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【発明の名称】 魚釣用リール
【発明者】 【氏名】寺内 孝

【要約】 【課題】本発明は魚釣用リールに関し、クラッチON/OFFを検出するセンサの位置検出に異常が発生した場合に、補助的な動作でクラッチ機構のON/OFFの切換えを行って魚釣りの続行を可能とした魚釣用リールを提供することを目的とする。

【解決手段】スプールの回転状態を検出するスプール回転検出手段と、センサによるクラッチ位置検出の異常状態,スプールの回転状態によるクラッチ判定条件及びモータ駆動の所定条件を記憶する記憶手段とを備え、制御手段は、センサによる位置検出の異常状態発生時に、クラッチ切換信号の入力により上記所定条件に従いモータを駆動制御し、上記スプール回転検出手段からの検出結果とクラッチ判定条件を基にクラッチ状態を判断,認識することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リール本体に回転自在に支持されたスプールと、リール本体に装着したモータの駆動で上記スプールを釣糸繰出し状態と釣糸巻取り状態とに切り換える電動クラッチ機構と、クラッチ切換信号とモータの駆動に連動する作動部材の位置を検出するセンサの検出信号に基づきモータの駆動制御を行う制御手段とを備えた魚釣用リールに於て、上記スプールの回転状態を検出するスプール回転検出手段と、上記センサによる位置検出の異常状態,スプールの回転状態によるクラッチ判定条件及びモータ駆動の所定条件を記憶する記憶手段とを備え、上記制御手段は、センサによる位置検出の異常状態発生時に、クラッチ切換信号の入力により上記所定条件に従いモータを駆動制御し、上記スプール回転検出手段からの検出結果とクラッチ判定条件を基にクラッチ状態を判断,認識することを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】 リール本体に報知手段を装着し、制御手段は、当該報知手段にクラッチ状態を報知させることを特徴とする請求項1記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は魚釣用リールに係り、詳しくはリール本体に装着したモータを駆動させて、スプールを釣糸巻取り状態と釣糸繰出し状態とに切り換える電動クラッチ機構を備えた魚釣用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来周知のように魚釣用リールには、リール本体に回転自在に支持したスプールを釣糸巻取り状態(クラッチON)と釣糸繰出し状態(クラッチOFF)とに切り換えるクラッチ機構が装着されている。そして、昨今では、リール本体に装着したモータの駆動力を利用してクラッチON/OFFの切換えを行う電動のクラッチ機構が広く知られており、クラッチスイッチやクラッチレバーの操作によるクラッチ切換信号の入力で、制御手段がモータを駆動させてクラッチ機構をON/OFFに切り換え、また、糸長計測装置の計測値を基に、所定の棚位置で制御手段がモータを駆動させてクラッチ機構をONに復帰させたり、モータによるクラッチ機構のON/OFFの切換えで、釣糸の巻取りと繰出しを交互に繰り返すシャクリ動作を可能とする等、幅広い対応が可能となっている。
【0003】而して、このようにモータの駆動力を利用してクラッチ機構を切り換えるには、モータの回転方向やその駆動開始,停止の制御を精度よく実行できることが必要であり、そのためには、クラッチ機構のON/OFF状態を確実に検出することが必要不可欠となっている。図5は実用新案登録第2511810号公報に開示された電動クラッチ機構のON/OFF状態を検出するクラッチ位置検出手段を示し、この従来例は、リール本体に装着したクラッチモータaの駆動で矢印X,Y方向へスライドするクラッチ作動プレート(作動部材)bの一側縁部にマグネットcを装着すると共に、当該マグネットcでON/OFFされる2個のセンサ(リードスイッチ)d,eを、クラッチ機構fのON/OFFに対応させてクラッチ作動プレートbのガイド部材gに装着したもので、制御手段は、マグネットcでONとされるセンサd,eの検出信号に基づきクラッチ機構fのON/OFF状態を判定する。
【0004】そして、例えばクラッチONの状態で操作パネル上のクラッチスイッチが操作されると、制御手段はクラッチモータaを駆動し、クラッチ作動プレートbを図の如く矢印X方向へスライドさせてクラッチ機構fをクラッチOFFに切り換えると共に、マグネットcでONとされたセンサeの検出信号でクラッチモータaを停止させる。
【0005】また、斯かる状態でクラッチスイッチが操作されると、制御手段はクラッチモータaを再び駆動し、クラッチ作動プレートbを矢印Y方向へスライドさせてクラッチ機構fをクラッチONに切り換えると共に、マグネットcでONとされたセンサdの検出信号でクラッチモータaを停止させるようになっている。
【0006】このように、上記従来例は、クラッチ機構fのクラッチON/OFF状態の検出を、マグネットcとセンサd,eからなる磁気検出装置hによって行っている。また、本出願人は、特願平11−201811号に於て、上述したクラッチモータaに代え、スプールを駆動するスプールモータを正逆両方向へ回転可能に構成して、その一方向の回転(逆回転)をクラッチ作動プレートの往復直線運動に変換する電動クラッチ機構を開示したが、この電動クラッチ機構に於ても、クラッチON/OFF状態の検出をマグネットと2個のセンサによる磁気検出装置によって行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、上述した磁気検出装置を用いても、クラッチ機構の構造的不良(構成部品の変形,傷,寸法不良等)や浸水,ゴミの付着による作動不良、また、腐食やリード線の欠損,センサ自体の電気的不良等の影響で、クラッチ機構のON/OFF状態を正確に検出することができなくなる虞があった。
【0008】例えば、クラッチ作動プレートの作動不良でクラッチ機構が確実に切り換わらずに半クラッチ状態となると、2個のセンサが共にOFF−OFFを検出し、また、センサ自体の電気的不良やリード線の欠損,浸水が原因でセンサ機能が正常に動作しなくなると、両センサが共にON−ONを検出してしまうといった事態が生じる。
【0009】また、センサによるクラッチON/OFFの検出とクラッチ状態のアンマッチといった事態も発生することがある。即ち、例えば釣糸の繰出し中に、糸長計測装置やクラッチスイッチのクラッチ切換信号でモータが駆動してクラッチ機構が動作し、センサのON検出でモータが停止しても、構成部品の作動不良でクラッチ機構が確実に動作せずに半クラッチ状態となって、スプールが繰出し方向へ回転し続けることがある。
【0010】而して、この状態で再度クラッチスイッチを操作すると、制御手段はON状態からの切換信号と判断してクラッチ機構をクラッチOFF状態に切り換えるためにモータを駆動してしまうこととなり、このようにセンサがON状態を検出,認識しているにも拘わらず、クラッチ機構はクラッチOFF状態でスプールが繰出し方向へ回転し続けるといった事態が発生する。
【0011】そして、このようにセンサによる誤った検出結果でモータが制御されてしまうと、正常な状態で魚釣り操作ができなくなったり、釣りの続行が困難になってしまう虞があった。本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、クラッチON/OFFを検出するセンサの位置検出に異常が発生した場合に、補助的な動作でクラッチ機構のON/OFFの切換えを行って魚釣りの続行を可能とした魚釣用リールを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、リール本体に装着したモータの駆動で当該スプールを釣糸繰出し状態と釣糸巻取り状態とに切り換える電動クラッチ機構と、クラッチ切換信号とモータの駆動に連動する作動部材の位置を検出するセンサの検出信号に基づき当該モータの駆動制御を行う制御手段とを備えた魚釣用リールに於て、上記スプールの回転状態を検出するスプール回転検出手段と、上記センサによる位置検出の異常状態,スプールの回転状態によるクラッチ判定条件及びモータ駆動の所定条件を記憶する記憶手段とを備え、制御手段は、センサによる位置検出の異常状態発生時に、クラッチ切換信号の入力により上記所定条件に従いモータを駆動制御し、上記スプール回転検出手段からの検出結果とクラッチ判定条件を基にクラッチ状態を判断,認識することを特徴とする。
【0013】そして、請求項2に係る発明は、請求項1記載の魚釣用リールに於て、リール本体に報知手段を装着し、制御手段は当該報知手段にクラッチ状態を報知させることを特徴とする。
【0014】(作用)請求項1に係る発明によれば、実釣時に、記憶手段に記憶された位置検出の異常状態が発生し、そして、クラッチ切換信号が入力されると、制御手段は、記憶手段に記憶された所定条件に従い、モータを補助的に駆動制御して電動クラッチ機構をクラッチON/OFFのいずれかに切り換え、この後、スプール回転検出手段からの検出結果とクラッチ判定条件を基にクラッチ状態を判断,認識する。
【0015】そして、請求項2に係る発明によれば、制御手段は、電動クラッチ機構のクラッチ状態を報知手段を介して報知する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】図1は請求項1及び請求項2の一実施形態に係る電動リールの平面図を示し、図中、1はリール本体3のフレーム、5,7は当該フレーム1の左右に取り付く側板で、両側板5,7間にスプール軸を介してスプール9が回転可能に支持されている。スプール9は、スプールモータの正転方向への駆動やハンドル11の巻取り操作で回転して釣糸が巻回されるようになっており、図2に示すようにスプールモータ13は、スプール9前方のフレーム1に一体成形されたモータケース内に収納されている。
【0018】而して、スプールモータ13は正,逆両方向へ回転可能に構成され、本出願人が特願平11−201811号や特願平11−287753号で開示した魚釣用リールと同様、スプールモータ13の左モータ軸に、一方向クラッチを介して遊星歯車と複数の歯車列からなる従来周知のスプール回転駆動力伝達機構(以下、「動力伝達機構」という)が連結され、また、右モータ軸に、一方向クラッチを介して遊星歯車式のクラッチ駆動力伝達機構(以下、「クラッチ伝達機構」という)15が連結されている。
【0019】そして、スプールモータ13の右モータ軸に装着された一方向クラッチは、スプールモータ13の正転時にフリー状態となって右モータ軸の駆動力をクラッチ伝達機構15に伝達させず、また、スプールモータ13の逆回転時に駆動力伝達状態となって、スプールモータ13の駆動力をクラッチ伝達機構15に伝達させるようになっている。
【0020】一方、スプールモータ13の左モータ軸に装着された一方向クラッチは、スプールモータ13の正転時に駆動力伝達状態となってスプールモータ13の駆動力を動力伝達機構に伝達し、スプールモータ13の逆回転時にフリー状態となって、スプールモータ13の駆動力を動力伝達機構に伝達させないようになっている。尚、スプールモータ13の正転とは、動力伝達機構を介してスプール9を釣糸巻取り方向へ回転させる状態をいい、スプールモータ13の逆回転とは、クラッチ伝達機構15を介して後述する電動クラッチ機構を作動させる状態をいう。
【0021】そして、スプール軸は、スプール9の中央を貫通してその他端側が側板7内に突出している。そして、その突出端に、従来と同様、第1及び第2の遊星歯車機構からなる減速機構が設けられており、この減速機構は、スプールモータ13正転時のスプール軸の回転運動を第1の遊星歯車機構で減速させた後、更に第2の遊星歯車機構で減速させてスプールモータ13の駆動力をスプール9に伝達させるように構成されている。
【0022】また、図1中、11はハンドルで、当該ハンドル11は側板7とフレーム1間に回動可能に挿着したハンドル軸17の突出端に連結されており、図2に示すように当該ハンドル軸17にはラチェット19が側板7内で固着され、更にドライブギヤ21が回転可能に取り付けられている。
【0023】そして、ドライブギヤ21とハンドル軸17はドラグ装置によって摩擦結合されており、当該ドラグ装置のドラグ力はハンドル軸17に装着したドラグノブ23によって調節できるようになっている。また、図2に示すようにラチェット19には、ねじりコイルばね25で付勢された係止爪27が係止しており、斯様にラチェット19に係止爪27が係止して、スプールモータ13駆動時のハンドル軸17の回転防止が図られている。
【0024】図2はクラッチON状態にある電動クラッチ機構29を示し、図中、31はクラッチプレート33を作動させるクラッチ作動プレートで、当該クラッチ作動プレート31はリール本体3の前後方向へ長尺に形成され、その両側部に配置したガイド部材35に沿って矢印A,B方向へスライド可能となっている。そして、クラッチ作動プレート31の中央にはハンドル軸17やピニオン軸37が挿通する長孔39が形成され、この長孔39を挟んで2つのカム41が設けられている。そして、クラッチ作動プレート31の一端側に上記クラッチ伝達機構15が連結されている。
【0025】上述したようにクラッチ伝達機構15は、一方向クラッチを介してスプールモータ13の右モータ軸に連結されており、スプールモータ13が逆回転したとき、一方向クラッチから出力される右モータ軸の駆動力を電動クラッチ機構29に伝達させるもので、スプールモータ13の逆回転に連動して回転するクラッチ伝達機構15のキャリア43に1個のボス45が突設され、クラッチ作動プレート31の先端側に当該ボス45が係合する長孔47が形成されている。
【0026】一方、図2に於て、49はドライブギヤ21に噛合するピニオンで、当該ピニオン49はスプール軸の軸線上に於て、遊星歯車機構の遊星歯車支持体と側板7間に横架状態に支持したピニオン軸37に回転可能且つその軸方向へ移動可能に取り付けられており、当該ピニオン49の外周に設けた係止溝にクラッチプレート33が係合している。
【0027】従来周知のようにクラッチプレート33は、ピニオン49と遊星歯車支持体とのクラッチ係合を係脱させて、スプール9に伝達されるハンドル11やスプールモータ13の駆動力を伝達,遮断させるもので、図2に示すようにクラッチプレート33はコイルスプリング51によってクラッチ作動プレート31方向へ付勢されている。
【0028】また、図1に示すようにリール本体3の上部に装着した制御ボックス53の操作パネル55上には、電動クラッチ機構29をクラッチON/OFFに切り換えるクラッチスイッチ57が装着されており、図3に示すように当該クラッチスイッチ57のクラッチ切換信号は、制御ボックス53内の制御手段(マイクロコンピュータ)59に入力されている。
【0029】そして、図2のクラッチON状態で釣人がクラッチスイッチ57を操作すると、そのクラッチ切換信号を入力した制御手段59は、モータ駆動回路61を介してスプールモータ13を逆方向へ駆動して、クラッチ伝達機構15によりクラッチ作動プレート31を矢印B方向へスライドさせるようになっており、斯様にクラッチ作動プレート31が同方向へスライドすると、クラッチ作動プレート31に設けたカム41がクラッチプレート33をコイルスプリング51のばね力に抗して軸方向に移動させるため、ピニオン49が軸方向へ移動して遊星歯車支持体とのクラッチ係合が解除され、この結果、電動クラッチ機構29がクラッチOFFとなってスプール9が釣糸繰出し状態となるように構成されている。
【0030】また、斯かるクラッチOFFの状態で釣人がクラッチスイッチ57を操作すると、制御手段59はモータ駆動回路61を介してスプールモータ13を更に逆方向へ駆動させて、クラッチ伝達機構15によりクラッチ作動プレート31を矢印A方向へスライドさせるようになっており、斯様にクラッチ作動プレート31がスライドして図2の位置に戻ると、コイルスプリング51の復元力でクラッチプレート33が軸方向に移動し、ピニオン49が軸方向へ移動して遊星歯車支持体とクラッチ係合して電動クラッチ機構29がクラッチONに復帰するようになっている。
【0031】而して、図2に示すようにクラッチ作動プレート31の後端側には、2個のセンサ(リードスイッチ)63,65が当該クラッチ作動プレート31のスライド方向に装着されると共に、当該センサ63,65をON/OFFする1個のマグネット67がフレーム1に装着されており、これらは電動クラッチ機構29のクラッチON/OFF状態を検出する磁気検出装置69を構成する。
【0032】そして、上述したようにクラッチスイッチ57の操作によるスプールモータ13の逆回転でクラッチ作動プレート31が矢印B方向へスライドして電動クラッチ機構29がクラッチOFFに切り換わると、マグネット67によりセンサ63がONとなって、そのON信号を入力した制御手段59はモータ駆動回路61に指令を送出してスプールモータ13の回転を停止し、クラッチ作動プレート31の矢印B方向へのスライドを停止させるようになっている。
【0033】また、斯かるクラッチOFFの状態から、クラッチスイッチ57の操作でクラッチ作動プレート31が矢印A方向へスライドして図2の如くクラッチONになると、マグネット67によりセンサ65がONとなって、そのON信号を入力した制御手段59は、モータ駆動回路61に指令を送出してスプールモータ13の回転を停止し、クラッチ作動プレート31の矢印A方向へのスライドを停止させるようになっている。
【0034】更に、図1に示すようにスプール9の一側面にはマグネット71が装着されると共に、当該マグネット71に対向してフレーム1に一対のリードスイッチ73が装着されており、これらはスプール9の回転数と回転方向を検出する回転検出装置(スプール回転検出手段)75を構成し、図3に示すように各リードスイッチ73は制御手段59に接続されている。
【0035】そして、制御手段59のROMには、特開平5−103567号公報で開示された魚釣用リールと同様の糸長計測方法がプログラムされており、制御手段59は、リードスイッチ73から出力されるスプール9の正転,逆回転の判定信号をCPUに取り込んで釣糸の繰出しか巻取りかを判定すると共に、リードスイッチ73から取り込むスプール9の回転パルス信号をアップ・ダウンカウンタでカウントして、この計数値を基にROMに記憶された糸長計算式をCPUで演算実行するようになっている。そして、この演算結果が、表示駆動回路75を介して操作パネル55上の表示器77に表示されるようになっている。
【0036】而して、表示器77の表示は、操作パネル55上に装着したリセットスイッチ79の操作でリセットされるが、操作パネル55上には当該リセットスイッチ79に加え、棚メモスイッチ81と船べりスイッチ83が装着されており、図2に示すようにこれらは制御手段59に接続されている。そして、表示器77の表示を見乍ら、釣人が例えば仕掛けを水面から50m繰り出した処で棚メモスイッチ81を操作すると、制御手段59のCPUは水深50mを棚位置としてRAMに記憶し、また、リセットスイッチ79の操作でリセットした表示器77の表示値「0.0m」を巻取り終端として、例えばその手前2mの水深で船べりスイッチ83を操作すると、CPUは水深2mを船べり停止位置としてRAMに記憶させるようになっている。
【0037】そして、図1及び図4に示すようにハンドル11が取り付く側板7の側部前方には、特開平7−222544号公報で開示された魚釣用リールと同様、スプールモータ13のモータ出力を調節するパワーレバー85が所定の角度に亘って回動操作可能に取り付けられており、当該パワーレバー85の出力増加方向はハンドル11の巻取り回転方向と同方向とされている。
【0038】而して、パワーレバー85は側板7に内蔵したポテンショメータ(モータ出力調節手段)87に連結されており、パワーレバー85の操作によるポテンショメータ87の抵抗値の変化が制御手段59に入力されている。そして、制御手段59は、パワーレバー85の操作量に応じたパルス信号のデューティ比としてスプールモータ13への駆動電流通電時間率を可変制御して、スプールモータ13のモータ出力をOFF状態から最大値(0〜100%)まで連続的に制御するようになっており、パワーレバー85の操作で釣糸がスプール9に巻き取られて仕掛けが船べり停止位置に到達すると、制御手段59はモータ駆動回路61にモータ停止指令を送出してスプールモータ13を停止させるようになっている。
【0039】ところで、斯様にスプールモータ13の駆動力で電動クラッチ機構29を切り換えてスムーズな魚釣り操作を行うには、スプールモータ13の回転方向やその駆動開始,停止の制御を精度よく実行できることが必要であり、そのためには、電動クラッチ機構29のON/OFF状態を確実に検出することが必要不可欠である。
【0040】しかし、「従来の技術」の項で既述したように磁気検出装置を用いても、クラッチ機構の構造的不良や浸水,ゴミの付着による作動不良、また、腐食やリード線の欠損,センサ自体の電気的不良等の影響で、クラッチ機構のON/OFF状態を正確に検出することができなくなる虞がある。そこで、本実施形態は、「発明が解決しようとする課題」の項で述べたセンサによる位置検出の異常状態と同様、■両センサ63,65のON−ON検出状態■両センサ63,65のOFF−OFF検出状態■両センサ63,65によるクラッチON/OFFの検出とクラッチ状態のアンマッチを、センサ63,65による位置検出の異常状態と捉えて、これらが制御手段59のROMに記憶されている。
【0041】また、既述したように制御手段59は、実釣時に回転検出装置75のリードスイッチ73から取り込むスプール9の回転パルス信号を基に、スプール9の回転方向と回転数を検出するが、制御手段59のROMには、更に、スプール9の回転状態によるクラッチ判定条件として、■スプール9の停止状態=クラッチON■スプール9か繰出し方向へ連続的に2回転以上/秒=クラッチOFFが記憶されると共に、上記■〜■の異常状態が発生した場合に、■0.05秒ON,0.1秒OFFの数サイクルでスプールモータ13を逆回転方向へ駆動させるスプールモータ駆動の所定条件が記憶されている。
【0042】そして、制御手段59は、実釣時にセンサ63,65の検出信号とリードスイッチ73から取り込むスプール9の回転パルス信号を基に、上記■〜■のいずれかの事態が発生したと判断すると、実釣モードから異常救済モードに移行し、クラッチスイッチ57からのクラッチ切換信号や棚位置停止によるクラッチ切換信号が入力されると、上記■の所定条件に従いスプールモータ13を補助的に寸動出力させて、いずれか一方の確実なクラッチ状態に切り換えるようになっている。
【0043】而して、斯様に■の所定条件でスプールモータ13を駆動制御した後、制御手段59は、リール本体3に内蔵したタイマの計測値と回転検出手段75からの検出結果及び■,■のクラッチ判定条件を基に、電動クラッチ機構29のクラッチ状態を判断してクラッチ動作を停止し、電動クラッチ機構29のクラッチ状態を表示器77に表示させると共に、センサ63,65が良好な状態でないことを釣人に知らせるために、操作パネル55上に装着したクラッチ異常ランプ89をランプ駆動回路91を介して点滅させるようになっている。
【0044】そして、この後、再び実釣モードに移行し、センサ63,65による位置検出によって電動クラッチ機構29が制御手段59で制御されるが、上述した異常状態が発生する度に、制御手段59は異常救済モードに移行して上述の如きプログラムを実行する。本実施形態に係る魚釣用リール93はこのように構成されているから、図示しない給電コードを介して魚釣用リール93を船上の外部電源に接続した後、クラッチスイッチ57を操作すれば、電動クラッチ機構29がクラッチON/OFFに切り換わってスプール9が釣糸繰出し状態と釣糸巻取り状態に切り換わる。
【0045】そして、仕掛けの繰出しに伴い、釣糸の糸長が計測されて表示器77に表示され、釣人が例えば仕掛けを水面から50m繰り出した処で棚メモスイッチ81を操作すれば、水深50mが棚位置として記憶される。また、魚の当たりが合った場合に、クラッチスイッチ57の操作で電動クラッチ機構29をクラッチONに切り換えれば、ハンドル11の巻取り操作やパワーレバー85の操作で釣糸がスプール9に巻き取られ、また、釣場の状況に応じたパワーレバー85の操作でスプールモータ13が停止したり巻取り速度が低速から高速へ連続的に切り換わることとなる。
【0046】而して、これらの実釣時に、センサ63,65の検出信号とリードスイッチ73から取り込むスプール9の回転パルス信号を基に、上記■〜■のいずれかの事態が発生したと制御手段59が判断すると、制御手段59は異常救済モードに移行する。そして、この異常救済モードで、クラッチスイッチ57からのクラッチ切換信号や棚位置停止によるクラッチ切換信号が入力されると、制御手段59は、上記■の所定条件に従い、スプールモータ13を寸動出力させて電動クラッチ機構29をクラッチON/OFFのいずれかに切り換え、この後、タイマの計測値と回転検出手段75からの検出結果及び■,■のクラッチ判定条件を基に、電動クラッチ機構29のクラッチ状態を判断してクラッチ動作を停止する。そして、制御手段59は、電動クラッチ機構29のクラッチ状態を表示器77に表示させると共に、クラッチ異常ランプ89を点滅させて電動クラッチ機構29の異常状態を釣人に知らせることとなる。
【0047】このように本実施形態は、釣場で万一、センサ63,65の位置検出にトラブルが発生しても、スプールモータ13の寸動出力による電動クラッチ機構29のクラッチ動作という補助的な動作でクラッチを切り換えるように構成すると共に、そのクラッチ状態を表示器77に表示させるように構成したので、表示器77の表示に従い電動クラッチ機構29のクラッチ状態を把握し乍ら、魚釣りを続行することが可能となる。
【0048】また、本実施形態によれば、クラッチ異常ランプ89を点滅させて電動クラッチ機構29の異常状態を釣人に知らせるように構成したため、釣人は、斯かる表示に従い、釣行後に電動クラッチ機構29やセンサ63,65,リード線等の電装部品の補修を行うことによって、魚釣用リール93の機能を長期に亘って良好に維持することが可能となる。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る魚釣用リールによれば、釣場で万一、電動クラッチ機構の位置検出用のセンサにトラブルが発生しても、モータの補助的な動作によってクラッチON/OFFの切換えができるため、中止することなく魚釣りを続行することが可能となる。
【0050】また、請求項2に係る発明によれば、実釣時に、釣人は報知手段の報知内容からクラッチ状態を認識することができるし、釣行後に電動クラッチ機構やセンサ,リード線等の電装部品の補修を行うことで、魚釣用リールの機能を長期に亘って良好に維持することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成13年2月1日(2001.2.1)
【代理人】 【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
【公開番号】 特開2002−223677(P2002−223677A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−25319(P2001−25319)