を図ると共に、リール本体の支持基板の軽量、薄肉化が容易に図れる魚釣用リールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した問題を解決するために、本発明の魚釣用リールは、釣糸の繰り出しで回転する回転体に係止体を一体的に設けると共に、前記係止体の係止部に係合するストッパを支持基板に回転可能に支持した逆転防止機構を備えており、前記ストッパの回転を規制する規制体を、前記支持基板に別体として取り付け固定したことを特徴としている。
【0010】上記した構成において、ストッパは、係止体が釣糸巻取り方向に回転した際、これに伴って回転しようとするが、予め支持基板に別体として取り付け固定されている規制体によってその回転が防止される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る魚釣用リールの一実施の形態について、図1〜図6を参照しながら具体的に説明する。なお、これらの図において、図1は、リール本体の断面図(後方から見た図)、図2は、図1のA−A線に沿った断面図、図3は、リール本体の右側板内の主要構成部分を示す図、図4は、逆転防止機構の主要部分を前方から見た部分断面図、図5は、逆転防止機構の主要部分を上方から見た部分断面図、そして、図6は、逆転防止機構を構成するストッパ部分の支持構造を示す分解斜視図である。
【0012】図1に示すように、魚釣用リールのリール本体1は、左右フレーム2a,2bと、これら左右フレーム2a,2bに所定の空間をもって夫々シール材を介して装着される円形状の左右側板3a,3bとを備えている。左右フレーム2a,2bは、複数の支柱(特定の支柱はサムレストとしての機能を有していても良い)を介して一体化されており、その下方支柱4には、釣竿のリールシートに装着されるリール脚4aが取り付けられている。
【0013】また、左右フレーム2a,2b(左右側板3a,3b)間には、スプール軸5が軸受6を介して回転可能に支持されており、このスプール軸5には、釣糸が巻回されるスプール5aが取り付けられている。なお、軸受6は、フレーム部分に配設されていても良いし、側板部分に配設されていても良い。
【0014】スプール5aは、ハンドル8を回転操作することによって回転させることができるように構成されており、ハンドル8は、右側板3bから突出したハンドル軸8aの端部に取り付けられている。なお、ハンドル軸8aは、右フレーム2bに軸受9を介して回転自在に支持されていると共に、右側板との間に介在された転がり式の一方向クラッチ10(逆転防止機構)によって、釣糸巻取方向にのみ回転可能となっている。この場合、ハンドル軸8aは、各種駆動部材の支持基板となる右フレーム2bに形成された有底の穴部2cに挿入された状態で軸受支持されると共に、後述する規制体によって抜け止めされた状態となっている。
【0015】右フレーム2bと右側板3bとの間には、ハンドル8の回転運動をスプール軸5に伝達する駆動力伝達機構と、この駆動力の伝達を継脱するクラッチ機構と、魚釣時にスプール5aから釣糸が繰り出された際、スプール5aにドラグ力を付与するドラグ機構が収容されている。
【0016】前記駆動力伝達機構は、ハンドル軸8aに回転可能に支持された駆動歯車12と、この駆動歯車12に噛合するピニオン13とを備えている。
【0017】ピニオン13は、前記スプール軸5と一体的に延出し、右側板3bに軸受15を介して回転可能に支持されたピニオン軸5bに設けられており、このピニオン軸5bに沿って軸方向に移動可能となっている。また、ピニオン13の外周には、円周溝13aが形成されており、この円周溝に以下に述べるクラッチ機構の作動部材が係合して、ピニオン13を軸方向に移動することによって駆動力が継脱されるようになっている。
【0018】すなわち、ピニオン13の端部には、嵌合部が形成されており、ピニオン13が作動部材によってスプール側に移動されて、その嵌合部がスプール軸の端部に形成されている断面非円形の係合部5cに嵌合することで駆動力伝達状態(クラッチON状態)となり、また、ピニオン13が作動部材によって右側板側に移動されて、嵌合部が係合部5cから外れることで駆動力非伝達状態(クラッチOFF状態)となる。
【0019】前記クラッチ機構は、右フレーム2bに沿って摺動可能に配設されたクラッチ作動プレート20と、このクラッチ作動プレートを駆動するようにリール本体から突出した操作レバー(切換操作部材)30とを有している。
【0020】前記クラッチ作動プレート20は、矢印D1,D2方向に駆動されるようになっており、その表面には、前記ピニオン13の円周溝13aに嵌合した作動部材21と係合可能な一対のカム面22が形成されている。
【0021】作動部材21は、ピニオン13の円周溝13aに略180°に亘って嵌合すると共に、ピニオンを中心として反対方向に延出する一対の腕部を有しており、各腕部の裏面に前記カム面22が係合するようになっている。また、各腕部の先端側は、右フレーム2bに突設された支持ピン25によって保持されており、作動部材21は、各支持ピンに配設されたバネ部材(図示せず)によって、常時、クラッチ作動プレート20側に付勢された状態となっている。なお、図2及び図3は、作動部材21が、バネ部材(図示せず)によってクラッチ作動プレート20側に付勢された状態を示しており、このとき、ピニオン13はスプール軸の端部に形成されている係合部5cに嵌合してクラッチON状態となっている(図1参照)。
【0022】上記したように、クラッチ作動プレート20は、リール本体から突出するレバー状の切換操作部材30によって駆動されるようになっている。この切換操作部材30は、その支軸30aが右側板側から右フレームに向けて挿入、支持されており、その先端には、前記クラッチ作動プレート20に形成された長孔20aに挿入される係合ピン30cを具備した作動体30bが回り止め固定されている。また、この作動体30bには、クラッチ作動プレート20をクラッチON状態/クラッチOFF状態に振分け保持するバネ部材35の一端部が係止されている。
【0023】上記のように構成されたクラッチ機構には、クラッチOFF状態において、ハンドルを巻取り操作した際に、自動的にクラッチ作動プレート20をクラッチON状態の位置に復帰させるクラッチ自動復帰機構が設けられている。
【0024】このクラッチ自動復帰機構は、図2及び図3に示すように、クラッチ作動プレート20の先端部分に、支持部45aを介して回動可能に支持されたキックプレート45と、このキックプレートと右フレーム2bとの間に設けられ、キックプレート45を所定の位置で振分け保持する振分けバネ47とを備えて構成されている。
【0025】この振分けバネ47は、図2に示すクラッチON状態で、キックプレート45を図に示す位置に保持すると共に、クラッチOFF時にクラッチ作動プレート20が矢印D1方向に移動された際、支持部45aを中心として反時計回り方向に回動するキックプレート45を、クラッチ作動プレート20の当て付け部20bに当て付いた位置に保持する。そして、このとき、キックプレート45の先端部45bは、ハンドル軸8aの基端部に固定されたラチェット50に突設されたボス51の回転軌跡内に位置するようになっている。
【0026】また、前記ラチェット50には、ハンドル軸8aが釣糸繰り出し方向に回転した際、それを防止するように、その歯部にストッパ(ラチェット爪)52が係合可能となっている(第2の逆転防止機構を構成する)。
【0027】この第2の逆転防止機構は、ラチェット50(ハンドル軸8a)が、図2において、反時計回り方向に回転した際、ストッパ52を支軸55を中心として時計回り方向に回動させてラチェット50の歯部に噛合せしめ、ラチェットの逆回転を防止するものであり、上述した逆転防止機構(転がり式の一方向クラッチ10)に大きな負荷が掛かって滑りが生じても、それを補完して、ハンドル軸8aの逆回転を確実に防止する機能を有する。
【0028】ここで、第2の逆転防止機構の構成について詳細に説明する。上記ストッパ52は、ラチェット50がハンドル巻取り方向(図2において時計回り方向)に回転した際、ラチェットの回転軌跡から外れ、ラチェット50が釣糸繰り出し方向(図2において反時計回り方向)に回転した際、ラチェットの回転軌跡内に入り込んでラチェットの歯部と噛合し、その回転を防止するように、支持基板となる右フレーム2bに支持されている。
【0029】具体的には、ストッパ52は、右フレーム2b(支持基板)に形成された有底の穴部2dに圧入固定される支軸55に設けられており、詳しくは、この支軸55に回転可能に支持された挟着板バネ53に挟持、保持されている。この挟着板バネ53は、所定間隔をおいて互いに対向する一対の板バネ片53aを有しており、各板バネ片53aの先端は、互いに接近する方向に付勢力を有し、この間隔内にラチェット50を位置させるようになっている。すなわち、ラチェット50は、その両側面の径方向外側部分が、一対の板バネ片53aによって挟持された状態で回転するようになっており、ラチェット50が回転した際、両者の間に生じる摩擦力によって、挟着板バネ53は、支軸55を中心にして回転するようになっている。
【0030】この構成において、挟着板バネ53(ストッパ52)は、右フレーム2bに、ネジやピン等の固定部材60aで別体として、その近傍に取り付け固定される規制体60によって、その回転が規制されるようになっている。
【0031】規制体60は、右フレーム2bと面接した状態で固定されるように板状に構成されており、併せて右フレーム2bに支持される駆動体(ハンドル軸8a)の抜け止め機能(軸方向規制機能)を果たすように構成しておくことが好ましい。すなわち、上述したように、ハンドル軸8aは、フレーム2bに形成されている有底の穴部2cに軸受9を介在させて挿入されるが、規制体60に、この穴部2cよりディメンションの小さい切欠部61を形成しておき、これを穴部2cに位置付けることで、ハンドル軸8aの抜け止め機能を果たすことが可能となる。
【0032】規制体60には、垂直方向に回転規制部62が突出形成されており、図2において、ラチェット50が釣糸巻取り方向に回転して挟着板バネ53が反時計回り方向に回転した際、ストッパ52を当て付けて、その回転を規制するようにしている。すなわち、ストッパ52の回転規制は、右フレーム2bに別体として固定される規制体によって成され、右フレーム2bに、回転規制用の特別な部分を形成しておく必要はない。
【0033】また、ラチェット50は、通常、右フレーム2bの表面から任意の高さで取り付けられるようになっている。このため、規制体60に、高さ調整部を形成しておくことにより、ラチェット50の配設位置に応じて、ストッパ52(挟着板バネ53)や回転規制部62の高さを弾力的に調整することが可能となる。
【0034】本実施の形態の規制体60は、その端部を屈曲させて、前記支軸55が挿通される孔部65aを具備した第1高さ調整部65と、この第1高さ調整部と同じ高さを有し、前記回転規制部62を突出形成した第2高さ調整部66とを備えている。すなわち、これらの高さ調整部65,66を予め形成しておくことで、ラチェット50の取り付け高さ位置に応じて、ストッパ52及び回転規制部の高さ位置を弾力的に調整することが可能となり、噛み合い状態を最適に維持しておくことが可能となる。
【0035】また、上記ドラグ機構は、駆動歯車12に形成された凹所に複数枚の摩擦板70を収容した、いわゆる多板式の制動方式であり、ハンドル軸の端部に取り付けられたドラグ調節ツマミ71を回転操作することで、前記摩擦板に対する押圧力を強弱に加減し、これによってスプールの釣糸繰り出し方向への回転に所望の制動をかけるようになっている。
【0036】次に、上述したように構成された魚釣用リールの動作、及び効果について説明する。
【0037】図2に示すクラッチON状態から、切換操作部材30をクラッチOFFにすべく、矢印方向に回動操作すると、クラッチ作動プレート20は、作動体30bの係合ピン30cを介して、矢印D1方向に移動され、それに伴って、作動部材21は、その表面に形成されたカム面22によって、バネ部材の付勢力に抗して持ち上げられる。このとき、クラッチ作動プレート20は、振分け保持バネ35によってその位置が保持されると共に、ピニオン13は、図1において右側に移動され、係合部5cとの嵌合関係が外れてスプール5aはフリー回転可能な状態(クラッチOFF状態)になる。
【0038】また、クラッチ作動プレート20が、矢印D1方向に移動されると、キックプレート45は、支持部45aを中心として反時計回り方向に回動され、振分けバネ47の死点を乗り越えて、クラッチ作動プレート20の当て付け部20bに当て付いた位置で保持される。
【0039】そして、クラッチOFFからONへの復帰は、切換操作部材30を最初の位置に手動で戻すことによって、上述した工程の逆の工程によって成されるか、あるいは、ハンドルを巻取り操作することで成される。この場合、ハンドルを巻取り操作すると、図2において、ラチェット50は、時計回り方向に回転駆動され、そのボス51が、キックプレート45の先端部45bに当て付き、クラッチ作動プレート20を矢印D2方向に移動させ、上述した手順と同様な手順によってクラッチON状態に復帰する。
【0040】また、上記第2の逆転防止機構のストッパ52は、通常、図2及び図3に示す位置に保持されている(規制体60の回転規制部62によって回転規制された状態にある)が、魚の引き等によって、転がり式一方向クラッチ10に滑りが生じて、ハンドル軸8aと共にラチェット50が逆回転した場合、挟着板バネ53の板バネ片53aとの間で生じる摩擦力によって、ストッパ52は時計回り方向に回動され、ラチェットと噛合してその逆回転が防止される。
【0041】上記したような第2の逆転防止機構によれば、リール本体の支持基板(右フレーム2b)に別体として取り付け固定される規制体60によってストッパ52の回転を規制するため、リール本体の製法(金型成形、切削加工等)や、形状の制約を受けることなく、十分な支持強度及び支持精度の維持を図りながら、自由度をもって、容易にストッパ52をリール本体に装着することができる。特に、ストッパ52を支持する支軸55は、右フレーム2bに固定した規制体60によって保持された状態にあるため、その支持状態がより強固に成される。
【0042】また、上記した規制体60を利用して、支持基板に配設される各種の駆動関連部材(本実施形態では、ハンドル軸8a、ストッパ52)の位置規制を行なうことが可能となるので、位置規制を行なうための部材が簡素化され、製造コストの低減が図れるようになる。
【0043】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、スプールの逆転防止機構におけるストッパの位置を規制する手段に特徴があり、図に示したような構成以外の各種形態の魚釣用リールに適用することが可能である。
【0044】
【発明の効果】本発明の魚釣用リールによれば、逆転防止機構を構成するストッパ爪の支持強度および組み込み精度が向上した状態で、リール本体の支持基板の軽量、薄肉化が容易に図れるようになる。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成13年2月20日(2001.2.20)
【代理人】 【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−238417(P2002−238417A)
【公開日】 平成14年8月27日(2002.8.27)
【出願番号】 特願2001−42776(P2001−42776)