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【発明の名称】 生分解性人工餌組成物
【発明者】 【氏名】洪 済石

【氏名】玄 柄男

【要約】 【課題】釣用人工餌組成物において、生分解性に優れて廃棄しても環境汚染を起こさないようにする。加味性、弾性、触感などを自由に調節することができるようにして、弾性などを釣用餌としての生きた生物類に類似させる。

【解決手段】水溶液の状態になっているゼラチンを主成分にして、そのゼラチンに、餌の弾性と硬度を調節するための可塑剤と、餌の味を調節するための加味剤と、組成物を硬化させるための架橋剤と、必要な添加剤とを混合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゼラチン水溶液に、可塑剤、加味剤及び架橋剤を添加してなることを特徴とする生分解性人工餌組成物。
【請求項2】 ゼラチン水溶液に、色素又は酸化防止剤から選ばれる添加剤を添加してなる請求項1に記載した生分解性人工餌組成物。
【請求項3】 可塑剤の量が、ゼラチン固形粉100重量部に対して1〜100重量部である請求項1又は請求項2に記載した生分解性人工餌組成物。
【請求項4】 可塑剤の量が、ゼラチン固形粉100重量部に対して200〜800重量部である請求項1又は請求項2に記載した生分解性人工餌組成物。
【請求項5】 加味剤の量が、ゼラチン固形粉100重量部に対して1〜900重量部である請求項1〜請求項4のいずれかに記載した生分解性人工餌組成物。
【請求項6】 加味剤の量が、ゼラチン固形粉100重量部に対して50〜500重量部である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載した生分解性人工餌組成物。
【請求項7】 架橋剤の量が、ゼラチン固形粉100重量部に対して1〜100重量部である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載した生分解性人工餌組成物。
【請求項8】 架橋剤の量が、ゼラチン固形粉100重量部に対して10〜80重量部である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載した生分解性人工餌組成物。
【請求項9】 加味剤が、塩漬け魚類、魚粉、油粕、蛹粉から選ばれた加味剤である請求項1ないし請求項8のいずれかに記載した生分解性人工餌組成物。
【請求項10】 架橋剤が、アミン類、フォルムアルデヒド供与体、グリオキサル、硼酸、金属塩から選ばれた架橋剤である請求項1ないし請求項9のいずれかに記載した生分解性人工餌組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に釣用として使用される人工餌の組成物、特に生分解性に優れていて、加味性と触感を自由に選択することのできる生分解性人工餌組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、釣用に使用されている人工餌には、ミミズ、セミの幼虫、うじ、小型魚などの生きている生物類が用いられていた。また、PVCゲル、ウレタンゲル、熱可塑性ブロック コーポリマーなどのバインダ樹脂としての性質を利用して、それらに可塑剤などの添加物を混合することによって調製した組成物を、生きている生物類と類似した形態に成形した人工餌も用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、生きている生物類は釣用餌として優れているけれども、取扱いに際して嫌悪感を起こすことがあるだけでなく、取扱いの難易性が高いという問題があった。また、従来の人工餌の場合は、加味性が不足していて釣用餌に要求される性質を十分に満足しておらず、しかも、難分解性であったために、使用後に捨てられてそのまま放置されることによって環境汚染を引き起こすといった問題があった。
【0004】本発明は、上記のような従来の釣用餌に対する問題点を解決するために案出されたもので、生分解性に優れているために廃棄しても環境汚染が発生せず、加味性を自由に調節することができ、しかも、釣用餌として使用される生物類に弾性や触感を類似させることができて、釣用餌に要求される性質を十分に満足させることのできる生分解性人工餌組成物を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような目的を達成するため、ゼラチン水溶液に、可塑剤、加味剤及び架橋剤を添加してなる生分解性人工餌組成物を提供したものである。また、本発明は、ゼラチン水溶液に、上記可塑剤などに加えて、色素又は酸化防止剤から選ばれる添加剤を添加したものである。
【0006】本発明の人工餌組成物は、ゼラチンを主成分としているので生分解性に優れている。そのため、釣場などで廃棄されても、経時によって完全に分解して無害化する。また、加味剤を含んでいるため味を持っている。そのため、加味剤の種類や量を調節して味を変えることが可能である。さらに、可塑剤を含んでいるため、生きている生物類に類似した弾性や触感を与えることができる。
【0007】一般的に、ゼラチンは動物の骨、軟骨、又は皮などに存在する蛋白質成分であるコラーゲンを加水分解することによって得られ、ほとんどのゼラチンは、ランダムなコイル状のペプチッド鎖を形成しているけれども、架橋部の分布とペプチッド配列によって分子鎖の長さと較差部は異なっている。
【0008】ゼラチンは、固形粉を90℃付近の温度の熱水に溶解させて30重量%固形粉溶液を調製した後、常温で放置するとゲル状に転換する。ゲル状のゼラチンは温度を約60℃程度に高くすると再び液状に転換される。ゲルの硬度及び弾性は、水、グリセリン(Glycerin)、ジエチレングリコレン(Diethylenglycolene)、ソルビトール(Solbitol)、ジメチルフタルレイド(Dimethylphthalaid )などの可塑剤を使用することによって調節が可能である。
【0009】本発明で使用される可塑剤の量は、使用するゼラチン固形粉100重量部に対して1〜100重量部であり、1重量部未満であると、餌の弾性や触感が低下し過ぎて釣用餌としての生きた生物類と類似の弾性や触感を得ることができない。可塑剤の量が100重量部より多いとゲルの強度が弱くなりすぎる。適度な弾性や触感を得るためには、ゼラチン固形粉100重量部に対して可塑剤を1〜100重量部添加すればよく、200〜800重量部であれば、弾性や触感を生きた生物類に酷似させることができる。
【0010】本発明では、餌の味を魚類の口味に合わせて誘惑性を増大させるため、加味剤を使用している。加味剤には、塩漬けにした魚類、魚粉、油粕、蛹粉などのような魚類が好む動植物の粉末などを使用することができる。これらの加味剤の中で、塩漬けにした魚類には、市中にて販売されているひしこ塩漬け、えび塩漬け、いか塩漬け、さつば漬などのように素材を一定期間熟成することによって得られた塩漬け類があり、それらをそのまま使用することが可能である。また、それらの塩漬け類を、粉砕したり濾過したりして使用しても、乾燥した後に粉末化したりして使用してもよい。
【0011】上記の加味剤の使用量は、ゼラチン固形粉100重量部に対して1〜900重量部であり、900重量部を越えるとゲルの強度が顕著に落ち、1重量部未満であると加味の効果が不十分になる。ゲルに適度な強度を付与し、加味の効果を十分に発揮させるためには、加味剤の量を、ゼラチン固形粉100重量部に対して1〜900重量部にしておくことが有効である。好ましくは50〜500重量部であり、この範囲であると、ゲルに適度な強度を付与し、加味の効果を十分に発揮させることが可能である。
【0012】一方、ゼラチンの水溶液に可塑剤を混合すると、ゲル状の混合物が温度によって可逆的に変化して不安定な状態になるため、これを補完するため、本発明では架橋剤を使用して硬化させている。架橋剤としては、例えば、アミン類、フォルムアルデヒド(Formaldehyd )供与体、グリオキサル(Glyoxal )、硼酸(Boric acid)及び、その他、金属塩などを使うことができる。架橋剤の使用量はゼラチン固形粉100重量部に対して0.1〜100重量部であり、0.1重量部未満では使用時に硬化が起こらなくなり、100重量部を超えると硬化の効果がそれ以上増大されなくなって加味性を落とす原因にもなる。加味性を低下させない範囲での適度な使用量は、0.1〜100重量部であり、特に10〜80重量部が好ましい。
【0013】その他にも、顔料、染料のような色素や酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて少量使用することが可能である。
【0014】上記した各成分によって構成されている人工餌組成物はモールドを使って成形され、脱モールドして製品化される。
【0015】モールドにて成形した後、その成形物の表面をアルギン酸ソーダにてコーティングして乾燥後、CuSOの溶液に浸漬すると、成形物の表面が被膜によって覆われる。
【0016】
【発明の実施の形態】ゼラチン(5A Extra,米国Peter Cooper社製)30重量部を90℃の熱湯70重量部に溶解して得られるゼラチン水溶液100gに、可塑剤としてのグリセリン(Glycerine )90g、加味剤としてのひしこ漬け15g、架橋剤としての40%グリオキサル(Glyoxal )10gを、それぞれ添加混合して混合液を調製し、その混合液をミミズ模様のモールドに入れて70℃で30分間維持し、完全に硬化した後脱形し、人工餌を製造した。こうして製造された人工餌の性能を把握するため、官能検査を実施した結果、塩漬け味と少しの甘味とを感じた。また、常温の水道水の中では、30日の間に完全に分解される生分解性が得られた。触感は、海ミミズと類似な特性を発揮した。
【0017】
【発明の効果】上記の実施例にて判るように、本発明に係る生分解性人工餌組成物を用いて製造される人工餌は、従来の水不溶性の人工餌に比べて生分解性に優れるので釣り場などに放置されても環境汚染を引き起こさない。また、加味性と触感の調節を自由に行うことができるので、獲物としての魚種に適応する加味と触感を選んで製造することができるようになるという利点を持っている。
【出願人】 【識別番号】599086984
【氏名又は名称】有限会社エムワントレーディング
【出願日】 平成13年1月31日(2001.1.31)
【代理人】 【識別番号】100082083
【弁理士】
【氏名又は名称】玉田 修三
【公開番号】 特開2002−223670(P2002−223670A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−24734(P2001−24734)