| 【発明の名称】 |
魚釣用リール |
| 【発明者】 |
【氏名】天野 誠之
【氏名】三好 正敏
【氏名】菊地 浩二
【氏名】堤 わたる
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| 【要約】 |
【課題】巻取り駆動機構に用いられている各種ギヤの耐摩耗性の向上を図り、回転性能が低下し難い魚釣用リールを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の魚釣用リールは、動力を伝達するギヤ40を備えた巻取り駆動機構を有しており、ギヤ40の歯部40aの表面に硬化層41を形成したことを特徴としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動力を伝達するギヤを備えた巻取り駆動機構を有する魚釣用リールにおいて、前記ギヤの歯部表面に硬化層を形成したことを特徴とする魚釣用リール。 【請求項2】 前記硬化層は、歯部の表面に複数の段差を形成した後、その段差を潰すことで形成されることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。 【請求項3】 前記硬化層は、化学的又は物理的に生成された表面処理層を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の魚釣用リール。 【請求項4】 前記ギヤは、魚釣用リールの巻取り駆動機構に用いられているフェースギヤであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の魚釣用リール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣用リールに関し、詳細には、巻取り駆動機構において用いられている各種のギヤに特徴を有する魚釣用リールに関する。 【0002】 【従来の技術】一般的に魚釣用リールは、リール本体に内蔵された巻取り駆動機構をハンドルの回転操作で駆動することにより、釣糸をスプールに巻回保持する構成である。前記巻取り駆動機構は、複数のギヤを含んで構成されており、各ギヤは、通常、亜鉛の鋳造やアルミ合金の鋳造・鍛造、ステンレスの鋳造(MIM;メタルインジェクションモールド)等で形成されている。そして、これらは、いずれも金型を必要とする成形方法であり、その金型は、金型用電極を作成し、この電極を金型鋼に対して放電加工することで作成されている。 【0003】このようにギヤを金型によって成形すると、歯の表面が若干凹凸になるため、通常は、成形後にラッピング処理を施すことにより凹凸を修整して、均一の表面にしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記のように歯面を形成すると、鋳造や鍛造の場合、比較的柔らかい素材を使用することから、摩耗や高負荷作用時に焼き付き等が発生し易い等、ギヤの耐久性に問題があり、この結果、回転性能が低下してしまう。なお、上記したラッピング工程によって歯の表面の凹凸を均一化すると、表面に加工硬化層が形成されるものの、層が薄く、すぐに摩耗して無くなるため、十分な耐久性を備えていない。 【0005】また、切削加工でギヤを形成することも知られているが、この場合、ギヤの生産性を向上させるべく、快削性の優れた材料を使用するケースが多く、歯面の摩耗による回転性能の低下等の不具合は解消されない。 【0006】さらに、アルミを素材とするギヤの場合、表面をアルマイトして表面処理を施し、ギヤの耐摩耗性を向上させることも知られているが、母材の絶対的な強度不足から、アルマイト層が母材ごと剥離してしまい、結果として、回転性能が低下してしまう。 【0007】この発明は、上述した問題に基づいて成されたものであり、巻取り駆動機構に用いられている各種ギヤの耐摩耗性の向上を図り、回転性能が低下し難い、魚釣用リールを提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明に係る魚釣用リールは、動力を伝達するギヤを備えた巻取り駆動機構を有しており、前記ギヤの歯部表面に硬化層を形成したことを特徴としている。 【0009】このように、ギヤの歯部の表面に硬化層を形成しておくことにより、動力伝達時に歯部表面に負荷が加わっても、その摩耗や焼き付き等が効果的に抑制され、回転性能の低下が防止される。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る魚釣用リールについて説明する。なお、この実施形態では、魚釣用リールとしてスピニングリールを取り上げ、巻取り駆動機構におけるギヤとして、ハンドル軸に設けられるフェースギヤを図示して説明する。 【0011】図1は、上記したフェースギヤを備えた巻取り駆動機構を有するスピニングリールを後方から見た部分断面図である。 【0012】最初に、このスピニングリールの構成、及び動作について説明する。スピニングリール1は、釣竿に装着するための脚部2aが形成されたリール本体2と、リール本体前方に回転可能に配されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後動可能に配されたスプール(図示せず)とを有している。 【0013】リール本体2内には、軸受4を介してハンドル軸5が回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル7が取り付けられている。ハンドル軸5には、巻取り駆動機構が係合しており、この巻取り駆動機構は、ハンドル軸5に取り付けられるフェースギヤ10と、このフェースギヤ10に噛合すると共に、ハンドル軸5と直交する方向に延出し、内部に軸方向に延出する空洞部が形成されたピニオン12とを備えている。 【0014】ピニオン12は、前記ハンドル軸5に対して、オフセットした状態で直交するように、軸受を介してリール本体内に回転可能に支持されている。このピニオン12の空洞部には、ハンドル軸5と直交する方向に延出し、先端側にスプールを取り付けたスプール軸15が軸方向に移動可能に挿通されている。 【0015】また、前記ピニオン12には、スプール軸を前後動させる巻取り駆動機構の一部を構成するオシレート機構が係合している。このオシレート機構は、リール本体内に回転可能に支持され、スプール軸15と平行に延出するウォームシャフト17と、このウォームシャフト17の一端部に取り付けられ、前記ピニオン12と噛合するギヤ18とを備えている。そして、スプール軸15の他端部には、ウォームシャフト17の螺旋溝と係合する摺動子(図示せず)が取り付けられており、ウォームシャフト17がギヤ18によって回転駆動されることで、スプール軸15は、摺動子を介して前後方向に往復動される。 【0016】上記した構成により、ハンドル7を巻取り操作することで、ロータ3が巻取り駆動機構を介して回転駆動され、かつスプールがオシレート機構を介して前後動されるので、釣糸は、ロータ3に設けられた釣糸案内部3aを介してスプールに対して均等に巻回される。 【0017】次に、上記した巻取り駆動機構におけるフェースギヤ10の構成について詳細に説明する。 【0018】上述したように、本発明においては、ギヤの歯部の表面に硬化層を形成することを特徴としている。本実施の形態では、フェースギヤ10の歯部に、切削加工を施して複数の段差を形成しておき(この段差は連続的に形成すると共に、所定の方向性をもって形成しておくのが好ましい)、そして、その段差を潰すことによって、従来の加工硬化層よりも厚い硬化層を形成して、歯面の強度の向上を図り、耐摩耗性、耐久性を向上させている。すなわち、方向性のある段差を複数連続的に形成することで、歯面の形状をばらつかせることなく、潰す領域を多くしておくことができ、その分、平面状の部分や凹凸表面を潰す場合と比べて、厚みのある加工硬化層を形成することが可能となる。 【0019】具体的は、このように連続して形成される段差は、ピッチが5〜50μm程度、その深さが1〜5μm程度となるように形成しておくのが好ましい。すなわち、ピッチや深さが、上記した下限よりも小さいと、十分な硬化層が得られなくなり、逆に上記した上限よりも大きくなると、潰す工程に手間がかかると共に、十分に潰すことが難しくなる。 【0020】本実施の形態では、フェースギヤの歯部が形成される部分は表面状になっており、NCフライス盤による切削加工が可能であること、及びNCフライス盤の工具による切削加工によれば、加工に際して方向性のある連続的な段差を容易に形成することが可能であることに着目し、図2に示すように、歯部を形成する。 【0021】すなわち、まず、図2に示すような構造体30を、鋳造、鍛造、切削加工等によって作成しておく。この場合、構造体30は、円板部31と、円板部31の中心において直交するように延出する軸部32とを備え、円板部31の縁部には、輪帯状の突部31aが形成されている。そして、その突部の平坦面31bを、NCフライス盤の工具によって切削加工することで歯部31cが形成されて、フェースギヤ10が作成される。また、軸部32は、そのままハンドル軸5となる。 【0022】上記した構造体30は、突部31aの略真裏部分がNCフライス盤の作業台に載置され、工具の一種であるエンドミル50が平坦面31bに対してXYZ方向に駆動制御されることで歯部31cが形成される。NCフライス盤に結合されている数値制御装置には、予め解析されたフェースギヤのための歯形形状が入力されており、この入力された情報に基づいて歯部31cの切削が行なわれる。 【0023】この場合、エンドミル50に取り付けられる切刃構造(フラットエンドミル、ボールエンドミル等)、及びエンドミル50の駆動制御方法により、歯部の表面に形成される段差構造を種々変形することが可能になる。 【0024】例えば、図3は、矢印で示す歯筋方向に沿ってフラットエンドミルを駆動制御すると共に、一行程毎に垂直方向に駆動制御することで、歯部31cを形成した例を示している。このような駆動制御によれば、歯部を容易に形成できると共に、その表面には、矢印で示す歯筋方向に沿って方向性のある連続的な階段状の段差35aが形成される。また、図4は、同様な駆動制御方法において、ボールエンドミルを用いて歯部31cを形成した例を示している。この場合、歯部の表面には、矢印で示す歯筋方向に沿って方向性のある連続的な円弧状の段差35bが形成される。 【0025】そして、上記したような段差が形成された後、その表面を、ラッピング等によって、図5に示すように潰すことで表面に加工硬化層が形成される。この場合、図3に示すフラットエンドミルによる切削の方が、図4に示すボールエンドミルによる切削よりも、潰す領域(平面領域)を多くすることができるので、潰した際に形成される加工硬化層(図3、図4において、点線で示す部分)を厚くすることができ、耐久性の面では好ましい。逆に、ボールエンドミルによる切削によれば歯部31cの精度の向上が図れる。 【0026】また、このようなフェースギヤについては、NCフライス盤による切削加工で形成することができるため、強度や耐摩耗性が大きい素材を用いることが可能となり、より強度の向上、歯部表面の耐摩耗性の向上が図れ、さらにギヤとしての耐久性を向上することが可能となる。なお、上記したフェースギヤの素材としては、アルミ、真鍮(銅系合金)、亜鉛、SUS、鋼材(鉄系合金)等、各種の材料を用いることができるが、魚釣用スピニングリールの場合、これに噛合するピニオンギヤの回転数が高いため、ピニオンギヤに用いられる素材(例えば、アルミ、真鍮(銅系合金)、SUS、鋼材(鉄系合金)等)よりも強度が低いものを用いることが好ましい。また、フェースギヤとして高強度材料を用いることで、歯数の数を増やして小モジュール化することが可能となり(m≦0.6)、これによりかみ合い率を上げて滑らかな回転特性が得られると共に、リールボディの小型化が図れるようになる。 【0027】図6乃至図10は、エンドミルの駆動制御方法を種々変更して、歯部と共にその表面に形成される段差の方向性を変えた種々の構成例を示している。 【0028】図6は、フェースギヤに噛合するピニオンギヤの歯当たり方向(矢印で示す方向)に対して直交する方向に沿って、フラットエンドミルによって連続する階段状の段差35cを形成した例を示しており、図7は、同様に、ボールエンドミルによって連続する円弧状の段差35dを形成した例を示している。 【0029】そして、このような段差が形成された後、その表面を、ラッピング等によって、図8に示すように潰すことで表面に加工硬化層が形成される。この場合、上記した構成と同様、図6に示すフラットエンドミルによる切削の方が、図7に示すボールエンドミルによる切削よりも、潰す領域を多くすることができるので、潰した際に形成される加工硬化層を厚くすることができ、耐久性の面では好ましくなる。 【0030】図9(a)は、歯筋方向(矢印で示す方向)に対して直交する方向に沿って、ボールエンドミルによって連続する円弧状の段差35eを形成した例を示しており、図9(b)は、その表面を、ラッピング等によって潰すことで表面に加工硬化層を形成した状態を示している。また、図10(a)は、フェースギヤに噛合するピニオンギヤの歯当たり方向(矢印で示す方向)に沿って、ボールエンドミルによって連続する円弧状の段差35fを形成した例を示しており、図10(b)は、その表面を、ラッピング等によって潰すことで表面に加工硬化層を形成した状態を示している。 【0031】このように、歯面に連続して形成される段差の方向性については、種々変更することができるが、図10に示すように、ピニオンギヤの歯当たり方向に沿って形成すると、この方向にピニオンギヤが滑るように移動することから、この方向に沿った硬化層にすることで、歯面に対する負担が極力抑えられ、耐久性、耐摩耗性の面から最も好ましくなる。 【0032】以上の実施形態では、ギヤとして、スピニングリールのフェースギヤを例示し、かつその歯部の表面に形成される硬化層として、ラッピング等による平面処理によるものを例示したが、ギヤとしては、各種の魚釣用リールに組み込まれる平歯車、ラック・ピニオン、内歯車等に適用することが可能であり、さらに、硬化層を形成する手段としても、化学的表面処理、又は物理的表面処理によって形成することが可能である。 【0033】例えば、図11に示すように、ギヤ40の歯部40aの表面に、直接、又は上記したような加工硬化処理や下地処理等を施した後、窒化処理、浸炭等の化学的表面処理、あるいはスパッタリング、イオンプレーティング、高周波焼き入れ、ショットピーニング等の物理的表面処理を施すことによって、硬化層41を形成しても良い。 【0034】このような化学的、物理的な表面処理手段によって硬化層41を形成しても、歯部40aの耐摩耗性が向上し回転性能の低下を防止することが可能となる。 【0035】 【発明の効果】本発明によれば、巻取り駆動機構に用いられている各種ギヤの耐摩耗性の向上が図れるようになり、回転性能が低下し難い魚釣用リールが得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002495 【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月1日(2001.2.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097559 【弁理士】 【氏名又は名称】水野 浩司 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−223674(P2002−223674A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月13日(2002.8.13) |
| 【出願番号】 |
特願2001−25923(P2001−25923) |
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