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【発明の名称】 魚介類の飼育装置
【発明者】 【氏名】真継 伸

【氏名】才本 雅子

【氏名】卜部 豊之

【氏名】鼻戸 由美

【氏名】北村 仁史

【要約】 【課題】ランニングコストを低減することができる魚介類の飼育装置を提供する。

【解決手段】魚介類を飼育する飼育水槽1の水を循環経路2を通して循環させると共に循環経路2に通す間に水を浄化するようにした水循環方式の飼育装置に関する。循環経路2に泡沫分離槽3を設ける。泡沫分離槽3における泡沫分離用の気泡発生装置4を、魚介類からの粘性物質の分泌の多い時間帯に作動させると共に分泌の少ない時間帯に停止させるように制御する。魚介類からの粘性物質の分泌が少なく泡沫分離槽3に安定泡沫が形成することができないときには、気泡発生装置4は作動されないようにすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 魚介類を飼育する飼育水槽の水を循環経路を通して循環させると共に循環経路を通す間に水を浄化するようにした水循環方式の飼育装置において、循環経路に泡沫分離槽を設け、泡沫分離槽における泡沫分離用の気泡発生装置を、魚介類からの粘性物質の分泌の多い時間帯に作動させると共に分泌の少ない時間帯に停止させるように制御して成ることを特徴とする魚介類の飼育装置。
【請求項2】 飼育する魚介類の給餌のタイミングに合わせて、泡沫分離槽における泡沫分離用の気泡発生装置を作動させるように制御して成ることを特徴とする請求項1に記載の魚介類の飼育装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水を循環させて再利用しながら、飼育水槽で魚介類を飼育するようにした魚介類の飼育装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】陸上の飼育水槽で魚介類を高密度に養殖したり、一時的に蓄養したりする場合、飼育水槽の水を閉鎖的な循環経路で循環させ、循環経路の途中で水を浄化して飼育水槽に返送するようにしている。水の浄化は、魚介類に与える餌の残餌や排泄物に起因して発生するアンモニア等を分解する浄化槽を循環経路に設けて行なわれるのが一般的であるが、泡沫分離槽を循環経路に設けることも行なわれている。
【0003】魚介類は体表面から蛋白質の一種である粘性物質を分泌しており、他の浮遊物質などとともに水の濁りの原因となっている。そして水中に微細気泡を供給すると、気泡の気液界面に浮遊物質とともに粘性物質が吸着される。泡沫分離槽は水中に微細気泡を発生させる装置を具備して形成されるものであり、発生させた微細気泡に浮遊物質や粘性物質を吸着させ、浮遊物質や粘性物質を吸着させた気泡を液面に浮上させるようにしたものである。この粘性物質を吸着した気泡は粘性の高い安定な泡沫となり、この安定泡沫を泡沫分離槽から除去することによって、浮遊物質とともに魚介類の体表面から分泌される粘性物質を除去することができるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような泡沫分離槽にあって、水中に微細気泡を発生させるために微細気泡発生装置は常時作動されており、ランニングコストにおいて問題を有するものであった。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ランニングコストを低減することができる魚介類の飼育装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る魚介類の飼育装置は、魚介類を飼育する飼育水槽1の水を循環経路2を通して循環させると共に循環経路2に通す間に水を浄化するようにした水循環方式の飼育装置において、循環経路2に泡沫分離槽3を設け、泡沫分離槽3における泡沫分離用の気泡発生装置4を、魚介類からの粘性物質の分泌の多い時間帯に作動させると共に分泌の少ない時間帯に停止させるように制御して成ることを特徴とするものである。
【0007】また請求項2の発明は、請求項1において、飼育する魚介類の給餌のタイミングに合わせて、泡沫分離槽3における泡沫分離用の気泡発生装置4を作動させるように制御して成ることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0009】図1は本発明に係る飼育装置のシステム構成の一例を示すものであり、FRPやコンクリートなどで形成される飼育水槽1に、パイプなどの配管で形成される循環経路2が接続してある。飼育水槽1は魚介類を飼育して養殖し、あるいは魚介類を一時的に蓄養するためのものであり、飼育する魚介類はヒラメ等の魚の他に、甲殻類、貝類など限定されるものではなく、海水魚介でも淡水魚介でもいずれでもよい。
【0010】循環経路2には水の流れの上流側から、循環ポンプ10、泡沫分離槽3、生物処理槽11が接続してあり、図1の実施の形態では泡沫分離槽3と生物処理槽11を一体化して形成された浄化槽13を用いるようにしてある。循環経路2は飼育水槽1の水が浄化槽13の泡沫分離槽3に送られる往経路2aと、浄化槽13で処理された水が飼育水槽1に返送される復経路2bとからなるものである。循環経路2にはこれらの他に、水中の残餌や糞等の比較的大きな固形物を沈殿させて分離する沈殿分離槽や、水を魚介類の生育に適した水温に保つ熱交換器などを接続して用いることもできる。この熱交換器としては、円筒内部で水と冷温水との間の熱交換を行なうようにしたライン式のものを用いることができる。
【0011】上記のように形成される飼育装置にあって、飼育水槽1内の水は循環ポンプ10によって図1の矢印のように循環経路2を流れて循環するようになっており、そして飼育水槽1から循環経路2の往経路2aに流出した水は、浄化槽13の泡沫分離槽3に流入する。
【0012】泡沫分離槽3は浄化槽13への汚濁負荷の軽減と、生物処理槽11内のろ材14の詰まり防止のために、浄化槽13の最前段に配置されている。この泡沫分離槽3には微細気泡を発生する気泡発生装置4が設けてある。図1の実施の形態では気泡発生装置4は、泡沫分離槽3の下端部内に配置される多孔質の散気管15と、この散気管15に空気を供給する送風機16とから形成してある。気泡発生装置4としてはこの他に、多孔板方式、エジェクタ方式、攪拌方式、加圧溶解方式など任意の方式に形成することができる。
【0013】そして気泡発生装置4によって泡沫分離槽3内の水中に微細気泡が供給されており、泡沫分離槽3に流入する水に浮遊物質(SS)や魚介類の体表面から分泌された粘性物質や、残餌から発生する粘性物質などの有機物が含まれていると、気泡にこれらの有機物が吸着され、粘性物質の付着による粘性の高まりとエアレーションによる泡立ちによって、有機物を付着した安定な泡沫が泡沫分離槽3の水面に形成される。この浮遊物質や粘性物質などの有機物を付着した安定泡沫は、泡沫分離槽3の水面から泡沫排出管18によって排出されるようになっており、水質汚濁の原因になる浮遊物質や粘性物質などの有機物を水から除去することができるものである。
【0014】上記のようにして、泡沫分離槽3で浮遊物質や粘性物質などの有機物が泡沫分離水として分離された水は、浄化槽13内において泡沫分離槽3と生物処理槽11の間の仕切り壁に設けた移流路17を通して生物処理槽11へと移流する。生物処理槽11は前室11aと後室11bに分離されているが各室内11a,11bには硝化菌などの微生物が付着したろ材14が充填してある。そして、泡沫分離槽3から生物処理槽11へ移流した水中のアンモニアなどは、前室11aや後室11bを水が通過する間に硝化菌等の微生物によって分解され、除去される。このようにして浄化槽13で浄化された水は、循環経路2の復経路2bによって飼育水槽1に返送される。
【0015】ここで、泡沫分離槽3では魚介類の体表面から分泌される粘性物質が気泡に吸着されることによって粘性の高い安定泡沫が形成され、この安定泡沫を除去することによって有機物を水から分離除去するようにしているが、この安定泡沫は常時形成されているわけではない。すなわち、粘性物質は魚介類から常時分泌されているわけではなく、魚介類の給餌や活動状態等によって粘性物質の分泌は左右される。従って、魚介類から粘性物質が分泌されていないときに泡沫分離槽3の気泡発生装置4を作動させても、安定泡沫は形成されないので、このときの気泡発生装置4の稼働は無駄になり、ランニングコストの無駄となる。
【0016】そこで本発明では、魚介類からの粘性物質の分泌の多い時間帯に気泡発生装置4を作動させると共に分泌の少ない時間帯には気泡発生装置4を停止させるように制御して、無駄に気泡発生装置4が稼働されないようにし、ランニングコストを低減するようにしている。気泡発生装置4の制御は、気泡発生装置4の送風機16にCPU等を具備して形成される制御装置19を接続し、制御装置19のタイマーによって送風機16をオン・オフさせることによって行なうことができる。気泡発生装置4が攪拌方式の場合には、攪拌翼の回転モータをオン・オフさせることによって制御することができる。
【0017】ここで、魚介類の成長、飼育尾数、魚種等の飼育条件に合わせて給餌を実施し、気泡発生装置4を連続的に稼働させながら、給餌の時間と泡沫分離槽3に安定泡沫が形成される時間との関係を実験的に求めることによって、魚介類からの粘性物質の分泌の多い時間帯を把握することができる。例えば、飼育水槽1でヒラメを飼育する場合、給餌後から6〜8時間までの間、泡沫分離槽3に安定泡沫が形成されることが多いことが実験的に確かめられている。従って、飼育する魚介類の給餌のタイミングに合わせて、泡沫分離槽3の気泡発生装置4を作動させるように制御すれば、魚介類からの粘性物質の分泌の多い時間帯にのみ気泡発生装置4を作動させることができることになる。ヒラメの場合は、給餌してから8時間、気泡発生装置4を作動させるように制御すればよく、例えば給餌を行なう時間が毎日9時であれば、9時から17時まで気泡発生装置4が作動されるように、制御装置19のタイマーをセットすれば、魚介類からの粘性物質の分泌の最も多い時間帯に気泡発生装置4を自動的に作動させることができる。尚、魚介類からの粘性物質の分泌の量が多い時間帯や少ない時間帯を把握するには、上記のように安定泡沫の形成を確認する他に、魚介類を飼育している水の粘度を測定する方法によっても行なうことができる。
【0018】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る魚介類の飼育装置は、魚介類を飼育する飼育水槽の水を循環経路を通して循環させると共に循環経路を通す間に水を浄化するようにした水循環方式の飼育装置において、循環経路に泡沫分離槽を設け、泡沫分離槽における泡沫分離用の気泡発生装置の作動を、魚介類からの粘性物質の分泌の多い時間帯に作動させると共に分泌の少ない時間帯に停止させるように制御したので、魚介類からの粘性物質の分泌が少なく泡沫分離槽に安定泡沫を形成することができないときには、気泡発生装置は作動されないようにすることができるものであり、気泡発生装置が無駄に作動されないようにしてランニングコストを低減することができるものである。
【0019】また請求項2の発明は、飼育する魚介類の給餌のタイミングに合わせて、泡沫分離槽における泡沫分離用の気泡発生装置を作動させるように制御したので、給餌のタイミングに合わせてタイマーセットをすることによって、魚介類からの粘性物質の分泌の最も多い時間帯に気泡発生装置を自動的に作動させる制御が可能になるものである。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成13年1月31日(2001.1.31)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
【公開番号】 特開2002−223666(P2002−223666A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−24708(P2001−24708)