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【発明の名称】 魚介類の飼育装置
【発明者】 【氏名】北村 仁史

【氏名】真継 伸

【氏名】鼻戸 由美

【氏名】卜部 豊之

【氏名】才本 雅子

【要約】 【課題】水を補充するメンテナンスの必要を少なくすることができると共にランニングコストを低減することができ、さらに排水処理の問題も軽減することができる【解決手段】 魚介類を飼育する飼育水槽1の水を循環経路2を通して循環させると共に循環経路2を通す間に水を浄化するようにした閉鎖循環方式の飼育装置に関する。循環経路2において水中の汚泥を水とともに取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路2に戻す固液分離手段3を備える。汚泥を除去して水質を保つことができると共に、汚泥を固液分離した後の水を戻すことによって、補充する水の量を低減することができる。

【解決手段】魚介類を飼育する飼育水槽1の水を循環経路2を通して循環させると共に循環経路2を通す間に水を浄化するようにした閉鎖循環方式の飼育装置に関する。循環経路2において水中の汚泥を水とともに取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路2に戻す固液分離手段3を備える。汚泥を除去して水質を保つことができると共に、汚泥を固液分離した後の水を戻すことによって、補充する水の量を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 魚介類を飼育する飼育水槽の水を循環経路を通して循環させると共に循環経路を通す間に水を浄化するようにした閉鎖循環方式の飼育装置において、循環経路において水中の汚泥を水とともに取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路に戻す固液分離手段を備えて成ることを特徴とする魚介類の飼育装置。
【請求項2】 水中の汚泥を沈降させる沈殿槽を循環経路に設け、沈殿槽内の汚泥を水とともに固液分離手段に取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路に戻すようにして成ることを特徴とする請求項1に記載の魚介類の飼育装置。
【請求項3】 水中のアンモニアを分解する微生物を付着させた処理材を充填したアンモニア除去槽を循環経路に設け、アンモニア除去槽内の汚泥を水とともに固液分離手段に取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路に戻すようにして成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚介類の飼育装置。
【請求項4】 固液分離手段として、中空糸膜あるいは精密ろ過膜からなる分離膜を設けて形成したものを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の魚介類の飼育装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水を閉鎖的に循環させて再利用しながら、飼育水槽で魚介類を飼育するようにした魚介類の飼育装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】陸上の飼育水槽で魚介類を高密度に養殖したり、一時的に蓄養したりする場合、飼育水槽の水を閉鎖的な循環経路で循環させ、循環経路に接続した各種の処理槽で水を処理することによって浄化し、浄化した水を飼育水槽に返送するようにしている。
【0003】このような閉鎖システムの循環経路において、魚介類が食べ残した残餌、魚介類の排泄物、浮遊物質などの有機物が沈殿して汚泥が生成される。そして、これらの汚泥を除去せずに放置しておくと、濁りや硫化水素の発生など水質悪化の原因となるので、これらの汚泥は早期に系外に排出する必要がある。そこで、循環経路に接続された各種の処理槽から沈殿した汚泥を水とともに抜き出し、系外に排出するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように汚泥を水とともに抜き出して排出すると、排出した量の分だけ水が減るので、飼育水槽にこの減ったぶんの水を補充するというメンテナンスの必要があり、特に飼育の水として人工海水を使用する場合、ランニングコストの面でも問題があった。しかも、このように汚泥を水とともに抜き出して排出すると、汚泥濃度の高い水を多量に処理する必要があるという問題もあった。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、水を補充するメンテナンスの必要を少なくすることができると共にランニングコストを低減することができ、さらに排水処理の問題も軽減することができる魚介類の飼育装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る魚介類の飼育装置は、魚介類を飼育する飼育水槽1の水を循環経路2を通して循環させると共に循環経路2を通す間に水を浄化するようにした閉鎖循環方式の飼育装置において、循環経路2において水中の汚泥を水とともに取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路2に戻す固液分離手段3を備えて成ることを特徴とするものである。
【0007】また請求項2の発明は、請求項1において、水中の汚泥を沈降させる沈殿槽4を循環経路2に設け、沈殿槽4内の汚泥を水とともに固液分離手段3に取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路2に戻すようにして成ることを特徴とするものである。
【0008】また請求項3の発明は、請求項1又は2において、水中のアンモニアを分解する微生物を付着させた処理材を充填したアンモニア除去槽6を循環経路2に設け、アンモニア除去槽6内の汚泥を水とともに固液分離手段3に取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路2に戻すようにして成ることを特徴とするものである。
【0009】また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、固液分離手段3として、中空糸膜あるいは精密ろ過膜からなる分離膜8を設けて形成したものを用いることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】図1は飼育装置のシステムの一例を示すものであり、飼育水槽1にパイプなどの配管で形成される循環経路2が接続してある。飼育水槽1は魚介類を飼育し、あるいは魚介類を一時的に蓄養するためのものであり、飼育する魚介類はヒラメ等の魚の他に、甲殻類、貝類など限定されるものではなく、海水魚介でも淡水魚介でもいずれでもよい。飼育水槽1内の水には送風機11から空気(酸素)が供給されるようになっており、所定時間毎に餌を供給する給餌機12が飼育水槽1に付設してある。また飼育水槽1には水質センサ13が設けてあり、水質センサ13で測定された水質のデータは制御盤14に入力されるようにしてある。
【0012】循環経路2には、水の流れの上流側から、沈殿槽4、ポンプ15、調温装置16が接続してあり、さらにこれらよりも下流側において、泡沫分離槽17と硝化槽18を一体化して形成された複合処理槽20及び、殺菌装置21が循環経路2に接続してある。また循環経路2の一部をなすように循環経路2から分岐した分岐経路22には脱窒槽23が接続してある。硝化槽18と脱窒槽23にはそれぞれアンモニアを分解する微生物を付着させた処理材が充填してあり、硝化槽18と脱窒槽23はそれぞれアンモニア除去槽6を形成するものである。
【0013】また沈殿槽4、アンモニア除去槽6を構成する硝化槽18と脱窒槽23、泡沫分離槽17、温調装置16はそれぞれ吸入ポンプ25を備えた取出し経路26によって固液分離手段3に接続してある。取出し経路26は固液分離手段3に流入する経路である主経路26aと、沈殿槽4、硝化槽18、脱窒槽23、泡沫分離槽17、温調装置16からそれぞれ流出する経路である分岐経路26b,26c,26d,26e,26fとからなるものであり、各分岐経路26b,26c,26d,26e,26fは主経路26aに分岐するように接続してある。これらの各分岐経路26b,26c,26d,26e,26fにはそれぞれ、バルブ27b,27c,27d,27e,27fが設けてある。固液分離手段3はまた戻し経路28によって沈殿槽4に接続してある。この固液分離手段3は、槽内にストレーナー、ドラムフィルター、糸巻きフィルターなどのろ過体を備えて形成されるものであり、固形分を含む水をろ過体に通すことによって、固液分離できるようにしてある。
【0014】上記のように形成される飼育装置にあって、飼育水槽1内の飼育水はポンプ15によって図1の矢印のように循環経路2を流れて循環するようになっている。そして飼育水槽1から循環経路2に流出した水はまず沈殿槽4に入る。沈殿槽4は、槽内に一定時間飼育水を滞留させ、水中の残餌や糞などの有機固形物を沈殿させることによって、水から有機固形物を分離して除去するものである。沈殿槽4で有機固形分を沈殿させて除去した水は、調温装置16で魚介類の飼育に適した水温を維持する温度調節がなされた後、複合処理槽20の泡沫分離槽17に流入する。
【0015】泡沫分離槽17は空気を微細な気泡として噴出する散気管などを下部内に有するものであり、このように微細な気泡を噴出してエアーレーションすることによって、気泡表面による有機固形物など浮遊物質の付着効果と、泡立てによる溶解性有機物の発泡促進によって、有機物を泡沫として水から分離するようにしたものである。泡沫分離槽17で有機物が泡沫分離水として分離された水は硝化槽18へと移流する。
【0016】硝化槽18内には、微生物として好気性の硝化菌を付着させた粒状のろ過材などの処理材が充填してある。そして泡沫分離槽17から硝化槽18へ移流した水は、処理材に付着した硝化菌によって硝化作用を受け、水中のアンモニアは分解され、酸化されて亜硝酸になると共にさらに硝酸になり、アンモニアを硝酸態窒素へと変化させることができる。このようにして硝化槽18で硝化処理がされた水は循環経路2に送り出される。そしてこの水は殺菌装置21で殺菌された後、循環経路2を通して飼育水槽1に返送される。このように循環経路2を循環させる間に、上記のように水を各種の処理槽で浄化処理することによって、飼育水槽1内の水を常に清浄に保つことができるものである。
【0017】また、硝化槽18で硝化処理された水は循環経路2で飼育水槽1に返送される他に、一部は循環経路2から分岐経路22に流れ、脱窒槽23に矢印のように移流するようになっている。脱窒槽23内には微生物として嫌気性の脱窒菌を付着させた粒状のろ過材などの処理材が充填してある。そして脱窒槽23に流入する水にはアンモニアの硝化によって生成された硝酸態窒素が含有されているが、水中の硝酸態窒素は脱窒槽23内の脱窒菌の作用で分解されて窒素ガスになり、硝酸態窒素を窒素ガスとして水中から系外部に除去する脱窒が行なわれる。脱窒槽23で脱窒処理された水は、分岐経路22によって沈殿槽4に戻されるようにしてある。
【0018】上記のような飼育装置にあって、残餌や、魚介類の排泄物、浮遊物質などの有機物が沈殿して汚泥が生成される。特に沈殿槽4の底部には、残餌や糞などの有機固形物の沈殿によって多量の汚泥が発生している。そこで、吸入ポンプ25を作動させると共にバルブ27bを開いて沈殿槽4の底部から汚泥を水とともに吸引し、分岐経路26bと主経路26aからなる取出し経路26を通して固液分離手段3に取り出すようにしてある。そして沈殿槽4から取り出された汚泥と水を固液分離手段3で固液分離し、固液分離して汚泥を分離した後の水は、固液分離手段3から戻し経路28によって沈殿槽4に返送し、循環経路2に戻されるようにしてある。このようにして、沈殿槽4内の汚泥を取り出して系から除去することができるものであり、系内に汚泥が蓄積されることを防ぐことができるものである。また汚泥とともに取り出された水は汚泥から分離されて循環経路2に戻されるので、系内の水が多量に減少することがなくなり、水を補給するメンテナンスの必要を少なくすることができるものである。従って、水を補給するコストを低減することができ、特に水として人工海水を用いる場合などは、ランニングコストを大きく削減することができるものである。また排出されるのは、固液分離して残った汚泥だけであるので少量であり、その処理を容易に行なうことができるものである。
【0019】また、硝化槽18や脱窒槽23では、アンモニアの分解・除去の作用の他に、微生物が付着する処理材によるろ過作用で、汚泥が多く発生する。そこで、吸入ポンプ25を作動させると共にバルブ27cあるいはバルブ27dを開いて、硝化槽18あるいは脱窒槽23の底部から汚泥を水とともに吸引し、分岐経路26c,26dと主経路26aからなる取出し経路26を通して固液分離手段3に取り出すようにしてある。そして硝化槽18あるいは脱窒槽23から取り出された汚泥と水を固液分離手段3で固液分離し、固液分離して汚泥を分離した後の水は、固液分離手段3から戻し経路28によって沈殿槽4に返送し、循環経路2に戻されるようにしてある。
【0020】さらに、泡沫分離槽17や温調装置16においても汚泥が発生する。そこで、吸入ポンプ25を作動させると共にバルブ27eあるいはバルブ27fを開いて、泡沫分離槽17あるいは温調装置16の底部から汚泥を水とともに吸引し、分岐経路26e,26fと主経路26aからなる取出し経路26を通して固液分離手段3に取り出すようにしてある。そして泡沫分離槽17あるいは温調装置16から取り出された汚泥と水を固液分離手段3で固液分離し、固液分離して汚泥を分離した後の水は、固液分離手段3から戻し経路28によって沈殿槽4に返送し、循環経路2に戻されるようにしてある。
【0021】上記のように、循環経路2の各処理槽から汚泥と水を固液分離手段3に取り出して固液分離した後に循環経路2に水を戻す操作は、常時行なったり、あるいは所定時間毎に間欠的に行ったりするものである。常時行なう場合には、循環経路2に流れる水量の1/2〜1/10程度を固液分離手段3に取り出すようにするのがよい。
【0022】図2は固液分離手段3の実施の形態の一例を示すものであり、分離槽30内に中空糸膜あるいは精密ろ過膜(平膜ともいう)からなる分離膜8を設け、分離槽30に取出し経路26を接続すると共に分離膜8に戻し経路28を接続して固液分離手段3を形成するようにしてあり、また分離槽30内には分離膜8の下方位置において散気管31が配設してある。中空糸膜や精密ろ過膜は孔径が0.05μm〜8μmのものである。そして循環経路2の各処理槽から取出し経路26を通して分離槽30内に汚泥と水が常時あるいは間欠的に供給されているものであり、戻し経路28に設けた吸引ポンプ32による吸引あるいは水頭差で、分離膜8を通して分離槽30内の汚泥と水を吸引すると、汚泥は分離膜8を透過せず、水のみが分離膜8を透過するので、固液分離して水を戻し経路28から循環経路2に戻すことができるものである。
【0023】図2のものにあって、中空糸膜あるいは精密ろ過膜からなる分離膜8は孔径が小さいので、硝化菌や脱窒菌のような微生物は透過させない。従って、分離槽30内の汚泥を活性汚泥として、硝化菌や脱窒菌を分離槽30内に生息させることができるものであり、固液分離の操作と同時に、分離槽30内で水を硝化処理や脱窒処理してアンモニアを除去する処理も行なうことが可能になるものである。すなわち、散気管31から空気を散気させて活性汚泥に十分な酸素供給をして好気性状態にすると、硝化菌の活動が活発になり、水中のアンモニアを分解して硝酸態窒素に変換させる硝化反応を行なわせることができ、また散気管31からの空気の散気を停止して嫌気性状態にすると、脱窒菌の活動が活発になり、硝酸態窒素を分解して窒素ガスに変換させる脱窒反応を行なわせることができるものである。分離槽30内では高濃度に濃縮された活性汚泥によって有機物の分解も行なうことができるものである。このようにして、固液分離手段3を利用して硝化や脱窒を行なったり、有機物の分解を行なったりすることができるようにすることによって、硝化槽18や脱窒槽23などのアンモニア除去槽6の負荷を軽減して、これらの処理槽の容量を小さくすることが可能になるものであり、装置全体のコンパクト化と、コスト削減につながるものである。
【0024】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る魚介類の飼育装置は、魚介類を飼育する飼育水槽の水を循環経路を通して循環させると共に循環経路を通す間に水を浄化するようにした閉鎖循環方式の飼育装置において、循環経路において水中の汚泥を水とともに取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路に戻す固液分離手段を備えるので、汚泥を除去して水質を保つことができると共に、汚泥を固液分離した後の水を戻すことによって、補充しなければならない水の量を低減することができ、水を補充するメンテナンスの必要を少なくすることができると共にランニングコストを低減することができるものであり、また排水の処理の問題も軽減することができるものである。
【0025】また請求項2の発明は、水中の汚泥を沈降させる沈殿槽を循環経路に設け、沈殿槽内の汚泥を水とともに固液分離手段に取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路に戻すようにしたので、循環経路の間で特に汚泥が大量に生成される沈殿槽の汚泥を除去して、水質を保つことができるものである。
【0026】また請求項3の発明は、水中のアンモニアを分解する微生物を付着させた処理材を充填したアンモニア除去槽を循環経路に設け、アンモニア除去槽内の汚泥を水とともに固液分離手段に取り出して固液分離すると共に分離後の水を循環経路に戻すようにしたので、循環経路の間でも汚泥が多く生成されるアンモニア除去槽の汚泥を除去して、水質を保つことができるものである。
【0027】また請求項5の発明は、固液分離手段として、中空糸膜あるいは精密ろ過膜からなる分離膜を設けて形成したものを用いるようにしたので、中空糸膜あるいは精密ろ過膜からなる分離膜は硝化菌や脱窒菌のような微生物は透過させないものであって、固液分離手段で分離される汚泥を活性汚泥として利用して、アンモニア除去などの生物的処理を行なうことが可能になるものである。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成13年1月31日(2001.1.31)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
【公開番号】 特開2002−223667(P2002−223667A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−24709(P2001−24709)