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【発明の名称】 生簀用枠体
【発明者】 【氏名】盆子原 秀美

【要約】 【課題】本発明は耐食性や耐汚性を有すると共に海水を汚染することなく、且つ耐用年数を大幅に伸ばして維持管理費のコストダウンが可能となる生簀用枠体を提供することを目的とする。

【解決手段】略多角形に形成された主枠材1,2と、網吊兼手摺材3との相互間を連結材4によって全体を剛体構造と成す生簀用枠体に於いて、主枠材1,2と網吊兼手摺材3及び連結材4の材料として、合成樹脂製のパイプと、該パイプ内に入れる複数本の鉄筋である補強部材及び充填材とから成すものを用いる。またパイプが連通して組立てられ、その内部が補強部材とレジンコンクリート或いは合成樹脂である充填材で一体化すると良く、且つ補強部材がスペーサーによって位置確保されるようにすると良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 四角形や八角形等の略多角形に形成された主枠材(1),(2)と、網吊兼手摺材(3)との相互間を連結材(4)によって全体を剛体構造と成す生簀用枠体に於いて、前記主枠材(1),(2)と前記網吊兼手摺材(3)及び前記連結材(4)の材料が、合成樹脂製のパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)と、該パイプ(1a),(2a), (3a),(4a)内に入れる補強部材(1b),(2b),(3b),(4b)及び充填する充填材(1c),(2c), (3c),(4c)とから成るパイプ部材であることを特徴とする生簀用枠体。
【請求項2】 前記パイプ(1a),(2a), (3a),(4a)が連通して組立てられ、その内部が補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)と充填する充填材(1c),(2c), (3c),(4c)で一体化された請求項1記載の生簀用枠体。
【請求項3】 前記パイプ(1a),(2a), (3a),(4a)が水道用硬質塩化ビニール管或いは水道用ポリエチレン管である請求項1又は2記載の生簀用枠体。
【請求項4】 前記補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)が複数本の鉄筋であり、該補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)がスペーサー(1d),(2d), (3d),(4d)によって位置確保される請求項1又は2記載の生簀用枠体。
【請求項5】 前記充填材(1c),(2c), (3c),(4c)がレジンコンクリート或いは合成樹脂である請求項1又は2記載の生簀用枠体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂製のパイプ内部に補強部材とレジンコンクリート或いは合成樹脂等の充填材を充填したパイプ部材で製作する生簀用枠体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の生簀用枠体は波の上下動によって強い荷重が加わるため、四角形や八角形等の略多角形に形成された金属管の主枠材と、金属管の網吊兼手摺材との相互間を金属製の連結材によって全体が溶接された剛体構造と成されている。又、それらの材料としては亜鉛メッキ鋼管や亜鉛メッキ金属板が使用され、溶接組立て後は防錆処理として生簀の表面全体に塗料が塗布して仕上げられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記亜鉛メッキ鋼管等が用いられた生簀用枠体は、耐用年数が5年前後であり、この時には、亜鉛メッキ鋼管等の亜鉛及び表面に塗布した塗料が海中に溶け込んで海水汚染の原因となっていた。また耐用年数を伸ばすために、耐用年数に達する前に前記生簀用枠体の表面へ塗料を塗布して防錆処理が定期的に行われているが、塗料や亜鉛が海中に溶け続けるため、海水汚染が海中生態の異常を起こす原因となっていた。更に防錆処理を定期的に行うためには、海中に沈んでいる生簀用枠体を一旦海中から引揚げた後、防錆処理を施こさなければならず、手間と時間が掛る等の問題点があった。
【0004】本発明は耐食性や耐汚性を有すると共に海水を汚染することなく、且つ耐用年数を大幅に伸ばして維持管理費のコストダウンが可能となる生簀用枠体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために本発明は成されたものであり、つまり、四角形や八角形等の略多角形に形成された主枠材と、網吊兼手摺材との相互間を連結材によって全体を剛体構造と成す生簀用枠体に於いて、主枠材と網吊兼手摺材及び連結材の材料が、合成樹脂製のパイプと、該パイプ内に入れる補強部材及び充填材とから成すパイプ部材とする。また全パイプが連通して組立てられ、その内部が補強部材と充填材で一体化すると良く、パイプとして水道用硬質塩化ビニール管或いは水道用ポリエチレン管を用いたり、補強部材として複数本の鉄筋を用い且つ補強部材がスペーサーによって位置確保されるようにすると良い。更に補充材としてはレジンコンクリートや合成樹脂などを用いると良い。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態を示す図であり、これについて説明する。(1),(2)は四角形や八角形等の略多角形に形成されたパイプ部材の主枠材であり、該主枠材(1)は外側に配置し且つ略四角形に形成されている。また主枠材(2)は内側に配置し且つ略四角形に形成されている。(3)は主枠材(1),(2)よりも上方に配置し且つ略四角形に形成されたパイプ部材の網吊兼手摺材である。(4)は主枠材(1),(2)及び網吊兼手摺材(3)の相互間を一体に連結するパイプ部材の連結材であり、該連結材(4)には図2に示すように水平杆,垂直杆,斜杆の3種類がある。前記主枠材(1),(2)と前記網吊兼手摺材(3)及び前記連結材(4)のパイプ部材としては、合成樹脂製のパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)と、該パイプ(1a),(2a), (3a),(4a)内に入れる補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)及び充填する充填材(1c),(2c), (3c),(4c)とから成されている。前記パイプ(1a),(2a), (3a),(4a)としては水道用硬質塩化ビニール管或いは水道用ポリエチレン管を用い、前記補強部材(1b),(2b),(3b),(4b)として複数本の鉄筋を用い、前記充填材(1c),(2c), (3c),(4c)としてレジンコンクリート或いは合成樹脂を用いると良い。また前記補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)が安定するように、図3に示す鉄材が直交するもの或いは図4に示す弾性を有した合成樹脂で形成したものをスペーサー(1d),(2d), (3d),(4d)として利用し、それに各補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)を線材で緊結したり或いは嵌着させてパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)内部にセットすると良い。前記スペーサー(1d),(2d), (3d),(4d)の形状は上記に限定されるものではなく、鉄筋が安定して支持出来る形状であれば他の形状でも良い。更に前記パイプ(1a),(2a), (3a),(4a)は連通して組立てるのが好ましい。尚、本発明の生簀用枠体の形状は略四角状に限定されるものではない。又、前記主枠材(1),(2)の下部には図示しない浮子が取付けられ、前記網吊兼手摺材(3)には網(5)が装着されている。
【0007】本発明品の組立方法について説明する。先ず始めに所定径のパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)を用意し、その内部に外径3mm前後の鉄筋である補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)を図3或いは図4に示すスペーサー(1d),(2d), (3d),(4d)を利用してパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)を組立てながらセットする。この時、水道用の合成樹脂製の継手を使用して組立てると良い。又、充填材(1c),(2c), (3c),(4c)が注入して充填出来るようにパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)の適宜位置に穴を穿設しておく。組立後、コンクリートミキサー等から充填材(1c),(2c), (3c),(4c)としてレジンコンクリート或いは合成樹脂を、注入用の穴に注入して各パイプ(1a),(2a), (3a),(4a)内に充填させて一体化させる。その後、レジンコンクリート或いは合成樹脂が固化し養生すれば本発明品は完成するのである。尚、この時、前記レジンコンクリート或いは合成樹脂は本発明者が提案した特願2001−019491で使用するものと同じものを用いる。又、前記主枠材(1),(2)と網吊兼手摺材(3)及び連結材(4)の各部品は予めパイプ部材で形成され、前記各部品を後から組立てると共に連結部を接着して完成させたものとしても良い。
【0008】このようにして組立てた本発明の生簀を海中で5年間使用しても、錆びることなく、且つ長期間に渡って使用したままでも問題ないので、維持管理に殆ど手間が掛らないものが製作出来る。またレジンコンクリートや合成樹脂は水分の影響を余り受けず、且つ各パイプ(1a),(2a), (3a),(4a)内には鉄筋が入っているので、波の上下動によって強い荷重が加わっても耐えるだけの充分な強度が得られ、溶接構造のものと同様な剛体構造と成されるのである。このため、実験結果から耐用年数が従来の溶接のものよりも3〜5倍に伸びることが確認された。また海水に溶け込む従来の如き亜鉛や塗料がないので、海水の汚染の心配はなくなった。
【0009】
【発明の効果】本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0010】請求項1のように生簀用枠体の主枠材(1),(2)と網吊兼手摺材(3)及び連結材(4)の材料として、合成樹脂製のパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)と、その内部に入れる補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)及び充填する充填材(1c),(2c), (3c),(4c)とから成るパイプ部材を用いることにより、従来の金属管を使用したものと異なり、溶接作業が不要となるので一般の作業者でも作業が行え、且つ錆に対して特に強く、従来の如き防錆処理が不要となるため、防錆処理材による海水の汚染の心配がなくなり、且つ耐用年数が大幅に向上するものとなると共に維持管理が極めて簡単なものとなる。特にパイプ(1a),(2a),(3a),(4a)内にレジンコンクリート或いは合成樹脂を充填することにより、そのレジンコンクリート或いは合成樹脂の内部にトナーや合成樹脂製品の廃棄物を混入させて使用することが可能となり、環境にやさしいものとなる。
【0011】請求項2のようにパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)が連通して組立てられ、その内部へ補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)と充填する充填材(1c),(2c),(3c),(4c)を入れて一体化することにより、従来行われていた溶接作業が不要となるので、溶接技術のない人でも容易に作業することが出来るものとなる。また重量を軽量化することも可能となった。
【0012】請求項3に示すようにパイプ(1a),(2a), (3a),(4a)として水道用硬質塩化ビニール管或いは水道用ポリエチレン管を用いると、入手方法が簡単で且つ安く更に良質材料が安定して得られる。
【0013】請求項4に示すように補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)として複数本の鉄筋を用いれば、入手し易く且つ簡単に強度の補充が可能なものとなる。また補強部材(1b),(2b), (3b),(4b)がスペーサー(1d),(2d), (3d),(4d)によって位置確保されることにより、主枠材(1),(2)と網吊兼手摺材(3)及び連結材(4)の強度が安定したものとなる。
【0014】請求項5のように充填材(1c),(2c), (3c),(4c)としてレジンコンクリートを用いると、安価となり、且つ熱変形温度が高く、耐候性や耐摩耗性が良好で、硬化時間の調整が容易なものとなる。また合成樹脂としてポリエステル樹脂を用いると、安価に材料が手に入り、レジンコンクリートのものより軽くて且つ強度が向上されると共に合成樹脂製品の廃棄物をより多く混入させることが可能なものとなる。
【出願人】 【識別番号】300091072
【氏名又は名称】盆子原 秀美
【出願日】 平成13年2月5日(2001.2.5)
【代理人】 【識別番号】100083633
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏
【公開番号】 特開2002−223662(P2002−223662A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−27804(P2001−27804)